JP2871869B2 - 地合の良好なスパンレース不織布およびその製造法 - Google Patents

地合の良好なスパンレース不織布およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地合が良好で、ドレープ
性、風合い、通気性に優れたスパンレース不織布および
その製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、織布に代わり不織布が多くの分野
で広く用いられてきている。低コストで生産性が高いこ
とから、従来の織布の代用物としての用途、あるいは織
布では得られない性能を付与できることから、機能性不
織布としての用途が考えられる。さらに、従来、紙パル
プを素材とした分野にも不織布の機能性を生かし、高性
能材料としての供給が盛んとなってきた。
【0003】不織布のウェブ形成法として代表的なもの
は、スパンボンド法、メルトブロー法、乾式法、湿式法
が上げられ、それぞれの長所を生かし利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、個々の
方法が全ての分野をカバーできるわけではない。
【0005】スパンボンド法で得られた不織布は引張強
度等の強度が大きく、高強度が要求される産業資材等に
広く用いられている。しかし、ウェブの接合方法が主に
熱圧着によるため、高密度で、不織布が固く、ドレープ
性に欠けるという欠点があった。
【0006】また、メルトブロー法で製造した不織布
極細繊維シートが製造できるものの地合が悪く、また生
産性が低く高価である。スパンボンド、メルトブロー法
では複数の繊維を混合できない。さらに、使用される高
分子も制限を受ける。
【0007】乾式法でカード法やエアレイ法により形成
されたウェブは上記の方法で得られたものに比べ、かさ
高で風合いもあるが、シート強度を付与する目的で、バ
インダーの付与、あるいは熱圧着を行うと、かさ高性、
風合いが低下する。また、カード法では直径7μm以下
の繊維には適応できない。エアレイ法では6mmを超え
る長繊維の均一分散が困難である。
【0008】ニードルパンチ法による不織布や特公昭4
8−13749号公報で開示されているようにカードで
形成されたウェブを柱状水流で交絡させて得られるスパ
ンレース不織布はノーバインダーでのシート化が可能
で、風合いがよく、ドレープ性に優れている。
【0009】しかしながら、上記のような方法で得られ
たウェブは、湿式抄紙法に比べ総じて地合が悪いという
問題点があった。
【0010】一方、湿式抄紙法で得たウェブは、上記方
法に比べ、生産性が高く、繊維径の細かい繊維を使用で
き、複数の繊維を任意の割合で混合でき、地合が極めて
良好であるという利点がある。しかし、通常の方法では
水中で均一に分散し、均質なウエブを得るには繊維長が
短い必要がある。しかし、強度が弱く、用途が限定され
る。
【0011】逆に繊維長を長くすると、繊維が絡みつき
結束が発生し均一分散は困難になる。
【0012】さらに、抄造後乾燥方法が、ヤンキーもし
くは多筒のドライヤーに圧着されるため、あるいはスル
ー方式のドライヤーを用いた場合でも繊維長が短く、繊
維が二次元的に配向しているため、ペーパー状で、通気
性、ドレープ性が劣り、また、極細繊維を用いたものは
密度が高くなり、通気性が悪くなるという問題点もあ
る。
【0013】特開平2−6651号公報に開示された方
法では繊維径7〜25μm、繊維径(D)と繊維長
(L)の比(L/D)の比が800〜2000の短繊維
ウェブを高圧の柱状水流で3次元的に交絡させた湿式不
織布が開示されている。
【0014】この不織布はこれまでに湿式不織布の欠点
である、繊維長の短いことによる強度が弱いことを改善
したものとして注目されるが、この明細書の従来の技術
の中でも述べられているように、水中に繊維を均一に分
散させるためには一般に繊維長は3〜7mm程度ものが
要求されるとある様に、繊維長が7mmを超える湿式ウ
ェブを加工した不織布は地合が悪いと述べている様に、
湿式抄紙法の利点である地合の良さといった特徴を生か
したものとは言えない。また、繊維径が7〜25μmと
