JP2983697B2 - 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法 - Google Patents

水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法

Info

Publication number
JP2983697B2
JP2983697B2 JP17059791A JP17059791A JP2983697B2 JP 2983697 B2 JP2983697 B2 JP 2983697B2 JP 17059791 A JP17059791 A JP 17059791A JP 17059791 A JP17059791 A JP 17059791A JP 2983697 B2 JP2983697 B2 JP 2983697B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
water
hydroentanglement
fibers
nonwoven fabric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP17059791A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04370259A (ja
Inventor
恭行 奥
昌伸 松岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Paper Mills Ltd filed Critical Mitsubishi Paper Mills Ltd
Priority to JP17059791A priority Critical patent/JP2983697B2/ja
Publication of JPH04370259A publication Critical patent/JPH04370259A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2983697B2 publication Critical patent/JP2983697B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、効率的に水流交絡を行
うことが可能な水流交絡用シートおよび該シートを用い
得られる水流交絡不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、織布に代わり不織布が多くの分野
で広く用いられてきている。低コストで生産性が高いこ
とから、従来の織布の代用物としての用途、あるいは織
布では得られない性能を付与できることから、機能性不
織布としての用途が考えられる。さらに、従来、紙パル
プを素材とした分野にも不織布の機能性を生かし、高性
能材料としての供給が盛んとなってきた。
【0003】その中でも、高圧柱状水流を用い繊維を3
次元的に交絡し、織布のような風合いをもった、いわゆ
るスパンレース不織布の開発が盛んとなり、多くの商品
が上市されるに至っている。スパンレース法は、ウェブ
の加工方法の一つであるため、加工を行う前に、ウェブ
を供給する必要がある。ウェブ製造法は、カード法、エ
アレイ法の乾式法、メルトブロー法、スパンボンド法、
湿式抄造法があげられる。
【0004】カード法は繊維長の長い繊維を用いること
ができるが、地合が悪く、繊維径が細い繊維を開繊する
ことができないため、高圧柱状水流で加工され得られた
不織布は、肌触りや風合いの点に問題を残す。エアレイ
法は、やはり繊維長の長い繊維を用いると地合が悪くな
り、繊維径の細い繊維の開繊は困難で、得られた不織布
は、肌触りや風合いの点に問題を残す。
【0005】スパンボンド法は、強度は大きいものの、
地合が悪く、繊維が連続的につなっがており、繊維の自
由末端が少なく、3次元交絡には、大きなエネルギーを
必要とする。また、他のウェブとの複合化が困難であ
る。メルトブロー法は、微細な繊維のウェブ化が可能で
あるが、地合が悪い、生産速度が遅く、また高価である
という問題がある。
【0006】湿式抄造法は、生産速度が上記の方法に比
べて速く、複数の繊維を任意の割合で混合できる。ま
た、繊維の形態にも、ステープル状、パルプ状等選択の
幅は広く、上記の方法に比べ極めて良好な地合のウェブ
が得られる方法である。このようなことから、極めて応
用範囲の広いウェブ形成法と考えられる。
【0007】これらのウェブを用い高圧柱状水流で加工
する方法で、ウェブのハンドリング方法として、オンマ
