JP2862895B2 - 液晶素子およびその製造方法ならびに液晶素子の用途 - Google Patents

液晶素子およびその製造方法ならびに液晶素子の用途

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、液晶素子およびその製造方法ならびに液晶
素子の用途に関する。
発明の技術的背景 従来、OA機器などの表示ディバイスとして最も広範に
使用されてきたのはCRTディバイスである。
このような表示ディバイスを有するOA機器などの分野
においては、近年、機器の小型軽量化、あるいは表示デ
ィバイスの大画面化および薄型化などに対する要望が高
まってきている。このためそれぞれの用途あるいは要望
に対応させて、従来から用いられているCRTディバイス
の代わりに、種々の新たな表示ディバイスが開発されて
いる。このような表示ディバイスとしては、たとえば、
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LEDディス
プレイ、ELディスプレイおよびECDディスプレイなどが
ある。
これらの表示ディスプレイのうち、液晶ディスプレイ
は、基本的には液晶化合物を用いたスイッチング素子に
電気信号を与えて、この電気信号に対応させてスイッチ
ング素子中の液晶化合物の状態を変化させることにより
光の透過性を制御して電気信号を画面上に顕在化させる
ディバイスである。そして、このような液晶ディバイス
は上述のOA機器の液晶ディスプレイだけでなく、例えば
ディジタルウォッチあるいは携帯ゲーム機などの表示デ
ィバイスとして既に実用化されている。また、近時、小
型テレビジョンなどの動画用の表示ディバイスとしても
使用され始めている。
このような液晶化合物を用いた表示ディバイスは、TN
(ツイストネマチック)モードによって駆動させること
ができる。このTNモードは、液晶化合物のネマチック相
における分子の誘電異方性を利用して表示を行なう方式
であり、外部から印加される電界の2乗に比例したエネ
ルギーによって表示ディバイスが駆動する(f∞E2)。
しかしながら、この方式を採用した場合、表示されて
いる画像を変えるためには、素子中における液晶化合物
の分子の位置を変える必要があるために、駆動時間が長
くなり、液晶化合物の分子位置を変えるために必要とす
る電圧、すなわち消費電力も大きくなるという問題点が
ある。さらに、このようなスイッチング素子において
は、スイッチングしきい値特性があまり良好でないた
め、高速で分子位置を変えて切り替え動作を行なおうと
すると、非表示画像部にまでもれ電圧がかかり、表示デ
ィバイスのコントラストが著しく低下することがある。
このように従来のTNモードによる表示方式には、特に
大型画面用表示ディバイスあるいは小型デジタルテレビ
ジョンなどのような動画用の表示ディバイスとしては適
当な表示方式であるとは言えない面がある。
また、上記のようなTNモードにおけるスイッチングし
きい値特性などを改良したSTN(スーパーツイストネマ
チック)モードを利用した表示ディバイスが使用されて
いる。このようなSTNモードを利用することにより、ス
イッチングしきい値特性が改善されるため、表示ディバ
イスのコントラストが向上する。
しかしながら、この方法も誘電異方性を利用している
点ではTNモードと変わりなく、従ってスイッチング時間
が長いため、大画面用表示ディバイスあるいは小型デジ
タルテレビジョンなどのような動画用の表示ディバイス
として使用した場合にはTNモードを利用した表示ディバ
イスと同様の傾向を示す。
これに対し、1975年、R.B.Meyerらは、彼らが合成し
た有機化合物が強誘電性を示すことを見出した。さら
に、1980年に、彼等は、上記のような強誘電性液晶化合
物をギャップの小さなセル中に充填した素子を光スイッ
チング素子、すなわち表示ディバイスとして用いうる可
能性を示唆した。
上記のような強誘電性液晶化合物を用いたスイッチン
グ素子は、TNモードあるいはSTNモードを利用したスイ
ッチング素子とは異なり、液晶化合物の分子の配向方向
を変えるだけでスイッチング素子として機能させること
ができるため、スイッチング時間が非常に短縮される。
さらに、強誘電性液晶化合物のもつ自発分極(Ps)と電
界強度(E)とにより与えられるPs×Eの値が液晶化合
物の分子の配向方向を変えるための実効エネルギー強度
であるので、消費電力も非常に少なくなる。そして、こ
のような強誘電性液晶化合物は、印加電界の方向によっ
て二つの安定状態、すなわち双安定性を持つので、スイ
ッチングのしきい値特性も非常に良好であり、動画用の
表示ディバイスなどとして用いるのに特に適している。
ところで、このような強誘電性液晶化合物を光スイッ
チング素子などに使用する場合、強誘電性液晶化合物
は、例えば動作温度範囲が常温付近あるいはそれ以下に
あること、動作温度幅が広いこと、スイッチング速度が
大きい(速い)ことおよびスイッチングしきい値電圧が
適正な範囲内にあることなど多くの特性が要求される。
殊にこれらのうちでも動作温度範囲は強誘電性液晶化合
物を実用化する際に特に重要な特性である。
しかしながら、これまで知られている強誘電性液晶化
合物においては、例えば、R.B.Meyer et alの論文[ジ
ャーナル・デ・フイジーク(J.de Phys.)36巻L−69
頁、1975年]、田口雅明、原田隆正の論文[第11回液晶
討論会予稿集168頁、1985年]に記載されているよう
に、一般に動作温度が高く、また室温付近で作動する強
誘電性液晶化合物であっても動作温度幅およびその他の
特性が充分でないなど、強誘電性液晶化合物として実用
上満足できるものは得られていない。
発明の目的 本発明は、特に液晶物質の配向性に優れ、しかもコン
トラストが大きく、動作温度範囲が室温付近ないしそれ
以下にあり、動作温度幅が広く、スイッチング速度が大
きく、消費電力が少ないなど、液晶物質特性に優れた液
