JP2881027B2 - 繊維強化樹脂成形用シートの製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂成形用シートの製造方法

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JP2881027B2 JP26350690A JP26350690A JP2881027B2 JP 2881027 B2 JP2881027 B2 JP 2881027B2 JP 26350690 A JP26350690 A JP 26350690A JP 26350690 A JP26350690 A JP 26350690A JP 2881027 B2 JP2881027 B2 JP 2881027B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、繊維強化樹脂成形用シートの製造方法に
関し、詳しくは、ガラス繊維や炭素繊維等で補強された
熱硬化性樹脂からなる繊維強化樹脂製品を、真空成形法
等のシート成形方法で製造する際の素材となる繊維強化
樹脂成形用シートを製造する方法に関するものである。
〔従来の技術〕
繊維強化樹脂製品の製造方法には、ハンドレイアップ
法、スプレー成形法、金型成形法、真空成形法、加圧成
形法等があるが、このうち、予め製造された繊維強化樹
脂成形用シートを用いる真空成形法や加圧成形法等のシ
ート成形方法は、比較的簡単かつ能率的に高精度な成形
品を製造できる方法として開発が進められている。
第8図は、従来における真空成形法の概略を示してお
り、ポリエステル樹脂等の液状の熱硬化性樹脂にガラス
繊維や炭素繊維等の強化繊維を加えてシート状に形成さ
れた繊維強化樹脂成形用シートSを用い、この成形用シ
ートSを、雌型(もしくは雄型)の成形型mの上に配置
し、成形型mの型面に設けられた真空吸引口Vから真空
吸引することによって、成形用シートSを型面に沿うよ
う賦形したあと、成形型mの型面からの伝熱等で成形シ
ートSを加熱硬化させれば、所望の形状を備えた繊維強
化樹脂成形品が得られるというものである。
上記方法では、成形用シートSの型面に接触しない側
の表面に、柔軟で延伸性のある熱可塑性樹脂からなる被
覆フィルムCを貼り付けておくようにしている。この被
覆フィルムCは、真空吸引による賦形の際に、成形用シ
ートSの両面における圧力差で成形用シートSの樹脂材
料内に気泡が入ったり、ガラス繊維が毛羽立ったり、表
面に凹凸が出来たりするのを防止するために用いられて
いる。
また、成形品の表面に、ガラス繊維等を含有させた繊
維強化樹脂層が露出していると、ガラス繊維等の凹凸で
表面の平滑性が損なわれたり、表面の質感が良くなかっ
たりするので、成形用シートSのうち、型面と接触する
側の表面に、強化繊維を含まない熱硬化性樹脂に適当な
着色剤その他を添加したもの等からなる表面樹脂層を積
層しておくことも行われている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記のような従来の成形方法では、加熱硬
化工程において、成形用シートSの表面を覆う被覆フィ
ルムCが局部的に溶融し、その結果、被覆フィルムCが
剥がれてしまって、前記した成形用シートSへの気泡侵
入防止や表面の平滑化等が果たせなくなり、成形品の仕
上がりが悪くなるという問題があった。
被覆フィルムCが局部的に溶融するのは、成形用シー
トSを構成する熱硬化性樹脂が加熱硬化する際に発熱を
起こし、被覆フィルムCに隣接する表層部分で、先に硬
化が始まり流動性を失った部分では熱の対流が起こらな
いために局部的に熱がこもり、その部分の被覆フィルム
Cが高熱になって溶融し、賦形時に延伸された被覆フィ
ルムCが元に戻ろうとして剥がれてしまうのである。被
覆フィルムCが剥がれた時点で、熱硬化性樹脂の表面が
液状もしくは軟化状態のままであると、熱硬化性樹脂が
被覆フィルムCについて剥がれたり、前記したような、
ガラス繊維の毛羽立ちや気泡の浸入あるいは表面の凹凸
等が発生する。
このような問題を解決するため、本願発明者らは、成
形用シートSのうち、被覆フィルムCに隣接する表層部
分の熱硬化性樹脂のみを、全体の加熱硬化とは別に、紫
外線照射によって硬化させておく方法を発明し、特願平
2−26903号で特許出願している。
第9図に、上記方法の概略を示しており、成形用シー
トSは、紫外線硬化剤が配合された透明な熱硬化性樹脂
をガラス繊維fに含浸させた繊維強化透明樹脂層aと、
ガラス繊維fを含まず着色された熱硬化性樹脂のみから
なる表面樹脂層bとが積層されていて、成形型mに沿っ
て賦形された形成用シートSに被覆フィルムCの上から
紫外線を照射して、繊維強化透明樹脂層aの表層部分全
体(図中、×印で表した部分)を硬化させる。そうする
と、成形用シートS全体が加熱硬化する際の発熱が、表
層部分の一部のみにこもって高熱になるのを防ぐことが
できる。また、被覆フィルムCが局部的に溶融したとし
ても、繊維強化透明樹脂層aの表層部分が硬化していれ
ば、ガラス繊維の毛羽立ちや気泡の浸入等は起こらな
い。
この方法においては、繊維強化透明樹脂層aは、紫外
線を吸収させて硬化させるために透明にしておかねばな
らず、着色された成形品を製造するには、繊維強化透明
樹脂層aに着色された表面樹脂層bを積層しておく必要
がある。
ところが、上記先行技術では、繊維強化樹脂成形品の
形状によっては、表面樹脂層bが局部的に薄くなって、
