JP2866692B2 - 不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の製法 - Google Patents

不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の製法

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JP2866692B2 JP2017381A JP1738190A JP2866692B2 JP 2866692 B2 JP2866692 B2 JP 2866692B2 JP 2017381 A JP2017381 A JP 2017381A JP 1738190 A JP1738190 A JP 1738190A JP 2866692 B2 JP2866692 B2 JP 2866692B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、付加型イミド樹脂の製造等に用いられる
不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の新規な製法に関す
る。
〔従来の技術〕
付加型イミド樹脂の製造等に用いられる不飽和ジカル
ボン酸イミド系化合物を製造する方法の一つに、不飽和
アミド酸化合物を閉環させる方法がある。閉環の方法に
は、たとえば、特開昭57−159764号公報等に記載の熱閉
環法や、特開昭53−23396号公報等に記載の化学閉環法
がある。
熱閉環法は、文字通り、加熱によって閉環を行うもの
で、93重量%程度の純度の高い不飽和ジカルボン酸イミ
ド系化合物を得ることができる。
化学閉環法は、無水酢酸等の脱水剤を用いて脱水閉環
を行う方法である。この方法では、低温、短時間で反応
を行えるため、得られた不飽和ジカルボン酸イミド系化
合物中に含まれる高分子成分の量が少ないという利点が
ある。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、前記熱閉環法では、最高72時間程度という
非常に長い反応時間を必要とし、しかも、高エネルギー
状態で脱水閉環させることになるため、生成した不飽和
ジカルボン酸イミド系化合物の一部がさらに反応して自
己重合を起こし、高分子化する恐れもある。このため、
付加型イミド樹脂を作製した場合には、成形性等の樹脂
の性能に問題が生じる。
また、前記化学閉環法では、脱水剤を用いる工程があ
るため、得られる不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の
純度は90%程度が限界であり、純度が低いという問題が
ある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであっ
て、短時間、低エネルギーで反応を行えて、しかも、高
純度な不飽和ジカルボン酸イミド系化合物を製造する方
法を提供することを課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するため、この発明にかかる不飽和ジ
カルボン酸イミド系化合物の製法は、下記(1)のアミ
ンおよびポリアミンからなる群の中から選ばれた少なく
とも1つのアミン化合物と下記(2)の不飽和ジカルボ
ン酸無水物からなる群の中から選ばれた少なくとも1つ
の化合物とを反応させて得られる不飽和ジカルボン酸ア
ミド酸化合物の低級アルキルエステル(以下では、「不
飽和ジカルボン酸アミドエステル化合物」と言う。)
を、塩基性触媒および金属塩触媒の存在下、非極性溶媒
中で反応させて不飽和ジカルボン酸イミド系化合物を得
るようにする。
(1)メタフェニレンジアミン、4−クロルメタフェニ
レンジアミン、4,6−ジメチルメタフェニレンジアミ
ン、パラフェニレンジアミン、2−クロルパラフェニレ
ンジアミン、2,5−ジクロルパラフェニレンジアミン、
2,6−ジクロルパラフェニレンジアミン、2,5−ジエチル
パラフェニレンジアミン、5−クロル−2−メチルパラ
フェニレンジアミン、テトラフルオロフェニレンジアミ
ン、ペンタエチレンヘキサミン、4,4′−ジアミノジフ
ェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,
3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,4,4′−テトラ
アミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジ
エチルジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジ
エチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、2,2′,3,
3′−テトラクロル−4,4′−ジアミノジフェニルメタ
