JP2019171606A - 繊維複合材の製造方法および繊維複合材 - Google Patents

繊維複合材の製造方法および繊維複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】耐火性に優れ、真空含浸工法を用いて容易に製造可能な繊維複合材を提供する。【解決手段】実施形態にかかる繊維複合材の製造方法は、型20上に、難燃剤14bが含まれた樹脂14aを含むコート層14を形成するコート層形成ステップと、コート層14上に第1の強化繊維基材11aよりも熱伝導率が高い第2の強化繊維基材12aを配置する高伝熱層基材配置ステップと、第2の強化繊維基材12a上に第1の強化繊維基材11aを配置する構造部材層基材配置ステップと、真空含浸工法を用いて、コート層14を介して型20上に配置された第1の強化繊維基材11aおよび第2の強化繊維基材12aにマトリックス樹脂15を含浸させる含浸ステップと、マトリックス樹脂15を硬化させて、第1の強化繊維基材11aを含む構造部材層および第2の強化繊維基材12aを含む高伝熱層を形成する層形成ステップとを備える。【選択図】図5

Description

本発明は、繊維複合材の製造方法および繊維複合材に関する。
従来、特に車両用部材として用いられる繊維複合材について、耐火性を高めるための技術が知られている。例えば、特許文献1には、表面領域に位置する表面層を、水酸化ナトリウムといった難燃剤を含むマトリックス樹脂を含浸させた繊維複合材とした車両用部材が開示されている。
特許第3853760号公報
ところで、繊維複合材の成形手法として、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)工法が知られている。VaRTM工法すなわち真空含浸工法は、型上に配置した強化繊維基材を例えばフィルム等に封入し、フィルム内を真空吸引した状態でマトリックス樹脂を注入して、マトリックス樹脂を強化繊維基材に含浸させる手法である。真空含浸工法を用いる場合、マトリックス樹脂に難燃剤が含まれていると、マトリックス樹脂の粘度が高まり、強化繊維基材への含浸が困難となることがわかった。そのため、真空含浸工法を用いて、耐火性に優れた繊維複合材をより容易に製造可能とすることが求められる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、耐火性に優れ、真空含浸工法を用いて容易に製造可能な繊維複合材の提供を目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、型上に、難燃剤が含まれた樹脂を含むコート層を形成するコート層形成ステップと、前記コート層上に第1の強化繊維基材よりも熱伝導率が高い第2の強化繊維基材を配置する高伝熱層基材配置ステップと、前記第2の強化繊維基材上に前記第1の強化繊維基材を配置する構造部材層基材配置ステップと、真空含浸工法を用いて、前記コート層を介して前記型上に配置された前記第1の強化繊維基材および前記第2の強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸ステップと、前記マトリックス樹脂を硬化させて、前記第1の強化繊維基材を含む構造部材層と、前記第2の強化繊維基材を含む高伝熱層とを形成する層形成ステップとを備えることを特徴とする。
この構成により、型上に、難燃剤が含まれた樹脂を含むコート層、第2の強化繊維基材、第1の強化繊維基材をこの順番で配置した上で、真空含浸工法によるマトリックス樹脂の含浸で第1の強化繊維基材を含む構造部材層および第2の強化繊維基材を含む高伝熱層を形成することができる。その結果、型から取り外した繊維複合材は、難燃剤が含まれた樹脂を含む耐火性に優れたコート層が表面層となる。また、構造部材層の第1の強化繊維基材よりも、熱伝導率が高い第2の強化繊維基材を含む高伝熱層を形成することで、繊維複合材に作用する熱を拡散させて、コート層に含まれる難燃剤を幅広い領域で利用することができる。そのため、マトリックス樹脂に難燃剤を含ませなくとも、製造した繊維複合材の耐火性を高めることができる。それにより、含浸ステップにおいて、真空含浸工法によって、第1の強化繊維基材および第2の強化繊維基材にマトリックス樹脂を容易に含浸させることができる。したがって、本発明によれば、耐火性に優れ、真空含浸工法を用いて容易に製造可能な繊維複合材を提供することができる。
また、前記コート層形成ステップは、前記型上に前記難燃剤を含む液状樹脂を塗布し、前記液状樹脂を半硬化させ、半硬化状態の前記コート層を形成し、前記層形成ステップは、前記半硬化状態の前記コート層を完全硬化させる処理を含むことが好ましい。
この構成により、型上にコート層を容易に形成することができる。また、液状樹脂を半硬化させてコート層を形成することで、接着剤などを用いることなく、コート層上に形成される層をコート層に容易に接着させることができる。
