JP2866694B2 - 繊維強化樹脂の成形方法 - Google Patents

繊維強化樹脂の成形方法

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JP2866694B2 JP2026903A JP2690390A JP2866694B2 JP 2866694 B2 JP2866694 B2 JP 2866694B2 JP 2026903 A JP2026903 A JP 2026903A JP 2690390 A JP2690390 A JP 2690390A JP 2866694 B2 JP2866694 B2 JP 2866694B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、繊維強化樹脂の成形方法に関し、詳しく
は、ガラス繊維や炭素繊維等で補強された熱硬化性樹脂
材料からなるシート成形品を製造するための方法に関す
るものである。
〔従来の技術〕
繊維強化樹脂成形品の製造方法には、ハンドレイアッ
プ法、スプレー成形法、金型成形法、真空成形法等、多
くの方法が知られている。
第5図は、真空成形法の概略を示しており、ポリエス
テル樹脂等の液状の熱硬化性樹脂にガラス繊維や炭素繊
維等の補強材を加えてシート状に形成された繊維強化樹
脂成形用シートSを予め作製しておき、この成形用シー
トSを、雌型(もしくは雄型)の成形型mの上に配置
し、成形型mの型面に設けられた真空吸引口Vから真空
吸引することによって、成形用シートSを型面に沿うよ
う賦形したあと、成形型の型面からの伝熱等で成形用シ
ートSを加熱硬化させて成形型mから取り出せば、所望
の形状を備えたシート成形品が得られるというものであ
る。
上記方法では、成形用シートSの、成形型mの型面に
接触しない側の表面に、柔軟で延伸性のある熱可塑性樹
脂からなる被覆フィルムCを貼り付けておくようにして
いる。この被覆フィルムCは、真空吸引による賦形の際
に、成形用シートSの樹脂材料内に気泡が入るのを防止
するために用いられている。すなわち、成形用シートS
を構成する樹脂材料は液状なので、この樹脂材料が表面
に露出していると、真空吸引に伴う成形用シートS両面
の圧力差により、樹脂材料内に気泡を取り込んだり、表
面に凹凸が出来たりしてしまう。しかし、成形用シート
Sの樹脂材料が露出する面に被覆フィルムCを貼り付け
ておけば、前記したような気泡の侵入が阻止され、凹凸
の発生も防止できるというものである。この被覆フィル
ムCは、成形用シートSを重ねておくときに、シート同
士が粘着しないようにしたり、成形用シートSの取り扱
いを容易にするためにも有効である。また、被覆フィル
ムCは、成形用シートSの両面に設けておく場合もあ
る。
上記したような真空成形法は、成形型mの構造が簡単
で、型精度もそれほど要求されず、比較的精度の高いシ
ート成形品を能率良く製造できる方法として、各種の用
途への幅広い応用が期待されている。
また、成形型mの真空吸引口Vから真空吸引する真空
成形法の代わりに、成形用シートSの、成形型mの型面
に接触しない側の表面に圧力を付加することにより、成
形用シートSを型面に押し付けて賦形する加圧成形法、
あるいは、真空吸引と加圧の両方で成形用シートSを賦
形する方法もある。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、上記したような、従来の成形方法では、加
熱硬化工程において、成形用シートSの表面を覆う被覆
フィルムCが局部的に溶融してしまうという問題があっ
た。被覆フィルムCが局部的に溶融して孔があくと、成
形用シートSの表面に密着して延伸変形させられていた
被覆フィルムCが、収縮して元の平坦な状態に戻ろうと
して、樹脂材料から剥がれてしまい、成形用シートSを
構成する液状の樹脂材料が表面に露出して、気泡が入っ
たり、表面に凹凸が出来て汚くなったりするという問題
