JP2882296B2 - 流体式変速機搭載車両の制御装置 - Google Patents

流体式変速機搭載車両の制御装置

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  • Control Of Fluid Gearings (AREA)
  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Auxiliary Drives, Propulsion Controls, And Safety Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、前後進切替の操作性を
高めた流体変速機搭載車両の制御装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】この種の流体式変速機搭載車両として、
例えばフォ−クリフトがある。従来の流体変速機搭載車
両の制御装置は、エンジンの出力軸と車輪とを滑り要素
を備えた有段式の変速機を介して接続してなり、エンジ
ンのスロットルバルブにワイヤを介して直結したアクセ
ルと、滑り要素を操作して車輪をエンジンの出力軸に対
して断接するクラッチを操作することにより、車速と荷
役速度の調整を行うようにしている。具体的には、通常
走行ではクラッチペダルにより前記滑り要素を接続して
アクセルの操作量により車速の調整を行い、停車状態で
の荷役操作ではクラッチペダルにより前記滑り要素を解
離してアクセル操作量により荷役速度の調整を行う。前
後進を切り替える際には、ブレーキを作動させるととも
にクラッチペダルを操作してエンジンと車輪を切り離し
て車両を停止させた後、変速機を操作して前後進を切り
替えて再発進を行わなければならず、操作は繁雑であ
る。
【0003】近時の制御装置には、操作性を向上させる
ために、変速機に速度比を無段階に変化させる流体式変
速機を用いて、アクセル操作量により設定される目標車
速と実車速との偏差によって前記流体式変速機の速度比
を制御するものが開発されている。また、スロットル開
度とエンジン特性により定まる最適燃費条件を満たすエ
ンジン回転数を実現するために、アクセルをスロットル
バルブから切り離してスロットル開度を同時に制御対象
とし、アクセル操作量により設定される目標車速と実車
速との偏差と、スロットル開度により設定される目標エ
ンジン回転数と実エンジン回転数との偏差によって、前
記流体式変速機の速度比と前記スロットル開度とを制御
するものも考えられている。これらの制御装置による制
御は、コントローラによって電気的に行われる。このよ
うな制御装置では、選択的に前後進を切り替える前後進
切替レバーを設けてあり、この前後進切替レバーを切り
替えると、コントローラの設定する目標車速の符号が変
更されて車速偏差が生じ、これにより速度比とスロット
ル開度が変更されて前後進を切り替えるように構成され
ている。前後進切替に必要な操作は前後進切替レバーの
切替操作のみであり、操作は極めて簡便である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、かかる制御
装置においては、前後進切替の際の速度変化が急激にな
りやすい、という不具合がある。
【0005】前後進切替レバーの切り替えにより目標車
速の符号が変更されると、車速偏差は突然極めて大きな
ものとなる。このため、通常走行と同様の制御を継続す
ると、車速に過大な変化が生じて急停止及び急発進を招
き、車輪の空転を招くなど危険である。
【0006】本発明は、このような課題に着目してなさ
れたものであって、急激な速度変化を伴うこと無く良好
に前後進を切り替えられる流体式変速機搭載車両の制御
装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような構成を採用したものであ
る。
【0008】すなわち、本発明に係る流体式変速機搭載
車両の制御装置は、エンジンと車輪との間に介在して速
度比を無段階に変化させる流体式変速機を具備してなる
流体式変速機搭載車両において、前後進を選択的に切り
替える前後進切替レバーを設け、この前後進切替レバー
が切り替えられると、前後進切替レバーの示す進行方向
と前記流体式変速機の速度比の示す進行方向とが異なる
とき、アクセルの操作量のみにより前記エンジンのスロ
ットル開度を制御しつつ、前記速度比をある速度比制御
速度で0とし、しかる後に通常走行の制御に復帰する制
御を行う制御手段を設けるとともに、前記速度比制御速
度を調整可能な調整スイッチを設けたことを特徴とす
