JP2889024B2 - イオントフォレシス用装置 - Google Patents

イオントフォレシス用装置

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JP2889024B2
JP2889024B2 JP3240219A JP24021991A JP2889024B2 JP 2889024 B2 JP2889024 B2 JP 2889024B2 JP 3240219 A JP3240219 A JP 3240219A JP 24021991 A JP24021991 A JP 24021991A JP 2889024 B2 JP2889024 B2 JP 2889024B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改良されたイオントフォ
レシス用装置に関する。
【0002】更に詳しくは、本発明は生体外皮に間隔を
おいて適用される一対の電極と生体外皮面とを接続する
水性媒体の双方中に、生体外皮を通して生体内に吸収さ
せようとする薬物を含有させ、かつ必要に応じて水性媒
体のpHを3〜9に保つために適宜電極に供給される電
流の極性(正・負)を切り換える際に電流の増減が徐々
に行われるようにしたイオントフォレシス用装置に関す
る。
【0003】
【従来の技術】イオントフォレシス(Iontophoresis )
はイオン浸透法ともよばれ治療目的のために電流によっ
てイオン性あるいは水溶性薬物を生体外皮を通して生体
内に導入することと定義される。
【0004】生体外皮とは生体と外界との界面を構成す
る生体組織であり、皮膚、口腔粘膜等を示し、最も一般
的には皮膚である。
【0005】イオントフォレシスの実際の態様は190
0年代初期より装置的に多くの工夫、改良がなされてお
り多様である(Praveen Yyle編「Drug Delivery Device
s 」1988年、Marcel Dekker Inc.刊、P.421〜
455参照)。しかし、基本的には電源とそれに接続す
る一対の電極及び該電極と生体外皮との間に放置される
導電性媒体とから構成されている。
【0006】電極としては通常の白金、カーボン、銀/
塩化銀電極等が使用される。また、電極と生体外皮との
間に設置される導電性媒体としては、通常カラヤガム、
トラガカントガム、サンサンガム等の天然樹脂多糖類又
はポリビニルアルコール部分ケン化物、ポリビニルホル
マール、ポリビニルメチルエーテルおよびそのコーポリ
マ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタクリレート
等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸およびそのナトリウ
ム塩、ポリアクリルアミド及びその部分加水分解物、ポ
リアクリル酸エステル部分ケン化物、ポリ(アクリル酸
―アクリルアミド)等のアクリル系樹脂など、親水性を
有する各種天然又は合成樹脂類を水及び/又はエチレン
グリコール、グリセリン等のアルコール類で柔軟可塑化
して自己保形性、皮膚接着性を有する柔軟フイルム乃至
シート状ゲルとして提供される。導電性ゲルあるいは吸
水紙等の紙目、ガーゼ等の布目、脱脂綿等の繊維目、合
成樹脂連続発泡体又は吸水性樹脂等のスポンジ乃至多孔
質材等に水及び/又はエチレングリコール、グリセリン
等のアルコール類を含浸保持させたものが使用される。
これらの中でも通常水を含む水性媒体が使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】イオントフォレシスで
は通常イオン性の薬物が生体内に投与される。薬物が正
に荷電している場合には正(陽)極と生体外皮との間に
設置された導電性媒体中に正電荷薬物を含有させ正電気
間の反撥により薬物を導電性媒体から生体内に投与す
る。一方、薬物が負に荷電している場合には負(陰)極
と生体外皮との間に設置された導電性媒体中に負電荷薬
物を含有させ負電気間の反撥により薬物を導電性媒体か
ら生体内に投与する。この際対極側にも薬物を含有しな
い導電性媒体と生体外皮との間に設置するのが通常であ
る。
【0008】なお、イオン性薬物は対イオン(カウンタ
