JP2877520B2 - 複合体及び該複合体を含有する成形品 - Google Patents

複合体及び該複合体を含有する成形品

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JP2877520B2 JP8532358A JP53235896A JP2877520B2 JP 2877520 B2 JP2877520 B2 JP 2877520B2 JP 8532358 A JP8532358 A JP 8532358A JP 53235896 A JP53235896 A JP 53235896A JP 2877520 B2 JP2877520 B2 JP 2877520B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明はシリカ微粒子と有機重合体からなる複合体及
びこの複合体を用いた成形品に関する。
背景技術 一般に、有機重合体は剛性、硬度、耐熱性が低いもの
が多いが、これら物性を向上させる試みの一つとして、
無機物との複合化がこれまで多く検討されている。
コロイダルシリカを含有する複合体組成物としては、
例えば特公平1−41180号、特公平4−48832号、特公平
5−40796号、特開平5−287217号、特開平6−199917
号、特開平7−26165号及び特公平7−94620号各公報に
は、アルコキシシリル基又は水酸基を有するアクリル系
重合体の水性エマルジョンとコロイダルシリカからなる
塗料用組成物が開示されている。しかし、これらの塗料
はプラスチック成形物の表面性状の改質には有効である
が、成形物自体の剛性、靱性及び耐熱性を向上すること
はできない。
また、特開平3−223333号、特開平3−231925号、特
開平4−270710号及び特開平5−117338号各公報には、
コロイダルシリカをコアとし、ポリオルガノシロキサン
をシェルとするコア/シェル体及びそれにビニルモノマ
ーをグラフト共重合したものを含有した熱可塑性樹脂が
開示されている。これら公報に開示されている方法は、
コロイダルシリカ水分散液中でシロキサンの重合を行っ
てシリカコア/シリコーンシェル体を調製し、その上に
ビニルモノマーを乳化重合することによってビニルポリ
マーグラフトコアシェル体を得るものである。このた
め、シリコーン成分を多く添加しないと重合系中に不要
な固形物(カレット)が多く生成し、また、ビニルモノ
マーの種類によっては重合中に重合容器内の成分が固化
してしまい安定なエマルジョンが得られない等の問題が
あった。即ち、これらの方法では組成上の制約が大きか
った。更に、この方法によれば、コロイダルシリカはシ
リコーンゴムによって完全に覆われるモルフォロジーし
か取り得ないし、コロイダルシリカを樹脂中に導入する
ことにより期待される効果、即ち、成形物の剛性及び耐
熱性を向上させることは達成されていない。また、J.Ma
t.Sci.,Vol.29,p.4651(1994)によれば、無機フィラー
をゴム成分で被覆した構造では高い剛性が発現しないこ
とが理論的及び実験的に示されている。
更に、特開平6−322036号公報には、(メタ)アクリ
レートと架橋性モノマーとを乳化重合または懸濁重合さ
せ、所定の重合度に達した時点で、シランカップリング
剤で前もって処理したシリカ微粒子を添加するシリカ含
有アクリル系重合体組成物の製造法が開示されている。
しかし、この方法においてはシリカを良好に分散させる
ため及び後に架橋剤を添加して熱架橋させるため、架橋
性モノマーを用いることが必須であり、また、粉末状シ
リカ微粒子を予め水中に分散させてシランカップリング
剤処理しなければならない等、工程が複雑にならざるを
得ない。また、アクリル系重合体中における粉末状のシ
リカ微粒子の分散状態はサブミクロンオーダー以上のレ
ベルであるため、本発明で目的とする透明性に優れた成
形品は得られていない。
また、特公昭56−50881号、特開昭62−213839号、特
開平7−553727号及び特開平7−53728号各公報には、
荷電した無機質粒子とそれと反対に荷電した高分子粒子
からなる、無機質粒子が高分子粒子の回りを被覆した構
造を有する複合体分散液及び粉末の製造方法が開示され
ている。これらは重合体粒子として軟らかい粘着性のあ
るものが対象とされており、重合体同士が使用前に粘着
しないようにするために表面を固いシリカで被覆する、
いわゆる耐ブロッキング性向上剤についての開示であっ
て、塗料や接着剤、コピー用トナー用途に用いられるも
のである。この方法では異電荷を持つ粒子を混合するた
め異粒子間の凝集が極端に速く、均一に複合化された複
合体を得ることが難しいという問題点を有している。ま
た、これら公報には、溶融賦形可能な複合体についての
示唆及び開示は全くなされていないし、実質的に厚みを
持ち、かつ透明性に優れた成形品についての示唆及び開
示も全くなされていない。
特開平4−175351号、特開平4−261433号及び特開平
7−88355号各公報は、エポキシ樹脂接着剤充填用とし
て用いられる、コロイダルシリカなど無機質ゾル由来の
無機質を表面に担持することを特徴とする有機重合体粉
末を開示している。ここで用いられている重合体も同様
に軟らかくて粘着性のあるものである。また、乳化重合
時の乳化剤にはすべてスルホン酸塩系の乳化剤が用いら
れているために、重合体粒子の回りにコロイダルシリカ
を一次粒子の状態を保持したまま効率よく被覆すること
はできない。これら公報においては、例えば粒子径10〜
20nmのコロイダルシリカを10〜95重量%の含量となるよ
うに重合体エマルジョンと混合後、噴霧乾燥して粒子径
0.5〜10μmの複合体粒子を得ている。噴霧乾燥により
生成物を得ているので、生成物の組成は仕込み分の組成
と同じになるが、この製法では重合体粒子の回りにコロ
イダルシリカが一次粒子の状態を保持したまま噴霧して
いる複合体粒子は得られず、コロイダルシリカ由来のシ
リカ凝集物が重合体粒子に担持されている複合対粒子が
得られる。更に、粒子半径aの大粒子を粒子半径bの小
粒子で被覆するときの最大被覆粒子数Rを求める理論式
であるF.K.Hansenらの式 により計算したところ、この0.5〜10μmの粒子に対し
て10〜20nmのコロイダルシリカは、その含有量が10〜95
重量%の範囲では一次粒子の状態では被覆できないこと
がわかった。
例えば特開平4−175351号公報の実施例15は、原料と
して平均粒子径15nmのコロイダルシリカを用いてシリカ
分を42.9重量%担持した0.5〜4μmの複合体を開示し
ている。この複合体における重合体一粒子あたりのコロ
イダルシリカの実際の被覆数を計算したところ、上式で
示される最大被覆数Rの3.5倍以上であった。すなわ
ち、この粉末はナノメートルオーダーの無機質ゾルを一
次粒子の状態で担持しているのではなく、無機質ゾルの
凝集物を担持ている。
特開平5−209027号公報は、有機溶媒又は水に分散性
を有するコロイダルシリカの表面をアルコキシシラン化
合物で処理した後、分散媒をラジカル重合性ビニル化合
物で置換し、それを重合することによって得られる、透
明性に優れた複合体を開示している。しかし、この複合
体は、有機ポリマーとシリカ系網目との相互進入網目構
造を有するものなので、溶融賦形が不可能である。ま
た、特開平5−287213号公報、繊維学会誌Vol.49,p.130
(1993)及びPolym.Adv.Tech.,Vol.3,p.91(1992)は、
