JP2879690B2 - 部分晶析が付与されたA▲l▼を含む亜鉛含有物の溶解液製造方法 - Google Patents

部分晶析が付与されたA▲l▼を含む亜鉛含有物の溶解液製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、亜鉛または亜鉛系メッキ工場で生成するメ
ッキドロスやハンダなどのAlを含む亜鉛含有物を塩基性
炭酸アンモニウム液に溶解して溶解液を製造する方法に
関する。
〔従来の技術〕
近年、製鉄所では、鋼板の高度利用化を図るために、
亜鉛または亜鉛系メッキ鋼板として、自動車用鋼板や家
電用鋼板としての利用が多くなっている。かかるメッキ
工程においては、メッキドロスが比較的多量に発生する
が、従来、その用途が殆どなく、廉価で亜鉛の専用業者
に外販され、一方、亜鉛の専用業者ではZnOの形でその
ままあるいは電気分解などにより純度を高めて販売する
ようにしている。
上記の特にZn−Alメッキドロス中には、Alの含有量が
たとえば約0.1〜10%程度含有しており、本来なら、そ
のAl分を除去して、亜鉛または亜鉛系メッキ工程に再利
用するか、酸化亜鉛として磁性材料などに利用すること
が望ましい。
他方、本出願人は、特開昭59−88319号などにおい
て、FeおよびPbを含む亜鉛含有物を塩基性炭酸アンモニ
ウム液に溶解し、その後不純物除去(特にFeおよびPb除
去)工程などを経て、溶解液を晶析工程に導き、晶析操
作により、亜鉛を塩基性炭酸亜鉛として回収することを
提案し、また実用的にも優れた方法(以下先行法とい
う)であることを確証した。
〔発明が解決しようとする課題〕
Zn−Alメッキドロス中には、前記のように、Al分を比
較的多く含んでおり、これを除去しないと、そのままZn
メッキに利用した場合、メッキ性状を阻害する、または
磁性特性の低下につながるなどの問題がある。
したがって、Alの除去は重要な課題であり、もし亜鉛
含有物を塩基性炭酸アンモニウム液に溶解したときAlの
含有量が少ない炭酸亜鉛溶液を得ることができれば、前
記の先行法に則って、炭酸亜鉛として回収できる。
しかし、前記公報での対象の亜鉛含有物は、Al含有量
が問題になるほどの原料でなかったためにその除去に注
意を払わなくて足りた。しかるに、前記のZn−Alメッキ
ドロスのように、AL含有量が多いと、先行法をそのまま
適用しても、到底Alの少ない炭酸亜鉛結晶を得ることが
できないことが判った。
そこで、種々のAl除去方法を試みたが、悉く失敗し
た。しかし、試行錯誤の後、後述のように塩基性炭酸ア
ンモニウム液中のNH3:CO3濃度重量比の管理を行う、お
よびまたは亜鉛含有物の溶解後の炭酸亜鉛溶液を固液分
離し、未溶解残渣を溶解槽に返送すると、最終的に得ら
れる炭酸亜鉛溶液中のAl濃度が著しく低減することを知
見した。
しかしながら、Al濃度をより低下させたい場合もあ
り、この手段が容易に見出せなかった。
したがって、本発明の課題は、Al含有量のきわめて少
ない亜鉛溶解液を得ることにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題は、塩基性炭酸アンモニウム液にAlを含む亜
鉛含有物を溶解するとともに、得られた炭酸亜鉛溶液中
のアンモニアの一部を蒸発させて炭酸亜鉛の部分晶析を
行うとともに、この晶析の際に炭酸亜鉛溶液中のAlイオ
ンを水酸化アルミニウムとして晶析させ、この水酸化ア
ルミニウムを炭酸亜鉛溶液から除去することで解決でき
る。
また、部分晶析後のスラリーを固液分離し、固形物分
を亜鉛含有物の溶解域に返送することを併用すると、よ
り効果的である。
〔作用〕
本発明者らは、Alを含む亜鉛含有物に対しても、塩基
性炭酸アンモニウム液により溶解することが優れ、かつ
溶解液製造工程において、Al含有量を低減させ、Al含有
量の少ない溶解液を得るようにすれば、その後は先行法
をそのまま適用して高純度炭酸亜鉛として亜鉛を回収で
きることを知見した。また、必要ならばさらに炭酸亜鉛
を焼成して酸化亜鉛を得ることができる。
一方、本発明者は、前記公報などにおいて、亜鉛含有
物を塩基性炭酸アンモニウム液により溶解するにあた
り、NH4OHおよび(NH42CO3のそれぞれの濃度を5〜40
