JPH0625766A - フェロスクラップと金属亜鉛含有物の処理方法 - Google Patents

フェロスクラップと金属亜鉛含有物の処理方法

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JPH0625766A
JPH0625766A JP18125992A JP18125992A JPH0625766A JP H0625766 A JPH0625766 A JP H0625766A JP 18125992 A JP18125992 A JP 18125992A JP 18125992 A JP18125992 A JP 18125992A JP H0625766 A JPH0625766 A JP H0625766A
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JP
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copper
zinc
aqueous solution
scrap
complex
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Application number
JP18125992A
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English (en)
Inventor
Koukon Shiyuu
康根 周
Takao Hashimoto
孝夫 橋本
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フェロスクラップを、酸素の存在下、NH3
(NH4)2CO3 を含む水溶液で処理して銅を溶解させ、脱銅
スクラップを得る工程1、得られた水溶液に亜鉛ダスト
を添加し、金属銅を沈殿させ、回収する工程2、得られ
た水溶液にさらに亜鉛ダストを添加し、金属不純物を沈
殿させて水溶液を精製する工程3、精製された水溶液の
加熱により塩基性炭酸亜鉛を晶析させる工程4からな
る、銅含有フェロスクラップと亜鉛ダストの一括処理に
よる銅および亜鉛の分離回収方法。 【効果】 スクラップ中の銅を金属銅として容易に回収
でき、亜鉛ダストからは高速溶解により亜鉛分を高純度
で回収できる。使用材料が安価かつ循環使用でき、効率
的かつ経済的である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅を含有するフェロス
クラップから銅を除去・回収して脱銅されたスクラップ
を得るとともに、金属亜鉛含有物から亜鉛を溶解させて
回収することのできる、フェロスクラップと金属亜鉛含
有物の処理方法に関する。それにより、高品質の鋼溶製
の原料に使用可能な銅含有量の低いフェロスクラップを
得ることができ、併せてスクラップ中の銅分を金属銅と
して、金属亜鉛含有物の亜鉛を塩基性炭酸亜鉛として分
離・回収することができる。
【0002】
【従来の技術】
(a) フェロスクラップの脱銅について 銅は、鉄鋼製品の機械的性質、加工性などの性能に悪影
響を及ぼす元素であり、銅が混入したフェロスクラップ
を鋼溶製の原料として用いると、低級な品質の鋼しか製
造できない。しかし、廃自動車、廃電気製品、機械屑な
ど多くのフェロスクラップは、電線や導線として使用さ
れる銅線や、他の銅または銅合金製部品の混入が主な原
因で、銅含有量が高くなっているため、銅をフェロスク
ラップから除去することが望ましく、従来から様々なス
クラップ脱銅方法が研究されている。従来の代表的な脱
銅方法を次に示す。
【0003】硫化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムを
主成分とするフラックスに銅を溶鉄から選択的に抽出す
る方法 (第122, 123回西山記念技術講座、pp.112-118,
日本鉄鋼協会) 、 スクラップを高温で溶融し、より低融点の銅を真空下
