JP2869873B2

JP2869873B2 - 分配型燃料噴射ポンプ

Info

Publication number: JP2869873B2
Application number: JP12905390A
Authority: JP
Inventors: 文嗣吉津
Original assignee: Diesel Kiki Co Ltd
Current assignee: Bosch Corp
Priority date: 1990-05-21
Filing date: 1990-05-21
Publication date: 1999-03-10
Anticipated expiration: 2014-03-10
Also published as: JPH0427756A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は分配型燃料噴射ポンプにかかるもので、とく
にプランジャの１サイクル稼動中の送油率を可変とする
ことができる分配型燃料噴射ポンプに関するものであ
る。

［従来の技術］一般に分配型と呼ばれる燃料噴射ポンプはプランジャ
の回転往復動の間に、上記機関の気筒数に対応した複数
の分配通路からそれぞれのデリバリバルブを介して各気
筒の燃料噴射装置に高圧燃料を順次圧送（送油）するも
のである。このプランジャの１ストロークないしは稼動
の１サイクル中において、エンジンおよび運転条件に応
じて送油率を適切に制御することにより同一エンジン性
能を維持しつつ、窒素酸化物、炭化水素ないしはスモー
ク等の排気ガスを改善する等の適正な性能を確保するこ
とができる。たとえば、特開昭58−88456号などにその
例示がある。

しかしながら、燃料噴射ポンプ側において燃料の噴射
率を制御することは、燃料噴射ノズルとの間に所定容量
の噴射パイプを介しているため、燃料噴射ノズル側にお
ける制御に比較して一般的には、制御効果が少ないこ
と、標準的な燃料噴射ポンプに比較して主噴射の最大噴
射圧が低下すること、および制御領域が制限されること
等の問題がある。

［発明が解決しようとする課題］本発明は以上のような諸問題を解決するためになされ
たもので、プランジャの１サイクル中において初期噴射
および主噴射を行なうことにより当該１サイクル中の送
油率を可変とするとともに主噴射を高圧噴射とすること
ができる分配型燃料噴射ポンプを提供するたとを課題と
する。

［課題を解決するための手段］すなわち本発明は、ポンプ室を形成するとともに、デ
リバリバルブを装着する分配ヘッド部を有するポンプハ
ウジングと、このポンプハウジングに取り付けるととも
に上記ポンプ室からの燃料の吸入ポート、およびこの燃
料の分配ポートを形成したプランジャバレルと、このプ
ランジャバレル内に往復摺動可能に設けるとともに、燃
料の吸入スリット、分配スリットおよびカットオフポー
トを形成したプランジャとを有する分配型燃料噴射ポン
プであって、上記プランジャバレル内に第１の圧送室お
よび第２の圧送室を形成し、この第１の圧送室に連通す
る第１の分配ポートおよび第２の圧送室に連通する第２
の分配ポートをそれぞれ形成し、上記デリバリバルブに
連通可能とした流路切換え弁を上記第１の圧送室に臨ま
せて設けるとともに、この流路切換え弁を上記第１の圧
送室の圧力に応じて稼動し、上記第１の分配ポートと第
２の分配ポートとをさの流路切換え弁によって切り換え
可能としたことを特徴とする分配型燃料噴射ポンプであ
る。

なお、上記各圧送室の受圧面積ないし圧送面積は互い
に異なるものとすることが望ましい。

［作用］本発明における分配型燃料噴射ポンプにおいては、第
１の圧送室に連通する第１の分配ポートからたとえば主
噴射の燃料を圧送し、第２の圧送室に連通する第２の分
配ポートから初期噴射の燃料を圧送することとする。ま
た、これらの分配ポートを流路切変え弁により切り換え
ることにより燃料圧送量を可変としている。

この流路切換え弁は上記第１の圧送室に臨んでいるの
で、プランジャの作動にともなう該第１の圧送室の圧力
の変化に応じてこれを操作することができる。すなわ
ち、受圧面積の異なるそれぞれの圧送室を、上記流路切
換え弁により１サイクル中に初期噴射および主噴射と別
々に分担させることにより、第２の圧送室から燃料の噴
射を行なっている間は第１の圧送室はアキュムレート期
間として圧力を蓄え、主噴射では高圧噴射を可能とし、
送油率を可変とすることができる。