%が好ましいことを提案したが、その提案当時には、本
発明が対象とするような、Al含有量の多い亜鉛含有物の
溶解を想定していなかったので、溶解液の濃度について
厳密な管理を必要としなかったが、Al含有量の多い亜鉛
含有物の溶解に際して、Alの含有量を確実に低減させる
には、前記のラフな濃度範囲では所望の溶解液を得るこ
とができないことがあることが判明した。特に、NH3:CO
3濃度重量比を1:0.8〜1:1.8とすることが重要であるこ
とが判明した。
しかるに、実プラントでは、前記の濃度管理は難し
く、この濃度管理に左右されない方法が望まれた。ま
た、濃度管理を行うことができたとしても、Al含有量が
著しく低いことが望まれる磁性材料の用途などに対して
は、満足できないこともあることが判った。
そこで、本発明に従って、部分晶析を行うと、炭酸亜
鉛溶液中のAl濃度が著しく低減する。この部分晶析が有
効な理由は、第1の晶析を行った後、濾過を行い、得ら
れる濾液に対して第2の晶析を行う実験の結果による
と、第1の晶析によって得られる結晶中のAl含有量は、
第2の晶析によるそれの16〜20倍であり、これによっ
て、最初の晶出する結晶ほど純度が悪いものであるの
で、部分晶析および固液分離により、Al分を除去してAl
濃度の低い炭酸亜鉛溶液を得ることができるものと考え
られる。
〔発明の具体的構成〕
以下本発明をさらに詳説する。
本発明の対象とするAlを含む亜鉛含有物(以下亜鉛含
有物と省略することもある)としては、前述のように、
メッキ工程から排出されるZn−Alメッキドロスや、ハン
ダ製造工場からの廃ハンダなどが含まれる。かかる対象
とする亜鉛含有物中のAl含有量に制限はないが、1000pp
mであっても、炭酸亜鉛溶液中の濃度として、Alを10mg/
、特に5mg/以下に低減できることは注目されるべき
ことである。
亜鉛含有物は、塩基性炭酸アンモニウム液に溶解され
る。この塩基性炭酸アンモニウム液を得るには、アンモ
ニウム水と炭酸ガスとを接触させることなどにより得る
ことができる。何れにしても、Alを含む亜鉛含有物を溶
解する際に、NH3:CO3濃度重量比が、1:0.8〜1:1.8とす
ること望ましい。この濃度重量比のさらに好ましい範囲
は、1:1〜1:1.5である。
この範囲が好ましい理由は、次の実験により知見され
た。
すなわち、Alを約10重量%(以下%は全て重量%であ
る)、亜鉛を約89%含む、製鉄所の溶融亜鉛メッキ工場
から廃棄されるZn−Alメッキドロスを本発明の亜鉛含有
物として、これを種々のCO3:NH3濃度重量比の亜鉛溶解
液により溶解し、その溶解後の溶解液中のZnとAlの濃度
について調べたところ、第1表および第1図の結果を得
た。
この結果により、本発明のNH3:CO3濃度重量比が前記
範囲にあるときは、Zn溶解量が多く、かつAl濃度が少な
い亜鉛溶解液を得ることができるとともに、NH3:CO3
度重量比が、第1図の1:1.8の線を超えると、Alの濃度
が比較的少ないものの溶解量が少なくなり、他方、NH3:
CO3濃度重量比が1:0.8未満であると、Alの濃度が高くな
ることが判る。Znの溶解量が少ないと、亜鉛含有物の溶
解に時間と過大な溶解装置を必要とし経済的な運転がで
きない。Alの溶解量が多いと、勿論その後において炭酸
亜鉛を晶析したとき、Al含有量の多い結晶しか得られな
い。
上記のようにして得られた溶解液は、先行法にしたが
って炭酸亜鉛の回収に利用できる。
本発明にしたがって、炭酸亜鉛溶解中のAl濃度が5mg/
以下であると、最終的に晶析によって得られる炭酸亜
鉛中のAl含有量は30mg/kg以下となり、きわめて高品質
な炭酸亜鉛結晶を得ることができる。なお、炭酸亜鉛溶
液中のAl濃度が1mg/以下であれば、炭酸亜鉛結晶中の
Al含有量は10mg/kg以下となる。
以下本発明法の具体例および付随する他の事項を第2
図により説明する。
まず、溶解原液の調整装置1において、水、炭酸ガス
CO2およびNH4OH、ならびに後述する返送液により適切な
NH3:CO3濃度重量比の塩基性炭酸アンモニウム液を調整
する。この濃度調整済塩基性炭酸アンモニウム液を一時
溶解液タンク2に貯留し、必要量第1溶解槽3に導く。
