JP2863266B2 - ラクトン類の製造法 - Google Patents

ラクトン類の製造法

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JP2863266B2 JP2137087A JP13708790A JP2863266B2 JP 2863266 B2 JP2863266 B2 JP 2863266B2 JP 2137087 A JP2137087 A JP 2137087A JP 13708790 A JP13708790 A JP 13708790A JP 2863266 B2 JP2863266 B2 JP 2863266B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はラクトン類の製造法に関するものである。詳
しくは、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び/又は
ジカルボン酸エステルをルテニウム触媒の存在下に溶媒
中で水素化することによりラクトン類を製造する方法の
改良に関するものである。
(従来の技術) ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び/又はジカル
ボン酸エステルを水素化してラクトン類を製造する方法
は古くから検討されており、これまでに多数の提案がな
されている。例えば触媒として、ニッケル系触媒(特公
昭43−6947号公報)、コバルト系触媒(特開昭51−9505
7号公報)、銅−クロム系触媒(特公昭38−20119号公
報)、銅−亜鉛系触媒(特公昭42−14463号公報)等を
使用して、固定床又は懸濁液相により水素化反応を行な
う方法が知られている。
一方、均一系のルテニウム系触媒を使用して上記の水
素化反応を行なう方法も知られ、例えば米国特許395782
7号には、[RuXn(PR1R2R3)xLy]型のルテニウム系触
媒を使用し40〜400psiの加圧下で水素化してラクトン類
を製造する方法が記載され、また米国特許4485246号に
は、同様の触媒による水素化反応を有機アミンの存在下
で行なうことが記載されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記のニッケル系触媒、コバルト系触
媒、銅−クロム系触媒、銅−亜鉛系触媒等の固体触媒を
使用する従来の方法は、反応条件が数十気圧以上の苛酷
な条件の採用は避けられないという問題点があった。一
方、上記均一系のルテニウム系触媒を使用する方法は、
比較的温和な条件下で水素化反応を進行するという特徴
がある半面、触媒活性がやや低水準であるうえ、触媒寿
命が短かく、またハロゲンを使用しているため反応装置
の腐蝕が生ずるという問題がある。
そこで本出願人は、先に触媒としてルテニウム、有機
ホスフィン及びpKa値が2より小さい酸の共役塩基を含
有するルテニウム系触媒を使用し、溶媒を使用し液相に
おいて水素化する方法を提案した(特開平1−25771号
公報)。この方法では、高活性なルテニウム触媒を使用
するので、温和な条件下で良好に水素化反応を行うこと
ができるが、使用する溶媒によっては、ルテニウム触媒
が失活してラクトン類の収率が低下する場合があること
が判明した。
本発明は、ルテニウム触媒を使用する方法の上述の問
題点を解決し、ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び
/又はジカルボン酸エステルから工業的有利にラクトン
類を製造することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は、ルテニウム触媒を使用し溶媒中でジカ
ルボン酸、ジカルボン酸無水物及び/又はジカルボン酸
エステルを水素化してラクトン類を製造する場合に、使
用する溶媒によっては触媒が失活してラクトン類の収率
が低下する理由について検討の結果、触媒失活の原因
が、触媒液調製の際に使用される溶媒及び水素化反応の
際に使用される溶媒から持込まれる過酸化物により金属
ルテニウムが析出することに起因することを見出した。
本発明者等は上記の知見に基づいて更に検討した結
果、使用する溶媒から持込まれる過酸化物の量を特定量
以下に保持すれば、安定した触媒活性が保持されて、効
率よくラクトン類を製造することができることを確認し
本発明を達成した。即ち、本発明の要旨は、ジカルボン
酸、ジカルボン酸無水物及び/又はジカルボン酸エステ
ルをルテニウム触媒の存在下に溶媒を用いて液相で水素
化することによりラクトン類を製造する方法において、
使用する溶媒から水素化反応に持込まれる過酸化物の量
を、ルテニウム1原子当り0.4モル以下に保持すること
を特徴とするラクトン類の製造法に存する。
本発明を詳細に説明するに、本発明における原料物質
としては、炭素数3〜7の飽和又は不飽和のジカルボン
酸、それ等の無水物、もしくはそれ等のジカルボン酸の
エステルが挙げられ、エステルとしては低級アルキルエ
ステルが好ましい。具体的には例えば、マレイン酸、フ
マール酸、コハク酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、
マレイン酸ジメチル、フマール酸ジエチル、コハク酸−
ジ−n−ブチル等が使用される。
本発明に使用されるルテニウム触媒としては、例えば
(イ)ルテニウム、(ロ)有機ホスフィン及び(ハ)pK
aが2より小さい酸の共役塩基を含有するルテニウム系
触媒が挙げられ、場合によりこれに更に(ニ)中性配位
