JP2867673B2 - 食器洗い機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は食器の洗浄を行う食器洗い機に関するもので
ある。

従来の技術 従来、この種の食器洗い機は、第３図に示すような構
成になっている。

すなわち、本体１内部に洗浄槽２が設けられ、この洗
浄槽２内へ、給水弁３により水又は湯が供給される。装
置駆動時において洗浄水は、排水孔４の他側部に連通し
たポンプ室に取り付けられ、モータ５によって駆動され
る洗浄ポンプ６により、前記洗浄槽２の内部を循環す
る。すなわち、この循環は、洗浄水が前記排水孔４から
洗浄ポンプ６に吸いこまれ、この洗浄ポンプ６より前記
洗浄槽２内底部の洗浄ノズル７に供給され、ここから噴
射され、食器を洗浄した後ふたたび排水孔４に戻るとい
う経路で行われる。洗浄ノズル７と洗浄槽２の底部との
間には、洗浄水加熱用のヒータ８が設けられている。ま
た、洗浄ノズル７の上方には、食器を整然と配置でき、
洗浄水を効果的に食器に噴射するように設計された食器
かご９が設置されている。前記食器かご９には、複数の
移動用ローラ9aが取付けられ、本体１の前面外部へ引き
出し可能になっている。また、前記洗浄槽２の前面部に
は、開閉自在な扉10が取り付けられている。

また、前記洗浄水を機外に排出するために、排水ポン
プ11も備えている。さらに、乾燥工程において、機内の
湿った空気を排出するための乾燥ファン12も備えてい
る。

ここで、従来の食器洗い機の中には洗浄ポンプ６と排
水ポンプ11を一つのモータ５により駆動しているものも
みられる。この種のポンプの構成について第４図を用い
て説明する。洗浄ポンプの羽根車13aと排水ポンプの羽
根車14aとは、モータ５のシャフト5aに直結されてお
り、モータ５の両回転によってそれぞれの羽根車も回転
する。この時、洗浄ポンプ13はボリュートポンプである
が、排水ポンプ14は、渦流ポンプが使用されている。こ
れは、第５図に示すように、排水ポンプの羽根車14aの
回転が反時計方向（Ｘ方向）のときには、洗浄水は機外
へ排水される（揚程側回転方向）。逆に排水ポンプの羽
根車14aの回転が時計方向（反揚程側回転方向）の場合
には、排水ホースから排水孔４の方へと洗浄水または空
気が流れる。したがって、弁がなくても、排水ポンプの
羽根車14aが回転して排水してしまうことはない。一
方、ボリュートポンプにおいては、モータ５のどちらの
回転においても吐出側に圧力がかかるので、弁機構等が
ない場合には、洗浄工程中にも排水をしてしまう。ここ
で、この種のポンプにおいては、第４図のようにモータ
のシャフト5aが水平であるばかりでなくて、鉛直方向に
なっているものもある。むしろ鉛直方向の場合のほうが
多い。

また、第６図のように排水ポンプ14と乾燥ファン12を
モータ５の両端に取りつけて構成しているものもみられ
る。

発明が解決しようとする課題 しかし、このような構造のものを見てみると、洗浄工
程中においては、洗浄ポンプの羽根車13aが回転してい
るのはもちろんのこと、排水ポンプの羽根車14aも反揚
程側に回転している。したがって、この排水ポンプの羽
根車14aの回転により、排水ポンプ14からは排水孔４の
方へ洗浄水または空気が流れている。この洗浄工程中、
空気の流出が多く排水孔４にまで達する場合には、洗浄
ポンプ13の方に空気がかみこむことにより洗浄ポンプ13
の能力が出なくなり、洗浄性能の確保ができない。ま
た、そこまでの空気の流出が多くない場合にも、排水ポ
ンプ14において、洗浄水を排出して空気をかみこむと、
排水ポンプ14のポンプ能力がなくなり、洗浄水がまた排
水ポンプ14の中に戻ってくる。また、この状態では、洗
浄水を排出して空気をかむ。このように排水ポンプ14
は、洗浄工程中洗浄水の移動をくり返す。したがってこ
のときに断続的に音感的に不快な騒音を発生する。

そこで本発明は、この排水ポンプの洗浄工程時の洗浄
ポンプへの影響や騒音のない性能のよいポンプを得るこ
とを第１の目的としている。

また、排水ポンプと乾燥ファンが一つのモータにより
駆動する構成のものにおいても排水ポンプ性能のよいポ
ンプを得ることを第２の目的としている。

課題を解決するための手段 本発明の食器洗い機は、一つのモータの正逆両回転に
より、前記洗浄ポンプと排水ポンプ、または排水ポンプ
と乾燥ファンを駆動するポンプ機構とし、少なくとも一
つのポンプの羽根車の羽根において、その反揚程側回転
方向での羽根の出口角度を、洗浄水の流出角度が90°以
上になるような角度に設定するものである。