内部の繊維強化透明樹脂層aが見えてしまい、表面の色
調が一様に仕上がらず、色ムラが生じたり、外観が悪く
なるという問題が生じる。
これは、第9図に示すように、成形型の面内に突起個
所Pがあるような場合には、表面樹脂層bが突起個所P
により局部的に強く押圧されたり引き伸ばされたりして
厚みが薄くなってしまうためである。表面樹脂層bには
強化繊維が含有されていないため、繊維強化透明樹脂層
aよりも変形し易く、成形時の歪みが表面樹脂層bに集
中するので、どうしても薄くなってしまう。繊維強化透
明樹脂層aが表面樹脂層bと同じ色に着色されていれ
ば、表面樹脂層bが薄くなっても外観的には目立たない
が、繊維強化透明樹脂層aに着色してしまうと、紫外線
が透過せず、前記した紫外線照射による表層部分の硬化
が行えない。
このような課題を解決するためには、繊維強化透明樹
脂層aと表面樹脂層bの間に表面樹脂層と同系色に着色
された繊維強化着色樹脂層を有する、3層からなる繊維
強化樹脂成形用シートが有効である。この3層からなる
成形用シートが上記課題解決に有効に作用するために
は、繊維強化透明樹脂層aが紫外線硬化性であることが
必須の要件である。したがって、前記3層からなる繊維
強化樹脂成形用シートの製造は、各層から相互に混入す
ることによりそれぞれの層の機能が阻害されるのを避け
るために、先に形成した層に次の層を形成するに先立っ
て増粘処理を施すこととにより実施される。すなわち、
通常は、被覆フィルムの上に表面樹脂層bを形成した
後、増粘処理を施し、次いで、その上に繊維強化着色樹
脂層を形成した後、再度増粘処理を施し、更に、その上
に繊維強化透明樹脂層aを形成するという手順で製造す
るために、当該シート全層を形成するまでに少なくとも
2回の増粘処理を余儀無くされる。このことは、増粘処
理には通常3〜5時間を必要とするため、この3層から
なる繊維強化樹脂成形用シートの製造が極めて生産性の
悪いものであることを意味する。したがって、当該シー
トの優れた性能にも関わらず、その実用の障害となって
いるのが現状である。
そこで、この発明の課題は、上記の3層によりなる繊
維強化樹脂成形用シートを効率良く製造する方法を提供
することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明にかかる繊維強化樹脂
成形用シートの製造方法は、成形型の型面に沿うよう賦
形し加熱硬化させて成形する繊維強化樹脂成形用シート
であって、成形用シートの一方の表面に配置され着色さ
れた表面樹脂層と、表面樹脂層の内側に隣接して配置さ
れ表面樹脂層と同系色に着色された繊維強化着色樹脂層
と、成形用シートの他方の表面に配置され紫外線硬化性
のある繊維強化透明樹脂層とを少なくとも含む 繊維強
化樹脂成形用シートを製造する方法において、表面樹脂
層を形成し増粘処理を施しておくとともに、これとと別
個に繊維強化透明樹脂層を形成した後で、この繊維強化
透明樹脂層を増粘処理することなく、繊維強化透明樹脂
層の上に繊維強化着色樹脂層を積層しておき、ついで前
記表面樹脂層を繊維強化着色樹脂層に積層する。
繊維強化樹脂成形用シートを構成する樹脂材料として
は、通常の成形用シートと同様に、各種熱硬化性樹脂が
自由に使用できる。具体的には、不飽和ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリウレタン樹脂、エポキシ
(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。樹脂材料に
は、加熱硬化剤や紫外線硬化剤および硬化助剤その他、
必要に応じて、各種の添加剤が配合される。例えば、加
熱硬化剤の具体例としては、樹脂材料が不飽和ポリエス
テル樹脂の場合、有機過酸化物、ジアゾ化合物等が挙げ
られる。
樹脂材料に対する強化繊維としては、通常の繊維強化
樹脂の場合と同様のものが使用でき、具体的には、ガラ
ス、炭素、金属、ケブラー(商品名、アラミド樹脂)、
テトロン(商品名、ポリエステル樹脂)等からなる繊維
のロービング、マット、スワールマット、不織布等が挙
げられる。これらの強化繊維に液状の前記樹脂材料を塗
布あるいは含浸させてシート状に成形することによっ
て、基本的な繊維強化樹脂層が形成される。繊維強化樹
脂層に含まれる強化繊維の含有量は、一般的には繊維含
有量が多いほど補強効果は大きくなるが、成形は難しく
なる。通常は、繊維含有率が約10〜70重量%程度の範囲
のものを用いる。
表面樹脂層は、前記のような樹脂材料に、各種の着色
剤を添加して所定の着色を施され、また、表面性状や質
感を調整するための各種添加剤等が添加される場合もあ
る。表面樹脂層に使用される着色剤としては、当該樹脂
層の硬化性を阻害しないものであれば特に制約はなく、
各種顔料、染料等を用いることができ、例えば、代表的
な白色着色剤としてチタン白(酸化チタン)が挙げるら
れる。
この発明では、繊維強化樹脂層として、透明な樹脂材
料に紫外線硬化剤等を配合して紫外線硬化性を持たせた
樹脂材料を前記強化繊維に含浸させた繊維強化透明樹脂
層と、前記表面樹脂層と同系色に着色された繊維強化着
色樹脂層とを組み合わせる。
繊維強化透明樹脂層には、通常の加熱硬化剤に加えて
紫外線硬化剤を含有させておく。紫外線硬化剤の具体例
としては、例えば、エポキシ樹脂用の紫外線硬化剤とし
て、以下のものが挙げられる。
アリルジアゾニウム塩類 ArN≡NPF6 (Ar=アリル基または置換アリル基) ジアリルヨードニウム塩類 Ar2 I+ X- (Ar=アリル基または置換アリル基X-=BF4 -,As