る。
【0009】
【作用】このような構成の流体式変速機搭載車両の制御
装置であれば、前後進切替レバーの切替後に変速機の速
度比はある速度比制御速度で0に近付くため、運転者が
速度比制御速度を調節するか若しくはあらかじめ一定値
に設定することによって適切なエンジンブレーキによる
減速を実現して、急停車を有効に防止することができ
る。また、前後進切替に伴う減速の際はアクセル操作量
のみによりスロットル開度を制御するため、運転者はア
クセルを制御することによりエンジン回転数を調節し
て、速度比とエンジン回転数に依存するエンジンブレー
キの強度を調節することができる。さらに、速度比が0
に近付くとスロットル開度が大きなままでは、エンジン
の空ぶかしが生じてアクセル操作によってスロットル開
度を小さく保持する様に運転者に促すため、停車後に前
後進を切り替えて通常走行に復帰する際に、不用意に過
大なスロットル開度による急発進を有効に防止すること
ができる。また調節スイッチにより速度比制御速度を調
節してエンジンブレーキの強度を適切に設定することに
よって、急停車を有効に防止することもできる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図1〜図4を参
照して説明する。
【0011】この実施例においては、本発明はフォーク
リフトに適用される。この実施例におけるフォ−クリフ
トは、図1に示すように、エンジン1と、車輪2と、エ
ンジン1と車輪2との間に介在して速度比eを無段階に
変化させる流体式変速機(HST)3と、エンジン1の
スロットルバルブに対して非連結状態にされたアクセル
4と、これらを制御する制御手段たるコントローラ6と
によって構成される。太線は制御信号、点線は検出器信
号である。
【0012】エンジン1は、スロットルバルブ制御用ア
クチュエータ1aを備えており、スロットル駆動信号S
(THL) が与えられると、アクチュエータ1aが図示しな
いスロットルバルブを駆動して所要のスロットル開度T
HLを実現するよう構成される。
【0013】HST3は、可変容量ポンプ31及び可変
容量モータ32の間を液圧回路33で接続してなり、ポ
ンプ入力軸31aをエンジン1に、モータ出力軸32a
を車輪2にそれぞれ連結して、エンジン1の回転を車輪
2に速度比eで伝達する。可変容量ポンプ31及び可変
容量モータ32は、既知の構造の静圧バランスタイプの
ラジアルピストンポンプ・モータであって、本実施例で
は油によって駆動される。ポンプ31の最大容量Dpmax
とモータ32の最大容量Dmmaxとは互いに等しく設定し
ている。HST3の速度比eは、ポンプ31の容量をD
p 、ポンプ入力軸31aの回転数をNp 、モータ32の
容量をDm 、モータ出力軸32aの回転数をNm とする
と、Dp ×Np =Dm ×Nm なる関係が成立し、速度比
eは、e=Nm /Np =Dp /Dm となる。速度比eの
符号が正のとき前進、負のとき後進となる。速度比eの
調節は、ポンプ容量Dp またはモータ容量Dm を変化さ
せることで無段階に調節でき、図2に示すようにモータ
容量Dm をDmmaxに保持した状態でポンプ容量Dp を−
DpmaxからDpmaxまで変化させると、図3に示すように
速度比eが−1≦e≦1の領域で変化し、また、図2に
示すようにポンプ容量Dp をDp max に保持した状態で
モータ容量Dm をDmmaxから0に向かって変化させる
と、図3に示すように速度比eが1≦eの領域で変化
し、さらに、図2に示すようにポンプ容量Dp を−Dp
max に保持した状態でモータ容量Dm をDmmaxから0に
向かって変化させると、図3に示すように速度比eがe
≦−1の領域で変化する特性を有している。なお、可変
容量モータ32を固定容量形に代えて実施することもで
き、この場合、速度比eは−1≦e≦1の領域でのみ変
化することになる。ポンプ31の容量Dp およびモータ
32の容量Dm は、図示しないシリンダブロックの偏心
によって可変とされており、偏心が中立位置で容量が0
となるよう設定される。この偏心は、図示しない油圧サ
ーボ機構を介してコントローラ6により電気的に制御さ
れる。また、前記ポンプ入力軸31aにはギヤ等を介し
て図示しない固定ポンプが接続されており、この固定ポ
ンプが吐出する油を図示しないリフトシリンダやチルト
シリンダに移送して、リフトの昇降やマストの傾動を行
わしめるようにしている。
【0014】この実施例における通常走行時の制御は、
次のようになる。エンジン1は、あるスロットル開度T
HLにてエンジン回転数SEで回転し、両者によって決