が生じ、良好な成形品が得られないという欠点があっ
た。
被覆フィルムCには、加熱硬化工程における加熱温度
以上の耐熱性を有する材料を用いるので、外部からの加
熱のみでは溶融することはないのであるが、成形用シー
トSを構成する熱硬化性樹脂材料は、硬化する際に自ら
発熱を起こし、この硬化発熱に伴う温度上昇で被覆フィ
ルムSが溶融してしまうのである。樹脂材料の硬化発熱
に伴う温度上昇は、成形用シートSの全体で一様ではな
く、成形用シートSのうち、先に硬化が進行して液状か
ら固体状になった部分では、熱の対流が行われ難いた
め、熱がこもって局部的に高温になり、前記被覆フィル
ムSの耐熱温度を超えてしまうことになるのである。
成形用シートSとともに賦形されている被覆フィルム
Cは、局部的にでも溶融して孔があいてしまうと、その
孔から被覆フィルムCと液状の樹脂材料の隙間に空気が
侵入する。そうなると、被覆フィルムCは、材料自体の
弾力的な復元力で、元の平坦な状態に戻ろうとして、樹
脂材料から剥がれてしまうのである。被覆フィルムCは
液状の樹脂材料に密着して貼り付けられているだけなの
で、被覆フィルムCの孔から空気が侵入すると、容易に
剥がれてしまう。
そこで、この発明の課題は、前記したような繊維強化
樹脂成形用シートの成形方法において、被覆フィルムの
局部的な溶融による孔を原因とする被覆フィルムの剥が
れの問題を解消して、気泡の侵入がなく、表面が美麗で
仕上がり品質の良好なシート成形品を製造することので
きる方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決する、この発明にかかる繊維強化樹脂
の成形方法は、少なくとも片面に被覆フィルムが貼り付
けられた繊維強化樹脂成形用シートを、型面に接触しな
い側に被覆フィルムを配置して、成形型の型面に沿うよ
う賦形し加熱硬化させる繊維強化樹脂の成形方法におい
て、紫外線硬化剤が添加された繊維強化樹脂成形用シー
トを用い、型面に沿って賦形された繊維強化樹脂成形用
シートの型面と反対側の表層部分のみを、全体の加熱硬
化とは別に紫外線照射により硬化させる。
繊維強化樹脂成形用シートは、通常のシート成形と同
様のものが用いられる。樹脂材料としては、各種の熱硬
化性樹脂が任意に使用できる。具体的には、不飽和ポリ
エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、エポ
キシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。樹脂材
料に対する補強材は、通常の補強繊維が任意に使用でき
る。具体的には、ガラス、炭素、金属、ケブラー(商品
名、アラミド樹脂)、テトロン(商品名、ポリエステル
樹脂)等からなる繊維のロービング、マット、スワール
マット、不織布等が挙げられる。これらの補強材に液状
の前記樹脂材料を塗布あるいは含浸させてシート状に成
形したものを用いる。なお、繊維強化樹脂成形用シート
としては、単層の繊維強化樹脂層からなるもののほか、
複数層の繊維強化樹脂層を積層したもの、異なる樹脂材
料もしくは補強材からなる複数種の繊維強化樹脂層を組
み合わせて積層したもの、さらに、繊維強化樹脂層と補
強材のない樹脂材料層とを組み合わせて積層したものな
ども用いられる。
繊維強化樹脂成形用シートの樹脂材料には、加熱硬化
剤とともに紫外線硬化剤を添加しておく。加熱硬化剤
は、樹脂材料に合わせて、通常のシート成形に用いられ
るものが使用できる。例えば、不飽和ポリエステル樹脂
の場合、有機過酸化物、ジアゾ化合物等が挙げられ、加
熱硬化剤に助剤を併用することもできる。
紫外線硬化剤は、通常の樹脂成形と同様のものが使用
できる。具体的には、樹脂材料の種類によっても違う
が、例えば、エポキシ樹脂用の紫外線硬化剤として、以
下のものが挙げられる。