比較的大きいため、肌触り、ソフト感が劣るという問題
点もある。
【0015】特開昭54−27067号公報で極細合成
繊維フィラメントを非(難)水溶性糊剤を付与し、繊維
束に集束し、これを20mm以下に切断し、湿式抄紙法
で抄紙し、これを編織布と積層し、高圧噴流で交絡した
後、糊剤を除去する方法が述べられている。この方法で
は、繊維の束は高圧噴流で一応分散はしているものの、
分散した繊維はその部分で広がっているに過ぎず、方向
性を有しており、全体的な地合、肌触りは良いものでは
ない。
【0016】また、特開昭53−28709号公報で
は、割繊性繊維を含有するウェブを水ジェットで割繊、
さらに水ジェットで交絡を行う方法が述べられている
が、この方法では、割繊しない部分で、地合が不均一に
なり、肌触りが悪くなるという問題点がある。
【0017】本発明は、湿式不織布の特徴である、地合
の良さ、均一性、極細繊維の使用という特徴を生かし、
強度が弱い、ドレープ性が劣る、風合いが悪い、通気性
が悪いといった湿式不織布の欠点を改良した、スパンレ
ース不織布を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
につき鋭意検討した。その結果、主体繊維として繊維径
が1〜5μmであって、繊維長(L)と繊維径(D)の
比(L/D)が2000<(L/D)≦6000である
繊維とバインダー繊維として熱融着性繊維を含有し、こ
れら繊維が湿式抄紙法によりシート化され、水流で三次
元的に交絡されたスパンレース不織布が上記課題を解決
できることを見いだした。
【0019】また、該不織布は繊維径が1〜5μmであ
って、繊維長(L)と繊維径(D)の比(L/D)が2
000<(L/D)≦6000である繊維と熱融着性繊
維を、湿式抄紙法で抄造し、乾燥し、熱融着繊維を溶融
し、繊維を結合させシート化し、ついで該シートを単層
あるいは二層以上積層し、高圧水流で、これら繊維を三
次元的に交絡させることで製造されることを見いだし
た。本発明はこれらの知見により達成されたものであ
る。
【0020】本発明で用いる主体繊維の繊維径は1〜5
μmの範囲で、繊維径(L)と繊維長(D)の比(L/
D)が2000<L/D≦6000の範囲であることを
必須条件とする。
【0021】繊維径が1μmより細いと、分散中に繊維
同士が絡み、その絡みが外れず、いわゆる結束が発生
し、地合の良好なウェブ形成が困難になる。5μmを超
えるとL/Dの範囲に相当しても、繊維長が30mmを
超え、水中での均一な分散が困難になり、地合のよい均
一なウェブを得ることができない。
【0022】繊維経が1〜5μmで繊維のL/Dが20
00以下の範囲では大きな強度を得るような、三次元の
交絡状態を得ることができない。L/Dが6000を超
えると、繊維長が長くなり、繊維の水中での均一な分散
が困難になり、地合のよい均一なウェブを得ることがで
きない。
【0023】また、繊維の均一分散がなされていないス
ラリーから形成されたウェブを用い加工した不織布は、
本発明の範囲より大きなL/Dを持つものであっても、
均一性が劣るだけでなく、強度、風合いも劣ったものと
なる。
【0024】すなわち、本発明のスパンレース不織布は
通常の乾式法より得たウェブを高圧水流で交絡したもの
より繊維長自体は短いが、乾式法では得ることができな
い、極細繊維径を有し、かつ地合がきわめて良好なた
め、三次元交絡が強固になされ、これらに匹敵する強度
を有するのである。言い換えれば、これらの条件を満足
する繊維経1〜5μmの繊維のL/Dの範囲は2000
<(L/D)≦6000である。
【0025】本発明で用いる繊維は、ポリエステル繊
維、ポリオレフィン系繊維、レーヨン繊維、アクリル系
繊維等の有機繊維が好ましい。これらの繊維はいずれも
剛性が低いものが好ましい。あまり剛性の高い繊維は、
本発明のL/Dの範囲であっても交絡が難しく、より高
圧の水流を用いた場合、繊維の並びが乱れシートが不均
一になったり、あるいはシートが破損する等の問題があ
る。
【0026】また、本発明のL/Dの範囲の繊維であれ
ば2種類以上のものが混合されていてよい。また、本発
明の不織布の性能を阻害しない範囲であれば、他の繊維