ン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジア
ミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニル
エーテル、4,4′−メチレンジ−o−トルイジン、アニ
リン、エチルアニリン、ジクロロアニリン、クロロアニ
リン、ブロモアニリン、ヨードアニリン、3,3′−ジア
ミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニル
スルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、1,
3,5−トリアミノベンゼン、3,3′−ジアミノベンジジ
ン。
(2)無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコ
ン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、お
よび、これらのハロゲン置換体、アルキル置換体。
〔作用〕
上記不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物の低級アルキ
ルエステルを、塩基性触媒および金属塩触媒の存在下、
非極性溶媒中で反応させると、これによって起きる反応
は、脱水剤を用いる脱水反応とは異なり、大きいエネル
ギーを必要としない脱アルコール反応であり、かつ、塩
基性触媒および金属塩触媒の存在により反応全体をわず
かなエネルギーで効率良く行うことができる反応とな
る。
〔実施例〕
以下に、この発明を詳しく説明する。
この発明に使用される不飽和ジカルボン酸アミド酸エ
ステル化合物は、下記一般式(I) で表される。ただし、上記式中、Dは上記不飽和ジカル
ボン酸無水物から酸無水物基(−CO−O−CO−)を除い
た構造の2価の有機基を表し、R1は上記アミン化合物か
らアミノ基(NH2−)を除いた構造の1価の有機基を表
し、R2はメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、
nは1〜6の整数を表す。このような不飽和ジカルボン
酸アミド酸エステル化合物を得る方法は、この発明では
特に限定されないが、たとえば、下記一般式(a) で表される不飽和ジカルボン酸アミド系化合物と、下記
の一般式(b) R3−COR23 …(b) で表されるオルトエステル類とを、無溶媒系で、あるい
は、好ましくは、反応系に対して不活性な有機溶媒等の
存在下で反応させることにより得ることができる。ただ
し、上記式(a)および(b)中、D,R1,R2およびnは
それぞれ上記式(I)および下記式(II)中のものと同
じであり、R3は、少なくとも1個の炭素原子を含む1価
の有機基を表し、R2と同一かまたは異なっていてもよ
い。
上記一般式(a)で表される不飽和ジカルボン酸アミ
ド酸化合物を得る方法は、特に限定されないが、たとえ
ば、下記一般式(c) で表される不飽和ジカルボン酸無水物と、下記一般式
(d) 〔NH2R1 …(d) で表されるアミンまたはポリアミンとを、好ましくは反
応系に対して不活性な有機溶媒等の存在下で反応させる
か、あるいは、無溶媒系で反応させることにより得るこ
とができる。
上記一般式(c)で表される不飽和ジカルボン酸無水
物は上記(2)の不飽和ジカルボン酸無水物からなる群
の中から選ばれた少なくとも1つであり、上記一般式
(d)で表されるアミンまたはポリアミンは上記(1)
のアミン化合物からなる群の中から選ばれた少なくとも
1つである。
上記一般式(b)で表されるオルトエステルとして
は、特に限定されないが、たとえば、オルトギ酸メチル
エステル、オルトギ酸エチルエステル、オルトギ酸プロ
ピルエステル、オルト酢酸メチルエステル、オルト酢酸
エチルエステル、オルト酢酸プロピルエステル、オルト
プロピオン酸メチルエステル、オルトプロピオン酸エチ
ルエステル、オルトプロピオン酸プロピルエステル等が
挙げられる。これらは単独で、あるいは、複数混合して
使用することができる。
このようなオルトエステルと、前記不飽和ジカルボン
酸アミド酸化合物との反応条件は、これら化合物の種類
によって異なるが、加熱温度が20〜200℃であることが
好ましく、50〜150℃であることがより好ましい。ま
た、加熱時間は1〜20時間程度であることが好ましい。
不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物とオルトエステル
との配合比も、特に限定されないが、不飽和ジカルボン
酸アミド酸化合物中に含まれるカルボキシル基1モル当
たり、1.0〜20.0モル(より好ましくは1.0〜10.0モル)
程度のオルトエステルが配合されることが好ましい。
上記不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物とオルトエス