アリルジアゾニウム塩類 ArN≡NPF6 (Ar=アリル基または置換アリル基) ジアリルヨードニウム塩類 Ar2I+X- (Ar=アリル基または置換アリル基 X-=BF4 -,AsF6 -,PF6 -,SbCl6 -等) トリアリルスルホニウム塩類 Ar3S+X- (Ar=アリル基または置換アリル基 X-=BF4 -,AsF6 -,PF6 -,SbCl6 -等) 紫外線硬化剤は、成形用シートを構成する樹脂材料の
全体に添加しておいてもよいが、成形用シートを成形型
の型面に沿って賦形したときに、型面の反対側になる表
層部分のみに、紫外線硬化剤を添加しておいてもよい。
前記したように、成形用シートを複数の樹脂層を積層し
て形成する場合には、そのうちの、前記表層部分となる
樹脂層のみに紫外線硬化剤を添加しておけばよい。成形
用シート全体の樹脂材料に紫外線硬化剤を添加しておけ
ば、成形型の型面からの伝熱による加熱硬化と紫外線照
射を併用して成形用シート全体を加熱硬化させることも
できる。
成形用シートの製造工程では、必要に応じて、通常の
手段で樹脂の増粘を行う。
被覆フィルムの材料は、通常の成形方法で用いられい
るものと同様の各種熱可塑性樹脂フィルムが用いられ、
前記成形用シートと同時に賦形できるように柔軟性およ
び延伸性があるとともに、成形用シートの樹脂材料に侵
されないものが用いられる。具体的には、ナイロン、ビ
ニロン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。被覆フ
ィルムの厚みは、通常の成形方法と同様でよいが、5〜
500μm程度が好ましく、さらに望ましくは10〜100μm
程度のものを用いる。被覆フィルムは、成形用シートの
片面もしくは両面に貼り付けて使用される。成形用シー
トは液状の樹脂材料からなるので、被覆フィルムを表面
に密着させるだけで貼り付けられる。成形用シートが、
複数の繊維強化樹脂層もしくは樹脂単独層からなるもの
の場合は、被覆フィルムを一部の繊維強化樹脂層もしく
は樹脂単独層に貼り付けた後、残りの層と積層一体化さ
せて成形用シートを製造することもできる。
成形型は、通常の真空成形あるいは加圧成形に用いら
れているのと同様の、任意の形状構造を有するものが用
いられる。成形型は、雌型および雄型の何れであっても
よい。成形型は、通常、鋼やアルミ等からなる金型が用
いられるが、樹脂型等でもよい。
上記のような成形用シート、被覆フィルム、成形型を
用いて、繊維強化樹脂の成形を行う。基本的な成形工程
は、通常の成形方法と同様に行われる。成形用シート
は、予め、増粘を行っておく場合もある。増粘手段に
は、樹脂材料に増粘剤を添加しておいたり、光照射、加
熱等の通常の増粘手段が採用できる。
被覆フィルムが成形型の型面に接触しない側に配置さ
れた状態で繊維硬化樹脂成形用シートを成形型の型面に
沿うよう賦形する。また、紫外線硬化剤が成形用シート
の片側の表層部分のみに添加されている場合は、紫外線
硬化剤添加層が成形型の型面の反対側に配置される。
成形用シートを成形型の型面に沿うよう賦形する手段
としては、成形型に設けられた真空吸引口から真空吸引
して成形用シートを賦形する真空成形法、成形用シート
の型面と反対側に空気等の流体圧を付加して成形シート
を型面に押し付けて賦形する加圧成形法、あるいは、前
記真空吸引と圧力付加を同時に行う方法など、通常の成
形方法が自由に適用できる。
成形用シートを加熱硬化させる手段としては、成形型
を加熱自在に設けておき、型面からの伝熱により成形用
シートを加熱する方法のみを用いるほか、これに加え
て、雰囲気全体を加熱する方法、赤外線を照射する方法
等、通常の各種硬化手段を併用することもできる。
この発明では、成形用シートが加熱硬化するまでの段
階で、成形用シートに紫外線を照射し、成形用シートの
表層部分のみを硬化させておく。紫外線を照射する時期
は、成形用シートを賦形する段階では賦形が不可能にな
るほど過度に表層が硬化しないように、また、成形用シ