子を含有させた触媒が好適に使用される。
本発明は、上述のジカルボン酸、ジカルボン酸無水物
及び/又はジカルボン酸エステルを上記ルテニウム触媒
の存在下に溶媒中で水素化してラクトン類を製造する場
合に、触媒液調製に使用される溶媒及び水素化反応に使
用される溶媒から水素化反応に持込まれる全過酸化物の
量を、触媒中のルテニウム1原子当り0.4モル以下に保
持することを骨子とするものである。
水素化反応に存在する過酸化物の量が、触媒中のルテ
ニウム1原子当り0.4モルより多い場合には、金属ルテ
ニウムが析出して触媒活性が低下し、ラクトン類の収率
の低下を招く。水素化反応中の過酸化物の量は少いほど
ルテニウム触媒のメタル化防止の点では望ましいが、過
酸化物の量を著しく少くするには溶媒精製コストが増大
し工業的実施上は必ずしも有利でないので、過酸化物の
総量をルテニウム1原子当り0.0004〜0.4、特に0.001〜
0.4に保持するのが実用的である。
水素化反応系に存在する過酸化物は、殆んどが触媒液
の調製及び水素化反応に使用される溶媒に由来するもの
であり、溶媒が大気と接触した際に空気中の酸素と反応
することにより生成するものと考えられる。溶媒から持
込まれる過酸化物によって、ルテニウム触媒がメタル化
される原因は必ずしも詳らかではないが、溶媒中の過酸
化物がルテニムウム錯体に配位している有機ホスフィン
と反応してルテニウムの電子状態が影響されることに基
づくものと推定される。
使用溶媒から持込まれる過酸化物の量を触媒中のルテ
ニウム1原子当り0.4以下に保持するには、触媒成分を
溶媒に溶解して触媒液を調製する際に使用する溶媒を予
め蒸留するか、あるいは140〜240℃程度に加熱処理する
ことにより、溶媒中に含まれる過酸化物を除去しておく
方法が挙げられる。また水素化反応の際、新たに溶媒を
使用する場合、あるいは新たな溶媒を補給する場合に
も、予め溶媒を上記と同様の方法により処理して、溶媒
中に含まれる過酸化物を除去しておく方法が採用され
る。
本発明における溶媒としては、ケトン類、エステル
類、ニトロ化合物、アミド類、尿素類、スルホン類、ス
ルホキシド類、ラクトン類、ポリエーテル類が挙げら
れ、具体的には例えば、ジエチルエーテル、アニソー
ル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチル
エーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、
ジオキサン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケ
ント、アセトフェノン等のケトン類;ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、トルイル酸等のカルボン酸類;酢酸メチル、
酢酸n−ブチル、安息香酸ベンジル等のエステル類;N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン等のカルボン酸アミド;ヘキ
サメチルリン酸トリアミド、N,N′,N′−テトラエチル
スルファミド等のその他のアミド類;N,N′−ジメチルイ
ミダゾリドン、N,N,N,N−テトラメチル尿素等の尿素
類;ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン等のス
ルホン類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキ
シド等のスルホキシド類;γ−ブチロラクトン、ε−カ
プロラクトン等のラクトン類;トリグライム(トリエチ
レングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム
(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、18−
クラウン−6等のポリエーテル類等が使用される。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に使用される前示(イ)ルテニウム、(ロ)有
機ホスフィン及び(ハ)pKa値が2より小さい酸の共役
塩基を含有し更に場合により中性配位子を含有していて
もよいルテニウム触媒の詳細は次の通りである。
(イ)ルテニウム: ルテニウムとしては、金属ルテニウム及びルテニウム
化合物の何れも使用することができる。ルテニウム化合
物としては、ルテニウムの酸化物、ハロゲン化物、水酸
化物、無機酸塩、有機酸塩又は錯化合物が使用され、具
体的には例えば、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウ
ム、二水酸化ルテニウム、塩化ルテニウム、臭化ルテニ
ウム、ヨウ化ルテニウム、硝酸ルテニウム、酢酸ルテニ
ウム、トリス(アセチルアセトン)ルテニウム、ヘキサ
クロロルテニウム酸ナトリウム、テトラカルボニルルテ
ニウム酸ジカリウム、ペンタカルボニルルテニウム、シ
クロペンタジエニルジカルボニルルテニウム、ジブロモ
トリカルボニルルテニウム、クロロトリス(トリフェニ
ルホスフィン)ヒドリドルテニウム、ビス(トリ−n−
ブチルホスフィン)トリカルボニルルテニウム、ドデカ
カルボニルトリルテニウム、テトラヒドリドデカカルボ
ニルテトラルテニウム、オクタデカカルボニルヘキサル
テニウム酸ジセシウム、ウンデカカルボニルヒドリドト
リルテニウム酸テトラフェニルホスホニウム等が挙げら
れる。これ等の金属ルテニウム及びルテニウム化合物の
使用量は、反応溶液1リットル中のルテニウムとして0.
