JP2871743B2 - モノクローナル抗体及びその抗体を分泌するハイブリドーマ - Google Patents

モノクローナル抗体及びその抗体を分泌するハイブリドーマ

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、2種類の新規モノクローナル抗体、及びそ
れらのモノクローナル抗体を各々分泌するハイブリドー
マに関する。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 線維芽細胞成長因子(FGF:fibroblast growth facto
r)は、大脳や脳下垂体抽出液に見いだされるタンパク
質で、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF:basic FGF)及
び酸性線維芽細胞成長因子(aFGF:acidic FGF)が知ら
れている。線維芽細胞成長因子(FGF)類は、培養線維
芽細胞の他、血管内皮細胞を含む多くの中胚葉由来の培
養細胞の増殖を低濃度(数pg〜数ng/ml)で促進する[G
ospodarowicz等、J.Cell.Physiol.,Supplement5,15−26
(1987)]。塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)と酸性
線維芽細胞成長因子(aFGF)の作用はほとんど類似して
いるが、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の方が生体
内に広く分布していることや、腫瘍細胞において産生例
が多いことが知られている。塩基性線維芽細胞成長因子
(bFGF)のイン・ビボにおける作用としては、胚におけ
る外胚葉から中胚葉への分化作用、神経細胞の生存促進
や分化作用等が知られているが、特に血管新生作用が注
目されている。腫瘍細胞が産生する塩基性線維芽細胞成
長因子(bFGF)は、腫瘍血管新生因子の一つと考えら
れ、固形腫瘍の形成における役割が考えられている。従
って、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)は生物活性を
持つ腫瘍マーカーとなる可能性があるが、血中レベルの
正確な測定例はまだない。しかし、尿路系腫瘍患者の尿
中に高い塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の排出があ
るという報告はある[Chodak等、Cancer Res.,48,2083
−2088(1988)]。
塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)に対するポリクロ
ーナル抗体は、抗原として合成ペプチド又は天然分子を
用いて得られていた[例えば、Schweigerer等,Nature,3
25,257−259(1987)]。しかし、この塩基性線維芽細
胞成長因子(bFGF)に対するモノクローナル抗体を生成
することは非常に困難であった。Massoglia等は、塩基
性線維芽細胞成長因子(bFGF)に対する4種のモノクロ
ーナル抗体の生成を最初に報告した[Massoglia等、J.C
ell.Physiol.,132,531−537(1987)]が、これらはい
ずれもその塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)の生物活
性を阻害しなかった。続いて、Seno等も塩基性線維芽細
胞成長因子(bFGF)に対する4種のモノクローナル抗体
の生成を報告した[Seno等、Hybridoma,8,209−221(19
89)]が、これらもその塩基性線維芽細胞成長因子(bF
GF)の生物活性を阻害しなかった。
本発明者等は、種々研究の結果、塩基性線維芽細胞成
長因子(bFGF)の生物活性を阻害し、そして塩基性線維
芽細胞成長因子(bFGF)の活性形と不活性形とを区別す
ることのできるモノクローナル抗体を見いだした。
[課題を解決するための手段] 本発明は、ウシ塩基性線維芽細胞成長因子を免疫原と
して調製され、塩基性線維芽細胞成長因子による毛細血
管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって不活性
化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応を示さ
ないモノクローナル抗体に関する。
