JP2876787B2 - 位相割り出し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の主軸のチャ
ックにクランプされるワークの位相割り出し装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】クランクシャフトのピン部を研削加工す
る場合に、円周上の複数個所に前記ピン部と同位相で割
り出し溝を形成した割り出しフランジを各割り出し溝が
各ピン部に対応するようにクランクシャフトのジャーナ
ルに取り付け、チャック本体に設けられているワークホ
ルダにジャーナル部を支持し、クランクシャフトを回転
して、チャック本体に回転中心方向にスプリングで付勢
した割り出しピンを前記割り出しフランジの割り出し溝
に係合して位相割り出しを行い、シリンダによって回動
開閉するクランプアームで前記ジャーナル部を押圧して
ワークホルダとによってクランプする位相割り出し装置
が用いられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の装置では、
クランプアームでワークをクランプする前は、位相を決
めた割り出しフランジが割り出しピンの押上力により浮
上しているため、クランプアームでクランプするとき
に、割り出しピンが押し下げられ、この押し下げられる
間に位相がずれることがあり、ピン部を研削すると位相
不良や黒皮残しの不具合を発生する。

【０００４】本発明の目的は、クランプアームによるワ
ーククランプの際に、割り出しフランジを強制的に割り
出し溝が割り出しピンに係合する方向に回動力を付与し
て前記従来の不具合を解消したことである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の要旨は、回転可能な主軸に固着されたチャ
ック本体に、ワークホルダと、このワークホルダに支持
されたワークに取付けられている割り出しフランジの円
周上に形成した割り出し溝に弾機係合する割り出しピン
と、アクチュエータにより回動開閉し前記ワークホルダ
に支持されたワークをクランプするクランプアームとを
備えた位相割り出し装置において、前記割り出しフラン
ジの板面に前記割り出し溝に対して所要の角度位置で突
設したピンと、前記クランプアームにワークのクランプ
時に前記ピンに当接して割り出し溝が前記割り出しピン
に係合する方向に割り出しフランジを回動付勢する位相
決めピンとを備えたことを特徴とする。

【０００６】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図１において、１は回転可能な主軸であり、チャッ
ク本体２が固着されている。このチャック本体２には、
ワークＷを支持するワークホルダ３と、このワークホル
ダ３に支持されたワークＷをワークホルダ３に押し付け
てクランプする回動開閉可能なクランプアーム４と、チ
ャック本体２に回転中心方向にスプリング１３により付
勢された割り出しピン１２とが設けられている。

【０００７】前記クランプアーム４は図２で示すよう
に、支軸５によりチャック本体３に回動可能に軸支さ
れ、チャック本体３に取付けられたシリンダ６のピスト
ンロッド７と連結ピン８及び長穴９とによって作動的に
係合されている。

【０００８】ワークＷには割り出しフランジ１０が取付
けられている。この割り出しフランジ１０の円周上に
は、ワークＷの位相を決める割り出し溝１１が形成され
ている。

【０００９】本発明は、上記の構成の位相割り出し装置
において、前記割り出しフランジ１０の板面に、前記割
り出し溝１１に対して所要の角度位置にピン１４を突設
し、前記クランプアーム４にワーククランプ時に前記ピ
ン１４に当接する位相決めピン１６を設けたものであ
る。

【００１０】前記位相決めピン１６は、クランプアーム
４の先端部側面に支持部材１５を突設し、この支持部材
１５に前記位相決めピン１６を摺動可能に嵌装する。位
相決めピン１６の上端にはストッパナット１８を螺合
し、支持部材１５と位相決めピン１６の先端部との間に
はスプリング１７が介装された構造である。。

【００１１】本発明は上記の通りの構造であるから、ワ
ークＷをワークホルダ３に支持し、ワークＷを回転して
割り出しフランジ１０の所定の割り出し溝１１を割り出
しピン１２に係合する。

【００１２】その後、前記ワークホルダ３に支持されて
いるワークＷのクランプのためにシリンダ６を作動して
クランプアーム４を閉じ方向に回動させる。この時クラ
ンプアーム４に設けられている位相決めピン１６が図３
で示すように、割り出しフランジ１１に突設されている
ピン１４に当接し、割り出しフランジ１０を矢印Ｃのよ
うに割り出し溝１１が割り出しピン１２に係合する方向
に回動力が付与され、割り出し溝１１は割り出しピン１
２に確実に押し付けられて精度の高い位相決め状態の下
にクランプされる。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明は、回転可能な主軸
に固着されたチャック本体に、ワークホルダと、このワ
ークホルダに支持されたワークに取付けられている割り
出しフランジの円周上に形成した割り出し溝に弾機係合
する割り出しピンと、アクチュエータにより回動開閉し
前記ワークホルダに支持されたワークをクランプするク
ランプアームとを備えた位相割り出し装置において、前
記割り出しフランジの板面に前記割り出し溝に対して所
要の角度位置で突設したピンと、前記クランプアームに
ワークのクランプときに前記ピンに当接して割り出し溝
が前記割り出しピンに係合する方向に割り出しフランジ
を回動付勢する位相決めピンとを備えた構成であるか
ら、従来の構造の位相割り出し装置を大きく構造変更す
ることなく、ワークの割り出し位相決め精度を向上する
利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一部断面正面図

【図２】図１におけるＡ矢視図

【図３】図１におけるＢ−Ｂ線断面図

【符号の説明】

１ 主軸 ２ チャック本体 ３ ワークホルダ ４ クランプアーム ６ シリンダ １０ 割り出しフランジ １１ 割り出し溝 １２ 割り出しピン １４ ピン １６ 位相決めピン

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転可能な主軸に固着されたチャック本
   体に、ワークホルダと、このワークホルダに支持された
   ワークに取付けられている割り出しフランジの円周上に
   形成した割り出し溝に弾機係合する割り出しピンと、ア
   クチュエータにより回動開閉し前記ワークホルダに支持
   されたワークをクランプするクランプアームとを備えた
   位相割り出し装置において、前記割り出しフランジの板
   面に前記割り出し溝に対して所要の角度位置で突設した
   ピンと、前記クランプアームにワークのクランプ時に前
   記ピンに当接して割り出し溝が前記割り出しピンに係合
   する方向に割り出しフランジを回動付勢する位相決めピ
   ンとを備えたことを特徴とする位相割り出し装置。