で蒸発させる方法 (CAMP-ISIJ, Vol. 1 (1988), pp.116
9-1172) 、 スクラップ中の銅を硫化した後、スクラップを圧縮ま
たは破砕し、脆化した硫化銅を機械的に分離・回収する
方法 (特開平2−285035号) 、 アルミニウム、マグネシウムまたはその合金の溶融物
中に銅を選択的に抽出する方法 (特開平3−199314号)
【0004】しかし、の方法は、高い脱銅率を得るに
はかなり大量のフラックスが必要であり、このフラック
スの高温での取扱いが困難であり、かつフラックスのコ
ストが高い。の方法は、銅の蒸発速度を高めるには、
多量のエネルギーを要する高温・高真空条件が必要であ
り、しかも銅の回収が困難である。の方法は、硫化工
程で発生する硫黄酸化物を含有する廃ガスの処理が大き
な負担となる上、硫化した銅の機械的手段での分離で
は、銅を十分高い脱銅率で除去することが困難である。
の方法は、抽出剤として高価な金属Al、Mg、またはAl
−Mg合金が必要である。
【0005】(b) 金属亜鉛含有物の処理について 一方、製鉄所設備、例えば、亜鉛メッキ付帯設備やスク
ラップ溶解炉の集塵装置からは、金属亜鉛をかなり高い
濃度で含有する金属亜鉛含有物(以下、亜鉛含有物とい
う)が排出されるので、その亜鉛を分離・回収して資源
として有効利用することが望ましい。
【0006】上述したような亜鉛含有物を処理する方法
として、特公平2−35693 号公報には、亜鉛含有物をア
ンモニアと炭酸アンモニウムを含む水溶液と接触させ、
亜鉛をアンミン亜鉛錯体として選択的に溶解させて回収
する方法が提案されている。この時の亜鉛の溶解反応は
(1) 式の通りである。
【0007】 Zn + (NH4)2CO3 + 2 NH3 → Zn(NH3)4CO3 + H2↑ (1) こうして亜鉛が溶解した水溶液に金属亜鉛を添加し、亜
鉛より貴な不純物金属を沈殿させ、水溶液を精製する。
精製された水溶液を加熱するとアンミン亜鉛錯体が分解
し、塩基性炭酸亜鉛が析出するので、これを回収する。
しかし、この方法には上記(1) 式による亜鉛溶解反応の
速度が遅いという問題があった。そのため、溶解工程の
処理時間が非常に長くなり、溶解工程の設備の大型化を
招いていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した従来のフェロスクラップの脱銅方法の欠点を解消
し、銅を含有するフェロスクラップから銅を簡単な工
程、高い分離効率で除去・回収でき、同時に亜鉛含有物
から亜鉛を速やかに溶解させて回収することのできる、
フェロスクラップと金属亜鉛含有物とを併せて処理でき
る方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、銅を含
有するフェロスクラップから、アンモニアおよび炭酸ア
ンモニウムを含有する水溶液中に、酸素の存在下で銅を
アンミン銅錯体として選択的に溶解させ、脱銅スクラッ
プを得る工程1、工程1で得られたアンミン銅錯体を含
有する水溶液に、溶液中の銅の量と当量以下の亜鉛を含
有する金属亜鉛含有物を添加し、亜鉛をアンミン亜鉛錯
体として溶解させると共に、金属銅を沈殿させ、回収す
る工程2、得られたアンミン亜鉛錯体を含有する水溶液
にさらに過剰の金属亜鉛含有物を添加し、溶液中に残留
する銅と亜鉛より貴な金属不純物とを沈殿として除去す
ることにより水溶液を精製する工程3、精製された水溶
液中からアンミン亜鉛錯体の分解により塩基性炭酸亜鉛
を晶析させる工程4、からなることを特徴とする、銅を
含有するフェロスクラップおよび金属亜鉛含有物からそ
れぞれ銅および亜鉛を分離回収することのできる処理方
法である。
【0010】好適態様にあっては、工程4で発生するア
ンモニアおよび炭酸ガスを、工程1で用いる水溶液の調
製に利用して、脱銅に有効利用する。また、銅の溶解反
応を加速するため、工程1で用いる水溶液は処理開始時
からアンミン銅錯体を含有していることが好ましい。