テルとの反応は無溶媒で行うこともできるが、反応系に
対して不活性な有機溶媒の存在下で行うこともできる。
そのような有機溶媒としては、たとえば、ジメチルホル
ムアミ、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ホルムアミド、アセトアミド、N−メチルピロリド
ン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセト
ン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキ
サン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、エーテル、テトラヒドロフラン、ジメ
チルカルビトール、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、フェノール、クレゾール等が挙げられるが、これ
らに限定されるわけではない。これら有機溶媒も、それ
ぞれ、単独で、あるいは、複数混合して使用することが
できる。
上記不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物とオルトエス
テルとの反応は、以下のようにして進行すると考えられ
る。
上記オルトエステルは、一般に、エステル化剤として
有用に用いられるものであり、カルボン酸を極めて効率
よくエステル化させることができる。そこで、このよう
なオルトエステルを前記不飽和ジカルボン酸アミド酸化
合物と混合すると、不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物
分子中に含まれるカルボン酸基が、このオルトエステル
と反応して、上記一般式(I)で表される不飽和ジカル
ボン酸アミド酸エステルとなる。このように、オルトエ
ステルが不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物をエステル
化させることを、発明者らは、13C−NMRにより確認し
た。
このようにして形成された上記一般式(I)で表され
る不飽和ジカルボン酸アミド酸エステル化合物を、塩基
性触媒および金属塩触媒の存在下、非極性溶媒中で反応
させると、下記一般式(II) で表される不飽和ジカルボン酸イミド系化合物を得るこ
とができる。
ここで用いることができる塩基性触媒としては、特に
限定されないが、たとえば、トリエチルアミン、トリメ
チルアミン、トリエチルジアミン、テトラメチルエチレ
ンジアミン、N−メチルモルホリンなどの三級アミン
類、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メチ
ル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾー
ル、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェ
ニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2
−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニ
ルイミダゾールなどのイミダゾール類等が挙げられる。
これらは単独で、あるいは、複数混合して用いることが
できる。
このような塩基性触媒と上記式(I)で表される不飽
和ジカルボン酸アミド酸エステルとの配合比は、この発
明では特に限定されるないが、不飽和ジカルボン酸アミ
ド酸エステル100重量部(以下「重量部」を単に「部」
に記す)に対して、塩基性触媒を0.01〜20部とするのが
好ましく、0.1〜10部程度とするのがより好ましい。塩
基性触媒の配合比が前記範囲よりも少量であると、効果
がないことがあり、また、前記範囲よりも多量である
と、二重結合の反応による重合等が起こり、生成する不
飽和ジカルボン酸イミド系化合物の純度が著しく落ちる
ことがある。
また、この発明で用いられる金属塩触媒としては、特
に限定されるわけではないが、たとえば、コバルト、ニ
ッケル、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、鉄、
リチウム、マンガンなどの酢酸塩、塩化物、臭化物、硫
酸塩、硝酸塩等が例示できる。具体的には、塩化コバル
ト、臭化コバルト、炭酸コバルト、酢酸コバルト、プロ
ピオン酸コバルト、硝酸コバルト、リン酸コバルト、硫
酸コバルト、ステアリン酸コバルト、リノール酸コバル
ト、ナフテン酸コバルト、安息香酸コバルトなどの2価
または3価のコバルト化合物、酢酸ニッケル、ニッケル
(アセチルアセトナート)、塩化ニッケル、炭酸ニッケ
ルなどの2価のニッケル化合物、塩化マグネシウム、臭
化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウ
ム、酢酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、過
塩素酸マグネシウムなどの2価のマグネシウム化合物、
酢酸ナトリウムなどの1価のナトリウム化合物等が挙げ
られる。これらは単独で、あるいは、複数種混合して用
いることができる。
このような金属塩触媒と上記式(I)で表される不飽
和ジカルボン酸アミド酸エステル化合物との配合比は、
この発明では特に限定されないが、不飽和ジカルボン酸
アミド酸エステル化合物100部に対して、金属塩触媒を
0.001〜10部とするのが好ましく、0.01〜1.0部程度とす
るのがより好ましい。金属塩触媒の配合比が前記範囲よ
りも少量であると、効果がないことがあり、また、前記
範囲よりも多量であると、二重結合の反応による重合等
が起こり、生成する不飽和ジカルボン酸イミド系化合物
の純度が著しく落ちることがある。
なお、この発明では、反応系に触媒として同塩基性化
合物と前記金属塩化合物の両方を加えることが必要であ
る。これは、前記不飽和ジカルボン酸アミド酸エステル
化合物の脱アルコール反応(閉環反応)は、触媒として
前記塩基性化合物のみを用いた場合でも進行するのであ
るが、塩基性触媒に加えて金属塩触媒を添加することに
より、塩基性触媒のみを用いた場合に比べて、反応効率
がアップし、より温和な条件下で反応が進行するからで
ある。一方、触媒として金属塩化合物のみを用いた場合
は、前記脱アルコール反応は進行しない。このように、
この発明において、金属塩化合物は塩基性化合物の触媒
活性を高めるまたは保持する、いわゆる助触媒としての
役割を持つと考えられる。また、塩基性触媒および金属
塩触媒以外の触媒、たとえば、酸性触媒でも反応を促進
できるが、その効果は、塩基性触媒および金属塩触媒に
比べて低い。また、この発明にかかる製法に関しては、
従来の化学閉環法とは異なり、脱水剤が不要であるた
め、精製工程が不要となる利点がある。この利点を活か
すために、前記触媒中でも反応終了後、蒸留除去可能な
低沸点の触媒を選択することはさらに好ましい。
この発明で用いることができる非極性溶媒としては、
たとえば、下記の溶媒が挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、1,2−ジクロロ
エチレン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、1.4−ジオキサン、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル等。
このような非極性溶媒と上記式(I)であらわされた
不飽和ジカルボン酸アミド酸エステルとの配合比は、こ
の発明では特に限定されないが、不飽和ジカルボン酸ア
ミド酸エステル100部に対して、非極性溶媒を100〜2000
部とするのが好ましく、100〜900部程度がより好まし
い。
極性溶媒を用いた場合は、目的とする閉環反応以外の
副反応、たとえば、二重結合同士の反応等が起こり、生
成する不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の純度が著し
く落ちる。
上記式(I)で表される不飽和ジカルボン酸アミド酸
エステル化合物の塩基性触媒および金属塩触媒存在下、
非極性溶媒中での反応条件は、触媒の種類・量、溶媒の
種類・量により異なるが、温度20〜150℃、時間1〜10
時間とするのが好ましく、60〜100℃、1〜3時間程度
がより好ましい。
反応温度が前記範囲よりも低すぎたり、反応時間が前
記範囲よりも短すぎたりすると、十分に反応が進行しな
いことがある。また、反応温度が前記範囲よりも高すぎ
たり、反応時間が前記範囲よりも長すぎたりすると、二
重結合の反応による重合等が起こり、生成する不飽和ジ
カルボン酸イミド系化合物の純度が著しく落ちることが
ある。
以上のような脱アルコール反応は、従来用いられてい
た脱水反応に比べ、極めて容易に進行する。このため、
この発明の方法によれば、低エネルギー(低温,短時
間)での閉環反応が可能となり、自己重合が起こらず、
高分子量成分が極めて少ないものとなる。また、前述し
たように、脱アルコール反応の原料たる不飽和ジカルボ
ン酸アミド酸エステルの生成反応は極めて効率良く行わ
れるため、この不飽和ジカルボン酸アミド酸エステルは
極めて高純度であり、最終生成物たる不飽和ジカルボン
酸イミド系化合物も極めて純度の高いものとなる。
また、このような脱アルコール・閉環反応は、10-3
10-5mmHg程度の減圧により促進されるものであるが、こ
の発明の反応条件であれば、減圧等の方法を用いなくて
も極めて効率良く脱アルコール・閉環反応が行える。す
なわち、減圧下で行わなければ長時間かかる反応でも、
減圧することなく、短時間で完了させることができる。
その結果、短時間の反応のために、二重結合の重合によ
る重合等が起こらず、生成物は高純度のものとなる。ま
