JP2888144B2 - ゴルフボールの製造方法 - Google Patents
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Description
リッドボール又はセンターに糸ゴムを巻回した糸巻きボ
ールからなるボール本体を樹脂層で被覆したゴルフボー
ルを製造する方法に関し、更に詳述すると、非常に薄い
樹脂層を形成する場合でも均一厚の樹脂層を確実かつ効
率よく形成して高品質のゴルフボールを得ることができ
るゴルフボールの製造方法に関する。
ンピースソリッドゴルフボール,ソリッドコアをカバー
で被覆したツーピースソリッドゴルフボール,更にソリ
ッドコアやこれを被覆するカバーを複数層に形成したマ
ルチピースソリッドゴルフボール等のソリッドゴルフボ
ールと、ソリッドセンター又はリキッドセンターの周囲
に糸ゴムを巻回した糸巻きコアをカバーで被覆した糸巻
きゴルフボールとがあり、必要に応じてこれらの表面に
塗料層を形成することが行われている。
リッドゴルフボールや糸巻きゴルフボールのカバー層
は、コアを金型内に配置し、該コアと金型のキャビティ
ー面との間に樹脂を注入する射出成形法により形成され
ており、また上記塗料層の形成は吹き付け塗装法が一般
に採用されている。
形によりカバー層を形成する場合、得られるカバー層の
均一性が必ずしも十分ではなく、特に2層構造のカバー
を形成する場合に、外側の薄いカバー樹脂層を形成する
際、薄くかつ均一なカバー樹脂層を射出成形により得る
ことは困難である。
に配置する場合に、キャビティー内面とコアとの間に薄
くかつ均一なカバー形成用の空間を形成することは極め
て困難であり、またカバーを形成する樹脂の流動性等に
よっては、薄いカバー形成用の空間部内を成形樹脂が十
分に流動せず、このため薄くかつ均一なカバー樹脂層が
得られず、厚さむらや欠け等の不良が発生しやすい。
塗装処理は、通常ゴルフボール製造において、ディンプ
ル形成後の最終工程において仕上げ処理として行われる
ものであるが、この塗料層がゴルフボール表面に形成さ
れたディンプルの精度を低下させる場合がある。
で、カバー層として薄い樹脂層を有するゴルフボールで
あっても、カバー層に厚さむらや成形不良等を生じるこ
となく、薄くかつ均一なカバー樹脂層を確実に形成して
高品質なゴルフボールを製造することができるゴルフボ
ールの製造方法を提供することを目的とする。
目的を達成するため、樹脂フィルムで被覆したボール本
体をディンプル形成用金型内に配置して加熱押圧するこ
とにより、ボール本体に樹脂層を形成すると共に、該樹
脂層上にディンプルを形成することを特徴とするゴルフ
ボールの製造方法を提供する。
や糸巻きコア又はこれらのコアにカバーを被覆したボー
ル本体を樹脂フィルムで被覆し、これをディンプル形成
用金型で加熱押圧してボール本体に樹脂層を形成すると
共に、該樹脂層上にディンプルを得るものであるが、こ
の樹脂層を、カバー層として構成することにより、均一
厚のカバーを確実に形成することができ、2層カバーの
外層を形成するときのように非常に薄いカバー層を形成
する場合でも均一なカバー層を確実に得ることができ
る。
ール本体を樹脂フィルムで被覆し、これをディンプル形
成用金型内で加熱押圧するように構成されているので、
従来の射出成形によりカバーを形成する場合のように金
型内に配置したコアと金型のキャビティー内面との間に
形成されたカバー形成用空間部の均一性や、成形樹脂の
流動性等の問題を生じることがなく、薄いカバーであっ
ても厚さむらや欠け等の不都合を生じることなく均一な
カバーを確実に得ることができるものである。
よれば、非常に薄い樹脂層であってもボール本体の表面
に均一かつ確実に形成することができるので、非常に薄
い樹脂層を形成することにより、該樹脂層を従来の塗料
層に代えて仕上げ層とすることもでき、この場合この樹
脂層に直接ディンプル形成用金型によってディンプルが
形成されるので、従来の塗料層のようにディンプル精度
低下の問題を生じるようなことがない。