また、前記コート層上に光を半透過させる第3の強化繊維基材を配置する半透過性層基材配置ステップを備え、前記高伝熱層基材配置ステップは、前記第3の強化繊維基材上に前記第2の強化繊維基材を配置し、前記含浸ステップは、真空含浸工法を用いて、前記コート層を介して前記型上に配置された前記第1の強化繊維基材、前記第2の強化繊維基材および前記第3の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂を含浸させ、前記層形成ステップは、前記マトリックス樹脂を硬化させて、前記構造部材層と、前記高伝熱層と、前記第3の強化繊維基材を含む半透過性層とを形成することが好ましい。
この構成により、表面層であるコート層と、内層である高伝熱層との間に、光を半透過させる第3の強化繊維基材を含む半透過性層を形成することができる。その結果、外部からコート層を介して繊維複合材に入射する光の少なくとも一部を、半透過性層によって遮断または反射させて、内層である高伝熱層を外部から視認させないようにすることができる。したがって、繊維複合材の意匠性を向上させることができる。
また、前記第3の強化繊維基材は、ガラス繊維により構成される不織布であることが好ましい。
この構成により、半透過性層の不織布とされたガラス繊維によって、外部からコート層を介して繊維複合材に入射する光の少なくとも一部を、良好に散乱させることができる。その結果、内層である高伝熱層を、より良好に、外部から視認させないようにすることができる。また、第3の強化繊維基材が接着性に優れたガラス繊維により構成されることで、半透過性層とコート層との接着性を向上させることができる。それにより、表面層付近に配置されて熱影響を受けやすく、熱ひずみが生じやすい半透過性層がコート層から剥離することを抑制できる。
また、前記半透過性層は、前記コート層および前記高伝熱層よりも薄く形成されることが好ましい。
これにより、コート層と高伝熱層との間に半透過性層を設けても、高伝熱層による熱の拡散を良好に利用することができる。
また、前記第2の強化繊維基材は、ピッチ系炭素繊維で構成されることが好ましい。
この構成により、熱伝導性に優れたピッチ系炭素繊維で構成される第2の強化繊維基材によって、高伝熱層の熱伝導率を高めることができる。
また、前記難燃剤は、水酸化アルミニウムであることが好ましい。
この構成により、コート層の耐火性を高めることができる。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、第1の強化繊維基材にマトリックス樹脂が含浸された構造部材層と、前記構造部材層上に形成され、前記第1の強化繊維基材よりも熱伝導率が高い第2の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂が含浸された高伝熱層と、前記高伝熱層上に形成され、難燃剤が含まれた樹脂を含むコート層とを備えることを特徴とする。
この構成により、複合材の表面層は、難燃剤が含まれた樹脂を含む耐火性に優れたコート層となる。また、構造部材層に含まれる第1の強化繊維基材よりも、熱伝導率が高い第2の強化繊維基材を含む高伝熱層を形成することで、繊維複合材に作用する熱を拡散させて、コート層に含まれる難燃剤を幅広い領域で利用することができる。そのため、高伝熱層および構造部材層の強化繊維基材に含浸させるマトリックス樹脂に難燃剤を含ませることなく、繊維複合材の耐火性を高めることができる。それにより、真空含浸工法を用いて、第1の強化繊維基材および第2の強化繊維基材にマトリックス樹脂を容易に含浸させることができる。したがって、本発明によれば、耐火性に優れ、真空含浸工法を用いて容易に製造可能な繊維複合材を提供することができる。
また、前記高伝熱層と前記コート層との間に形成され、光を半透過させる第3の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂が含浸された半透過性層を備えることが好ましい。
この構成により、光を半透過させる第3の強化繊維基材を含む半透過性層によって、外部からコート層を介して繊維複合材に入射する光の少なくとも一部を遮断または反射させて、内層である高伝熱層を外部から視認させないようにすることができる。したがって、繊維複合材の意匠性を向上させることができる。
図1は、実施形態にかかる繊維複合材の概略を示す断面図である。 図2は、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法の手順を示すフローチャートである。 図3は、図2のコート層形成ステップにより型上にコート層を形成した状態を示す説明図である。 図4は、図2の半透過性層基材配置ステップ、高伝熱層基材配置ステップおよび構造部材層基材配置ステップにより各層の強化繊維基材を配置した状態を示す説明図である。 図5は、図2の含浸ステップの様子を模式的に示す説明図である。