混合してもよい。
【0027】次に熱融着性繊維につき説明を行う。
【0028】本発明の熱融着性繊維とは、熱により溶融
する成分をその繊維中に含有する繊維を言う。具体的例
を上げれば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等の高分子の樹脂からなる繊維が上げられる。主体
となる繊維より20°以上低い融点をもつのが好まし
い。
【0029】こられ熱融着性繊維は、湿式抄紙後、乾燥
工程の熱により溶融し、2000<(L/D)≦600
0の繊維との接点で融着し、高温ゾーンを通過後、該繊
維と熱融着性繊維の接着が完成し、シートが形成され
る。
【0030】熱融着住短繊維は、単一成分からなる全融
タイプと融点の異なる複数成分からなりるものがある。
【0031】前者は、繊維が溶けたとき、樹脂成分が繊
維形状を保持せず、液状あるいは膜状になりシートを強
固なものとする。この場合、樹脂が水溶性の場合は特に
問題はないが、非あるいは難水溶性の場合は、3次元交
絡を行う場合、交絡水圧を必要以上に高くする必要があ
り、シートが破損し、好ましくない。また、製品のドレ
ープ性、肌触り、風合いが低下し、通気性が低下するば
かりか、積層シート間が剥離しやすくなり問題点が多
い。
【0032】以上の点から熱融着性繊維は、後者のタイ
プで、特に芯鞘構造を有し、高融点成分を芯成分とし、
低融点成分を鞘成分とするものが好ましい。各成分の融
点の差は40℃以上が好ましい。芯と鞘は同心円状、編
芯状もしくは芯の一部が鞘から露出したものでもよい。
芯と鞘の成分比は体積比で1:1〜4:1の範囲が好ま
しい。鞘成分が多いと溶融したとき繊維形状を保持せ
ず、融着が強固で前者の全融タイプの繊維と同様の理由
で好ましくない。鞘成分が少ないと、シート強度が弱
く、シート形状を保持するために多くの熱融着繊維を必
要とし、本発明の不織布性能を阻害するため好ましくな
い。
【0033】熱融着性繊維の芯と鞘の成分は同系のもの
が好ましいが親和性があれば異なる成分の組み合せでも
よい。また、主体繊維との成分についても同様である。
【0034】熱融着性繊維は不織布の重量に対し1〜2
0重量%の範囲が好ましい。1%以下では強度が弱く、
20%を超えると、交絡時のエネルギーが大きくなるこ
と、シートが固くなり、風合いがなくなることから好ま
しくない。
【0035】この熱融着繊維の繊維径、L/Dは本発明
主体繊維の範囲であることが理想であるが、上記の重量
比の範囲であれば、用いる繊維の径は25μm以下、繊
維長3mm以上の範囲であれば特に問題はない。
【0036】次に本発明の不織布の製造方法につき説明
を行う。
【0037】用いる繊維のL/Dが大きいため、離解、
分散の方法に特に注意を払う必要がある。離解、分散は
回転式の物を用いることが可能である。繊維を離解する
前に予め水溶液中に分散剤を均一に分散する方法が好ま
しい。あるいは、1%程度の分散剤の溶液中に繊維を予
め浸しておくのも効果的である。
【0038】次に水中に繊維を順次添加して行くが、繊
維の離解が不十分な場合は瞬間的に撹拌速度を速め、未
離解の繊維束に衝撃を与え、離解を促進する。あくまで
撹拌速度は一時的に速めるだけで、撹拌時間が長くなる
と繊維間での結束が形成され好ましくない。
【0039】次に分散は繊維の結束を防ぐためできるだ
け緩やかな撹拌のもとで行う。予め離解したスラリーを
さらに水を加えで濃度を下げ、ついで速やかに粘剤を加
える。この間、撹拌は前述した通りできるだけ緩やかに
行う。
【0040】バインダー繊維としての熱融着性繊維は繊
維径、L/Dが主体繊維と同じ範囲であれば、離解分散
を同時に行うことが好ましい。L/Dが小さい範囲で特
に分散に注意を必要としない場合は、添加する段階に制
限はない。
【0041】このように調整したスラリーを湿式抄紙法
を用い抄造し、形成されたウェブは、ヤンキードライヤ
ーあるいは多筒式のシリンダードライヤー、エアードラ
イヤー等を用い、通常の乾燥法で乾燥することができ
る。本発明では地合の良好なスパンレース不織布を得る
ことを目的とし、そのためにはできるだけ地合のよい湿
式不織布を得ることが目標で、抄造時、スラリー濃度は
