JP2875925B2 - 含炭素組成物の製造方法 - Google Patents

含炭素組成物の製造方法

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JP2875925B2 JP4085463A JP8546392A JP2875925B2 JP 2875925 B2 JP2875925 B2 JP 2875925B2 JP 4085463 A JP4085463 A JP 4085463A JP 8546392 A JP8546392 A JP 8546392A JP 2875925 B2 JP2875925 B2 JP 2875925B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は焼結用セラミックス粉体
を製造するに適した、微細で、均一に混合された、金属
酸化物と単体炭素を含む含炭素組成物の製造方法に関す
る。更に詳しく言えば金属炭化物、金属窒化物、金属炭
窒化物、金属酸窒化物等の製造に適した、金属酸化物と
単体炭素とを含む含炭素組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】焼結用セラミックスの原料として有用な
金属炭化物粉末の製造方法としては、従来 金属酸化物の炭素による還元炭化 金属の直接炭化 分解性金属化合物と炭化水素との気相反応 等が知られている。又、金属窒化物粉末の製造方法とし
ては、 金属酸化物と炭素の混合物を含窒素化合物(例えば窒
素、アンモニア)雰囲気中で高温に加熱する方法 金属の直接窒化 分解性金属化合物とアンモニア等含窒素化合物との気
相反応 等が知られている。
【0003】更に、金属炭窒化物粉末の製造方法として
は、上述のの方法において、金属酸化物を金属炭化物
に転化させるには不十分であるが、金属窒化物に転化す
るには過剰な炭素量を用いて転化させる方法が知られて
いる。
【0004】更に又、金属酸窒化物粉末の製造方法とし
ては、 上述のの方法において、金属酸化物の全部を金属窒
化物に転化するには不充分な炭素量を用いて転化させる
方法が知られている。 このように金属炭化物、金属窒化物、金属炭窒化物、金
属酸窒化物等のセラミックス粉末を製造する際に、金属
酸化物と炭素との混合物はこれらの製造原料として重要
である。
【0005】得られたセラミックス粉末は通常成形さ
れ、焼結体にされる。焼結体を製造する際にこれらのセ
ラミックス粉体の粒子が微細であり、かつ粒径分布がシ
ャープで高純度である程、焼結体の密度が高くなりやす
く(以下、この性質を易焼結性という)かつ焼結体強度
が高くなる。
【0006】このような好ましいセラミックス粉末を製
造するためには、その原料である金属酸化物と炭素との
混合物の混合状態を、その反応機構を考慮しつつ制御す
ることが必要である。従来、金属酸化物と炭素との混合
方法としては、微細な金属酸化物粉末と炭素粉末とをニ
ーダーやミキサー等を用いて機械的に混合することが一
般に行われている。
【0007】しかしながら該方法では、これらの粉末同
志を機械的に混合するため、粉塵の発生が激しく、作業
環境を悪化させることや、ニーダーやミキサー等の機械
的摩耗に基づく不純物が混入し易いという問題点があ
る。
【0008】更にはミクロンサイズの微細な金属酸化物
や炭素の粉末は、通常二次凝集体を形成しており、この
ような凝集体の凝集力は微細であるほど強固である。こ
のため、機械の撹拌動力を最大にしても単一粒子に分離
できず、均一に混合することが困難であるという問題が
ある。加えて金属酸化物と炭素とは密度差がある。この
ため、機械的混合では ”微細”は達成されても”均
一”な混合物を得ることはかなり難しいという本質的な
問題点もある。
【0009】これらの問題を解決する為に、本発明者ら
は特公昭61−30613号公報で、分解性金属化合物
と分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入し
て、これらを分解し、気相中で目的の金属酸化物と炭素
の混合物を製造する方法を提案した。該方法によれば、
微細な金属酸化物と炭素が均一に混合された混合物を得
