JP2882224B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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JP2882224B2
JP2882224B2 JP4340697A JP34069792A JP2882224B2 JP 2882224 B2 JP2882224 B2 JP 2882224B2 JP 4340697 A JP4340697 A JP 4340697A JP 34069792 A JP34069792 A JP 34069792A JP 2882224 B2 JP2882224 B2 JP 2882224B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動変速機の変速制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動変速機は通常、クラッチやブレーキ
等の各種摩擦要素の選択的油圧作動(締結)により対応
変速段を選択し、作動する摩擦要素の切り換えにより他
の変速段への変速が可能である。従って、変速の種類に
よっては、例えば本願出願人が1989年6月に発行し
た「NISSAN RE5R01A型 オートマチック トランスミッ
ション整備要領書」における自動変速機の4→5変速に
見られる如く、締結状態の或る摩擦要素(ロークラッ
チ)を解放すると共に、他の摩擦要素(バンドブレー
キ)を締結する摩擦要素の掛け換えが必要である。
【0003】ところで、自動変速機の歯車変速機構は当
該掛け換えるべき摩擦要素が変速制御装置の故障で共に
締結される時、インターロック状態になるものが多く、
上記文献における自動変速機もその例外ではない。この
インターロックを回避するため従来は、例えば上記文献
に記載された如く、又図7に概略を示す如く、ロークラ
ッチL/C及びバンドブレーキB/Bの双方を夫々共通
なシフト弁SVで制御し、5速圧に応動するシフト弁S
VによりロークラッチL/Cの解放時バンドブレーキB
/Bが確実に締結されるようにする対策がなされてき
た。
【0004】この場合、変速ショックの軽減は、両摩擦
要素の作動圧系に夫々アキュムレ一夕ACCl,ACC
2を接続し、シフト弁SVの上流に共通なオリフイスO
Rを挿入することで達成する。即ち、オリフイスOR
は、締結されることとなったロークラッチL/C又はバ
ンドブレーキB/Bの締結圧を、関連するアキュムレー
タACCl,ACC2との共働により徐々に上昇させ
て、ロークラッチL/C又はバンドブレーキB/Bの締
結ショック、即ち変速ショックを緩和する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしてこの対策で
は、上述の如くシフト弁SVの上流に設けた共通なオリ
フィスORで変速ショックを軽減することとなるため、
ロークラッチL/C及びバンドブレーキB/Bが共に締
結されているトルクフェーズ時間が長くなるのを避けら
れず、変速中にトルクの引き込みが大きくなる傾向にな
り、変速時一瞬減速するような違和感があった。
【0006】この問題解決のために、従来は歯車伝動系
にワンウエイクラッチを設けて、その空転を介し変速を
滑らかにする対策がなされたが、この場合ワンウエイク
ラッチの付加により自動変速機の歯車伝動系が大型にな
ったり、重くなるのを避けられず、不利である。
【0007】その他の解決策としては、クライスラー社
製A604E型自動変速機に見られるように、締結され
ることとなった摩擦要素の締結圧を、解放されるべき摩
擦要素の締結圧をモニターしながら上昇制御し、これに
より締結されることとなった摩擦要素の締結ショック、
即ち変速ショックを緩和すると共に、両摩擦要素が共に
締結されてインターロック状態になることのないように
する対策がある。
【0008】しかしこの対策では、上記モニター及びこ
のモニター結果に基づく圧力上昇制御を行う電気的若し
くは電子的制御系が故障したとき、インターロックを回
避し得ず、又ちょっとした油圧低下でも故障と判断して
フェールセーフモードに入ってしまうと言うように信頼
性に欠ける問題があった。
【0009】本発明は、これらの問題を生じない自動変
速機の変速制御系を提供することを第1目的とする。
【0010】他方、自動変速機の摩擦要素はその非作動
中も、作動圧供給室に無圧状態ながら作動油が充満され
ており、全体が回転している摩擦要素の場合、該作動圧
供給室内の作動油が回転に伴う遠心力を受けて遠心圧を
発生する。この遠心圧は、当該摩擦要素をして引き摺る
傾向を生じ、エネルギーロスを免れなかったり、摩擦要
素の摩擦部材が早期に摩耗して耐久性の問題を生ずる。
上記文献に記載の自動変速機におけるロークラッチも、
全体が回転されている多板式摩擦要素であるため、その
例外ではない。
【0011】本発明はこの問題をも併せて解消した自動
変速機の変速制御を提供することを第2目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記両目的のため本発明
による自動変速機の変速制御装置は、請求項1に記載の
通り、締結状態の或る多板式摩擦要素を解放すると共
に、他の摩擦要素を締結して対応する変速を行うことが
でき、該或る多板式摩擦要素及び他の摩擦要素を共に締