［実施例］つぎに、本発明の一実施例によるVE型の分配型燃料噴
射ポンプ１を第１図ないし第４図にもとづき説明する。

第１図は、上記VE型の分配型燃料噴射ポンプ１の、と
くにそのポンプハウジング２の分配ヘッド部３を示す縦
断面図である。

この分配ヘッド部３には、プランジャバレル４、流路
切換え弁ハウジング５、シート６およびヘッドプラグ７
を取り付ける。プランジャバレル４内にプランジャ８を
回転・往復摺動可能に嵌合し、プランジャバレル４、流
路切換え弁ハウジング５およびプランジャ８の間に高圧
の第１のプランジャ室９（圧送室）を形成する。

上記プランジャ８は機関の気筒数（たとえば４個）と
同数のフェイスカムを等角度間隔で形成したカムディス
ク10に結合してある。このカムディスク10を駆動シャフ
ト（図示せず）に連結したカムローラ11により駆動可能
としてある。またプランジャ８にはコントロールスリー
ブ12を嵌合する。

プランジャ８には機関の気筒数（たとえば４個）と同
数の吸入スリット13と、センタ孔14と、第１の分配スリ
ット15と、この第１の分配スリット15に連通する分配用
環状溝16と、第１のカットオフポート17と、第２の分配
スリット18と、第２のカットオフポート19とを形成して
ある。

上記吸入スリット13は、前記ポンプハウジング２内に
形成したポンプ室20を連通する燃料通路、およびプラン
ジャバレル４に形成した吸入ポート（ともに図示せず）
にこれを連通可能としてある。

上記センタ孔14は、第１のプランジャ室９を介して吸
入スリット13とこれを連通可能とするとともに、上記第
１の分配スリット15および第１のカットオフポート17に
これを連通させてある。

上記第１のカットオフポート17は、プランジャ８の往
復動に応じて、コントロールスリーブ12によりこれを開
閉可能としてある。

上記第２のカットオフポート19も、プランジャ８の往
復動に応じて、コントロールスリーブ12によりこれを開
閉可能としてある。

上記流路切換え弁ハウジング５には、第１のプランジ
ャ室９に臨ませて第１の分配ポート21を形成するととも
に、プランジャバレル４内のプランジャ８に向けて第２
の分配ポート22および第３の分配ポート23を形成する。

第２の分配ポート22は第２の分配スリット18にこれを
連通するとともに、第３の分配ポート23は分配用環状溝
16を介して第１の分配スリット15にこれを連通する。

また、第１のプランジャ室９に臨ませて制御用連通孔
24を形成する。

さらに、ポンプハウジング２にはプランジャ８の段部
8Aとの間に、環状の第２のプランジャ室25（圧送室）を
形成してあり、この第２のプランジャ室25に第２の分配
スリット18を臨ませている。この第２のプランジャ室25
は逆止弁26およびリリーフ弁27を介してポンプ室20に連
通可能としてある。

なお、第２のプランジャ室25はその容積を第１のプラ
ンジャ室９のそれより、たとえば小さく設定してある。

なお、コントロールスリーブ12の上端部と第１のカッ
トオフポート17との間の間隔を主噴射用有効ストローク
MSとし、第２のカットオフポート19との間の間隔を初期
噴射用および油圧ダンパ用有効ストロークISとしてい
る。図示のようにこのストロークISをストロークMSより
大きく設定してある。

また、第１の分配スリット15に連通してプランジャバ
レル４に第４の分配ポート28を形成し、この第４の分配
ポート28に連通してポンプハウジング２に送油通路29を
それぞれ形成し、機関の気筒数（たとえば４個）と同数
だけ設けたデリバリバルブ30を介して噴射管を通り各燃
料噴射ノズル（ともに図示せず）に燃料を圧送可能とす
る。

