JP2870814B2 - 食品の表面処理装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、冷凍ラインの上流側にて食品の表面に加熱
処理を加えるようにした食品の表面処理装置に関するも
のである。

［従来の技術］ 近年、電子レンジ等の普及に伴い半調理済みの冷凍食
品の市場の拡大が見込まれている。このような冷凍食品
は、商品化するに当たり、冷凍ラインを搬送され、冷凍
されて出荷される。

冷凍ピザの場合も同様に冷凍ラインを搬送され、冷凍
されて出荷される。そして、このように冷凍されて出荷
される冷凍ピザの場合、通常、生地の上に固形状のチー
ズを載せたままで冷凍され、商品化されている。

ところが、最近、冷凍ピザの生地上のチーズは、溶け
た状態で冷凍されたものの方が好まれる傾向にあること
が分ってきた。このことは、チーズが溶けた状態で冷凍
されたものの方が調理時間が短くて済むためと考えられ
る。

［発明の解決しようとする課題］ ところが、固形状のチーズを溶かすためにはチーズ表
面側で200℃程度の温度を必要としており、これを電気
ヒータで得てチーズを溶かすには２分程度の時間を要し
ていた。

通常、冷凍ラインのコンベヤの速度は2m/minなので、
冷凍ラインの上流側に固形状のチーズを溶かすためのラ
インを設置するとなれば4mの長さの延長ラインを新設す
る必要があり、装置の大形化が避けられ得ないという問
題点がある。

これを避けるためには、コンベヤの速度を落として、
既設の冷凍ラインをできるだけ利用するようにすればよ
いが、この場合には生産性が落ちてしまう。

時間を短縮するために高周波を用いて固形状のチーズ
を溶かす方法もあるが、この場合にはチーズだけでな
く、生地を含むピザ全体が加熱されてしまうという難点
がある。

本発明は叙上の点に鑑み、短時間で食品を局所的にあ
ぶることができて、既設の冷凍ラインを利用して該ライ
ン内に加熱部を設置可能な食品の表面処理装置を得るこ
とを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明に係る食品の表面処理装置は、食品を所定速度
で搬送するコンベヤと、空隙率80〜95％を有する金属繊
維の焼結板から成り上記コンベヤの食品搬送経路上に対
向配置された表面燃焼バーナと、この表面燃焼バーナか
らの排ガスを強制的に外部へ排出させる強制排気手段
と、コンベヤの食品搬送経路の表面燃焼バーナよりも下
流側に配置され表面燃焼バーナ部にて加熱処理された食
品を冷却する装置とを備えたものである。

［作 用］ 本発明においては、表面燃焼バーナがその表面に火炎
を付着させた状態で燃焼し、それによって得られる放射
熱にてコンベヤ上の食品の表面を短時間で局所的に加熱
する。

［実施例］ 以下、図示実施例により本発明を説明する。第１図は
本発明の一実施例に係る食品の表面処理装置を概略的に
示す構成図で、図において、１は食品２を2m/minの速度
で搬送する冷凍ラインのコンベヤ、３はコンベヤ１の食
品搬送経路の上流側にて搬送面に対向配置された表面燃
焼バーナ、４はコンベヤ１の食品搬送経路の下流側に食
品搬送路を囲んで配置された冷却装置であり、コンベヤ
１上を搬送される食品２は、上流側の表面燃焼バーナ３
部にて表面を炙られた後、下流側の冷却装置４部にて冷
凍処理されるようになっている。

すなわち、表面燃焼バーナ３は、耐熱性枠５の開口を
覆って配置された空隙率80〜95％を有する金属繊維の焼
結板から成るバーナ本体６と、バーナ本体６にガスと空
気との混合気体を供給するガス供給装置７とから形成さ
れ、着火された混合気体をバーナ本体６の表面に火炎を
付着させた赤熱状態で燃焼させ、このときに得られる放
射熱にて、移送される食品２の表面を加熱するよう構成
されている。

ガス供給装置７は、フィルタ８を介し導入された外気
をバーナ本体６側へ送り出すブロワ９と、ブロワ９から
送り出される空気に所定の割合で燃料ガスを混合させる
ためのガス流量計10とを備えており、本実施例ではガス
と空気との可燃混合気体の空気過剰率（投入したガスが
化学反応して完全燃焼するに必要な空気量で投入空気量
を除した値）は1.0〜1.2の範囲に、通風時のバーナ本体
表面から噴出する可燃混合気体流速は５〜30cm/secの範
囲に、それぞれ設定した。