シンとよばれる連続的加工方法と、オフマシンと呼ばれ
る不連続的加工方法があげられる。オンマシン法は、形
成されたウェブを連続的に高圧柱状水流を噴射し、繊維
を3次元的に交絡する方法で、効率生産が可能である
が、ウェブ形成装置とつながっているため、できあがる
製品はウェブ形成装置の性能に左右され、応用範囲が狭
くなる。オフマシン方法は、ウェブ形成装置を用い得ら
れたウェブを何等かの方法で取り込んだのち、高圧柱状
水流で繊維を交絡する方法である。この方法では、異な
るウェブ形成法で得たウェブ、同じウェブを複数枚積層
したもの、あるいはオンマシンとの併用が可能で、非常
に応用範囲が広い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このと
き、ウェブを取り込み、ハンドリングが可能なだけのあ
る一定以上の強度がウェブに要求される。そのため、ウ
ェブは自着性のある繊維以外の繊維をもちいる場合、こ
れらの繊維を仮接着するバインダーが必要とされる。バ
インダーはそれらがシート内に残留することで、ウェブ
の性能、しいては水流交絡後の不織布の性能をも左右す
るため、その選択、使用量には細心の注意が必要であ
る。
【0009】これらバインダーは、繊維状、液体状のも
のに大別できる。繊維状のものとしては熱融着性繊維、
パルプ状繊維があげられ、前者は熱に溶融した成分が主
体となる繊維と接着し、後者はパルプ状繊維が主体繊維
と絡み合い、ウェブ強度を発現する。しかしながら、こ
の方法ではバインダー繊維がウェブ内に残留している。
また、液体状のバインダーも難水溶性成分、あるいは溶
解温度が高いものはウェブ内に残留する。このように、
高圧柱状水流で交絡した後も、バインダー成分が多量に
ウェブ内に残留する方法で得られた不織布は、ドレープ
性が劣り、風合いが悪くなることが考えられる。そのた
め、より厳しい性能を必要とされる製品に使用するには
制限があった。
【0010】バインダーがウェブの中に残らない方法と
しては、易水溶性のバインダーを用いる方法があげられ
る。水溶性のバインダーとして、特開昭56−7975
3号公報の明細書中で温水易溶性ポリビニルアルコール
(PVA)を用いることが記載されている。この明細書
中では、バインダー成分と主体繊維との接着が解除され
ることに重点が置かれ、不織布内からのバインダー成分
を積極的に溶解させる方法、バインダーの種類について
は記述がない。
【0011】このように、オフマシンでバインダー成分
が残らない水流交絡不織布を生産するための原布とな
る、水流交絡用シートについての検討は殆どなされてい
ない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため鋭意研究を行った。その結果、バインダーに
常温の水、すなわち冷水中で溶けるものを使用するこ
と、特定の繊維状バインダーを用いること、特定のケン
化度のPVAを用いることで水流による繊維の交絡が容
易に行われる水流交絡用シートが得られることが見いだ
された。また、該水流交絡用シートを用いることで、水
流交絡不織布が効率的に生産されるだけでなく、短時間
でバインダー成分が容易に溶出し、風合い、肌触りに優
れた不織布が得られることが見いだされた。本発明は上
記知見により達成されたものである。
【0013】すなわち、本発明は、10重量%以下の水
溶性バインダーを含有する水流交絡用シートにおいて、
シートに含有される水溶性バインダーの溶解温度が10
〜40℃である水流交絡用シートである。好ましくは、
溶解温度が50℃〜90℃の繊維状の構造を持つ水溶性
バインダーを含むスラリーより形成される水流交絡用シ
ートであって、シート形成後に含有される水溶性バイン
ダーが10重量%以下であり、該水溶性バインダーの再
溶解温度(潜在溶解温度)が10〜40℃であることを
特徴とする水流交絡用シートである。また、好ましい態
様としては、溶解温度が50℃〜90℃の繊維状の構造
を持つ水溶性バインダーを含むスラリーからウェブを抄
造し、乾燥して得られた水流交絡用シートであって、該
シートに含有する水溶性バインダーが10重量%以下で
あり、一旦溶解乾燥されたものであり、再溶解温度(潜
在溶解温度)が10〜40℃であることを特徴とする水
流交絡用シートである。また、水溶性バインダーがケン
化度90〜97.5モル%であるポリビニルアルコール
である水流交絡用シートである。また、上記の水流交絡
用シートを、単層あるいは複数枚積層し、あるいは他の
繊維からなるシートと積層し、高圧柱状水流を積層シー
トの上方より噴射し、3次元的に繊維が交絡した水流交