有機溶媒中に分散したコロイダルシリカを鎖状高分子化
合物で修飾したコロイド溶液、更には、溶媒を留去又は
遠心分離して得られる複合体粉末を開示している。しか
しながら、これらの方法は原料費も高く、工程も煩雑で
あるので、工業的製法としては不向きである。
更に、高分子論文集Vol.46,p.21(1989)、同誌Vol.4
4,p.483(1987)及び同誌Vol.44,p.839(1987)は、有
機重合体ラテックスとシリカ粒子を凝集させて得られる
複合体粒子を開示している。しかし、これらの文献にお
いて用いられている粒子径が240〜1590nmと大きなシリ
カ粒子では、本発明が目的とする透明性の優れた成形品
は得られない。
発明の開示 本発明の目的は、コロイダルシリカ粒子同士が凝集せ
ず、樹脂中にコロイダルシリカ微粒子が一次粒子の状態
で分散した成形品を得ることができる複合体であって、
低コストで簡便な方法で得られる複合体を提供すること
にある。
すなわち、本発明は、平均粒子径50nm以下の負に荷電
したコロイダルシリカが、実質的に一次粒子の状態で、
負に荷電した重合体粒子の回りに付着した構造を有する
ことを特徴とする複合体である。
この複合体を溶融賦形することにより、コロイダルシ
リカが、実質的に一次粒子の状態で成形品中に分散して
いる成形品が得られる。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の複合体を用いて得られた樹脂成形品
の超薄切片の超過型電子顕微鏡写真である。
発明を実施するための最良の形態 本発明に用いられるコロイダルシリカは、平均粒子径
が50nm以下のものであり、水を分散媒としたものが使用
でき、各種のものが市販されている。平均粒子径が50nm
より大きなコロイダルシリカを用いても、本発明が目的
とする良好な透明性や高い剛性、耐熱性を同時に発現す
ることはできない。本発明で好ましく用いられるコロイ
ダルシリカは平均粒子径が30nm以下のものであり、より
高い透明性を発現する。
本発明で用いるコロイダルシリカは負に荷電したもの
であり、このことは電気泳動法などの原理を利用したζ
電位の測定により容易に判定できる。
また、本発明においては、あらかじめシラン化合物な
どで表面処理を施されたコロイダルシリカを用いること
もできる。かかるシラン化合物としては、メチルトリク
ロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロ
ロシラン、ビニルトリクロロシラン、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチル
メトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙
げられる。表面処理は、例えばコロイダルシリカの水分
散液にシラン化合物を添加し、室温から100℃の温度下
に、任意の時間混合撹拌することにより実施できる。こ
のような表面処理しらコロイダルシリカを用いると、複
合体から形成される成形品中のコロイダルシリカの分散
性がより向上し、また成形物の機械的物性の向上にも寄
与する。
本発明で用いられる重合体は、負に荷電したものであ
り、平均粒子径が20〜2000nmのものが好ましく、30〜30
0nmのものが特に好ましい。
重合体の種類としては、ラジカル重合体ビニル化合物
の重合体や、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセター
ル、ポリアミド等の熱可塑性の各種エンジニアリングプ
ラスチックス、エポキシ樹脂、反応性ポリエステル樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアリル樹脂、
アルキッド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。その中
でも好ましいのは、ラジカル重合体ビニル化合物を水系
乳化重合して得られる重合体粒子である。
本発明に用いられるラジカル重合性ビニル化合物とし
ては、各種のものが使用でき、その具体例としては、例
えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブ
チルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のα、β
−不飽和カルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸
等の不飽和カルボン酸無水物:N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド
等のマレイミド誘導体;2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメ
タクリレート等のヒドロキシ基含有ビニル単量体;アク
リルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート等の窒素含有ビニル単量
体;アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有ビニ
ル単量体;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビ
ニル化合物;エチレン、プロピレン、ブタジエン、4−
メチル−1−ペンテン等のオレフィン系単量体;塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン等のハロゲン基含有ビニル単量
体;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリル
メタクリレート、ジビニルベンゼン、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート等の架橋性単量体等が挙げられ
る。これらラジカル重合性ビニル化合物は、単独で又は
2種以上を組み合わせて用いられる。
また、成形品に高い透明性が要求される場合には、ラ
ジカル重合性ビニル化合物にメルカプト基又はエチレン
性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物を同時に存
在させて重合させて得られる重合体中にアルコキシシリ
ル基及びシラノール基の少なくとも1種の基を含有する
ものを使用するのが好ましい。
上記アルコキシシラン化合物としては、例えば下記一
般式(I)〜(VI)で示されるものが挙げられる。
(式中、R1は炭素数1〜10の炭化水素基、R2は水素原子
又はエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜10の炭
化水素基、R3は水素原子又はメチル基、nは0〜2の整
数、pは1〜10の整数、qは0〜10の整数を表わす。) 上記化合物の具体例としては、前記一般式(I)で表
されるアルコキシシラン化合物としては、例えばγ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
前記一般式(II)で表されるアルコキシシラン化合物
としては、例えばγ−アクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピル
メチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロ
ピルエチルジメトキシシラン、β−アクリロイルオキシ
エチルトリメトキシシラン、β−アクリロイルオキシエ
チルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイル
オキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タクリロイルオキシプロピルエチルジトキシシラン、γ
−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラ
ン、β−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラ
ン、β−メタクリロイルオキシエチルメチルジメトキシ
シラン等が挙げられる。
一般式(III)で表されるアルコキシシラン化合物と
しては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビ
ニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメ
チルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラ
ン、ビニルエチルトリメトキシシラン、ビニルジメチル
メトキシシラン、イソプロペニルトリメトキシシラン、
イソプロペニルメチルジメトキシシラン、アリルトリメ
トキシシラン、5−ヘキセニルトリメトキシシラン、9
−デセニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
一般式(IV)で表されるシラン化合物としては、例え
ばp−ビニルフェニルトリメトキシシラン(別名p−ト
リメトキシシリルスチレン)、p−ビニルフェニルトリ
エトキシシラン、p−ビニルフェニルトリイソプロポキ
シシラン、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラ
ン、p−ビニルフェニルメチルジエトキシシラン、p−
ビニルフェニルエチルジメトキシシラン、p−ビニルフ
ェニルプロピルジメトキシシラン、p−ビニルフェニル
フェニルジメトキシシラン、p−ビニルフェニルジメチ
ルメトキシシラン、o−ビニルフェニルトリメトキシシ
ラン、o−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、m
−ビニルフェニルトリメトキシシラン、o−ビニルフェ
ニルメチルジメトキシシラン、p−イソプロペニルフェ
ニルトリメトキシシラン、p−イソプロペニルフェニル
メチルメトキシシラン、m−イソプロペニルフェニルト
リメトキシシラン、m−イソプロペニルフェニルメチル
ジメトキシシラン等が挙げられる。
一般式(V)で表されるシラン化合物としては、例え
ばトリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、メチル
ジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等が挙げられ
る。
一般式(VI)で表されるシラン化合物としては、例え
ば11−トリメトキシシリルウンデカン酸ビニル等が挙げ
られる。
これらのうち、一般式(I)、(II)及び(III)で
表されるものが、入手のし易さ及び価格面から好ましく
用いられ、特に好ましく用いられるものとしては、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルト
リメトキシシランが挙げられる。
しかしながら、エチレン性不飽和基を有するアルコキ
シシラン化合物を多量に配合すると、分子間の多くの部
位でシラノール基の縮合による架橋が起こるため、生成
した複合体を熱溶融賦形する際に溶融流動性が低下して
ゲル状となり、賦形性が悪化することがある。このため
本発明に最も好ましく用いられるシラン化合物は、メル
カプト基を有するアルコキシシラン化合物である。
これら一般式(I)〜(VI)で表されるメルカプト基
またはエチレン性不飽和基を有するアルコキシシラン化
合物は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用い
られる。
メルカプト基を有するアルコキシシラン化合物を用い
る場合には、その配合量は、前述したラジカル重合性ビ
ニル化合物100重量部に対して、20重量部以下であるこ
とが好ましく、10重量部以下であることが特に好まし
い。
エチレン性不飽和基を有するアルコキシシラン化合物
を用いる場合、前述した理由により、その配合量はラジ
カル重合性ビニル化合物100重量部に対して、1重量部
以下であることが好ましく、0.5重量部以下であること
が特に好ましい。
これら一般式(I)〜(VI)で表されるメルカプト基
またはエチレン性不飽和基を有するアルコキシシラン化
合物をラジカル重合性ビニル化合物と共に用いると、コ
ロイダルシリカとラジカル重合性ビニル化合物の重合体
粒子との複合化がより均一に行われる利点を有する。
本発明におけるラジカル重合性ビニル化合物を水系で
乳化重合して重合体粒子の水性ラテックスを得る方法と
しては、以下の態様が例示される。
乳化重合を行う際に用いるラジカル重合開始剤として
は、例えば第三ブチルハイドロパーオキサイド、クメン
ハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイ
ドロパーオキサイド等の有機ハイドロパーオキサイド類
からなる酸化剤と、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシ
レート処方、含糖ピロリン酸鉄処方/スルホキシレート
処方の混合処方等の還元剤との組み合わせによるレドッ
クス系の開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム
等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビス
イソブチレート等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサ
イド、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物等を
挙げることができるが、好ましくはレドックス系の開始
剤である。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、通
常ラジカル重合性ビニル化合物100重量部に対し、0.01
〜5重量部である。
乳化重合に際して用いられる乳化剤としては、各種の
ものが使用でき、例えばポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルフォスフェートナトリウム塩やポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエーテルフォスフェートナトリウム
塩等のリン酸塩系乳化剤、オレイン酸カリウム、N−ラ
ウロイルサルコシン酸ナトリウム、N−ミリストイルサ
ルコシン酸ナトリウム、アルケニルコハク酸カリウム等
のカルボン酸塩系乳化剤及びポリオキシエチレンアルキ
ルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエー
テル等のノニオン系乳化剤が挙げられる。なかでも好ま
しく用いられるものはリン酸塩系乳化剤及びカルボン酸
塩系乳化剤であり、更に好ましく用いられるものはリン