晶素子およびその製造方法ならびに液晶素子の用途を提
供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る液晶素子は、2枚の基板と、該2枚の基
板によって構成される間隙とからなるセル、および該セ
ルの間隙に充填された液晶物質より構成される液晶素子
において、 少なくとも一方の基板の液晶物質と対面する面にポリ
イミドからなる配向制御膜が設けられており、 そして、該液晶物質が、下記式[A]で表わされる化
合物を含むことを特徴としている。
ただし、式[A]において、Rは炭素数6〜18のアル
キル基、炭素数6〜18のアルコキシ基および炭素数6〜
18のハロゲン化アルキル基よりなる群から選ばれる一種
類の基であり、mは1〜10の整数であり、C*は不整炭素
原子を表わす。
本発明に係る液晶素子の製造方法は、2枚の基板と、
該2枚の基板によって構成される間隙とからなるセル、
および該セルの間隙に充填された液晶物質より構成され
る液晶素子を製造するに際し、 少なくとも一方の基板の液晶物質と対面する面にポリ
イミドからなる配向制御膜が設けられているセルを用
い、該セルの間隙に、上記式[A]で表わされる化合物
を含む液晶物質を充填した後、該セルを該液晶物質が等
方相を示す温度以上の温度から2℃/分以下の降温速度
で液晶を示す温度以下の温度に冷却することを特徴とし
ている。
また、本発明に係る液晶表示装置および電気光学表示
装置は、上記の液晶素子を用いることを特徴としてい
る。
本発明の液晶素子は、特に液晶物質分子の配向性に優
れ、しかもコントラストが大きく、動作温度範囲が室温
付近ないしそれ以下にあり、動作温度幅が広く、スイッ
チング速度が大きく、消費電力が少ないなど、液晶物質
特性に優れている。
本発明の液晶素子を、上記のような方法で製造する
と、特に液晶物質の配向性が向上し、従ってコントラス
ト比が大きく、動作温度範囲が室温付近ないしそれ以下
にあり、動作温度幅が広く、スイッチング速度が大き
く、消費電力が少ないなど、液晶特性に優れた液晶素子
が得られる。
発明の具体的説明 以下、本発明に係る液晶素子およびその製造方法なら
びに液晶素子の用途について具体的に説明する。
まず、本発明に係る液晶素子について説明する。
本発明に係る液晶素子の断面の一例を第1図に示す。
本発明に係る液晶素子は、第1図に示すように、基本
的には、2枚の透明基板(以下、単に基板ともいう)1
a,1bとこの2枚の基板1a,1bによって構成される間隙2
とからなるセル3、およびこのセルの間隙2に充填され
た液晶物質4より構成されている。
この基板1a,1bは、少なくとも一方が透明であること
が必要であり、通常は、基板として、ガラスあるいはポ
リカーボネート等の透明プラスチック等が使用される。
このような基板1a,1bが液晶物質と対面する面には、
通常は、酸化インジウム−スズ等からなる電極5a,5bが
設けられている。そして、本発明においては、基板とし
て、上記のような基板上に透明電極が一体的に形成され
た透明電極基板を使用することもできる。
本発明の液晶素子において、上記のような基板の液晶
物質に接する少なくとも一方の面には配向制御膜が設け
られている。したがって、本発明において、配向制御膜
は基板の一方に設けられていればよいが、両者に配向制
御膜が設けられていることが好ましい。第1図には、配
向制御膜が二枚設けられた態様が示されおり、この配向
制御膜は6a,6bで示されている。
そして、本発明において、配向制御膜は、ポリイミド
である。したがって、本発明において、配向制御膜が一
枚の場合には、この一枚の配向制御膜がポリイミドから
なり、また、二枚の配向制御膜を有する場合には、少な
くとも一方がポリイミドからなり、好ましくは両者がポ
リイミドからなる。
ポリイミドとしてはイミド結合を含む高分子であれば
よく、フィルム形成が可能であることが好ましい。ポリ
イミドの具体的な例としては、宇部興産(株)製ユーピ
レックス−R、日産化学工業(株)製サンエバー130、
日本合成ゴム(株)製JIA−28、日本ポリイミド(株)
製ケルイミド601、日立化成工業(株)製HL−1100など
がある。但し上記に具体例を挙げたがこれらに限定され
るわけではない。
このように、ポリイミドはイミド結合を含む高分子を
主成分とする樹脂であるが、本発明で用いられる配向制
御膜には、ポリイミドの特性を損なわない範囲内でポリ
アミド等の他の樹脂を含んでいてもよく、またイミド構
成単位以外の他の構成単位を含む樹脂であってもよい。
配向制御膜の一方がポリイミド以外の物質で形成され
ている場合に、このポリイミド以外の配向制御膜は有機
材料から形成されていてもよく、無機材料から形成され
ていてもよい。
有機材料から形成された配向制御膜としては、例え
ば、ポリビニルアルコール、ポリアミドイミド、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポ
リ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリスチ
レン、シロキサンポリイミド、セルロース樹脂、メラミ
ン樹脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂、導電性ポリマーな
どの樹脂類からなる膜を挙げることができる。さらに、
配向制御膜は、例えば環化ゴム系フォトレジスト、フェ
ノールノボラック系フォトレジスト、あるいはポリメチ
ルメタクリレート、エポキシ化1,4−ポリブタジェンな
どの電子線フォトレジストの硬化体であってもよい。ま
た配向制御膜は、無機材料から形成されていてもよく、
この場合に無機配向制御膜を形成する素材の例として
は、SiO、GeO、Al2O3、Y2O5、ZrO2、MgF2、CeF3を挙げ
ることができる。
このような配向制御膜は、基板の液晶と接する面に、
上記のような樹脂を例えばスピンコート法などにより塗
