JP2884985B2 - 回転センサの故障検出装置 - Google Patents

回転センサの故障検出装置

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JP2884985B2
JP2884985B2 JP5079826A JP7982693A JP2884985B2 JP 2884985 B2 JP2884985 B2 JP 2884985B2 JP 5079826 A JP5079826 A JP 5079826A JP 7982693 A JP7982693 A JP 7982693A JP 2884985 B2 JP2884985 B2 JP 2884985B2
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良光 山添
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両の車輪速などを検
出するために用いられる回転センサの故障を検出する装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、制動操作時に車輪がロック状
態となることを回避するために、いわゆるアンチロック
・ブレーキ・システムが車両に搭載されて用いられてい
る。アンチロック・ブレーキ・システムでは、各車輪の
回転速である車輪速が検出される。そして、各車輪の車
輪速に基づいて、各車輪と路面との摩擦状態が判別さ
れ、この判別結果に基づいて各車輪のブレーキ圧力が制
御される。
【0003】車輪速の検出には、車軸の回転が伝達され
るロータの回転を検出するようにした回転センサが用い
られる。回転センサには、従来から、周縁部に周期的な
凹凸を形成した歯車状のロータに、永久磁石と電圧発生
用コイルとを備えた電磁式検出器を対向させた構成のも
のが広く用いられてきたが、最近では、例えばホールI
Cのような半導体型のセンシングデバイスも用いられる
ようになってきている。半導体型のセンシングデバイス
は、電磁式検出器よりも高感度であり、広い速度範囲に
わたる検出が可能である。
【0004】図7はホールICを用いて車輪速を検出す
るための電気的構成を示すブロック図である。ホールI
C10は、ロータ(図示せず)の近傍に配置され、この
ロータの回転によって生じた磁界の変動を検出するもの
である。なお、C10は、車体の振動などに起因するノイ
ズ成分を除去するためのコンデンサである。ホールIC
10などを含むセンシング部11は、ワイヤーハーネス
5によって、数メートル離れた信号処理部12に接続さ
れている。この信号処理部12内には、アンチロック・
ブレーキ・システムの制御中枢としてのマイクロコンピ
ュータ13が備えられている。
【0005】ワーヤーハーネス5には、ホールIC10
に電源電圧Vcc(例えば12V)を供給するための電源
線1と、ホールIC10の出力信号を信号処理部12に
伝達するための信号線2と、接地電位を与えるためのグ
ランド線3とが含まれている。半導体型センシングデバ
イスのなかには、センシング部と信号処理部との間を2
線方式で結線することができるものもあるが、雑音耐性
や電源の設計の自由度の観点からは不利であり、一般的
には、図7に示されているような3線方式による結線が
推奨されている。
【0006】信号処理部12では、電源線1は端子t1
に接続され、信号線2は端子t2に接続され、グランド
線3は端子t3に接続されている。端子t1に接続され
たライン14には電源電圧Vccが供給されており、この
ライン14と端子t2に接続されたライン15との間に
は抵抗R10が介挿されている。ライン15に現れた信号
は、バッファ回路16でレベル調整された後に、マイク
ロコンピュータ13の入力ポートP11に入力される。
【0007】ホールIC10は、ロータの回転に伴う磁
界の変動に応じて、信号線2から内部に流れ込む電流の
大きさを変化させる。この電流の変動が抵抗R10におけ
る電圧降下の変動として現れ、結果として、信号線2の
電圧が変化する。したがって、バッファ回路16から出
力されるパルス信号の周期は、ロータの回転速、すなわ
ち車輪速に対応する。したがって、マイクロコンピュー
タ13では、一定時間内におけるバッファ回路16の出
力パスル数を計数したり、バッファ回路16の出力パル
スのパルス幅を検出したりすることによって、車輪速を
知ることができる。
