JP2881399B2 - 空気弁装置 - Google Patents

空気弁装置

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JP2881399B2 JP5092696A JP5092696A JP2881399B2 JP 2881399 B2 JP2881399 B2 JP 2881399B2 JP 5092696 A JP5092696 A JP 5092696A JP 5092696 A JP5092696 A JP 5092696A JP 2881399 B2 JP2881399 B2 JP 2881399B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長管水路を形成す
る送水管に水を送水するポンプが急激に停止したときに
生ずる虞のあるウォータハンマ現象を緩和するための空
気弁装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3に示すごとく、吸込水槽10から実
揚程を有する吐出し水槽12に向けて、長管水路を形成
する送水管14が配設され、この送水管14に水がポン
プ16で送水される揚水ポンプシステム等において、一
般的に送水管14内の空気が確実に排気されるべく、送
水管14の凸部14aに空気弁20が設けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記図3に示すシステ
ムにあっては、ポンプ16が電源の遮断等により急激に
停止されると、送水管14内の流量が急激に変化し、送
水管14内の圧力が急激に変化する。すなわち、ポンプ
16の運転が停止されても送水管14内の水は慣性によ
り吐出し水槽14側に移動しようとする。そこで、送水
管14内が負圧となり空気弁20を介して送水管14内
に空気が流入する。そして、しばらくすると、送水管1
4内の水の慣性による移動が停止し、こんどは逆に送水
管14内を吸込水槽10に向けて移動する。そこで、送
水管14内の空気は空気弁20を介して排気され、空気
の排出が完了した際に空気弁20が閉塞される。この空
気弁20が閉塞された際に、送水管14内の水の移動が
急激に停止されるため、送水管14内の圧力が急激に上
昇する。いわゆるウォータハンマ現象であり、送水管1
4や空気弁20に損傷が与えられ易い。該現象は、送水
管14内の水の慣性による移動量(距離)が大きいほ
ど、逆流により空気弁20の閉塞直前の水の流速が大き
なものとなり、この結果として、空気弁20が閉塞され
たときの水の流速変化が大きなものとなって圧力上昇も
大きくなる。
【0004】かかるウォータハンマ現象緩和対策とし
て、ポンプ16に大きな容量のフライホイールを取り付
けて、電源が遮断等してもポンプ16が急激に停止しな
いようにしたものがある。また、送水管14に大きな容
量の圧力タンクやサージタンクを連通させて、送水管1
4内の水が慣性により移動しても送水管14内の圧力を
正圧に保持するようにしても良い。
【0005】しかるに、フライホイールまたは圧力タン
クまたはサージタンクの取り付けには、大きな設置スペ
ースが必要であり、設置場所の条件によっては取り付け
が制限されるという問題点がある。
【0006】そして、ウォータハンマ現象を緩和する他
の技術として、実公昭60−534号公報および実公昭
61−37912号公報で提案されたものがある。これ
らの技術はいずれも、空気弁が閉塞される直前に水の流
速を減ずるようにしたものであり、空気弁の閉塞により
水の移動が急激に停止するのを緩慢に停止させようとす
るものである。
【0007】この水の流速を減ずるための空気弁にあっ
ては、送水管14内の水が慣性で移動する際には送水管
14内に空気を流入させるために、送水管14内に空気
が残留する虞がある。送水管14内に空気が残留した場
合には、ポンプ16を再起動したときにエアーハンマ現
象を生じる危険性がある。そこで、ポンプ16の再起動
には、エアーハンマ現象を生じさせないように、慎重な
空気抜き操作が必要であり、その操作が煩雑であるとい
う問題点がある。
【0008】本発明は、上記提案技術とは全く異なる作
用によりウォータハンマ現象を抑圧しようとする空気弁
装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明の空気弁装置は、長管水路を形成する送水
管に保水管を介して空気弁を設け、前記送水管と保水管
の間または前記保水管に、前記送水管への水の流入抵抗
が大きく前記送水管からの水の排出抵抗の小さな流体通
路を介装して構成されている。
【0010】また、前記送水管内に送水するためのポン
プの急激な停止により前記送水管内に生ずる負圧の大き
さおよび負圧継続時間に応じて、前記流体通路の流入抵
抗および前記保水管の容量を設定し、前記送水管内に空
気が流入しないように構成しても良い。
【0011】さらに、前記流体通路を、前記送水管への
水の流入で閉塞され排出により開放される弁体と、この
弁体に穿設されて前記流入抵抗を規制する小孔とで構成
することもできる。
【0012】そして、前記流体通路を、前記送水管への
水の流入で閉塞され排出により開放される弁体と、この
弁体に並列に設けられた連通管と、この連通管に介装さ
れて前記流入抵抗を規制する絞り弁とで構成することも