ーイオン)を有しているが、対イオンは通常Naイオ
ン、Clイオン等薬理効果を有していないので上記のイ
オン性薬物の極性とは薬理効果を有する部分の極性を意
味する。何れの場合にも電源―正(陽)極―導電性媒体
―生体外皮―生体―生体外皮―導電性媒体―負(陰)極
―(電源)と閉回路が形成されて電流が流れ、この電流
により薬物含有導電性媒体から生体に薬物が吸収され
る。
【0009】しかしながら、このように電流が流れるこ
とにより、生体外皮に紅斑、水泡、等の障害が見られる
ことがある。その原因として(1)電極と水性媒体間に
電気分解が起こり、水性媒体のpHが正極側では酸性
に、負極側ではアルカリ性に傾くことによるもの、
(2)生体外皮自体での電気的分極によるものが考えら
れる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究した結果、適宜電極に供給される
電流の極性(正・負)を切り換える場合において電流の
上昇下降を徐々に行なうことにより、皮膚障害を生じに
くい改良されたイオントフォレシス用装置が得られるこ
とを見い出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち本発明は、生体外皮に間隔をおい
て適用される直流を印加する一対の電極手段を有したイ
オントフォレシス用装置であって、双方の該電極間に印
加される電流の正・負を交互に切り換えるための切換え
手段を具備したこと、及び直流電流の通電開始時及び正
負の極性切換え時に電流を徐々に変化させる電流調節手
段を具備したことを特徴とするイオントフォレシス用装
置を提供するものである。
【0012】かかる本発明には、該電流調節手段が、
0.1〜0.6mA/min・cm 2 の範囲で、該電流を
変化させるものであるイオントフォレシス用装置が含ま
れる。さらに該一対の電極手段の双方において、生体外
皮と電極とを電気的に接続するための水性媒体を具備
し、該水性媒体中には、生体外皮を通して生体内に吸収
させようとする薬物を含有せしめたことを特徴とするイ
オントフォレシス用装置が含まれる。
【0013】かかる発明には、電圧調節手段が、双方の
電極手段における水性媒体中の水溶液のpHを3〜9に
保つようにしたものであるイオントフォレシス用装置が
含まれる。
【0014】以下に本発明について、必要に応じて図面
を用いながら詳細に説明する。
【0015】本発明のイオントフォレシス用装置の具体
例を模式的に示したのが図1である。同図において、
1,2は導入電極であり、各々が白金、アルミニウム等
の金属電極11,21に、生体に吸収させようとする薬
剤を含有せしめた水性媒体層12,22が積層される。
3,4はリード線を示している。6が電源手段であり、
例えば0.1mA/cm2 の電流に設定し得るような直流
平流電源を意味する。7がタイマー手段であり、電極
1,2における薬剤を含有させた水性媒体層12,22
のpHが3〜9の範囲内、より好ましくは5〜8の範囲
内になるように必要に応じてあらかじめ定められた頻度
による双方の電極1,2の電流の正・負の切換えタイミ
ングをコントロールするためのものである。5がタイマ
ー手段7に連結されて双方の電極1,2の電流の正・負
を切り換えるための切換え手段としての機能を有すると
共に、その切換え時における電流の上昇及び下降のスピ
ードを小さくするための電流調節手段としての機能をも
有している。なお、5には、かかる正・負の電流切換え
時のみならず、最初の通電開始時においても徐々に電流
値を高める機能をも有することが望ましい。
【0016】本発明の特徴である、かかる電流の通電開
始時及び正・負の切換え時における電流の増減を徐々に
行なうための電流調節手段としては、目的の機能を果た
すものであればいかなるものであってもよい。
【0017】その具体的例示としては、アナログスイッ
チ、プログラマブル可変抵抗器、乗算器、積分器等の自
動出力調整手段が挙げられる。実用上好ましいものとし
て、アナログスイッチを用いた可変利得アンプ回路等が
あげられる。
【0018】またこの場合“徐々に”とは、印加電圧の
大きさ、生体のインピーダンス、極性切換え時間等によ
って変わるので一概に定義することはできない。