酸塩系乳化剤である。また、スルホン酸塩系乳化剤をこ
れらの乳化剤と併用することができる。スルホン酸塩系
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸ナトリウム、ジフェニルエーテルジス
ルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリ
ウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫
酸ナトリウム等が挙げられる。
なお、ここでいうリン酸塩系乳化剤とは、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテルフォスフェートやポリオキシ
エチレンアルキルアリルエーテルフォスフェート等に代
表されるリン酸系乳化剤も含む。また、リン酸基を一部
含有して界面活性濃を有するポリマーも重合乳化剤とし
て用いることができるので、本発明でいうリン酸塩系乳
化剤に含まれる。リン酸塩系乳化剤を用いると、ラジカ
ル重合性ビニル化合物の乳化重合ラテックス中にコロイ
ダルシリカを添加したときに本発明の複合体中に最も効
率的にコロイダルシリカを導入できる利点を有する。
乳化剤の使用量としては、通常ラジカル重合性ビニル
化合物100重量部に対して、0.5〜10重量部である。
乳化重合に際しては、必要に応じて連鎖移動剤を用い
ることができる。連鎖移動剤の具体例としては、例えば
第三ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタ
ン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメル
カプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、臭化エチレ
ン等のハロゲン化合物が挙げられ、ラジカル重合性ビニ
ル化合物100重量部に対して、通常、1重量部以下使用
される。また、必要に応じて各種電解質、pH調節剤等を
併用することができる。
乳化重合は、重合温度5〜100℃、好ましくは40〜95
℃、重合時間0.1〜24時間程度の条件で行われる。ラジ
カル重合性ビニル化合物を反応器に添加する方法は、一
括でも分割でも連続的添加でもよく、また、それらの併
用でもよい。
本発明の複合体の製造に際しては、負に荷電した重合
体の水性ラテックスを用いることが好ましい。もし正に
荷電した重合体の水性ラテックスを用いて後述するコロ
イダルシリカ水分散液との混合を行うと、重合体粒子
(正に荷電)とコロイダルシリカ(負に荷電)が逆符号
の荷電を有することとなるため、電気的引力による凝集
が急激すぎて不均一な凝集が起こる。そうなると混合系
が不安定となって、重合容器内の成分の固化や凝集物
(カレット)の生成などが起こり、工程上好ましくな
い。また、コロイダルシリカがラジカル重合体ビニル化
合物の重合体の回りに一次粒子の状態を保ったまま均一
に付着した構造を有する複合体が生成しないので、本発
明で目的とする、コロイダルシリカが一次粒子の状態で
分散することによって得られる性能、すなわち、良好な
外観や透明性、機械的物性が発現しなくなる。
コロイダルシリカと重合体との配合比は、要求される
性能に応じて選択されるが、重合体100重量部に対し、
シリカ固形分として、好ましくは1〜500重量部、特に
好ましくは1〜150重量部である。特に本発明の複合体
を単独で溶融賦形する場合には、コロイダルシリカの配
合量は重合体100重量部に対し、1〜150重量部とするこ
とが好ましい。中でも、押し出し機等の混練り機で本発
明の複合体のみをペレット化した後、射出成形等公知の
方法で溶融賦形する場合においては、複合体は押し出し
ペレット化及び射出成形可能な溶融流動性を有していな
ければならない。このときのコロイダルシリカの配合量
は重合体100重量部に対し、1〜100重量部とすることが
好ましい。ただし、既知の重合体を本発明の複合体とブ
レンドして熱可塑性樹脂組成物とする場合はこの限りで
はない。
コロイダルシリカと重合体の配合比の決定において最
も重要なのは、コロイダルシリカ粒子が重合体粒子の回
りに一次粒子の状態を保ったまま付着することができる
範囲の量を選択することである。すなわち、粒子半径a
の大粒子(重合体粒子)を粒子半径bの小粒子(コロイ
ダルシリカ)で被覆するにあたってF.K.Hansenらの式に
より計算された最大被覆粒子数に対応する量をコロイダ
ルシリカの配合量の上限とする必要がある。
すなわち、重合体一粒子あたりに付着するコロイダル
シリカの平均粒子数Nが、下式で表される範囲にあるこ
とが必要である。
この範囲を超えた量のコロイダルシリカを配合する
と、コロイダルシリカはもはや一次粒子の状態で重合体
粒子の回りに付着することはできず、シリカ同士の凝集
物が重合体の回りに付着することとなる。シリカ同士が
凝集してしまうと再び一次粒子の状態に分散させること
は不可能となるので、コロイダルシリカを一次粒子の状
態で成形品中に分散させることによって透明性に優れた
成形品を得ることを目的とする本発明においては不適当
である。
例えば粒子径50nmの重合体粒子と粒子径15nmのコロイ
ダルシリカとを用いた場合、最大被覆粒子数は68であ
り、最大被覆数をとる時の重合体とコロイダルシリカの
配合量は、重合体23重量%及びコロイダルシリカ77重量
%である。コロイダルシリカの配合量がこの値以上であ
ればコロイダルシリカ粒子同士が少くとも部分的に凝集
して重合体粒子の回りに付着していることを意味する。
同様に、粒子径100nmの重合体粒子と粒子径15nmのコロ
イダルシリカとを用いた場合は、最大被覆粒子数は213
となる。最大被覆粒子数をとる時の重合体とコロイダル
シリカの配合量は、重合体44重量%及びコロイダルシリ
カ56重量%であり、コロイダルシリカの配合量がこの値
以上であればコロイダルシリカ同士が少なくとも部分的
に凝集して重合体粒子の回りに付着していることを意味
する。
特に本発明で得られる複合体を押し出し機等の混練り
機で複合体のみをペレット化した後、射出成形等公知の
方法で溶融賦形する場合や、溶剤やモノマー等に溶解さ
せる場合には、重合体一粒子あたりに付着するコロイダ
ルシリカの平均粒子数Nが下式で表される範囲にあるよ
うにコロイダルシリカの配合量を決めることが、溶融賦
形性(樹脂の溶融時の流動性等)や、溶剤やモノマーへ
の溶解性を考慮した場合、最も好ましい。
(式中、aはコロイダルシリカの平均粒子半径、bは重
合体の平均粒子半径を表わす。) この範囲外でコロイダルシリカを配合した場合、溶融
流動性や溶解性が低下し、本発明の複合体のみを押し出
し機等の混練り機でペレット化したり、射出整形するこ
とが困難となる可能性がある。ただし、他の既知の重合
体を本発明の複合体とブレンドして熱可塑性樹脂組成物
とする場合にはこの限りではない。
本発明の複合体を製造する方法としては、前述したよ
うにして得られた水性ラテックスにコロイダルシリカ水
分散液を添加し、室温〜100℃の温度で任意の時間撹拌
すればよい。この撹拌により複合体の水性ラテックスが
得られるが、この水平ラテックスから水を分離すると、
本発明の複合体が得られる。
水性ラテックスから水を分離する方法としては、塩凝
固法、酸凝固法等の凝固法や、噴霧乾燥法(スプレード
ライ法)等が挙げられる。
凝固法の具体例としては、塩化カルシウム、塩化マグ
ネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、酢酸
カルシウム等の塩、又は硫酸等の酸の水溶液に、得られ
た複合体の水性ラテックスを添加し、必要に応じて加熱
して凝析させる方法が例示される。得られた粉末状生成
物は水洗した後、乾燥することによって精製される。
また、塩又は酸の水溶液の代わりに、メタノールやエ
タノール、イソプロピルアルコール等の水に可溶で、ラ
ジカル重合性ビニル化合物の重合体を溶解しない溶剤を
用い、これに得られた複合体の水性ラテックスを添加
し、加熱することによっても凝固は可能である。
噴霧乾燥法(スプレードライ法)では、複合体を含有
する水性ラテックスを加熱雰囲気中に噴霧することによ
り、粉末状複合体が得られる。
このような方法により水から単離された複合体は、平
均粒子径50nm以下のコロイダルシリカがラジカル重合性
ビニル化合物の重合体粒子の回りに実質的に一次粒子の
状態で付着した構造となっている。このことは透過型電
子顕微鏡による観察で確認できる。
本発明の複合体の平均粒子径としては、30〜2100nmが
好ましく、40〜400nmが特に好ましい。本発明にいう複
合体の平均粒子径とは、複合体の水分散液にレーザー光
を当てて測定する動的光散乱法により求められる値をい
う。
本発明の複合体を使用して樹脂成形品を製造すると、
複合体の表面に存在したコロイダルシリカ同士は凝集せ
ずに一次粒子の状態で成形品中に存在しており、また、
コロイダルシリカの粒子径が小さいことから、透明性に
優れたものが得られる。透過型電子顕微鏡観察によれ
ば、該成形品中のコロイダルシリカ微粒子は非常に均一
に、凝集することなく、一次粒子の状態で分散している
ことがわかり、このことが成形品の良好な透明性を発現
させているものと考えられる。
本発明の複合体は、重合体に熱可塑性樹脂が用いられ
ている場合には、溶融賦形が可能である熱可塑性の複合
体であり、押し出し機等の混練り機でペレット化するこ
とができ、射出成形、圧縮成形(プレス成形)等公知の
方法で所望の形状に賦形できる。この際、本発明の複合
体のみをペレット化することもでき、要求される性能に
応じて他の既知の重合体を、通常99重量%以下、好まし
くは90重量%以下ブレンドし、熱可塑性樹脂組成物とし
て用いることもできる。また、重合体に熱硬化性樹脂が
用いられている場合には、熱可塑性の重合体とブレンド
することにより、熱可塑性樹脂組成物として用いること
ができる。
ブレンドされる重合体としては、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、
ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート
系共重合体(アクリル樹脂)、メチルメタクリレート−
スチレン共重合体、ポリスチレン、スチレン−アクリロ
ニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、スチレン−マレイミド系共重合体、ゴム変性スチレ
ン−マレイミド系共重合体、ゴム強化ポリスチレン(HI
PS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂
(ABS樹脂)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン
−スチレン樹脂(AES樹脂)、メチルメタクリレート−
ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、アクリロニト
リル−ブタジエン−メチルメタクリレート、スチレン樹
脂、アクリロニトリル−n−ブチルアクリレート−スチ
レン樹脂(AAS樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリアセタール、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリスルホン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、PPS樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、P
PO樹脂、ゴム変性PPO樹脂、ポリアミド系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリブタジエン、ブ
タジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタ
ジエン共重合体、ポリイソプレン、天然ゴム、アクリル
ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−ジエン共重合体、塩素化ブチルゴム、塩素化ポ
リエチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、こ
れらブロック共重合体の水素化物等の各種熱可塑性重合
体が挙げられる。
このようにして本発明の複合体を用いてペレット化さ
れた熱可塑性樹脂(組成物)は、圧縮成形(プレス成
形)、射出成形、溶融紡糸等の通常の手段により加工、
成形、紡糸される。
また、本発明の複合体は、各種溶剤中に、あるいは上
記の熱可塑性樹脂のほか、ポリアクリロニトリル系ポリ
マーやセルロース系ポリマー等が溶解した溶剤中に、あ
るいはビニルモノマー中に溶解又は分散させることがで
きる。従って、本発明の複合体を溶剤やポリマーが溶解
した溶剤に溶解又は分散させたものを用い、あるいは本
発明の複合体をビニルモノマーに溶解又は分散させたも
のを塊状重合、懸濁重合又は溶液重合したものを用い
て、湿式若しくは乾式成形(紡糸)することにより、板
状、棒状、粒状、フィルム状、繊維状品等に賦形するこ
とも可能である。
さらに好都合ないずれかの工程において、本発明の効
果を損なわない範囲で、着色剤、紫外線吸収剤、熱安定
剤、光安定剤、離型剤等の添加剤を混合して用いること
ができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。な
お、実施例において「部」は特記のない限り「重量部」
を意味する。物性等の評価方法は以下の通りである。
1)透明性は、ヘーズメーター(スガ試験機(株)製、
HGM−2DP)を使用して、ASTM D1003に準じて厚さ8分
の1インチのサンプルを用いて全光線透過率とヘーズ値
を測定した。
2)耐熱性は、ASTM D1525に準じてビカット軟化温度
を測定した。
3)強度は、ASTM D790に準じて曲げ試験を行い、曲げ
強度及び曲げ弾性係数を測定した。
4)複合体中の無機分含有率は、所定量の試料をるつぼ
中で強熱した時の残分より算出した。
5)重合体は平均粒子径及びζ電位、コロイダルシリカ
のζ電位は、動的光散乱/レーザー・ドップラー型電気
泳動装置(大塚電子(株)製、ELS−800)を用いて測定
した。
(実施例1) コンデンサー、窒素導入口及び撹拌機を備えたセパラ
ブルフラスコに、脱イオン水300部、乳化剤としてポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテルフォスフェー
トナトリウム塩(東邦化学工業(株)製、商品名:GAFAC
LO−529)2部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム
(以下、EDTAと略す)0.0003部、ソディウムホルムアル
