JP2869517B2 - 荷電粒子の捕獲供給装置 - Google Patents

荷電粒子の捕獲供給装置

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JP2869517B2 JP7215698A JP21569895A JP2869517B2 JP 2869517 B2 JP2869517 B2 JP 2869517B2 JP 7215698 A JP7215698 A JP 7215698A JP 21569895 A JP21569895 A JP 21569895A JP 2869517 B2 JP2869517 B2 JP 2869517B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子やイオンなど
の荷電粒子を所定の空間に電磁的に保持し、かつ空間外
に供給する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、空間に荷電粒子を捕獲する従来
の方法を表す。図6(a)はいわゆる4重極質量分離器
で、図6(b)はこれと同じ原理に基づいて3次元的に
荷電粒子を閉じこめるポールトラップである。また、図
6(c)は、電界と磁界を直交させて印加することに基
づくいわゆるペニングトラップである。
【0003】図6(a)では、4つの捕獲電極31〜3
4で荷電粒子を捕獲したい空間を取り囲む。この4つの
電極の内、対向する2つの電極31と33に図のように
交流電源2より高周波電圧を印加し、捕獲したい空間に
高周波電界を発生させる。この方法は、電極に高周波を
印加した時にその中に置かれた荷電粒子に働く力が、時
間平均すると電界勾配の小さい方向に作用するという原
理を利用して荷電粒子を電極で囲まれた空間に2次元的
に捕獲する。また、図6(b)では、回転双曲面状の捕
獲電極35,36と、内面が回転双曲面のリング状の捕
獲電極37を用いて、捕獲したい空間を3次元的に取り
囲むことにより、図6(a)と同じ原理により3次元的
に粒子を捕獲する。上記の原理から明らかなように、こ
れらの方法では荷電粒子を閉じこめたい空間での電界勾
配をその周辺に比べて小さくする必要があり、その回り
を電極で密に取り囲むことが必要となる。また、図6
(a)の構成が質量分離器として広く用いられているこ
とから分かるように、この捕獲原理は荷電粒子の質量に
敏感である。この理由は、上記の捕獲原理が荷電粒子を
高周波電界により振動させることに基づいていることに
よる。即ち、質量の大きな粒子には振動の振幅が小さい
ために捕獲のための力が作用しない。また、軽い粒子は
振動の振幅が大きいために電極に衝突してしまう。
【0004】図6(c)では、図6(b)と同じ構成の
電極に、直流電源3によって荷電粒子を図のz方向に閉
じこめ、水平方向(図のr方向)に発散させる方向の直
流電圧を印加する。同時に磁石38によってz方向の磁
界39を発生させる。上記の直流電圧によって荷電粒子
が中心から水平方向に遠ざかる運動が生じるが、この運
動の方向を磁界39によって曲げることにより粒子が逃
げ去るのを抑制する。粒子が磁界から受ける力は粒子の
速度に比例するため、電極に同じ電圧を印加しても重い
粒子には磁界による閉じこめ効果は少ない。従って、こ
の方法では、重イオンなどの質量の大きな粒子を捕獲し
ようとすると極めて大きな磁界を必要とするため、捕獲
できる粒子の質量やエネルギーが小さい値に限られる。
【0005】このように上記の従来方法で捕獲できる粒
子の質量は、狭い範囲に限られる。
【0006】また、図7は本願発明の発明者が先に出願
した荷電粒子の捕獲装置である(特開平4−29669
9号公報参照)。この方法では、図のように1組の中心
電極4と外部電極5を用意し、これに交流電源6から交
流電圧を印加し、さらに直流電源7から直流電圧を重畳
させて印加することにより、中心電極の回りの空間にあ
る荷電粒子8に、中心電極からの距離の増大とともに強
度が減少する交流電界と、中心電極に向かう力を及ぼす
直流電界とを重畳させて加える。この方法では、広い質
量範囲の荷電粒子を同時に捕獲できるが、逆に、特定の
質量の粒子のみを選別して取り出すことはできない。
【0007】以上のように、従来の方法は荷電粒子を捕
獲できるものの、特定の質量の粒子を捕獲できるか、あ
るいは、広い質量の範囲の粒子を捕獲できるかのどちら
かであり、捕獲している広い質量範囲の荷電粒子から特
定の質量を持つものを選択的に取り出し、それを外部に