更に、本発明は、ウシ塩基性線維芽細胞成長因子を免
疫原として調製され、塩基性線維芽細胞成長因子による
毛細血管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって
不活性化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応
を示すモノクローナル抗体に関する。
また、本発明は、ウシ塩基性線維芽細胞成長因子で免
疫したマウスの脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞との
融合によって形成され、塩基性線維芽細胞成長因子によ
る毛細血管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によっ
て不活性化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反
応を示さないモノクローナル抗体を分泌するハイブリド
ーマにも関する。
更に、本発明は、ウシ塩基性線維芽細胞成長因子で免
疫したマウスの脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞との
融合によって形成され、塩基性線維芽細胞成長因子によ
る毛細血管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によっ
て不活性化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反
応を示すモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ
にも関する。
本発明のモノクローナル抗体は、塩基性線維芽細胞成
長因子(bFGF)の生理的性質などの基礎的研究に有用で
あり、更に悪性腫瘍マーカーとして注目されている塩基
性線維芽細胞成長因子(bFGF)を高精度に測定すること
による悪性腫瘍の診断及びそれに用いる診断薬、悪性腫
瘍の治療薬への応用が期待される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)免疫原の精製 免疫原としての塩基性線維芽細胞成長因子(以下、bF
GFと略称する)は、例えばウシの脳や脳下垂体から、公
知の方法で分離、精製することができる。
具体的には以下のとおりにして免疫原を精製した。す
なわち、硫酸アンモニウム沈殿、CM−セファデックスク
ロマトグラフィ及びヘパリン−セファロースクロマトグ
ラフィを含むGospodarowicz等の方法[Gospodarowicz
等、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,6963−6967(1984)]
によってウシの脳からbFGFを精製した。カラムから溶離
され、DNA合成刺激活性[ニシカワ等、Methods Enzymo
l.146,11−22(1987):ヨシタケ等、Cell Struct.Func
t.7,229−243(1982)参照]を有する1本のタンパク質
ピークを与えるフラクションを集めた。精製されたbFGF
の還元化試料は、19.5%SDS−PAGE上で、分子量18,000
を有する単独バンドのタンパク質を与えた。
(B)免疫処理 精製したbFGF免疫原溶液を用いて、イン・ビボ免疫法
により、マウスを免疫する[ニシカワ等、Methods Enzy
mol.146,11−22(1987):ヨシタケ等、Arch.Biochem.B
iophys.263,437−446(1988)参照]。
具体的には以下のとおりにして免疫処理を実施した。
すなわち、精製したbFGF免疫原溶液を等量のフロインド
氏完全アジュバント又は不完全アジュバントと乳化する
まで混合した。このbFGF10μgを含む混合液を、6週令
のメスのBALB/cマウスの皮下に投与することにより免疫
を行なった(第1回免疫)。以後、2〜4週間の間隔で
同様の操作を行ない、計5回免疫した。マウス血清の抗
体力価の定量は、Massoglia等、J.Cell Physiol.132,53
1−537(1987)に記載のELISA法によって行なった。
最終免疫から4日経過後、脾臓を無菌的にマウスから
取出し以下の細胞融合工程に使用した。
(C)ハイブリドーマの作成 具体的には以下の様にしてハイブリドーマの作成を行
なった。DEM培地に、上記(B)の脾臓を入れ、ステン
レスメッシュ上で押し潰して脾臓細胞懸濁液を得た。こ
