JP2863586B2 - 眼気防止チューインガム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、眠気防止チューインガムに関し、更に詳し
くは、大脳の覚醒作用により眠気防止効果を有するカフ
ェインを独特の形態で含有し、カフェインの有する苦み
を緩和しつつその効果を充分発揮させるだけの添加量を
保持し、なおかつ高い嗜好性を保つ眠気防止チューイン
ガムに関する。

［従来の技術］ 従来より、カフェインを単独でガム中に混合・分散さ
せて眠気防止効果を持たせることは一般に行われて来
た。しかし、カフェインのような苦味物質を単独でガム
に添加すると、製品に苦味が出るため嗜好性を損ってし
まう。それゆえ、より眠気防止効果を落とした低い添加
量にする必要があり、十分な効果を期待するためには多
量にガムを摂取しなければならなかった。

カフェインが大脳の覚醒作用により眠気防止効果を有
することは広く知られている。しかし、カフェインそれ
自体は非常に強い苦味を有しており、チューインガムの
ような１回当りの摂取量が比較的少い食品にあっては、
その効果を十分発揮させるだけの添加量を保持し、なお
かつ高い嗜好性を保つことはかなり困難である。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明は、カフェインを予め特定の組成物中に混合・
分散させることにより、その苦味を緩和せしめ、その後
チューインガムに混合することによってカフェインの高
い添加量を保持し、かつ嗜好性を失うことのないチュー
インガムを提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明によれば、水和してゲル化するペプタイドによ
り構成されるゲル中に混合・分散したカフェインを含有
するゲル組成物が通常のガム生地に練合され、かつメン
トールを主体とするフレーバーを有することを特徴とす
る眠気防止チューインガムが提供される。

ゲル組成物中に混合・分散されたカフェイン含量が、
重量比として５〜50％であれば公的である。

カフェイン含量が重量比として0.1〜３％であれば好
適である。

ペプタイドが、ゼラチン、グルテン、大豆タンパク、
卵白ペプタイド、カゼイン並びにアルブミンよりなる群
から選択されるものであれば好適である。

多糖質が、寒天、アルギン酸、ファーセルラン、ペク
チン、澱粉、キサンタンガム、ローカストビーンガム、
グルコマンナン、タマリンド種子ガム、カードラン型多
糖質並びにカラギーナンよりなる群から選択されるもの
であれば好適である。

繊維質が、セルロース、ヘミセルロース、カルボキシ
メチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルスターチ並びに澱粉リン酸エステルよりなる群から選
択されるものであれば好適である。

カフェインが、緑茶葉、紅茶葉、マテ茶葉、コーヒー
豆並びにガラナ豆よりなる群から選択される原料から抽
出される天然カフェインであれば好適である。

チューインガムに賦香されるフレーバーがメントール
を主体とした構成物であれば好適である。

ゲル化組成物の製造が150℃以下の温度で行われるも
のとすれば好適である。

［作用］ チューインガムは、元来咀嚼による運動と香料として
添加されるメントール等による刺激とによって即効性の
ある眠気防止効果を有している。しかしながら、この効
果は持続性が短いことが欠点である。そこで、カフェイ
ンのような遅効性・持続性の薬理物質を添加することが
必要であり、眠気防止効果を期待するには、１回の摂取
量として50mg〜200mg程度は必要となってくる。本発明
の特徴は、苦味の強いカフェインを水和してゲル化し得
る各種原料配合中に予め混合・分散させた後、ガム中に
混合することによって咀嚼時の苦味を緩和せしめること
にあり、その結果嗜好性を損わずに眠気防止効果を期待
するに足る添加量を確保し得るものである。

ゲル化物中のカフェイン含有率が５％未満であると、
必要相当量のカフェインをガム中に添加するには、この
ゲル化物をかなり使用しなければならず、そのことは同
時に多量の水分をも添加するととなってしまい、仕上っ
たガムの物性が著しく軟化してしまい、実際上製品とす
るには困難である。逆に、カフェイン含有率が50％を越
えるようではゲル化物としての形状を保持し難いのみで
なく、苦味の緩和作用が損われてしまう。それゆえ、望
ましいカフェイン含有率はゲル化物中15％〜30％程度で
ある。