布する方法、このように塗布した後に加熱処理する方
法、樹脂フィルムを貼着する方法、感光性樹脂を塗布し
た後、エネルギー線を照射して硬化させる方法、無機材
料を蒸着する方法等のように使用する材料に対応させて
種々の方法を採用して形成することができる。
このような配向制御膜の厚さは、通常0.005〜0.25μ
m、好ましくは0.01〜0.15μmの範囲内にある。
そして、本発明においては、上記のような配向制御膜
は、それぞれの基板の液晶物質に接する面の上に、一方
の配向制御膜の規制力によって配向される液晶物質と他
方の配向制御膜の規制力によって配向される液晶物質と
が、略平行で、かつ方向が実質的に逆になるように二枚
の配向制御膜が設けられていることが好ましい。すなわ
ち、配向制御膜の液晶物質に対する配向方向が実質的に
逆平行となるように配向されていることが好ましい。こ
の配向制御膜6a,6bは、液晶物質を配向させるとの作用
を有している。従って、このように配向制御膜を逆平行
に配置して液晶物質を配向処理すると、セル内に注入さ
れた液晶物質の初期配向性が向上して、コントラスト等
に優れた液晶素子等が得られる。
さらに、本発明において、配向制御膜は、配向処理さ
れていることが好ましい。ここで、配向処理とは、液晶
分子を所定の方向に配向させるための処理のことをい
い、例えばポリイミドは、布などで一方向にこするなど
して行なうラビングすることにより、配向処理すること
ができる。
本発明で使用されるセルは、上記のように配向制御膜
6a,6bが形成された二枚の基板1a,1bによって液晶物質を
充填する間隙2が形成されている。このような間隙2
は、例えば基板1a,1bを、その周囲にスペーサ8を介し
て配置することにより形成することができる。このよう
にスペーサ8を配置することにより、液晶物質を充填す
るための間隙2を確保することができると共に、液晶物
質の漏洩を防止することもできる。なお、間隙2は、上
記のような側壁を形成するスペーサーを用いて形成する
ことができると共に、液晶物質中に所定の粒子径を有す
る粒子(内部スペーサ)を配合することにより形成する
こともできる。
このようにして形成される間隙の幅は、通常1.5〜7
μm、好ましくは1.8〜5μmの範囲内にある。
なお、本発明の液晶素子においては、例えば光導電
膜、光遮断膜、光反射膜などの各種薄膜が基板と反対側
の配向制御膜上に設けられていてもよい。
本発明の液晶素子においては、上記のようなセルの間
隙2に液晶物質が充填されている。
本発明において使用される液晶物質は、下記式[A]
で表わされる液晶化合物を含んでいる。特に本発明にお
いては、式[A]で表わされる液晶化合物を単独で使用
することもできるが、上記の式[A]で表わされる液晶
化合物を少なくとも一種類含む液晶組成物であることが
好ましい。
ただし、式[A]において、Rは炭素数6〜18のアル
キル基、炭素数6〜18のアルコキシ基および炭素数6〜
18のハロゲン化アルキル基よりなる群から選ばれる1種
の基である。またmは1〜6の整数であり、C*は不整炭
素原子を表わす。
上記式[A]において、Rが炭素数6〜18のアルキル
基である場合には、このようなアルキル基としては、直
鎖状、分枝状および脂環状のいずれの形態であってもよ
いが、Rが直鎖状のアルキル基であるカルボン酸エステ
ルの分子は、分子がまっ直ぐに伸びた剛直構造をとるた
め、優れた液晶性を示す。このような直鎖状のアルキル
基の具体的な例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オ
クチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オ
クタデシル基などを挙げることができる。
また、Rが炭素数6〜18のハロゲン化アルキル基であ
る場合、ハロゲン化アルキル基の例としては、上記のよ
うなアルキル基の水素原子の少なくとも一部が、F、C
l、Br、Iなどのハロゲン原子で置換された基を挙げる
ことができる。
また、Rが炭素数6〜18のアルコキシ基である場合に
は、このようなアルコキシ基の例としては、上記のよう
なアルキル基を有するアルコキシ基を挙げることができ
る。このようなアルコキシ基の具体的な例としては、ヘ
キソキシ基、ヘプトキシ基、オクチルオキシ基、デシル
オキシ基、ドデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、
オクタデシルオキシ基を挙げることができる。
上記のようなRを有する化合物のうちアルコキシ基を
有する化合物が特に優れた液晶性を示す。
上記式[A]においてmは1〜10の整数である。従っ
て上記式[A]において、 で表わされる基としては、 mが1である mが2である mが3である mが4である mが5である mが6である などが挙げられ、これらの内ではmが4〜6である化合
物が液晶化合物として有用であり、特にmが5である下
記のような基を有する化合物が液晶化合物として最も有
用である。
上記の不整炭素原子は、エステル結合でフェニレン基
と結合している。
式[A]において、上記のフェニレン基としては、o
−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基
を挙げることができる。特にカルボン酸エステル化合物
は、分子自体が直線状になることが好ましく、このた
め、フェニレン基としては、p−フェニレン基が好まし
い。
このフェニレン基は、エチレン基を介してナフチレン
基と結合している。
このナフチレン基としては、1,4−ナフチレン基、1,6
−ナフチレン基、1,7−ナフチレン基、1,8−ナフチレン
基、2,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、2,7−ナ
フチレン基等を挙げることができる。特にカルボン酸エ
ステル化合物は、分子自体が直線状になることが好まし