【0011】
【作用】以下、本発明の詳細をその作用とともに工程ご
とに詳述する。なお、本発明による亜鉛の回収方法のフ
ローシートを図1に示す。
【0012】本発明の方法の工程1において脱銅処理を
受ける、銅を含有するフェロスクラップとしては、上述
した廃自動車、廃電気製品、機械屑を始めとする各種の
ものがある。スクラップ中の銅の含有量には特に制限は
ないが、通常は0.1 重量%以上のものが脱銅処理対象と
なる。本発明の方法で処理する前に、必要であれば、ス
クラップを裁断して処理に適した寸法にしておくことが
望ましい。また、モーターコイルの導線のように、スク
ラップ中の銅に有機被覆 (例、エナメル被覆)が施され
ている場合には、有機被覆を除去してから脱銅処理する
ことが好ましい。この有機被覆の除去は、スクラップを
400〜1000℃に加熱して有機被覆を焼却することにより
実施することができる。
【0013】一方、本発明の工程2および3で溶解処理
される亜鉛含有物の例には、製鉄所内の亜鉛メッキ付帯
設備やスクラップ溶解炉の集塵装置から得られる製鉄所
副生亜鉛ダストがあるが、これらに限定されるものでは
ない。工程2では亜鉛含有量が90重量%以上の亜鉛含有
物を用いることが好ましいが、工程3で用いる亜鉛含有
物は、亜鉛含有量が5重量%以上あればよい。亜鉛含有
物には、金属状態の亜鉛以外に酸化亜鉛などの亜鉛化合
物が含まれていてもよい。処理される亜鉛含有物は、必
要であれば処理前に1mm以下程度に粉砕しておくことが
望ましい。
【0014】スクラップ中の銅の溶解工程 (工程1) 工程1では、銅を含有する不純フェロスクラップを、ア
ンモニアおよび炭酸アンモニウムを含有するアンモニア
性水溶液により酸素存在下で処理する。銅は、次の(2)
式に示すように、酸素の存在下では水溶液中のアンモニ
アと反応して容易に酸化され、アンミン銅錯体を生成し
て水溶液中に溶解する。
【0015】 Cu + 4NH3 + 1/2O2 + H2O = Cu(NH3)4 2+ + 2OH- (2) この銅の溶解反応は、以前より自然銅鉱石からの銅の浸
出に利用されている。この場合、鉱石中の鉄は酸化物と
して存在しているため、沈殿として溶液から分離すれば
よい。しかし、フェロスクラップをこの反応により脱銅
処理する場合には、鉄を鋼溶製に冷鉄原として利用する
ために脱銅するのであるから、鉄を酸化させないことが
重要である。鉄は銅より熱力学的に不安定な元素であ
り、一般的な化学常識からは、鉄を酸化させずに銅のみ
を選択的に溶解することは困難であると考えられる。
【0016】しかし、フェロスクラップを実際にアンモ
ニア性水溶液で処理したところ、鉄は酸素存在下のアン
モニア性水溶液中において不働態化し、全く溶解しない
ことが実験により明らかとなった。この酸素存在下のア
ンモニア性水溶液中での銅と鉄との挙動の差により、本
発明の工程1では、フェロスクラップ中の鉄の溶解を阻
止し、銅のみを選択的に水溶液中に溶解させることがで
きるのである。
【0017】アンモニア性水溶液中に含有させる炭酸ア
ンモニウムは緩衝剤であり、次式に示すように、アンモ
ニウムイオンは(2) 式の溶解反応で生成したOH- イオン
を中和する作用をする。 NH4 + + OH- = NH3 + H2O (3) 従って、(2) 式と(3) 式を合わせた全体の反応は、炭酸
イオンも考慮すると次式のようになる。
【0018】 Cu + 2NH3 + (NH4)2CO3 + 1/2O2 = Cu(NH3)4CO3 + H2O (4) アンモニア性水溶液中のアンモニア濃度は、高いほど銅
の溶解が速くなるが、アンモニアの揮発も多くなるの
で、一般に 0.1〜10Mが適当である。炭酸アンモニウム
の濃度はアンモニア濃度に応じて変化させることが望ま
しく、 NH3/NH4 +モル濃度比で 0.5〜2.0 の範囲内が好
適である。アンモニアと炭酸アンモニウムを含有するア
ンモニア性水溶液は、水にアンモニアガスと炭酸ガスを
適当な割合で吸収させることにより調製することができ