0001〜100ミリモル、好ましくは0.001〜10ミリモルであ
る。
(ロ)有機ホスフィン: 有機ホスフィンは、主触媒である(イ)のルテニウム
の電子状態を制御したり、ルテニウムの活性状態を安定
化するのに寄与するものと考えられる。有機ホスフィン
の具体例としては、トリ−n−オクチルホスフィン、ト
リ−n−ブチルホスフィン、ジメチル−n−オクチルホ
スフィン等のトリアルキルホスフィン類、トリシクロヘ
キシルホスフィンのようなトリシクロアルキルホスフィ
ン類、トリフェニルホスフィンのようなトリアリールホ
スフィン類、ジメチルフェニルホスフィンのようなアル
キルアリ−ルホスフィン類、1,2−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)エタンのような多官能性ホスフィン類が挙げ
られる。有機ホスフィンの使用量は通常、ルテニウム1
モルに対して、0.1〜1000モル程度、好ましくは1〜100
モルである。また、有機ホスフィンは、それ自体単独
で、あるいはルテニウム触媒との複合体の形で、反応系
に供給することができる。
(ハ)pKa値が2より小さい酸の共役塩基: pKa値が2より小さい酸の共役塩基は、ルテニウム触
媒の付加的促進剤として作用し、触媒調製中又は反応系
中において、pKa値が2より小さい酸の共役塩基を生成
するものであればよく、その供給形態としては、pKa値
が2より小さいブレンステッド酸又はその各種の塩等が
用いられる。具体的には例えば、硫酸、亜硫酸、硝酸、
亜硝酸、過塩素酸、燐酸、ホウフッ化水素酸、ヘキサフ
ルオロ燐酸、タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タン
グステン酸、シリコンタングステン酸、ポリケイ酸、フ
ルオロスルホン酸等の無機酸類、トリクロロ酢酸、ジク
ロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリ
フルオロメタンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ベン
ゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、
あるいはこれ等の酸のアンモニウム酸、ホスホニウム塩
が挙げられる。また、これ等の酸の共役塩基が反応系で
生成すると考えられる酸誘導体、例えば酸ハロゲン化
物、酸無水物、エステル、酸アミド等の形で添加しても
同様の効果が得られる。これ等の酸又はその塩の使用量
は、ルテニウム1モルに対して0.01〜1000モル、好まし
くは0.1〜100モル、更に好ましくは0.5〜20モルの範囲
である。
上記(イ)、(ロ)及び(ハ)の成分の外に、場合に
より含有することができる(ニ)中性配位子としては、
水素、エチレン、プロピレン、ブテン、シクロペンテ
ン、シクロヘキセン、ブタジエン、シクロペンタジエ
ン、シクロオクタジエン、ノルボナジエン等のオレフィ
ン類、一酸化炭素、ジエチルエーテル、アニソール、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトフェ
ノン、ベンゾフェノン、シクロヘキサノン、プロピオン
酸、カプロン酸、酪酸、安息香酸、酢酸エチル、酢酸ア
リル、安息香酸ベンジル、ステアリン酸ベンジル等の含
酸素化合物、酸化窒素、アセトニトリル、プロピオニト
リル、ベンゾニトリル、シクロヘキシルイソニトリル、
ブチルアミン、アニリン、トルイジン、トリエチルアミ
ン、ピロール、ピリジン、N−メチルホルムアミド、ア
セトアミド、1,1,3,3−テトラメチル尿素、N−メチル
ビロリドン、カプロラクタム、ニトロメタン等の含窒素
化合物、二硫化炭素、n−ブチルメルカプタン、チオフ
ェノール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィ
ド、チオフェン、ジメチルスルホキシド、ジフェニルス
ルホキシド等の含硫黄化合物、トリブチルホスフィンオ
キシド、エチルジフェニルホスフィンオキシド、トリフ
ェニルホスフィンオキシド、ジエチルフェニルホスフィ
ネート、ジフェニルメチルホスフィネート、ジフェニル
エチルホスフィネート、o,o−ジメチルメチルホスホノ
チオレート、トリエチルホスファイト、トリフェニルホ
スファイト、トリエチルホスフェート、トリフェニルホ
