JP2877364B2 - ケース外装形電子部品 - Google Patents

ケース外装形電子部品

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は金属化プラスチックフィルムコンデンサ素子
または該素子に抵抗器、半導体などを結合した複合部品
素子などの電子部品素子をケースに収納し、樹脂充填、
硬化したケース外装形電子部品に関するものである。
従来の技術 従来、金属化フィルムコンデンサのような電子部品
は、予めケースの底部に第1の樹脂を充填してコンデン
サ素子を挿入し、その上に第2の樹脂を充填し、硬化
し、完成したものが実用されていた。
発明が解決しようとする問題点 上述の従来の電子部品においては、充填した樹脂のピ
ンホールを防止したり、電子部品素子の含浸剤の漏出を
防止するために2〜3回に分けて同種の樹脂を充填し硬
化していた。しかし電子部品素子が電気的に破壊した際
には内圧が上昇し、ケースが破壊することがあり、これ
を防止するため伸び率の大きい軟質性の樹脂を用いたも
のも検討されているが、耐湿性が劣る欠点があった。
また軟質性の樹脂に難燃剤を添加して充填すると電子
部品素子の含浸剤などと共に難燃剤が流動し、電子部品
の特性の劣化が進み、特に高温寿命試験においては著し
い特性変化を生ずるなどの問題があった。
問題点を解決するための手段 本発明は、上述の問題を解決したもので、電子部品素
子を有底ケースに収納し、樹脂充填、硬化してなるケー
ス外装形電子部品において、上記ケースの内定面、およ
び電子部品素子の端面の一部を残して、難燃剤を含有し
ない伸び率85〜110%のポリウレタン系樹脂を充填被覆
し、その上にリン系難燃剤を含有する伸び率5%以下の
硬質ポリウレタン系樹脂またはエポキシ系樹脂を充填
し、硬化したことを特徴とするケース外装形電子部品で
ある。
作用 本発明のケース外装形電子部品は、上述の構成によっ
て、使用中経年変化が少なく、電気特性が安定し、耐湿
性が著しく改善されると共に、異常時内圧が上昇しても
ケース破壊を防止する作用を有する。
実施例 以下、本発明を第1図〜第2図に示すケース外装形金
属化フィルムコンデンサの実施例について説明する。
第1図において、1は金属化フィルムコンデンサ素子
で、ポリエステル、ポリプロピレンなどの誘電体フィル
ムの表面上にアルミニウム、亜鉛などの蒸着金属層を形
成して巻回し、熱プレスし、その両端面にはんだなどの
金属を溶射して電極引出層を形成し、該電極引出層に引
出リード2を溶接、はんだ付けなどにより接続する。3
は樹脂ケースで、予め樹脂ケース3の底部に難燃剤を含
有しない伸び率85〜110%のポリウレタン系樹脂4を充
填した後、上記コンデンサ素子1を挿入して加熱し、ポ
リウレタン系樹脂4を硬化する。次いでその上にリン系
難燃剤を含有する伸び率5%以下の硬質ポリウレタン系
樹脂またはエポキシ系樹脂5を充填し、加熱硬化し完成
する。
上述の実施例において、伸び率85〜110%のポリウレ
タン系樹脂4はコンデンサ素子1の端面全体を被覆せ
ず、コンデンサ素子1の上方円弧状部分を残して被覆さ
れるよう製作した。
次に上述の構成において、アルミニウム蒸着金属層を
ポリエステル誘電体フィルム上に形成した金属化フィル
ムを巻回して定格1μF、250VACのケース外装形フィル
ムコンデンサを製作した。使用した樹脂ケース3は厚さ
0.8mmのポリブチレンテレフタレート樹脂で、難燃剤を
含有しないポリウレタン系樹脂4およびリン系難燃剤を
含有した樹脂5の伸び率が各々異なるものを用いてコン
デンサ試料を製作した。
第1表は上記コンデンサ試料の防爆性能および耐湿性
能試験を行った結果を示す。
防爆性能は、UL1414規格のエクスパルジョンテストに
基づいて試験した結果を示し、×印は試験後ケースの一
部の飛散が大きく実用性のないもの、○印はケースの飛
散がなく、実用性のあるものである。
また、耐湿性能は温度85℃、湿度95%において、500
時間耐湿試験した結果を示し、×印は静電容量が10%以
上変化したもの、○印は静電容量が4%以内で、規格値
を充分満足しているものである。
第1表から明らかなように、上記樹脂4の伸び率は、
防爆性能および耐湿性能を満足させるためには、85〜11
0%の範囲が適切であることが実証された。
第2図は、上述の実施例によるコンデンサ素子1の端
面に被覆したポリウレタン系樹脂4に含有した難燃剤の
影響を調べた高温寿命試験結果を示す。この場合ポリウ
レタン系樹脂4の伸び率は100%で、第2図中曲線Aは
難燃剤を含有しない場合、曲線Bはリン系難燃剤を20%
含有したものである。なお、ポリウレタン系樹脂4の上
に充填した樹脂5は、伸び率が5%で難燃剤が20%含有
したものを用いて金属化フィルムコンデンサ試料を製作
した。高温寿命試験は、65℃にて定格電圧×1.25倍の交
流電圧を連続1000時間印加したもので、コンデンサのta
nδ値は75℃にて測定した値を示す。
なお、コンデンサに抵抗器、半導体などを結合した複
合部品素子などの電子部品についても適用できることは
言うまでもない。
発明の効果 本発明のケース外装形電子部品は、以上のように製品
の耐湿性能、高温寿命特性を著しく改善すると共に、安
全性の面において極めて有利となり、工業的ならびに実
用的価値の大なるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)は本発明の電子部品の一実施例の正断面
図、第1図(ロ)は第1図(イ)の電子部品の側断面
図、第2図は金属化フィルムコンデンサの寿命特性図で
ある。 1:コンデンサ素子、2:引出リード、3:樹脂ケース、4:難
燃剤を含有しないポリウレタン系樹脂、5:難燃剤を含有
した樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 肥土 久 京都府京都市中京区御池通烏丸東入一筋 目仲保利町191番地の4 上原ビル3階 ニチコン株式会社内 審査官 野村 亨 (56)参考文献 特開 昭47−22497(JP,A) 特開 昭58−219725(JP,A) 実開 昭54−95858(JP,U) 特公 昭63−51528(JP,B2) 特公 昭60−6533(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05K 5/06 H01G 4/224

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子部品素子を有底ケースに収納し、樹脂
    充填、硬化してなるケース外装形電子部品において、上
    記ケースの内底面、および電子部品素子の端面の一部を
    残して、難燃剤を含有しない伸び率85〜110%のポリウ
    レタン系樹脂を充填被覆し、その上にリン系難燃剤を含
    有する伸び率5%以下の硬質ポリウレタン系樹脂または
    エポキシ系樹脂を充填し、硬化したことを特徴とするケ
    ース外装形電子部品。
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