結するとインターロックしてしまうパワートレーンを持
った自動変速械において、前記或る多板式摩擦要素に、
締結圧と対向する向きに解放圧を受圧する解放圧受圧面
を設定することにより、締結圧が作用していても解放圧
で該或る多板式摩擦要素を解放可能にすると共に、該解
放圧受圧面を前記他の摩擦要素の締結圧回路に接続し、
前記或る多板式摩擦要素の解放圧受圧面が臨む室に潤滑
油を供給する潤滑回路を付加して設け、この潤滑回路
に、前記解放圧に応動して閉じる逆止弁を挿入したこと
を特徴とするものである。
【0013】
【作用】請求項1の構成において自動変速機は、締結状
態の或る多板式摩擦要素を解放すると共に、他の摩擦要
素を締結して対応する変速を行う。
【0014】ところで、上記或る多板式摩擦要素の解放
に当たっては、該要素が上記他の摩擦要素の締結圧を解
放圧受圧面に締結圧と対向する向きに受けて解放される
ため、又この解放が締結圧の存続のままでも達成される
ため、上記の両摩擦要素が共に締結されてインターロッ
ク状態になるのを防止することができる。
【0015】そして、同様な構成上の理由から両摩擦要
素の掛け換えが高応答でなされ、これら摩擦要素が共に
締結されているトルクフェーズ時間が短く、変速中にお
けるトルクの引き込みを小さくし得て、一瞬減速するよ
うな違和感を無くすことができる。従って、従来この違
和感を無くすために付加していたワンウェイクラッチを
自動変速機の変速歯車桟橋から省略することができ、自
動変速械の小型化及び軽量化を実現し得る。
【0016】本発明においては更に、上記多板式摩擦要
素の解放圧受圧面が臨む室に潤滑回路からの潤滑油を供
給するため、上記解放圧がなくなる変速段においても、
当該室に作動油が確実に充満され続けることとなり、該
摩擦要素の締結圧供給室に、摩擦要素の回転に伴う遠心
圧が発生しても、これに対抗する遠心圧が確実に解放圧
供給室に発生して締結圧供給室の遠心圧を打ち消すこと
となる。よって、多板式摩擦要素が締結圧供給室の遠心
圧で引き摺られる事態を確実に解消することができ、エ
ネルギーロスや、摩擦要素の早期摩耗を回避することが
できる。
【0017】なお、上記多板式摩擦要素に解放圧が供給
される変速段では、潤滑回路の逆止弁がこれに応答して
閉じるため、解放圧が潤滑回路から逃げることはなく、
潤滑回路の付加によっても、解放圧が摩擦要素の解放圧
受圧面に作用し得なくなって前記の作用効果が得られな
くなるといったような弊害を生ずることはない。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明変速制御装置の一実施例を示す
自動変速機の歯車変速機構で、この歯車変速機構は入力
軸1、出力軸2、及びこれら入出力軸間に同軸突合せ関
係に配した中間軸3を具え、入力軸1はトルクコンバー
タ4を介して図示せざるエンジンクランクシャフトに駆
動結合する。入力軸1上に同心に2個の第1及び第2遊
星歯車組5, 6をタンデムに設け、又出力軸2上には同
心に第3遊星歯車組7を設ける。
【0019】第1及び第2遊星歯車組5, 6は夫々第1
及び第2サンギヤ5S , 6S 、第1及び第2リングギヤ
5R , 6R 、これらサンギヤ及びリングギヤに噛合する
ピニオン5P , 6P 、及びこれらピニオンを回転自在に
支持する第1及び第2キャリア5C , 6C よりなる単純
遊星歯車組とする。又、第3遊星歯車組7も、第3サン
ギヤ7S 、第3リングギヤ7R 、これらに噛合するピニ
オン7P 、及びピニオン7P を回転自在に支持する第3
キャリア7C よりなる単純遊星歯車組とする。
【0020】サンギヤ5S をバンドブレーキB/Bによ
り固定可能とする他、リバースクラッチR/Cにより入
力軸1に結合可能とする。キャリア5C はハイクラッチ
H/Cにより入力軸1に結合可能とする他、ローワンウ
ェイクラッチL/OWCにより入力軸1と逆の方向へ回
転不能とすると共に、ローリバースブレーキLR/Bに
より固定可能とする。キャリア5C は更にロークラッチ
L/Cによりリングギヤ6R に結合可能とする。又、サ
ンギヤ6S を入力軸1に結合し、キャリア6Cをリング
ギヤ5R に結合すると共に中間軸3に結合する。
【0021】この中間軸3にリングギヤ7R を結合し、
キャリア7C を出力軸2に結合する。キャリア7C は更
にダイレクトクラッチD/Cにより適宜サンギヤ7S に
結合可能とし、更にサンギヤ7S はリダクションブレー
キRD/Bにより適宜固定可能とする。
【0022】上記した歯車変速装置は運転者が希望する
走行形態(駐停車を含む)に応じて手動で選択するレン
ジ毎に、前記クラッチやブレーキを図1の表に示す組合
せで作動させる(○印で示す)ことにより前進第1速乃
至第5速、及び後退の変速段、並びに駐停車状態を得る
ことができる。
【0023】即ち、駐車を希望してPレンジにしたり、
停車を希望してNレンジにすると、リダクションブレー
キRD/Bのみが締結される。従って、サンギヤ7S が
固定され、中間軸3からリングギヤ7R への回転動力は
ピニオン7P をサンギヤ7Sの周りに転動させつつキャ
リア7C 、従って出力軸2へ減速下に伝達され、第3遊
星歯車組7は減速伝動状態となるが、第1及び第2遊星
歯車組5,6に係わる摩擦要素が全て締結されないた
め、入力軸1への回転動力が一切中間軸3に至らず、自