前記流路切換え弁ハウジング５およびヘッドプラグ７
内に、第１の分配ポート21、第２の分配ポート22、第３
の分配ポート23および制御用連通孔24に連通してバルブ
収容室31を形成する。

このバルブ収容室31内に流路切換え弁32を収容する。
この流路切換え弁32はスプール型のバルブボディ33と、
スプリングシート34と、バルブスプリング35とを有する
ものである。なお、バルブ収容室31はリーク燃料通路36
を介してポンプ室20にこれを連通し、オイルロックを防
止可能としている。

とくに第２図に拡大して示すように、スプール型のバ
ルブボディ33には、第１のランド37と、第２のランド38
と、第３のランド39と、これらのランドによって区画さ
れる第１の環状溝40および第２の環状溝41とをそれぞれ
形成する。

第３のランド39の先端部はこれをテーパ状に形成する
ことにより受圧面積が順次変化するように形成し、流路
切換え弁32のハンチングを防止してバルブボディ33のな
めらかなリフトを保証している。この第３のランド39の
先端部が制御用連通孔24のシート部24Aにシートしてい
る。

こうした構成の分配型燃料噴射ポンプ１において、ド
ライブシャフトの駆動によりカムディスク10が回転駆動
され、これにともなってプランジャ８が回転往復動する
間に燃料の吸入、圧縮および吐出（送油）を行なうもの
である。

すなわち、まずプランジャ８の図中下方への移動にと
もなってポンプ室20から吸入スリット13を介して第１の
プランジャ室９に燃料を吸い込むとともに、逆止弁26を
介して第２のプランジャ室25にも燃料を吸い込む。

つぎにプランジャ８の回動によって上記ポンプ室20と
吸入スリット13との連通が断たれると同時に、プランジ
ャ８の上方への移動にともなって燃料の圧送が開始され
る。ついでさらにプランジャ８が上方に移動して第１の
カットオフポート17ないしは第２のカットオフポート19
がコントロールスリーブ12からポンプ室20内に開放され
ることによって、デリバリバルブ30が閉弁し、燃料の圧
送を終了する。

より具体的に述べると、まずプランジャ８のリフトの
初期には第１図および第２図に示すように、第１のプラ
ンジャ室９内の圧力が低いため流路切換え弁32のバルブ
ボディ33は制御用連通孔24のシート部24Aにシートした
ままで、第２のランド38が第１の分配ポート21を閉鎖し
ている。

したがって、第２の分配ポート22のみが第１の環状溝
40を介して第３の分配ポート23、第４の分配ポート28、
さらには送油通路29と連通可能であり、より少容量の第
２のプランジャ室25を通った燃料がデリバリバルブ30に
送油される（初期噴射）。

プランジャ８の上昇にともない第１のプランジャ室９
内の圧力が高まると、流路切換え弁32のバルブボディ33
は第３図に示す位置まで上昇し、第２の分配ポート22は
第２のランド38により閉鎖され第２の環状溝41に第１の
分配ポート21が連通することとなって第２のプランジャ
室25からの燃料圧送は終了し、かわって第１のプランジ
ャ室９からの燃料がデリバリバルブ30に圧送される（主
噴射）。

なお、この初期噴射において第２のプランジャ室25内
からデリバリバルブ30側に圧送を行なっているときに、
第１のプランジャ室９の燃料は圧縮され、アキュムレー
ト（蓄圧）効果を発揮することができる。すなわち、第
１のプランジャ室９の圧力により流路切換え弁32のバル
ブボディ33が移動して第２のランド38が上昇し第１の分
配ポート21が第２の環状溝41を介して第３の分配ポート
23に連通するまでの間隔Ａがアキュムレート期間に対応
する。

したがって、第４図に示すように主噴射において送油
率ないし噴射率を最大とすることができるとともに、こ
の主噴射の高圧化が可能である。つまり、主噴射の前に
アキュムレート期間を設けているため、噴射率可変効果
が大きい。また、カムデイスク10のポテンシャルを最大
限に利用することができるためこのカムデイスク10の設
計限界を広く取ることができる。