自動的に供給することはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、図7に示
した従来の方法を改良し、広い質量範囲の荷電粒子を所
定の空間に捕獲すると同時に、特定の値以上の質量の粒
子を自動的かつ選択的に捕獲空間の外部に取り出し供給
することを目的とする。このような装置は、特に、電磁
的な荷電粒子の捕獲方法を、空間に保持した状態での結
晶成長のような、容器の壁から完全に隔離した状態での
材料処理などに適用するために、実現が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の問題を解決するた
め、本発明は、中心軸の回りに対称的に配置された4本
以上の偶数本の柱状電極からなる中心電極と、前記偶数
本の柱状電極のそれぞれの一端部を取り囲む外部電極
と、前記偶数本の柱状電極のそれぞれに交互に位相の反
転した交流電圧を供給するように接続された交流電源
と、この交流電源に前記偶数本の柱状電極と前記外部電
極との間の空間に存在する荷電粒子に対して前記柱状電
極に向かう引力として作用する直流バイアスを与える直
流電源とから成ることを特徴とする。
【0010】ここで、偶数本の柱状電極の本数が、4本
であってもよく、偶数本の柱状電極の内、1つおきに配
置された半数の柱状電極のそれぞれの前記一端部が、そ
れ以外の半数の柱状電極のそれぞれの前記一端部よりも
等しい長さだけ突き出していてもよい。
【0011】交互に位相の反転した交流電圧の電圧が互
いに異なってもよく、交流電源が周波数可変であっても
よい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の基本的な実施例を
表す図であり、中心電極11が4本の柱状電極11A〜
11Dからなる場合を示している。図のように、中心軸
12の回りに対称的に配置された4本の柱状電極11A
〜11Dに交流電源13を接続し、柱状電極11A〜1
1Dのそれぞれに交互に位相の反転した交流電圧を供給
する。図では、トランスを用いて交流電源13を構成
し、4本の柱状電極に1本置きに位相を反転させて交流
電圧を供給している。また、柱状電極11A〜11Dの
それぞれの一端部11a〜11dを取り囲むように外部
電極15を設ける。この交流電源13に、中心電極11
と外部電極15との間の空間に存在する荷電粒子16に
対して中心電極11の方向への引力として作用する直流
バイアスを与える直流電源14を接続する。図1では、
すべての柱状電極11A〜11Dに共通の直流バイアス
を与えているが、引力として作用する、つまり、極性が
同じであれば、必ずしもすべてに同じ値の直流バイアス
を与える必要はない。このようにして、中心電極11に
荷電粒子16を引きつける方向の直流電圧と、交流電圧
とを重畳して印加する。例えば正イオンを捕獲するに
は、図のように外部電極に対して各柱状電極に負の直流
電圧を加える。この時、外部電極15の目的は、中心電
極11の回りの電界を規定するためであり、隙間なく中
心電極を囲む必要はなく、図のように適当な間隙を設け
てよい。また、本発明の方法で重要なのは柱状電極付近
の電界のみなので、外部電極は、単に回りを取り囲んで
いれば良く、その形状の詳細は重要でない。例えば、図
では外部電極も軸対称な構造を持つが、必ずしもその必
要はない。逆に、各柱状電極は、質量選択性良く荷電粒
子を取り出すために、中心軸の回りに対称的な構造をと
ることが望ましい。
【0013】この構成をとることで、広い質量範囲の荷
電粒子を各柱状電極11A〜11Dと外部電極5との間
の空間に高密度に捕獲でき、かつ、捕獲した荷電粒子の
中から特定の値以上の質量の荷電粒子を各柱状電極の外
部電極で囲まれた一端部から自動的選択的に各柱状電極
で囲まれた中心軸の回りの空間に取り込み、この空間を
通して、各柱状電極のもう1つの端部の側から選択的に
外部に取り出せる。
【0014】本発明の装置で、中心電極と外部電極との
間の中心電極の回りの空間に荷電粒子を捕獲する原理は
先願発明と同じである。すなわち、各柱状電極に印加し
た直流電圧による静電引力により荷電粒子を捕獲する。
ところが、単に引力のみでは、捕獲した粒子はやがては
柱状電極に衝突してしまう。本発明の方法では、交流電
圧を重畳して印加することによりこれを防止する。ここ
で、交流電界の強度が中心電極から距離の増大とともに
減少していると、この交流電界から荷電粒子が受ける力
は、時間平均すると中心電極から遠ざかる方向に、つま
り斥力として働き、直流電界による引力と平衡して荷電
粒子を空間に保持する。この時、交流電界による斥力の