【0019】しかし、通常0.1〜1.0mAの直流平
流の電流を5〜30分間隔で極性を切り換えながら使用
することが望ましいので、“徐々に”とは、0.1〜
0.6mA/min・cm 2 の速度であることが望まし
い。
【0020】本発明における電源手段とは、小型電池等
の直流定電流電源や、直流パルス発生装置など、直流
流を発生させるものであればいかなるものでもよい。
【0021】本発明で、双方の電極1,2において電気
の極性が切り換えられるまでの一区間の間では、電圧は
連続的に加えられてもよいし、あるいはまた同じ極性で
あれば断続的でもよい。すなわち、閉回路を流れる電流
としては、直流平流でもよいし、直流パルスでもよい。
また、パルス終了時に脱分極機構が作動してもよい。
【0022】なお、本発明に言う、直流平流電流とは、
一方の電極に所定の時間だけ実質上一定の電流が通電さ
れる状態のものを意味し、直流パルス波電圧とは、一方
の電極に所定の時間だけ同じ極性(正・負)でパルス状
の電流が通電される状態のものをいう。
【0023】直流平流と直流パルスとを比較すると直流
平流の方が、薬物の輸送効率と回路の簡便性の二点から
望ましい。すなわち、見かけ上同じ電流が流れる時、直
流平流が最も有効に薬物を生体外皮を通して浸透させ
る。また、回路の設計もパルスと比較して容易である。
従って、直流平流の電流を電極に供給し、かつ適宜その
極性を変えることが本発明の望ましい態様である。
【0024】一方、直流パルスでは周波数が増加するに
従い無駄な電流が生ずる。この現象は周波数に対して連
続的であり、本発明で使用しうる最大許容パルス周波数
を決定することは困難ではあるが、経済性等を考慮して
一応5KHz以下とすることができる。従って例えば5
KHz以下1Hz以上の直流パルスの電圧を電極に供給
し、かつ適宜その極性を変えることも本発明の一態様で
ある。
【0025】本発明にいう水性媒体とは、水又は水溶液
を含んで通電可能なものであればいかなるものであって
もよい。その具体例としては、前に述べた水を含む導電
性媒体があげられる。
【0026】イオントフォレシスにより生体内に導入が
望まれる薬物としては通常の方法では生体内への導入に
問題がある薬物、例えば注射以外に投与方法がないも
の、経口、経鼻、経肺等のルートで投与されるが生物学
的利用率が低いもの、経皮投与が望まれるが従来の軟
膏、クリーム、スプレー等では導入され難いもの、投与
の時期、時間、投与量等を自在にコントロールすること
が望まれるものがあげられる。
【0027】このような薬物としては多くのペプチド・
蛋白性薬物があげられる。具体例としては、インスリ
ン、カルシトニン、バゾプレッシン、LH―RH、TR
H、ACTH、ANF、CCK、β―エンドルフィン、
エンケファリン、グルカゴン、MIF、MSH、PT
H、ソマトスタチン、インターフェロン等があげられ
る。これらのペプチド性薬物は各々の等電点では電気的
に中性であるが等電点よりpHが低ければ正に、また等
電点よりpHが高ければ負に帯電し、イオントフォレシ
スの対象として好適である。正,負何れの荷電をもたせ
るかは含有させる水性媒体のpHに依存している。
【0028】なお、イオントフォレシスにより吸収が増
進する薬物は必ずしも正,負何れかの荷電をもったイオ
ン性薬物に限らず、電気的に中性あるいは無荷電でもよ
いことが知られている。このような現象は電気浸透にも
とづくものであることが推定されている(R. Burnette
et al, J. Pharm. Sci., 75, 738-743 (1986))。
【0029】従って、上記のペプチド類は必ずしも電荷
をもたせる必要はない。ペプチド・蛋白性薬物以外のイ
オントフォレシスの対象となる薬物については通常の多
くにイオン性薬物があげられる。
【0030】具体例としては、鎮痛剤(例、塩酸モルフ
ィネ、塩酸ヒドロモルフォン、塩酸ブプレノルフィン、
塩酸ブプラノロール)、局所麻酔剤(例、塩酸テトラカ
イン、塩酸プロカイン、塩酸ジブカイン、塩酸リドカイ
ン、塩酸オキシプロカイン、塩酸パラブチルアミノ安息
香酸ジエチルアミノエチル、塩酸プピバカイン、塩酸メ
ピバカイン)、抗ヒスタミン剤(例、塩酸ジフェンヒド