F6 -,PF6 -,SbC16 -等) トリアリルスルホニウム塩類 Ar3 S+ X- (Ar=アリル基または置換アリル基X-=BF4 -,As
F6 -,PF6 -,SbC16 -等) 繊維強化着色樹脂層は、表面樹脂層と全く同じ色に着
色されたものだけでなく、繊維強化樹脂成形品を製造し
たときに、表面樹脂層が局部的に薄くなって裏面の繊維
強化着色樹脂層が見えても、周囲の部分との色の違いが
目立たない範囲で、同じ系統もしくは色調の着色が施さ
れていればよい。
繊維強化樹脂成形用シートは、一方の表面に前記表面
樹脂層が配置され、この表面樹脂層に隣接して繊維強化
着色樹脂層が配置されるとともに、他方の表面に前記繊
維強化透明樹脂層が配置された状態で、複数の樹脂層が
積層されている。繊維強化着色樹脂層と繊維強化透明樹
脂層の間には、同様の樹脂材料あるいは強化繊維からな
る別の繊維強化樹脂層を積層しておくこともできる。す
なわち、少なくとも前記のような繊維強化着色樹脂層と
繊維強化透明樹脂層とを有する繊維強化樹脂層、およ
び、その表面に積層された表面樹脂層を備えていれば、
それ以外の材料層を積層しておくことは何ら差し支えな
い。
繊維強化樹脂成形用シートを製造する際には、前記の
ような各層を、通常の樹脂シートと同様の手段で順次積
層していく。但し、この発明では、後述する被覆フィル
ム等の上で表面樹脂層を形成し増粘処理を施した後、別
個に形成された繊維強化着色樹脂層と積層させる。繊維
強化着色樹脂層は、繊維強化透明樹脂層を形成してか
ら、この繊維強化透明樹脂層を増粘処理をすることな
く、その上に繊維強化着色樹脂層を積層することによっ
て形成される。上記以外の各層についての積層順は自由
に設定できる。本発明においては、繊維強化透明樹脂層
と繊維強化着色樹脂層を上記手順にしたがって積層する
こと以外は、繊維強化樹脂成形用シートを製造する際の
その他の過程において、必要に応じて、積層の途中の段
階もしくは積層終了後に増粘処理を行うことができる。
増粘処理は、樹脂材料に予め増粘剤を添加しておく方法
や光照射、加熱その他、通常の増粘手段が適用できる。
増粘処理により、各構成層の積層作業や成形用シート全
体の取り扱いが容易になる。但し、増粘処理の回数は、
出来る限り少なくしたほうが、繊維強化樹脂成形用シー
トの生産効率が良くて好ましい。
繊維強化樹脂成形用シートを成形に用いる際には、繊
維強化樹脂成形用シートり片面もしくは両面に被覆フィ
ルムを貼り付けておく。被覆フィルムの材料は、通常の
成形方法で用いられているのと同様の各種熱可塑性樹脂
フィルムが用いられ、特に、成形用シートと同時に賦形
できるように、柔軟性および延伸性があるとともに、成
形用シートに含まれる樹脂材料等に侵されないものを用
いる。具体的には、ナイロン、ビニロン、ポリビニルア
ルコール等が挙げられる。被覆フィルムの厚みは、通常
の成形方法の場合と同じでよいが、一般には5〜500μ
m程度が好ましく、さらに望ましくは10〜100μm程度
のものを用いる。被覆フィルムを成形用シートに貼り付
ける際には、液状の樹脂材料からなる樹脂層の表面に被
覆フィルムを密着させるだけで貼り付けられる。この被
覆フィルムの上に前記表面樹脂層を形成すれば、製造が
容易で、成形工程までの表面樹脂層の取り扱いにも便利
である。成形用シートを構成する他の樹脂層、すなわち
繊維強化透明樹脂層と繊維強化着色樹脂層等を表面樹脂
層とは別の被覆フィルムの上に順次積層形成しておくこ
ともできる。表面樹脂層と繊維強化着色樹脂層とを積層
一体化させた成形用シートの両面に被覆フィルムを貼り
付けておけば、液状の樹脂材料を含む成形用シートの保
管や取り扱いが容易になり、複数の成形用シートを積み
重ねても粘着しない。
この発明にかかる方法で製造された繊維強化樹脂成形
用シートは、通常の真空成形法や加工成形法等により、
任意の形状を備えた繊維強化樹脂成形品が製造され、成
形方法の各工程や成形条件、成形型の構造等は、自由に
設定できる。
例えば、成形型は、雌型および雄型の何れでも良い。
また、成形型の材料は、通常、鋼やアルミ等からなる金
型が用いられるが、樹脂型等も使用できる。
成形型に繊維強化樹脂成形用シートを装着する際に
は、成形型の型面側に表面樹脂層が配置され、成形型の
型面と接触せず開放されている側の表面に繊維強化透明
樹脂層が配置されるようにする。
成形用シートを成形型の型面に沿うよう賦形する手段
としては、成形型に設けられた真空吸引口から真空吸引
して成形用シートを賦形する真空成形法、成形用シート
の型面と反対側の面に空気等の流体圧を付加し、成形用
シートを型面に押し付けて賦形する加圧成形法、あるい
は、前記真空吸引と圧力付加を併用する方法等が採用で
きる。
成形用シートを加熱硬化させる手段としては、成形型
に加熱ヒータを内蔵したりして成形型を加熱自在に構成
しておき、型面からの伝熱によって成形用シートを加熱
する方法、あるいは、上記加熱方法に加えて、雰囲気全
体を加熱する方法や赤外線を照射する方法等を併用する
ことも可能である。
この発明にかかる方法で製造された繊維強化樹脂成形
用シートを用いる場合、成形用シートが加熱硬化するま
での段階で、成形用シートの繊維強化透明樹脂層に紫外
線を照射して、繊維強化透明樹脂層の少なくとも表層部
分を硬化させておく。紫外線照射は、通常の紫外線ラン
プ等を用いて行なわれる。
紫外線を照射する時期は、成形用シートの賦形前から