る。アンモニア性水溶液のpHは、生成したアンミン銅
錯体が安定であり、かつ鉄が溶解しないように、7〜12
の範囲内が適当である。
【0019】スクラップ中の銅の溶解 (浸出) により、
アンミン銅錯体を含有するアンモニア性水溶液が生成す
る。この溶解生成物であるアンミン銅錯体は、金属銅の
溶解速度を著しく増大させる作用を示すことが判明し
た。銅の溶解生成物の共存により銅溶解反応が促進され
ることも、化学的常識に反した予想外の効果である。こ
のアンミン銅錯体による反応促進効果を処理開始時から
有効に発揮させて、銅溶解の処理時間を短縮するため
に、銅の溶解工程で得られたアンミン銅錯体を含有する
水溶液の一部を、溶解工程に返送しながら銅の溶解工程
を続けることが好ましい。こうすれば、処理開始時から
常に一定量以上のアンミン銅錯体が処理溶液中に存在
し、銅の溶解反応が著しく加速される。水溶液中のアン
ミン銅錯体濃度は 0.1〜5M程度が好ましい。
【0020】銅溶解工程は、密閉系と開放系のいずれの
反応器で実施することもできるが、処理溶液であるアン
モニア性水溶液からアンモニアが揮発するため、排ガス
の回収が容易な密閉系反応器の方が好ましい。銅溶解の
ための酸化剤として作用する酸素を反応系に供給するた
め、酸素含有ガス (純酸素ガス、空気など) を溶液中に
吹き込んで、液を攪拌しながら溶解反応を行うことが望
ましい。この場合、酸化剤として必要量より、液のバブ
リングによる攪拌に必要なガス量の方が圧倒的に多いの
で、大過剰の酸素含有ガスを水溶液に吹込み、反応器上
部から排出されるアンモニアと酸素を含むガスを回収
し、ガス吹込みに循環使用して、アンモニアの系外への
排出を抑えることが望ましい。酸素含有ガスが純酸素の
場合には、排出ガスの全量を循環することができるが、
空気の場合には排出ガスの一部を系外に取り出さない
と、循環ガス量が次第に増えていく。通常、処理温度は
室温〜70℃、処理時間は 0.5〜5時間程度である。
【0021】スクラップからの銅の溶解が終了したら、
銅が溶解した水溶液と脱銅されたスクラップとを分離
し、スクラップは取り出し、水溶液は濾過してから工程
2に送る。脱銅されたスクラップは、付着したアンモニ
アを完全に除去するように適当な洗浄 (例、水洗と水蒸
気または高温ガスの吹き付け) を行うことが望ましい。
このスクラップは、高品位フェロスクラップとして鋼の
溶製に有効利用できる。
【0022】一方、スクラップから分離されたアンミン
銅錯体を含有するアンモニア性水溶液は、液中に残留す
るアンモニアおよび炭酸アンモニウムの濃度が(4) 式に
よる銅の溶解に十分に使用できる程度に高ければ、次の
工程に付す前にさらに1回または2回以上のスクラップ
の処理に供してもよい。或いは、前述したように、アン
ミン銅錯体による銅溶解反応の促進効果を得るために、
この水溶液の一部を銅溶解工程に返送してアンモニア性
水溶液の調製に利用し、残りの水溶液のみを工程2に送
るようにしてもよい。
【0023】銅の回収/亜鉛の溶解工程 (工程2) 工程2では、アンミン銅錯体を含有するアンモニア性水
溶液に亜鉛含有物を添加し、銅と亜鉛とのイオン置換反
応を利用して、アンミン銅錯体を金属銅として沈殿させ
ると同時に、亜鉛をアンミン亜鉛錯体として溶解させ
る。この時の反応を次の(5) 式に示す。
【0024】 Zn + Cu(NH3)4CO3 = Zn(NH3)4CO3 + Cu↓ (5) この亜鉛と銅の置換反応は非常に速く進行し、亜鉛含有
物の粒度にもよるが、一般に5〜30分で十分である。ア
ンモニア性水溶液を用いた従来の亜鉛溶解反応では、前
記(1) 式に示すように、アンモニアと炭酸アンモニウム
との反応で水素を発生しながら亜鉛を溶解するが、前述
したようにこの反応は速度が遅く、亜鉛の溶解に非常に
長時間を要する。これに対し、本発明ではスクラップの
脱銅により得られたアンミン銅錯体を含有するアンモニ
ア性水溶液を利用し、非常に反応速度の高い銅と亜鉛と