本発明のゴルフボールの製造方法は、上述したように、
樹脂フィルムで被覆したボール本体をディンプル形成用
金型内に配置して加熱押圧することにより、ディンプル
を形成するものである。
は複数層のソリッドコア、或いはセンターに糸ゴムを巻
回した糸巻きコアを用いることができ、これらコアの表
面にカバー層として上記樹脂層を形成することができ
る。また、カバー層が形成されたソリッドボールや糸巻
きボールをボール本体とし、これらボールのカバー層上
に上記樹脂層をカバー外層として形成し、2層カバー等
の多層カバーを構成することもできる。この場合、ワン
ピースボール又はカバー層を有するソリッドボールや糸
巻きボールをボール本体とし、これらボール本体表面に
上記樹脂層を形成して、これを従来の塗料層に代わる仕
上げ層として兼ねさせることもできる。
ムとしては、加熱押圧成形可能なものであればいずれの
ものでもよく、形成する樹脂層の用途等に応じて適宜選
択することができる。具体的には、アイオノマー樹脂、
そのブレンド品、ウレタン系樹脂等を使用することがで
き、樹脂層を特に単層のカバー層とする場合には、アイ
オノマー樹脂又はそのブレンド品が好適に用いられ、ま
た多層カバーを構成する一つの層として薄い樹脂層を形
成する場合にはウレタン系樹脂やアイオノマー樹脂のブ
レンド品、特に、軟質アイオノマー樹脂とポリエステル
エラストマーとのブレンド品や軟質アイオノマー樹脂と
エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)とのブレンド
品等が好ましく使用される。更に、樹脂層を塗料層に代
わる仕上げ層を兼ねさせる場合には、アイオノマー系又
はウレタン系のフィルムが好適に使用される。
層の用途等に応じて適宜選定され、特に制限されるもの
ではないが、通常10μm〜1mmとすることができ、
特に多層カバーの外層や仕上げ層を兼ねさせる場合には
10〜500μmとすることが好ましく、より好ましく
は25〜300μmとされる。
する材料としては、公知のものが使用し得、またその製
造方法も従来の方法に従って行うことができる。
記ボール本体を被覆し、これをディンプル形成用金型で
加熱押圧して樹脂層を形成すると共に、該樹脂層にディ
ンプルを形成する。この場合、後述するようにボール本
体を樹脂フィルムでくるみ、これを直接ディンプル形成
用金型で加熱押圧して樹脂フィルムをボール本体に密着
被覆すると共に、ディンプルを形成することもできる
が、通常はパッキング金型で樹脂フィルムをボール本体
に加熱押圧し、ボール本体を樹脂フィルムで密着被覆し
たゴルフボール母材を得、このゴルフボール母材をディ
ンプル形成用金型内に配置して樹脂層及びディンプルを
形成することが行われる。
樹脂フィルム1,1間にボール本体2を配置し、これを
一対のパッキング金型3,3で加熱押圧して両樹脂フィ
ルム1,1の周縁部を互いに熱接着させると共に、ボー
ル本体表面に樹脂フィルムを熱接着して図2に示したよ
うなボール本体2を樹脂フィルム1,1で被覆したゴル
フボール母材4を得ることができる。
ール本体2及び樹脂フィルム1,1を加熱押圧する際、
これを減圧下で行うことが好ましく、これによりボール
本体2と樹脂フィルム1,1との間に空気が入ったり、
樹脂フィルム1,1に皺が生じることなく良好にボール
本体2を樹脂フィルム1,1で被覆することができる。
ル本体2及び樹脂フィルム1,1を加熱押圧する際の加
熱温度及び圧力は、樹脂フィルム1,1の材質や厚さに
応じて適宜設定され、この場合一対の樹脂フィルム1,
1を互いに熱接着し得、かつ、この樹脂フィルム1,1
をボール本体2に密着させることができる温度及び圧力
であればよい。具体的には、樹脂フィルムがアイオノマ
ー樹脂又はそのブレンド品である場合には、温度を10
0〜150℃程度とすることができる。また、真空度も
樹脂フィルム1,1の材質や厚さに応じて適宜設定さ
れ、この場合、樹脂フィルム1,1に皺を生じることな
く、かつ該樹脂フィルム1,1がボール本体2に密着す