成形用シートが完全に加熱硬化するまでの適当な時点に
設定すればよい。但し、成形用シートを賦形する段階で
賦形が出来なくなるほど過度に表層部分が硬化してはな
らず、また、成形用シートの加熱硬化が進行して被覆フ
ィルムの溶融が起きる前に、成形用シートの表層部分が
少なくとも半硬化してなければならない。さらに、紫外
線照射と成形用シートの表層部分の硬化の進行とは時間
的にずれがあるので、前記のような条件をも考慮して。
紫外線の照射時期その他の照射条件を設定する。具体的
には、賦形工程の前から紫外線照射を開始したり、賦形
工程と同時に紫外線照射を行ったり、賦形工程の終了後
に紫外線照射を行ったりすることができる。
紫外線照射による表層部分の硬化は、表層部分が完全
に硬化する手前の段階で停止させるのが好ましい。これ
は、表層部分を紫外線照射で完全に硬化させておくと、
型面からの伝熱による加熱硬化で、中央部分に収縮応力
が残ったままで硬化していまい、成形品の内部にクラッ
クが発生し易くなるという問題が生じるためであり、表
層部分が完全に硬化していなければ、前記収縮応力を逃
がすことができる。なお、表層部分は、紫外線照射で完
全に硬化させなくても、成形用シート全体の加熱硬化に
より、最後的には他の部分と同じように完全に硬化され
る。
紫外線照射で硬化させる表層部分の厚みは、繊維強化
透明樹脂層の全体にわたる必要はなく、硬化発熱によつ
て被覆フィルムが局部的に溶融しても、樹脂内部に気泡
が入り込んだり、樹脂材料が被覆フィルムに付いて剥が
れてしまったりしない程度の厚みが確保されれば、わず
かな厚みで十分である。また、成形用シートの全面に紫
外線を照射して表層部分を硬化させるほか、前記したよ
うな被覆フィルムの溶融が起こり易い個所のみに紫外線
を照射して、局部的に表層部分を硬化させておいてもよ
い。
〔作用〕
繊維強化樹脂層と着色された表面樹脂層が積層された
繊維強化樹脂成形用シートを形成する際に、成形形状に
よって、表面樹脂層が薄くなってしまう個所があって
も、表面樹脂層に隣接して表面樹脂層と同系色の繊維強
化着色樹脂層が設けてあれば、外観的には表面樹脂層が
薄くなったことが目立たず、成形品の表面は一様な着色
状態を呈することになる。繊維強化着色樹脂層は、強化
繊維が含まれているので、成形時に押圧されたり引き伸
ばされたりしても、厚みが薄くなってしまうことはな
く、表面樹脂層の着色を確実に補強することが出来る。
また、成形用シートのうち、表面樹脂層と反対側の表
面に、紫外線硬化性のある繊維強化透明樹脂層を設けて
おけば、成形時に、この繊維強化透明樹脂層に紫外線を
照射して、成形用シートの表層部分のみを、全体の加熱
硬化とは別に硬化させておくことができる。その結果、
成形用シートの表面に貼り付けられる被覆フィルムの溶
融および剥がれを防止し、気泡の浸入や強化繊維の毛羽
立ちあるいは表面の凹凸等のない。良好な仕上がりが得
られる。
上記のような繊維強化樹脂成形用シートを製造する際
には、各構成層を順番に積層していけばよいが、表面に
強化繊維による凹凸が存在し厚みのバラツキもある繊維
強化着色樹脂層の上に表面樹脂層を形成すると、表面樹
脂層も均一な厚みに形成されず、部分的に表面樹脂層の
薄い個所ができたり、繊維強化着色樹脂層の強化繊維が
表面樹脂層内に侵入したりする。そうすると、成形用シ
ートを成形した後で、表面樹脂層すなわち繊維強化樹脂
成形品の表面に凹凸が出来たり、強化繊維が露出した
り、表面性状のムラやバラツキが生じることになる。
そこで、この発明では、予め表面樹脂層のみを形成
し、形成された表面樹脂層に増粘処理を施しておき、こ
れとは別個に形成された繊維強化着色樹脂層と表面樹脂
層を積層して繊維強化樹脂成形用シートを製造する。こ
のようにすれば、表面樹脂層は、通常の樹脂単独層の形
成方法に準じて形成するだけで、平滑で厚みの均一なも
のを製造することができ、この表面樹脂層を増粘してお
けば、繊維強化着色樹脂層と積層しても、厚みが不均一
になったり強化繊維が侵入したりする心配がなくなる。
なお、複数の繊維強化樹脂層を積層する場合、上下の
樹脂層間で、先に形成された下層の樹脂が、新たに積層
された上層の樹脂中に混入するという現象が生じ易い。
したがって、繊維強化着色樹脂層を形成してから、その
上に繊維強化透明樹脂層を積層すると、着色樹脂層に配
合されている着色剤が透明樹脂層に移行侵入して、透明
樹脂層の透明性を低下させてしまう、繊維強化透明樹脂
層の透明性が悪くなければ、紫外線の吸収性が低下し、
表層部分の紫外線硬化を十分に行うことができず、前記
した被覆フィルムの溶融および剥がれの防止や、気泡の
浸入、強化繊維の毛羽立ちあるいは表面の凹凸発生防止
等が果たせなくなる。
そこで、この発明では、繊維強化透明樹脂層を形成し
た後で、繊維強化透明樹脂層の上に繊維強化着色樹脂層
を積層する。このようにすると、後で積層する着色樹脂
層から、先に形成された透明樹脂層へは樹脂が混入し難
く、着色剤が透明樹脂層に移動侵入する可能性は少なく
なる。
これは、各層を積層する際の含浸・脱泡作業による樹
脂の動きは、下層(既に含浸・脱泡された層)の過剰な
樹脂が、現在積層している上部の層のほうに押し上げら
れるように動くためにに、最初に積層された繊維強化透
明樹脂層の最下層(すなわち、繊維強化透明樹脂層と被
覆フィルムとの接触面)まで、上層に積層された繊維強
化着色樹脂層の着色剤が移動することは出来ず、その結
果、繊維強化透明樹脂層に、紫外線硬化性のある表層部
