JP2879258B2 - 軽量コンクリートの成形体およびその製造方法 - Google Patents

軽量コンクリートの成形体およびその製造方法

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  • Porous Artificial Stone Or Porous Ceramic Products (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、原料中にポリカルボン酸エーテル系の化合
物を使用し、常圧蒸気養生により製造する、新規な軽量
コンクリートおよびその製造方法に関するものである。
(従来の技術及び発明が解決しようとする課題) 従来、軽量コンクリートとよばれているコンクリート
には各種のものがあるが、それらは一般に、固練りコン
クリートであるとともにスランプが小さいため、成形に
あたっては振動機等を用いて強く締め込みを行なう必要
があり、また、コテ等を用いて表面仕上げをしなければ
ならず、それらが成形コストを増加させる要因となって
いた。
この問題の解決策として、スランプを大きくして作業
性を向上させるため、水の使用量を多くするなどの方法
が採られてきたが、これは強度の低下をもたらすばかり
でなく、材料の分離の原因ともなるので、セメントの使
用量を増して強度を確保したり、材料の分離を防ぐため
に増粘剤を混入するようにしていた。しかし、それらの
対処方法では、コストを更に高めるという欠点を生ずる
こととなっていた。
一方、振動機を用いると、化粧用のタイルを施すもの
では、化粧用タイルがずれたり、また、モルタル分がタ
イル表面に滲み出すなどして、美的な成形体を得ること
ができなかった。
したがって、当該技術分野では、これらの欠点を解消
するための技術手段の開発が望まれていた。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、作業性が
よく美的良品を成形することのできる、高品質の新規な
軽量コンクリート成形体およびその製造方法を提供しよ
うとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、上記の目的を達成すべく、原料物質の
最適な組合せ、並びに、スランプが大きく、スランプロ
スも少なく振動機の使用できる範囲を長時間維持でき、
作業性も良く美的良品を成形することについて、鋭意研
究を重ねた結果、オートクレーブなどの高圧蒸気養生を
用いることなく、常圧蒸気養生により優れた物性を示す
新規な成形体を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、セメント、フライアッシュおよ
びスラグよりなる結合材と軽量骨材とを混合し、これに
結合材重量に対して0.1〜1.0重量%のポリカルボン酸エ
ーテル系の化合物を用い、これを水溶液として、あるい
は、水とともに添加混合し、常圧蒸気養生して成形する
ことを特徴とする、新規な軽量コンクリート成形および
その製造方法である。
本発明により、後に詳述する従来の軽量コンクリート
板では得られなかった各種の特性のほか、大型板や複雑
な形状の軽量コンクリートの製品も得られるという特有
の利点が得られることになる。
本発明に係る成形体の原料は、セメント、フライアッ
シュ、およびスラグよりなる結合材と、軽量骨材および
ポリカルボン酸エーテル系化合物とよりなる。この原料
成分の好ましい配分割合は、下記表−1に示されるとお
りである。詳細な割合は、使用目的に応じて、この好ま
しい配合割合の内から、任意に、適宜選択されるが、表
−1に示す好ましい配合範囲は、かさ比重が1.6〜2.0の
範囲の配合で、圧縮強度が非常に優れていることが実験
の結果判明したものである。
上記表−1の配合割合によれば、セメント、フライア
ッシュおよびスラグ微粉の適正な組合せによるのは勿論
のこと、フライアッシュおよびスラグ微粉のベアリング
効果が相乗的に作用するうえ、ポリカルボン酸エーテル
系化合物の作用により、単位水量が少ないにもかかわら
ず、スランプが大きく、分離が少ないうえ、高強度の軽
量コンクリート成形体が得られる。
本発明の製造方法において使用する原料の種類および
量は、上記表−1に示すとおりである。
本発明の製造方法は、上記原料を均一に混合して軽量
コンクリートとする練り混ぜ工程と、これを型枠に流し
込む成形工程とおよび常圧蒸気養生を行なう工程の三つ
の主要工程からなっている。
まず、第一工程として、原料のセメント、フライアッ
シュおよびスラグよりなる結合材と軽量骨材を均一に混
合し、これに、結合材重量に対して、0.1〜1.0重量%の
ポリカルボン酸エーテル系化合物を水溶液として、ある