ることが出来た。該混合物を用いることにより、微細、
かつ粒径分布のシャープな金属炭化物を製造できる。
【0010】しかしながら、この方法に使用される分解
性金属化合物は以下に述べるように工業的生産を行う時
に用いるには幾つかの欠点がある。
【0011】第一の欠点はこれら分解性金属化合物は化
学的に活性が高く、このため取扱が極めて困難な点であ
る。例えば、引火点の低い易燃性物質であり燃焼により
有毒ガスを生成したり、或は大気中の水分と反応して金
属酸化物のミストを生成する等の問題点がある。従って
これらの物質を安全に使用するためには、防爆設備、耐
火構造、窒素封入等の付帯設備が必要となり、これは製
造コストを押し上げることになる。
【0012】第二の欠点はこれらの分解性金属化合物の
多くは高価である点である。第三の欠点は比較的安価に
入手できる分解性金属化合物、例えば、TiClやS
iCl 或いはその一部が炭化水素基で置換されたも
のなどのように、一般的に塩素を含んでいる。従って、
目的の含炭素組成物を得る反応は副生成物として塩酸
を、或は反応の形態によっては塩素を生成する問題があ
る。このため、得られる金属酸化物と炭素の混合物中に
塩酸が微量ながら混入し、この塩酸が後工程の機器を激
しく腐食させる問題点がある。しかも腐食した機器より
発生する腐食物が原因で、最終的に易焼結性セラミック
ス粉末を製造する際には致命的な不純物の混入を引き起
こすという問題点もある。これらを防ぐためには、腐食
成分除去装置等の付帯設備や、その後工程では耐食性の
高級材質を用いた設備が必要となる。又、塩素ガスが発
生する場合には作業環境の安全性にも充分注意する必要
がある。
【0013】以上述べたように、いずれにせよ易焼結性
のセラミックス粉末を製造するのに適した金属酸化物と
炭素の組成物を提供することは従来可能であるが、工業
的に安全にかつ安価に製造するのは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、粉塵
の発生や、金属酸化物と炭素の組成物への不純物の混入
を伴うニーダーやミキサーの様な機械的混合操作を全く
行なうことなしに、しかも本発明は特公昭61−306
13号公報に記された如き、含炭素組成物と同等の微細
組織を有する含炭素組成物を提供すること及びその含炭
素組成物を、安全かつ安価に製造する方法を提供するこ
とにある。更に、本発明の他の目的は金属炭化物粉体、
及び金属窒化物粉体の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的を
達成するに、分解性炭素化合物に金属酸化物及び/又は
加熱により金属酸化物に転化する金属酸化物を混合して
分散し、熱ガス中に導入することにより、微細な金属酸
化物と炭素とが均一に混合された含炭素組成物を得られ
ること、更に、該含炭素組成物を加熱することにより高
純度で微細、かつ粒径分布がシャープな易焼結性セラミ
ックス粉末を得られること見出し本発明を完成した。
【0016】従って本発明は、分解性炭素化合物に金属
酸化物及び/又は加熱により金属酸化物に転化する金属
化合物を、分散した分散液を熱ガス中に導入して単体炭
素及び対応する金属酸化物を含有してなる含炭素組成物
を生成せしめ、生成した含炭素組成物を捕集することを
特徴とする含炭素組成物の製造方法である。
【0017】また本発明は、分解性炭素化合物に金属酸
化物及び/又は加熱により金属酸化物に転化する金属化
合物を、分散した分散液熱ガス中に導入して単体炭素及
び対応する金属酸化物を含有してなる含炭素組成物を
得、次いで前記含炭素組成物を不活性雰囲気中で加熱す
ることを特徴とする金属炭化物粉体の製造方法である。
更に本発明は、分解性炭素化合物に金属酸化物及び/又
は加熱により金属酸化物に転化する金属化合物を、分散
した分散液熱ガス中に導入して単体炭素及び対応する金
属酸化物を含有してなる含炭素組成物を得、次いで前記
含炭素組成物を窒素含有雰囲気中で加熱することを特徴
とする金属炭化物粉体の製造方法である。
【0018】本発明を更に、詳細に説明する。本発明の
実施に用いる分解性炭素化合物は、熱ガス中に導入され