た。減圧のための装置等が不要であるという利点もあ
る。
上記不飽和ジカルボン酸アミド酸エステルの反応にあ
たっては、前述した不飽和ジカルボン酸無水物とアミン
またはポリアミンとの反応溶液から不飽和ジカルボン酸
アミド酸化合物を単離せず、反応液のまま、上記エステ
ル化反応とそれに続く脱アルコール反応に用いることも
できる。もちろん、上記不飽和ジカルボン酸アミド酸化
合物を反応液から単離粉末化して使用してもよいことは
言うまでもない。
以上のように、この発明の不飽和ジカルボン酸イミド
系化合物の製法においては、原料物質たる不飽和ジカル
ボン酸アミド酸エステルを得るための、不飽和ジカルボ
ン酸アミド酸化合物とオルトエステルとの反応が極めて
効率のよいエステル化とすることができ、しかも、得ら
れた不飽和ジカルボン酸アミド酸エステルの閉環反応も
脱水反応のような大きいエネルギーを必要としない脱ア
ルコール反応であるため、反応全体を僅かなエネルギー
で効率良く行うことができる。このため、得られる不飽
和ジカルボン酸イミド系化合物は高分子量成分が極めて
少なく、かつ、綱純度なものとなる。
したがって、この発明により得られる不飽和ジカルボ
ン酸イミド系化合物は、高耐熱性および高純度の要求さ
れるプリント回路板用の積層板、および、成形材料など
に対して非常に有用なものとなる。積層板や成形材料を
つくる場合、不飽和ジカルボン酸イミド系化合物には必
要に応じて、その他の配合成分が適宜の割合で添加され
る。
この発明の製法により得られる不飽和ジカルボン酸イ
ミド系化合物を用いて前記積層板などを作製するには、
不飽和ジカルボン酸イミド系化合物を含浸させたプリプ
レグを用いると便利である。このプリプレグは、たとえ
ば、次のようにして作製される。すなわち、不飽和ジカ
ルボン酸イミド系化合物を溶媒に溶解させて必要に応じ
てその他の配合成分を適宜の割合で加えてワニスを調製
し、このワニスを基材に含浸させたのり、溶媒を蒸発さ
せて乾燥固化させたり、あるいは、さらに同化合物を半
硬化させたりしてプリプレグを作製するのである。前記
ワニスとしては、不飽和ジカルボン酸イミド系化合物を
合成して得たときの溶液をそのまま、あるいは、適宜の
成分を加えたりしてから用いることも可能である。ここ
で用いる基材としては、特に限定はなく、たとえば、ガ
ラスクロス、石英繊維布等の無機繊維布、芳香族ポリア
ミド繊維(アラミド繊維)布等の高耐熱性繊維布などが
用いられてもよい。これらの基材は、通常、カップリン
グ剤等で表面処理を施して用いられる。半硬化させると
きの温度は、120〜250℃が好ましい。この温度範囲より
も高いと成形が非常に困難となるおそれがあり、低いと
硬化反応が十分に進まないおそれがある。
前記積層板は、たとえば、次のようにして作製され
る。前記プリプレグを所望の枚数だけ重ね合わせ、必要
に応じて金属箔、回路成形された内層材などを重ね合わ
せ、積層成形することにより積層板が作製される。この
積層板は、この発明にかかる製法により得られた不飽和
ジカルボン酸イミド系化合物が使われているので、高耐
熱性であり、接着性、絶縁特性にすぐれるという利点が
ある。前記金属箔としては、銅、ニッケルなどの箔が用
いられる。
以下に、この発明のさらに具体的な実施例について、
比較例とあわせて説明するが、この発明は下記実施例に
限定されない。
−実施例1− 下記構造を有する不飽和ジカルボン酸アミド酸エステ
(化合物名:N,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマ
レアミド酸メチル)211g(0.5モル)を1,4−ジオキサン
500gに溶解させ、これに、金属塩触媒として酢酸ニッケ
ル四水和物0.211gおよび塩基性触媒としてトリエチルア
ミン20.2gを添加したのち、90℃で2時間反応を行っ
た。反応終了後、反応液に500gの水を加えて沈澱を析出
させた。この沈澱をろ別して水洗したのち、乾燥させ、
177gの反応物(反応生成物)を得た。得られた反応を13
C−NMRで構造分析したところ、下記構造を有する不飽和
ジカルボン酸イミド系化合物(化合物名:N,N′−4,4′
−ジフェニルメタン−ビス−マレイミド)であることが
わかった。
また、この化合物の純度を液体クロマトグラフで測定
したところ、98.3%であった。
−実施例2− 実施例1において、金属塩触媒として酢酸ニッケル四
水和物の代わりに酢酸コバルト四水和物0.211gを用いる
ようにした以外は実施例1と同様にして反応を行った。
反応終了後、176gのN,N′−4,4′−ジフェニルメタン−
ビス−マレイミドが得られた。この不飽和ジカルボン酸
イミド系化合物の純度を液体クロマトグラフで測定した
ところ、98.0%であった。
−実施例3− 実施例1において、金属塩触媒として酢酸ニッケル四
水和物の代わりに臭化マグネシウム0.211gを用いるよう