の置換反応によって亜鉛を溶解する。例えば、後述の実
施例に示すように、従来法で10時間を要していた亜鉛の
溶解時間がわずか15分に短縮される。
【0025】工程2での処理は、常温〜70℃の温度で攪
拌下に実施することが好ましい。工程2で用いる亜鉛含
有物は、亜鉛含有量が90重量%以上、特に95重量%以上
のものが好ましい。亜鉛含有量が90重量%未満である
と、未溶解残渣が沈殿する銅に混ざり、回収される銅の
純度が低下する恐れがある。亜鉛含有物は、これに含ま
れる金属亜鉛の量が、アンモニア性水溶液中にアンミン
銅錯体として存在する銅の量と当量以下になるような量
で添加する。亜鉛含有物を過剰に加えると、水溶液中に
存在する金属不純物が一緒に沈殿する上、亜鉛が未溶解
で残るので、回収される銅が汚染される。好ましくは上
記当量より1%以上少ない量、より好ましくは当量の90
〜99%に相当する量で亜鉛含有物を添加する。1%以上
の銅をアンミン銅錯体イオンとして水溶液中に残すこと
により、亜鉛をほとんど含まない金属銅を得ることがで
きる。析出した金属銅は、濾過などの適当な手段により
水溶液から分離し、回収する。
【0026】このように、本発明の方法では、銅含有ス
クラップと亜鉛含有物とを一括して処理することによ
り、亜鉛の溶解が著しく加速されるだけではなく、スク
ラップの脱銅により得られた溶液から非常に簡単に金属
銅を沈殿させて回収でき、スクラップの脱銅と亜鉛含有
物からの亜鉛回収をともに効率化することができる。
【0027】溶液の精製工程 (工程3) 工程3では、工程2で銅を分離・回収した後に残る、ア
ンミン亜鉛錯体を含有する水溶液にさらに亜鉛含有物を
添加し、この水溶液中にアンミン銅錯体として残留する
銅や水溶液中の亜鉛より貴な不純物金属イオンを、金属
亜鉛とのイオン置換反応により金属として沈殿させ、ア
ンミン亜鉛錯体の水溶液を精製する。亜鉛は、工程2と
同様、上記(4) 式に示すようなイオン置換反応によりア
ンミン亜鉛錯体として溶解し、亜鉛に代わって亜鉛より
貴な銅や他の不純物金属が沈殿する。この沈殿を濾過し
て分離すると、銅や金属不純物が除去された、精製され
たアンミン亜鉛錯体の水溶液が得られる。
【0028】この精製工程で用いる亜鉛含有物は、亜鉛
含有量が5重量%以上あれば低品位のものでもよい。亜
鉛以外の金属はほとんど溶解しないので、不純物が多く
ても沈殿物として水溶液から除去できるからである。こ
の精製工程の反応条件や反応方法は、工程2と同様でよ
い。添加する亜鉛含有物の量は、銅および他の不純物を
還元する当量の1〜5倍程度とすることが好ましい。
【0029】水溶液から分離された沈殿は、銅や亜鉛を
含有しているので、工程1のスクラップの脱銅処理にリ
サイクルして、銅および亜鉛を溶解させて回収すること
が好ましい。この沈殿の銅含有量が少なく、未溶解亜鉛
の含有量が比較的高い場合には、工程3の溶液精製処理
にリサイクルしてもよい。
【0030】炭酸亜鉛回収工程(工程4) 精製されたアンミン亜鉛錯体の水溶液を、加熱および/
または減圧処理すると、次の(6) 式に示す反応により錯
体が分解し、水不溶性の塩基性炭酸亜鉛が晶析するの
で、これを濾過などの手段により回収する。
【0031】 5[Zn(NH3)4CO3] → [ZnCO3]2[Zn(OH)2]3↓+ 3CO2↑+ 20 NH3↑ (6) 炭酸亜鉛の晶析は、例えば、精製された水溶液を適当な
晶析装置内で90℃以上の温度に加熱することにより実施
できる。晶析装置としては、特公平1−38045号〜同1
−38049 号に記載の棚段蒸留塔と好ましくは前段の1以
上の晶析槽とを備えた晶析装置を利用することが好まし
い。晶析により得られたスラリーを濾過して塩基性炭酸
亜鉛を回収し、これを通常は水洗および乾燥してから、
製品とする。
【0032】アンミン亜鉛錯体の分解により発生したア
ンモニアおよび炭酸ガスは回収して、水に吸収させ、工
程1で用いるアンモニア性水溶液の調製に利用すること
により工程1にリサイクルすることが好ましい。即ち、