た場合、容易に分解して、単体炭素を生成しうるもの
で、そのままで液相状態か、昇温や冷却により容易に液
相状態になり得るものは全て使用可能である。例えば、
ガソリン、燃料油、灯油、軽油、重油、などの石油製品
類、ベンゼン、スチレン、C9留分混合物、エチレンボト
ムなどの石油化学製品類、タール、ピッチ、クレオソー
ト、ナフタレンなどのタール製品類、アマニ油、ステア
リン酸、オレイン酸などの油脂類が好ましいものとして
あげられるが、勿論これに限られるものではない。
【0019】本発明の実施に使用可能な金属酸化物は、
広範囲に選択可能である。このような金属酸化物として
は例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジ
ウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タング
ステン、マンガン、鉄、ホウ素、アルミニウム、珪素、
ウラン、トリウム等の酸化物があげられる。具体的に
は、SiO2、TiO2、WO3 、B2O3、Al2O3 、MnO2、Fe2O3
ZrO2、HfO2、UO2 、ThO2、MoO3、Cr2O3 、VO2 、V2O5
Nb2O5 、Ta2O5 などの金属酸化物が好適に使用可能であ
る。
【0020】本発明では加熱により金属酸化物に転化す
る金属化合物を用いることができる。このような金属化
合物としては、上記金属酸化物の水和物、上記金属の水
酸化物、あるいは又、上記金属の炭酸塩、蓚酸塩等の粉
末が例示できる。かかる金属酸化物及び/又は加熱によ
り金属酸化物に転化する金属化合物は、分解性炭素化合
物中に混合、分散し、分散液とする。この際本発明では
金属酸化物及び/又は加熱により金属酸化物に転化する
金属化合物が分解性炭素化合物中に炭素化合物中に溶解
しなくともいっこうにさしつかえない。分散を行なうに
は、通常の撹拌機による方法でも何ら問題はないが、ホ
モミキサーのように撹拌混合能力の高い撹拌機を用いる
方がより好ましい。
【0021】また、金属酸化物及び/又は加熱により金
属酸化物に転化する金属化合物を分解性炭素化合物中に
均一に分散せしめるため、超音波を利用するなどの物理
的方法や、分散剤を分解性炭素化合物中に添加するなど
の、化学的方法を併用してもよい。
【0022】分散液とする際の金属酸化物及び/又は加
熱により金属酸化物に転化する金属化合物の粒径は、特
別限定的なものではなく、むしろ化合物の種類、価格、
純度、分散の母体となる分解性炭素化合物の比重や粘度
に起因する分散性等により決定する。
【0023】金属酸化物及び/又は加熱により金属酸化
物に転化する金属化合物と分解性炭素化合物の混合比率
は最終的に生成する含炭素組成物の組成、炭素/金属酸
化物(モル−炭素/モル−金属酸化物=以下モル比と略
記する)に直接影響するため配慮を要する。例えば、得
られた含炭素組成物から金属炭化物を製造しようとする
場合の具体例をSiC 、TiC で示すと、その金属
炭化物の生成反応式は、 SiO + 3C → SiC + 2CO TiO + 3C → TiC + 2CO であるから、含炭素組成物のモル比が少なくとも3以
上、好ましくは4〜6となるよう混合比率を制御する必
要がある。
【0024】分解性炭素化合物の何%が単体炭素として
得られるかは、該分解性炭素化合物の種類、反応条件、
装置特性に左右されるので断定はできないが、おおむね
炭化率は10〜60%と考えられる。
【0025】本発明の実施には反応炉が用いられる。炉
内の空間領域の加熱装置としては、燃焼バーナーや通電
発熱体などが好ましい。また、反応炉本体は分散液の導
入用ノズルと熱ガス導入用ダクト、分散質排出ダクトと
を備え、内部が耐火物で囲まれた装置が好適に用いられ
る。
【0026】反応炉内には少なくとも600℃以上、好
ましくは 700℃以上、より好ましくは 800℃以
上2000℃以下の温度が保持可能な空間領域がなけれ
ばならず、この領域内に熱ガスが形成される。上記温度
以上であれば分解性炭素化合物は分解して単体炭素を生
成し、また加熱により金属酸化物に転化する金属化合物
も金属酸化物に転化する。なお、反応炉内温度が200
