JP2869031B2 - 半導体用リード材の製造方法 - Google Patents

半導体用リード材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部残留応力が小
さくエッチング加工性に優れた半導体用リード材の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体用リード材(リードフレーム等)
には、一般に銅合金や42アロイ等が用いられている。
前記半導体用リード材は、例えば、銅合金鋳塊を熱間圧
延後、面削し、次いで冷間圧延と中間焼鈍を繰返したの
ち、仕上げ調質圧延により所望の板厚に仕上げ、次いで
テンションレベラーを掛けて形状を修正し、次いでプレ
ス又はエッチング加工により所定形状に加工して製造さ
れる。エッチング加工の際、ダイパット部(半導体チッ
プを接合する箇所)にディンプルを形成して半導体チッ
プの接合性を高めるようにしている。
【0003】ところで、前記テンションレベラーには、
例えば図1に示すような、複数のワークロール10を平面
状に配したワークロール面20を有する2個のロール群30
を、前記ワークロール面20を対向配置させて構成したマ
ルチローラテンションレベラーが用いられている。前記
ワークロール面20間は、入側から出側にかけて間隔が広
がるように構成されている。整直しようとする金属条材
は、前記ワークロール面20間を通過する際にワークロー
ル面20を形成する個々のワークロール10により繰返し曲
げ加工を受けて矯正される。ここで、ワークロール10の
径は10〜20mm、その本数は両側で5〜25本が一般的であ
る。また条材の形状をより良好に矯正する為に、金属条
材が入る側のワークロール面20間隔(以下、入側インタ
ーメッシュ量Eと称す、図2参照)は 3.0mm以上に大き
くし、金属条材に掛ける単位面積当たりの張力(以下、
ユニット張力Tと称す)も100N/mm2以上に大きくしてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、電子機器の小型
化、高集積度化の一環として、半導体用リードフレーム
等も薄肉化が進み、それに伴い、内部残留応力のより小
さい金属条材が要求されるようになった。しかし、従来
の方法では、前記要求を満足する半導体用リード材を安
定して製造することができなかった。そこで、本発明者
等は、内部残留応力の低減方法について鋭意研究を行
い、内部残留応力はテンションレベラーの設定条件を適
正化することにより低減し得ることを知見し、更に研究
を重ねて本発明を完成させるに到った。本発明は、内部
残留応力が小さくエッチング加工性に優れた半導体用リ
ード材の製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
仕上げ調質圧延後の金属条材を、マルチローラテンショ
ンレベラーのワークロールが平面状に配された2個のワ
ークロール面間に通して矯正する半導体用リード材の製
造方法において、前記ワークロール面のチルト角度(2
個のワークロール面間の傾斜角度)θ、出側インターメ
ッシュ量(出側に位置する2個のワークロール間の間
隔)D、金属条材に掛けるユニット張力Tが下記 (1),
(2),(3)式を満足することを特徴とする半導体用リード
材の製造方法である。 60≧K≧−60…………………………(1) 1.0deg≧θ×L/250≧0.1deg……………(2) 60N/mm2≧T≧10N/mm2 ……………………(3) 但し、K=85.4×D(mm)+ 470.1×θ(deg) ×L/250+
3.7×T(N/mm2) −277.2 、 L:入側と出側のワークロール間の距離(mm)、 ワークロール直径:10〜20mm、ワークロール本数(両
側):5〜25本。
【0006】本発明は、マルチローラテンションレベラ
ーでの矯正条件を限定して、矯正時における金属条材の
曲げによる伸びを小さくし、又金属条材にかかるユニッ
ト張力を低く抑える等して、得られる半導体用リード材
の形状を良好に保持しつつ内部残留応力を低減させるも
のである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、チルト角度θと
はマルチローラテンションレベラーの両ワークロール面
間のなす傾斜角度で、θ= tan-1〔(E−D)/L〕
(但し、Eは2個のワークロール面間の入側間隔、Dは
2個のワークロール面間の出側間隔、Lは前記入側と出
側の距離)である。本発明において、〔85.4×D(mm)+
470.1×θ(deg) ×L/250+ 3.7×T(N/mm2) −277.2
〕で示されるK値を60以下、−60以上に限定した理由
は、K値が60を超えた場合、金属条材の伸びが大きくな
り内部残留応力が増加する為である。又−60未満では形
状や反りが修正されない。このK値を示す式及びその限
定範囲は、多くの実験を元にして得られた経験式であ
る。本発明で、前記チルト角度θにL/250を乗じた角度
を 0.1〜1.0degに限定した理由は、0.1deg未満では形状
や反りが修正できない為である。1.0degを超えると、形
状や反りは修正できるものの、内部残留応力が増加して
エッチングの際にリードフレームのダイパット部の反り
が10μmを超える大きな値になってしまう為である。又