る程度の真空度とすればよい。
によるパッキングは、図3に示したように一対の樹脂フ
ィルム1,1間に複数個(図では4個)のボール本体2
をパックし、同時に複数個(図では4個)のゴルフボー
ル母材4を得るようにすることもでき、これにより製造
効率を向上させることができる。また、ボール本体2を
樹脂フィルム1でくるむ方法は上記パッキング金型3を
用いる方法以外の方法であってもよい。更に、ボール本
体2の樹脂フィルム1,1によるパッキングは、公知の
真空パック装置により容易に行うことができる。
ング金型内への設置方法に制限はなく、ボール本体を一
対の樹脂フィルムでくるんでから、パッキング金型内に
設置してもよく、またパッキング金型内に一対の樹脂フ
ィルムを設置してからボール本体を両樹脂フィルムで挟
むように設置することもできる。
ディンプル形成用金型内に配置して加熱押圧することに
より、上記樹脂フィルム1,1でボール本体2に樹脂層
を形成すると共に、該樹脂層上にディンプルを形成す
る。
に半球状のキャビティー5を有する一対(図では一方の
み示す)の金型6が用いられ、そのキャビティー5の内
面にはディンプル形成用の突起7が多数形成される。こ
の金型6のパーティング面8には金型6の内外を連通す
る1つ又は2つ以上(図では4つ)のスピュー9を設け
ることが好ましく、これにより余分な樹脂をこのスピュ
ー9から金型6外に排出し、良好に樹脂層を形成するこ
とができる。
熱押圧する際の加熱温度及び圧力は、樹脂フィルム1,
1の材質や厚さ、更には得られる樹脂層の厚さや用途等
に応じて適宜設定される。具体的には、樹脂フィルム
1,1としてアイオノマー樹脂又はそのブレンド品を用
いた場合、通常加熱温度130〜170℃程度、圧力8
0〜200kg/cm2程度とすることができる。
では、上記ボール本体を上記一対の樹脂フィルム間に配
置し、これを上記パッキング金型で加熱押圧してパック
することなく、直接上記ディンプル形成用金型内に配置
して加熱押圧し、樹脂層を形成すると同時にディンプル
を形成することもできる。これにより、上記ゴルフボー
ル母材4を得るためのパッキング工程を省略することが
でき、より効率よくゴルフボールを製造することができ
る。
ィンプル形成用金型内への設置方法に制限はなく、上記
パッキング金型に設置するときと同様に行うことがで
き、ボール本体を一対の樹脂フィルムでくるんでからデ
ィンプル形成用金型内に設置してもよく、またディンプ
ル形成用金型内に一対の樹脂フィルムを設置してからボ
ール本体を両樹脂フィルムで挟むように設置することも
できる。
一対の樹脂フィルムで挟んだ状態のボール本体を上記デ
ィンプル形成用金型6で加熱押圧することにより、図5
に示したように、上記樹脂フィルムが成形されて、所定
厚さの樹脂層10がボール本体2の表面に密着形成され
ると共に、該樹脂層10に上記金型6のディンプル形成
突起7によりディンプル(図示せず)が形成される。こ
の場合、樹脂層10の厚さは、該樹脂層10の役割に応
じて適宜決定される。
れたボール11には、図5に示されているように上記デ
ィンプル形成用金型6のスピュー9から排出された樹脂
がバリ12(図では4個)となっているので、これをパ
ーティングラインに形成されるバリ(図示せず)と共に
除去し、ゴルフボールを仕上げる。
をカバー層とした場合には、必要により更に塗装処理等
の通常の仕上げ処理を施すことができるが、該樹脂層1
0を同時に仕上げ層(塗膜)として兼ねさせることもで
きる。
ば、カバー層として薄い樹脂層を有するゴルフボールで
あっても、カバー層にむらや成形不良等を生じることな
く、薄くかつ均一な樹脂層を確実に形成して高品質なゴ
ルフボールを製造することができ、また従来の塗料層に
代わる非常に薄くかつ均一な樹脂層をディンプルの精度
を低下させることなくボール表面に形成することができ
る。
するが、本発明は下記実施例に制限されるものではな
い。NR (天然ゴム)を半球状モールドで加硫し、厚さ
2.2mm、JIS−A硬度60の中空半球状ハーフシ