分を十分に確保できることになる為であると考えられ
る。
上記のような作用結果、透明樹脂層の中で、特に紫外
線硬化性が維持されるべき表層部分までは、着色剤が移
行・侵入することがなく、繊維強化透明樹脂層の表層部
分の透明性を十分に確保でき、その紫外線硬化を確実か
つ十分に行える。また、繊維強化透明樹脂層を形成する
樹脂液の粘度が高いほど、前記のような作用効果は高く
なり、好ましいものである。更に、当該樹脂液として揺
変性のものを用いれば、前記作用効果はより高まり、よ
り好ましい。なお、透明樹脂層から着色樹脂層への樹脂
の混入が起きる可能性はあるが、着色樹脂層に、少しぐ
らいの透明樹脂が混入したとしても、着色樹脂層全体の
着色が薄くなる心配はなく、前記した繊維強化着色樹脂
層による表面樹脂層のカバー効果には影響しない。
なお、繊維強化透明樹脂層を繊維強化着色樹脂層の上
に後から積層する場合でも、繊維強化着色樹脂層に増粘
処理を施しておいたり、繊維強化着色樹脂層の繊維含有
率を高めておいたりすると、繊維強化透明樹脂層への着
色剤の混入をある程度阻止することはできるが、繊維強
化着色樹脂層への増粘処理を行う方法は、処理工程が増
え生産能率が低下する欠点があり、繊維強化着色樹脂層
の繊維含有率を高める方法は、強化繊維が余分に必要で
あるとととも、成形性能や繊維強化樹脂製品の目的、要
求性能等の制約から繊維含有率をあまり高く出来ない場
合には適用できない。
これに対し、前記した方法であれば、余分な作業工程
や材料は全く使用せず、他の作業工程や製品の品質性能
には何ら影響を与えずに、繊維強化透明樹脂層への着色
剤の混入を確実に阻止することが可能である。
〔実施例〕
ついで、この発明を実施例を示す図面を参照しなが
ら、以下に説明する。
第1図は、繊維強化樹脂成形用シートに被覆フィルム
を貼り付けた状態の断面構造を示しており、繊維強化樹
脂成形用シート20は、目的とする成形品の表面を構成す
るよう、所定の着色が施された表面樹脂層26と、この表
面樹脂層26と同系色に着色された不飽和ポリエステル樹
脂等の熱硬化性樹脂をガラス繊維等の強化繊維23に含侵
させた繊維強化着色樹脂層24と、紫外線硬化剤が配合さ
れた透明な熱硬化性樹脂を強化繊維23に含侵させた繊維
強化透明樹脂層22とが順次積層されている。繊維強化樹
脂成形用シート20の両面には、ビニロンフィルム等の被
覆フィルム3,34が貼り付けられている。なお、表面樹脂
層26側の被覆フィルム34は、成形用シート20の保護や取
り扱いを容易にするため、あるいは、型外しを容易にす
るため等に有効であるが、無くてもよい。
第2図は、上記のような積層構造を備えた成形用シー
ト20の製造装置の一例を示し、第3図は、製造工程を段
階的に示している。
まず、第2図において、巻回ロール32に保持された被
覆フィルム30を、順次引き出して走行させながら、被覆
フィルム30の上に、強化繊維23および紫外線硬化性を付
与した透明樹脂を供給して繊維強化透明樹脂層22を層形
成する〔第3図(a)参照〕。つぎに、繊維強化透明樹
脂層22の上に、強化繊維23および所定の着色が施された
着色樹脂を供給して繊維強化着色樹脂層24を層形成する
〔第3図(b)参照〕。このように、先に繊維強化透明
樹脂層22を形成してから、その上に繊維強化着色樹脂層
24を形成すると、繊維強化透明樹脂層22に増粘処理を施
さなくても着色樹脂層24の着色剤が透明樹脂層22の表層
部分まで移行することがない。
つぎに、上記被覆フィルム30の走行位置の上方で、別
の巻回ロール36に保持された被覆フィルム34を引き出し
て、前記被覆フィルム30と反対方向に走行させる。被覆
フィルム34の上に所定の着色が施された樹脂材料を供給
し、ドクターナイフ等の厚み規制部材42で一定の厚みに
引き伸ばして、表面樹脂層26を層形成する。被覆フィル
ム34および表面樹脂層26は、増粘炉44で増粘処理を施さ
れた後、ガイドロール46,46に沿って走行方向を逆転さ
せられる。走行方向が逆転すると、被覆フィルム34の下
面に表面樹脂層26が付着した状態になる。この表面樹脂
層26が前記繊維強化着色樹脂層24に重なるように、上下
の被覆フィルム30,34を同じ方向に走行させれば〔第3
図(c)〕、表面樹脂層26、繊維強化着色樹脂層24およ
び繊維強化透明樹脂層22が順次積層された繊維強化樹脂
成形用シート20が完成し、繊維強化樹脂成形用シート20
の両面には被覆フィルム30,34が貼り付けられた状態に
なる。
上記実施例の製造方法によれば、まず、表面樹脂層26
を被覆フィルム34の上に層形成しているので、平滑で均
一な厚みの表面樹脂層26が形成でき、成形品の外観や表
面性状が良好になる。表面樹脂層26を増粘してから繊維
強化着色樹脂層24と積層しているので、繊維強化着色樹
脂層24の強化繊維23が表面樹脂層26側に混入する心配が
ない。繊維強化透明樹脂層22を先に層形成してから、そ
の上に繊維強化着色樹脂層24を層成形しているので、着
色樹脂層24の着色剤が透明樹脂層22の表層部分に移行す
ることがない。
繊維強化樹脂成形用シート20の製造方法としては、上
記方法のほか、被覆フィルム34とは別の適当なフィルム
その他の平滑面上で表面樹脂層26を形成し増粘した後、
繊維強化着色樹脂層24側に積層することもできる。
なお、繊維強化着色樹脂層24の強化繊維の含有率を40
重量%以上にしておけば、着色樹脂層24の着色剤が透明
樹脂層22に移行するのをより確実に阻止できる。
つぎに、このようにして製造された繊維強化樹脂成形