絡不織布である。また、上記の水流交絡用シートを、単
層あるいは複数枚積層し、あるいは他の繊維からなるシ
ートと積層し、多孔質の支持対に載せ、高圧柱状水流を
積層シートの上方より噴射し、水溶性バインダーを溶出
しながら、シートの繊維を3次元的に交絡することを特
徴とする水流交絡不織布の製造法である。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。まず、本発
明で用いる水溶性バインダーにつき説明する。本発明で
用いる水溶性バインダーとはシートを構成する主体とな
る繊維をつなぎ止めるバインダーの役割をはたすもので
ある。さらに、水流交絡処理の工程で冷水中に容易に溶
出し、繊維間をつなぎ止める役割がなくなるだけでな
く、大部分が不織布から溶出するようなものをさす。
【0015】これらの水溶性バインダーの成分として
は、PVA、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリ
ルアミド、糊剤等があげられ、これらのものを適宜使用
すればよい。
【0016】水流交絡処理の工程で容易に溶出するため
のバインダーの量は、シート重量に対し、10重量%以
下で、さらに好ましくは1〜10重量%である。1重量
%未満ではシート強度が弱く、10重量%を超えると、
交絡に大きな水圧を要し好ましくない。また、交絡が不
十分で、積層した場合は層間の強度が弱い。シートに含
有されるバインダー成分の溶解温度としては10〜40
℃が好ましい。この範囲であれば、常温の水、すなわち
冷水に容易に溶出し、水温を意図的に上昇させたり、下
降させたりすることなく、水流交絡が効率的に行うこと
が可能である。
【0017】水溶性バインダーの形状としては、繊維状
のものがあげられる。主体となる繊維に混合し、含浸、
塗布等のバインダー付与工程無しに、湿式抄紙工程のみ
でシートを形成できることから、繊維状のものが好まし
い。繊維の繊維径は特に限定はないが、主体となる繊維
と均質に分散することが好ましいため、20μm以下が
好ましい。繊維長は分散性を良好にするため、10mm
以下が好ましく、さらに好ましくは1〜5mmである。
【0018】さらに、繊維状バインダーの溶解温度が5
0〜90℃、溶解乾燥後の潜在溶解温度が10〜40℃
の水溶性バインダーがさらに効果的である。すなわち繊
維状バインダーの溶解温度が高いので、常温の水、すな
わち冷水中では溶けないため、白水中に溶出することな
く、バインダー成分が繊維の状態でウェブに残り、主体
となる繊維間に散在し、歩留まりが良好である。また、
乾燥の熱により溶解し、乾燥した後の溶解温度、すなわ
ち潜在溶解温度が低いため冷水中で容易に溶解するた
め、水流交絡処理の過程で容易に溶解し、バインダーが
溶出した繊維間の交絡が効率的に行うことが可能であ
る。また、交絡の過程で大部分のバインダー成分が溶出
するため、風合い、肌触りが良好な不織布の製造が可能
である。
【0019】これらの水溶性バインダーの成分として
は、さきに述べたようにPVA、カルボキシメテルセル
ロース、ポリアクリルアミド、糊剤等があげられ、これ
らのものを適宜使用すればよいが、ケン化度90〜9
7.5モル%のPVAが、10〜40℃の水中で溶解
し、即座に溶出するため特に好ましい。
【0020】ここであげる、繊維状PVAとは、次のよ
うなものが一例としてあげられる。繊維状PVAを構成
するPVAポリマーは、ケン化度90.0〜97.5モ
ルが好ましく、さらに好ましくは93〜95モル%であ
る。ケン化度90.0モル%未満の場合は繊維形状をな
さない。97.5モル%を超えると常温水中では溶解し
ずらい。また、重合度は1000〜4000の範囲が好
ましい。該PVAを水中溶解後、紡糸、湿延伸後、10
5〜140℃で乾燥を行う。該繊維を160〜250℃
で、定長で熱処理もしくは乾熱延伸を加える。さらに必
要に応じ、定長熱処理温度もしくは乾熱延伸の温度より
高い温度で熱処理を施す。これらの処理により、PVA
の結晶化度を上げ、溶解温度50〜90℃とすることが
可能である。
【0021】次に主体となる繊維についてであるが、繊
維の種類に特に制限はない。天然繊維、有機繊維、無機
繊維等から適宜選択すればよい。天然繊維としては、木
材パルプ、麻パルプ、コットンリンター等が例示され
る。有機繊維としては、ポリエステル系繊維、ポリオレ
フィン系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニ
ルアルコール系繊維、ナイロン繊維、再生セルロース繊