く、このため、ナフチレン基としては2,6−ナフチレン
基が好ましい。
なお、このナフチレン基は、例えば、炭素数1〜3程
度のアルキル基などを有していてもよく、このような置
換基を有することによってのカルボン酸エステル化合物
の液晶特性が低下することはない。
このナフチレン基の他の一方の結合手は、上記のRと
結合している。
上記式[A]で表わされるカルボン酸エステル化合物
としては、具体的には、例えば次式[1]〜[4]で表
わされる化合物を挙げることができる。
上記のカルボン酸エステル化合物のうち、次式(VII
I)で表わされる化合物の相転移温度を表1に示す。な
お、表1において、Sm C*はカイラルスメクチックC
相、Sm Aは、スメクチックA相Isoは等方性液体を表わ
す。
上記のようなカルボン酸エステル化合物は、公知の合
成技術を利用して製造することができる。
たとえば、上記のカルボン酸エステル化合物は、以下
に示す合成経路に従って合成することができる。
すなわち、たとえば、6−デシルオキシナフタレン−
2−カルボン酸のようなアルコキシナフタレン−カルボ
ン酸に水素化リチウムアルミニウムのような水素化剤を
作用させることにより6−デシルオキシ−2−ヒドロキ
シメチルナフタレン(I)のようなアルコキシナフタレ
ンのヒドロキシ化合物を得る。
このヒドロキシ化合物(I)と活性二酸化マンガンの
ような酸化剤とを反応させることにより6−デシルオキ
シナフタレン−2−アルデヒド(II)のようなアルコキ
シナフタレンアルデヒドを得る。
一方、p−トルイル酸と、N−ハロコハク酸イミドな
どのハロゲン化剤とをジベンゾイルパーオキサイドのよ
うな反応開始剤の存在下に反応させることにより4−
(ハロメチル)安息香酸(III)のようなハロゲン化物
を得る。
このハロゲン化物(III)とメタノールのようなアル
コールとのエステル化反応により、4−(ハロメチル)
安息香酸アルキルエステル(IV)を得る。この4−(ハ
ロメチル)安息香酸アルキルエステル(IV)とトリフェ
ニルホスフィンとを反応させることにより、(アルコキ
シカルボニルベンジル)トリフェニルホスホニウムハラ
イドのようなハライド(V)を得る。
そして、前記した6−デシルオキシナフタレン−2−
アルデヒド(II)のようなアルコキシナフタレンアルデ
ヒドと、(アルコキシカルボニルベンジル)トリフェニ
ルホスホニウムハライド(V)のようなハライドとを反
応させることにより、ビニレン基でフェニレン基とナフ
チレン基とが結合された式(VI)で表わされるシス−ト
ランス異性体混合物(VI)を得る。
このシス−トランス異性体混合物(VI)と水素とを、
パラジウム−カーボンなどの水素化触媒の存在下に接触
させて、シス−トランス異性体混合物(VI)の中心付近
にあるビニレン基を水素化して式(VII)で表わされる
化合物を得る。
この化合物(VII)と1−トリフロロメチルヘキサノ
ール−1のような不整炭素原子を有するα−トリフロロ
メチルアルコールとを反応させることにより本発明で使
用されるカルボン酸エステル化合物(VIII)を得ること
ができる。
例えば上記のようにして得られた式[A]で表わされ
るカルボン酸エステル化合物が光学活性を有する場合に
は、このカルボン酸エステル化合物は、強誘電性液晶化
合物としての特性を示すようになる。
上記のようなカルボン酸エステル化合物中には、室温
付近ないし氷点下の温度でスメクチック相を示す化合物
が多い。
従来、液晶化合物を単独で使用した場合に、この化合
物20℃以下の温度でスメチック相を示す液晶化合物はほ
とんど知られていない。
そして、このようなカルボン酸エステル化合物を含有
する液晶組成物は、スメクチック相を示す温度が低いだ
けでなく、このような液晶組成物を用いて製造された光
スイッチング素子は、高速応答性にも優れている。
本発明で用いれる液晶組成物は、上記のようなカルボ
ン酸エステル化合物を少なくとも一種類含有している。
本発明で使用される液晶組成物においては、上記のカ
ルボン酸エステル化合物[A]を、例えば、カイラルス
メクチック液晶組成物の主剤あるいは、他のスメクチッ
ク相を示す化合物を主剤とする液晶組成物の助剤として
使用する。
また、本発明で用いられるカルボン酸エステル化合物
のように強誘電性を示す液晶化合物は、電圧を印加する
ことにより、光スイッチング現象を起こすので、この現
象を利用することにより、応答性のよい表示装置を作製
することができる(例えば特開昭56−107216号公報、特
開昭59−118744号公報参照)。
そして、このような表示装置に使用される強誘電性液
晶化合物は、カイラルスメクチックC相、カイラルスメ
クチックF相、カイラルスメクチックG相、カイラルス
メクチックH相、カイラルスメクチックI相、カイラル
スメクチックJ相、カイラルスメクチックK相のいずれ
かの相を示す化合物であるが、カイラルスメクチックC
相(Sm C*相)以外ではこのような液晶化合物を用いた
表示素子は一般に応答速度が小さいため、従来では応答
速度の大きいカイラルスメクチックC相で駆動させるこ
とが実用上有利であるとされていた。
しかしながら、本発明者らが既に提案したようなスメ
クチックA相における表示素子の駆動法(特願昭62−15
7808号明細書参照)を利用することにより、強誘電性組
成物は、カイラルスメクチックC相だけでなくスメクチ
ックA相で使用することができる。従って、上記のよう
なカルボン酸エステル化合物を含有している本発明の液
晶組成物を用いることにより、液晶素子の液晶温度が広
くなり、さらに電気光学対応性が高速化する。
表2に上記のようなカルボン酸エステル化合物を用い
ることにより、液晶組成物の相転移温度が低下する例を
示す。表2に示すように、カルボン酸エステル化合物と
して、(+)6−デシルオキシ−2−[2−{4−
((1−トリフロロメチル)ヘプチル)オキシカルボニ
ル}フェニル]エチル−ナフタレンを使用し、この化合