【0008】ところで、アンチロック・ブレーキ・シス
テムはブレーキ圧力を減衰させることにより車輪のロッ
クを防止するものであるから、もしも、車輪速に対応し
た信号がマイクロコンピュータ13に入力されないよう
な故障が生じると、ブレーキ圧力の制御が適切に行われ
なくなる。例えば、センシング部11と信号処理部12
との間において、電源線1、信号線2およびグランド線
3のいずれかに断線が生じたり、配線相互間の短絡が生
じたりすると、マイクロコンピュータ13には、車輪速
に対応したパルス信号が入力されないことになる。この
場合には、マイクロコンピュータ13は、車輪がロック
したものと誤認識してブレーキ圧力を減衰させる。した
がって、ブレーキペダルを操作した場合に、充分なブレ
ーキ圧力が得られないおそれがある。
【0009】この問題を解決するためには、センシング
部11と信号処理部12との間の配線の断線故障や短絡
故障を検出し、これらの故障が検出されたときにはマイ
クロコンピュータ13によるアンチロック制御を中止す
ることが必要である。図7には、前記の断線故障や短絡
故障を検出するための1つの技術が示されている。すな
わち、端子t2からの信号は平滑化回路17を経てアナ
ログ/ディジタル(A/D)変換器18に入力され、こ
のA/D変換器18の出力がマイクロコンピュータ13
の入力ポートP12に入力されている。
【0010】いずれの故障も生じていない場合には、車
輪の回転に伴って、端子t2には、電源電圧Vccと接地
電位とが交互に現れる。そのため、平滑化回路17の出
力電圧はほぼVcc/2となり、この電圧に対応したデー
タがマイクロコンピュータ13に入力される。一方、
電源線1の断線、信号線2の断線、グランド線3の
断線、および電源線1と信号線2との短絡の各故障が
生じたときには、端子t2の電位は電源電圧Vccに固定
される。また、信号線2とグランド線3との短絡、お
よび電源線1とグランド線3との短絡の各故障が生じ
ると、端子t2の電位は接地電位に固定される。
【0011】このように、いずれかの故障が発生したと
きには、平滑化回路17の出力は、電源電圧Vcc又は接
地電位となり、正常時の電圧Vcc/2とは異なる値をと
る。したがって、マイクロコンピュータ13では、A/
D変換器18の出力データを監視することで、故障を検
出することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような技術では、車輪が回転しているときには故障検出
が可能であるものの、車輪の回転が停止しているときに
は、故障検出を行えないという問題がある。このことを
以下に詳述する。ホールIC10は、磁界の変動を検出
するというよりも、むしろ、周囲の磁界の強さそのもの
を検出するセンサである。そのため、例えば、ホールI
C10と歯車状のロータの歯部(凸部)とが対向した状
態では、ホールIC10の出力はハイレベル(例えばV
cc=12V)となり、ホールIC10がロータの溝部
(凹部)に対向した状態では、ホールIC10の出力は
ローレベル(例えば0.1V)となる。
【0013】したがって、車輪の回転が停止してロータ
が停止したときにホールIC10がロータの歯部又は溝
部に正対していると、ホールIC10の出力はハイレベ
ル又はローレベルでそれぞれ固定されることになる。す
なわち、端子t2の電圧は前記のハイレベル又はローレ
ベルに固定されるから、平滑化回路17の出力は12V
又は0.1Vとなる。そのため、A/D変換器18から
マイクロコンピュータ13の入力ポートP12に入力され
るデータは、上述の故障発生時のデータとほぼ同じデー
タとなってしまう。
【0014】下記表1は、車輪が停止したときに端子t
2に現れる電圧が、正常時と各態様の故障発生時との場
合に関して表されている。なお、表1において「ハイ状
態停止時」とはホールIC10の出力がハイレベルとな
る状態でロータが停止した場合を示し、「ロー状態停止
時」とはホールIC10の出力がローレベルとなる状態
でロータが停止した場合を示している。数値の単位はV
(ボルト)である。
【0015】
【表1】
【0016】この表1からわかるように、正常時であっ
ても、ハイ状態停止時には端子t2の電圧は12Vとな
り、ロー状態停止時には端子t2の電圧は0V付近の値
である0.1Vとなる。したがって、平滑化回路17の
出力がVcc/2の付近の値であるかどうかを監視するこ