維等があげられる。ポリエステル系繊維とは、ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、こ
れらポリマーの変性ポリマー等のホモポリマーおよびコ
ポリマーからなる繊維を言う。ポリオレフィン系繊維と
は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、こ
れらの変性ポリマー等のホモポリマーおよびコポリマー
からなる繊維を言う。ポリアクリロニトリル系繊維と
は、アクリル繊維、メタクリル繊維等を言う。ポリビニ
ルアルコール系繊維とはポリビニルアルコールからなる
繊維を言う。ポリアミド系繊維とは、ナイロン6、ナイ
ロン66等のポリマーからなる繊維を言う。無機繊維と
しては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等が例示され
る。
【0022】上記繊維の繊維形状としては、ステープル
状のみならず、枝別れ構造をとるもの等、制限はない。
また、上記の2種類以上の成分からなる、いわゆる複合
繊維の形態をとるものであってもよい。繊維の断面形状
は、円形、楕円形のみならず三角、Y型、T型、U型、
星型、ドッグボーン型等いわゆる異型断面形状をとるも
のであってもよい。
【0023】次にシートの製造工程について説明を行
う。水溶性バインダーが繊維状の場合、主体となる繊維
とともに水中に添加し、必要があれば分散剤、粘剤を加
え、均一分散を行い、スラリーを調製し、長網、短網、
円網、傾斜式等のマシンを用いウェブを抄造し、該ウェ
ブをそのまま乾燥することによって水流交絡用シートを
得ることができる。ただし、乾燥温度は繊維状バインダ
ーの溶解温度以上であることが必要である。
【0024】次に、このようにして得たシートを単層あ
るいは複数枚積層し、あるいは他の繊維からなるシート
を50〜200メッシュ程度の支持体上に載せ、上方か
ら高圧柱状水流を噴射し、水溶性バインダーを溶出させ
ながら、繊維の3次元交絡を行う。以下に交絡を強固に
かつ目的に応じ適正に行うための条件を述べる。
【0025】水流を打ち込み繊維を交絡させるためのノ
ズルの径は、交絡を強固に行い、地合を良好に保つため
に10〜500μmの範囲が好ましい。ノズルの間隔は
10〜1500μmが好ましい。
【0026】これらのノズルはシートの種類、坪量、加
工速度、水圧を考慮し、十分な交絡が得られる範囲でノ
ズルヘッドの数を変え用いることができる。また、交絡
回数も任意に選ぶことができる。
【0027】水圧は10〜250kg/cmの範囲で
用いることが可能である。また、高圧柱状水流で加工す
る前に、水中にサチュレートすることで、交絡の水圧を
低減することが可能である。加工速度は5〜200m/
分の範囲で用いることが可能である。交絡の水圧が低い
と十分な交絡が得られない。また、水圧が必要以上に高
いと地合が乱れたり、シートが破損し好ましくない。
【0028】水圧は加工初期から終盤にかけて順次圧力
を上げていくことにより、面質を阻害することがなく、
強固な交絡が可能になる。また、ノズル径または/およ
びノズル間隔を順次小さくすることも可能で、やはり不
織布の面質が向上する点から好ましい。また、ノズルの
ヘッダーを回転運動させること、左右に振動させるこ
と、あるいはウェブの支持ワイヤーを左右に振動させる
ことで、さらに面質を改良することも可能である、さら
に、交絡後、ノズルとウェブの間に40〜100メッシ
ュの金網を挿入し、柱状水流を散水化しウェブに噴射す
ることでも面質改良を行うことが可能である。さらに、
交絡終了直前あるいは、直前と2列前の水圧を下げるこ
とでも容易に面質の向上を図ることが可能である。
【0029】交絡方法は片面のみ、あるいは両面交絡を
行うことができる。また、交絡を行った後、さらにシー
トを積層し、交絡を行うことも可能である。
【0030】このように3次元交絡処理を施した後、余
分な水分を吸引あるいはウェットプレスなどの方法で取
り除いた後、エアードライヤー、エアースルードライヤ
ー、あるいはザクションドラムドライヤー等を用い、乾
燥を行うことができる。
【0031】以上のような方法で得られた、本発明の地
合の良好な不織布は折り曲げ加工、樹脂含浸加工、撥水
加工等の後加工を施すことが可能で、これにより新たな
性能を付与することができる。
【0032】本発明の水流交絡用不織布の用途として
は、医療、衛生材料用が考えられる。湿式抄造法で製造
されているため、乾式で製造されたウェブを用いたもの
より、地合が良好で、細い繊維径の繊維を使用可能であ
る。そのため、ドレープ性に富み、ソフトで肌触りが良
く、バリヤー性が優れており、マスク、サージカル用ガ
