JP2870156B2 - コイルばね及びその製造方法 - Google Patents

コイルばね及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は耐食性、耐摩耗性の他、特に耐熱性に優れた
炭化物析出硬化型Co合金のコイルばね及びその製造方法
に関するものである。
[従来の技術] 従来より用途を問わず耐熱性及び耐食性に優れた合金
としてFe系、Ni系、Co系の超合金があげられる。このう
ちFe系、Ni系合金はFe-Cr-Ni合金、Ni-Cr合金として添
加元素等による合金開発が行なわれており、いずれも熱
間加工、冷間線引が容易なため、コイルばねも得られて
いる。
一方、前記三系の中で最も耐熱性、耐食性に優れると
されるCo合金は、Cr、W、Cを添加したものを中心に開
発がされている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、Co合金は前記の優れた特性を備えるものの、
硬い材料であるため線引加工などの塑性加工により線材
を得ることが困難であり、従って、コイルばねを得るこ
とも困難であった。又、線材を得た場合であってもCo合
金の耐熱性向上のキーとなる炭化物の析出が疲労特性の
低下を招く(炭化物が起点となり破断するおそれがあ
る)。さらに、材料強度そのものが低いため(ビッカー
ス硬度(Hv)で400〜500が一般)、疲労強度が劣るなど
の問題があった。
[課題を解決するための手段] 上記Co合金は硬い材料であるため、線引加工が困難で
ある点を考慮してみると、通常の溶解鋳造材では、炭化
物がデンドライトに沿って析出し、しかも非常に大きく
析出しているため、そのマトリックスと析出物の間に沿
って加工時割れを生ずる。
これを改善するため、鋳造時、5×10℃/sec以上の冷
却速度でインゴットを凝固させるか、5×10℃/sec以上
の冷却速度で凝固した粉末を固化するなどの方法で炭化
物を7μm以下にすれば、線材加工が可能になることを
見出した。
又、Co合金線材の疲労強度の向上についても考察する
と、コイリングする前の材料は焼鈍(1150℃)したもの
をそのまま所望の形状にコイリングし、その後550〜650
℃×(30〜180分)時効処理を行なうと、線表面の硬度
がHv=600以上あり、中心部より表面の硬度がHv=100以
上高いコイルばねが得られることがわかった。
しかし、上記のコイルばねでは、疲労の起点が炭化物
とマトリックスの境界であることがあり、必ずしも特性
的に優れているとはいえない。
これは、従来の鋳造法による材料には5μ超、例えば
7μm程度の大きな炭化物があるためで、これを5μm
以下の大きさにすれず破断はコイルばねの内面が起点と
なり、疲労特性が向上することがわかった。炭化物の大
きさを5μm以下に抑えるには1×102℃/sec以上の冷
却速度によるインゴット、もしくは粉末の固化材を用い
ればよい。
このようにCo系合金を本来の特徴である耐熱性、耐食
性、耐摩耗性の他、例えばコイルばねのように優れた疲
労特性を要求されるものに加工するには同合金中に生じ
る炭化物の成長を抑えることが重要なことであり、Co系
合金の鋳造、もしくはCo合金粉末の冷却段階で、その冷
却速度を1×102℃/sec以上として、炭化物を5μm以
下の大きさに抑え、このCo系合金の線材加工、コイリン
グ加工を実現するものである。
このように本発明は上記の課題を解決すべくなされた
もので、耐熱性、耐食性、耐摩耗性及び疲労特性に優れ
た炭化物析出硬化型Co合金のコイルばね及びその製造方
法を提供するものである。
即ち、本発明のコイルばねは成分が重量%で26.0≦Cr
≦33.0,3.0≦W≦13.0,0.7≦C≦1.7,Fe+Ni≦6.0,残部
実質Coからなる合金よりなり、炭化物の大きさが5μm
以下であって線表面の硬度がビッカース硬度で600以上
あり、かつ線中心部よりも線表面の硬度が前記硬度で10
0以上高いことを特徴としている。
又上記コイルばねの製造方法は、前記成分構成からな
る合金塊を鋳造時1×102℃/sec以上の冷却速度で凝固
させたもの、又は同成分構成からなる粉末を1×102℃/
sec以上の冷却速度で固化したものを、熱間加工若しく
は冷間加工により所望の線径まで必要に応じて焼鈍を施
しながら加工して、その最終工程で焼鈍し、該焼鈍材を
コイリングした後、550〜650℃で30〜180分時効させる
というものである。
本発明コイルばねに用いるCo合金は上記のような成分
構成であるが、まずCrは26.0%未満では耐食性及び耐熱
性に劣り、33.0%超では硬くなりずきて加工が困難とな
る。次にWは3.0%未満では耐熱性に劣り、13.0%超で
は硬すぎて加工が困難となる。又、Cは0.7%未満では
耐熱強度が低下し、1.7%超ではコイリングが困難とな
る。そして、不純物としてしのFe+Niは耐食性の点から
6%以下とするのがよい。もっとも無理に減らそうとす
ればコスト高につながる。
[試験例] さて、このような成分構成からなる合金塊又は粉末を
線材へ加工するわけであるが、ここに試験例として冷却
速度を変えて溶解鋳造又は粉末押出法によりインゴット
を作り、各々2mmφまで線引加工を試みた(線材加工試
験)。尚、用いた合金の成分構成は重量%でCr29.8%,W
4.8%,C1.1%,Fe+Ni2.6%,残部Coである。この結果を
表1に示す 以上のことから線引可能な条件として炭化物を7μm
以下の大きさとし、そのための冷却速度として少なくと
も5×10℃/secが必要であることが確認された。
次に上記溶解鋳造4、粉末押出7の2材に減面率0
(焼鈍材)、5、10%の線引加工を施し、コイリングを