工程1で銅の溶解に使用する水溶液に含まれていたアン
モニアおよび炭酸アンモニウムのうち、塩基性炭酸亜鉛
の生成で消費された炭酸イオンを除いた残りの部分は原
理的には回収して、循環使用でき、炭酸イオンの原料で
ある炭酸ガスは製鉄所内の排ガスなどから安価に調達で
きるので、本発明の方法は薬剤コストが非常に安い。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。実施例中、%は特に指定しない限り重量%である。
【0034】銅の溶解工程 (工程1) 廃自動車をシュレッダーにより裁断した、銅含有量0.5
%のフェロスクラップ(シュレッダースクラップ) を、
次に述べるようにアンモニア性水溶液で脱銅処理した。
【0035】内容積1.5 m3のステンレス鋼製反応器に、
NH3 濃度0.2M、(NH4)2CO3 濃度0.1M、Cu(NH3)4CO3 濃度
0.9Mのアンモニア性水溶液1000リットルを入れ、重量0.
5 トンの上記シュレッダースクラップを装入し、温度約
60℃で純酸素を1.0 時間吹き込んだ。その後、脱銅され
たスクラップを取り出し、水洗・乾燥後に電気炉で溶製
したところ、銅含有量0.08%の電気炉鋼が得られた。従
って、脱銅率は84%であった。
【0036】スクラップの処理後、反応器に残る銅が溶
解した水溶液のうち、約35リットルを次の工程2での銅
回収のために取り出し、残りの水溶液には別に用意した
NH3濃度2.0M、(NH4)2CO3 濃度1.0Mのアンモニア性水溶
液約35リットルを補給して、次回のフェロスクラップの
脱銅処理を上記と同様に行ったところ、上とほぼ同じ脱
銅効果を得た。このように、スクラップの処理ごとに適
量の溶液の更新を行えば、反応促進効果のあるアンミン
銅錯体を水溶液中に必要な濃度で含有させつつ、スクラ
ップの処理を回分操作により続けて実施することができ
る。
【0037】銅回収/亜鉛溶解工程 (工程2) 工程2および次の工程3で使用する亜鉛含有物として、
小径管亜鉛メッキ工場から発生した亜鉛ダスト (平均粒
径0.1 mm、T-Zn 99.0%, 金属Zn 98.5%, Fe 0.2%, Pb 0.
7%, Cd 0.1%)を使用した。
【0038】工程1で得られたアンミン銅錯体濃度0.93
M 、温度約60℃の水溶液約35リットルに、この水溶液中
の銅と反応するのに必要な当量より約3%少ない2.1 kg
の上記亜鉛ダストを添加し、15分間攪拌した。溶液から
析出した金属銅を濾過し、乾燥して、銅含有量99.5%の
銅粉末を得た。このように非常に短時間でアンミン銅錯
体と亜鉛とのイオン置換反応が完了し、高純度の銅の回
収と亜鉛ダストの溶解を行うことができた。
【0039】比較のため、従来のように、アンモニアと
炭酸アンモニウムとからなる、アンミン銅錯体を含有し
ないアンモニア性水溶液を用いて、上記と同様に亜鉛ダ
ストを溶解したところ、亜鉛分の溶解には約10時間が必
要であった。
【0040】溶液の精製工程 (工程3) 工程3で得られた濾液は、濃度0.91M のアンミン亜鉛錯
体のほかに、少量のアンミン銅錯体と他の不純物金属イ
オンとを含んでいた。この溶液中に、工程2で使用した
のと同じ亜鉛ダスト100 g を添加し、60℃で約15分間攪
拌して、銅および不純物金属を沈殿させた。沈殿物を濾
過し、アンミン亜鉛錯体濃度0.93M の精製された水溶液
を得た。この溶液中の不純物濃度はFe 8 ppm, Pb 15 pp
m, Cu 3ppm であった。なお、銅と亜鉛を主体とする沈
殿物は、工程1に戻し、銅と亜鉛を回収した。
【0041】炭酸亜鉛回収工程 (工程4) 精製されたアンミン亜鉛錯体の水溶液を、特公平1−38
049 号に記載の晶析槽と多孔板蒸留塔とからなる晶析装
置を用いて90〜100 ℃に加熱し、アンミン亜鉛錯体の分
解により塩基性炭酸亜鉛を晶析させた。発生したアンモ
ニアおよび炭酸ガスは回収して、工程1で使用するアン
モニア性水溶液の調製に利用した。晶出した結晶を濾別