ートの加熱硬化が進行して被覆フィルムの溶融が起きる
前に、成形用シートの表層部分を少なくとも半硬化させ
ておけるように設定する。紫外線照射と成形用シートの
表層部分の硬化の進行とは時間的にずれがあるので、前
記のような条件が満たされれば、紫外線照射の開始およ
び終了は、成形用シートの賦形前から成形用シートが完
全に加熱硬化するまでの適当な時点に設定することがで
きる。例えば、賦形工程と同時に紫外線照射を行った
り、賦形工程の終了後に紫外線照射を行ったりすること
が可能である。さらに、賦形時に賦形が不可能になるま
で表層の硬化が進行していないのであれば、賦形工程の
前より紫外線照射を開始することも可能である。
なお、紫外線照射による表層部分の硬化は、表層部分
が完全に硬化する手前の段階で停止させるのが好まし
い。表層部分を完全に硬化させておかなくても、成形用
シート全体の加熱硬化により、表層部分も他の部分と同
じように完全に硬化される。
紫外線照射で硬化させる表層部分の厚みは、硬化発熱
により被覆フィルムが局部的に溶融しても、樹脂内部に
気泡が入り込んだり、樹脂材料が被覆フィルムに付いて
剥がれてしまったりしない程度であればよく、わずかな
厚みで充分である。
表層部分を紫外線硬化させるのは、成形用シートの全
面であってもよいが、被覆フィルムの溶融が起きる可能
性のある個所のみに紫外線を照射して、局部的に表層部
分が硬化させてもよい。紫外線照射の手段は、通常の紫
外線ランプ等を用いればよい。
〔作用〕
成形型の型面に接触しない側の被覆フィルムに隣接す
る、成形用シートの表層部分を、全体の加熱硬化とは別
に紫外線照射により硬化させておけば、成形用シート全
体が加熱硬化する際の硬化発熱に伴う温度上昇で、被覆
フィルムが局部的に溶融して孔があいたとしても、成形
用シートの表層部分は既に硬化しているので、もはや気
泡が侵入することはない。被覆フィルムが収縮して剥が
れたり、元に戻ったりしても、成形用シートの表層部分
の樹脂材料が被覆フィルムについて剥がれたり、表面に
凹凸が出来たりすることもない。その結果、得られた成
形品は、型面に接触しない側の被覆フィルムを貼り付け
た面も平滑かつ美麗で良好な仕上がりとなる。
なお、成形用シート全体の硬化を、成形型の型面から
の伝熱による通常の加熱硬化でなく、成形用シートの表
面からの紫外線照射のみで行うことも考えられる。しか
し、成形用シートの厚みが薄ければ、紫外線照射のみで
全体を硬化させることも可能であるが、各種製品に用い
られる通常の成形用シートの厚みでは、紫外線照射で成
形用シートの内部まで充分に硬化させることができなか
ったり、硬化時間が長くかかったりするため、実用的で
はない。そこで、この発明では、成形用シート全体は通
常の加熱硬化手段で能率的に硬化させるとともに、これ
とは別に紫外線照射で成形用シートの表層部分のみを予
め硬化させておくのである。
紫外線照射を、繊維強化樹脂成形用シートの表層部分
が完全に硬化する手前の段階で停止すると、製造された
成形品にクラックが発生するのを防止できる。これは、
成形用シートを、成形型の型面からの伝熱で加熱硬化さ
せると、成形用シートの型面に接触する表面部分から内
部へと硬化が進行していき、樹脂は加熱硬化に伴って収
縮を起こす。従来の成形方法では、成形用シートの型面
側から反対側へと順番に硬化が進行していくので、硬化
収縮が充分に行え、収縮応力が残ることはない。しか
し、この発明の成形方法のように、型面の反対側の表層
部分を紫外線照射で硬化させておくと、成形用シート
は、型面側とその反対面側の両面から硬化し、中央部分
の硬化が最も遅れることになる。ところが、中央部分が
硬化するときには、既に周囲が硬化しているため、硬化
収縮が充分に行えず、収縮応力が残ってしまう。その結
果、製造された成形品の内部にクラックが発生するとい
う問題が生じるのである。そこで、前記したように、紫
外線照射を、繊維強化樹脂成形用シートの表層部分が完