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図1を
参照して説明する。図1は、本発明の空気弁装置の一実
施例の縦断面図である。図1において、図3と同一部材
には同一符号を付ける。
【0014】図1において、送水管14の凸部14a等
に保水管18を介して空気弁20が介装されている。そ
して、保水管18に流体通路30が介装される。この流
体通路30は、送水管14への水の流入(矢印A方向)
で閉塞され排出(矢印B方向)で開放される弁体32を
有する。しかも、弁体32には小孔34が穿設される。
この小孔34は、弁体32が閉塞状態において送水管1
4への水の流入抵抗を規制するものである。また、この
弁体32の小孔34は、送水管14と保水管18とが弁
体32の閉塞により完全に遮断されるのを防止して常に
連通した状態にあるようにするためでもある。そこで、
通常運転時の脈動圧力の高圧が、弁体32と空気弁20
の後述する球体フロート42の間の保水管18内に封じ
込められて、弁体32および球体フロート42がともに
ロック状態となるのを防止するように、小孔34は作用
している。そして、36は弁体32が閉塞と開放に自在
に揺動するための揺動軸であり、38は弁体32が閉塞
状態で当接する弁座である。
【0015】なお、空気弁20は、周知のものであるが
簡単にその構造を説明する。空気弁20はカップ状の2
枚の壁体を隙間を設けて重ね、内側カップ状壁体内を弁
室40として弁としての球体フロート42が収納され
る。この球体フロート42は水に浮く比重で、弁室40
内を上下動自在である。2重のカップ状の壁体の上端
は、球体フロート42の上昇で閉塞される開閉口44が
穿設された板により閉塞される。また内側カップ状壁体
に球体フロート42が下降位置で開放される貫通口4
6,46が穿設されて、弁室40と2重壁体の隙間とが
連通される。2重壁体の隙間は、保水管18に連通され
る。なお、空気弁20の上方にダストカバー50が適宜
に設けられる。
【0016】かかる構成において、ポンプ16の運転状
態では、送水管14および保水管18に水が充填されて
いて、球体フロート42が上昇位置にあり空気弁20は
閉塞状態にある。ここで、ポンプ16が急激に運転を停
止すると、送水管14内に負圧が生じて保水管18内の
水が弁体32の小孔34を介して送水管14内に流入
(矢印A方向)する。ここで弁体32自体は閉塞され
る。流体通路30より上方にある保水管18の容量は、
送水管14内に空気が流入しないような貯水容量に設定
されている。これらは当該揚水ポンプシステムにおい
て、ポンプ16の停止時に送水管14内の水が慣性で移
動することにより生ずるであろう負圧の大きさおよび負
圧の継続時間を予め解析して、そのデータに基づいて適
宜に設定されれば良い。
【0017】そして、慣性による水の移動が停止し、逆
流を開始すると、弁体32は開放されて保水管18内に
水が流入(矢印B方向)して、保水管18内の空気が水
と置き代えられる。そして、保水管18が水で充填され
ると、空気弁20が閉塞される。
【0018】ところで、本発明の空気弁装置にあって
は、ポンプ16が急激に停止した時に送水管14内を慣
性で移動しようとする水に対して、小孔34による流入
抵抗が移動を抑制するように作用し、図3に示すごとき
空気弁20より自由に空気が送水管14内に流入し得る
従来のものに比較して、水の移動量は少ないものとな
る。そこで、水が逆流して空気弁20が閉塞する際の水
の流速は、図3に示すものに比べて大幅に小さなものと
なる。もって、空気弁20の閉塞により上昇する圧力も
大幅に小さなものに抑制することができる。
【0019】また、保水管18の貯水容量を適切に設定
することで、送水管14内に空気が流入することがな
く、送水管14内に空気が残留しないので、ポンプ16
の再起動によりエアーハンマ現象を生じさせることがな
い。しかも、小孔34により保水管18から送水管14
への流入が大きな流入抵抗で抑制されるので、流入量が
少なく、それだけ保水管18の貯水容量は小さくて足り
る。したがって、保水管18を小型化し得る。さらに、
送水管14内に空気が流入しないので、負圧発生時の負
圧の大きさを水の蒸気圧以上(例えば、−0.7kg/
cm2以上)に保持するようにフライホイール等の対策
を適宜に行なうことで、水柱分離が生ずることはない。
したがって、従来の送水管14内を正圧に保持するよう
にフライホイール等を設けるものに比較して、フライホ
イール等を小型化でき、設置スペースを小さくできる。
【0020】図2は、本発明の空気弁装置の他の実施例
の縦断面図である。図2において、図1と同じ部材には
同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0021】図2に示す他の実施例では、図1に示す一
実施例の流体通路30の構造が一部相違している。以
下、その相違につき説明する。図2に示す流体通路60
は、送水管14への水の流入で閉塞され排出で開放され
る弁体32を有するが、この弁体32には図1のものの
ごとく小孔34は穿設されていない。そして、この弁体
32と並列に、弁体32の上流および下流に開口する連
通管62が設けられ、この連通管62に絞り弁64が介
装されている。
【0022】かかる図2の構成において、絞り弁64が
適宜な抵抗となるように設定される。すると、送水管1