動変速機は出力軸2を駆動しない駐停車状態を達成す
る。
【0024】前進自動変速走行を希望してDレンジにし
たり、3速エンジンブレーキ走行を希望して3レンジに
したり、2速エンジンブレーキ走行を希望して2レンジ
にしたり、1速エンジンブレーキ走行を希望して1レン
ジにした状態で1速を選択する必要がある時は、リダク
ションブレーキRD/Bを締結すると共にロークラッチ
L/Cを締結する。リダクションブレーキRD/Bの締
結は上述したように第3遊星歯車組7を減速伝動状態に
する。又、ロークラッチL/Cを締結させると、ローワ
ンウェイクラッチL/OWCを介してリングギヤ6R が
入力軸1と逆方向の回転を阻止されるため入力軸1から
サンギヤ6S への回転はピニオン6P をリングギヤ6R
内で転動させ、キャリア6C を入力軸1と同方向に減速
して正転させる。キャリア6C の回転は中間軸3に至
り、この回転が第3遊星歯車組7により更に減速されて
出力軸2に達する前進第1速を得ることができる。
【0025】しかしてこの第1速状態で、キャリア6C
が入力軸1と同方向へ高速で逆駆動される時、ローワン
ウェイクラッチL/OWCの開放により入力軸1に逆駆
動力が伝わらず、エンジンブレーキが得られない。1レ
ンジを選択してエンジンブレーキを希望する時は、図1
の表中△印で示すようにローリバースブレーキLR/B
を作動させてローワンウェイクラッチL/OWCの解放
をころす必要がある。
【0026】第2速を選択すべき走行状態では、リダク
ションブレーキRD/B、ロークラッチL/C、及びバ
ンドブレーキB/Bを締結させる。リダクションブレー
キRD/Bの締結は上述したと同様に第3遊星歯車組7
を減速伝動状態にする。一方、ロークラッチL/C及び
バンドブレーキB/Bの締結は、バンドブレーキB/B
によりサンギヤ5S が固定されて反力受けの用をなし、
又ロークラッチL/Cがリングギヤ6R の回転をキャリ
ア5C に伝えてピニオン5P をサンギヤ5S の周りに転
動させながらリングギヤ5R に伝達するため、キャリア
6C 、従って中間軸3の正転回転数が増大して1速状態
より高速の2速状態が得られる。
【0027】第3速を選択すべき走行状態になると、リ
ダクションブレーキRD/B、ロークラッチL/C、及
びハイクラッチH/Cを締結させる。リダクションブレ
ーキRD/Bの締結は上述したと同様に第3遊星歯車組
7を減速伝動状態にする。一方、ロークラッチL/C及
びハイクラッチH/Cの締結はリングギヤ6R を入力軸
1と共に回転させるようになり、入力軸1に結合されて
いるサンギヤ6S とリングギヤ6R の一体回転によりキ
ャリア6C 、従って中間軸3が入力軸1と同一の回転を
行う第3速 (直結) 選択状態が得られる。
【0028】第4速を選択すべき走行状態になると、第
1及び第2遊星歯車組5,6に係わる摩擦要素は上記第
3速の時と同じ組合せで締結し、第3遊星歯車組7につ
いてはリダクションブレーキRD/Bの代わりにダイレ
クトクラッチD/Cを締結させる。ダイレクトクラッチ
D/Cの締結で、サンギヤ7S がキャリア7C に結合さ
れ、第3遊星歯車組7を全要素が一体回転する直結伝動
状態にする。よって、中間軸3からの回転が減速されず
そのまま出力軸2に至り、上記第3速より高速の第4速
を得ることができる。
【0029】第5速を選択すべき走行状態になると、ダ
イレクトクラッチD/C、バンドブレーキB/B、及び
ハイクラッチH/Cを締結させる。ダイレクトクラッチ
D/Cの締結は第3遊星歯車組7を上記と同じ直結伝動
状態にする。一方、バンドブレーキB/B及びハイクラ
ッチH/Cの締結は、ハイクラッチH/Cの作動でキャ
リア5C が入力軸1と共に回転され、バンドブレーキB
/Bの作動でサンギヤ5S が固定されるため、サンギヤ
5S 上でのピニオン5P の転動を介し、リングギヤ5R
、従ってキャリア6C 及び中間軸3を増速回転させる
こととなり、第5速を選択することができる。
【0030】後退走行を希望してRレンジを選択する
と、リダクションブレーキRD/Bの締結により第3遊
星歯車組7を減速伝動状態にし、他方でリバースクラッ
チR/C及びローリバースブレーキLR/Bを締結す
る。これらリバースクラッチR/C及びローリバースブ
レーキLR/Bの締結は、リバースクラッチR/Cがサ
ンギヤ5S を入力軸1と一体に回転させ、ローリバース
ブレーキLR/Bがキャリア5C を固定するため、リン
グギヤ5R 、従ってキャリア6C 及び中間軸3を入力軸
1と逆方向に回転させ、この逆転動力が出力軸2に更に
減速されて伝達される後退の変速段を得ることができ
る。
【0031】なお、図1にPのプリフィックスを用いて
各種サフィックスの使い分けにより示す圧力は、詳しく
は図3、図4につき後述する各摩擦要素の作動圧である
が、本発明に係る圧力について以下予備説明する。バン
ドブレーキB/B及びハイクラッチH/Cを締結して行
う第5速選択時に締結されると歯車変速機構のインター
ロックを生ずるロークラッチL/Cは常態で勿論解放さ
れ、締結圧PLCA で締結されるが、この締結圧を供給さ
れたまま逆向きに解放圧PLCR を供給される時解放され
るものとする。又、ダイレクトクラッチD/Cが締結さ
れた第4速、第5速で締結されると歯車変速機構のイン
ターロックを生ずるリダクションブレーキRD/Bは常