ラミン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロ
ルフェニラミン、塩酸イソペンチジル、塩酸クレミゾー
ル)、抗生物質(β―ラクタム系抗生物質(例、メチシ
リンナトリウム、オキサシリンナトリウム、クロキサシ
リンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカン
ピシリン、ヘタシリンカリウム、カルペニシリンナトリ
ウムなどのペニシリン類、セファロチンナトリウム、セ
ファゾリンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフ
ォチヂンナトリウム、セファメタゾールナトリウム、セ
フロキシナトリウムなどのセファロスポリン類)、リン
酸オレアンドマイシン、塩酸リンコマイシン、塩酸クリ
ンダマイシンなどのマクロライド系抗生物質、硫酸フラ
ジオマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質、コハ
ク酸クロラムフェニコールナトリウム、塩酸テトラサイ
クリン、フシジン酸ナトリウム)、化学療法剤(例、イ
ソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム、塩酸エタンブ
トール)、催眠・鎮静剤(例、塩酸フルラゼパム)、鎮
痛消炎剤(例、ジクロフェナックナトリウム、サリチル
酸ナトリウム、塩酸ベンジダミン、酒石酸エルゴタミ
ン、メシル酸ジメトチアジン)、鎮暈剤(例、塩酸イソ
プレナリン、メシル酸ベタヒスチン)、精神神経用剤
(例、塩酸クロルプロマジン、塩酸イミプラミン、塩酸
アミトリブチリン、塩酸ミアンセリン、塩酸ドキセピ
ン)、自律神経用剤(例、臭化ジスチグミン)、鎮痙剤
(例、硫酸アトロピン、臭化ブチルスコポラミン、塩化
トロスピウム、塩酸ピペタナート)、抗パーキンソン剤
(例、塩酸ピペリデン)、不整脈用剤(例、塩酸プロプ
ラノロール、塩酸ブフェトロール、塩酸インデノロー
ル、塩酸ブクロモール、マイレン酸チモロール)、血圧
降下剤(例、塩酸クロニジン、硫酸ペタニジン、塩酸プ
ラゾシン)、冠血管拡張剤(例、塩酸ジルチアゼム、塩
酸ベラパミル、塩酸トリメタジシン)、鎮咳去痰剤
(例、硫酸チルブタリン、塩酸クロルプレナリン、塩酸
ブロムヘキシン、塩酸ツロブチロール、フマル酸ケトチ
フェン)、消化性潰瘍治療剤(例、臭化グリコピロニウ
ム)、副腎ホルモン剤(例、リン酸ヒドロコルチゾンナ
トリウム、デキサメチゾンナトリウム、リン酸プレドニ
ゾロンナトリウム)、抗悪性腫瘍剤(例、塩酸レパミゾ
ール、硫酸プレオマイシン、塩酸プレオマイシン)など
があげられる。
【0031】一対の水性媒体には同一の薬物を双方に含
有させてもよいし、あるいはまた異なる薬物を各々に含
有させてもよい。必ず何れかの極側の水性媒体にも薬物
の少くとも一種が含有されていることが肝要である。例
えば薬物が一種の場合は、既薬物が正イオン・負イオン
の何れであっても極性の切り換えによって常にどちらか
一方の側から生体内に導入される。薬物が二種であり、
かつそれらの電荷が同じであった場合にも、極性の切り
換えにより薬物の電荷と電極の極性が同じ時、どちらか
一方の側から二種の内の何れか一方が生体内に導入され
る。薬物の電荷と電極の極性が異なる時でも電気浸透に
より生体内に導入されうる。薬物が二種であり、かつそ
れらの電荷が異なる場合には、各々の電荷と電極の極性
とが一致した時には電気的反撥により各々の極から各々
の薬物が生体内に導入され、電荷と電極の極性とが異な
る時には電気浸透により同じく各々の薬物が各々の電極
から生体内に導入されうる。
【0032】水性媒体中にはこれらの外皮を通して生体
内に導入したい薬物の他に、pHを調節するための多く
の塩類を添加することができる。多量の塩類を添加する
ことは薬物イオンがこれらの塩類と競合するため薬物輸
送の効率の点からは好ましくはない。しかし、薬物を導
入するための駆動力の確保の意味から添加されることも
ある。
【0033】本発明で水性媒体のpHを3〜9により好
ましくは5〜8に保つべく電極に供給される電圧の極性
(正・負)は適宜切り換えられるが、この場合の“適
宜”とは開始時の水性媒体のpH、電流量、共存塩濃度