0℃を越える場合は、通常熱ロスを招くだけであるため
好ましくない。
【0027】熱ガスを得る方法としては、通電発熱方式
や高周波誘導加熱方式も挙げられる。また、メタン、エ
タン、プロパン、灯油、ガソリンなどの可燃性物質を空
気で燃焼させる方式は装置上簡便であり、また熱効率の
面からも経済的な方法である。
【0028】このようにして得られた熱ガスの温度、流
量及び酸素濃度は、最終的に得られる含炭素組成物の粒
径、比表面積及び嵩密度、並びに単体炭素−金属酸化物
のモル比を決定する重要な因子となる。
【0029】熱ガスは非酸化性であってもいっこうに差
し支えない。ただしこの場合、完全に分解し得なかった
分解性炭素化合物中の油分が、炉内の低温部に析出する
ことがあるので注意を要する。熱ガスの流量と酸素濃度
は、酸素の流量ひいては酸素/分解性炭素化合物の比率
( kg−酸素/kg−分解性炭素化合物)にほかなら
ないが、前述の分解性炭素化合物の燃焼量を決定する因
子として、また温度は熱分解速度を決定する因子として
重要である。
【0030】分解性炭素化合物の熱分解機構の詳細は明
らかにはしえないが、熱ガス中の分解性炭素化合物流量
に対する酸素流量の比の増加に伴い、含炭素組成物の比
表面積が上昇し、得られた含炭素組成物の嵩密度が小さ
くなること、また熱ガスの温度の上昇が含炭素組成物の
物性に対し酸素流量の上昇と同様な傾向を与えることを
発明者らは実験的に確認している。
【0031】反応炉で得られた含炭素組成物中の金属酸
化物の粒径は原料分散液中の金属酸化物及び/又は加熱
により金属酸化物になる粉体粒径と必ずしも一致しな
い。しかし、得られた含炭素組成物はいずれも金属酸化
物及び炭素が極めて微細に、かつ均一に混合された構造
になっていることに差はみられない。
【0032】かくして得られた熱ガス中の含炭素組成物
は、炉の外に誘導された後、含まれている固形物をバグ
フィルター、サイクロン、電気集塵機などの公知の集塵
装置を用いて捕集する。捕集装置における熱負荷を軽減
するためには、これらを予め冷却することが好ましい。
冷却の方法としては熱交換器を用いる方法やあるいは水
を直接注入する方法がある。水を直接注入することで、
特別な集塵装置を用いることなく含炭素組成物を捕集す
ることもできる。
【0033】本発明で得られた含炭素組成物はそのまま
でも種々の用途に用いることができるが最も好ましい用
途の一つは、焼結用のセラミックス粉末製造用の原料と
することである。本発明の含炭素組成物をヘリウム、ア
ルゴン、窒素等の雰囲気下1200〜2000℃で加熱
することにより金属炭化物、複合金属炭化物粉末を合成
することができる。後述の実施例で述べるようにこの方
法により得られた炭化物粉末は高純度、微細であり易焼
結性粉末となる。
【0034】本発明で得られる含炭素組成物を窒素、ア
ンモニア等含窒素化合物雰囲気下1200〜2000℃
で加熱することにより金属窒化物、金属炭窒化物、金属
酸窒化物粉末を合成することができる。後述の実施例で
述べるようにこの方法により得られた金属酸窒化物粉末
は易焼結性粉末となる。
【0035】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。
【0036】実施例1 第1図に示す反応炉(内径600mm 、長さ3m)を
用いて、ダクト2より空気を100Nm/hで連続的
に導入し、また燃焼バーナー3よりプロパンガスを1.
8Nm/hで連続的に供給、燃焼して1100〜15
00℃の熱ガス流を反応炉内の空間領域6に発生させ
た。次に金属酸化物として平均粒子径(遠心沈降法によ
る重量累積粒度分布平均粒子径、D50 以下同じ)
5.1 μmのシリカ粉(純度99.5%)をA重油に
重量比でSiO:A重油=1:3の割合で撹拌機で混
合、分散せしめた分散液をノズル4より40kg/hで
炉内に供給した。分散液を供給し、熱分解して生成した
分散質を冷却後、バグフィルターで捕集し、本発明の含
炭素組成物を得た。得られた組成物の比表面積は47m
/g あった。この組成物を脱イオン水に分散後濾過
を行い、濾液中の塩酸の定量を行ったがほとんど検出で
きなかった。また、得られた組成物を110℃で5時間