全に硬化する手前の段階で停止しておけば、表層部分は
ある程度の変形が可能な状態に硬化することになり、成
形用シートの中央部分等が硬化する際の硬化収縮を吸収
して、クラックの発生を防止することができるのであ
る。なお、成形用シートの表層部分は、完全に硬化して
いなくても、ある程度以上に硬化していれば、前記し
た、気泡の侵入防止や凹凸発生防止の機能は充分に果た
すことができる。どの程度の硬化が適当であるかは、簡
単な実験の繰り返しで容易に知ることができる。
〔実 施 例〕
ついで、この発明の実施例を、図面を参照しながら説
明する。
第1図は、成形装置の全体構造を示しており、中央が
凹んだ、いわゆる雌型を構成している成形型10は、通常
の成形方法に用いられるものと同様の構造を有してい
る。成形型10の型面12には、真空吸引口14が設けられて
おり、真空吸引口14は真空発生源(図示せず)に連結さ
れている。成形型10の内部には、ヒータ等の加熱機構を
備えていて、型面12を加熱できるようになっている。成
形型10の上方には、紫外線照射ランプ40等の紫外線照射
手段が設けられている。
繊維強化樹脂成形用シート20は、不飽和ポリエステル
樹脂等の樹脂材料とガラス繊維等の補強繊維からなる、
通常の成形用シートと同じものである。但し、成形用シ
ート20のうち、少なくとも型面12と反対側の表層部分に
は紫外線硬化剤が添加されている。成形用シート20の上
面には、被覆フィルム30が貼り付けられている。被覆フ
ィルム30は、ビニロンフィルム等の通常の被覆フィルム
と同じものである。
上記のような成形装置および成形用シート20を用いる
成形方法を、第1図〜第3図により説明する。
まず、第1図に示すように、成形型10の上に被覆フィ
ルム30を貼り付けた成形用シート20を配置し、成形型10
の真空吸引口14から真空吸引して、成形用シート20およ
び被覆フィルム30を型内に引き込み、型面12に沿って賦
形する。成形用シート20は、型面12に接触した時点で、
型面12からの伝熱により加熱硬化を開始する。
紫外線照射ランプ40を照射して、成形用シート20のう
ち、型面12と反対側の表層部分を紫外線硬化させる。第
2図に示すように、成形用シート20のうち、表面側にな
る被覆フィルム30に隣接する表層部分26(×印で示す部
分)が硬化する。この段階では、型面12側からの伝熱に
よる成形用シート20全体の加熱硬化はそれほど進行して
おらず、加熱硬化に伴う発熱は、被覆フィルム30を溶融
させる程の高温にはなっていない。
紫外線照射ランプ40の照射を終了した後、通常の加熱
硬化工程を経て、成形用シート20の全体が硬化する。こ
の段階では、加熱硬化に伴う発熱で、被覆フィルム30が
局部的に溶融する場合があるが、成形用シート20の表層
部分26は既に硬化しているので、何ら差し支えない。
樹脂材料が充分に加熱硬化して、成形用シート20が所
望の形状に成形されれば、成形型10から成形用シート20
および被覆フィルム30を取り出す。
成形用シート20に所定のトリミングや外形加工を行え
ば、第3図に示すように、成形品28が得られる。成形用
シート20の表面に貼り付けられていた被覆フィルム30
は、成形品28の表面から剥がしてしまえばよい。こうし
て、繊維強化樹脂成形品が製造される。
前記のような成形方法に用いる成形用シート20および
被覆フィルム30としては、第4図(a)や(b)に示す
構造のものも使用できる。第4図(a)に示すものは、
成形用シート20の全体を紫外線硬化剤を添加した繊維強
化樹脂層で形成し、その両面に被覆フィルム30を貼り付
けたものである。したがって、型面12側にも被覆フィル
ム30が配置されることになる。第4図(b)に示すもの
は、成形用シート20として、紫外線硬化剤を含まない通
常の繊維強化樹脂層22の両面に、表面樹脂層24と紫外線
硬化剤を添加した繊維強化樹脂層25をそれぞれ積層した
ものを用い、その両面に被覆フィルム30を貼り付けたも