デヒドスルホキシレート(以下、SFSと略す)0.2部及び
硫酸第一鉄0.0001部を入れ、撹拌しながら80℃に昇温し
た。そこに、メチルメタクリレート(以下、MMAと略
す)99部、メチルアクリレート(以下、MAと略す)1
部、n−オクチルメルカプタン0.25部及び第三ブチルハ
イドロパーオキサイド(以下、TBHと略す)0.125部の混
合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時間
保持して、MMA−MA共重合体粒子の水性ラテックスを得
た。この重合体粒子の動的光散乱法(DLS)による粒子
径測定の結果は、62NMであり、ζ電位は−36mVで粒子は
負に荷電していた。
次いで、これに平均粒子径が15nmでζ電位が−17mVの
コロイダルシリカ水分散液(シリカ含量20重量%、日産
化学工業(株)製、商品名:スノーテックス0、以下S
−1と略す)125部(シリカ分25部)を撹拌しながら加
え、80℃で1時間保持した。このようにして得られた複
合体の平均粒子径は98nmであった。なお、F.K.Hansenら
の式により計算された粒子径15nmの小粒子の粒子径62nm
の大粒子への理論最大被覆粒子数Rは95であるのに対
し、本実施例の重合体一粒子あたりコロイダルシリカの
平均粒子数Nは10である。
反応系を冷却後、内容物を酢酸カルシウム5部を溶解
した温水500部中に投入し、塩析凝固を行って粉末状複
合体を分離した。しかる後この粉末複合体を良く水洗し
てから90℃で24時間乾燥した。この粉末状複合体の回収
率は94%、複合体中の無機分含有率は20重量%であり、
添加したコロイダルシリカが複合体中に定量的に導入さ
れていた。
この粉末状の複合体を、金型温度220℃でプレス成形
して得た成形品の物性値は、全光線透過率90.2%、ヘー
ズ値2.8%、ビカット軟化温度122℃、曲げ強度800kg/cm
2、曲げ弾性係数42000kg/cm2であり、透明性、耐熱性及
び剛性に優れていた。
(実施例2) 乳化剤として、アルケニルコハク酸カリウム(花王
(株)製、商品名:ラテムルASK)2部用いて乳化重合
して得られた重合体(平均粒子径:40nm,ζ電位:−35m
V)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で複合体を
得た。この複合体の回収率は94%、複合体中の無機分含
有率は、16重量%であり、添加したコロイダルシリカの
大部分が複合体中に導入されていた。なお、Rの値は48
であり、Nの値は2であった。
この粉末状の複合体を、金型温度220℃でプレス成形
して得た成形品の物性値は、全光線透過率89.0%、ヘー
ズ値3.4%、ビカット軟化温度120℃、曲げ強度800kg/cm
2、曲げ弾性係数40000kg/cm2であり、透明性、耐熱性及
び剛性に優れていた。
(比較例1) 乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウ
ムを2部用いて乳化重合して得られた重合体(平均粒子
径:52nm,ζ電位:−36mV)を用いた以外は、実施例1と
同様の方法で複合体を得た。この複合体の回収率は78
%、複合体中の無機分含有率は1.4重量%であり、添加
したコロイダルシリカが複合体中にほとんど導入されて
いなかった。
(実施例3) 実施例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水
200部、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルフォスフェートナトリウム塩(東邦化学工
業(株)製、商品名:GAFAC LO−529)1.25部、EDTA0.0
003部、SFS0.2部及び硫酸第一鉄0.0001部を入れ、撹拌
しながら75℃に昇温した。そこにMMA90部、MA10部、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1部及びTBH
0.125部の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後7
5℃で2時間保持して、重合体の水性ラテックスを得
た。このラテックス粒子のDLSによる平均粒子径測定の
結果は84nmであり、ζ電位は−29mVで負に荷電してい
た。
次いで、これに、コロイダルシリカ水分散液S−1
125部(シリカ分25部)を撹拌しながら加え、80℃で1
時間保持した。得られた複合体の平均粒子径は107nmで
あり、Rの値は158で、Nの値は24であった。
この複合体を含有する水性ラテックスを透過型電子顕
微鏡で観察すると、MMA−MA共重合体粒子の回りに粒子
径15nmのコロイダルシリカが凝集せずに一次粒子の状態
で付着していた。
反応系を冷却後、内容物を酢酸カルシウム5部を溶解
した温水中に投入し、塩析凝固を行ってMMA−MA共重合
体とコロイダルシリカとの粉末状複合体を分離した。し
かる後この粉末状複合体を良く水洗してから90℃で24時
間乾燥した。この粉末状複合体の回収率は97%、複合体
中の無機分含有率は21重量%であり、添加したコロイダ
ルシリカが複合体中に定量的に導入されていた。
この粉末状の複合体を、二軸押し出し機を使用してシ
リンダー温度220℃で押し出し加工し、ペレットを得
た。上記のペレットを射出成形して得た成形品の物性値
は、全光線透過率92.0%、ヘーズ値1.5%、ビカット軟
化温度104℃、曲げ強度1000kg/cm2、曲げ弾性係数43300
kg/cm2であり、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
上記ペレットを金型温度220℃にてプレス成形したサ
ンプルの透過型電子顕微鏡写真によると、一次粒子径15
nmのコロイダルシリカ粒子が、まったく凝集することな
く、均一に分散している様子が観察された(図1)。
(比較例2) コロイダルシリカ水分散液S−1のかわりに平均粒子
径250nmのシリカ粒子を水に分散させたものを用いた以
外は、実施例3と同様の方法で複合体を得た。この複合
体の回収率は95%、複合体中の無機分含有率は21重量%
であり、添加したコロイダルシリカが複合体中に定量的
に導入されていた。
この粉末状の複合体を金型温度220℃にてプレス成形
して得た成形品は、白色で、全光線透過率34.1%、ヘー
ズ値92.1%であり、透明性に劣っていた。
(比較例3) コロイダルシリカ水分散液S−1の代わりに一次粒子
系12nmの熱分解型シリカ微粉末(日本アエロジル(株)
製、商品名:アエロジル200)を水中に10重量%分散さ
せたものを用い、混合物固形分中のシリカ含量が20重量
%となるように重合体の水性ラテックスと混合した以外
は、実施例3と同様の方法で複合体を得た。なお、シリ
カ分散液は白濁しており、シリカ粒子が一次粒子の状態
では分散していなかった。
この複合体の回収率は95%、複合体中の無機分含有率
は、20重量%であり、添加したシリカ微粉末が複合体中
に定量的に導入されていた。
この粉末状の複合体を、金型温度220℃にてプレス成
形して得た成形品は白色で、全光線透過率68.0%、ヘー
ズ値42.2%であり、透明製に劣っていた。
(比較例4) 乳化剤として、ラウリルトリメチルアンモニウムクロ
ライド(花王(株)製、商品名:コータミン24P)を固
形分換算で2部用いた以外は、実施例3と同様の方法で
重合体の水性ラテックスを得た。このラテックス粒子の