ガム中のカフェイン含有率は、１回当りのガム摂取量
が通常2g〜7gが適当とされるため、何回も連続して摂取
したとしても0.1％未満では眠気防止効果がかなり弱く
なってしまう。また、３％を越えると、たとえゲル組成
物としてカフェインを添加しても苦味が強く嗜好品とし
ての限界を越えてしまう。したがって、ゲル組成物とし
てカフェインを添加する場合、ガム中で１〜２％が望ま
しい。

カフェインは水に対する溶解度が低く（２〜3g/100ml
水）、本発明のようにゲル化物中に分散させることによ
って、カフェインをゲル化物が取り囲んだ状態とし得
る。よって、チューインガムの咀嚼中に溶出するカフェ
インは、ゲル化物によって一種の乳化様状態のまま存在
するため、口中で溶解し難く、そのまま嚥下吸収される
部分が多くなり苦味が弱くなるものと考えられる。

［発明の効果］ 本発明によれば、カフェインを予め水和性ゲル化物中
に混合・分散させることにより、その苦味を緩和せし
め、その後チューインガムに混合することによってカフ
ェインの高い添加量を保持し、かつ嗜好性を失うことの
ないチューインガムが提供される。

［実施例］ 以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。

カフェインを混合・分散させたゲル化組成物の調製 第１表に示す処方により、カフェインを混合・分散さ
せたゲル組成物を調製した。

眠気防止チューインガムの調製 第２表に示す処方により、材料を配合し、常法によっ
て眠気防止チューインガムを製造した。

眠気防止効果および嗜好性の測定 前記したチューインガムにつき、次の２つの方法によ
って眠気防止効果および嗜好性をテストした。

脳波による覚醒度テスト 20才〜30才の男女各３名を被験者として、暖房の効い
た部屋で多めの食事をした後に脳波を測定した。脳波の
検出は、被験者の頭部に12個の電極を取り付けて電位を
測定し、覚醒の度合はアルファ波およびベータ波の電位
の総和を比較することにより行った。

まず、平静時の脳波を測った後、試料のチューインガ
ム5gを５分間咀嚼させ、咀嚼直後、10分、20分、30分に
脳波を測定して平静時と比較した。

官能による嗜好性テスト 20才〜30才の男性５名を被験者として、各試料チュー
インガム5gを摂取させ、苦味の度合について５点満点評
価を行った。

テスト結果 脳波による覚醒度テスト結果を第３表に示す。なお、
数値は６名の平均値を使用したものである。

官能による嗜好性テスト結果を第４表に示す。なお、
評価基準は、全く苦くないを０点、僅かに苦いを１点、
やや苦いを２点、苦いを３点（３点が嗜好品としての限
界である）、かなり苦いを４点、非常に苦いを５点とし
た。

以上の結果から、本発明による眠気防止チューインガ
ムは、カフェインの高い添加量の保持による顕著な効果
を有しつつ、苦味が緩和されて嗜好性を失わないことが
分る。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−25646（ＪＰ，Ａ) 特開 昭51−79763（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−23846（ＪＰ，Ａ) 特公 昭34−5738（ＪＰ，Ｂ１) 特公 昭34−4790（ＪＰ，Ｂ１) 実公 昭34−4964（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A23G 3/00 - 3/32 A61K 9/68 A61K 31/58

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水和してゲル化するペプタイドにより構成
   されるゲル中に混合・分散したカフェインを含有するゲ
   ル組成物が通常のガム生地に練合され、かつメントール
   を主体とするフレーバーを有することを特徴とする眠気
   防止チューインガム。
2. 【請求項２】ゲル組成物中に混合・分散されたカフェイ
   ン含量が、重量比として５〜50％である請求項１記載の
   眠気防止チューインガム。
3. 【請求項３】カフェイン含量が重量比として0.1〜３％
   である請求項１記載の眠気防止チューインガム。
4. 【請求項４】ペプタイドが、ゼラチン、グルテン、大豆
   タンパク、卵白ペプタイド、カゼイン並びにアルブミン
   よりなる群から選択される請求項１記載の眠気防止チュ
   ーインガム。
5. 【請求項５】カフェインが、緑茶葉、紅茶葉、マテ茶
   葉、コーヒー豆並びにガラナ豆よりなる群から選択され
   る原料から抽出される天然カフェインである請求項１記
   載の眠気防止チューインガム。