下げる必要があり、ワイヤーパートでのサクションを強
くすることが好ましい。坪量に制限はないが、地合の面
から70g/m以下が好ましい。
【0042】抄造後、オンマシーンで交絡を行った場合
と、オフマシーンで交絡を行った場合を比較すると、オ
ンマシーンではウェブは繊維間に水を介し形態を保持し
ているに過ぎず、本発明で用いた繊維は繊維径が1〜5
μmと微細で、水流により繊維が二次元的にずれてしま
い、地合の低下を引き起こす。それに対し、オフマシー
ンでは主体繊維がバインダー繊維を介し固定されてお
り、水流による地合の低下は少ない。
【0043】さらに、オンマシーンで本発明の不織布の
坪量コントロールを行う場合、抄造条件を変えることで
対処する必要があり、安定して地合が良好なウェブを供
給することは困難である。一方、オフマシーンでは坪量
の低いシートを高速で抄造し、積層枚数を変えることで
容易に坪量のコントロールが可能である。
【0044】また、湿式抄紙法の抄造速度は500m/
分以上が可能であるのに対し、スパンレースはせいぜい
100〜200m/分で、オンマシーンで生産しても、
スパンレースでの加工部分が律速段階となるため、生産
性の面からもオンマシーンが有利とは言えない。
【0045】本発明においては、L/Dが2000<
(L/D)≦6000と大きく、繊維径が1〜5μmと
細いため、高圧水流での後加工で、ウェブ内で繊維間の
絡みが容易であるため強度の大きいスパンレース不織布
の製造が可能である。
【0046】このようにして得られた湿式不織布を単層
あるいは複数枚積層し、高圧水流でシートを交絡するこ
とができる。水流を打ち込むための、ノズルの径は交絡
を強固に行い、地合を良好に保つために10〜500μ
mの範囲が好ましい。ノズルの間隔は10〜1500μ
mが好ましい。
【0047】これらのノズルは抄造方向に対し直交方向
は加工を行うシートの幅をカバーする範囲が必要で、抄
造方向に対しては、ウェブの種類、坪量、加工速度、水
圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノズルヘッド
の数を変え用いることができる。
【0048】水圧は10〜250kg/cmの範囲で
用いることが好ましい。さらに好ましくは50〜250
kg/cmである。加工速度は15〜200m/分の
範囲で用いることが好ましい。
【0049】水圧は加工初期から終盤にかけて順次圧力
を上げて行くことが可能で、面質が向上する点から好ま
しい。また、ノズル径または/およびノズル間隔を順次
小さくすることも可能で、やはりスパンレース不織布の
面質が向上する点から好ましい。また、ノズルのヘッダ
ーを回転運動させること、あるいはワイヤーを左右に振
動させることで、さらに面質を改良することも可能であ
る。
【0050】交絡方法は片面のみ、あるいは両面交絡を
行うことができる。また、交絡を行った後、さらにシー
トを積層し、交絡を行うことも可能である。
【0051】これら交絡前のシートはバインダーにより
主体繊維が接着されているが、繊維の切断末端、接着部
分以外の部分が3次元的に交絡し、あるいは本発明のバ
インダー繊維の含有量が1〜20重量%の範囲であれ
ば、交絡の過程で高圧水流により、接着部分が離脱し、
主体繊維が3次元的に交絡する。この過程では、地合が
乱れることはなく、地合が良好な本発明特有なスパンレ
ース不織布が得られる。
【0052】繰り返し述べるが、本発明において、均一
で地合の良好なスパンレース不織布を製造するために
は、湿式で抄造した不織布の地合が大きく影響を及ぼ
す。そのため、スラリー濃度はできるだけ薄い方が好ま
しい。そのため、坪量大きなスパンレース不織布を得
る場合でも、薄いスラリーでも容易に製造できる低坪量
の湿式不織布を製造してから、積層し高圧水流処理を行
うことで、均一で地合のよい不織布製造が可能になるの
である。
【0053】当然、該シートに乾式不織布などの他の不
織布、パルプシート、本発明の請求項から外れる繊維を
含有する湿式不織布等を片面、あるいは両面から交絡す
ることは可能であるが、本発明の目的を阻害する範囲で
あってはならないのは言うまでもない。