とにより故障検出を行う上述の技術では、ロータが停止
しているときには故障検出を行えないおそれがある。
【0017】そればかりでなく、表1から明らかなよう
に、「ハイ状態停止時」には、ないしの故障に関し
ては正常時と故障時とで端子t2の電圧は等しい。その
ため、端子t2の電圧に基づいて故障を検出することが
不可能である。また、「ロー状態停止時」には、およ
びの故障に関しては、端子t2に現れる電圧が正常時
と故障時とであまり変化しないから、故障の有無の検出
が困難である。
【0018】そこで、本発明の目的は、上述の技術的課
題を解決し、回転停止時であっても確実に故障を検出す
ることができる回転センサの故障検出装置を提供するこ
とである。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの請求項1記載の回転センサの故障検出装置は、前記
信号処理部の近傍又は前記信号処理部内において、前記
電源線上又はこの電源線から信号処理部内の電源端子に
至る配線上のいずれかの位置に直列に介挿された第1の
抵抗と、前記信号処理部の近傍又は前記信号処理部内に
おいて、前記信号線上又はこの信号線から信号処理部内
の入力端子に至る配線上のいずれかの位置に直列に介挿
された第2の抵抗と、前記信号処理部の近傍又は前記信
号処理部内において、前記第1の抵抗から信号処理部内
の電源端子に至る配線上のいずれかの位置と、前記第2
の抵抗から信号処理部内の入力端子に至る配線上のいず
れかの位置との間に並列に接続された第3の抵抗と、前
記センサの近傍又はセンサ内において、前記信号線上又
はこの信号線からセンサ内の出力端子に至る配線上のい
ずれかの位置と、前記グランド線上又はこのグランド線
からセンサ内の接地端子に至る配線上のいずれかの位置
との間に並列に接続された第4の抵抗と、前記第1の抵
抗、第2の抵抗のセンサ側の端の電圧V1 ,V2 をそれ
ぞれ監視して、それらの電圧V1 ,V2 の変化に基づい
て故障の有無を判定する判定手段とを含むことを特徴と
する。
【0020】請求項2記載の回転センサの故障検出装置
においては、前記判定手段は、前記電圧V1 ,V2 の平
均電圧を検出する手段と、検出された平均電圧が所定範
囲から逸脱した値であるときに故障が生じたものと判定
する手段とを含むものである。
【0021】
【作用】センシング部と信号処理部との間が、電源線、
信号線およびグランド線によって結線される構成では、
これらの各配線の断線故障や配線相互間の短絡故障が生
じるおそれがある。本発明では、第1の抵抗ないし第4
の抵抗の働きによって、回転体が停止している場合であ
っても、正常状態における電源線に現れる電圧及び信号
線を介して信号処理部に伝達される電圧と、故障発生時
において信号処理部の近傍における電源線及び信号線に
現れる電圧とを異ならせることができる。そこで、判定
手段は、信号処理部の近傍における電源線、信号線の電
圧V1 ,V2 を監視し、その電圧に基づいて故障の有無
を判定する。
【0022】なお、前記判定手段において、前記電源
線、信号線の平均電圧を検出させ、この検出された平均
電圧が所定範囲から逸脱した値であるかどうかを監視さ
せるようにすれば、回転体が回転するときに信号線の電
圧が変動しても、この電圧変動の影響を排除して故障の
有無を判定できる。
【0023】
【実施例】以下では、本発明の実施例を、添付図面を参
照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施例の回転
センサの故障検出装置の構成を示すブロック図である。
この装置は、個々の車輪の回転を検出するホールIC3
1を含むセンシング部30と、アンチロック・ブレーキ
・システムの制御中枢をなすマイクロコンピュータ41
を含む信号処理部40とを有している。センシング部3
0と信号処理部40との間は、ワイヤーハーネス50に
よって結線されている。センシング部30から信号処理
部40に至る配線長は、数m程度である。
【0024】センシング部30は、周囲の磁界の強さを
検出するホールIC31と、車両の振動などに起因する
ノイズ成分を除去するためのコンデンサC1とを有して
いる。ワイヤーハーネス50には、信号処理部40から
の電源電圧Vcc(例えば12V)をセンシング部30に
供給するための電源線51と、ホールIC31の出力信
号を信号処理部40に伝達するための信号線52と、信
号処理部40から接地電位を与えるためのグランド線5