大きさは、交流の周波数をfとすると、1/mf2 (m
は荷電粒子の質量)に比例し、粒子の質量に反比例す
る。従って、直流電界による引力との平衡位置は、粒子
の質量が大きいほど中心電極に近くなる。
【0015】一方、複数の柱状電極で囲まれた内部の空
間、すなわち中心電極内部の空間にも、交流電界の同様
の作用で荷電粒子を捕獲できる。また、本発明の装置構
成では、中心電極を構成する各柱状電極の一端部が外部
電極で囲まれているので、各柱状電極のこの一端部と外
部電極との間にも荷電粒子を捕獲する空間が形成され
る。しかも中心電極の端部ではその中心部分、図1,図
2の中心軸上、で交流電界による荷電粒子に対する反発
力が最も弱い。従って、印加された直流バイアスによる
引力が反発力に打ちかって荷電粒子を中心電極の内部空
間に引き込む。この場合には、柱状電極の長さに沿う方
向には閉じこめの力が働かないので、捕獲された粒子は
中心軸に沿って自由に移動できることになる。このよう
な内部への閉じこめの原理は、やはり交流電界の作用が
時間平均すると斥力として作用することに基づいている
が、粒子の質量が小さすぎると、交流電界の作用が大き
いので粒子の運動が共鳴的に加速されてしまい、安定に
捕獲することができない。これにより、中心電極の内部
空間を通過できる粒子の質量には下限が発生する。つま
り、交流電圧をVacで表すと、Vac/mf2 が、柱状電
極の構造で決まるある特定値以下になると中心電極の内
部空間をイオンが通過可能になる。図1のように、全て
の柱状電極に共通の直流バイアスを加えた場合には、内
部の空間には直流電界が発生しないが、柱状電極ごとに
直流バイアスを変えることで、粒子の通過特性を変化さ
せられる。
【0016】従って、本願発明の構成をとると、上記の
中心電極の外部の空間での荷電粒子の捕獲特性と内部の
空間での捕獲特性を自動的に結合させ、外部の空間に広
い範囲の質量の粒子を捕獲しながら同時に、特定の値以
上の質量の粒子を内部の空間を通じて取り出すことがで
きる。つまり、質量の小さな粒子は外部の空間に捕獲さ
れているときは中心電極から離れた位置に捕獲されてい
るので、中心電極の内部にはいることはできず、安定に
捕獲され続ける。逆に、質量の大きな粒子は外部空間で
の捕獲位置が中心電極に近く、容易にその内部に取り込
まれるが、取り込まれたあとも安定に内部を通過できる
ので、外部捕獲を構成していない柱状電極のもう1つの
端部から、自動的に取り出され、供給される。
【0017】この時、柱状電極の本数は、4本が最も実
用的な構成である。4重極は、通常、質量分析器に用い
られているとおり、内部空間での粒子の通過特性がもっ
とも質量に敏感である。しかし、上記の本願発明の原理
は、4重極に限られることはなく、6本など任意の偶数
本の柱状電極に対して同様に成り立つ。
【0018】この時、柱状電極の粒子を捕獲する側の端
部11a〜11dは、図2(a)のようにすべての柱状
電極11A〜11Dが同じ長さを持っていても、また、
不揃いであっても、上記の本願発明の原理は同様に成立
する。しかし、図2(b)のように、偶数本の柱状電極
の内、1つおきに配置された半数の柱状電極、例えば1
1A,11Bの端部11a,11bが、それ以外の半数
の柱状電極11C,11Dの端部11c,11dよりも
等しい長さだけ突き出している構成をとると、図2
(a)の場合に比べて粒子の捕獲特性を向上させること
ができる。即ち、図2(b)の構成をとると、長さが長
い半数の柱状電極11A,11Bと、短い半数の柱状電
極11C,11Dに印加されている交流電圧が、ちょう
ど位相が反転している。その結果、各柱状電極と外部電
極15の間の空間では、位相の反転する交流電圧が相殺
し合わず、長さが長い半数の柱状電極11A,11Bに
加えられた位相の交流電界が優勢で、結果として、柱状
電極からの距離に対して交流電界の減衰の仕方が緩やか
になっている。これは、特に柱状電極の端部に近い部分
で、交流電界から荷電粒子に働く実効的な斥力を大きく
する効果をもたらし、捕獲粒子の平衡位置を柱状電極か
ら遠ざける作用を果たす。その結果、捕獲した粒子が柱
状電極に衝突したり、あるいは柱状電極近くの狭い領域
に捕獲されるために荷電粒子同士の反発により粒子が失
われることが防止され、捕獲特性が向上する。このよう
に柱状電極の長さを不同にしても、柱状電極の内部を通
じて粒子を取り出す特性は変化しない。
【0019】上述のように、柱状電極の長さを不同にす
る目的は、位相の反転する交流電圧が相殺し合うのを部
分的に妨げるためにある。従って、長さが等しい柱状電