態で解放され、締結圧PRDBAで締結されるが、この締結
圧を供給されたまま逆向きに解放圧PRDBRを供給される
時解放されるものとする。
【0032】図2及び図3は図1の歯車変速機構を具体
化し、前記した如くにインターロックを生ずるロークラ
ッチL/C及びリダクションブレーキRD/Bに本発明
の着想を適用した実施例で、図2及び図3はZ面におい
て相互に合体するものとする。11は変速機ケースを示
し、このケース内に入力軸1、中間軸3及び出力軸2を
エンジン側(図2の左側)から順次同軸突き合わせ関係
に軸承し、これら3軸を全て相対回転可能とする。
【0033】入力軸1は図2に示す如く中空固定軸12
内に回転自在に挿通し、挿入内端上に同心に第1及び第
2遊星歯車組5,6を配置する。第2サンギヤ6S を入
力軸1上にセレーション嵌合し、第2キャリア6C を第
1リングギヤ5R に結合すると共に中間軸3上にセレー
ション嵌合する。第1サンギヤ5S を、中空固定軸12
上に回転自在に支持したドラム13の一端に結着し、第
1キャリア5C を入力軸1上に回転自在に支持したクラ
ッチハブ14にセレーション嵌合する。
【0034】ドラム13の外周にバンドブレーキB/B
を巻装し、内周にピストン15を摺動自在に嵌合して室
16を画成する。ドラム13の内側に同心に内側ドラム
17を配設し、これらドラム13,17間に、これらに
夫々スプライン嵌合した摩擦板18,19の交互配置に
なるクラッチパック20を介在させて、室16への締結
圧PRCに応動するピストン15により摩擦板18,19
間を押圧される時締結状態となるリバースクラッチR/
Cを構成する。
【0035】内側ドラム17はその内周部を中空固定軸
12上に回転自在に支持すると共に入力軸1にセレーシ
ョン嵌合し、クラッチハブ14は径方向に延在するハブ
ディスク14aと、その外周に連なり内側ドラム17の
内側に同心配置とした筒状部14bとを有する形状とす
る。そして、該筒状部14bの外周及び内側ドラム17
の内周間に、これらにスプライン嵌合した摩擦板21,
22の交互配置になるクラッチパック23を介在させ、
ドラム17内にピストン24を摺動自在に嵌合して室2
5を画成することで、室25への締結圧PHCに応動する
ピストン24により摩擦板21,22間を押圧する時締
結されるハイクラッチH/Cを構成する。なお、室25
から遠いピストン24の側に隔壁26を対設して遠心圧
キャンセル室27を画成し、この室にピストン24のリ
ターンスプリング28を縮設する。
【0036】第1キャリヤ5cには更にドラム30を駆
動結合し、このドラムを第1及び第2遊星歯車組5,6
にかぶさって後方へ延在する大径ドラムとする。ドラム
30の内周と、第2リングギヤ6R に設けたクラッチハ
ブ31の外周との間に、これらにスプライン嵌合した摩
擦板の交互配置になるクラッチパック32を介在させ、
該クラッチパック32とピストン33とでロークラッチ
L/Cを構成する。このロークラッチL/Cにより第2
リングギヤ6R の径方向を支持する。しかしてクラッチ
ハブ31は第2リングギヤ6R より遠去かる軸方向に延
在させて、第2リングギヤ6R の噛み合い点からオフセ
ツトさせる。
【0037】ピストン33はドラム30に結着したシリ
ンダ34内に摺動自在に嵌合してアプライ室35を画成
し、変速機ケース11にボルト36で結合した中空固定
軸37上にシリンダ34の内周を回転自在に支持する。
しかして、シリンダ34は中空固定軸37との間に設け
たローワンウェイクラッチL/OWCによりエンジンと
逆方向の回転を阻止する。なお、この中空固定軸37は
内周において中間軸3を回転自在に支持する用もなす。
又、室35aから遠いピストン33の側に隔壁33aを
対設してピストン33の解放圧受圧面が臨むレリーズ室
35aを画成する。かくてロークラッチL/Cは、リタ
ーンスプリング35bに抗し室35への締結圧PLCA
応動してピストン33がクラッチパック32の摩擦板間
を押圧する時締結され、この状態で室35aにもレリー
ズ圧PLCR を供給される時ピストン33が押し戻されて
クラッチを解放するものとする。
【0038】なお、アプライ室35に作動圧を供給しな
いクラッチ解放状態では、ロークラッチL/Cの回転に
伴いアプライ室35内に生じた遠心圧が、リターンスプ
リング35bに抗してピストン33を押し、クラッチパ
ック32の摩擦板間を押圧するに至ってロークラッチL
/Cを引きずる傾向にある。しかして、この時キャンセ
ル室兼レリーズ室35a内にも遠心圧が発生し、この遠
心圧がアプライ室35内の遠心圧を打ち消すよう作用し
てピストン33の上記ストロークを禁じ、アプライ室1
0に作動圧を供給しないクラッチの解放状態にもかかわ
らず、アプライ室35内の遠心圧でクラッチが引きずら
れるのを防止することができる。
【0039】ドラム30の外周と変速機ケース11との
間には、これらにスプライン嵌合した摩擦板の交互配置
になるブレーキパック38を介在させ、これとピストン
39とでローリバースブレーキLR/Bを構成する。ピ
ストン39は変速機ケース11に嵌合して室40を画成
し、この室への締結圧PLRBAでピストン39をストロー
クさせてブレーキパック38を押圧する時、ローリバー
スブレーキLR/Bは締結されるものとする。
【0040】次に、図3を説明するに、第3リングギヤ
7R を中間軸3の末端に結着し、第3キャリア7C を出