にした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応
終了後、176gのN,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス
−マレイミドが得られた。この不飽和ジカルボン酸イミ
ド系化合物の純度を液体クロマトグラフで測定したとこ
ろ、97.9%であった。
−実施例4− 実施例1において、塩基性触媒としてトリエチルアミ
ンの代わりにN−メチルモルホリン20.2gを用いるよう
にした以外は実施例1と同様にして反応を行った。反応
終了後、177gのN,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス
−マレイミドが得られた。この不飽和ジカルボン酸イミ
ド系化合物の純度を液体クロマトグラフで測定したとこ
ろ、97.8%であった。
−実施例5− 実施例1において、溶媒として1,4−ジオキサンの代
わりにトルエン500gを用いるようにした以外は実施例1
と同様にして反応を行った。反応終了後、177gのN,N′
−4,4′−ジフェニルメタン−ビス−マレイミドが得ら
れた。この不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の純度を
液体クロマトグラフで測定したところ、98.0%であっ
た。
−実施例6− 実施例1と同様にして反応を行った。反応終了後、10
-3mmHg,40℃で減圧蒸留を行い、溶媒および触媒を除去
して、177gのN,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス−
マレイミドを得た。この不飽和ジカルボン酸イミド系化
合物の純度を液体クロマトグラフで測定したところ、9
6.6%であった。
−実施例7− 実施例6と同様にして得られた不飽和ジカルボン酸イ
ミド系化合物176gを単離せずに、N,N−ジメチルアセト
アミド132gに溶解させ、さらに、ジアミノジフェニルメ
タン49gを加えて、80℃で3時間反応を行った。得られ
たワニスをガラクロスに含浸させた後、150℃で5分間
乾燥してプリプレグを作製した。このプリプレグの樹脂
含浸量は、全重量に対し50%であった。このプリプレグ
4枚を重ね合わせ、さらに、その両外側から銅箔を重ね
合わせ、温度140℃、時間60分間、圧力40kgf/m2で成形
を行い、さらに、230℃で2時間キュアーを行い、両面
銅箔張積層板を得た。
この積層板のTgをTMA分析により、測定したところ、2
50℃であった。また、層間(プリプレグ同士の間)の接
着強度を測定したところ、1.3kgf/cmであった。
−実施例8− 下記構造を有する不飽和ジカルボン酸アミド酸エステ
(化合物名:N−フェニル−マレアミド酸メチル)205g
(1モル)をトルエン478gに溶解させ、これに、金属塩
触媒として酢酸ニッケル四水和物0.205gおよび塩基性触
媒として1−ベンジル−2−メチルイミダゾール2.05g
を添加したのち、80℃で2時間反応を行った。反応終了
後、反応液に500gの水を加えて沈澱を析出させた。この
沈澱をろ別して水洗したのち、乾燥させ、171gの反応物
を得た。この反応物を13C−NMRで構造分析したのち、下
記構造を有する不飽和ジカルボン酸イミド系化合物(化
合物名:N−フェニル−マレイミド)であることがわかっ
た。
また、この不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の純度
を液体クロマトグラフで測定したところ、98.2%であっ
た。
−比較例1− 下記構造を有する不飽和ジカルボン酸アミド酸 (化合物名:N,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマ
レアミド酸)41.4gを1,2−ジクロロエタン210mlとジメ
チルホルムアミド24mlとの混合溶媒に溶解したのち、こ
の溶液にp−トルエンスルホン酸2.9gを添加した。次
に、液温を84℃まで上げ、共沸蒸留で生成する水を除去
しながら20時間の熱閉環反応を行った。反応終了後、常
温下で反応液から1,2−ジクロロエタンを蒸発させて濃
縮液を得た。この濃縮液に100gの水を加えて沈澱を析出
させた。この沈澱をろ別して水洗したのち、炭酸ソーダ
水溶液による洗浄を行い、さらに水洗したあと乾燥さ
せ、34gの不飽和ジカルボン酸イミド系化合物(化合物
名:N,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス−マレイミ
ド)を得た。この不飽和ジカルボン酸イミド系化合物の
純度を液体クロマトグラフで測定したところ、93.0%と
いう低いものであった。
−比較例2− 比較例1のN,N′−4,4′−ジフェニルメタンビスマレ
アミド酸98.5g(0.25モル)にアセトン250mlを加えて溶
解させた。この溶液に対し、ナフテン酸コバルト0.63
g、トリエチルアミン10.0gおよび無水酢酸71.4gを添加