極を用いても、それに交互に供給する位相の反転した交
流電圧が、互いに異なっていれば、やはり、互いの相殺
効果が弱まるので、上記の柱状電極の長さを不同にした
ときと全く同じ効果が得られる。
【0020】以下、具体的な実験例につき説明する。
【0021】図3(a)に示した構成の装置で、Xeと
Arのイオンを捕獲し、上記の特性を実際に確認した。
この図の例は、図1の構成、即ち、中心軸の回りに対称
的な4本の柱状電極を配置する方法を用いている。ただ
し、図3(a)では交流電源および直流電源の図示を省
略している。ここでは、それぞれ直径1cmのステンレ
ス円筒からなる柱状電極11A〜11Dを、図3(b)
に断面図を示すようにそれぞれの円筒の軸が中心軸12
から半径1cmの周上に並ぶように配置して中心電極と
した。その回りに外部電極15として、直径17cm、
長さ20cmの円筒状の金網を配置した。その中に、各
柱状電極が15cmだけ突き出している。すなわち、柱
状電極の一方の端部が外部電極に囲まれている。この中
心電極の内部、すなわち柱状電極11A〜11Dで囲ま
れた空間の内部を通過して取り出されるイオンを検出す
るために、柱状電極の他端側に4重極質量分析器17を
配置した。また、中心電極と外部電極の間に捕獲されて
いるイオンを検出するために、外部電極15の一部に開
口部15Aを設け、その後ろに引き出し電極18を配置
した。この引き出し電極の目的は、これに負のパルス電
圧を印加して捕獲した荷電粒子を引き出し、4重極質量
分析器19で捕獲した粒子の質量を測定することであ
る。
【0022】この実験装置で、次のようにして特性を測
定した。はじめに、図1のトランスを用いた回路で、各
柱状電極11A〜11Dに外部電極15に対して−4V
の直流電圧と、交互に位相の反転した振幅100V(V
p-p =200V)の交流電圧を印加した。この電圧を保
ったまま、XeあるいはArガスを5×10-5Pa程度
導入する。次に電子ビーム源20を10msの間だけ作
動させ、エネルギー約100eVの電子ビームをパルス
的に照射して導入した希ガスをイオン化し、中心電極の
回りに捕獲した。その後、上記の2つの4重極質量分析
器17,19でイオンの捕獲特性と、中心電極の内部空
間を通過してのイオンの取り出し特性を測定した。
【0023】図4は交流電圧の周波数fを変化させて、
中心電極の内部空間を通過してくるXeイオンとArイ
オンを計数した結果である。後述のようにf=500k
Hzでも中心電極の周辺の空間には、XeとArイオン
が共に捕獲されているが、図のように、中心電極の内部
を通過して漏れ出すことはできない。fを590kHz
に増加させると中心電極の内部通過の条件が満たされ、
Xeイオンの計数が急速に立ち上がる。図のようにXe
イオンが計数される周波数領域は、Arイオンと明瞭に
分離されていて、質量選択したイオンの取り出しが可能
なのが分かる。この2つの領域はイオンの質量比の平方
根(=1.8)だけ異なっており、特性が設計通りにV
ac/mf2 で決まることを示している。
【0024】図5は上記と同じ条件で、中心電極と外部
電極の間の空間に捕獲されているXeイオンの捕獲寿命
を測定した結果である。ここでは捕獲寿命を、捕獲され
ている荷電粒子の数が捕獲開始時の値から1/eになる
時間と定義している。また、この図では、図2(a)の
ように4本の柱状電極の長さが全て等しい場合と、図2
(b)のように4本の内2本が1cmだけ突き出した場
合(従って、外部電極の中に突き出している全長は15
cmと16cmの2種類)を比較している。この両方の
場合に、交流の周波数fを増加させると、粒子の捕獲位
置が柱状電極に近づくことに起因して捕獲寿命が緩やか
に減少する。また、f=590kHzで中心電極の内部
を通過して粒子が流出し始めるので、捕獲寿命が急速に
減少する。しかし、4本の柱状電極の長さが全て等しい
場合(図には0cmと記載)と4本の内2本が1cmだ
け突き出した場合を比較すると、後者の方がfの増加に
伴う捕獲寿命の減少が緩やかであることがわかる。しか
し、この突き出しの長さをさらに2cmに増加させると
捕獲特性が逆に劣化した。
【0025】また、上記と同じ装置でほぼ同様の条件で
メタンガスを原料としてC11のクラスターが選択的に取
り出せることを実験的に確認した。この場合には、装置
内に約10-4Paのメタンガスと約10-3PaのHeガ
スを導入し、これに、エネルギー約100eVの電子ビ
ームを連続照射した。交流電圧の周波数fを590kH
zに保ったところ、中心電極の内部空間を通過してC11