力軸2にセレーション嵌合する。出力軸2上に回転自在
に嵌合した第3サンギヤ7S にドラム41を結着し、こ
のドラムを変速機ケース11に一体で出力軸2の軸承の
用も兼ねる中空固定軸42上に回転自在に支持する。第
3キャリア7C にはドラム41内に侵入するクラッチハ
ブ43を一体成形し、クラッチハブ43の外周とドラム
41の内周との間に、これらにスプライン嵌合する摩擦
板の交互配置になるクラッチパック44を介在させる。
ドラム41内にピストン45を摺動自在に嵌合して室4
6を画成し、ピストン45とクラッチパック44とでダ
イレクトクラッチD/Cを構成する。又室46から遠い
ピストン45の側には隔壁45aを対設して遠心圧キャ
ンセル室46aを画成する。ダイレクトクラッチD/C
は、室46への締結圧PDCに応動するピストン45によ
り摩擦板44間を押圧する時締結されるものとする。
【0041】ドラム4の外周と、変速機ケース11の内
周との間に、これらにスプライン嵌合した摩擦板の交互
配置になるブレーキパック47を介在させ、これとピス
トン48とでリダクションブレーキRD/Bを構成す
る。ピストン48は中空固定軸42に嵌合してアプライ
室49を画成し、この室から遠いピストン48の側に隔
壁48aを対設してピストン48の解放圧受圧面が臨む
レリーズ室49aを画成する。そしてリダクションブレ
ーキRD/Bは、リターンスプリング48bに抗しピス
トン48が室49への締結圧PRDBAに応動して摩擦板4
7間を押圧する時締結され、この状態で室49aにもレ
リーズ圧PRDBRを供給される時ピストン48が押し戻さ
れてブレーキを解放するものとする。
【0042】図4は図1乃至図3に示す歯車変速機構の
変速制御油圧回路を示す。51は所定のライン圧PL
常時発生する圧力源で、これからの圧力をマニュアル弁
52に供給する。このマニュアル弁は運転者が希望する走
行形態(駐停車を含む)に応じ前記したP,R,N,
D,3,2,1レンジに手動操作し、選択レンジに応じ
ライン圧PL を、マニュアル弁ポート配置として図示す
る形態で適宜回路53〜55に出力するものとする。
【0043】回路53はワンウェイオリフィス56を経
てロークラッチL/Cのアプライ室35に接続し、回路
54は回路53の分岐路と共に1速エンジンブレーキ選
択弁57に接続する。この弁57はソレノイド切換弁
で、OFF時ポート配置57aとなり、ON時ポート配
置57bになるものとする。弁57の出力回路58,5
9のうち、一方の回路58はデューティソレノイド弁A
1 ,A2 ,A3 を経てバンドブレーキB/Bの2速アプ
ライ室2A、3速4速レリーズ室34R、ロークラッチ
L/Cのレリーズ室35aに接続する。
【0044】デューティソレノイド弁A2 ,A3 の出力
回路60,61を夫々シャトル弁62の2入力に通じさ
せ、該シャトル弁の出力をハイクラッチH/Cの室25
に接続する。デューティソレノイド弁A3 の出力回路6
1は更にバンドブレーキB/Bの5速アプライ室5Aに
接続し、バンドブレーキB/Bは常態で開放され、室2
Aへ圧力PBB2Aを供給する時締結され、この状態で室3
4Rへも圧力PBB34Rを供給する時開放され、更に室5
Aにも圧力PBB5Aを供給する時締結されるものとする。
又、ロークラッチL/Cも常態で開放され、室35へ圧
力PLCA を供給する時締結され、この状態で室35aに
も圧力PLCR を供給する時開放されるものとする。
【0045】1速エンジンブレーキ選択弁57の他方の
出力回路59は1レンジ減圧弁63を経てシャトル弁6
4の一方の入力に接続し、該シャトル弁は他方の入力に
回路55を接続し、出力をローリバースブレーキLR/
Bの室40に接続する。回路55は他方でリバースクラ
ッチR/Cの室16に接続する。
【0046】圧力源51からのライン圧PL は他方で、
回路65によりデューティソレノイド弁A4 を経てダイ
レクトクラッチD/Cの室46に接続し、弁A4 の前後
に夫々リダクションブレーキRD/Bのアプライ室49
及びレリーズ室49aを接続する。なお、リダクション
ブレーキRD/Bは常態で解放され、室49に圧力P
RDBAを供給する時締結され、この状態で室49aにも圧
力PRDBRを供給する時解放されるものとする。
【0047】上記した図4に示す変速制御油圧回路の作
用を次に説明する。P,Nレンジ 駐車又は停車を希望してマニュアル弁52をP又はNレ
ンジにすると、この弁は回路53〜55を全てドレン
し、リバークラッチR/C、バンドブレーキB/B、ロ
ークラッチL/C、ハイクラッチH/C、ローリバース
ブレーキLR/Bのどれにも圧力を供給せず、これら全
要素を解放する。この時、図1〜3の中間軸3にエンジ
ン回転が至らず、従って出力軸2は停止され、駐停車を
可能にする。しかして、回路65には常時ライン圧PL
が供給され、これがリダクションブレーキRD/Bのア
プライ室49にPRDBA圧として達する。一方この時、デ
ューティソレノイド弁A4 はデューティ0%により、リ
ダクションブレーキRD/Bのレリーズ室49aへの圧
力PRDBRをダイレクトラッチD/Cの室46への圧力P
DCと共に0にしており、ダイレクトクラッチD/Cを解
放すると共にリダクションブレーキRD/Bを締結す
る。これにより図1,3の第3遊星歯車組7は出力軸2
を中間軸に減速伝動状態に結合し、第1速又は後退変速