第1溶解槽3の後段には、第1沈降分離槽4、第2溶解
槽5、第2沈降分離槽6、第1部分晶析槽7、第2部分
晶析槽8が順に配設されている。
第1溶解槽3および第2溶解槽5には、対象とする亜
鉛含有物9がそれぞれ投入手段10、11により投入され、
その溶解が図られる。溶解にはたとえば図示の循環ポン
プ12A、12Bによる溶解液の循環により行うことができ
る。
第1溶解槽3における清澄液は、第1沈降分離槽4に
導き、そこで未溶解のZn含有量が多く、かつ水酸化アル
ミニウムを高濃度に含むZn含有スラリーをポンプにより
第1溶解槽3に返送する。第1沈降分離槽4での清澄液
は第2溶解槽5に供給し、この第2溶解槽5において新
たな亜鉛含有物の投入を受け、その溶解を図る。第2溶
解槽5における清澄液は第2沈降分離槽6に導き、そこ
でZn含有量の多く、かつ水酸化アルミニウムを高濃度に
含むZn含有スラリーを前段の第2溶解槽5および第1溶
解槽3に返送する。第2沈降分離槽6の清澄液は、順次
第1および第2部分晶析槽7、8に対して供給する。
本発明においては、上記第1溶解槽3および第2溶解
槽5において、亜鉛溶解液として、NH3:CO3濃度重量比
が前記範囲内にあるように、調整される。具体的には、
たとえば主に溶解原液の調整装置1において、NH3:CO3
濃度重量比が調整される。
一方、最終的に得られる炭酸亜鉛結晶中のSi含有量が
メッキ性状を阻害することなどにおいて問題になる場合
には、必要により、図示のSi除去手段が付加される。
すなわち、炭酸亜鉛溶液に対して、マグネタイトなど
の水酸化鉄の添加が行われる。Siの含有量の低減に当た
り、本発明者らは、特公昭63−50414号公報において、
硫酸鉄溶液を添加することを先に提案した。しかし、本
発明の対象とする亜鉛含有物の溶解液に対しても、比較
的効果はあるものの、未だ充分でなく、水酸化鉄の添加
がより好ましいことを知見している。
そこで、第2図のように、硫酸鉄FeSO4溶液槽20から
の硫酸鉄溶液、および過酸化水素槽21からの過酸化水素
を酸化槽22に供給するとともに、この酸化槽22に中和
剤、たとえばアンモニア水または塩基性炭酸アンモニウ
ム液を添加して中和し、水酸化鉄(たとえばFe3O4・nH2
O)を得て、清澄液分は水酸化鉄供給槽23から系外に排
出しながら、水酸化鉄スラリーを第2溶解槽5、第2沈
降分離槽6、第1部分晶析槽7および第2部分晶析槽8
に並行的に供給し、溶解性シリカSiO2を水酸化鉄に吸着
させ、後述の固液分離装置42、53により固形物分として
系外に排出するようにしてある。また、本実施例におい
て、硫酸鉄の形でなく、水酸化鉄の形で炭酸亜鉛溶液に
添加するのは、硫酸鉄スラリーよりマグネタイトスラリ
ーは沈降性および濾過性に優れるためであり、固液分離
効果が大きく、もって炭酸亜鉛溶液中に残存するSiの含
有量をより低減できるからである。
この点に関して、次のような実験を行った。
すなわち、第3図のように、Znを約89%、Alを約10%
含むZn−Alメッキドロス100gを塩基性アンモニウム液
(溶媒)に液温40℃の状態で溶解し、その後濾過して濾
液(NH3:136g/、Zn:123g/、Fe:286mg/、Si:1.5mg
/)を得た。
かかる濾液100mlについて、それぞれ(1)エア酸
化、(2)FeSO4添加+エア酸化、(3)FeSO4添加+H2
O2酸化、(4)マグネタイトスラリー(Fe3O4・nH2Oを5
0g/で含む)の5ml添加、(5)同マグネタイトスラリ
ーの10ml添加を行った後の溶液を濾過し、濾過液中の濃
度を調べるとともに、ケーキスラリーについて溶媒(塩
基性炭酸アンモニウム液)を添加し、次いで濾過したと
きの、ケーキおよび濾液について濃度を調べたところ第
3図に併示する結果を得た。
この結果から、特に工程(5)に示されるマグネタイ
トスラリーの添加法が、炭酸亜鉛溶液中のSi濃度として
0.35mg/まで低下させることができ、優れた方法であ
ることが判る。
なお、炭酸亜鉛溶液に対して、マグネタイト(Fe3O4
・nH2O)として5〜20g/、Feとして1〜4g/のマグ
ネタイトを添加するのが好ましい。また、マグネタイト