行って折損状況を調べた(コイリング試験)。尚、上記
コイリングにより得られたコイルばねは線径2mmφ、コ
イル中心径20mmφ、自由長、50mm、有効巻数3.5であ
る。試験結果を表2に示す。
以上の結果より減面率0即ち焼鈍材のみがコイリング
に適していることが確認された。
次にコイルばねの断面硬度分布と時効温度の関係につ
いて調べてみた(硬度−時効温度試験)。本試験に用い
たコイルばねは上記粉末押出7の焼鈍材で、時効時間は
1時間である。結果を第1図のグラフに示す。同グラフ
に示すようにいずれも表面から中心に向かうに従い硬度
は低下し、特に500℃及び700℃の場合に硬度の低いこと
が確認された。
又、コイルばねの断面硬度分布と時効時間の関係につ
いても調べてみた(硬度−時効時間試験)。ここで用い
たコイルばねも前記硬度−時効温度試験に用いたものと
同じであり、時効温度は600度であった。その結果を第
2図のグラフに示す。同グラフに示すように、第1図同
様表面から中心に向かうに従い硬度は低下し、時効時間
20分のものは表面硬度がHv=600を下回っていることが
判った。
さらにコイルばねの重要な特性である疲労特性につい
ての試験を行なった。用いたコイルばねは、粉末押出
7、線径2.0mmφ、コイル中心径20mmφ、自由長40mm、
有効巻数3.5である。まず同じ硬度値を示すコイルばね
を炭化物の大きさで分け平均締付力40kg/mm2で試験を行
なった。(疲労試験1)。その結果を第3図のグラフに
示す。同グラフに示すように最大7μmの大きさの炭化
物をコイルばねは疲労特性が劣ることがわかった。
そこで、最大5μmの大きさの炭化物を含むコイルば
ねのへたり量について試験を行なった(疲労試験2)。
試験方法は高温(400、500、600℃)中で一定(締付力4
0kg/mm2、締付時間1時間)の締付後にコイルばねのへ
たり量を測定するもので、用いたコイルばねは粉末押出
7、600℃×1Hr時効材である。結果を第4図のグラフに
示す。このグラフからわかるように表面硬度Hv=600以
上のコイルばねでへたりが少なく、耐熱性に優れること
が確認された。
最後に耐食性についての試験を行なった。これは1%
H2SO4液中で分極試験を実施し、電圧−電流特性を求め
るもので、試験に用いたコイルばねの組性及び結果を表
3に、電圧−電流特性のグラフを第5図に示す。
表3及び第5図のグラフに示すようにFe+Niが5%
超、Crが26.0%未満の場合に耐食性が劣ることがわかっ
た。この他、W、Cの量を変え調べてみたがWは3.0〜1
3.0%、Cは0.7〜1.7%の範囲内で耐食性に大きな影響
はなかった。尚、第5図のグラフに示すXはFe-Cr-Ni合
金(SUS304)、YはNi-Cr-Fe合金(インコネル718)で
あり、これらとの比較からも本発明の開発材が耐食性に
優れていることがわかる。
以上のような各種試験、検討の結果、疲労試験1より
線材中の炭化物の大きさを5μm以下とする必要があ
り、このことと線材加工試験の結果から溶解鋳造、粉末
押出いずれの方法においても冷却速度を1×102℃/sec
としなけければならない。又、疲労試験2より表面硬度
がHv=600以上である必要があり、この結果と硬度−時
効温度試験の結果から時効温度は550〜650℃が最適であ
ることがわかった。さらに、硬度−時効時間試験の結果
と照らし合わせば、時効時間は30〜180分が最適である
ことが確認された。
[発明の効果] 以上説明したように本発明コイルばねは、従来耐熱性
に優れているとされたFe系、Ni系合金よりもさらに耐熱
性に優れたもので高温環境下において有効な利用を図る
ことができる。
又、他の優れた特性として耐食性、耐摩耗性も兼ね備
えるため、これら複数の特性が要求される環境下でも用
いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図はコイルばねの断面硬度と時効温度の関係を示す
グラフ、第2図は断面硬度と時効時間の関係を示すグラ
フ、第3図及び第4図は表面硬度の異なるコイルばねに
ついて疲労試験の結果を示すグラフ、第5図は分極試験
による電圧−電流特性を示すグラフである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 19/07 B21F 35/00 C22F 1/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成分が重量%で26.0≦Cr≦33.0,3.0≦W≦
    13.0,0.7≦C≦1.7,Fe+Ni≦6.0,残部実質Coからなる合
    金よりなり、炭化物の大きさが5μm以下であって、線
    表面の硬度がビッカース硬度で600以上あり、かつ線中
    心部よりも線表面の硬度が前記硬度で100以上高いこと
    を特徴とするコイルばね。
  2. 【請求項2】成分が重量%で26.0≦Cr≦33.0,3.0≦W≦
    13.0,0.7≦C≦1.7,Fe+Ni≦6.0,残部実質Coからなる合
    金塊を鋳造時1×102℃/sec以上の冷却速度で凝固させ
    たもの、又は前記成分からなる粉末を1×102℃/sec以
    上の冷却速度で固化したものを、熱間加工若しくは冷間
    加工により所望の線径まで必要に応じて焼鈍を施しなが
    ら加工して、その最終工程で焼鈍し、該焼鈍材をコイリ
    ングした後、550〜650℃で30〜180分時効させることを
    特徴とするコイルばねの製造方法。
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