いはこれを水と同時に添加した後、均一に練り混ぜて軽
量コンクリートとする。
次に、第二工程として、均一に練り混ぜ合わせられた
上記軽量コンクリートを、トレミー方式あるいは注入方
式などの方法によって、型枠に静かに打込む。その際、
巻き込みエヤーが入らないよう注意する。
最後に、第三工程として、型枠に流し込まれたコンク
リートを、常圧蒸気養生する。養生時間は、コンクリー
トを型枠に流し込んで3〜4時間前置養生した後、3〜
4時間かけて60゜〜70℃まで昇温し、60゜〜70℃の温度
を4時間保持し、次いで3〜4時間かけて室温まで降温
する。この常圧蒸気養生によって、軽量コンクリートの
強度を早く高くすることができる。
(実施例) 以下に、実施例および比較例を示して、本発明を更に
詳しく説明する。
実施例 1 セメント(三菱鉱業製)260重量部、フライアッシュ
(首都工業製)150重量部、スラグ微粉(新日本製鉄化
学製)265重量部をミキサーに同時に投入し30秒混合
後、砕砂50重量部を投入し15秒混合後、軽量骨材(日本
メサライト工業製)813重量部を投入し15秒混合した
後、ポリカルボン酸エーテル系の化合物(日曹マスター
ビルダーズ製:レオビルドSP−8N)を、結合材に対して
0.55重量%を含んだ水溶液208重量部を投入し1分30秒
混合した後型枠に流し込み、成形終了後、前置き4時間
後に昇温3〜4時間、60〜70℃の保持4時間、降温4時
間の常圧蒸気養生を行って成形し、軽量コンクリート成
形体とした。
比較例 1 セメント500重量部、砕砂250重量部をミキサーに同時
に投入し30秒混合後、軽量骨材800重量部を投入して15
秒混合した後、市販品A減水剤を結合材に対して1.0重
量%の水溶液225重量部を投入し、1分30秒混合した後
に、型枠に流し込み、成形終了後、前置き4時間、常圧
蒸気養生として、昇温3〜4時間、60〜70℃の保持4時
間、降温4時間の養生を行って成形し、軽量コンクリー
トとした。
実施例2.3及び比較例2,3 上記実施例1及び比較例1の手法に準じ、表−2に示
した各種材料と配合量を用いて実施例2,3及び比較例2,3
を行った。
結果は、表−2に示すとおりである。
上記の表−2により明らかなように、テーブルフロー
は、実施例では練り混ぜ30分後においても170mmである
が、比較例では105mmであり、65mmの差があることが認
められる。また、圧縮強度は、材令28日で、実施例は42
0kgf/cm2、比較例は380kgf/cm2であり、その差は40kgf/
cm2であることが認められる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明により得られる軽量コン
クリート成形体は、軽量でしかも強度に優れており、建
築物、構築物材料として、各種用途に適するものであっ
て、その利点を挙げると次のとおりである。
(1)ポリカルボン酸エーテル系の化合物の添加によっ
て、単位水量の使用量が減少する。
(2)従来の軽量コンクリートに比べて強度が高い。
(3)成形時のコンクリートの流動性に優れているの
で、 a.コンクリートの打設および流し込みが容易となり、振
動機を使用することなく成形することができるととも
に、良好な作業環境が得られる。
b.コンクリート打設後の表面仕上げが簡単なコテおさえ
ですみ、作業効率が向上する。
c.材料の分離がなく、スランプロスもなく、長時間の流
動性の維持ができる。
d.コンクリートの打設および流し込みによる成形時にお
いて、振動機を使用しないために、型枠面の仕上げ材の
タイル等の移動がなく、美的かつ良品の成形体ができ
る。
(4)フライアッシュおよびスラグを結合材の一部とし
て用いるため、セメントのみの結合材と比較して原料コ
ストが低減される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメント、フライアッシュおよびスラグよ
    りなる結合材と軽量骨材との混合物と、上記結合材重量
    に対して0.1〜1.0重量%のポリカルボン酸エーテル系の
    化合物とを含有することを特徴とする、かさ比重1.6〜
    2.0の軽量コンクリート成形体。
  2. 【請求項2】セメント、フライアッシュおよびスラグよ
    りなる結合材と軽量骨材とを混合し、これに、上記結合
    材重量に対して0.1〜1.0重量%のポリカルボン酸エーテ
    ル系の化合物を用い、これを水溶液として、あるいは、
    水とともに添加混合して成形し、常圧蒸気養生して成形
    することを特徴とする、かさ比重1.6〜2.0の軽量コンク
    リート成形体の製造方法。
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