のである。
表面樹脂層24は、通常、成形品28の使用表面になる側
に配置され、補強材の繊維による凹凸を覆ったり、表面
の色や性状その他の外観向上等を目的として用いられる
ものである。具体的には、繊維強化樹脂層22と同じ材料
で補強材を含まないもの、樹脂材料に通常の各種着色剤
を添加したもの、樹脂材料にサーフェースマットを積層
したり、有機繊維等からなる不織布を積層したもの等が
挙げられる。
つぎに、この発明の成形方法を実際に使用した具体的
実施例について説明する。
−実施例1− 第4図(b)に示す構造の繊維強化樹脂成形用シート
20および被覆フィルム30を用いた。すなわち、繊維強化
樹脂層22の両面に、紫外線硬化剤を添加した繊維強化樹
脂層25と表面樹脂層24とをそれぞれ積層した成形用シー
ト20の両面に被覆フィルム30を貼り付けたものである。
各層の構造は下記のとおりであった。(配合量は重量
部で示す) (a) 被覆フィルム30 ビニロンフィルム (b) 紫外線硬化剤添加層25(厚み約1mm) 不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒化学工業(株)
製、エポラックG−103) …100部 ターシャリブチル・パーオキシ2エチルヘキサノエー
ト(加熱硬化剤) … 1部 ベンゾインメチルエーテル(紫外線硬化剤) … 1部 MgO … 2部 ガラスマット1層(ガラス含有率約33%) (c) 繊維強化樹脂層22(厚み約2mm) 不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒化学工業(株)
製、エポラックG−103) …100部 ターシャリブチル・パーオキシ2エチルヘキサノエー
ト(加熱硬化剤) … 1部 MgO … 2部 ガラスマット2層(ガラス含有率約33%) (d) 表面樹脂層24(厚み約0.7mm) 不飽和ポリエステル樹脂(日本触媒化学工業(株)
製、エポラックN−325) …100部 無水珪酸微粉末 … 2部 スチレン … 15部 ターシャリブチル・パーオキシ2エチルヘキサノエー
ト(加熱硬化剤) …1.1部 MgO …2.2部 第1図〜第3図に示す装置および工程で成形を行っ
た。成形型10は、型面12の底部四隅に真空吸引口14を備
え、開口部が200×500mmで深さ50mmの雌型が形成されて
いる。型温は90℃であった。成形用シート20は、表面樹
脂層24側が型面12側になるように配置した。
成形型10の上に、成形用シート20および被覆フィルム
30を載せ、成形型10と成形用シート20および被覆フィル
ム30の端部を密封固定した後、真空吸引口14から真空吸
引して、成形用シート20および被覆フィルム30を賦形し
た。ついで、直ちに紫外線照射ランプ40で60秒紫外線を
照射した。賦形後、20分で型外しを行い、被覆フィルム
30を剥がしたところ、得られた成形品28は表裏面ともに
気泡の侵入や凹凸はなく、平滑で美麗な外観を有すると
ともに、強度的にも優れた成形品28が製造できた。
−比較例1− 実施例1において、紫外線を照射しなかった以外は、
実施例1と同様の工程で成形を行った。
その結果、成形用シート20の賦形後、約4分で、被覆
フィルム30が浮き上がり、得られた成形品28の表面は、
被覆フィルム30が剥がれた部分が著しく毛羽立って、満
足できる仕上がりではなかった。
−実施例2− 第4図(a)に示す構造の成形用シート20および被覆
フィルム30を用いた。
各層の構造は下記のとおりであった。(配合量は重量
部で示す) (a) 被覆フィルム30 ビニロンフィルム (b) 成形用シート(紫外線硬化剤添加繊維強化樹脂
層)20(厚み約5mm) ビニルエステル樹脂(日本触媒化学工業(株)製、エ
ポラックRF−1001) …100部 ベンゾイルパーオキサイド(加熱硬化剤) … 1部 イルガキュアー651(紫外線硬化剤、チバ・ガイギー