【0054】このようにして得られ三次元交絡を施され
たウェブは、余分な水分を吸引あるいはウェットプレス
などの方法で取り除いた後、エアードライヤー、エアー
スルードライヤー、あるいはサクションドラムドラムド
ライヤー等を用い、乾燥時にウェブの厚み方向にニップ
のかからない乾燥方法で乾燥を行うことが好ましい。
【0055】以上のような方法で得られた、本発明の地
合の良好なスパンレース不織布は折り曲げ加工、樹脂含
浸加工、撥水加工等の後加工を施すことが司能で、これ
により新たな性能を付与することができる。
【0056】本発明の地合の良好なスパンレース不織布
の用途としては、医療、衛生材料用が考えられる。ドレ
ープ性に富み、特に繊維径が1〜5μmと微細なため、
ソフトで肌触りが良く、バリヤー性が優れているおり、
マスク、サージカル用ガウン等の用途に好適である。
【0057】また、繊維径が微細であるにも関わらず、
通気性が良いことから、また撥水剤等で撥水処理を施す
ことで液体バリヤー性が向上するため、液体用、気体用
フィルターとしての用途に好適である。
【0058】さらに、風合いが良いこと、地合が良いこ
とから人工皮革用、特に高級なスエード調人工皮革の基
材としての用途に好適である。
【0059】
【作用】本発明のスパンレース不織布は、特定の繊維径
とL/Dの比を有する繊維からなる。地合がきわめて良
好で、ドレープ性に優れ、肌触りがよく、風合いがよ
く、通気性がよく、強度が大きいという従来の不織布で
は相矛盾する性能を同時に有する新規な不織布である。
【0060】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例において記載の部、%はすべて重量によるもので
ある。また、繊度はおおよその値を示したものである。
繊維長、繊維径はいずれも平均繊維長、平均繊維径を表
す。
【0061】実施例で示された、剛軟度はJIS−L1
096に記載された45度カンチレバー法を用い測定し
縦横の平均値を示した。通気性として、JIS−B99
08の形式1により風速5.3cm/秒で測定した圧力
損失を求めた。
【0062】また、不織布の地合は目視により、◎が大
変良い、○良い、△やや悪い、×悪いの4段階で評価し
た。
【0063】 実施例1 繊度0.1デニール、繊維長7mmのポリエチレンテレ
フタレート繊維(繊維径3μm、L/D=2333)を
95部、繊度2デニール、繊維長5mmのポリエステル
系芯鞘熱融着繊維(メルティー4080、融点110
℃、ユニチカ社製)を5部を、ノニオン系分散剤1%溶
液中に含浸した。このものを水中に投入し、往復回転式
撹拌機(アジター、島崎製作所社製)で緩やかに撹拌し
た。次いで速やかに、ポリアクリルアミド0.1%溶液
を混合し、引続き緩やかに撹拌した。このようにして、
均一なスラリーを調整した。該スラリーを用い、乾燥温
度110℃で、長網抄紙機で幅50cm、坪量20g/
ポリエチレンテレフタレート湿式不織布を抄紙し
た。
【0064】該湿式不織布を四枚積層し、ノズルヘッド
を3ヘッド用い柱状水流で交絡を行った。第1ヘッドの
ノズルはノズル径120μm、ノズル間隔12mm、
2列で水圧100kgf/cm、第2ヘッドはノズル
径120μm、ノズル間隔0.6mm、1列で水圧10
0kgf/cm、第3ヘッドはノズル径100μm、
ノズル間隔0.6mm、1列で水圧120kgf/cm
である。積層不織布の下にステンレス製の100メッ
シュの支持体を配置し、上記の水流下、積層不織布を通
過させ、主体繊維とバインダー繊維間の結合を切断しな
がら、主体繊維の3次元交絡を行った。同様に裏面にも
同様の処理を行った。交絡の速度は20m/分で行っ
た。この交絡シートをサクションスルードライヤーを用
い、130℃で乾燥を行い、本発明の目的とする、地合
の良好なスパンレース不織布を得ることができた。
【0065】 実施例2 繊維長を10mm(L/D=3333)にする以外は実
施例1と同様の方法で、本発明の目的とする、地合の良
好なスパンレース不織布を得た。この不織布の空隙径
ASTM F−316記載のバブルポイント法およびミ
ーンフローポイント法により、最大空隙径および平均空
隙径として求めた。最大空隙径は42.6μm、平均空