等によってpHの変化が変わるので一概には定義できな
い。与えられた条件で一方向に通電し、pHの変化をみ
てから、適当な間隔をおいて正負を逆転させることが必
要である。通常、0.1〜0.5mAの直流平流を流す
場合、水性媒体である0.02Mクエン酸緩衝液のpH
が1移動するのに要する時間は約60分位であることが
おおよその目安となるであろう。かかる極性の切換え
は、通常1〜120分殊に5〜60分に1度の頻度で行
うことが好ましい。切り換えは、通常タイマーと連動し
たスイッチ機構で作動される。この方法については一般
的であり、通常の機構を利用できる。以下に実施例によ
り本発明を具体的に例示するが本発明を限定するもので
はない。
【0034】
【実施例1】本発明のイオントフォレシス装置による通
電時の皮膚への影響を調べるために、ヘアレスラットに
図1に示す如き本発明のイオントフォレシス装置を適用
した。
【0035】すなわち直流電源としてADVANTES
T R6145を、また電極として白金板(5×5m
m2 、厚さ0.6mm)を組み込んだセル(1.1cmφ×
1.0cm)を用いた。このセルを2ケ所のウレタンで麻
酔したヘアレスラット腹部に1cmの距離をおき装置し、
各セルに生理食塩水を満たした。
【0036】セルの白金板と電源とを接続し、最大0.
1mA/cm2 で通電し、20分毎に0.1mA/min の
スピードで徐々に極性を切り換え、一定時間後の皮膚の
状態を、表1に示した紅斑及び水泡の判定基準により評
価した。また対照例1として0.1mA/cm2 で極性を
切り換えずに通電した場合、対照例2として0.1mA
/cm2 で20分毎に瞬時極性切り換えを行ない通電した
場合について各々実施例1同様の評価をした。それらの
結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【実施例2】本発明のイオントフォレシス装置をヒトの
皮膚へ適用した場合のヒト皮膚への影響を調べた。
【0040】すなわち、直流電源としてADVANTE
ST R6145を、また電極として白金板の装備され
たカップ(3cmφ×0.5cm)を用いた。ヒトの前腕に
このカップを2ケ所1cmの距離をおき装着し、各カップ
を生理食塩水で満たした。
【0041】カップの白金板と電源とを接続し、0.1
mA/cm2 で通電し、5分毎に0.2mA/min の速さ
で徐々に極性を切り換え、一定時間後の皮膚の状態を、
実施例1同様表1の判定基準により評価した。
【0042】また対照例3として0.1mA/cm2 で極
性を切り換えずに通電した場合、および対照例4として
5分毎に瞬時極性切り換えを行ない通電した場合につい
て実施例2同様一定時間後の皮膚の状態を評価した。
【0043】また、実施例2および対照例4について、
極性切り換え時の皮膚刺激の有無について調べた。各々
の結果を表3及び表4に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【実施例3】本発明装置による薬物の皮膚透過性を調べ
るために、ヘアレスラットの腹部摘出皮膚を使用してi
n vitroでの透過実験を行なった。
【0047】すなわち図2に示したアクリル板30から
なるセル3層を用いた透過装置を使用し、各セルAB間
及び各セルBC間にヘアレスラットの摘出皮膚33,3
4を、各セルA,C側に皮膚の表皮側が、セルB側に皮
膚の裏側が向くように装置した。また31,32は電極
を示している。さらに各セルA,Cを10mg/mlのリン
酸デキサメタゾンナトリウムで、セルBを0.045%
NaCl水溶液で各々満たした。セルA側の電極を正
極、セルB側の電極を負極とし電源装置(ADVANT
EST R6145)につなげた。
【0048】0.1mA/cm2 で4時間、20分毎に
0.1mA/min の速度で徐々に極性を切り換えながら
通電した。
【0049】一定時間後にセルBより50μlサンプリ
ングしてHPLCによりリン酸デキサメタゾンナトリウ
ムの濃度を測定した。
【0050】また対照例5として、0.1mA/cm2
極性を切り換えずに4時間通電し、実施例3と同様にリ
ン酸デキサメタゾンナトリウムの濃度を測定した。さら
に対照例6として、0.1mA/cm2 で極性を20分毎