物を用いることにより(B)として表記した液晶物質 (ここでAmは を表わす) の相転移温度が低下する。具体的には、Cry−Sm C*の相
転移温度は27℃から−30℃に低下し、さらにSm C*−Sm
Aの相転移温度は、30℃から15℃に低下し、またSm A−I
soの相転移温度は58℃から36℃に低下する。
本発明で使用される液晶組成物において、上述のよう
にカルボン酸エステル化合物は、主剤として使用するこ
ともでき、また助剤として使用することもできる。すな
わち、本発明で使用される液晶組成物を使用する場合に
は、上記式[A]で表わされる液晶化合物の含有率は、
用いられる液晶化合物の特性、組成物の粘度、動作温
度、用途などを考慮して適宜設定することができる。得
意液晶組成物中における液晶物質の合計重量に対して、
このカルボン酸エステル化合物を1〜99重量%の範囲、
好ましくは5〜75重量%の範囲の量で用いることが望ま
しい。
また、上記式[A]で表わされるカルボン酸エステル
化合物は、液晶組成物中に1種または2種以上配合され
ていてもよい。
本発明で使用される液晶組成物において、上記式
[A]で表わされるカルボン酸エステル化合物と共に配
合することができるカイラルスメクチックC相を呈する
化合物の例としては、(+)−4′−(2″−メチルブ
チルオキシ)フェニル−6−オクチルオキシナフタレン
−2−カルボン酸エステル、4′−デシルオキシフェニ
ル−6−((+)−2″−メチルブチルオキシ)ナフタ
レン−2−カルボン酸エステル、 を挙げることができる。
さらに、上記のカイラルスメクチックC相を呈する化
合物以外の化合物で、上述の式[A]で表わされるカル
ボン酸エステル化合物を配合することにより、液晶組成
物を構成することができる液晶化合物の例としては、 などのシッフ塩基系液晶化合物、 などのアゾキシ系液晶化合物、 などの安息香酸エステル系液晶化合物、 などのシクロヘキシルカルボン酸エステル系液晶化合
物、 などのビフェニル系液晶化合物、 などのターフェニル系液晶化合物、 などのシクロヘキシル系液晶化合物 および などのピリジン系液晶化合物に代表されるネマチック系
の液晶化合物をはじめとして、さらに塩酸コレステリ
ン、ノナン酸コレステリンおよびオレイン酸コレステリ
ンなどのコレステリック系の液晶化合物ならびに公知の
スメクチック系の液晶化合物を挙げることができる。
なお、上記の液晶物質中には、上記のカルボン酸エス
テル化合物および他の液晶化合物に加えてさらに、たと
えば、電導性賦与剤および寿命向上剤など、通常の液晶
組成物に配合することができる添加剤を配合してもよ
い。また色素の二色性を利用した駆動方式の液晶素子に
使用する場合には、二色性色素を配合することもでき
る。
本発明で用いられる液晶組成物は、上記のカルボン酸
エステル化合物ならびに所望により他の液晶および添加
剤を混合することにより製造することができる。
本発明の液晶素子は、基本的には、上記のようなセル
の間隙に上記のカルボン酸エステル化合物を含む液晶物
質を充填することにより製造することができる。
液晶物質は、通常、溶融状態になるまで加熱され、こ
の状態で内部が真空にされたセルの間隙に充填(注入)
される。
このようにして液晶物質を充填した後、通常は、密封
する。
次いで、このように密封されたセルを、セル内の液晶
物質が等方相を示す温度以上の温度に加熱し、その後、
この液晶物質が液晶相を示す温度にまで冷却する。
そして、この冷却の際の降温速度を2℃/分以下にす
ることが好ましい。特にこの降温速度を0.1〜2.0℃/分
の範囲内にすることが好ましく、さらに0.1〜0.5℃/分
の範囲内にすることが特に好ましい。このようにセルを
冷却する際に、冷却速度を上記のようにすることによ
り、初期配向性に優れ、配向欠陥のないモノドメインか
らなる液晶相を有する液晶素子が得られる。ここで初期
配向性とは、液晶素子に電圧の印加等を行なって液晶物
質の配向ベクトルを変える前の液晶物質の配列状態をい
う。
このようにして得られた液晶素子は、コントラスト等
が著しく優れている。
本発明に係る液晶素子を用いて、例えばホワイトテイ
ラー型カラー表示用ディバイス、コレステリックネマチ
ック相転移型表示用ディバイス、TN型セルにおけるリバ
ースドメイン発生防止用ディバイス等の液晶表示装置、
および電気光学表示装置を製造することができる。
また、本発明に係る液晶素子のうち、スメクチック相
を呈する液晶組成物が充填された液晶素子は、熱書き込
み型表示装置、レーザー書き込み型液晶表示素子などの
記憶型液晶表示素子として使用することができ、このよ
うな液晶素子を用いて液晶表示装置あるいは電気光学表
示装置を製造することができる。
さらに強誘電性を有するカルボン酸エステル化合物を
含有する液晶組成物を用いることにより、上記のような
用途の他、光シャッターや液晶プリンターなどの光スイ
ッチング素子、圧電素子および焦電素子等の液晶素子と
して使用することができ、このような液晶素子を用いて
液晶表示装置あるいは電気光学表示装置を製造すること
ができる。
すなわち、本発明で使用される液晶物質を用いてカイ
ラルスメクチックC相を形成させること、カイラルスメ
クチックC相は、双安定性を示す。したがって、2つの
安定状態間を電界反転させることにより、この液晶素子
を用いて光スイッチングおよび表示を行なうことができ
る。
また、このようなカイラルスメクチックC相を示す強
誘電性の液晶物質は自発分極を有するから、一度電圧を
印加すると電界消去後もメモリー効果を有する。そこで
このメモリー効果を利用すれば液晶素子に電圧を印加し
続ける必要がないので、このような液晶素子からなる表
示ディバイスでは消費電力の低減を図ることができる。
さらに、この場合、表示ディバイスのコントラストは安
定し、しかも非常に鮮明になる。
また、このカイラルスメクチック液晶組成物(化合
物)を用いて得られたスイッチング素子は、分子の配向
方向を変えるだけでスイッチングが可能であり、この場