うして得た細胞をDME培地で遠心法によって洗浄し、生
きている膵臓細胞数を測定した。
一方、予め培養しておいたマウスエミローマ細胞(骨
髄種細胞)P3−X63−Ag8−U1(P3U1)(Dr.Gordon H.Sa
to,W.Alton Jones Cell Science Center,Inc.より入
手)約5×107個に上記脾臓細胞1×108個を加え、DME
培地中でよく混合し、遠心分離を行なった(500×g、1
0分間)。その上清を吸引し、ペレットをよく解きほぐ
し、50%(w/v)ポリエチレングリコール4000のDME溶液
(37℃に保温)0.5mlを滴下し、遠心チューブを手で1
分間穏やかに回転することによってポリエチレングリコ
ール溶液と細胞ペレットとを混合させた。次に、37℃に
保温しておいたDME培地24mlを小量づつ加えて、チュー
ブを穏やかに回転させた後、遠心分離(500×g、10分
間)を行なった。細胞ペレットを、10%ウシ胎児血清を
含むPRMI培地で遠心洗浄した後、細胞を、10%ウシ胎児
血清を含むHAT培地(RPMI培地にアミノプテリン4×10
-7M、チミジン1.6×10-5M、ヒポキサンチン1×10-4Mを
添加したもの)40mlに懸濁した。この細胞懸濁液を96ウ
エル細胞培養プレートの各ウエルに200μlずつ分注
し、37℃で、5%炭酸ガスを含む炭酸ガス培養器で培養
を開始した。培養中、2〜3日間隔で各ウエルの培地を
約100μl除き、新たに上記のHAT培地100μlを加える
ことによりHAT培地中で増殖するハイブリドーマを選択
した。8日目から10%ウシ胎児血清を含むHT培地(DME
培地にチミジン1.6×10-5M、ヒポキサンチン1×10-4M
になるように添加したもの)に交換し、ハイブリドーマ
の増殖を観察するとともに、10日目に、下記のELSA法に
より、bFGF抗体産生ハイブリドーマをスクリーニングし
た。
(D)ハイブリドーマの樹立 ハイブリドーマ培養上清中の産生抗体の有無はELISA
法により測定した。すなわち、96ウエルELISA用プレー
ト(Falcon社)の各ウエルに、前記のbFGF免疫原溶液2
μg/mlずつを分注し、室温で4時間放置した。上清を除
去した後、1%BSA−PBSを分注してブロッキングした。
次に、0.1%Tween20−PBSで4回洗浄した後、各ウエル
の培養上清50μlを加え、室温で4時間反応させた。そ
の後、上清を除去し、0.1%Tween20−PBSで4回洗浄し
た。
次に、Tween20−PBSで2,000倍に希釈したペルオキシ
ターゼ結合ウサギ抗マウス抗体(ダコ社、デンマーク)
50μlを各ウエルに加えた。反応終了後、0.1%Tween20
−PBSで各ウエルを4回洗浄し、0.1Mクエン酸−リン酸
緩衝液(pH5.0)と0.4% o−フェニレンジアミンと0.00
5%過酸化水素とを含む溶液50μlを各ウエルに加え、
室温で15分間反応させ、各ウエルの492nmにおける吸光
度を測定した。その結果、192ウエル中5ウエルに抗体
産生が認められた。その後、再度ELISA法によって抗bFG
F抗体の産生の有無を確認してから限界希釈法により3
回クローニングした。これらのクローニングの中から、
増殖のよい、抗体分泌能の高い、しかも安定なクローン
を選び、前記と同様の方法で再クローン化を行い、抗bF
GF特異的抗体産生ハイブリドーマ2種を樹立し各々bFM
−1及びbFM−2と命名した。
(E)モノクローナル抗体の製造:イン・ビボ法 プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカ
ン)0.5mlを7週令のBALB/c系のマウスの腹腔内に投与
し、7日経過した後のマウス腹腔内に、イン・ビトロで
増殖させたハイブリドーマbFM−1及びbFM−2をマウス
一匹当たり1×107細胞となるように接種した。
各ハイブリドーマにつき一匹のマウスから約5〜10ml
の腹水が得られた。その抗体濃度は、1〜3mg/mlであっ
た。腹水中のモノクローナル抗体の精製は、以下のよう
にして行なった。ガーゼで過した腹水を遠心分離(2
0,000×g,10分)した後、固形の硫酸アンモニウムを30
%飽和濃度になるように加えた。遠心分離(20,000×g,
10分)した後、上清に更に硫酸アンモニウムを50%飽和
濃度になるように加え、遠心分離により沈殿を得た。沈
殿を小量の5mM Tris−HCl緩衝液(pH7.5)に溶解し、10
0倍量の前記緩衝液に対して3回透析した。得られた透