以下に、本発明にかかる繊維複合材の製造方法および繊維複合材の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態にかかる繊維複合材の概略を示す断面図である。実施形態にかかる繊維複合材10は、例えば、自動車や列車といった車両に用いられる車両用部材である。なお、繊維複合材10は、車両以外のいかなるものに用いられる部材であってもよい。繊維複合材10は、図1に示すように、構造部材層11と、高伝熱層12と、半透過性層13と、コート層14とを備える。なお、図1において、構造部材層11、高伝熱層12および半透過性層13に付した斜線等は、各層の別を示すために付したものであり、繊維の方向を限定するものではない。
構造部材層11は、繊維複合材10の構造部材となる部分である。構造部材層11は、複数積層された第1の強化繊維基材11aにマトリックス樹脂15(図5参照)が含浸されて形成されるものである。構造部材層11における第1の強化繊維基材11aは、例えば車両用部材として用いられる繊維複合材10の構造部材としての要件を満たすものであれば、いかなる強化繊維で構成されてもよい。第1の強化繊維基材11aは、例えば、ガラス繊維、炭素繊維といった強化繊維を含む。
高伝熱層12は、構造部材層11上に形成される。高伝熱層12は、複数積層された第2の強化繊維基材12aにマトリックス樹脂15が含浸されて形成されるものである。第2の強化繊維基材12aは、構造部材層11の第1の強化繊維基材11aよりも熱伝導率が高いものとされる。第2の強化繊維基材12aは、熱伝導性に優れるピッチ系炭素繊維で構成される。なお、「ピッチ系炭素繊維で構成される」とは、主としてピッチ系炭素繊維で構成されることを意味し、他の繊維材料を含んでもよい。高伝熱層12は、熱伝導率が100W/mK以上とされることが好ましい。また、高伝熱層12は、厚みが1mm以上とされることが好ましい。なお、第2の強化繊維基材12aは、ピッチ系炭素繊維以外の炭素繊維で構成されてもよい。また、第2の強化繊維基材12aは、例えばアルミニウム繊維または銅繊維といった金属繊維で構成されてもよい。
半透過性層13は、高伝熱層12上に形成される。半透過性層13は、複数積層された第3の強化繊維基材13aにマトリックス樹脂15が含浸されて形成されるものである。実施形態において、第3の強化繊維基材13aは、光を半透過させる強化繊維基材であり、ガラス繊維で構成される。なお、「ガラス繊維で構成される」とは、主としてガラス繊維で構成されることを意味し、他の繊維材料を含んでもよい。また、実施形態において、第3の強化繊維基材13aは、繊維を織ることなく形成された不織布である。半透過性層13は、構造部材層11および高伝熱層12よりも薄く形成される。半透過性層13は、厚みが0.1mm以下とされることが好ましい。また、第3の強化繊維基材13aは、コート層14との接着性を高めるための表面処理が施されてもよい。それにより、半透過性層13にマイクロクラックが発生することを抑制できる。
コート層14は、繊維複合材10の表面層である。コート層14は、難燃剤14bを含む樹脂14aからなる。コート層14を構成する樹脂14aは、難燃性を有する樹脂材料であることが好ましい。樹脂14aとしては、例えばエポキシ樹脂等を用いることができる。難燃剤14bは、水酸化アルミニウムである。難燃剤14bは、水酸化カルシウム等であってもよい。また、樹脂14aは、熱伝導性を向上させるフィラーを含むものであってもよい。フィラーは、例えば、粉状または繊維状の無機材料(例えばアルミナ)、炭素、金属等を用いることができる。
実施形態において、マトリックス樹脂15は、図5に示すように、真空含浸工法を用いて構造部材層11の第1の強化繊維基材11a、高伝熱層12の第2の強化繊維基材12aおよび半透過性層13の第3の強化繊維基材13aに含浸される。構造部材層11、高伝熱層12および半透過性層13の各層に含浸されたマトリックス樹脂15は、硬化されたものである。マトリックス樹脂15は、例えばエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂またはメラニン樹脂等を用いることができる。
次に、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法について、図2から図5を参照しながら説明する。図2は、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法の手順を示すフローチャートである。図3は、図2のコート層形成ステップにより型上にコート層を形成した状態を示す説明図である。図4は、図2の半透過性層基材配置ステップ、高伝熱層基材配置ステップおよび構造部材層基材配置ステップにより各層の強化繊維基材を配置した状態を示す説明図である。図5は、図2の含浸ステップの様子を模式的に示す説明図である。