合に電界強度の一次項が駆動に作用するため、液晶素子
を低電圧で駆動させることができる。そして、このスイ
ッチング素子を用いれば、数十マイクロ秒以下の高速応
答を実現できるので、各素子の走査時間は大幅に短縮さ
れ、走査線の多い大画面のディスプレイ(液晶表示装
置)を製造することができる。しかも、このディスプレ
イは、室温あるいはそれ以下の低温においても作動する
ので、温度コントロールのための補助手段を用いること
なく、容易に走査させることができる。
さらに、本発明の液晶素子に用いられる液晶物質は、
双安定性を示さないスメクチックA相においても、電界
が加わると、誘起的に分子が傾くので、この性質を利用
して光スイッチングを行なうことができる。
強誘電性液晶化合物は、液晶物質の構造上からはカイ
ラルスメクチックC相、カイラルスメクチックF相、カ
イラルスメクチックG相、カイラルスメクチックH相、
カイラルスメクチックI相、カイラルスメクチックJ相
またはカイラルスメクチックK相のいずれかの相を呈す
るが、カイラルスメクチックC相(Sm C*相)以外では
このような液晶化合物を用いた液晶素子は一般に応答速
度が小さいため、従来では応答速度の大きいカイラルス
メクチックC相で駆動させることが実用上有利であると
されていた。しかしながら、本発明者らが既に提案した
ようなスメクチックA相における表示素子の駆動法およ
びスメクチックA相で駆動させることができる表示素子
(特願昭62−157808号)によれば、上記のようなカイラ
ルスメクチックC相のみならずスメクチックA相でも駆
動させることができる。
さらに、本発明の液晶素子に用いられる液晶物質は、
カイラルスメクチックC相よりも高い秩序をもっている
カイラルスメクチックF相などの液晶相においても、2
つ以上の安定状態を示すのでスメクチックA相の場合と
同様に光スイッチングを行なうことができる。
本発明の液晶素子を用いた表示方法の例としては、具
体的には以下に示す方法を挙げることができる。
第1の方法は、本発明の液晶素子を2枚の偏光板の間
に介在させ、この液晶素子に外部電界を印加し、強誘電
性液晶化合物の配向ベクトルを変えることにより、2枚
の偏光板と強誘電性液晶化合物の複屈折とを利用して表
示を行なう方法である。
本発明の液晶素子を用いた第2の表示方法は、液晶物
質として、二色性色素が配合された液晶組成物を用い、
色素の二色性を利用する方法であり、この方法は、強誘
電性液晶組成物中の分子の配向方向を変えることにより
色素による光の吸収波長を変えて表示を行なう方法であ
る。この場合に使用する色素は通常二色性色素であり、
このような二色性色素の例としては、アゾ系色素、ナフ
トキノン系色素、シアニン系色素およびアントラキノン
系色素等を挙げることができる。
なお、本発明に系る液晶素子は、上記の表示方法の他
に、通常利用されている表示方法で採用することもでき
る。
また、本発明に系る液晶素子を用いて製造された液晶
表示装置および電気光学表示装置は、スタティック駆
動、単純マトリックス駆動および複合マトリックス駆動
などの電気アドレス表示、光アドレス表示、熱アドレス
表示ならびに電子ビームアドレス表示等の駆動方式によ
り駆動させることができる。
発明の効果 本発明の液晶素子は、トリフロロメチル基を有する新
規なカルボン酸エステル化合物を含む液晶物質を用い、
配向制御膜としてポリイミドを用いているため、コント
ラストが特に大きく、しかも動作温度幅が広く、消費電
力が少なく、室温付近ないしそれ以下、たとえば氷点下
の温度でもスメクチック相において作動し、スイッチン
グ速度も大きい。
また、本発明では、前述したような方法で、液晶素子
を製造しているので、上記のように特に優れたコントラ
ストを有する液晶素子を容易に製造することができる。
さらに、このような素子を用いて製造した液晶表示装
置あるいは電気光学表示装置においては、走査時間を大
幅に短縮することができるだけでなく、室温以下の温度
で使用することもできる。
また、本発明で用いられる液晶物質には自発分極を有
するカルボン酸エステル化合物を含有することができる
ので、電界消去後もメモリー効果を持つディバイスを得
ることができる。
このようなディバイスでは、消費電力が少なく、安定
したコントラストが得られる。また低電圧駆動も可能で
ある。このようなディバイスは、カルボン酸エステル化
合物のスメクチック相における双安定性を利用している
ので、室温以下の温度で光スイッチングに好ましく用い
られる。
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施
例に限定されるものではない。
合成例1 式(VIII)で表わされるカルボン酸エステル化合物の
合成 で表わされる化合物(+)6−デシルオキシ−2−[2
−{4−(1−トルフロロメチル)ヘプチルオキシカル
ボニル}フェニル]エチル−ナフタレン(VIII)の合
成。
第1段階 6−デシルオキシ−2−ヒドロキシメチルナフタレン
(I)の合成 水素化リチウムアルミニウム1.0gを無水THF50mlに懸
濁した。この懸濁液に、アルゴン雰囲気下0℃で6−デ
シルオキシナフタレン−2−カルボン酸1.348g(4mmo
l)の無水THF溶液100mlを少しずつ滴下した。滴下後、
室温に昇温し2時間攪拌を行なった。さらに、加熱し還
流下で1時間反応を続行した。
上記のようにして1時間反応を行ない次いで放冷した
後、反応液をエーテル150mlで希釈し、氷浴中、飽和硫
酸ナトリウム水溶液をゆっくりと加え、過剰のLiAlH4
分解し反応を停止させた。
LiAlH4の分解が終了すると、白色固形物が沈澱した。
この固形物をガラスフィルターを用いて濾別し、濾液を
無水硫酸ナトリウムで乾燥し、低沸点物を留去し粗生成
物を得た。
この粗生成物をヘキサン/酢酸エチル混合溶媒[混合
容量比=5:1]から再結晶させて、6−デシルオキシ−