また、表面燃焼バーナ３は、耐熱性枠５の周囲が遮蔽
壁11によって囲まれるとともに、遮蔽壁11が途中にファ
ン12を有する排気管13を介し外部に通じていて、バーナ
本体６からの排ガスは強制排気されるようになってい
る。

而して、冷却装置４は、食品搬送路を囲む遮蔽壁14
と、フィルタ８を介し導入された外気を遮蔽壁14内へ導
く冷気供給管15と、冷気供給管15内で空気の流れを発生
させるファン16と、冷気供給管15におけるフィルタ８と
ファン16との間に冷却器（蒸発器）17が交差して配置さ
れたチラーユニット18とから構成されている。

上述した構成を有する本実施例の食品の表面処理装置
は、バーナ本体６の空隙率が高いので投入熱量を大きく
でき、放射熱量を容易に増大させることが可能となって
いるので、処理すべき食品２がピザの場合、生地を焦が
すことなくその上に載せた固形状のチーズを約10秒で溶
かすことができた。その結果、チーズが溶けるまでのピ
ザの移動距離も30cmと短い距離に抑えることができ、表
面燃焼バーナの無い既設の設置への表面燃焼バーナ３の
適用も可能となった。

ところで、コンベヤ１にて搬送される食品２はそれぞ
れ質と量が異なる場合がある。ピザを例にとって見る
と、同種のピザであってもチーズの量が微妙に違い、ま
た種類が異なればチーズの質も異なる。このような場
合、それぞれのチーズ融点も異なるため、表面燃焼バー
ナは放射熱量を調整可能とすることは好ましい。

第２図は放射熱量を調整可能にした表面燃焼バーナの
他の例を示す概略構成図である。この実施例のものは、
表面燃焼バーナ３の耐熱性枠５内へ可燃混合気体を導入
するための接続菅19を、耐熱性枠５の側部に配置し、バ
ーナ本体６を含む耐熱性枠５を、接続菅19と共に昇降機
構20によって上下方向に移動可能に構成するとともに、
バーナ本体６とコンベヤ１との間、つまり遮蔽壁11の下
端に耐熱ガラス板21を設置した点が、前述した実施例の
ものと異なっている。

この実施例においては、搬送される食品２に応じた最
適な放射熱量を、バーナ本体６部の設定高さ位置を調整
するだけで容易に得ることができるとともに、加熱時に
食品２から発生する蒸気等、バーナ本体６に悪影響を及
ぼす要因を耐熱ガラス板21にてカットできるという利点
がある。

なお、上述した各実施例では本発明をピザの冷凍ライ
ンに用いたものを示したが、これに限るものでなく、例
えば本発明をグラタンの冷凍ラインに適用すれば、冷凍
する前のグラタンの表面に焦げ目を付けるようにするこ
とも可能である。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明によれば、食品の表面処理
ラインの加熱処理部に、空隙率80〜95％を有する金属繊
維の焼結板から鳴る放射熱量の高い表面燃焼バーナを用
いたので、既設の冷凍ラインを利用して該ライン内に加
熱部を設置可能な小形で付加価値の高い装置を得ること
ができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る食品の表面処理装置の一実施例を
概略的に示す全体構成図、第２図は本発明の他の実施例
を示す要部拡大図である。 図において、１はコンベヤ、２は食品、３は表面燃焼バ
ーナ、４は冷却装置、６はバーナ本体（金属繊維の焼結
板）、11は遮蔽壁（強制排気手段）、12はファン（強制
排気手段）、13は排気管（強制排気手段）である。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A23L 1/00 - 1/035

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】食品を所定速度で搬送するコンベヤと、空
   隙率80〜95％を有する金属繊維の焼結板から成り上記コ
   ンベヤの食品搬送経路上に対向配置された表面燃焼バー
   ナと、この表面燃焼バーナからの排ガスを強制的に外部
   へ排出させる強制排気手段と、コンベヤの食品搬送経路
   の表面燃焼バーナよりも下流側に配置され表面燃焼バー
   ナ部にて加熱処理された食品を冷却する装置とを備える
   ことを特徴とする食品の表面処理装置。