析物を、前記緩衝液で平衡化したED−50セルロースのカ
ラムにかけて、前記緩衝液で洗浄した。吸着したモノク
ローナル抗体は、前記緩衝液とそれに0.15M NaClを加え
た溶液とにより、濃度勾配法によって溶出させた。得ら
れたモノクローナル抗体が均一な純度を持つことは、SD
S−電気泳動法によって確認した。
(F)免疫グロブリンクラスの同定 抗bFGF特異モノクローナル抗体bFM−1及びbFM−2の
免疫グロブリンクラス及びサブクラスの同定は、マウス
モノクローナル抗体アイソダイピングキット(アマーシ
ャム社製)によって行なった。その結果、それぞれ、Ig
G1/kであることが分かった。
(G)モノクローナル抗体の交差反応性 (a)ウシ脳下垂体bFGF(1−146)[Esch等,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 82,6507−6511(1985)]の天然形のア
ミノ酸14−16個及び追加のTyrの配列を有する3種類の
ペプチドを、全自動Biolynx4170Peptide Synthesizer
(Pharmacia LKB Biotechnology,スエーデン)又は全自
動Applied Biosystems 430 A Peptide Synthesizer(Ap
plied Biophysics Inc.、米国)中で、固相法によって
合成した[マツオ等、In Vitro Cell.Dev.Biol.24,477
−480(1988)]。その内の2種は、Try16−bFGF(1−
15)及びTry132−bFGF(133−146)であり、これらはそ
れぞれ天然分子のアミノ末端配列及びカルボキシ末端配
列に相当する。もう1種は、Try51−bFGF(36−50)で
あり、これは全配列の親水性分析によって同定したbFGF
の親水性配列の主要部分を含んでいた。
本発明のモノクローナル抗体bFM−1及びbFM−2に関
するbFGF上のエピトープを決定するために、bFGF分子の
3種の線状フラグメントとモノクローナル抗体bFM−1
及びbFM−2の交差反応性を調べた。
結果を第1図及び第2図に示す。第1図及び第2図
は、本発明のモノクローナル抗体bFM−1(第1図)及
びbFM−2(第2図)とbFGFフラグメント、bFGF(後
述)及び加熱不活性化bFGF(後述)との交差反応性を競
合結合アッセイ法で調べた結果を示すものである。第1
図及び第2図において縦軸のB/Boは、各種濃度の抗原の
存在下における125IラベルbFGFの特異的結合量(B)を
非ラベル化抗原非存在下での特異的結合量(Bo)で割っ
た(除算した)ものである。第1図及び第2図の実験に
おいては、モノクローナル抗体bFM−1の6ng又はモノク
ローナル抗体bFM−2の75ngを反応混合物(0.5ml)に加
えた。添加した総トレーサーの百分率でBoを示せば、モ
ノクローナル抗体bFM−1とは56%であり、モノクロー
ナル抗体bFM−2とは35%であった。第1図及び第2図
において、◎は活性bFGF、○は加熱不活性化bFGF、□は
Try16−bFGF(1−15)、☆はTyr51−bFGF(36−50)、
◇はTyr132−bFGF(133−146)である。第1図及び第2
図から明らかなように、これらのペプチド即ちTry16−b
FGF(1−15)、Tyr132−bFGF(133−146)及びTyr51
bFGF(36−50)のいずれも本発明のモノクローナル抗体
bFM−1又はbFM−2とは100μg/ml(この濃度は、明確
な交差反応を示す天然bFGFのモル基準濃度の100−1000
倍である)においてさえ交差反応を示さなかった。この
ことから、これらの配列、すなわちアミノ末端、カルボ
キシル末端及び主要な親水性領域が連続エピトープとし
て本発明のモノクローナル抗体によっては認識されない
ことがわかる。
(b)bFGFの生物活性は熱不安定性及び酸不安定性であ
る。したがって、bFGF分子(これはジスルフィド結合に
よって維持されていない)のコンフォメーションは、そ
の生物活性に必須のものと考えられる[Gospodarowicz
等、J.Cell.Physiol.128,475−484(1986)]。本発明
のモノクローナル抗体がbFGF分子のコンフォメーション
を認識したかどうかを決定するために、bFGF溶液を沸騰
水浴中で5分間インキュベイションした。熱不活性化bF
GFの生物活性(BALB/c3T3−3Kセル中でのDNA合成の刺激
によって測定した)は、熱処理前のbFGFの生物活性の0.