用シート20の成形方法について説明する。
第4図は成形状態を示しており、成形型10の上に被覆
フィルム30,34を貼り付けた繊維強化樹脂成形用シート2
0を配置し、成形型10の真空吸引口14から真空吸引し
て、成形用シート20および被覆フィルム30,34を型内に
引き込み型面12に沿って賦形する。成形用シート20は、
型面12に接触した時点で、型面12からの伝熱により加熱
硬化を開始する。第6図に示すように、型面12に突起個
所14が存在する場合、表面樹脂層26が押圧されたり引き
伸ばされたりして、突起14の頂点で局部的に薄くなる
(P点)。しかし、表面樹脂層26の内側には繊維強化着
色樹脂層24が存在し、この繊維強化着色樹脂層24は、強
化繊維23が入っているので薄くならず、十分な厚さを保
っている。
第5図に示すように、紫外線照射ランプ50を照射し
て、成形用シート20のうち、型面12と反対側の繊維強化
透明樹脂層22の表層部分29(図中に×印で示す部分)を
紫外線硬化させる。この段階では、型面12側からの伝熱
による成形用シート20全体の加熱硬化はそれほど進行し
ておらず、加熱硬化に伴う発熱は、被覆フィルム30を溶
融させる程の高熱にはなっていない。
紫外線照射ランプ50の照射を終了した後、通常の加熱
硬化工程を経て、成形用シート20の全体が硬化する。こ
の段階では、加熱硬化に伴う発熱で、被覆フィルム30が
局部的に溶融する場合もあるが、成形用シート20の前記
表層部分29は既に硬化しているので、従来のような問題
は生じない。
各層の樹脂材料が十分に加熱硬化して、成形用シート
20が所望の形状に成形された後、成形型10から成形用シ
ート20および被覆フィルム30,34を取り出し、所定のト
リミングや外形加工を行えば、第7図に示すような繊維
強化樹脂成形品28が得られる。成形用シート20の表面に
貼り付けられていた被覆フィルム30,34は、成形品28の
表面から剥がしてしまえばよい。
このようにして得られた成形品28は、第6図に示すよ
うに、成形時の変形によって、表面樹脂層26が局部的に
薄くなっている個所Pがあっても、表面樹脂層26の裏側
に配置された繊維強化着色樹脂層24で十分にカバーされ
るので、外観的には表面全体が一様な着色状態で良好な
仕上がりとなる。また、表面樹脂層26とは反対側の繊維
強化透明樹脂層22の表面も、成形時に被覆フィルム30で
覆われ、かつ、表層部分29が紫外線硬化されていたの
で、気泡の浸入や強化繊維の毛羽立ち、凹凸等がない平
滑で良好な仕上がりとなる。
ついで、この発明の方法で繊維強化樹脂成形用シート
を具体的に製造し、その成形性能を評価した結果につい
て説明する。
なお、例示中の「%」は、特別の断りがない限り「重
量%」を意味するものとする。
−使用材料および成形型− 〈表面樹脂層用樹脂液〉 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 (エポラックN−325 日本触媒化学工業株式会社製) チタン白 10重量部 無水珪酸微粉末 2重量部 スチレン 15重量部 増粘剤(酸化マグネシウム) 1重量部 加熱硬化剤 1重量部 (ターシャリブチル ・パーオキシ2エチルヘキサノエート) 〈繊維強化着色樹脂層用樹脂液〉 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 (エポラックG−103 日本触媒化学工業株式会社製) チタン白 10重量部 増粘剤(酸化マグネシウム) 1重量部 加熱硬化剤 1重量部 (ターシャリブチル ・パーオキシ2エチルヘキサノエート) 〈繊維強化透明樹脂層用樹脂液A〉 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 (エポラックG−103 日本触媒化学工業株式会社製) スチレン 15重量部 増粘剤(酸化マグネシウム) 1重量部 加熱硬化剤 1重量部 (ターシャリブチル ・パーオキシ2エチルヘキサノエート) 紫外線硬化剤 1重量部 (ベンゾインメチルエーテル) 配合樹脂液粘度=1.2ポイズ 〈繊維強化透明樹脂層用樹脂液B〉 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 (エポラックG−103 日本触媒化学工業株式会社製) 増粘剤(酸化マグネシウム) 1重量部 加熱硬化剤 1重量部 (ターシャリブチル ・パーオキシ2エチルヘキサノエート) 紫外線硬化剤 1重量部 (ベンゾインメチルエーテル) 配合樹脂液粘度=6.7ポイズ 〈繊維強化透明樹脂層用樹脂液C〉 不飽和ポリエステル樹脂 100重量部 (エポラックG−103 日本触媒化学工業株式会社製) スチレン 13重量部 無水珪酸微粉末 1重量部 増粘剤(酸化マグネシウム) 1重量部 加熱硬化剤 1重量部 (ターシャリブチル ・パーオキシ2エチルヘキサノエート) 紫外線硬化剤 1重量部 (ベンゾインメチルエーテル) 配合樹脂液粘度=5.5ポイズ 配合樹脂揺変性指数=2.3 〈強化繊維〉 ガラス繊維マット (MC−450A 日東紡製) 〈被覆フィルム〉 ビニロンフィルム(厚さ30ミクロン) 〈成形型〉 開口部600×150mm、深さ75mmで、内部に排気口を有し、
かつ、長手方向に沿って下記形状の突起を有する雌型。
突起の断面形状が、頂角90度、高さ10mmの二等辺三角形
で頂点に曲率半径10mmの丸みを付けている。この突起に
相当する溝が成形品に成形される。