を得るためのFeSO4に対する酸化率は50〜80%が好まし
い。
炭酸亜鉛溶液中、または最終的に得られる炭酸亜鉛結
晶中のAl含有量を著しく低減させる必要がある場合、本
発明に従う部分晶析を行うと有効である。
たとえば、第2図のように、第1および第2部分晶析
槽7、8からの炭酸亜鉛溶液を各槽の加熱または減圧蒸
発によって凝縮器30に導き、アンモニアを蒸発除去し、
炭酸亜鉛の一部を晶析し、晶析物の一部は固液分離装置
40たとえば遠心分離機の溶液側に経路41により、その後
の溶解・金属亜鉛添加工程に導くとともに、アンモニア
の蒸発に伴って、炭酸亜鉛溶液中に溶解しているAlを水
酸化アルミニウムとして同時に析出させ、これを部分晶
析槽7、8に返送し、第2部分晶析槽8からの水酸化ア
ルミニウムを含有する炭酸亜鉛スラリーを固液分離装置
40に供給し、固形物分を除去する。これにより、固液分
離装置40からの排出炭酸亜鉛溶液中におけるAl含有量が
きわめて少なくなる。
ちなみに、前述の実験と同様にメッキドロスを溶解
し、炭酸亜鉛溶液(Zn:100g/、Al:5mg/、NH3:104g/
)を得、これを部分晶析率として15wt%の部分晶析を
行い、続いて濾過により不溶解残渣分および部分晶析分
を除去した後の濾過について濃度を調べたところ、Zn:8
8g/、Al:1mg/以下、NH3:73g/となり、部分晶析に
よりAl濃度の低下が顕著に認められた。
なお、全晶析物に対する部分晶析率としては、5〜30
%が好ましい。30を超えると、装置コストの増大を招く
し、5%未満の部分晶析は、安定してその操作を行うこ
とができない。
固液分離装置40からの固形物側スラリー中には水酸化
アルミニウムを高濃度で含んでいる。また、一旦析出し
た水酸化アルミニウムスラリーは塩基性炭酸アンモニウ
ム液または炭酸亜鉛溶液と接触しても、亜鉛は溶出する
が、アルミニウムは溶出しない。そこで、亜鉛を回収す
るために、前記の固液分離装置40からの固形物側スラリ
ーを一旦貯留槽42に貯留した後、第1溶解槽3に返送し
て、炭酸亜鉛溶解液として再利用するのが好ましい。
ところで、固液分離装置40からの固形物側スラリー
を、第1溶解槽3に返送するとともに、前述のように、
第1沈降分離槽4からの未溶解のZn含有量が多く、かつ
水酸化アルミニウムを高濃度に含むZn含有スラリーを第
1溶解槽3に、第2沈降分離槽6からの同Zn含有スラリ
ーを第2溶解槽5とともに、第1溶解槽3に返送してい
る。この返送の理由は、Znの回収を副目的とするととも
に、炭酸亜鉛溶液中のAl濃度をより低減させることが主
目的である。
この返送により、何故Alを効果的に除去できるかの理
由は次の通りであると考えられる。
すなわち、第1溶解槽3および第2溶解槽5におい
て、対象の亜鉛含有物が塩基性炭酸アンモニウム液に溶
解するとき、亜鉛含有物中のAlがアルミン酸となり、Al
イオンが過飽和となっている部分に、返送スラリー中の
Al(OH)の種が接触し、過飽和状態を解消するととも
に、その際にAl(OH)の結晶の成長が行われることに
より、得られる炭酸亜鉛溶液中のAl分の低減が成される
と考えられる。
かかる事実については、第4図の実験結果からも充分
に推測できる。実験は、第1図の結果を得たものと同一
のZnメッキドロスを用い、溶媒(塩基性炭酸アンモニウ
ム液)に溶解し、次いで濾過により不溶解物を除去し、
その不溶解物をメッキドロスとともに溶媒に溶解するこ
とを3段階行い、濾液中のAl濃度を調査した。また、最
終の不溶解物を、単に溶媒に溶解し、濾過した濾液につ
いてもAl濃度を調査した。
そこで、濾液Aと濾液Cとを比較すると、濾液C中に
はAl濃度が1/5以下に低減しており、前記のスラリーの
返送がAl濃度低減に有効であることが判るとともに、濾
液D中のAl濃度結果により水酸化アルミニウムスラリー
中のAlは塩基性炭酸アンモニウム液に再溶解しないこと
が判る。
水酸化アルミニウムの返送は、前述のAl(OH)の結
晶の成長をもたらす。これにより、沈降性および濾過性
の向上をもたらす。実際に、第4図の実験過程における
不溶解物S1およびS3について、Znを除去するために、塩
基性炭酸アンモニウム液により洗浄し、次いで水洗し、
105℃で乾燥したサンプルについて、その組成を蛍光X