して、55℃、2時間の化学閉環反応を行った。反応終了
後、液温を20℃まで冷却し、水250gを加えて沈澱を析出
させた。得られた沈澱をろ別して水洗した後、炭酸ソー
ダ水溶液による洗浄を行い、さらに水洗した後乾燥させ
て、81.5gの不飽和ジカルボン酸イミド系化合物(化合
物名:N,N′−4,4′−ジフェニルメタン−ビス−マレイ
ミド)を得た。この不飽和ジカルボン酸イミド系化合物
の純度を液体クロマトグラフで測定したところ、90.1%
という低いものであった。
〔発明の効果〕
この発明にかかる不飽和ジカルボン酸イミド系化合物
の製法は、以上のようであり、不飽和ジカルボン酸アミ
ド酸エステル化合物の閉環反応が、大きいエネルギーを
必要とする脱水反応ではなく、大きいエネルギーを必要
としない脱アルコール反応であり、しかも、塩基性触媒
および金属塩触媒を用いるため、反応全体を僅かなエネ
ルギーで効率良く行うことができる。また、脱水材等が
不要なため、繁雑な精製工程を不要にすることも可能で
あり、しかも脱水材等を加えることにより生じる副反応
も起こらない。このため、高分子量成分が極めて少な
く、かつ、高純度の不飽和ジカルボン酸イミド系化合物
を低コストで得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−79149(JP,A) 特開 平2−200670(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 207/00 - 207/50 C07D 209/00 - 209/96 B01J 31/02 - 31/04 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)のアミンおよびポリアミンから
    なる群の中から選ばれた少なくとも1つのアミン化合物
    と下記(2)の不飽和ジカルボン酸無水物からなる群の
    中から選ばれた少なくとも1つの化合物とを反応させて
    得られる不飽和ジカルボン酸アミド酸化合物の低級アル
    キルエステルを、塩基性触媒および金属塩触媒の存在
    下、非極性溶媒中で反応させて不飽和ジカルボン酸イミ
    ド系化合物を得るようにする不飽和ジカルボン酸イミド
    系化合物の製法。 (1)メタフェニレンジアミン、4−クロルメタフェニ
    レンジアミン、4,6−ジメチルメタフェニレンジアミ
    ン、パラフェニレンジアミン、2−クロルパラフェニレ
    ンジアミン、2,5−ジクロルパラフェニレンジアミン、
    2,6−ジクロルパラフェニレンジアミン、2,5−ジエチル
    パラフェニレンジアミン、5−クロル−2−メチルパラ
    フェニレンジアミン、テトラフルオロフェニレンジアミ
    ン、ペンタエチレンヘキサミン、4,4′−ジアミノジフ
    ェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,
    3′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,4,4′−テトラ
    アミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジ
    エチルジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジ
    エチル−5,5′−ジメチルジフェニルメタン、2,2′,3,
    3′−テトラクロル−4,4′−ジアミノジフェニルメタ
    ン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジア
    ミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニル
    エーテル、4,4′−メチレンジ−o−トルイジン、アニ
    リン、エチルアニリン、ジクロロアニリン、クロロアニ
    リン、ブロモアニリン、ヨードアニリン、3,3′−ジア
    ミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノジフェニル
    スルホン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、1,
    3,5−トリアミノベンゼン、3,3′−ジアミノベンジジ
    ン。 (2)無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコ
    ン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、お
    よび、これらのハロゲン置換体、アルキル置換体。
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