3とが含まれている。電源線51はホールIC31の電
源端子31bに接続されており、信号線32はホールI
C31の出力端子31aに接続されており、グランド線
53はホールIC31の接地端子31cに接続されてい
る。また、電源線51、信号線52およびグランド線5
3は、それぞれ、信号処理部40の端子T1,T2,T
3に接続されている。端子T1には抵抗R1を通して電
源電圧Vccが与えられており、端子T3には接地電位が
与えられており、端子T2は抵抗R2を通してバッファ
回路42につながれている。
【0025】信号処理部40は、上述のマイクロコンピ
ュータ41と、端子T1−電源Vcc間に接続された抵抗
R1と、端子T2−バッファ回路42間に接続された抵
抗R2と、電源Vcc−バッファ回路42間に接続された
抵抗R3と、端子T1に与えられた信号を平滑化する平
滑化回路43aと、端子T2に与えられた信号を平滑化
する平滑化回路43bと、平滑化回路43a,43bの
出力電圧をディジタルデータに変換するA/D変換器4
4a,44bとを有している。バッファ回路42の出力
信号と、A/D変換器44a,44bの出力信号は、マ
イクロコンピュータ41の入力ポートに与えられる。
【0026】平滑化回路43a,43bは、それぞれ抵
抗とコンデンサとからなる積分回路で構成されている。
図2はホールIC31による回転検出原理を説明するた
めの図解図である。ホールIC31は、車軸の回転が伝
達されるロータ35の近傍に配置される。より詳細に説
明すると、ロータ35は周縁部に周期的に歯部35aを
形成したものであり、車軸の回転に伴って軸線36まわ
りに回動する。このロータ35の周縁部に対向するよう
にホールIC31が配置されており、このホールIC3
1の背後には永久磁石37が配置されている。
【0027】永久磁石37とロータ35との間のギャッ
プgは、図2(a) のように歯部35aがホールIC31
に対向しているときには小さいが、図2(b) のように歯
部35aの間の溝部35bがホールIC31に対向して
いるときには大きい。このギャップgの大小により、ホ
ールIC31を貫く磁束の密度が変化する。ホールIC
31は、周囲の磁束密度に応じた電圧を出力端子31a
に出力する。したがって、ロータ35とホールIC31
との位置関係が図2(a) の状態であれば、出力端子31
aの電位は例えばハイレベル(≒Vcc)となり、これら
の位置関係が図2(b) の状態であれば、出力端子31a
の電位は例えばローレベル(接地電位に近い値、例えば
0.1V)となる。それゆえ、ロータ35が回動する
と、その回転速に対応した周期で高低に変化する信号が
出力端子31aに現れることになる。
【0028】出力端子31aにおける電位の変化は、そ
のまま端子T2に現れる。したがって、バッファ回路4
2の出力信号は、ロータ35の回転速度に対応した周期
のパルス信号となる。マイクロコンピュータ41は、一
定時間内におけるバッファ回路42の出力パルス数を計
数したり、出力パルスのパルス幅を計測したりすること
によって、ロータ35の回転速度を得ることができる。
【0029】なお、ロータ35は、鉄などの磁性体やフ
ェライトのような高透磁率の材料で構成される。また、
通常の銅や焼結合金などの材料であっても、ギャップg
の変化に伴ってホールIC31の近傍の磁束密度を変化
させることができる程度の透磁率を有するものであれ
ば、ロータ35の構成材料として適用することができ
る。
【0030】次に、センシング部30と信号処理部40
との間の配線に関する故障を検出するための処理につい
て説明する。故障の種類は、1線断線又は2線短絡の場
合を考えておけば実用上充分である。これらの故障は、
図3および図4に簡略化して示されている6通りで全ケ
ースを網羅している。具体的には、図3(a) ,(b) ,
(c) はそれぞれ電源線51、信号線52、グランド線5
3で断線故障が生じた場合を示している。また、図4
(d) は電源線51と信号線52との短絡故障が生じた場
合を示し、図4(e) は信号線52とグランド線53との
短絡故障が生じた場合を示し、図4(f) は電源線51と
グランド線53との短絡故障が生じた場合を示してい
る。
【0031】例えば、電源電圧Vccが12Vであり、抵
抗R1,R2,R3,R4の各抵抗値が次のような値で