図2に示すように、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法は、コート層形成ステップS1、半透過性層基材配置ステップS2と、高伝熱層基材配置ステップS3と、構造部材層基材配置ステップS4と、含浸ステップS5と、層形成ステップS6とを順に行っている。
コート層形成ステップS1は、型20上に難燃剤14bを含む樹脂14aからなるコート層14を形成する工程である。より詳細には、コート層形成ステップS1においては、型20上に液状樹脂である樹脂14aを、例えば刷毛塗りによって塗布する。樹脂14aの粘度が十分に低い場合には、型20上に液状樹脂である樹脂14aを噴射して塗布してもよい。型20上に樹脂14aを塗布した後、液状樹脂である樹脂14aを半硬化させる。樹脂14aの半硬化は、樹脂14aが熱硬化性樹脂である場合には加熱により行い、樹脂14aが熱可塑性樹脂である場合には冷却により行うことができる。また、樹脂14aの半硬化は、樹脂14aが紫外線の照射により硬化するUV硬化型樹脂である場合、紫外線照射により行うことができる。また、樹脂14aは、常温において一定時間の経過により硬化する二液混合タイプの常温硬化性樹脂であってもよい。この場合、樹脂14aが半硬化したタイミングで、半透過性層基材配置ステップS2と、高伝熱層基材配置ステップS3と、構造部材層基材配置ステップS4と、含浸ステップS5を行えばよい。
半透過性層基材配置ステップS2は、コート層14上に、第3の強化繊維基材13aを配置するステップである。このとき、半硬化状態のコート層14の樹脂14aと、第3の強化繊維基材13aとが接着される。高伝熱層基材配置ステップS3は、半透過性層基材配置ステップS2で配置された第3の強化繊維基材13a上に、第2の強化繊維基材12aを配置するステップである。構造部材層基材配置ステップS4は、高伝熱層基材配置ステップS3で配置された第2の強化繊維基材12a上に、第1の強化繊維基材11aを配置するステップである。これにより、図4に示すように、型20上に、コート層14、第3の強化繊維基材13a、第2の強化繊維基材12a、第1の強化繊維基材11aが、この順番で配置される。
含浸ステップS5は、真空含浸工法を用いて、コート層14を介して型20上に配置された第1の強化繊維基材11a、第2の強化繊維基材12aおよび第3の強化繊維基材13aにマトリックス樹脂15を含浸させるステップである。より詳細には、図5に示すように、型20上に配置されたコート層14、第3の強化繊維基材13a、第2の強化繊維基材12aおよび第1の強化繊維基材11aを、例えばプラスチックフィルム等の封止部材21内に封入する。封止部材21には、空気吸引孔21aと、樹脂注入口21bとが形成されている。次に、図示しない真空吸引器によって空気吸引孔21aを介して封止部材21内の空気を吸引する。そして、空気吸引孔21aを閉鎖させた上で、図示しないマトリックス樹脂15の供給装置から封止部材21内へとマトリックス樹脂15を注入する。それにより、図5に示すように、第1の強化繊維基材11a、第2の強化繊維基材12aおよび第3の強化繊維基材13aの間にマトリックス樹脂15が流入する。
層形成ステップS6は、マトリックス樹脂15を硬化させて、構造部材層11と、高伝熱層12と、半透過性層13とを形成するステップである。層形成ステップS6では、含浸ステップS5で各基材に含浸させたマトリックス樹脂15を周知の手法により硬化させる。その結果、図1に示す構造部材層11、高伝熱層12および半透過性層13が形成される。また、構造部材層11、高伝熱層12および半透過性層13がマトリックス樹脂15を介して互いに固定される。
さらに、実施形態において、層形成ステップS6は、半硬化状態のコート層14を完全硬化させる処理を含む。すなわち、コート層形成ステップS1において半硬化させたコート層14の樹脂14aを完全硬化させる。樹脂14aの完全硬化は、樹脂14aが熱硬化性樹脂である場合には加熱により行い、樹脂14aが熱可塑性樹脂である場合には冷却により行うことができる。また、樹脂14aの完全硬化は、樹脂14aが紫外線の照射により硬化するUV硬化型樹脂である場合、紫外線照射により行うことができる。また、樹脂14aの完全硬化は、樹脂14aが常温硬化性樹脂である場合、一定時間の経過により行われる。これらの処理は、上述したマトリックス樹脂15の硬化処理とは異なるタイミングで行われてもよいし、例えば、樹脂14aおよびマトリックス樹脂15を加熱によって同時に硬化させる等、マトリックス樹脂15の硬化処理と同時に行われてもよい。