+ のクラスターイオンが流出してくることが確認でき
た。このC11のクラスターは、柱状電極と外部電極の間
の空間に捕獲されたCHx +イオンが、やはり電子ビーム
照射で形成されたCHx ラジカルと反応して形成された
ものと考えられる。
【0026】以上の実験により、本発明の方法の有効性
を確認することができた。
【0027】特定の荷電粒子のみを対象とする場合に
は、交流電圧の周波数は予め定められた値に固定すれば
よい。しかし、上述したように、複数種の荷電粒子を対
象とする場合には交流電源の周波数を可変とするのがよ
い。
【0028】
【発明の効果】本発明の装置により、広い質量範囲とエ
ネルギー範囲に亘る荷電粒子を高密度に捕獲でき、か
つ、特定の値以上の質量の荷電粒子を選択的に外部に取
り出し供給できる。従って、本発明の装置は、捕獲した
粒子を種とする微結晶の成長、捕獲粒子と反応ガスとの
反応のような空間中に隔離した状態での材料処理など目
的に供すると著しい効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4本の柱状電極からなる中心電極を用いる場合
の本発明の原理的な構成を表す図である。
【図2】柱状電極と外部電極の代表的な構造を表す側面
図である。
【図3】具体的な実験例の装置構成を表す図である。
【図4】図3の構成で、交流電圧の周波数を変化させ
て、中心電極の内部空間を通過してくるXeイオンとA
rイオンを計数した結果を示す図である。
【図5】図4と同じ条件で、中心電極と外部電極の間の
空間に捕獲されているXeイオンの捕獲寿命を測定した
結果を示す図である。
【図6】従来の方法を表す図である。
【図7】本願発明の発明者が先に出願した荷電粒子の捕
獲装置を示す図である。
【符号の説明】
2 従来方法で用いられる交流電源 3 従来方法で用いられる直流電源 4 先願方法の中心電極 5 先願方法の外部電極 6 先願方法の交流電源 7 先願方法の直流電源 11 中心電極 11A,11B,11C,11D 柱状電極 11a,11b,11c,11d 柱状電極の一端部 12 中心軸 13 交流電源 14 直流電源 15 外部電極 16 荷電粒子 17,19 質量分析器 18 引き出し電極 20 電子ビーム源 31,32,33,34 従来方法で用いられる捕獲電
極 35,36 従来方法で用いられる回転双曲面状の捕獲
電極 37 従来方法で用いられる内面が回転双曲面のリング
状の捕獲電極 38 従来方法で用いられる磁石 39 従来方法で用いられる磁界

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心軸の回りに対称的に配置された4本
    以上の偶数本の柱状電極からなる中心電極と、前記偶数
    本の柱状電極のそれぞれに交互に位相の反転した交流電
    圧を供給するように接続された交流電源と、この交流電
    源に前記柱状電極の周辺の空間に存在する荷電粒子に対
    して前記柱状電極に向かう引力として作用する直流バイ
    アスを与える直流電源とから成る荷電粒子の捕獲供給装
    置において、 前記柱状電極から成る中心電極の一端部を取り囲む外部
    電極を備え、前記中心電極と前記外部電極との間の空間
    に存在する荷電粒子を、前記の4本以上の偶数本の柱状
    電極で囲まれた空間を経由して、前記中心電極の他端部
    へ輸送することを特徴とする荷電粒子の捕獲供給装置。
  2. 【請求項2】 前記偶数本の柱状電極の本数が、4本で
    あることを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子の捕獲
    供給装置。
  3. 【請求項3】 前記偶数本の柱状電極の内、1つおきに
    配置された半数の柱状電極のそれぞれの前記一端部が、
    それ以外の半数の柱状電極のそれぞれの前記一端部より
    も等しい長さだけ突き出していることを特徴とする請求
    項1または2に記載の荷電粒子の捕獲供給装置。
  4. 【請求項4】 前記交互に位相の反転した交流電圧の電
    圧が互いに異なることを特徴とする請求項1から3のい
    ずれかに記載の荷電粒子の捕獲供給装置。
  5. 【請求項5】 前記交流電源が周波数可変であることを
    特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の荷電粒子
    の捕獲供給装置。
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