社製) …0.3部 ガラスマット7層(ガラス含有率約42%) 成形装置および工程は、実施例1と同じであった。な
お、紫外線ランプの照射時間は20秒であった。
賦形後、20分間で得られた成形品28は、実施例1と同
様に、美麗で優れた仕上がりの成形品であった。
〔発明の効果〕
以上に述べた、この発明にかかる繊維強化樹脂の成形
方法によれば、真空成形や加圧成形等のいわゆるシート
成形法において、成形用シートに貼り付けておく被覆フ
ィルムのうち、成形型の型面に接触しない側の被覆フィ
ルムに隣接する成形用シートの表層部分を、紫外線照射
により硬化させておくことによって、被覆フィルムの剥
がれによる気泡の侵入や凹凸の発生を、確実に防止する
ことができる。その結果、得られた成形品は、表裏両面
とも、平滑かつ美麗で良好な仕上がりが得られる。成形
品内に気泡がないため、機械的強度等の品質性能にも優
れたものとなる。しかも、この成形方法は、成形用シー
トに紫外線硬化剤を添加しておくことと、紫外線照射工
程を行うことだけで、複雑な装置や工程は不要であり、
従来の一般的な成形方法と同じように簡単かつ能率的に
成形品を製造することが可能である。
特に、紫外線照射を、繊維強化樹脂成形用シートの表
層部分が完全に硬化する手前の段階で停止すれば、成形
品の内部にクラックが発生するのを確実に防止して、よ
り優れた品質性能の成形品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例を示す成形途中の断面図、第
2図は要部拡大断面図、第3図は成形された成形品の断
面図、第4図(a)および(b)はそれぞれ成形用シー
トの構造を示す断面図、第5図は従来例の断面図であ
る。 10……成形型、12……型面、14……真空吸引口、20……
成形用シート、26……紫外線硬化層、28……成形品、30
……被覆フィルム、40……紫外線照射ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 広巳 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番1号 ホ ンダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 上田 賢一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 跡部 大祐 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (72)発明者 滝沢 秀光 大阪府吹田市西御旅町5番8号 日本触 媒化学工業株式会社樹脂研究所内 (56)参考文献 特開 平2−273223(JP,A) 特開 平2−273224(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 51/00 - 51/46 B29C 67/14 - 67/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも片面に被覆フィルムが貼り付け
    られた繊維強化樹脂成形用シートを、型面に接触しない
    側に被覆フィルムを配置して、成形型の型面に沿うよう
    賦形し加熱硬化させる繊維強化樹脂の成形方法におい
    て、紫外線硬化剤が添加された繊維強化樹脂成形用シー
    トを用い、型面に沿って賦形された繊維強化樹脂成形用
    シートの型面と反対側の表層部分のみを、全体の加熱硬
    化とは別に紫外線照射により硬化させることを特徴とす
    る繊維強化樹脂の成形方法。
  2. 【請求項2】紫外線照射による表層部分の硬化を、表層
    部分が完全に硬化する手前の段階で停止させる請求項1
    記載の繊維強化樹脂の成形方法。
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