その結果、型20上において構造部材層11、高伝熱層12、半透過性層13およびコート層14が一体化されて繊維複合材10が成形される。型20から取り外された繊維複合材10は、図1に示すように、構造部材層11と、表面層としてのコート層14との間に、高伝熱層12および半透過性層13が配置された構成となる。なお、構造部材層11、高伝熱層12、半透過性層13およびコート層14は、以上の製造方法によって繊維複合材10を製造することができ、かつ、耐火性を含めて繊維複合材10に要求される性能を確保することができれば、上述した構成材料に加えて、他の材料を含むものであってもよい。
以上説明したように、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法は、型20上に、難燃剤14bが含まれた樹脂14aを含むコート層14、第2の強化繊維基材12a、第1の強化繊維基材11aをこの順番で配置した上で、真空含浸工法によるマトリックス樹脂15の含浸で第1の強化繊維基材11aを含む構造部材層11および第2の強化繊維基材12aを含む高伝熱層12を形成することができる。
その結果、型20から取り外した繊維複合材10は、難燃剤14bが含まれた樹脂14aを含む耐火性に優れたコート層14が表面層となる。また、構造部材層11の第1の強化繊維基材11aよりも、熱伝導率が高い第2の強化繊維基材12aを含む高伝熱層12を形成することで、繊維複合材10に作用する熱を拡散させて、図1において破線で模式的に示すように、コート層14に含まれる難燃剤14bを幅広い領域で利用することができる。
そのため、マトリックス樹脂15に難燃剤を含ませなくとも、製造した繊維複合材10の耐火性を高めることができる。それにより、含浸ステップS5において、真空含浸工法を用いて、第1の強化繊維基材11aおよび第2の強化繊維基材12aにマトリックス樹脂15を容易に含浸させることができる。したがって、実施形態にかかる繊維複合材の製造方法によれば、耐火性に優れ、真空含浸工法を用いて容易に製造可能な繊維複合材10を提供することができる。
また、コート層形成ステップS1は、型20上に難燃剤14bを含む液状樹脂を塗布し、液状樹脂を半硬化させ、半硬化状態のコート層14を形成し、層形成ステップS6は、半硬化状態のコート層14を完全硬化させる処理を含む。
この構成により、型20上にコート層14を容易に形成することができる。また、液状樹脂を半硬化させてコート層14を形成することで、接着剤などを用いることなく、コート層14上に形成される層(図1に示す例では、半透過性層13)をコート層14に容易に接着させることができる。
また、コート層14上に光を半透過させる第3の強化繊維基材13aを配置する半透過性層基材配置ステップS2を備え、高伝熱層基材配置ステップS3は、第3の強化繊維基材13a上に第2の強化繊維基材12aを配置し、含浸ステップS5は、真空含浸工法を用いて、コート層14を介して型20上に配置された第1の強化繊維基材11a、第2の強化繊維基材12aおよび第3の強化繊維基材13aにマトリックス樹脂15を含浸させ、層形成ステップS6は、マトリックス樹脂15を硬化させて、構造部材層11と、高伝熱層12と、第3の強化繊維基材13aを含む半透過性層13とを形成する。
この構成により、表面層であるコート層14と、内層である高伝熱層12との間に、光を半透過させる第3の強化繊維基材13aを含む半透過性層13を形成することができる。その結果、外部からコート層14を介して繊維複合材10に入射する光の少なくとも一部を、半透過性層13によって遮断または反射させて、内層である高伝熱層12を外部から視認させないようにすることができる。したがって、繊維複合材10の意匠性を向上させることができる。
また、第3の強化繊維基材13aは、ガラス繊維により構成される不織布である。
この構成により、半透過性層13の不織布とされたガラス繊維によって、外部からコート層14を介して繊維複合材10に入射する光の少なくとも一部を、良好に散乱させることができる。その結果、内層である高伝熱層12を、より良好に、外部から視認させないようにすることができる。また、第3の強化繊維基材13aが接着性に優れたガラス繊維により構成されることで、半透過性層13とコート層14との接着性を向上させることができる。それにより、表面層付近に配置されて熱影響を受けやすく、熱ひずみが生じやすい半透過性層13がコート層14から剥離することを抑制できる。
また、半透過性層13は、コート層14および高伝熱層12よりも薄く形成される。
これにより、コート層14と高伝熱層12との間に半透過性層13を設けても、高伝熱層12による熱の拡散を良好に利用することができる。
また、第2の強化繊維基材12aは、ピッチ系炭素繊維で構成される。
この構成により、熱伝導性に優れたピッチ系炭素繊維で構成される第2の強化繊維基材12aによって、高伝熱層12の熱伝導率を高めることができる。
また、難燃剤14bは、水酸化アルミニウムである。
この構成により、コート層14の耐火性を高めることができる。