定される出力トルクTEを出力する。HST3は、速度
比eでエンジン回転数SEを車輪2に伝達して車速Vに
変換し、その結果生じる負荷トルクTWをエンジン1に
伝達する。出力トルクTEと負荷トルクTWとの偏差
は、エンジン1のもつ慣性s・Ieを介してエンジン回
転数SEを増減させる。前進する際には、定常状態にお
いて速度比e、スロットル開度THL、エンジン回転数
SE、および車速Vは一定であり、出力トルクTEと負
荷トルクTWは釣り合っている。速度比eを大きくする
と、それに応じて車速Vは増し、同時に負荷トルクTW
が増して出力トルクTEを上回り、慣性s・Ieを通し
てエンジン回転数SEが低下する。速度比eを小さくす
ると、逆の過程が生じる。スロットル開度THLを大き
くすると、出力トルクTEが増して負荷トルクTWを上
回り、慣性s・Ieを通してエンジン回転数SEが増加
して車速Vが増す。スロットル開度THLを小さくする
と、逆の過程が生じる。後進する際にも、速度比eと車
速Vの符号が異なるのみで、同様の制御が行われる。
【0015】エンジン1のスロットル開度THLおよび
HST3の速度比eの制御を行うために、図1に示すよ
うに、アクセル操作量検出器51と、車速検出器52
と、エンジン回転数検出器53と、スロットル開度検出
器54と、偏心位置検出器55を設けて、これらの出力
信号をコントローラ6に入力するようにしている。アク
セル操作量検出器51は、アクセル4の回動軸に付帯し
て設けたポテンショメータであって、アクセル操作量A
CCを電気信号に変換してコントローラ6に出力する。
車速検出器52は、車軸すなわちモータ出力軸32aに
付帯して設けたエンコーダであって、その回転数Nm に
対応した車速Vを電気信号に変換してコントローラ6に
出力する。エンジン回転数検出器53は、エンジン1の
クランクシャフト又はポンプ入力軸31aに取り付けた
エンコーダであって、エンジン回転数SEを電気信号に
変換してコントローラ6に出力する。スロットル開度検
出器54は、スロットルバルブ駆動軸もしくはスロット
ルバルブ制御用アクチュエータ1aに付帯して設けたポ
テンショメータであって、スロットル開度THLを電気
信号に変換してコントローラ6に出力する。偏心位置検
出器55は、可変容量ポンプ31及び可変容量モータ3
2のシリンダーブロックの駆動軸に取り付けたエンコー
ダであって、ポンプ31及び可変容量モータ32の偏心
位置を電気信号に変換してコントローラ6に出力する。
【0016】コントローラ6は、CPU、メモリ、イン
ターフェース等を備えた通常のマイクロコンピュータシ
ステムにより構成される。コントローラ6は、アクセル
操作量ACCに対して目標車速V0 を、スロットル開度
THLに対して目標エンジン回転数SE0 を、それぞれ
設定して、実車速Vと目標車速V0 との車速偏差ε1
と、実エンジン回転数SEと目標エンジン回転数SE0
とのエンジン回転数偏差ε2 により、HST3の速度比
eとエンジン1のスロットル開度THLとを制御して、
操作性が高く、かつスロットル開度THLとエンジン特
性により定まる最適燃費条件を満たすエンジン回転数S
Eを満たす走行を実現するようにしている。
【0017】このような構成の制御装置において、本実
施例では、前後進切替レバー7を設け、このレバーの位
置により前後進を選択的に切り替え可能として、この進
行方向Dを電気信号としてコントローラ6に出力する。
また、エンジンブレーキ調整スイッチ8を設けて、前後
進切替に伴う停車の際に速度比eが0に近付く速度比制
御速度de/dtを運転者が連続的に調節可能として、
この速度比制御速度de/dtを電気信号としてコント
ローラ6に出力する。
【0018】このような構成の制御装置における前後進
切替の制御を、図4に示す。ステップS1で通常走行時
において運転者が前後進切替レバー7を切り替えると、
ステップS2で前後進切替レバー7の示す進行方向Dと
HST3の速度比eの示す進行方向とが異なるときのみ
前後進切替を開始する。まずステップS3でアクセル操
作量ACCを検出して、ステップS4でこの量に従いア
クセル開度THLを制御し、次いでステップS5でエン
ジンブレーキ調整スイッチ8の示す速度比制御速度de
/dtを検出して、ステップS6でこの速度に従い速度
比eを0に近付け、これに伴うエンジンブレーキによっ
て車速Vは0に近付く。ステップS2からステップS6
までの制御は、ステップS7で速度比eが0となること
を検出するまで繰り返し継続される。速度比eが0とな
ると、車輪2がロックされて車速Vは0となるので、ス