DLSによる平均粒子径測定の結果は81nmであり、ζ電位
は+24mVで正に荷電していた。
次いで、これに、コロイダルシリカ水分散液S−1
125部(シリカ分25部)を撹拌しながら加えたところ、
急速な凝集が起こり、系全体が固化してしまった。
(実施例4) コロイダルシリカ水分散液S−1の配合量を214部
(シリカ分43部)とした以外は、実施例3と同様の方法
で粉末状の複合体を得た。この複合体の回収率は98%、
複合体中の無機分含有率は31重量%であり、添加したコ
ロイダルシリカが複合体中に定量的に導入されていた。
得られた複合体の平均粒子系は110nmで、Nの値は41で
あった。
この粉末状の複合体を、二軸押し出し機を使用してシ
リンダー温度220℃で押し出し加工し、ペレットを得
た。上記のペレットを射出成形して得た成形品の物性値
は、全光線透過率91.5%、ヘーズ値2.4%、ビカット軟
化温度115℃、曲げ強度900kg/cm2、曲げ弾性係数51000k
g/cm2であり、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
また、この粉末状の複合体66部を、MMA成分90%及びM
A成分10%からなる共重合体のビーズ状品34部とブレン
ドし、二軸押し出し機を使用してシリンダー温度220℃
で押し出し加工し、ペレットを得た。上記のペレットを
射出成形して得た成形品の物性値は、全光線透過率91.6
%、ヘーズ値2.6%、ビカット軟化温度106℃、曲げ強度
1100kg/cm2、曲げ弾性係数44000kg/cm2であり、透明
性、耐熱性及び剛性に優れていた。
(実施例5) コロイダルシリカ水分散液S−1の配合量を333部
(シリカ分66部)とした以外は、実施例3と同様の方法
で複合体を得た。この複合体の回収率は96%、複合体中
の無機分含有率は40重量%であり、添加したコロイダル
シリカが複合体中に定量的に導入されていた。得られた
複合体の平均粒子径は112nmで、Nの値は64であった。
この粉末状の複合体を金型温度220℃にてプレス成形
して得た成形品の物性値は、全光線透過率91.2%、ヘー
ズ値2.8%、ビカット軟化温度152℃、曲げ強度900kg/cm
2、曲げ弾性係数61900kg/cm2であり、透明性、耐熱性及
び剛性に優れていた。
(実施例6) コロイダルシリカ水分散液SP1の配合量を750部(シリ
カ分150部)とした以外は、実施例3と同様の方法で複
合体を得た。この複合体の回収率は87%、複合体中の無
機分含有率は60重量%であり、添加したコロイダルシリ
カが複合体中に定量的に導入されていた。得られた複合
体の平均粒子径は110nmで、Nの値は143であった。
この粉末状の複合体を、金型温度250℃にてプレス成
形しようとしたが、溶融性に乏しかった。そこで加熱と
ともに加圧して得た成形品の物性値は、全光線透過率8
2.0%、ヘーズ値8.5%、ビカット軟化温度185℃、曲げ
強度600kg/cm2、曲げ弾性係数99000kg/cm2であった。
(比較例5) コロイダルシリカ水分散液S−1の配合量を、2000部
(シリカ分400部)とした以外は、実施例3と同様の方
法で複合体を得た。この複合体の回収率は82%、複合体
中の無機分含有率は77重量%であり、添加したコロイダ
ルシリカが複合体中にほぼ定量的に導入されていた。
この粉末状の複合体を、金型温度260℃でプレス成形
しようとしたが、粉末を押し固めただけで溶融せず、透
明性良好な成形品は得られなかった。なお、Nの値は32
0であって、理論最大被覆粒子数R(=158)を超えてい
た。
(実施例7) あらかじめコロイダルシリカ水分散液S−1 125部
(シリカ分25部)にトリメチルメトキシシラン0.2部添
加して、コロイダルシリカ表面の一部をトリメチルシリ
ル化したもの(ζ電位:−12mV)を用いた以外は、実施
例3と同様の方法で複合体を得た。
この粉末状複合体の回収率は95%、複合体中の無機分
含有率は、21重量%であり、添加したコロイダルシリカ
が複合体中に定量的に導入されていた。複合体の平均粒
子径は105nmであった。
この複合体を二軸押し出し機を使用してシリンダー温
度220℃で押し出し加工し、ペレットを得た。上記のペ
レットを射出成形して得た成形品の物性値は、全光線透
過率92.3%、ヘーズ値1.3%、ビカット軟化温度104℃、
曲げ強度1000kg/cm2、曲げ弾性係数43000kg/cm2であ
り、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
(実施例8) 平均粒子径が45nmでζ電位が−40mVのコロイダルシリ
カ水分散液(シリカ含量20重量%、日産化学工業(株)
製、商品名:スノーテックスOL)を125部(シリカ分25
部)用いた以外は、実施例3と同様の方法で複合体を得
た。この複合体の回収率は97%、複合体中の無機分含有
率は、21重量%であり、添加したコロイダルシリカが重
合体中に定量的に導入されていた。得られた複合体の平
均粒子径は120nmで、Rの値は30であり、Nの値は1で
あった。
この複合体を、二軸押し出し機を使用してシリンダー
温度220℃で押し出し加工し、ペレットを得た。上記の
ペレットを射出成形して得た成形品の物性値は、全光線
透過率84.5%、ヘーズ値4.9%、ビカット軟化温度104
℃、曲げ強度1000kg/cm2、曲げ弾性係数42200kg/cm2
あった。
(実施例9) 乳化剤として、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウ
ム(日光ケミカルズ(株)製、商品名:サルコシネート
LN)2部用いて乳化重合して得られた重合体(平均粒子
径:50nm,ζ電位:−20mV)を用いた以外は、実施例3と
同様の方法で複合体を得た。この複合体の回収率は94
%、複合体中の無機分含有率は21重量%であり、添加し
たコロイダルシリカが重合体中に定量的に導入されてい
た。得られた複合体の平均粒子径は75nmで、Rの値は68
であり、Nの値は5であった。
この粉末状の複合体を金型温度220℃にてプレス成形
して得た成形品の物性値は、全光線透過率91.2%、ヘー
ズ値1.9%、ビカット軟化温度104℃、曲げ強度1000kg/c
m2、曲げ弾性係数42500kg/cm2であった。
(実施例10) 実施例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水
300部、乳化剤としてポリオキシエチレンアルキルフェ
ニルエーテルフォスフェートナトリウム塩(東邦化学工
業(株)製、商品名:GAFAC LO−529)2部、EDTA0.000
3部、SFS0.2部及び硫酸第一鉄0.0001部を入れ、撹拌し
ながら80℃に昇温した。そこに、MMA99部、MA1部、γ−
メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.2
部、n−オクチルメルカプタン0.25部及びTBH0.125部の
混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後80℃で2時
間保持して、重合体の水性ラテックスを得た。このラテ
ックス粒子のDLSによる平均粒子径測定の結果は、80nm
であり、ζ電位は−30mVで負に荷電していた。
次いで、これにコロイダルシリカ水分散液S−1 12
5部(シリカ分25部)を撹拌しながら加え、30℃で1時