ウン等の用途に好適である。
【0033】また、地合が良好で均一であるため、フィ
ルターとしての利用が可能で、撥水剤等で撥水処理を施
すことで液体バリヤー性が向上するため、液体用、気体
用フィルターとしての用途に好適である。
【0034】さらに、風合いが良いこと、地合が良いこ
とから人工皮革用、特に高級なスエード調人工皮革の基
材としての用途に好適である。以上、本発明の不織布の
利用の一例を示したが、用途はこれらに限定されるもの
ではないことを述べておく。
【0035】
【作用】本発明のシートは冷水中で容易に溶解する水溶
性バインダーを用いているため、水流によるシートの繊
維の交絡が容易である。また、本発明の方法を用いた水
流交絡不織布は、バインダー成分が交絡の過程で非常に
溶出しやすいため、実質的にはバインダー成分やバイン
ダー繊維を含まない。そのため、水流交絡用シートとし
て有効に作用する。
【0036】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。
実施例において記載の部、%はすべて重量によるもので
ある。
【0037】実施例1 平均重合度1700、ケン化度96.0モル%のPVA
を濃度16%で溶解し、40℃の飽和ボウ硝凝固液中に
吐出し、PVA繊維の紡糸を行った。この繊維を温度9
0℃の飽和ボウ硝浴中で2.0倍に湿熱延伸を行い、さ
らに120℃で乾燥を行った。さらに、180℃で定長
熱処理を施した。この繊維をカットし、繊度1d、繊維
長3mmの繊維状PVAを得た。熱処理前の溶解温度は
20℃、熱処理後の溶解温度は60℃であった。また、
繊維状PVAを溶解させたのち、ガラス板状に塗布し、
乾燥後、ガラス板から剥離し得られたフィルムの溶解温
度は20℃であった。
【0038】次に、主体となる繊維として、ポリエステ
ル繊維(0.4d×20mm、クラレ社製)95部に対
し、繊維状バインダーとして上記繊維状PVA5部をノ
ニオン系分散剤と共に水中に添加し、分散を行った。幅
50cmの円網抄紙機でウェブを抄造した後、乾燥し、
水流交絡用シートを得た。
【0039】比較例1 平均重合度1700、ケン化度98.5モル%のPVA
を、熱処理を行わない以外は実施例1と同様の方法で、
繊維状PVAを得た。この繊維状PVAの溶解温度は6
0℃であった。また、溶解した繊維状PVAをガラス板
状に塗布し、乾燥後、ガラス板から剥離し得られたフィ
ルムの溶解温度は60℃であった。この繊維状PVAを
用いて実施例1と同様の方法で、水流交絡用シートを得
た。以上の水流交絡用シートの物性を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】実施例2 実施例1で得た、水流交絡シートをステンレス製の10
0メッシュの支持体上に配置し、下記の水流下、3次元
交絡を行った。交絡にはノズルヘッドを5ヘッド用い
た。第1ヘッドのノズルはノズル径120μm、ノズル
間隔1.2mm、2列で水圧50kgf/cm、第2
ヘッドはノズル径120μm、ノズル間隔1.2mm、
2列で水圧60kgf/cm、第3ヘッドはノズル径
120μm、ノズル間隔0.6mm、2列で水圧80k
gf/cm、第4ヘッドはノズル径100μm、ノズ
ル間隔0.6mm、1列で水圧60kgf/cm、第
5ヘッドはノズル径100mm、ノズル間隔0.6m
m、1列で水圧30kgf/cmである。交絡は、表
裏両面から行った。
【0042】実施例3 実施例1で得た、水流交絡用シートを2枚積層し、実施
例2と同じ方法で交絡を行った。但し交絡に用いた水圧
は、第1ヘッドから第5ヘッドから順に60、80、1
00、120、80、30kgf/cmで行った。
【0043】比較例2 比較例1で得た、水流交絡用シートを実施例2と同じ方
法で3次元交絡を行った。
【0044】比較例3 比較例1で得た、水流交絡用シートを3枚積層し、冷水
中に含浸した後、実施例3と同じ方法で交絡を行った。
さらに交絡後、70度の温水中を通過させた。
【0045】比較例4 比較例1で得た、水流交絡用シートを3枚積層し、冷水
中に含浸した後、実施例3と同じ方法で3次元交絡を行
った。但し交絡に用いた水圧は、第1ヘッドから第5ヘ
ッドから順に100、160、200、160、10
0、30kgf/cmで行った。
【0046】以上、実施例2〜3、比較例2〜4の水流
交絡用不織布の測定結果を表2に示す。例で示された、
剛軟度はJIS−L1096に記載された45度カンチ
レバー法を用い測定し縦横の平均値を示した。PVAの
残留量の測定法は、10×10cm角の水流交絡不織布
を沸騰水中で1時間浸漬し、重量減少を測定し、重量減