に瞬時に切り換えながら4時間通電し、実施例3と同様
にセルBのリン酸デキサメタゾンナトリウムの濃度を測
定した。その結果を表5に示した。また実験終了後の皮
膚の状態及びセルA,C中の水溶液のpH変化を各々表
6、表7に示した。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【実施例4】本発明装置による薬物の皮膚透過性を調べ
るためにヘアレスラット(雄性、8週令230―260
g)を使用してin vivoでの透過実験を行なっ
た。
【0055】すなわち直流電源としてADVANTES
T R6145を、電極として白金板(5×5mm2 、厚
さ0.6mm)を組み込んだアクリルのセル(1.1cmφ
×1.0cm)を用いた。このセルを2ケ所ウレタンで麻
酔したヘアレスラット腹部に1cmの距離をおき装置し
た。各セルに14Cでラベルした安息香酸ナトリウムを
370KBq/ml含む10mg/mlの安息香酸ナトリウム
水溶液で満たした。
【0056】セルの白金板と電源とを接続し、0.1m
A/cm2 で4時間、20分毎に0.1mA/min の速さ
で徐々に極性を切り換えながら通電した。一定時間後に
ラットの頸静脈より200μl採血し、血漿中の安息香
酸ナトリウム濃度を液体シンチレーションカウンター
(BeckmanLS−3801)により測定した。
【0057】また対照例7として、0.1mA/cm2
4時間極性を切り換えずに通電し、実施例4同様、血中
安息香酸ナトリウム濃度を測定した。その結果を図3に
示した。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、治療時における皮膚へ
の水泡等の障害の発生を防止した改良されたイオントフ
ォレシス用装置が提供できる。特に双方の電極手段にお
いて薬物を存在させた本発明の装置により、水性媒体の
pHの極端な変動を防止し薬物の生体への良好な吸収を
確保し、かつ皮膚への障害を抑制できる優れた効果が得
られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオントフォレシス用装置の模式的な
例示。
【図2】イオントフォレシスによる皮膚透過性を調べる
ための透過セル装置の模式的断面図。
【図3】in vivoでのヘアレスラットを用いた評
価系における安息香酸ナトリウムの血液中での濃度の経
時変化の例示。
フロントページの続き (72)発明者 鈴木 嘉樹 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝 人株式会社 東京研究センター内 (56)参考文献 特開 平3−45272(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61N 1/30

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体外皮に間隔をおいて適用される直流
    を印加する一対の電極手段を有したイオントフォレシス
    用装置であって、双方の該電極間に印加される電流の正
    ・負を交互に切り換えるための切換え手段を具備したこ
    と、及び直流電流の通電開始時および正負の極性切換え
    時に電流を徐々に変化させる電流調節手段を具備したこ
    とを特徴とするイオントフォレシス用装置。
  2. 【請求項2】 該電流調節手段が、0.1〜0.6mA
    min・cm 2 の範囲で該電流を変化させるものである
    請求項1のイオントフォレシス用装置。
  3. 【請求項3】 該一対の電極手段の双方において、生体
    外皮と電極とを電気的に接続するための水性媒体を具備
    し、該水性媒体中には、生体外皮を通して生体内に吸収
    させようとする薬物を含有せしめたことを特徴とする請
    求項1のイオントフォレシス用装置。
  4. 【請求項4】 該切換え手段が、双方の電極手段におけ
    る水性媒体中の水溶液のpHを3〜9に保つようにした
    ものである請求項3のイオントフォレシス用装置。
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