ェルを作製した。また、リキッドとして、水に不凍液を
添加した(水に対して4%)ものを上記ハーフシェル2
個を接着して形成したゴム袋内に封入した。得られたセ
ンターボールの外径は28mm、重量は17gであっ
た。なお、リキッドの重量は6.1gとした。
5mm、幅1.5mmの糸ゴム(ポリイソプレン)を通
常の糸巻き方法によって巻回し、厚さ5.2mmの糸ゴ
ム層を形成し、重量34.4gの糸巻きコアとした。一
方、亜鉛系のアイオノマー樹脂100重量部にチタン白
5重量部、ステアリン酸マグネシウム0.3重量部をス
クリュー式二軸押し出し機で混練し、得られたカバー用
組成物を用いてハーフカップを製造した。次に、上記一
対のハープカップを重ね合わせ、コンプレッション成形
法で先に得られた糸巻きコアにショアーD硬度63の外
皮を成形し、ボール本体を得た。
フィルム間に配置し、これをパッキング金型内に配置し
て表1に示したパック条件で加熱押圧し、図2に示した
ゴルフボール母材を得た。
ディンプル形成用金型内に配置して、160℃,120
kg/cm2の条件で加熱押圧し、スピューによるバリ
及びパーティングラインのバリを除去してトリミング
し、ゴルフボールを得た。
層に均一な樹脂層が形成されていた。
フボール母材を得る工程の一例を示す概略断面図であ
る。
得られるゴルフボール母材の一例を示す概略断面図であ
る。
得られるゴルフボール母材の他の例を示すもので、
(A)は平面図、(B)は側面図である。
プル形成用金型の一例を示す斜視図である。
したトリミング前のゴルフボールを示す断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 樹脂フィルムで被覆したボール本体をデ
ィンプル形成用金型内に配置して加熱押圧することによ
り、ボール本体に樹脂層を形成すると共に、該樹脂層上
にディンプルを形成することを特徴とするゴルフボール
の製造方法。 - 【請求項2】 一対の樹脂フィルム間にボール本体を配
置し、この樹脂フィルム及びボール本体をパッキング金
型で加熱押圧してボール本体に樹脂フィルムを密着被覆
したゴルフボール母材を得、次いでこのゴルフボール母
材をディンプル形成用金型内に配置して加熱押圧する請
求項1記載のゴルフボールの製造方法。 - 【請求項3】 一対の樹脂フィルム間にボール本体を配
置し、この樹脂フィルム及びボール本体をパッキング金
型内に配置して加熱押圧することによりゴルフボール母
材を得る際、上記加熱押圧操作を減圧下で行う請求項2
記載のゴルフボールの製造方法。 - 【請求項4】 ボール本体を一対の樹脂フィルム間に配
置し、これをディンプル形成用金型内に配置して加熱押
圧することにより、樹脂層を形成すると同時に該樹脂層
上にディンプルを形成する請求項1記載のゴルフボール
の製造方法。 - 【請求項5】 ディンプル形成用金型に金型内外を連通
するスピューを設け、該金型で樹脂フィルムを加熱押圧
して樹脂層を形成すると共に、該樹脂層にディンプルを
形成する際、上記スピューから余分な樹脂を排出するよ
うにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載のゴルフ
ボールの製造方法。 - 【請求項6】 樹脂フィルムの厚さが10μm〜1mm
である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のゴルフボ
ールの製造方法。 - 【請求項7】 ボール本体が単層もしくは複数層からな
るソリッドコア又は該コアにカバーが形成されたもので
ある請求項1乃至6のいずれか1項に記載のゴルフボー
ルの製造方法。 - 【請求項8】 ボール本体が糸巻きボールコア又は該コ
アにカバーが形成されたものである請求項1乃至6のい
ずれか1項に記載のゴルフボールの製造方法。
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1994
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