2%より低かった。本発明のモノクローナル抗体bFM−1
(第1図)は熱不活性化bFGFと交差反応を示さなかった
が、本発明のモノクローナル抗体bFM−2(第2図)は
熱不活性化bFGFと交差反応を示した。但し、その反応性
は非処理bFGFとのものよりも幾分低かった。このこと
は、本発明のモノクローナル抗体bFM−1が、bFGFの生
物活性に必要なbFGF分子のコンフォメーションを認識し
ていることを示している。
(c)様々な種から誘導されたbFGF及びウシ−aFGFとこ
れらのモノクローナル抗体との反応性を、ラジオイムノ
アッセイ法(RIA)によって決定した。結果を第1表に
示す。どちらのモノクローナル抗体も、マウス−bFGF、
ヒト−bFGF及びウシ−bFGFとは交差反応を示したが、ウ
シ−aFGFとは交差反応を示さながった。
ラジオイムノアッセイ法(RIA)の実験条件は、第1
図及び第2図に関連して記載してあるとおりである。数
値の計算は、前記したとおり、ラジオイムノアッセイ法
(RIA)によって推定したFGF濃度を、FGFのDNA合成刺激
活性から推定したFGF濃度で割って行なった。いずれの
アッセイにおいても、純粋なウシbFGFを標準として用い
た。ウシbFGFの値を100%とした。
(H)bFGFのラジオイムノアッセイ法 精製したウシbFGFを、クロラミン−T法[Kan等、J.B
iol.Chem.263,11306−11313(1988)に記載]によって
125Iでラベルし、ヘパリン−Sepharoseアフィニティク
ロマトグラフィ[Neufeld等、J.Biol.Chem.260,13860−
13868(1985)に記載]を若干修正した方法で精製し
た。簡単に説明すれば、クロラミン−T180μg/mlを含有
する反応混合物110μl中て室温下2分間、ウシbFGF2.8
μgと125I 700μCi(25.9MBq)とを0.02%CHAPSの存在
下でインキュベーションした[マツオ等、In Vitro Cel
l.Dev.Biol.24,477−480(1988)]。0.02Mジチオスレ
イトール100μlを加えることにより、反応を停止し
た。次に、0.1%CHAPSを含有する塩溶液を用いて、ヘパ
リン−Sepharoseカラム上で遊離の125Iから125Iラベル
付きbFGFを分離した。125Iラベル付きbFGFの比活性は5.
5×104cpm/ngであった。ラベルされたbFGFとラベルされ
ていないbFGFは、前記と同様のDNA合成刺激から判断し
て、ほとんど同じ生物活性を示した。RIA用反応混合物
(5ml)は、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)/0.02%NaN30.3
5ml、PBS/0.1%BSA/0.02%NaN3(PBS−B−A)中の4ng
/ml125I−bFGF(8000−15000cpm)0.05ml、PBS−B−A
中の適当な濃度のラベルされていないbFGF0.05ml及びPB
S−B−A中の各々精製されたモノクローナル抗体(0.1
2−1.5μg/ml)0.05mlからなり、これを試験管(栄研)
内で4℃で一晩インキュベートした。PBS/0.02%NaN3
の1%正常マウス血清0.1mlとPBS/0.02%NaN3中の0.77m
g/mlヤギ−抗−マウス免疫グロブリン(ダコ社)0.1ml
とを加えた後で、試験管をさらに4℃で4時間インキュ
ベートした。抗体に結合した放射能を、0.2%ポリエチ
レングリコール600の1mlを加えそして遠心することによ
って沈殿させ、続いてAloka自動−ウェルガンマシステ
ム(ARC−300)中で計数した。
(J)ウシ毛細血管内皮細胞増殖に対する阻害効果 (a)細胞及び培養 Goetz等、In Vitro Cell Dev.Biol.21,172−180(198
5)に記載の条件を若干変更した条件でウシ脳皮質から
ウシ毛細血管内皮細胞を単離培養し、維持した。細胞の
培養は、タイプ−IVコラーゲン(sigma社、米国)でコ
ートした皿で、ペニシリン100単位/ml、ストレプトマイ
シン100μg/ml,15mM Hepes(pH7.3)及びbFGF1ng/mlを
補充して10%熱不活性化ウシ胎児血清を含むRPMI1640培
地中で行なった。細胞を5〜9継代での増殖実験に用い
た。細胞を、CO25%を含む空気中で、湿潤雰囲気下で、
37℃で培養した。
(b)増殖実験 タイプ−IVコラーゲンでコートした60mm Falcon皿
で、維持用の培地と同じ培地5ml中に2×104の密度で、
ウシ毛細血管内皮細胞を平板培養した。細胞接種の時に
のみ、bFGF及びモノクローナル抗を加えた。5日後、細
胞をトリプシンによって採取し、次いでコールター(Co
ulter)計数器内で細胞数を計数した。bFGFを含まない
培地に105個の細胞を平板培養して4日後に細胞数を計
数した以外は、bFGF非存在下での増殖を前記と同様の方
法で分析した。数値は、2枚の皿による実験の平均を取
った。
(c)結果 第3図及び第4図は、外因的に加えたbFGFの存在下及
び非存在下での、ウシ毛細血管内皮細胞の増殖に対する
モノクローナル抗体の効果を示すものである。なお、第
3図及び第4図において、○は、外因的bFGF1gn/ml存在
下の結果を示し、●は、外因的bFGF非存在下での結果を
示す。また、太い矢印(Ino)は、接種細胞数を示す。1
0%ウシ胎児血清を含有する培地中でのウシ毛細血管内
皮細胞の増殖は、添加されたbFGFによって刺激された。
細胞2×104個を接種してから5日後の細胞数は、bFGF1
ng/mlの存在下及び非存在下で各々6.0×105及び1.1×10
5であった。一方、これらの細胞をより高密度(細胞105
個)で接種した場合には、これらの細胞は外因的に添加