スフェート、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の
有機ホスフィン以外の含燐化合物が挙げられる。
本発明の方法により水素化反応を行うには、先ず、前
掲の溶媒を予め熱処理して含存する過酸化物を分解除去
した後、これに前記触媒成分を溶解して触媒液を調製
し、この触媒液及び原料物質を反応容器に仕込み水素を
導入する。
あるいは、反応容器に予め熱処理して含存する過酸化
物を分解除去した精製溶媒及び前記触媒成分を仕込み、
更にこれに原料物質及び精製溶媒を添加し、水素を導入
する。
水素は、窒素あるいは二酸化炭素等の反応に不活性な
ガスで希釈されたものであってもよい。反応温度は通常
50〜250℃、好ましくは100〜200℃である。反応系内の
水素分圧は特に限られないが、工業的実施上は通常0.1
〜100kg/cm2、好ましくは1〜50kg/cm2である。反応は
回分方式及び連続方式の何れでも実施することができ、
回分方式の場合の所要反応時間は通常1〜20時間であ
る。
反応生成液から蒸留、抽出等の通常の分離精製手段に
より目的物であるラクトン類を採取することができる。
また蒸留残渣は触媒成分として反応系に循環される。
(実施例) 以下本発明を実施例及び比較例について更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれ等の実
施例に限定されるものではない。なお、試料中の過酸化
物濃度の測定は、試料にチオシアン酸第一鉄塩のメタノ
ール溶液を添加し、酸化されて発色するチオシアン酸第
二鉄塩の橙色を比色定量することにより行なった。
実施例1 溶媒の精製: 市販の工業用トリグライム(過酸化物濃度:1.91meq/
l)を、ガラス製20段のオルダーショウ蒸留塔を用いて
真空度30mmHg、温度160〜170℃で回分蒸留して初留10%
及び釜残10%を除去した留分を採取した。このように蒸
留精製処理したトリグライム中の過酸化物の濃度は0.01
meq/lであった。
触媒液の調製: 上記の方法によって精製処理したトリグライム(過酸
化物の濃度:0.01meq/l)238gに、p−トルエンスルホン
酸0.485g、トリオクチルホスフィン1.11g及びルテニウ
ムアセチルアセトナート0.296gを添加し、窒素雰囲気下
200℃で2時間加熱して触媒液を調製した。
水素化反応: 上記で得た触媒液をSUS製500mlの加圧釜に移し、これ
に無水コハク酸60gを仕込んで180℃に昇温し、水素ガス
を40kg/cm2Gで導入して1時間水素化反応を行った。反
応液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、
無水コハク酸の転化率は71.5%であり、γ−ブチロラク
トンの選択率は98%であった。また反応液中のトリオク
チルホスフィン濃度は0.04重量%であった。反応液中に
おけるルテニウム1原子当りの過酸化物量のは0.0032モ
ルであった。なお反応器内に金属ルテニウムの析出は全
く認められなかった。
実施例2 実施例1で使用した工業用トリグライム(過酸化物濃
度:1.91meq/l)を、ガラス製の熱処理容器に入れ、窒素
雰囲気中において200℃で1.5時間熱処理して精製した。
熱処理後のトリグライム中の過酸化物の濃度は0.40meq/
lであった。
上記の精製トリグライムを溶媒として使用した以外
は、実施例1と全く同様の方法により触媒液を調製し、
次いで水素化反応を行なった。
反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、無水コハク酸の転化率は69.0%であり、γ−ブチロ
ラクトンの選択率は96.8%であった。反応液中のルテニ
ウム1原子当りの過酸化物の量は0.1286モルであった。
なお反応器内に金属ルテニウムの析出は殆んど認められ
なかった。
比較例1 実施例1で使用した工業用トリグライム(過酸化物濃
度:1.91meq/l)を精製処理することなく、そのまま使用
した以外は、実施例1と全く同様の方法により触媒液を
調製し、次いで水素化反応を行なった。
反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、無水コハク酸の転化率は57.5%であり、γ−ブチロ