段での発進に備える。
【0048】D,3レンジ (第1速)自動変速走行又は3速エンジンブレーキ走行
を希望してマニュアル弁52をD又は3レンジにする
と、この弁は回路53にライン圧PL を供給する。一
方、このレンジでは1速エンジンブレーキ選択弁57が
OFFされ、ポート配置57aとなって回路58にライ
ン圧PL を供給する。回路53のライン圧はワンウェイ
オリフィス56を経由し、ロークラッチL/Cのアプラ
イ室35にPLCA 圧として供給される。回路58のライ
ン圧はデューティソレノイド弁A1 ,A2 ,A 3 に至る
も、これら弁が全てデューティ0%で、出力圧PBB2A,
BB34R , PLC R , PBB5A, PHCを0にする。よって、
ロークラッチL/Cは締結されるが、バンドブレーキB
/B及びハイクラッチH/Cは解放のままにされる。他
方、デューティソレノイドA4 もP,Nレンジと同様デ
ューティ0%を維持してリダクションブレーキRD/B
の締結、ダイレクトクラッチD/Cの解放により第3遊
星歯車組7を減速伝動状態のままに保つ。以上により、
自動変速機は第1速を選択することができ、発進を可能
ならしめる。
【0049】(第2速)第2速を選択すべき走行状態に
なると、デューティソレノイド弁A1 のデューティを漸
増させてバンドブレーキB/Bの2速サーボアプライ室
2AにPBB2A圧を供給する。これによりバンドブレーキ
B/Bが追加作動(締結)されることとなり、ロークラ
ッチL/Cの締結保持と相俟って自動変速機は第2速を
選択することができる。
【0050】(第3速)第3速を選択すべき走行状態に
なると、デューティソレノイド弁A2 のデューティも増
大させてバンドブレーキB/Bの3速4速レリーズ室3
4Rにも圧力P BB34R を供給する。これによりバンドブ
レーキB/Bが解放される。同時にPBB 34R はシャトル
弁62を経由しハイクラッチH/Cの室25にも圧力P
HCとして供給され、このハイクラッチH/Cを締結す
る。よって、バンドブレーキB/Bが解放されると同時
にハイクラッチH/Cが締結される摩擦要素の掛け換え
により第3速を選択することができる。
【0051】(第4速)第4速を選択すべき走行状態に
なると、デューティソレノイド弁A1 〜A3 は第3速の
時と同じにしたまま、デューティソレノイド弁A4 のデ
ューティを漸増してリダクションブレーキRD/Bのレ
リーズ室49aへの圧力PRDBR及びダイレクトクラッチ
D/Cの室46への圧力PDCを上昇させる。これによ
り、リダクションブレーキRD/Bが解放され、ダイレ
クトクラッチD/Cが締結される摩擦要素の掛け換えが
なされて、第3遊星歯車組7を今迄の減速伝動状態から
直結伝動状態に切り換え、第4速を選択することができ
る。なお、3レンジではこの第4速及び後述の第5速へ
の変速を実行せず、3速エンジンブレーキ走行を可能な
らしめる。
【0052】(第5速)第5速を選択すべき走行状態に
なると、デューティソレノイド弁A3 のデューティをも
増大させてロークラッチL/Cのレリーズ室35aへ圧
力PLCR を、又バンドブレーキB/B の5 速アプライ室5A
へ圧力PBB5Aを供給する。これによりロークラッチL/
Cが解放され、代わりにバンドブレーキB/Bが締結さ
れることとなり、第5速を選択することができる。
【0053】2,1レンジ 2速エンジンブレーキ走行又は1速エンジンブレーキ走
行を希望する時はマニュアル弁52を2(1)レンジに
して回路53,54にライン圧PL を供給する。回路5
3のライン圧は前記D,3レンジと同様にロークラッチ
L/Cを締結する。一方、デューティソレノイド弁A4
はこれらレンジでデューティ0%にされ、ダイレクトク
ラッチD/Cを解放し、リダクションブレーキRD/B
を締結して、第3遊星歯車組7を減速伝動状態にする。
【0054】ここで2レンジ希望であれば、運転者は図
示せざる手動スイッチのOFFにより弁57をポート配
置57bとなす。これにより回路58を経てデューティ
ソレノイド弁A1 にライン圧が至っており、該弁のO
N,OFFによりバンドブレーキB/Bを締結するか、
解放するかで、前記D又は3レンジと同様に第2速又は
第1速を選択することができる。そして、このレンジで
はデューティソレノイド弁A2 , A3 をOFFし続け、
第3速以上への変速を禁止し、これにより第2速エンジ
ンブレーキ走行を可能ならしめる。
【0055】次に1レンジ希望であれば、運転者は図示
せざる手動スイッチのONにより弁57をポート配置5
7b にする。これにより回路53のライン圧が回路5
9、1レンジ減圧弁63、シャトル弁64を経由し、ロ
ーリバースブレーキLR/Bの室40にその作動圧P
LRB として供給され、このブレーキを締結する。一方、
弁57が回路58をドレンするため、バンドブレーキB
/B及びハイクラッチH/Cの締結はあり得ず、ローク
ラッチL/Cの締結と相俟って第1速でのエンジンブレ
ーキ走行を可能ならしめる。
【0056】Rレンジ 後退走行を希望してマニュアル弁52をRレンジにする
と、回路53,54がドレンされ、回路55のみにライ
ン圧が供給される。回路53,54のドレンはロークラ
ッチL/C、バンドブレーキB/B、ハイクラッチH/
Cの前進走行用摩擦要素を解放する。回路55のライン
圧は一方でリバースクラッチR/Cの室16にその作動