−実施例1− 前記第3図に示す工程で繊維強化樹脂成形用シート20
を製造した。
まず、平滑な台の上に、型枠に張った被覆フィルム34
を台と接するように置き、その上面の両端に、厚さ1m
m、幅10mmのシリコンム帯からなるスペーサを配置し
た。スペーサの間の被覆フィルム34上に表面樹脂層用樹
脂液を供給した後、スペーサの上に渡したガラスの棒を
スペーサに沿って移動させて樹脂液の表面を均らして余
分の樹脂液を除去し、表面樹脂層26を形成した。さら
に、40℃で3時間増粘させることによって、表面樹脂層
付被覆フィルムを得た。
つぎに、別の被覆フィルム30の上に、ガラス繊維マッ
ト2枚と繊維強化透明樹脂層用樹液Aを用いて、ガラス
含有量約30%の繊維強化透明樹脂層22を形成した〔第3
図(a)参照〕。その上に直ちに、ガラス繊維マット1
枚と繊維強化着色樹脂層用樹脂液を用いて、ガラス含有
量約30%の繊維強化着色樹脂層24を積層した〔第3図
(b)参照〕。各層の具体的な積層工程は、常法にした
がって行い、溝切り脱泡ロールを用いた。
繊維強化着色樹脂層24の上に、脱泡を容易にするため
に少量の繊維強化着色樹脂層用樹脂液を供給し、先に準
備した表面樹脂層26付の被覆フィルム34を、表面樹脂層
26が繊維強化着色樹脂層24に重なるように被せた〔第3
図(c)参照〕。このとき、表面樹脂層26と繊維強化着
色樹脂層24の間に気泡を巻き込まないように注意して重
ねた。ついで、ロールで余分の樹脂を除去し、脱泡処理
を行った。得られた積層シートは、40℃で12時間熟成し
て、両面に被覆フィルム30、34が貼り付けられた繊維強
化樹脂成形用シート20を製造した。
得られた成形用シート20は、片面に美麗な着色状態の
表面樹脂層26が表れ、反対面には良好な透明状態を示す
繊維強化透明樹脂層22が表れていた。中間には繊維強化
着色樹脂層24があり、繊維強化着色樹脂層24から繊維強
化透明樹脂層22の表層部分への着色剤の移行は認められ
なかった。
つぎに、繊維強化樹脂成形用シート20を成形した。型
温90℃の成形型10の開口部に、表面樹脂層26側が型面12
側に配置されるようにして、前記成形用シート20を装着
し、周辺を固定した後、内部を真空排気して、成形用シ
ート20を型内に吸引賦形し、直ちに紫外線照射ランプで
90秒間紫外線を照射した。賦形後20分で型外しを行い、
両面の被覆フィルム30、34を剥がしたところ、得られた
成形品28は、表裏面ともに、気泡の浸入や不必要な凹凸
は無く、平滑で均一な色調を備えた良好な外観を有する
とともに、強度的にも優れたものであった。
−実施例2− 実施例1において、繊維強化透明樹脂層22を形成する
樹脂液として樹脂液Bを用いた以外は、実施例1と同様
の工程で繊維強化樹脂成形用シート20を製造した。得ら
れた成形用シート20の状態は、実施例1と同様に良好で
あった。
成形用シート20の成形を、紫外線照射時間を70秒間に
した以外は、実施例1と同様に行ったところ、実施例1
と同様に成形品の仕上がりは良好であった。
−実施例3− 実施例1において、繊維強化透明樹脂層22を形成する
樹脂液として樹脂液Cを用いた以外は、実施例1と同様
の工程で繊維強化樹脂成形用シート20を製造した。得ら
れた成形用シート20の状態は、実施例1と同様に良好で
あった。
成形用シート20の成形を、紫外線照射時間を50秒間に
した以外は、実施例1と同様に行ったところ、実施例1
と同様に成形品の仕上がりは良好であった。
−比較例1− 被覆フィルム30の上に、ガラス繊維マット2枚と繊維強
化透明樹脂層用樹液Aを用いて、ガラス含有量約30%の
繊維強化透明樹脂層22を形成した。その上に直ちに、ガ
ラス繊維マット1枚と繊維強化着色樹脂層用樹脂液を用
いて、ガラス含有量約30%の繊維強化着色樹脂層24を積
層した。ここまでは、実施例1における、第3図(a)
および(b)に示した工程と同じである。
つぎに、繊維強化着色樹脂層24の上面の両端に、実施
例1と同様のスペーサを配置した。スペーサの間の繊維
強化着色樹脂層24上に表面樹脂層用樹脂液を供給した
後、スペーサの上に渡したガラス棒をスペーサに沿って
移動させて樹脂液の表面を均らして余分の樹脂液を除去
し、表面樹脂層26を形成した。得られた積層シートを、
40℃い12時間熟成して、繊維強化樹脂成形用シート20を
製造した。得られた成形用シート20の状態は、繊維強化
透明樹脂層22側の表面は実施例1と同様であったが、表
面樹脂層26側の表面には凹凸があり、実施例1に比べて
劣るものであった。
成形用シート20の成形を、実施例1と同様に行ったと
ころ、表面樹脂層26側の表面に凹凸があり、実施例1に
比べて劣るものであった。この結果から、表面樹脂層26
を形成し増粘処理を施してから繊維強化着色樹脂層24と
積層することの利点が明らかである。
−比較例2− 平滑な台の上に被覆フィルム34を張り、両端に前記同
様のスペーサを載せた後、スペーサの間に表面樹脂層用
樹脂液を供給し、スペーサの上に渡したガラス棒をスペ
ーサに沿って移動させて樹脂液の表面を均らして余分の
樹脂液を除去し、表面樹脂層26を形成した。40℃で3時
間増粘させた後、表面樹脂層26の上に、ガラス繊維マッ
ト1枚と繊維強化着色樹脂層用樹脂液を用いて、ガラス
含有量約30%の繊維強化着色樹脂層24を形成した。つい
で、直ちに、ガラス繊維マット2枚と繊維強化透明樹脂
層用樹液Bを用いて、ガラス含有量約30%の繊維強化透
明樹脂層22を積層した。この段階で、繊維強化透明樹脂