実施形態では、コート層14と高伝熱層12との間に、半透過性層13を設けるものとしたが、半透過性層13は、省略してもよい。すなわち、図2の半透過性層基材配置ステップS2は、省略してもよい。この場合、図2の高伝熱層基材配置ステップS3は、コート層14上に第2の強化繊維基材12aを配置すればよい。
また、実施形態では、コート層形成ステップS1でコート層14を半硬化させた液状樹脂により形成するものとしたが、コート層形成ステップS1において完全硬化したコート層14を形成してもよい。この場合、コート層14と半透過性層13の第3の強化繊維基材13aとを、接着剤などを用いて接着させてもよい。
また、実施形態では、構造部材層11の片面に、高伝熱層12、半透過性層13およびコート層14を設けるものとしたが、構造部材層11の両面に、高伝熱層12、半透過性層13およびコート層14を設けてもよい。
10 繊維複合材
11 構造部材層
11a 第1の強化繊維基材
12 高伝熱層
12a 第2の強化繊維基材
13 半透過性層
13a 第3の強化繊維基材
14 コート層
14a 樹脂
14b 難燃剤
15 マトリックス樹脂
20 型
21 封止部材
21a 空気吸引孔
21b 樹脂注入口

Claims (9)

  1. 型上に、難燃剤が含まれた樹脂を含むコート層を形成するコート層形成ステップと、
    前記コート層上に第1の強化繊維基材よりも熱伝導率が高い第2の強化繊維基材を配置する高伝熱層基材配置ステップと、
    前記第2の強化繊維基材上に前記第1の強化繊維基材を配置する構造部材層基材配置ステップと、
    真空含浸工法を用いて、前記コート層を介して前記型上に配置された前記第1の強化繊維基材および前記第2の強化繊維基材にマトリックス樹脂を含浸させる含浸ステップと、
    前記マトリックス樹脂を硬化させて、前記第1の強化繊維基材を含む構造部材層と、前記第2の強化繊維基材を含む高伝熱層とを形成する層形成ステップと
    を備えることを特徴とする繊維複合材の製造方法。
  2. 前記コート層形成ステップは、前記型上に前記難燃剤を含む液状樹脂を塗布し、前記液状樹脂を半硬化させ、半硬化状態の前記コート層を形成し、
    前記層形成ステップは、前記半硬化状態の前記コート層を完全硬化させる処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の繊維複合材の製造方法。
  3. 前記コート層上に光を半透過させる第3の強化繊維基材を配置する半透過性層基材配置ステップを備え、
    前記高伝熱層基材配置ステップは、前記第3の強化繊維基材上に前記第2の強化繊維基材を配置し、
    前記含浸ステップは、真空含浸工法を用いて、前記コート層を介して前記型上に配置された前記第1の強化繊維基材、前記第2の強化繊維基材および前記第3の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂を含浸させ、
    前記層形成ステップは、前記マトリックス樹脂を硬化させて、前記構造部材層と、前記高伝熱層と、前記第3の強化繊維基材を含む半透過性層とを形成する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の繊維複合材の製造方法。
  4. 前記第3の強化繊維基材は、ガラス繊維により構成される不織布であることを特徴とする請求項3に記載の繊維複合材の製造方法。
  5. 前記半透過性層は、前記コート層および前記高伝熱層よりも薄く形成されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の繊維複合材の製造方法。
  6. 前記第2の強化繊維基材は、ピッチ系炭素繊維で構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
  7. 前記難燃剤は、水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の繊維複合材の製造方法。
  8. 第1の強化繊維基材にマトリックス樹脂が含浸された構造部材層と、
    前記構造部材層上に形成され、前記第1の強化繊維基材よりも熱伝導率が高い第2の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂が含浸された高伝熱層と、
    前記高伝熱層上に形成され、難燃剤が含まれた樹脂を含むコート層と
    を備えることを特徴とする繊維複合材。
  9. 前記高伝熱層と前記コート層との間に形成され、光を半透過させる第3の強化繊維基材に前記マトリックス樹脂が含浸された半透過性層を備えることを特徴とする請求項8に記載の繊維複合材。
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