圧PRCとして至り、他方でシャトル弁64を経由し、ロ
ーリバースブレーキLR/Bの室40にその作動圧P
LRB として供給され、リバースクラッチR/C及びロー
リバースブレーキLR/Bを締結する。
【0057】なお、デューティソレノイド弁A4 はこの
Rレンジでデューティを0%にされ、ダイレクトクラッ
チD/Cを解放し、リダクションブレーキRD/Bを締
結して、第3遊星歯車組7を減速伝動状態にする。よっ
て、後退の変速段が得られ、後退走行を可能ならしめ
る。
【0058】ところで、上記自動変速機におけるローク
ラッチL/Cのレリーズ室35aに解放圧PLCR を供給
する油路構造は、上記と異なる構成とした自動変速機に
ついて示す図5のような構造とし、レリーズ室35aに
解放圧PLCR を供給する他、この解放圧が発生しない時
もレリーズ室35aに潤滑用の作動油が強制的に送り込
まれてレリーズ室35aに作動油が常時充満されている
ようにすることで、ロークラッチL/Cに対する遠心圧
キャンセル作用が確実に生ずるようになす。
【0059】ここで遠心圧とは、ロークラッチL/Cが
それ自体回転しており、締結圧PLC A が発生していなく
ても、これを供給すべき室に存在する作動油が回転に伴
う遠心力を受けて発生する圧力のことである。この遠心
圧は、僅かな力ながらロークラッチL/Cを締結させて
引き摺り、エネルギーロスを惹起するのみならず、ロー
クラッチL/Cの摩擦板を早期摩耗させて、その耐久性
を低下させる。
【0060】この問題を確実に解消するため本例では、
以下の構成を採用する。本例において、ロークラッチL
/Cはそのドラム30をロークラッチ作動用シリンダ3
4に一体に構成し、このシリンダを中空固定軸71上に
回転自在に支持し、該中空固定軸内に自動変速機の入力
軸72を回転自在に支持する。シリンダ34内に環状の
ピストン33を摺動自在に嵌合してアプライ室35を画
成し、これと反対のピストン33の側に隔壁33aを対
設してレリーズ室35aを画成する。ピストン33は、
リターンスプリング35aで図示の非作動位置に弾支
し、室35aへの作動圧PLCA により図中左行されて、
ドラム30の内周とクラッチハブ31の外周とにスプラ
イン嵌合した摩擦板32の交互配置になるクラッチパッ
クを押圧する時、ドラム30及びハブ31間を回転結合
するクラッチ締結状態を達成するものとする。
【0061】レリーズ室35aには、中空固定軸71に
形成した孔73からのロークラッチ解放圧PLCR を供給
し得るようにし、この目的のため入力軸72を中空固定
軸71の内端(図中右端)より突出させ、突出端部をシ
リンダ34内に支持して両者間をOリング74により封
止すると共に、シリンダ34に、孔73をレリーズ室3
5aに通じさせる透孔75を穿設する。
【0062】透孔75は更に、中空固定軸71及び入力
軸72間の環状隙間によって設定した潤滑回路76を経
て、入力軸71に形成した潤滑孔にも通じさせ、中空固
定軸71及び入力軸72間の環状隙間に以下の逆止機能
を持った特殊なシールリング78を介在させる。このシ
ールリング78は図6に明示するように、内周部を入力
軸72の外周条溝72aに係着し、外周を中空固定軸7
1の内周に摺接させるが、透孔75に近い側面に径方向
に延在する切り欠き溝78aを形成する。
【0063】本実施例の作用を次に説明する。作動圧P
LCA が室35に供給されると、ピストン33が摩擦板3
2を押圧してロークラッチL/Cを所定通りに締結させ
る。ここで、解放圧PLCR が発生して孔73に供給され
ると、これが孔75を経て室35aに至り、ピストン3
3を押し戻してロークラッチL/Cを解放することがで
きる。この間、解放圧PLCR は潤滑回路76にも向かう
が、この圧力は回路76の潤滑油よりも高圧のため、図
6(a)に示すようにシールリング78をして、切り欠
き溝78aを形成したとは反対の側面が条溝72aの対
応側面に接触するよう押動し、シールリング78に逆止
機能を行わさせる。これがため、解放圧PLCR はシール
リング78を越えて潤滑回路76に流出することがな
く、解放圧PLCR によるロークラッチL/Cの上記の解
放を補償することができる。
【0064】ところで、作動圧PLCA も、解放圧PLCR
も発生しない時は、入力軸72の潤滑孔77の潤滑油が
回路76を経てシールリング78に向かう。この潤滑油
は高圧の解放圧PLCR がないため、図6(b)に示すよ
うにシールリング78をして、切り欠き溝78aを形成
した側面が条溝72aの対応側面に接触するよう押動す
る。しかし、切り欠き溝78aの存在に起因して潤滑油
はシールリング78を越えてロークラッチL/Cのレリ
ーズ室35aに至り、解放圧PLCR がなくても解放室3
5aに作動油を充満させる。このため、ロークラッチL
/Cの回転に伴いレリーズ室35a内に確実に遠心圧を
発生させることができ、室35内に生ずる遠心圧をレリ
ーズ室35a内の遠心圧で確実に打ち消して、ロークラ
ッチL/Cの引き摺りを回避し、これに伴うエネルギー
ロスおよび耐久性の低下を防止することができる。
【0065】なお本例では、シールリング78自体に逆
止機能を持たせたが、潤滑油路76内に周知の逆止弁を
単体で挿入しても同様の作用効果が得られることは言う
までもない。
【0066】
【発明の効果】かくして本発明による自動変速機の変速