2−ヒドトキシメチルナフタレン(I)1.08gを得た。
収率85.8% 第2段階 6−デシルオキシナフタレン−2−アルデヒド(II)の
合成 上記のようにして得られた6−デシルオキシ−2−ヒ
ドロキシメチルナフタレン84mg(0.43ミリモル)をクロ
ロホルム10mlに溶解し、次いで活性化二酸化マンガン23
5mg(2.57ミリモル)の粉末を加え、室温下激しく攪拌
しながら12時間酸化反応を行なった。
このようにして得られた反応混合物を、濾過助剤とし
てセライトを用いて濾別し、分取された濾液を濃縮し粗
生成物を得た。
この粗生成物をシリカゲル薄層クロマトグラフィー
(溶媒;ヘキサン/エーテル=3/1(容量))を用いて
精製すると、白色結晶として6−デシルオキシナフタレ
ン−2−アルデヒド(III)72.2mgが得られた。収率87
% 第3段階 4−(ブロモメチル)安息香酸(III)の合成 p−トルイル酸 13.6g(100ミリモル)、N−ブロモコハク酸イミド 17.8g(100ミリモル)およびジベンゾイルパーオキサイ
ド1g(4.1ミリモル)を四塩化炭素125ml中に懸濁し、強
力な攪拌下に加熱し還流下(油浴93℃、内温74℃)で2
時間反応を行なうことにより、黄色ミルク状の反応液が
得られた。
この反応液を氷浴で冷却し、析出した結晶物を濾取
し、この結晶物をヘキサンを用いて洗浄した。さらに、
この結晶物を水で洗浄後、エタノールで再結晶し、白色
針状晶の4−(ブロモメチル)安息香酸(III)14.6gを
得た。収率67.7% 第4段階 4−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(IV)の
合成 4−(ブロモメチル)安息香酸(III)とメタノール
とを酸性触媒下に加熱還流してエステル化することによ
り4−(ブロモメチル)安息香酸メチルを得た。
第5段階 (メチルオキシカルボニルベンジル)トリフェニルホル
ホニウムブロマイド(V)の合成 上記第4段階で合成した4−(ブロモメチル)安息香
酸メチルエステル(IV)2.61g(11.4ミリモル)とトリ
フェニルホスフィン3.0g(11.45ミリモル)とを、ベン
ゼン100mlに溶解し、攪拌下に還流温度まで昇温し、2
時間反応を行なった。
その後、氷水を用いて冷却し、析出した結晶を吸引濾
取した。
得られた結晶をベンゼンから再結晶することにより白
色結晶のホスホニウム塩(V)2.43gを得た。収率43% 第6段階 (VI)の合成 第2段階で得られた6−デシルオキシナフタレン−2
−アルデヒド(II)475mg(2.47ミリモル)と、ホスホ
ニウム塩(V)1215mg(2.47ミリモル)を塩化メチレン
10mlに溶解し、この溶液に水酸化カリウム140mg(2.5ミ
リモル)の0.5ml水溶液を室温下に、少しずつ滴下し
た。
このように水酸化カリウムを滴下することによってト
リフェニルホスフィンオキシドが生成し、反応液が乳白
色に懸濁した。滴下終了後、さらに2時間反応を続行し
た。
反応終了後、濾過し、分取された濾液を濃縮し、残査
をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、シス
−トランス混合物(VI)を519mgを得た。収率52% なお、得られた反応物の一部を取り、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、シ
ス形とトランス形との異性体構成比は4:1であった。
第7段階 (VII)の合成 第6段階で合成したシス−トランス混合物(VI)を、
触媒として5%パラジウム−カーボン触媒を使用し、溶
媒としてエタノールを用いて室温下、常圧で水素をバブ
リングしながら化合物(VI)の中心部にあるオレフィン
性二重結合の水素化を行なった。Pd−C触媒を濾過助材
セライトを用いて除いた後、濾液を濃縮したところ、エ
ステル化合物(VII)がほぼ定量的に得られた。
収率100% 第8段階 (VIII)の合成 第7段階で得られたエステル化合物(VII)446mg(1
ミリモル)、R−1−トリフルオロメチルヘプタノール
368mg(2ミリモル)およびt−ブトキシカリウム11mg
(0.1ミリモル)をベンゼン20ml中に入れ、還流下に25
時間反応させた。冷却後、不溶物を濾別した後、ベンゼ
ン層を水洗し、次いで濃縮した。得られた濃縮物をカラ
ムクロマトグラフィーを用いて分離することにより、白
色の固体360mg(融点37〜39℃)を得た。収率60モル% この固体のFD−マススペクトルの値はM/e=599であっ
た。
このようにして得られたカルボン酸エステル化合物
(VIII)のNMRのチャートを第2図に示す。
上記のようにして合成した(+)6−デシルオキシ−
2−[2−{4−(1−トリフロロメチル)ヘプチルオ
キシカルボニル}フェニル]エチル−ナフタレン(VII
I)の相転移温度を測定した。結果を表3に示す。
液晶組成物の調製 次いで、上記のようにして得られた式(VIII)で表わ
されるカルボン酸エステル化合物と、次式(B)で表わ
される化合物とを43:57の重量比で混合して液相組成物
を製造した。
但しAmは この組成物の相転移温度を測定した。結果を表3に併
せて記載する。
さらに上記式(B)で表わされる化合物の相転移温度
も表3に併せて記載する。
実施例1 第1図に示すように透明電極基板の内面に配向制御方
向が同一方向となるように2枚のラビングしたポリイミ
ド(日立化成工業(株)製PIQ−5400)からなる配向制
御膜(厚さ:150Å)が形成されているセルに、上記合成
例1で製造したカルボン酸エステル化合物(VIII)を溶
融し、セルの間隙を減圧状態にして注入した。
このようにして液晶物質を充填したセルを60℃まで加
熱し、60℃で5分間保持した後、1℃/分の速度で−10
℃まで冷却して液晶素子を製造した。
得られた液晶素子のコントラストを測定したところ5
であった。
セル条件(イ)外形寸法;たて2.5cm×横2.2cm×厚さ1.