乾燥後その化学組成を分析したところ炭素、50.8重
量%、SiO49.0重量%、その他0.2重量%で
あった(炭素/SiOのモル比は約5.2)。更に得
られた含炭素組成物中の燃焼除去をし、残留した白色粉
末の比表面積を測定したところ380m/g であっ
た。なお、シリカ及び炭素の平均粒径はそれぞれ0.3
μm、0.5μmであった。
【0037】実施例2 実施例1と同様の条件で熱ガス流を発生させ、金属酸化
物として平均粒子径3.5μm のチタニア粉(純度9
9.0%)をA重油に重量比でTiO:A重油=1:
2.8 の割合で混合、分散せしめた分散液を40kg
/hで炉内に供給し、これを熱分解して含炭素組成物を
得た。このものの比表面積(窒素吸着報によるBET比
表面積、以下同じ)は58m/g であった。得られ
た組成物の二酸化チタンに対する炭素のモル比は約
6.0であった。また、得られた含炭素組成物中の炭素
を燃焼除去し、チタニア粉の比表面積を測定したところ
332m/g であった。また、この組成物中に塩酸
は全く含まれていなかった。
【0038】実施例3 実施例1で得られた含炭素組成物をプレス成形機で成形
し見掛密度約0.9g/cm を示したものを高周波
加熱炉を用いて、アルゴン雰囲気中で1800℃、2時
間加熱し、一旦冷却後空気中で 800℃に加熱し、
余剰の単体炭素を燃焼、除去して粉末状の炭化ケイ素を
得た。炭化ケイ素粉の比表面積は12.4m/gであ
り、結晶形状は立方晶であることが粉末X線回折法によ
って確認された。また、この炭化ケイ素の金属不純物を
調べたところ表1のようになった。この炭化ケイ素粉末
100重量部にホウ素0.5重量部、フェノール樹脂4
重量部を添加混合し、プレス機で成形したものを、アル
ゴン雰囲気中2100℃で焼結したところ焼結密度は
3.15g /cm であった。
【0039】
【表1】
【0040】実施例4 実施例1と同様の条件で熱ガス流を発生させ、金属酸化
物として平均粒子径0.5μm のAl 粉(純
度99.8%)をA重油に重量比でAl :A重
油=1:2.8 の割合で混合、分散せしめた分散液を
40kg/hで炉内に供給し、熱分解して本発明の含炭
素組成物を得た。Al2O3 に対する炭素のモル比は 8.1で
この組成物の比表面積は53m2/gであり、また、得られ
た含炭素組成物は黒色であったが、炭素を燃焼除去する
と白色のAl2O3 のみが残留し、その比表面積は約31m2/g
であった 。
【0041】実施例5 実施例1と同様の条件で熱ガス流を発生させ、加熱によ
り金属酸化物に転化する金属化合物粉体として平均粒子
径 0.2μm のAl2(OH)3粉末をA重油に重量比でAl2(O
H)3:A重油=1:2の割合で混合、分散せしめた分散
液を40kg/hで炉内に供給し、熱分解して本発明の含炭素
組成物を得た。得られた含炭素組成物の比表面積は69
m2/g であり、この組成物は黒色であったが、X線回折
法により結晶相を調べたところ、α-Al2O3相が存在して
いることが確認された。又、得られた組成物の炭素を燃
焼除去すると白色のα-Al2O3のみが残留し、その比表面
積は約43m2/gであった。
【0042】実施例6 実施例4で得られた含炭素組成物約35g を高純度黒鉛製
平皿にのせ窒素ガスを約3l/分で流しながら1500℃で
6時間加熱した。次いで、余剰の炭素を燃焼により除去
した。得られた粉末は灰色ががった白色のもので、比表
面積は約9.7m2/g であった。このもののX線回折像はAl
N のみを示し、Al2O3 の回折ピークは認められなかっ
た。また、このAlN 粉末の不純物を測定したところ表2
のようになった。
【0043】
【表2】
【0044】このようにして得られたAlN粉末10g
をエタノール中に入れ、Y2 3 粉末0.3gをこれに
添加した。得られたスラリーをボールミルで混合分散後
ホットプレート上にてエタノールを蒸発させた。この粉
末混合物を2ton/cm2の圧力で直径20mm、厚
さ7mmのディスクに成形した。この成形物を高純度黒
鉛皿上にのせ、窒素気流中1700℃、3時間加熱して
焼結を行った。得られた焼結体密度は理論密度の98.