層22の一部に繊維強化着色樹脂層24の着色剤が混入して
透明性が失われた部分が認められた。さらに、その上
に、脱泡を容易にするために少量の繊維強化透明樹脂層
用樹脂液Bを供給し、被覆フィルム30を被せてロールで
脱泡処理を行った。なお、前記各層の積層は、常法にし
たがい、溝切り脱泡ロールを用いて行った。得られた積
層シート全体を、40℃で12時間熟成して、繊維強化樹脂
成形用シート20を製造した。得られた成形用シート20の
状態は、片面に美麗な表面樹脂層26が表れていたが、反
対面の繊維強化透明樹脂層22には繊維強化着色樹脂層24
の着色剤が混入して、表面全体の透明性が失われてい
た。
成形用シート20を成形を、実施例1と同様に行ったと
ころ、賦形後約4分で繊維強化透明樹脂層22を覆う被覆
フィルム30が破れた。得られた成形品28は、繊維強化透
明樹脂層22側の表面が著しく毛羽立っていた。この結果
と各実施例の結果を比べれば、繊維強化透明樹脂層22を
先に成形して、その上に繊維強化着色樹脂層24を積層す
ることを利点が明らかである。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明にかかる繊維強化樹脂成形用
シートの製造方法によれば、まず、表面樹脂層を形成し
増粘処理を施してから、これと別個に形成された繊維強
化着色樹脂層と積層するので、得られた繊維強化樹脂成
形用シートは均一な厚みを有し表面に凹凸がなく平滑な
表面樹脂層を有し、表面樹脂層へり強化繊維の侵入も起
こらない。
その結果、繊維強化樹脂成形用シートは、表面樹脂層
に隣接して繊維強化着色樹脂層が設けられていることに
より、成形時に表面樹脂層が局部的に薄くなっても、表
面の着色状態は、成形品の全体で一様かつ良好なものと
なり、外観的に極めて優れた仕上がりが得られる。しか
も、前記した表面樹脂層の特性により、表面が平滑で色
調や質感のムラもなく、美麗で良好な仕上がりを有する
ものとなる。
さらに、繊維強化透明樹脂層を形成してから、その上
に繊維強化着色樹脂層を積層するので、繊維強化着色樹
脂層に配合された着色剤が繊維強化透明樹脂層の表層部
分まで移行侵入することがない。したがって、製造され
る繊維強化樹脂成形用シートは、繊維強化透明樹脂層の
特に表層部分の透明性が良好で、紫外線の吸収性、すな
わち紫外線硬化性が極めて良好なものとなる。
その結果、成形用シート表面に被覆フィルムを貼り付
けておくとともに、成形時に表層部分を紫外線照射で硬
化させる成形方法を適用したときに、その後の加熱硬化
で被覆フィルムが剥がれて気泡の浸入や繊維の毛羽立
ち、凹凸等が発生するのを、確実に防止することができ
るのである。
以上の結果、この発明にかかる方法で製造された繊維
強化樹脂成形用シートを用いれば、表面の仕上がりが良
好で品質性能に優れた繊維強化樹脂成形品を製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例にかかる繊維強化樹脂成形
用シートの断面図、第2図は製造装置の一例を示す概略
構造図、第3図は製造工程を段階的に示す断面図、第4
図は成形方法を示す概略断面図、第5図は成形中の要部
拡大断面図、第6図は表面樹脂層が薄くなった部分の断
面図、第7図は得られた成形品の断面図、第8図は従来
例の成形状態を示す断面図、第9図は要部拡大断面図で
ある。 20……繊維強化樹脂成形用シート、22……繊維強化透明
樹脂層、23……強化繊維、24……繊維強化着色樹脂層、
26……表面樹脂層、28……成形品、30、34……被覆フィ
ルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿部 倶久 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式 会社本田技術研究所内 (72)発明者 上田 賢一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 稲垣 裕治 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 跡部 大祐 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29B 11/16 B29B 15/08 - 15/14 B08J 5/24 B29C 70/00 - 70/88

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形型の型面に沿うよう賦形し加熱硬化さ
    せて成形する繊維強化樹脂成形用シートであって、 前記成形用シートの一方の表面に配置され着色された表
    面樹脂層と、 前記表面樹脂層の内側に隣接して配置され表面樹脂層と
    同系色に着色された繊維強化着色樹脂層と、 前記成形用シートの他方の表面に配置され紫外線硬化性
    のある繊維強化透明樹脂層と、 を少なくとも含む繊維強化樹脂成形用シートを製造する
    方法において、 表面樹脂層を形成し増粘処理を施しておくとともに、 これと別個に繊維強化透明樹脂層を形成した後で、 この繊維強化透明樹脂層を増粘処理することなく、 繊維強化透明樹脂層の上に繊維強化着色樹脂層を積層し
    ておき、 ついで前記表面樹脂層を繊維強化着色樹脂層に積層する ことを特徴とする繊維強化樹脂成形用シートの製造方
    法。
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