隙径は16.4μmであった。また、圧力損失測定時と
同じ風速で測定した0.3μmDOP(フタル酸ジオク
チル)エアロゾルの捕集効率は28.4%であった。
【0066】 実施例3 繊維長を15mm(L/D=5000)にする以外は実
施例1と同様の方法で、本発明の目的とする、地合の良
好なスパンレース不織布を得た。
【0067】 比較例1 繊維長を3mm(L/D=1000)にする以外はを実
施例1と同様の方法でスパンレース不織布を得た。この
不織布は、L/Dが小さく、繊維長が短いため、十分な
交絡が得られず、強度が弱い。また、水流によりの面
質、地合に乱れが見られた。
【0068】 比較例2 繊維長20mm(L/D=6667)にする以外はを実
施例1と同様の方法でスパンレース不織布を得た。
【0069】交絡前の、抄紙機で抄造した湿式不織布は
繊維の未離解部分や結束が多くみられた。これは繊維の
離解が困難で、さらに撹拌中に繊維同士がもつれたため
と考えられる。これが原因で、交絡が不十分で交絡後の
不織布は強度も弱く、さらに地合、面質も劣ったものと
なった。
【0070】 比較例3 実施例2のL/D=3000の繊維を用い、バインダー
を用いず、坪量80g/mのウェブを抄紙し、オンマ
シーンで実施例1と同様の条件で交絡を行いスパンレー
ス不織布を得た。
【0071】この不織布は、前に述べた通り、ウェブは
繊維間に水を介し形を保っているに過ぎず、水流処理に
より、繊維間に乱れが生じ、地合が悪くなった。また、
抄造時、坪量80g/mのウェブを目視すると、ここ
でも地合むらが見られた。
【0072】 実施例4 実施例2と同様の方法で湿式不織布を得た。該湿式不織
布を単層で用い、交絡条件は第1ヘッド、第2ヘッド、
第3ヘッドの水圧をそれぞれ50/50/70kgf/
cmとすること、交絡面を片面のみにする以外は実施
例1と同様の処理を行い、地合の良好なスパンレース不
織布を得ることができた。
【0073】 実施例5 バインダー繊維を繊度1.5デニール、繊維長5mmの
ポリオレフィン系熱融着芯鞘繊維(ES繊維、チッソ社
製)に、配合を9部にし、主体繊維の配合を91部にす
る以外は実施例2と同じ方法で行った。本発明の目的と
する、地合の良好なスパンレース不織布を得ることがで
きた。
【0074】 実施例6 バインダー繊維を繊度2デニール、繊維長6mmのポリ
オレフィン系熱融着芯鞘繊維で鞘が湿熱融着性を有する
繊維(UBF繊維、ダイワボー社製)に、配合を8部
に、主体繊維の配合を92部にする以外は実施例2と同
じ方法で行った。ただし、乾燥を行う前に交絡後のウェ
ブを90℃の熱水中に浸せきし、本発明の目的とする、
地合の良好なスパンレース不織布を得た。
【0075】 比較例4 繊度1デニール(繊維径10μm)、繊維長51mm
(L/D=5100)にする以外は実施例1と同様の方
法でスパンレース不織布を得た。
【0076】抄紙機で抄造した湿式不織布は繊維の未離
解部分や結束が多くみられた。L/Dが本発明の範囲に
あるが、繊維径が大きいため、繊維長が長くなり、繊維
の離解が困難で、さらに撹拌中に繊維同士がもつれたた
めと考えられる。その結果、スパンレース不織布の交絡
は不十分で、地合、肌触り、風合いが悪く、ドレープ性
も劣ったものとなった。
【0077】 実施例7 繊度0.1デニール、繊維長10mmのアクリル繊維
(繊維径3.5μm、L/D=2860)を95部、繊
度2デニール、繊維長5mmのポリエステル系芯鞘熱融
管繊維(メルティー4080、融点110℃、ユニチカ
社製)5部を、アニオン系の分散剤1%溶液に含浸し
た。このものを水中に投入し、往復撹拌機(アジター、
島崎製作所社製)で緩やかに撹拌した。次いで速やか
に、ポリアクリルアミド0.1%溶液を混合し、引続き
緩やかに撹拌した。このようにして、均一なスラリーを
調整した。該スラリーを用い、長網抄紙機で幅50c
m、坪量20g/mのアクリル湿式不織布を抄紙し
た。
【0078】交絡条件は、実施例1と同様に行った。乾
燥はサクションスルードライヤーを用い、100℃で行
い、本発明の目的とする、地合の良好なスパンレース不
織布を得ることができた。この不織布の最大径は49.