少を不織布重量で除し、百分率で表現した。
【0047】また、不織布の地合は目視により、◎が大
変良い、○良い、△やや悪い、×悪いの4段階で評価し
た。不織布の肌触りも手触りにより、◎が大変良い、○
良い、△やや悪い、×悪いの4段階で評価した。
【0048】
【表2】
【0049】実施例から示されるように、本発明の水流
交絡用シートから得られた水流交絡不織布は、比較例の
不織布に比べ、地合が良好で、触感に優れている。これ
は、バインダー成分が短時間に冷水中に容易に溶出し、
残留量が少ないことに依存すると考えられる。比較例
3、4で従来の方法によるバインダー成分を積極的に溶
出しようと試みたが、短時間では溶出しなかった。逆に
比較例4では地合の低下を招いた。
【0050】実施例4 実施例1で得た、水流交絡用シートとさらに未叩解繊維
のカナディアンレッドシーダーの晒しクラフトパルプの
坪量30g/mのシートを積層し、パルプ面から3次
元交絡を行った。ただし、第1ヘッドは水圧50kgf
/cm、第2ヘッドは水圧60kgf/cm、第3
ヘッドは水圧80kgf/cm、第4ヘッドは水圧6
0kgf/cm、第5ヘッドは水圧30kgf/cm
で行った。次に反対面の交絡を行った。交絡条件は実
施例2と同様であった。
【0051】得られた水流交絡不織布は、地合が良好
で、肌触りもよく、層間での剥離も見られなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の水流交絡用シートから得られた
水流交絡不織布は、地合が良好で、触感に優れている。
これは、バインダー成分が短時間に冷水中に容易に溶出
し、交絡が容易で、残留量が少ないことに依存する。本
発明の水流交絡用シートは、水流交絡不織布を得るのに
適したシートである。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶解温度が50℃〜90℃の繊維状の構
    造を持つ水溶性バインダーを含むスラリーより形成され
    る水流交絡用シートであって、シート形成後に含有され
    る水溶性バインダーが10重量%以下であり、該水溶性
    バインダーの再溶解温度(潜在溶解温度)が10〜40
    ℃であることを特徴とする水流交絡用シート。
  2. 【請求項2】 溶解温度が50℃〜90℃の繊維状の構
    造を持つ水溶性バインダーを含むスラリーからウェブを
    抄造し、乾燥して得られた水流交絡用シートであって、
    該シートに含有する水溶性バインダーが10重量%以下
    であり、一旦溶解乾燥されたものであり、再溶解温度
    (潜在溶解温度)が10〜40℃であることを特徴とす
    る水流交絡用シート。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の水流交絡用シー
    トを、単層あるいは複数枚積層し、あるいは他の繊維か
    らなるシートと積層し、高圧柱状水流を積層シートの上
    方より噴射し、3次元的に繊維が交絡した水流交絡不織
    布。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の水流交絡用シー
    トを、単層あるいは複数枚積層し、あるいは他の繊維か
    らなるシートと積層し、多孔質の支持体に載せ、高圧柱
    状水流を積層シートの上方より噴射し、水溶性バインダ
    ーを溶出しながら、シートの繊維を3次元的に交絡する
    ことを特徴とする水流交絡不織布の製造法。
JP17059791A 1991-06-14 1991-06-14 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法 Expired - Lifetime JP2983697B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17059791A JP2983697B2 (ja) 1991-06-14 1991-06-14 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17059791A JP2983697B2 (ja) 1991-06-14 1991-06-14 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04370259A JPH04370259A (ja) 1992-12-22
JP2983697B2 true JP2983697B2 (ja) 1999-11-29