5mm、 (ロ)基板;厚さ0.7mm、基板材質(ガラス) (ハ)基板間距離;2μm (ニ)側壁寸法;たて1.8cm×横0.1cm×厚さ2μm 液晶の評価用に用いる上記のセルは以下の方法で作成
した。ITO透明電極膜付きのガラス基板上にポリイミド
塗布を行なった。すなわちポリイミド(日立化成工業
(株)製、PIQ−5400)をスピンコート法によってITO透
明電極の上に塗布した。ポリイミドはN−メチルピロリ
ドンを溶媒として1.2%に薄め2000rpmでスピンコートし
た。これを325℃で30分間加熱し硬化させたところ150〜
200Aの膜厚のポリイミド膜が作成できた。この後ポリイ
ミド膜をナイロン布で一方向に擦ることにより液晶配向
性を与えた。
このようにして作成したポリイミド膜塗布済みガラス
基板を二枚重ね合わせて評価用セルを作成した。まずポ
リイミド膜を塗布したガラス基板の上に、二枚の基板の
接着とセルギャップを制御するためにエポキシ系接着剤
をシルク印刷により塗布した。エポキシ系接着剤は接着
剤主剤(EHC(株)製、LCB−304B)、硬化剤(EHC
(株)製、LCB−310B)とセルギャップ制御のためのビ
ーズ(EHC(株)製、GP−20)を138:30:3に混合して用
いた。二枚のガラス基板のうち一枚にはエポキシ系接着
剤を塗布し、互いにポリイミド膜が向かい合うように貼
合わせた。これを以下の硬化条件に従って硬化させた。
すなわち50℃−15分、60℃−15分、70℃−15分、80℃−
15分、125℃−30分、170℃−60分である。
このように作成したセルギャップ約2μmの評価用セ
ルを用いて液晶を評価した。
なお、本発明においてコントラストは直交する偏光子
の間に液晶素子を置き、この液晶素子を回転して得られ
る明時と暗時の透過光強度を測定してI(明時)/I(暗
時)の比を算出し、求めた。
実施例2 実施例1において、冷却速度を0.1℃/分に変えた以
外は実施例1と同様にして液晶素子を製造した。
この液晶素子のコントラストは9であった。
実施例3 実施例1において、カルボン酸エステル化合物に代え
て、前記「液晶組成物の調製」で得られた組成物を用
い、冷却速度を0.1℃/分に変えた以外は実施例1と同
様として液晶素子を製造した。
この液晶素子のコントラストは13であった。
実施例4 実施例1において、冷却速度を10℃/分に変えた以外
は実施例1と同様にして液晶素子を製造した。
得られた液晶素子のコントラストは1であり、降温速
度が高いためにコントラストが幾分低下する傾向が見ら
れた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の液晶素子の断面を概略的に示す図で
ある。 1a,1b……透明基板(ガラス、ポリカーボネートなどの
透明プラスチック) 2……セルの間隙 3……セル 4……液晶物質 5a,5b……電極(酸化インジウム−スズなど) 6a,6b……配向制御膜 8……スペーサ 第2図は本発明で用いることができる液晶組成物に含ま
れているカルボン酸エステル化合物(VIII)のNMRチャ
ートである。
フロントページの続き (72)発明者 山中 徹 千葉県市原市千種海岸3番地 三井石油 化学工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 19/32 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2枚の基板と、該2枚の基板によって構成
    される間隙とからなるセル、および該セルの間隙に充填
    された液晶物質より構成される液晶素子において、 少なくとも一方の基板の液晶物質と対面する面にポリイ
    ミドからなる配向制御膜が設けられており、 そして、該液晶物質が、下記式[A]で表わされる化合
    物を含むことを特徴とする液晶素子; [ただし、式[A]において、Rは炭素数6〜18のアル
    キル基、炭素数6〜18のアルコキシ基、および炭素数6
    〜18のハロゲン化アルキル基よりなる群から選ばれる一
    種類の基であり、mは1〜10の整数であり、C*は不整炭
    素原子を表わす]。
  2. 【請求項2】該ポリイミドからなる配向制御膜が、配向
    処理された配向制御膜であることを特徴とする請求項第
    1項記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】式[A]におけるRが炭素数6〜18のアル
    コキシ基であり、mが5である請求項第1項記載の液晶
    素子。
  4. 【請求項4】液晶物質が式[A]で表わされる化合物を
    1〜99重量%含んだ液晶組成物である請求項第1項記載
    の液晶素子。
  5. 【請求項5】2枚の基板と、該2枚の基板によって構成
    される間隙とからなるセル、および該セルの間隙に充填
    された液晶物質より構成される液晶素子を製造するに際
    し、 少なくとも一方の基板の液晶物質と対面する面にポリイ
    ミドからなる配向制御膜が設けられているセルを用い、
    該セルの間隙に、下記式[A]で表わされる化合物を含
    む液晶物質を充填した後、該セルを該液晶物質が等方相
    を示す温度以上の温度から液晶を示す温度以下の温度に
    冷却することを特徴とする液晶素子の製造方法; [ただし、式[A]において、Rは炭素数6〜18のアル
    キル基、炭素数6〜18のアルコキシ基、および炭素数6
    〜18のハロゲン化アルキル基よりなる群から選ばれる一
    種類の基であり、mは1〜10の整数であり、C*は不整炭
    素原子を表わす]。
  6. 【請求項6】該セルを該液晶物質が等方相を示す温度以
    上の温度から2℃/分以下の降温速度で液晶を示す温度
    以下の温度に冷却することを特徴とする請求項第5項記
    載の液晶素子の製造方法;
  7. 【請求項7】該配向制御膜が、配向処理された配向制御
    膜であることを特徴とする請求項第5項若しくは第6項
    記載の液晶素子の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項第1項ないし第4項のいずれかの項
    記載の液晶素子を用いた液晶表示装置。
  9. 【請求項9】請求項第1項ないし第4項のいずれかの項
    記載の液晶素子を用いた電気光学表示装置。
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