あるとする。 R1 ・・・・・・・・ 300Ω R2 ・・・・・・・・ 300Ω R3 ・・・・・・・・ 1.1kΩ R4 ・・・・・・・・ 10kΩ 次に示す表2には、車両が停止してロータ35の回転が
停止したときに端子T1に現れる電圧V1 、端子T2に
現れる電圧V2 が、正常時と図3(a) ないし(c) および
図4(d) ないし(f) に示された各態様の故障発生時との
比較において表されている。なお、表2において「ハイ
状態停止時」とはホールIC31の出力がハイレベルと
なる状態でロータ35が停止した場合を示し、「ロー状
態停止時」とはホールIC31の出力がローレベルとな
る状態でロータ35が停止した場合を示している。数値
の単位はV(ボルト)である。
【0032】
【表2】
【0033】いずれの故障も生じていない正常な状態で
は、ホールIC31の出力がハイレベルであると、電源
線51にはホールIC31を駆動するための電流約7m
Aが流れる。よって、端子T1の電圧(すなわち、ホー
ルIC31に供給される電源電圧)V1 は抵抗R1によ
る電圧降下により、Vccよりも低い一定の値 Vcc−7mA×R1=9.9〔V〕 をとる。また、端子T2の電圧(すなわち、信号処理部
40の近傍における信号線52の電圧)V2 は、 Vcc×R4/(R3+R2+R4)=10.53〔V〕 をとる。
【0034】一方、いずれの故障も生じていない正常な
状態において、ホールIC31の出力がローレベル(例
えば0.1V)であると、出力端子31aのインピーダ
ンスは、ハイ状態停止時と比べて低下しているから、端
子T2の電圧V2 はほとんど接地電位となる。実験によ
れば、ホールIC31の種類により異なるが、電圧V 2
は約0.1Vとなった。また、端子T1の電圧V1 は、
前記と同じく抵抗R1電圧降下により、Vccよりも低い
一定の値9.90Vをとる。
【0035】次に、の電源線51の断線故障(図3
(a) に対応する。)について説明する。電源線51が断
線するとホールIC31を駆動する電流は流れない。そ
のため、ハイ状態停止時およびロー状態停止時のいずれ
の場合にも電圧V1 は電源電圧にほぼ等しい12.00
Vとなる。一方、電圧V2 は、抵抗R3,R2,R4で
分割された電圧10.53Vとなる。
【0036】電圧V1 に注目すれば、電圧V1 は12.
00Vなので、ハイ状態停止時における正常値9.90
Vと異なっている。したがって、故障の発生を検知する
ことができる。次に、の信号線52の断線故障(図3
(b) に対応する。)について説明する。このときには、
ホールIC31を駆動する電流が流れるので電圧V1
9.90Vであるが、抵抗R2には電流が流れ込まない
から、電圧V2 は電源電圧Vccと等しい12.00Vと
なる。したがって、電圧V2 の変化に着目すれば、異常
判定をすることができる。
【0037】の場合のグランド線53の断線故障(図
3(c) に対応する。)が生じたときには、ホールIC3
1を駆動する電流は流れないので、ハイ状態停止時およ
びロー状態停止時のいずれの場合にも電圧V1 は電源電
圧にほぼ等しい12.00Vとなる。また、グランド線
53も断線しているから、電圧V2 も電源電圧Vccにほ
ぼ等しい12.00Vとなる。したがって、電圧V1
変化に着目すれば、故障の判定ができる。
【0038】また、の電源線51と信号線52との短
絡故障(図4(d) に対応する。)が生じた場合には、ハ
イ状態停止時では、ホールIC31に、主に抵抗R1と
抵抗R3+R2との合成抵抗(Rx と書く)と、抵抗R
4とで分割された電圧が印加されることになる。式で示
すと、 V1 =V2 =Vcc×R4/(Rx +R4)=11.71
〔V〕 となる。したがって、正常時に電源が供給される場合よ
り、電圧は高くなる。また、ロー状態で停止すると、出
力端子31aのインピーダンスは、ハイ状態停止時と比
べて低下しているから、電圧V1 ,V2 はかなり低い値
となる。実験によれば、ホールIC31の種類により異
なるが2.0〜2.5Vの値となった。
【0039】次に、の場合、すなわち、信号線52と
グランド線53との短絡故障(図4(e) に対応する。)
が生じると、電圧V2 は当然に0Vとなる。しかし、電
圧V 1 は、ホールIC31を駆動する電流が流れるの
で、9.90Vである。したがって、電圧V2 に注目す
ると、故障の判定ができる。の場合、すなわち、電源
線51とグランド線53との短絡故障(図4(f) に対応
する。)が生じたときには、電圧V1 は当然0Vとな