なお、制御領域は第１のプランジャ室９の圧力に対す
る流路切換え弁32のバルブスプリング35のばね定数およ
びセット力を調整することにより自由に設定することが
できる。

さらに、第１のプランジャ室９からの燃料圧送が行な
われているときには、第２のプランジャ室25は閉鎖され
たままであるため、第２のプランジャ室25内の圧力はリ
リーフ弁27により設定された圧力の範囲でプランジャ８
の上昇を抑制して油圧ダンパ効果を発揮することができ
るとともに、カムディスク10の往復動にプランジャ８を
よく追随させることができる。

こうしたそれぞれのプランジャ室９、25の圧送期間を
独立に設定可能であり、任意の噴射率を得ることができ
る。

［発明の効果］以上説明したように本発明によれば、分配型燃料噴射
ポンプにおいて、流路切換え弁を第１のプランジャ室の
圧力に応じてこれを制御することとしたので、コントロ
ールスリーブを作動させることなく、プランジャの１サ
イクル中の燃料送油率を可変とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例による分配型燃料噴射ポンプ
１の要部縦断面図、第２図は同、流路切換え弁32部分の拡大断面図、第３図は同、主噴射時の拡大断面図、第４図は同、カムリフトと噴射率との関係を示すグラフ
である。１……分配型燃料噴射ポンプ２……ポンプハウジング３……分配ヘッド部４……プランジャバレル５……流路切換え弁ハウジング６……シート７……ヘッドプラグ８……プランジャ 8A……プランジャ８の段部９……第１のプランジャ室（圧送室） 10……カムディスク 11……カムローラ 12……コントロールスリーブ 13……吸入スリット 14……センタ孔 15……第１の分配スリット 16……分配用環状溝 17……第１のカットオフポート 18……第２の分配スリット 19……第２のカットオフポート 20……ポンプ室 21……第１の分配ポート 22……第２の分配ポート 23……第３の分配ポート 24……制御用連通孔 24A……シート部 25……環状の第２のプランジャ室（圧送室） 26……逆止弁 27……リリーフ弁 28……第４の分配ポート 29……送油通路 30……デリバリバルブ 31……バルブ収容室 32……流路切換え弁 33……スプール型のバルブボディ 34……スプリングシート 35……バルブスプリング 36……リーク燃料通路 37……第１のランド 38……第２のランド 39……第３のランド 40……第１の環状溝 41……第２の環状溝Ａ……アキュムレート期間に対応する間隔 MS……主噴射用有効ストローク IS……初期噴射用および油圧ダンパ用有効ストローク

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F02M 41/12 360 F02M 41/12 350 F02M 41/12 330 F02M 45/06 F02M 45/00 F02D 1/20 301

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ポンプ室を形成するとともに、デリバリバ
ルブを装着する分配ヘッド部を有するポンプハウジング
と、このポンプハウジングに取り付けるとともに前記ポンプ
室からの燃料の吸入ポート、およびこの燃料の分配ポー
トを形成したプランジャバレルと、このプランジャバレル内に往復摺動可能に設けるととも
に、燃料の吸入スリット、分配スリットおよびカットオ
フポートを形成したプランジャとを有する分配型燃料噴
射ポンプであって、前記プランジャバレル内に第１の圧送室および第２の圧
送室を形成し、前記分配ポートとして、この第１の圧送室に連通する第
１の分配ポート、前記第２の圧送室に連通する第２の分
配ポート、および前記デリバリバルブに連通する第３の
分配ポートをそれぞれ形成し、この第３の分配ポートを介して前記デリバリバルブに連
通可能とした流路切換え弁を設け、この流路切換え弁のバルブボディが前記第１の圧送室に
おける燃料圧力を受圧可能に該バルブボディを前記第１
の圧送室に臨ませて設けるとともに、この流路切換え弁を前記第１の圧送室の圧力に応じて稼
動し、前記第１の分配ポートと第２の分配ポートとをこ
の流路切換え弁によって切り換え可能としたことを特徴
とする分配型燃料噴射ポンプ。