した後、水洗および乾燥し、純度99.98 %の塩基性炭酸
亜鉛 (Fe63 ppm, Pb 110 ppm, Cu 24 ppm) を回収し
た。
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によれば、銅を含有するフ
ェロスクラップから銅を簡単な工程でアンモニア性処理
溶液中に迅速に溶解させて、脱銅された高品位のスクラ
ップを得ることができ、スクラップを溶製原料とした鋼
の品質低下が防止される。一方、処理溶液中に溶解した
銅は、亜鉛含有物との反応により短時間で高純度金属銅
として沈殿させ、回収することができる。同時に、亜鉛
含有物は、従来の方法に比べて非常に短い反応時間でア
ンミン亜鉛錯体として溶解させることができ、亜鉛含有
物の添加による精製工程を経て晶析させることにより、
高純度の炭酸亜鉛として亜鉛が回収される。
【0043】このように、本発明の方法では、製鉄所内
で使用される銅含有スクラップと製鉄所内で発生する亜
鉛含有物とを一括して処理することにより、スクラップ
の脱銅が可能になるだけでなく、脱銅で得られた溶液中
の銅の沈殿とこの溶液中への亜鉛含有物からの亜鉛の溶
解を短時間で同時に実施でき、スクラップの脱銅と亜鉛
含有物からの亜鉛回収をともに効率化することができる
上、回収された金属銅と炭酸亜鉛も高純度である。さら
に、本発明の方法で使用する材料はいずれも安価であ
り、またその大部分は本発明の方法において循環使用さ
れるので、経済性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法のフローシートである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅を含有するフェロスクラップから、ア
    ンモニアおよび炭酸アンモニウムを含有する水溶液中
    に、酸素の存在下で銅をアンミン銅錯体として選択的に
    溶解させ、脱銅スクラップを得る工程1、 工程1で得たアンミン銅錯体を含有する水溶液に、溶液
    中の銅の量と当量以下の亜鉛を含有する金属亜鉛含有物
    を添加し、亜鉛をアンミン亜鉛錯体として溶解させると
    共に、金属銅を沈殿させ、回収する工程2、 得られたアンミン亜鉛錯体を含有する水溶液にさらに過
    剰の金属亜鉛含有物を添加し、溶液中に残留する銅と亜
    鉛より貴な金属不純物とを沈殿として除去することによ
    り水溶液を精製する工程3、 精製された水溶液中からアンミン亜鉛錯体の分解により
    塩基性炭酸亜鉛を晶析させる工程4、からなることを特
    徴とする、銅を含有するフェロスクラップおよび金属亜
    鉛含有物からそれぞれ銅および亜鉛を分離回収すること
    のできる処理方法。
  2. 【請求項2】 工程4で発生したアンモニアおよび炭酸
    ガスを工程1で用いる水溶液の調製に利用する、請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 工程1で用いる水溶液が、処理開始時か
    らアンミン銅錯体を含有している、請求項1または2記
    載の方法。
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WO2011122983A1 (ru) * 2010-03-31 2011-10-06 Tuzov Ivan Nikolaevich Способ извлечения латуни, оксидов цинка и меди из шлака
WO2011122984A1 (ru) * 2010-03-31 2011-10-06 Tuzov Ivan Nikolaevich Комплекс для извлечения латуни, оксидов цинка и меди из отходов

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