間保持した。得られた複合体の平均粒子径は95nmで、R
の値は145であり、Nの値は21であった。
反応系を冷却後、内容物を酢酸カルシウム5部を溶解
した温水500部中に投入し、塩析凝固を行ってMMA−MA共
重合体とコロイダルシリカとの粉末状複合体を分離し
た。しかる後この粉末状複合体を良く水洗してから90℃
で24時間乾燥した。この粉末状複合体の回収率は97%、
複合体中の無機分含有率は20重量%であり、添加したコ
ロイダルシリカが複合体中に定量的に導入されていた。
この複合体を、二軸押し出し機を使用して、シリンダ
ー温度220℃で押し出し加工し、ペレットを得た。上記
のペレットを射出成形して得た成形品の物性値は、全光
線透過率91.4%、ヘーズ値2.5%、ビカット軟化温度122
℃、曲げ強度1000kg/cm2、曲げ弾性係数42800kg/cm2
あり、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
(実施例11) アルコキシシラン化合物(A)として、ビニルトリメ
トキシシラン0.2部を用いて得られた複合体(平均粒子
径:80nm,ζ電位:−29mV)を用いた以外は、実施例10と
同様の方法で複合体を得た。この複合体の回収率は96
%、複合体中の無機分含有率は20重量%であり、添加し
たコロイダルシリカが複合体中に定量的に導入されてい
た。複合体の平均粒子径は91nmであった。
この複合体を二軸押し出し機を使用してシリンダー温
度220℃で押し出し加工し、ペレットを得た。上記のペ
レットを射出成形して得た成形品の物性値は、全光線透
過率91.0%、ヘーズ値2.5%、ビカット軟化温度120℃、
曲げ強度1000kg/cm2、曲げ弾性係数42000kg/cm2であ
り、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
(実施例12) 実施例1と同様のセパラブルフラスコに、脱イオン水
300部、乳化剤として、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテルフォスフェートナトリウム塩(東邦化学
工業(株)製、商品名:GAFAC LO−529)1.25部、EDTA
0.0012部、SFS0.8部及び硫酸第一鉄0.0004部を入れ、撹
拌しながら70℃に昇温した。そこにアクリロニトリル29
部、スチレン71部、γ−メルカプトプロピルトリメトキ
シシラン1部及びクメンハイドロパーオキサイド0.5部
の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後70℃で2
時間保持して、重合体の水性ラテックスを得た。
このラテックス粒子のLDSによる平均粒子径測定の結
果は135nmであり、ζ電位は−35mVで負に荷電してい
た。
次いで、これにコロイダルシリカ水分散液S−1 12
5部(シリカ分25部)を撹拌しながら加え、70℃で0.5時
間保持した。得られた複合体の平均粒子径は162nmで、
Rの値は362であり、Nの値は99であった。
反応系を冷却後、内容物を酢酸カルシウム5部を溶解
した温水500部中に投入し、塩析凝固を行ってアクリロ
ニトリル−スチレン共重合体とコロイダルシリカとの粉
末状複合体を分離した。しかる後この粉末状複合体を良
く水洗してから90℃で24時間乾燥した。この粉末状複合
体の回収率は97%、複合体中の無機分含有率は21重量%
であり、添加したコロイダルシリカが複合体中に定量的
に導入されていた。
この複合体を、二軸押し出し機を使用してシリンダー
温度220℃で押し出し加工し、ペレットを得た。上記の
ペレットを射出成形して得た成形品の物性値は、全光線
透過率85.0%、ヘーズ値3.8%、ビカット軟化温度115
℃、曲げ強度900kg/cm2、曲げ弾性係数47700kg/cm2であ
り、透明性、耐熱性及び剛性に優れていた。
本発明により、ナノメートルオーダーのコロイダルシ
リカ微粒子が一次粒子の状態で樹脂中に分散した、剛
性、靱性、耐熱性、透明性及び加工性に優れた樹脂成形
物が、低いコストで、且つ簡便な工程で得られる。ま
た、本発明の複合体を含む成形品は、従来無機ガラスが
使われていた用途、例えば家屋や車輛の窓ガラス等種々
の用途に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−175351(JP,A) 特開 平7−53728(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 3/12 - 3/16 B29B 11/14

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径50nm以下の負に荷電したコロイ
    ダルシリカが、実質的に一次粒子の状態で、負に荷電し
    た重合体粒子の回りに付着した構造を有することを特徴
    とする複合体。
  2. 【請求項2】平均粒子径が40〜400nmである請求の範囲
    1記載の複合体。
  3. 【請求項3】重合体一粒子あたりに付着しているコロイ
    ダルシリカの平均粒子数Nが、下式で表される範囲にあ
    る請求の範囲1記載の複合体。 (式中、aは重合体の平均粒子半径、bはコロイダルシ
    リカの平均粒子半径を表わす。)
  4. 【請求項4】重合体が、リン酸塩系乳化剤を用いて乳化
    重合して得られたものである請求の範囲1記載の複合
    体。
  5. 【請求項5】重合体が、カルボン酸塩系乳化剤を用いて
    乳化重合して得られたものである請求の範囲1記載の複
    合体。
  6. 【請求項6】重合体が、アルコキシシリル基及びシラノ
    ール基の少なくとも1種の基を有するものである請求の
    範囲1記載の複合体。
  7. 【請求項7】重合体が、メルカプト基を有するアルコキ
    シシラン化合物とラジカル重合性ビニル化合物の混合物
    を水系で乳化重合したものであることを特徴とする請求
    の範囲6記載の複合体。
  8. 【請求項8】重合体が、エチレン性不飽和基を有するア
    ルコキシシラン化合物とラジカル重合性ビニル化合物の
    混合物を水系で乳化重合したものであることを特徴とす
    る請求の範囲6記載の複合体。
  9. 【請求項9】請求の範囲1記載の複合体を含有すること
    を特徴とする成形品。
  10. 【請求項10】成形品が、実質的に厚みを持つものであ
    る請求の範囲9記載の成形品。
  11. 【請求項11】コロイダルシリカが実質的に一次粒子の
    状態で成形品中に分散している請求の範囲10記載の成形
    品。
  12. 【請求項12】請求の範囲1記載の複合体を溶融賦形す
    る工程を有することを特徴とする成形品の製法。
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JP2012522110A (ja) * 2009-03-31 2012-09-20 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー コーティング組成物並びにその製造及び使用方法
CN114957955A (zh) * 2022-05-17 2022-08-30 东莞市旺品实业有限公司 一种高散热聚碳酸酯材料及高散热性pc灯芯

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