る。電圧V2 も、抵抗R1、抵抗R3、抵抗R2、抵抗
R4を通して0Vとなる。いずれも、正常値と異なる値
をとる。
【0040】このように、ないしのいずれの態様の
故障が生じた場合にも、端子T1の電圧V1 、端子T1
の電圧V2 の双方又は一方が、正常値とは異なる値をと
る。したがって、マイクロコンピュータ31では、入力
ポートP2に与えられる値に基づいて前記の電圧V1
2 の値を基にして、故障の形態を判定することができ
る。
【0041】具体的な判定処理を図解すると、図5のよ
うになる。このように、本実施例では、ハイ状態停止時
およびロー状態停止時のいずれであっても、からま
での故障を識別することができる。一方、従来では、前
述の表1から理解されるように、からの故障はロー
状態停止時しか検出することはできなかった、したがっ
て、従来技術では十分に行えなかったないしの故障
の検出が本実施例では可能となっている。
【0042】しかし、図5の処理は一例であって、もっ
と簡単には、電圧V1 ,V2 が正常値9.90V、1
0.53V、0.10Vの近傍に設定された所定範囲内
の値であるかどうかを監視し、電圧V1 ,V2 が前記所
定範囲内の値であるときは正常、前記所定範囲外の値を
とったことが検出されたときに、いずれかの故障が生じ
たものと判定してもよい。
【0043】故障が生じたものと判定された後には、マ
イクロコンピュータ31はアンチロック制御を中止する
ことになる。このようにして、マイクロコンピュータ3
1では、端子T2の電圧を平滑化回路43で平均化した
電圧に基づいて、車両が走行しているときだけでなく、
車両が停止している場合についても確実に故障を検出す
ることができる。これにより、アンチロック・ブレーキ
・システムの安全性を格段に向上することができる。
【0044】なお、の電源線51と信号線52との短
絡故障(図4(d) に対応する。)が生じた場合の電圧V
1 ,V2 の値11.71Vと、の場合のグランド線5
3の断線故障(図3(c) に対応する。)が生じたときの
電圧V1 ,V2 の値12.00Vとの電圧差は0.29
Vであり、比較的小さいから、この故障の検出が最も困
難であると考えられる。しかし、前記検出装置に用いら
れるA/D変換器の実用的な分解能は0.05V程度と
されている。したがって、正常時と故障時とで0.29
V程度の電圧差があれば、前記のようにA/D変換器の
分解能より大きくなり、マイクロコンピュータ31では
充分高精度で故障判定を行える。また、この電圧差は、
抵抗R4の値をもう少し小さくするか、抵抗R1,R2
の値をもう少し大きくするかすれば、広げることができ
る。例えばR4=8kΩ,R1=500Ω,R2=50
0Ωにすれば、11.71Vから11.45Vまで下が
る。したがって、例えば、A/D変換器44の分解能が
低い場合などには、抵抗値を変更して対処することがで
きる。しかし、抵抗R1,R2の値をあまり大きくする
と発熱源となるし、電源電圧が低下した時にホールIC
31に供給する電圧が不足することにもなりかねない。
抵抗R4の値を小さくすると信号の振幅を大きくとれな
いので、あまり小さくすることはできない。
【0045】本発明の実施例の説明は以上のとおりであ
るが、本発明は前記の実施例に限定されるものではな
い。例えば、車軸の回転が伝達されるロータには、図6
に示すように、周縁部をN極とS極とに交互に磁化した
円板状のロータ60を適用することもできる。この場合
には、ホールIC31の背後に永久磁石を配置する必要
はない。
【0046】また、前記の実施例では、信号処理部40
内に抵抗R1,R2,R3が設けられているが、これら
の抵抗R1,R2,R3は信号処理部40の近傍におい
て信号処理部40外に接続されてもよい。すなわち、抵
抗R1、抵抗R2はそれぞれ電源線51又は信号線52
の途中部に介挿されていてもよい。さらに、抵抗R4
は、ホールIC31から抵抗R2に至る信号経路上のい
ずれかの位置とグランド線53の途中部又はホールIC
31の接地端子31cとの間に接続されていればよい。
【0047】さらに、前記の実施例では、車輪速を検出
する場合を例にとって説明したが、本発明は回転速度や
回転角などの回転情報を検出するための回転センサに対
して広く適用することができるものである。その他、本
発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すこ