作用 本発明の食器洗い機の排水ポンプは、前記構成によ
り、反揚程側回転方向の場合には、その羽根車の羽根の
形状により、洗浄水に対しても、圧力も水頭も与えな
い。すなわちポンプとしての働きが全くなくなるので、
洗浄ポンプへの影響もなく、騒音も発生しにくいわけで
ある。

実施例 以下、本発明の一実施例を第１図および第２図にもと
づいて説明する。

図において従来の第３図〜第６図における構成部品と
同一のものには同一符号を付している。本発明のポンプ
の基本的構成は、第４図と同一とする。すなわち、洗浄
ポンプ13と排水ポンプがモータのシャフト5aの同軸上に
取りつけられており、洗浄ポンプの羽根車13aと排水ポ
ンプの羽根車がそのモータのシャフト5aの正逆回転によ
りポンプとして動作するものである。

本発明は排水ポンプの羽根車に特徴がある。

第１図に排水ポンプの羽根車15aの羽根の形状を示
す。第１図ｂにおいて、羽根の最外郭の投影形状は、第
２図ｂに示す羽根形状と同様にし、羽根の出口角度β
を、洗浄水の流出角度αが90°以上になるような角度に
取る。また側面図（第１−ｃ図）においても正面図と同
様な形状を取る。すなわち、３次元的に見て洗浄水の流
出角度がすべて90°以上になるような曲面を取る。この
形状が最も効果がある形状である。

ここで、ポンプの羽根車の羽根の形状について少し説
明をしておく。第２−ａ図において、15が羽根車の羽根
の形状を示す。βが羽根の出口角度で、αが洗浄水の流
出角度である。羽根車の円周方向の速度成分ｕと、羽根
の出口方向の速度成分ｗのベクトルの合成によって、決
定される洗浄水の流出速度ｖの流出角度αはβが小さく
なるにしたがって90°に近づく。通常のボリュートポン
プにおいてはαを８〜15°、βを20〜30°に取ることが
多い。しかしながら、第２−ｂ図のように、βを非常に
小さくしてゆくとαは90°になる。この場合、洗浄水は
前方への運動エネルギーを与えられないのでポンプとし
ての働きをしない訳である。このときのβがポンプとし
ての限界の最小角度となる。本発明においては、逆にこ
のことを利用している。

しかしながら、ポンプの能力によっては、２次元的に
羽根形状を作っても十分に効果を発揮できる場合もあ
る。

また、逆の揚程側の回転方向における羽根の形状にお
いては垂直面として図示しているが、当然ながらより効
率の良い形状にしてももちろん何も問題はない。

また、一つのモータにより排水ポンプと乾燥ファンを
駆動している場合においても同様の作用により、排水ポ
ンプ14の反揚程側回転、すなわち乾燥時において、静か
な排水ポンプ14を得ることができる。

発明の効果 以上のように本発明では、一つのモータの正逆回転に
より、洗浄ポンプと排水ポンプや、排水ポンプと乾燥フ
ァンを駆動する機構において、そのポンプの羽根車の羽
根の出口角度を、洗浄水の流出角度が90°以上になるよ
うにしたことで、洗浄時における洗浄ポンプへの影響を
防ぎ、洗浄性能を確保することができる。また、洗浄時
や排水時における騒音の著しい低減を図ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは本発明の実施例を示す排水ポンプの羽根車の
斜視図、第１図ｂは同要部正面図、第１図ｃは同要部平
面図、第２図a,bは同実施例の動作原理図、第３図は従
来の食器洗い機の縦断面図、第４図は同要部断面図、第
５図は同要部断面図、第６図は同要部断面図を示す。 14……排水ポンプ、15a……排水ポンプの羽根車。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】洗浄槽と、前記洗浄槽の内底部から洗浄水
   を吸いこみ、洗浄ノズルから洗浄水を噴射する洗浄ポン
   プと、洗浄水を機外に排出する排水ポンプとを備え、一
   つのモータの正逆両回転により前記洗浄ポンプと排水ポ
   ンプを駆動するポンプ機構とし、少なくとも一つのポン
   プの羽根車の羽根の反揚程側回転方向での羽根の出口角
   度を、洗浄水の流出角度が90度以上になるような角度に
   した食器洗い機。
2. 【請求項２】排水ポンプと、乾燥時に機内の空気を排出
   するファンとを備え、一つのモータの正逆両回転により
   前記排水ポンプと乾燥ファンを駆動する機構とし、排水
   ポンプの羽根車の羽根を、反揚程側回転方向での羽根の
   出口角度を、洗浄水の流出角度が90度以上になるような
   角度にした食器洗い機。