ユニット張力を10〜60N/mm2 に限定した理由は、ユニッ
ト張力が10N/mm2 未満では、条材の形状や反りが十分に
矯正されず、 60N/mm2を超えては、形状や反りは矯正で
きるが、内部残留応力が増加してエッチングの際にリー
ドフレームのダイパット部の反りが10μmを超える大き
な値になってしまう為である。本発明において、マルチ
ローラテンションレベラーは仕上げ圧延後に入れる。仕
上げ圧延後に焼鈍を入れる場合は、焼鈍前後にテンショ
ンレベラーを入れても良いし、焼鈍前後のどちらか片方
でも良い。又テンションレベラーは、仕上げ圧延後の幅
広条材にかけても、又は前記幅広条を使用板幅にスリッ
トした幅狭条材にかけても良い。
【0008】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)Snを0.25wt%、Crを0.30wt%含有し、残部
銅と不可避的不純物からなる銅合金を常法により溶解鋳
造して鋳塊とし、この鋳塊を熱間圧延後面削し、次いで
冷間圧延と焼鈍を繰返した後、加工率40%の仕上げ調質
圧延を行って厚さ 0.2mmの銅合金条を得た。次に前記銅
合金条を、焼鈍後、図1に示したマルチローラテンショ
ンレベラーに掛けて矯正して、半導体用銅系リード材を
製造した。矯正にあたり、入側インターメッシュ量E、
出側インターメッシュ量D、チルト角度θ、ユニット張
力Tは種々に変化させた(E、Dは図2、θは図1参
照)。
【0009】得られた各々の半導体用銅系半導体用リー
ド材について、急峻度、カール、内部残留応力、ダイパ
ット部の反り量を調べた。急峻度は、板のうねりの高さ
を、そのピッチで除した百分率で示した。カールは長さ
1mの材料を壁につり下げ、その下端と壁までの距離で
表した。内部残留応力は、条の表面をエッチングにより
所定厚さ除去し、そのときの反りを測定して内部残留応
力分布を求め、その分布の最大引張残留応力で表した。
ダイパット部の反り量はダイパット部のサイズが20×20
mmの材料をディンプル面積を全面積の10%、ディンプル
深さを条の厚さの50%でエッチングしてダイパット中央
部と周辺の高さの差で表した。矯正条件を表1に、試験
結果を表2にそれぞれ示す。
【0010】
【表1】 *:負号(−)のついたものは上のワークロールの最下面が下のワークロール の最上面より上にあるもの。 ☆:θ= tan-1 [(E−D)/L] 、 L=250mm 。
【0011】
【表2】 *:エッチング後の反り。
【0012】表1より明らかなように、本発明例品(N
o.1〜6)は、いずれも、条の形状(急峻度、カール)及
び引張強さが従来品(No.13) と同程度に良好であり、し
かも内部残留応力とダイパット部の反り量が従来品(No.
13) より著しく優れるものであった。これに対し、比較
例品のNo.7〜9 は、いずれも、 (1)式を満足せず、内部
残留応力とダイパット部の反り量が大幅に増加した。又
No.10,11は、チルト角度が小さかった為、形状・反りが
著しく低下した。この為内部残留応力とダイパット部の
反り量は測定しなかった。No.12 はチルト角度は小さい
が、張力が大きい為、内部残留応力が大きく、ダイパッ
ト部の反りが大きくなった。
【0013】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明によれば、
内部残留応力が小さくエッチング加工性に優れた半導体
用リード材が得られ、工業上顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にて用いるマルチローラテンションレベ
ラーの例を示す説明図である。
【図2】マルチローラテンションレベラーの入側インタ
ーメッシュ量及び出側インターメッシュ量の説明図であ
る。
【符号の説明】
10……ワークロール 20……ワークロール面 30……ロール群
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 23/50 B21D 3/05

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げ調質圧延後の金属条材を、マルチ
    ローラテンションレベラーのワークロールが平面状に配
    された2個のワークロール面間に通して矯正する半導体
    用リード材の製造方法において、前記ワークロール面の
    チルト角度(2個のワークロール面間の傾斜角度)θ、
    出側インターメッシュ量(出側に位置する2個のワーク
    ロール間の間隔)D、金属条材に掛けるユニット張力T
    が下記(1),(2),(3)式を満足することを特徴とする半導
    体用リード材の製造方法。 60≧K≧−60…………………………(1) 1.0deg≧θ×L/250≧0.1deg……………(2) 60N/mm2≧T≧10N/mm2 ……………………(3) 但し、K=85.4×D(mm)+ 470.1×θ(deg) ×L/250+
    3.7×T(N/mm2) −277.2 、 L:入側と出側のワークロール間の距離(mm)、 ワークロール直径:10〜20mm、ワークロール本数(両
    側):5〜25本。
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