Family

ID=15907795

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17059791A Expired - Lifetime JP2983697B2 (ja) 1991-06-14 1991-06-14 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2983697B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8202600B2 (en) * 2006-07-27 2012-06-19 Tradik Co., Ltd. Artificial leather, base to be used in the leather, and processes for production of both

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04370259A (ja) 1992-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4147574A (en) Suede-like sheet materials and method of producing the same
DE2539725A1 (de) Als traegermaterial fuer kunstleder geeignete faservliese, ihre herstellung und verwendung
US4891262A (en) High strength wet-laid nonwoven fabric and process for producing same
CN110670242B (zh) 一种抗菌无纺布及其制作工艺
US20060234591A1 (en) Three-dimensional nonwoven fabric with improved loft and resiliancy
US20040255440A1 (en) Three-dimensionally imaged personal wipe
JPH08291451A (ja) 不織布およびその製造方法
JP2983697B2 (ja) 水流交絡用シートと水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法
JP3138074B2 (ja) 地合の良好な触感に優れた水流交絡不織布及びその製造法
JP3277046B2 (ja) 水流交絡不織布及びその製造法
JP2871864B2 (ja) 地合の良好なスパンレース不織布およびその製造法
NO138328B (no) Stoepeinnretning.
JP3193938B2 (ja) ポリビニルアルコール系水溶性長繊維不織布
JPH04263699A (ja) バリヤー性不織布とその製造法
JP3278288B2 (ja) 絡合不織布およびこれを用いた芯地
JP2783411B2 (ja) 高強度湿式不織布及びその製造方法
JP3046410B2 (ja) 水流交絡用ウェブ、水流交絡不織布および水流交絡不織布の製造法
JP3081853B2 (ja) 地合の良好な水流交絡不織布およびその製造法
JPS6051589B2 (ja) 皮革様シ−ト状物の製造方法
JPH09268460A (ja) 不織布及びこの製造方法
JPH05214649A (ja) 柔軟な不織布およびその製造法
JPH0147585B2 (ja)
JP2871869B2 (ja) 地合の良好なスパンレース不織布およびその製造法
JPS5942107B2 (ja) 人工皮革およびその製造方法
JPH0314695A (ja) 均一性に優れた接着芯地及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080924

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090924

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090924

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100924

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100924

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 12

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110924

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110924

Year of fee payment: 12