線分析法により調べるとともに、電子顕微鏡によりAl
(OH)の結晶を目視した。
その結果のサンプル組成については、第2表に示す。
また、Al(OH)の結晶については、電子顕微鏡下で
の観察により、不溶解物S1のサンプルでは、太さ約0.2
μm、長さ約1〜2μmの針状結晶であるのに対して、
不溶解物S3のサンプルでは、太さ約0.2〜0.3μm、長さ
約2〜3μmの針状結晶であり、返送操作により得られ
たAl(OH)の結晶の方が、成長していることが判っ
た。
一方、返送する水酸化アルミニウムスラリーの量は、
Al(OH)の結晶を成長させるに充分な量で足りるの
で、余剰分が生じる。そこで、第2図のように、貯留槽
42およびまたは第1沈降分離槽4からの水酸化アルミニ
ウムスラリーの一部を、貯留槽50、51に一旦貯留し、濾
過時において濾液タンク52からフィルタープレスなどの
固液分離機53により洗浄しつつ固液分離し、ケーキ分は
廃棄する一方で、濾液分は、前述の調整装置1に返送し
て塩基性炭酸アンモニウム液に対して添加することがで
きる。これにより、Znの回収を図ることができる。
ところで、固液分離装置40からの炭酸亜鉛溶液は、イ
オン置換槽60〜62群に対して供給され、FeやFbなどの不
純物除去が行われる。その際に、先行法のように、金属
亜鉛64の添加が2段において、実施例ではイオン置換槽
60、62に対して行われ、沈降分離槽63からの炭酸亜鉛溶
液は、先行法にしたがって、図示しない晶析工程に導か
れ、炭酸亜鉛の結晶の生成が行われ、得られた炭酸亜鉛
またはその後焼成して得た酸化亜鉛は、それぞれメッキ
用原料や、顔料または磁性材料などとして利用される。
65は金属亜鉛の供給装置である。また、各槽での沈降ス
ラリーは前段に供給され、向流的なイオン置換が行われ
るようになっている。イオン置換槽60のスラリーは、第
2溶解槽5に返送されている。
また、イオン置換工程と晶析工程との間に濾過機など
の固液分離機を設けてもよく、この固液分離によるスラ
リーは、第2図のように、第1溶解槽3などへ返送でき
る。
なお、本発明における部分晶析は、イオン置換後、晶
析前に行ってもよい。また、これを前記の溶解工程にお
ける部分晶析と併用してもよい。
上記実施例において、溶解槽、沈降分離槽あるいは部
分晶析槽の基数などは適宜選定できる。たとえば、一回
で亜鉛鉄含有物の溶解を図ってもよい。また、固液分離
装置としては、沈降分離槽、遠心分離機、濾過機など適
宜の手段を用いることができる。
〔発明の効果〕
以上の通り、本発明によれば、Al濃度が著しく低い炭
酸亜鉛溶液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はNH3:CO3濃度重量比の変化によるZnおよびAlの
溶解濃度のグラフ、第2図は炭酸亜鉛溶解液の製造方法
の一例を示すフローシート、第3図および第4図はそれ
ぞれ異なる実験過程の説明図である。 1……塩基性炭酸アンモニウム液調整装置、 2……溶解液タンク、3、5……溶解槽、 4、6……沈降分離槽、7、8……部分晶析槽、 20……硫酸鉄槽、21……過酸化水素槽、 22……酸化(中和)槽、30……凝縮器、 40……固液分離装置(遠心分離機)、 53……固液分離装置(濾過機)、 60〜62……イオン置換槽、64……金属亜鉛。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基性炭酸アンモニウム液にAlを含む亜鉛
    含有物を溶解するとともに、得られた炭酸亜鉛溶液中の
    アンモニアの一部を蒸発させて炭酸亜鉛の部分晶析を行
    うとともに、この晶析の際に炭酸亜鉛溶液中のAlイオン
    を水酸化アルミニウムとして晶析させ、この水酸化アル
    ミニウムを炭酸亜鉛溶液から除去することを特徴とする
    部分晶析が付加されたAlを含む亜鉛含有物の溶解液の製
    造方法。
  2. 【請求項2】部分晶析後のスラリーを固液分離し、固形
    物分を亜鉛含有物の溶解域に返送する請求項1記載の方
    法。
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