8%であった。
【0045】比較例1 SiO粉末(比表面積 380m/g)と炭素粉末
(比表面積 120.4m/g)とをモル比5の割合
でボールミルを用いて5時間混合し原料粉を得た。この
原料粉を実施例3と全く同様にして成形後高周波加熱炉
を用いてアルゴン雰囲気中で1800℃、2時間加熱
し、一旦冷却後、空気中で 800℃に加熱し、余剰の
単体炭素を燃焼除去して炭化ケイ素粉を得た。このもの
は、純度99.8のものであった。炭化ケイ素粉の比
表面積は 4.5m/gであり、結晶形状は立方晶で
あった。この炭化ケイ素粉を実施例3と全く同様にして
ホウ素、フェノール樹脂を添加混合し、プレス機で成形
したものをアルゴン雰囲気中2100℃で焼結したとこ
ろ、焼結密度は2.80g /cm 未満であった。
【0046】比較例2 特公昭61−30613号公報に記載の方法に準じ、分
解性金属化合物としてSiCl を分解性炭素化合物
としてA重油を使用し、それぞれ25kg/h、20k
g/hの流量とし、その他は実施例1と同様の条件で本
発明で使用する反応炉内に供給し、含炭素組成物を得
た。
【0047】含炭素組成物中のSiO粉の比表面積は
470m/gであり、また、含炭素組成物中のケイ
素に対する炭素のモル比は 4.9であった。この含炭
素組成物中には塩酸が約0.2重量%含まれていた。
【0048】得られた含炭素組成物を用いて、実施例3
と全く同様の方法により、高周波加熱炉でアルゴン雰囲
気中1800℃で2時間加熱した。一旦冷却後空気中で
800℃に加熱、余剰の炭素を焼結除去して粉末状の
炭化ケイ素を得た。炭化ケイ素粉末の比表面積は9.6
/gであった。又、この粉末を電子顕微鏡で観察し
たところ粒子状物以外にウイスカー状物がある程度存在
することが認められた。又、この炭化ケイ素粉末の不純
物分析を行ったところ表3のようになった。この炭化ケ
イ素粉末を比較例1と全く同様の方法で焼結したところ
焼結密度は3.08g /cm であった。
【0049】
【表3】
【0050】
【発明の効果】以上詳細に説明した如く、本発明によれ
は、金属酸化物及び/又は加熱により金属酸化物に転化
する金属化合物を分解性炭素化合物に混合、分散して分
散液とし、該分散液を熱ガス中で熱分解することにより
極めて効率よく単体炭素と、対応する金属酸化物とを含
有する含炭素組成物を得ることができる。熱分解により
生成する含炭素組成物の性質は、従来法のような機械的
に炭素粉と金属酸化物とを混合して得られるものより
も、不純物のない、均一な組成物が得られる。
【0051】また、従来技術による分解性金属化合物と
分解性炭素化合物を水蒸気を含む熱ガス中に導入、熱分
解して含炭素組成物を得る方法は、使用する分解性金属
化合物が化学的に活性であるため取扱が困難であり、ま
た高価であるという欠点を有している。又、塩酸等の腐
食性化合物を副生し、装置を腐食すると同時に目的含炭
素組成物中に塩酸等の腐食性化合物を残留させるという
欠点を有する。
【0052】しかしながら、本発明では金属酸化物粉末
をそのまま用いたり、或いは加熱により金属酸化物に転
化する金属化合物粉末を用いるため、工業的に安全で安
価に、かつ効率的に目的の含炭素組成物を得ることがで
きるという特徴を有している。さらに、装置を腐食せ
ず、又、目的の含炭素組成物中に腐食性化合物を存在さ
せない利点を有する。
【0053】また、含炭素組成物を加熱して反応せしめ
て得られた、金属炭化物粉末、金属窒化物粉末は高純
度、かつ微細であり焼結用原料に適した粉末であるとい
う大きな特徴を有している。その結果は、これらのセラ
ミック粉末は易焼結性を示すという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に使用する反応炉の一例を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 反応炉、 2 ダクト、 3 燃焼バーナー、 4 ノズル、 5 ダクト、 6 空間領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中 村 文 男 大阪府高石市高砂1−6 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 増 田 宏 山口県下関市彦島迫町7−1−1 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 菰 原 定 一 山口県下関市彦島迫町7−1−1 三井 東圧化学株式会社内 審査官 後谷 陽一 (56)参考文献 特開 平2−289497(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 31/30 C04B 35/52 C04B 35/56 C04B 35/626

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分解性炭素化合物に金属酸化物及び/
    又は加熱により金属酸化物に転化する金属化合物を、分
    散した分散液を熱ガス中に導入して単体炭素及び対応す
    る金属酸化物を含有してなる含炭素組成物を生成せし
    め、生成した含炭素組成物を捕集することを特徴とする
    含炭素組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 分解性炭素化合物に金属酸化物及び/
    又は加熱により金属酸化物に転化する金属化合物を、分
    散した分散液を熱ガス中に導入して単体炭素及び対応す
    る金属酸化物を含有してなる含炭素組成物を得、次いで
    前記含炭素組成物を不活性雰囲気中で加熱することを特
    徴とする金属炭化物粉体の製造方法。
  3. 【請求項3】 分解性炭素化合物に金属酸化物及び/
    又は加熱により金属酸化物に転化する金属化合物を、分
    散した分散液を熱ガス中に導入して単体炭素及び対応す
    る金属酸化物を含有してなる含炭素組成物を得、次いで
    前記含炭素組成物を窒素含有雰囲気中で加熱することを
    特徴とする金属窒化物粉体の製造方法。
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