4への水の流入(矢印A方向)に対して、弁体32が閉
塞され絞り弁64を介して適宜な流入抵抗が与えられ
る。そして、送水管14から保水管18への水の流入
(矢印B方向)に対して、弁体32が開放されて小さな
排出抵抗が与えられる。したがって、図2に示す他の実
施例も、図1に示す一実施例と同様の作用を奏する。
【0023】なお、上記実施例では、流体通路30,6
0を保水管18に介装したが、これに限られず、送水管
14と保水管18の間に介装しても良いことは勿論であ
る。また、保水管18は円筒状のものに限られず、保水
管18と空気弁20との間に適宜な貯水容量を有する室
が介装されていても良い。さらに、流体通路30,60
は、上記実施例の構造に限られず、保水管18から送水
管14への水の流入に対して大きな流入抵抗であり、そ
の逆が小さな排出抵抗を有するものであれば良く、例え
ば弁体32に代えて逆止弁を設け絞り弁64の作用を細
い連通管62による流体抵抗で奏するようにしても良
い。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の空気弁装
置は構成されているので、以下のごとき格別な効果を奏
する。
【0025】請求項1記載の空気弁装置にあっては、保
水管から送水管への水の流入抵抗が大きいので、ポンプ
の急激な停止にともなう送水管内の水の慣性による移動
に対して抑制する力が作用し、従来の空気弁装置に比較
して、水の移動量を小さくできる。そこで、慣性による
水の移動が停止しさらに逆流して空気弁が閉塞される直
前の水の流速を小さくでき、もって空気弁が閉塞された
ときの水の流速変化を小さくでき、それだけ送水管内の
圧力上昇を抑制し得る。
【0026】また、請求項2記載の空気弁装置にあって
は、ポンプの停止の際に水の慣性による移動で送水管内
に生ずる負圧により送水管へ水が流入するのに対して、
保水管の貯水容量を送水管内に空気が流入しない大きさ
としたので、送水管内に空気が流入するようなこともな
く、流入空気に起因する空気だまりおよびエアーハンマ
現象を生じさせない。そこで、ポンプの再起動のとき
に、エアーハンマ現象を生じさせないように慎重な空気
抜き操作を必要とせず、それだけ操作が容易であるとと
もに、エアーハンマ現象が生じないことにより安全性も
向上する。そして、保水管から送水管への水の流入が、
小孔の大きな流入抵抗で抑制されるので、流入量が少な
く、それだけ保水管の貯水容量が小さくて足り、保水管
を小型化できる。さらに、送水管内に空気が流入しない
ので、送水管内を水の蒸気圧以上に保持すれば良く、当
該圧力を保持するためのフライホイール等を、従来のも
ののごとく送水管内を正圧に保持しなければならないも
のに比較して、小型化できる。もって、本発明の空気弁
装置は、その設置スペースを小さくすることができる。
【0027】さらに、請求項3記載の空気弁装置にあっ
ては、流入抵抗が大きく排出抵抗の小さい流体通路を簡
単に構成することができる。
【0028】そして、請求項4記載の空気弁装置にあっ
ては、流体通路が一般的な弁体と絞り弁と連通管の汎用
部品で構成され、少量の製造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気弁装置の一実施例の縦断面図であ
る。
【図2】本発明の空気弁装置の他の実施例の縦断面図で
ある。
【図3】一般的な揚水ポンプシステムの一例を示す図で
ある。
【符号の説明】
14 送水管 16 ポンプ 18 保水管 20 空気弁 30,60 流体通路 32 弁体 34 小孔 62 連通管 64 絞り弁

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長管水路を形成する送水管に保水管を介
    して空気弁を設け、前記送水管と保水管の間または前記
    保水管に、前記送水管への水の流入抵抗が大きく前記送
    水管からの水の排出抵抗の小さな流体通路を介装して構
    成したことを特徴とする空気弁装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の空気弁装置において、前
    記送水管内に送水するためのポンプの急激な停止により
    前記送水管内に生ずる負圧の大きさおよび負圧継続時間
    に応じて、前記流体通路の流入抵抗および前記保水管の
    容量を設定し、前記送水管内に空気が流入しないように
    構成したことを特徴とする空気弁装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の空気弁装置にお
    いて、前記流体通路を、前記送水管への水の流入で閉塞
    され排出により開放される弁体と、この弁体に穿設され
    て前記流入抵抗を規制する小孔とで構成したことを特徴
    とする空気弁装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の空気弁装置にお
    いて、前記流体通路を、前記送水管への水の流入で閉塞
    され排出により開放される弁体と、この弁体に並列に設
    けられた連通管と、この連通管に介装されて前記流入抵
    抗を規制する絞り弁とで構成したことを特徴とする空気
    弁装置。
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