ラクトンの選択率は79.5%であった。反応液中のルテニ
ウム1原子当りの過酸化物の量は0.61108モルであっ
た。なお反応器内に多量の金属ルテニウムの析出が認め
られた。
実施例3 触媒液の調製: 実施例1で精製処理したトリグライム(過酸化物の濃
度:0.01meq/l)70gに、p−トルエンスルホン酸0.485
g、トリオクチルホスフィン1.11g及びルテニウムアセチ
ルアセトナート0.296gを添加し、窒素雰囲気下200℃で
2時間加熱して触媒液を調製した。
水素化反応: SUS製500mlの加圧釜に無水コハク酸60g及び上記と同
一の精製トリグライム(過酸化物の濃度:0.01meq/l)16
9gを仕込み、これに上記の触媒液を添加して180℃に昇
温し、水素ガスを40kg/cm2Gで導入して1時間水素化反
応を行った。
反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、無水コハク酸の転化率は70.5%であり、γ−ブチロ
ラクトンの選択率は97.7%であった。反応液中のルテニ
ウム1原子当りの過酸化物の量は0.0032モルであった。
なお反応器内に金属ルテニウムの析出は全く認められな
かった。
実施例4 実施例1で使用した工業用トリグライム(過酸化物濃
度:1.91meq/l)を、ガラス製の熱処理容器に入れ、窒素
雰囲気中において200℃で0.2時間熱処理して精製した。
熱処理後のトリグライム中の過酸化物の濃度は0.30meq/
lであった。
実施例3において、水素化反応に使用した精製トリグ
ライム(過酸化物の濃度:0.01meq/l)の代りに、上記の
精製トリグライム(過酸化物濃度:0.30meq/l)を使用し
た以外は、実施例3と全く同様の処理を行なった。
反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、無水コハク酸の転化率は70.0%であり、γ−ブチロ
ラクトンの選択率は97.0%であった。反応液中のルテニ
ウム1原子当りの過酸化物の量は0.2279モルであった。
なお反応器内に金属ルテニウムの析出は殆んど認められ
なかった。
比較例2 実施例3において、水素化反応に使用した精製トリグ
ライム(過酸化物の濃度:0.01meq/l)の代りに、未精製
の工業用トリグライム(過酸化物濃度:1.91meq/l)を使
用した以外は、実施例3と全く同様の処理を行なった。
反応液をガスクロマトグラフィーにより分析したとこ
ろ、無水コハク酸の転化率は60.1%であり、γ−ブチロ
ラクトンの選択率は80.2%であった。反応液中のルテニ
ウム1原子当りの過酸化物の量は0.4327モルであった。
なお反応器内に多量の金属ルテニウムの析出が認められ
た。
(発明の効果) 本発明方法は、ルテニウム触媒を使用してジカルボン
酸、ジカルボン酸無水物及び/又はジカルボン酸エステ
ルを溶媒を用い液相で水素化することによりラクトン類
を製造する場合に、触媒液の調製に使用される溶媒及び
水素化反応に使用される溶媒から水素化反応に持込まれ
る全過酸化物の量を、特定量以下に保持することによ
り、ルテニウム触媒活性の低下を防止し、ラクトン類を
工業的有利に製造することができ、実用上の効果は大き
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀尾 広志 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化 成株式会社水島工場内 (56)参考文献 特開 昭64−25771(JP,A) 特開 昭63−264577(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07D 307/32

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物及び/
    又はジカルボン酸エステルをルテニウム触媒の存在下に
    溶媒を用いて液相で水素化することによりラクトン類を
    製造する方法において、使用する溶媒から水素化反応に
    持込まれる過酸化物の量を、ルテニウム1原子当り0.4
    モル以下に保持することを特徴とするラクトン類の製造
    法。
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