とができる。
【0048】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、回転体が
停止しているときであっても、正常状態において信号線
又は電源線を介して信号処理部に伝達される電圧と、故
障発生時において信号処理部の近傍における信号線又は
電源線に現れる電圧とを異ならせることができる。その
ため、回転体が回転しているか停止しているかにかかわ
りなく、信号線及び電源線の電圧を監視することによっ
て故障の有無と故障の種類を確実に検出することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の回転センサの故障検出装置
の構成を示すブロック図である。
【図2】ホールICによる回転検出の原理を説明するた
めの図解図である。
【図3】故障の態様を説明するための電気回路図であ
り、(a) は電源線の断線故障を示し、(b) は信号線の断
線故障を示し、(c) はグランド線の断線故障を示す。
【図4】故障の態様を説明するための電気回路図であ
り、(d) は電源線と信号線との短絡故障を示し、(e) は
信号線とグランド線との短絡故障を示し、(f) は電源線
とグランド線との短絡故障を示す。
【図5】前記の電圧V1 ,V2 の値を基にして、故障の
形態を判定する処理を図解したフローチャートである。
【図6】ホールICを用いて回転情報を得るための構成
を示すブロック図である。
【図7】ホールICを用いて車輪速を検出する従来の故
障検出装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
30 センシング部 31 ホールIC 31a 出力端子 31b 電源端子 31c 接地端子 35 ロータ 40 信号処理部 41 マイクロコンピュータ 42 バッファ回路 43a 平滑化回路 43b 平滑化回路 44a A/D変換器 44b A/D変換器 50 ワイヤーハーネス 51 電源線 52 信号線 53 グランド線 60 ロータ R1 第1の抵抗 R2 第2の抵抗 R3 第3の抵抗 R4 第4の抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01P 3/42 G01R 31/02 G08C 19/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転体の近傍の磁界の変動に対応した信号
    を出力するセンサと、前記センサの出力信号を処理して
    回転情報を得る信号処理部との間を、電源線、信号線及
    びグランド線で接続した装置において、 前記信号処理部の近傍又は前記信号処理部内において、
    前記電源線上又はこの電源線から信号処理部内の電源端
    子に至る配線上のいずれかの位置に直列に介挿された第
    1の抵抗と、 前記信号処理部の近傍又は前記信号処理部内において、
    前記信号線上又はこの信号線から信号処理部内の入力端
    子に至る配線上のいずれかの位置に直列に介挿された第
    2の抵抗と、 前記信号処理部の近傍又は前記信号処理部内において、
    前記第1の抵抗から信号処理部内の電源端子に至る配線
    上のいずれかの位置と、前記第2の抵抗から信号処理部
    内の入力端子に至る配線上のいずれかの位置との間に並
    列に接続された第3の抵抗と、 前記センサの近傍又はセンサ内において、前記信号線上
    又はこの信号線からセンサ内の出力端子に至る配線上の
    いずれかの位置と、前記グランド線上又はこのグランド
    線からセンサ内の接地端子に至る配線上のいずれかの位
    置との間に並列に接続された第4の抵抗と、 前記第1の抵抗、第2の抵抗のセンサ側の端の電圧
    1 ,V2 をそれぞれ監視して、それらの電圧V1 ,V
    2 の変化に基づいて故障の有無を判定する判定手段とを
    含むことを特徴とする回転センサの故障検出装置。
  2. 【請求項2】前記判定手段は、前記電圧V1 ,V2 の平
    均電圧を検出する手段と、検出された平均電圧が所定範
    囲から逸脱した値であるときに故障が生じたものと判定
    する手段とを含むものであることを特徴とする請求項1
    記載の回転センサの故障検出装置。
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