テップS8で通常走行の制御に復帰して、進行方向を変
更して再発進を行う。
【0019】このような構成の流体変速機搭載車両の制
御装置であると、速度比eはエンジンブレーキ調整スイ
ッチ8の示す速度比制御速度de/dtに従い0に近付
くため、運転者により速度比制御速度de/dtを調節
してエンジンブレーキの強度を適切に設定することによ
って、急停車を有効に防止することができる。また、エ
ンジンブレーキの強度は速度比eとともにエンジン回転
数SEにも依存するが、減速の間はアクセル操作量AC
Cのみによりスロットル開度THLを制御するため、運
転者のアクセル4の操作によってエンジン回転数SEを
調節して、エンジンブレーキの強度を微調節することが
可能である。また、停車直前には速度比eがほぼ0に近
付くが、空ぶかしを防ぐために運転者はアクセル4を戻
してエンジン回転数SEを低下させる操作を行うのが自
然であるので、前後進が切り替わって通常走行の制御に
復帰する際に、過剰なスロットル開度THLによる急発
進を有効に防止することが可能である。
【0020】なお、本発明は上述した実施例に限定され
ないのは勿論である。例えば、スロットルバルブとアク
セル4とをワイヤ等を介して直結して、スロットル開度
THLをアクセル操作量ACCのみによりあらかじめ直
接制御可能とする構成とすることも可能である。また、
速度比eの速度比制御速度de/dtは、あらかじめ固
定する構成とすることも可能である。その他、本発明の
趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明に係るフォークリフトなどの流体
変速機搭載車両の制御装置は、運転者による前後進切替
レバーの切替操作後、速度比はある速度比制御速度で0
に近付くため、速度比制御速度を適切に設定することに
より急停車を有効に防止することが可能である。また、
前後進切替に伴う減速の際に、アクセル操作量のみによ
りスロットル開度を制御できるよう構成しているため、
エンジン回転数を運転者により直接制御でき、速度比と
エンジン回転数に依存するエンジンブレーキの強度を運
転者が微調整することが可能である。さらに、速度比が
0に近付くとスロットル開度が大きなままではエンジン
の空ぶかしが生じるが、運転者によるアクセル操作によ
って適切なスロットル開度を保持してエンジン回転数を
低下させることにより、停車後に前後進が切り替わって
通常走行に復帰する際の、過大なスロットル開度による
急発進を有効に防止することができる。また調節スイッ
チにより速度比制御速度を調節してエンジンブレーキの
強度を適切に設定することによって、急停車を有効に防
止することもできる。
【0022】以上のように、本発明は、急停車及び急発
進を伴うこと無く簡便な操作で前後進の切替を行うこと
が可能であるという格別な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る構成を示す概念図。
【図2】同実施例で用いられるHSTの特性を示すグラ
フ。
【図3】同実施例で用いられるHSTの特性を示す図2
に対応したグラフ。
【図4】同実施例の前後進切替操作時の制御の概要を示
すフローチャート。
【符号の説明】
e…速度比 de/dt…速度比制御速度 ACC…アクセル操作量 THL…スロットル開度 1…エンジン 2…車輪 3…流体式変速機(HST) 4…アクセル 6…制御手段(コントローラ) 7…前後進切替レバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60K 41/16 F16H 61/38 - 61/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンと車輪との間に介在して速度比を
    無段階に変化させる流体式変速機を具備してなる流体式
    変速機搭載車両において、 前後進を選択的に切り替える前後進切替レバーを設け、
    この前後進切替レバーが切り替えられると、前後進切替
    レバーの示す進行方向と前記流体式変速機の速度比の示
    す進行方向とが異なるとき、アクセルの操作量のみによ
    り前記エンジンのスロットル開度を制御しつつ、前記速
    度比をある速度比制御速度で0とし、しかる後に通常走
    行の制御に復帰する制御を行う制御手段を設けるととも
    に、前記速度比制御速度を調整可能な調整スイッチを設
    けたことを特徴とする流体式変速機搭載車両の制御装
    置。
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