0μm、平均径は19.3μmであった。
【0079】 実施例8 繊度0.1デニール、繊維長10mmのポリプロピレン
繊維(繊維径4μm、L/D=2500)を95部、繊
維長5mmのポリエステル系芯鞘熱融着繊維(メルティ
ー4080、融点110℃、ユニチカ社製)5部を、ノ
ニオン系分散剤1%溶液に含浸した。このものを水中に
投入し、往復撹拌機(アジター、島崎製作所社製)で緩
やかに撹拌した。次いで速やかに、ポリアクリルアミド
0.1%溶液を混合し、引続き緩やかに撹拌した。この
ようにして、均一なスラリーを調整した。該スラリーを
用い、長網抄紙機で幅50cm、坪量20g/mのポ
リプロピレン湿式不織布を抄紙した。
【0080】交絡条件は第1ヘッド、第2ヘッド、第3
ヘッドの水圧をそれぞれ、120、140、150kg
f/cmにする以外は実施例1と同様の方法で行っ
た。乾燥はサクションスルードライヤーを用い、100
℃で行い、本発明の目的とする、地合の良好なスパンレ
ース不織布を得ることができた。この不織布の最大空隙
径は49.2μm、平均空隙径は21.9μmであっ
た。
【0081】 比較例5 実施例2のポリエチレンテレフタレート繊維90部と、
バインダー繊維10部を、実施例1と同様の方法で抄紙
し、シリンダードライヤーを用い110℃で乾燥を行
い、坪量80g/mの湿式不織布を得た。
【0082】繊維長は本発明の範囲にあるが、湿式抄紙
法のみで製造したため、密度が大きく締まった不織布と
なり、風合い、ドレープ性は劣ったものであった。ま
た、バインダーとして繊維径が大きな、溶融部分が表面
部分(鞘部分)のみのバインダー繊維を使用したにも関
わらず、通気性も本発明のスパンレース不織布に比べ、
劣っていた。
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】繊維径が1〜5μm、2000<(L/
D)≦6000の繊維が三次元交絡したスパンレース不
織布は、風合いが良く、ドレープ性に優れ、通気性が良
い。これらは、本発明の特定の方法で製造された地合の
良好なスパンレース不織布で初めて実現されるもので、
本発明の不織布は従来にない、まったく新規な不織布で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D04H 1/46 - 1/54 D21H 25/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主体となる繊維の繊維径が1〜5μmで
    あって、繊維長(L)と繊維径(D)の比(L/D)が
    2000<(L/D)≦6000である繊維とバインダ
    ー繊維として熱融着性繊維を含有し、これら繊維が湿式
    抄紙法によりシート化され、水流で三次元的に交絡され
    た地合の良好なスパンレース不織布。
  2. 【請求項2】 繊維径が1〜5μmであって、繊維長
    (L)と繊維径(D)の比(L/D)が2000<(L
    /D)≦6000である繊維と熱融着性繊維を、湿式抄
    紙法で抄造し、熱融着繊維を溶融し、繊維を結合させシ
    ート化し、ついで該シートを単層あるいは二層以上積層
    し、高圧水流で、これら繊維を三次元的に交絡させるこ
    とを特徴とする地合の良好なスパンレース不織布の製造
    法。
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