されたbFGFの非存在下でも増殖することができた。もっ
とも、その増殖速度は若干遅かった。bFGF非存在下での
高接種濃度での倍加時間及びbFGF存在下での低接種濃度
での倍加時間は各々40時間及び24時間であった。本発明
のモノクローナル抗体bFM−1(第3図)及び本発明の
モノクローナル抗体bFM−2(第4図)はどちらも、外
因的bFGFの存在下だけでなく非存在下でもウシ毛細血管
内皮細胞の増殖を、供与量(0.1−10μg/mlの範囲にお
いて)に依存する態様で阻害した。モノクローナル抗体
bFM−1の阻害効果はモノクローナル抗体bFM−2の阻害
効果よりも大きかった。これは、これらのモノクローナ
ル抗体のKd値の差異と一致する。これらの結果は、これ
らのモノクローナル抗体が、bFGFのイン・ビトロにおけ
る生物活性を阻害し、更にウシ毛細血管内皮細胞から生
成分泌されるbFGFの生物活性をも阻害し、bFGFのこの細
胞におけるオートクリン作用を抑制することを示してい
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明のモノクローナル抗体bFM−1と、塩
基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、加熱不活性化塩基性
線維芽細胞成長因子(bFGF)及び塩基性線維芽細胞成長
因子(bFGF)のフラグメントとの交差結合性を示すグラ
フである。 第2図は、本発明のモノクローナル抗体bFM−2と、塩
基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、加熱不活性化塩基性
線維芽細胞成長因子(bFGF)及び塩基性線維芽細胞成長
因子(bFGF)のフラグメントとの交差結合性を示すグラ
フである。 第3図は、本発明のモノクローナル抗体bFM−1がウシ
毛細血管内皮細胞のbFGFによって促進された増殖に与え
る効果を示すグラフである。 第4図は、本発明のモノクローナル抗体bFM−2がウシ
毛細血管内皮細胞のbFGFによって促進された増殖に与え
る効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/577 C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) (56)参考文献 Fect.Am.Soc.Eyp.B iol.J.,Vol.3,No.4 (1989.2月)p.A1215 Hyridoma,Vol.8,N o.2(1989.4月)p.209−221 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 21/08 C12N 15/06 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ウシ塩基性線維芽細胞成長因子を免疫原と
    して調製され、塩基性線維芽細胞成長因子による毛細血
    管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって不活性
    化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応を示さ
    ないモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】ウシ塩基性線維芽細胞成長因子を免疫原と
    して調製され、塩基性線維芽細胞成長因子による毛細血
    管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって不活性
    化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応を示す
    モノクーローナル抗体。
  3. 【請求項3】塩基性線維芽細胞成長因子がマウス塩基性
    線維芽細胞成長因子である、請求項1又は2に記載のモ
    ノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】ウシ塩基性線維芽細胞成長因子で免疫した
    マウスの脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞との融合に
    よって形成され、塩基性線維芽細胞成長因子による毛細
    血管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって不活
    性化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応を示
    さないモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ。
  5. 【請求項5】ウシ塩基性線維芽細胞成長因子で免疫した
    マウスの脾臓細胞とマウスのミエローマ細胞との融合に
    よって形成され、塩基性線維芽細胞成長因子による毛細
    血管内皮細胞の増殖を阻害し、そして加熱によって不活
    性化された塩基性線維芽細胞成長因子との交差反応を示
    すモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマ。
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Fect.Am.Soc.Eyp.Biol.J.,Vol.3,No.4(1989.2月)p.A1215
Hyridoma,Vol.8,No.2(1989.4月)p.209−221

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