制御装置は請求項1に記載の如く、締結状態から解放さ
れて変速を行う或る多板式摩擦要素(図示例ではローク
ラッチL/C)に、締結圧(PLCA )と対向する向きに
解放圧(PLCR )を受圧する解放圧受圧面を設定して
(図示例ではレリーズ室35aを画成して)、当該多板
式摩擦要素を解放圧で強制的に解放可能とし、この解放
圧受圧面を、多板式摩擦要素と入れ換えに締結されて上
記の変速を実現する他の摩擦要素(図示例ではバンドブ
レーキB/B及びハイクラッチH/C)の締結圧回路6
1に接続したから、上記多板式摩擦要素の解放に当たっ
て、該要素が上記他の摩擦要素の締結圧を解放圧受圧面
に締結圧と対向する向きに受けて解放されることとなる
ため、又この解放が締結圧の存続のままでも達成される
ため、両摩擦要素が共に締結されることがなくなり、イ
ンターロック状態を確実に防止することができる。
【0067】そして、同様な構成上の理由から両摩擦要
素の掛け換えが高応答でなされ、これら摩擦要素が共に
締結されているトルクフェーズ時間が短く、変速中にお
けるトルクの引き込みを小さくし得て、一瞬減速するよ
うな違和感を無くすことができる。従って、従来この違
和感を無くすために付加していたワンウェイクラッチを
自動変速機の変速歯車機構から省略することができ、自
動変速機の小型化及び軽量化を実現し得る。
【0068】また本発明による変速制御装置は更に、上
記或る多板式摩擦要素の解放圧受圧面が臨む室(図示例
では、ロークラッチL/Cのレリーズ室35a)に潤滑
油を供給する潤滑回路76を付加し、この潤滑回路に、
上記解放圧(図示例では、ロークラッチ解放圧PLCR
に応動して閉じる逆止弁(図示例では、シールリング7
8)を挿入したから、解放圧がなくても確実に、潤滑回
路から解放圧受圧面室内に作動油を補充して充満させて
おくことができ、多板式摩擦要素の回転に伴い作動圧室
内に生じた遠心圧を、解放圧受圧面室内の作動油に生ず
る遠心圧で確実に打ち消すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す自動変速機用歯車変速
機構のスケルトン図である。
【図2】同歯車変速機構の実体構成に係わる断面図であ
る。
【図3】同歯車変速機構の実体構成に係わる断面図であ
る。
【図4】同歯車変速機構の変速制御油圧回路を示す油圧
回路図である。
【図5】本発明の他の例を示す自動変速機用歯車変速機
構の実体構成に係わる要部詳細断面図である。
【図6】(a)は同例における逆止機能付きシールリン
グを逆止状態で示す詳細拡大断面図、(b)は同シール
リングの非逆止状態を示す詳細拡大断面図である。
【図7】従来の変速制御装置を例示する要部概略回路図
である。
【符号の説明】
1 入力軸 2 出力紬 3 中間紬 4 トルクコンバータ 5 第1遊星歯車組 6 第2遊星歯車組 7 第3遊星歯車組 L/C ロークラッチ(或る多板式摩擦要素) B/B バンドブレーキ(他の摩擦要素) H/C ハイクラッチ(他の摩擦要素) LR/B ローリバースブレーキ RD/B リダクションブレーキ D/C ダイレクトクラッチ L/OWC ローワンウェイクラッチ 33 ピストン 35 アプライ室(締結圧室) 35a レリーズ室(解放圧室) 48 ピストン 49 アプライ室 49a レリーズ室 51 圧力源 52 マニュアル弁 57 1速エンジンブレーキ選択弁 A1 デュティソレノイド弁 A2 デュティソレノイド弁 A3 デュティソレノイド弁 A4 デュティソレノイド弁 61 他の摩擦要素の締結圧回路 71 中空固定紬 72 変速機入力紬 73 解放圧供給孔 75 透孔 76 潤滑回路 78 逆止機能付きシールリング(逆止弁)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−312554(JP,A) 特開 平2−102964(JP,A) 特開 平4−151066(JP,A) 実開 昭63−195148(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16H 59/00 - 61/12 F16H 61/16 - 61/36 F16H 63/00 - 63/48 F16D 25/063

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 締結状態の或る多板式摩擦要素を解放す
    ると共に、他の摩擦要素を締結して対応する変速を行う
    ことができ、該或る多板式摩擦要素及び他の摩擦要素を
    共に締結するとインターロックしてしまうパワートレー
    ンを持った自動変速機において、 前記或る多板式摩擦要素に、締結圧と対向する向きに解
    放圧を受圧する解放圧受圧面を設定することにより、締
    結圧が作用していても解放圧で該或る多板式摩擦要素を
    解放可能にすると共に、該解放圧受圧面を前記他の摩擦
    要素の締結圧回路に接続し、 前記或る多板式摩擦要素の解放圧受圧面が臨む室に潤滑
    油を供給する潤滑回路を付加して設け、 この潤滑回路に、前記解放圧に応動して閉じる逆止弁を
    挿入したことを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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