JP2862838B2 - 光導波路型偏光子 - Google Patents

光導波路型偏光子

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JP2862838B2 JP8212561A JP21256196A JP2862838B2 JP 2862838 B2 JP2862838 B2 JP 2862838B2 JP 8212561 A JP8212561 A JP 8212561A JP 21256196 A JP21256196 A JP 21256196A JP 2862838 B2 JP2862838 B2 JP 2862838B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強誘電体基板表面
に形成された光導波路を利用した光導波路型偏光子に関
するものであり、特に、同じく強誘電体基板表面の光導
波路を応用した高速光変調器等の電気光学デバイスと同
一基板上に偏光作用を持つ部分を作り込み、集積化が可
能な光導波路型偏光子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速光通信システムの主要部品の一つ
に、電気光学効果を有する強誘電体結晶をベースとした
光変調器がある。特に、電気光学効果が大きなニオブ酸
リチウム単結晶、タンタル酸リチウム単結晶或いはその
固溶体単結晶の基板表面に、Ti等のイオンを所望の線
路形状に熱拡散等の方法で添加し、屈折率を周囲基板部
分よりも僅かに上昇させ形成した光導波路と、導波路の
屈折率を電気光学効果を利用して電気的に変調するため
の電極を組み合わせて構成した高速光変調器が一般的で
ある。
【0003】これらの強誘電体結晶は、大きな光学異方
性(屈折率の結晶軸依存性)を持つため、特定の結晶軸
に沿って形成された導波路を伝搬する光波の偏光方向に
依存して、伝搬光が感じる屈折率が異なり、その伝搬速
度が変わる。このような光導波路素子に無偏波の光波を
入力した場合或いは無偏波光として素子から出力させた
場合、出力光強度の消光比の低下や駆動電圧変動等の素
子の安定動作に好ましくない現象が発生する。このた
め、光変調器の導波路に入射される或いは出射される光
波の偏光状態が、一方向に揃えられていることが好まし
い。
【0004】例えば、入射光を偏光させて導波路素子に
導く構造として、導波路の入射端面と入射側光ファイバ
の間に偏光子を挿入する方法がある。特に、薄膜型の偏
光子を挟んで光ファイバを導波路端面に接着する実装方
法では、筐体の封止技術とあいまって、高信頼型の導波
路型光変調器が実現されている。しかし、素子のさらな
る高性能化を図るには、光路に偏光子が挿入されること
により発生する伝搬光強度の損失が無視できなくなる。
【0005】従来法としては、例えば、特開昭62─2
99913号公報にみられるように、光導波路の近傍
に、導波路の屈折率と等しいか或いはほぼ等しい屈折率
を持つ膜を配置し、導波光の一方の偏光を膜を介して導
波路外に放射させるようにした光導波路型偏光子が提案
されており、TE偏波を放射させるには、導波路の脇に
膜を配置し、TM偏波を放射させるには、導波路の下に
膜を配置している。
【0006】また、光路に偏光子が挟まれない別の方法
として、導波路表面に別部材を設置し、この部材中に、
必要でない方向の偏波を導波路中から導き出す或いは吸
収させて除去する等の方法がとられる。図1は、異方性
光学結晶を用いた導波路型偏光子の従来例を示し、Ti
拡散導波路を形成したz面−カットのニオブ酸リチウム
(以下、「LN」と略す。)基板表面に、酸化ニオブ
(Nb2 5)膜を堆積して光導波路型偏光子を構成す
る。この時、LNの異常光屈折率ne (z軸方向)、常
光屈折率no (z−面内)、と酸化ニオブ膜の屈折率n
c は、no >nc >ne の関係にあるので、入射光の偏
波のうち基板面に垂直なTM偏波は、酸化ニオブ膜下を
通過する際に屈折率n e およびnc を感じ、屈折率の大
きな酸化ニオブ側に漏洩していく。一方、基板面に平行
なTE偏波は、屈折率no を感じ、酸化ニオブ膜下を通
過しても、導波路側の屈折率の方が大きいため、導波路
に閉じ込められたまま伝搬する。結果として、出力側に
はTE偏波のみが導波する。このような光導波路偏光子
部分を、例えば、変調器素子の入射側付近に形成するこ
とで、偏光子・変調器集積導波路を作成する。
【0007】また、図2は、金属クラッディングを利用
した導波路型偏光子の従来例を示し、導波路表面に金属
膜を堆積することにより、伝搬光のTM偏波の電界が金
属膜中に深く浸透し大きな吸収を受けることを利用し
て、TE偏波を通過させる光導波路型偏光子を構成して
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】外部偏光子を用いるこ
とによる伝搬光強度の損失を抑制するために提案される
従来法、つまり、基板と全く別の物体を導波路表面に装
荷する方法には、次のような欠点がある。
【0009】金属膜によりTM偏波を吸収させる方法で
は、僅かではあるがTE偏波の電界も金属膜中に浸透し
吸収されるため、伝搬光強度の損失につながる。
【0010】基板の屈折率異方性を利用して、屈折率を
調整した誘電体膜或いはバルク体を導波路表面に装荷す
る方法では、基板と装荷物体の材質が違うために、弾性
定数、熱膨張係数に著しいずれが生じ、基板及び導波路
に内部応力、歪みが導入されてしまう。LNのような強
誘電体基板に応力、歪みが負荷されると、弾性光学効果
により屈折率が変化し、伝搬光の速度が乱されるため、
素子特性が変化してしまう。
【0011】また、基板と装荷物体の材質の違いは、同
様な理由から、高い接合強度を得難く、構成素子の機械
的信頼性の点で問題が生ずる。
【0012】さらに、素子の集積化を図る上で、素子表
面に第2の部材の貼り付けるといった構造及び高低は好
ましくなく、ウェファー単位で一括工程処理できる構
造、面内から大きく突出しない構造、基板結晶に結晶構
造の不連続性を与えない構造が望ましい。従来例であげ
た特開昭62─299913号公報に示される方法は、
この点をも改善した方法であるが、TM偏波を導波路外
に放射させるには、導波路の下にTM偏波を導くための
膜を設ける必要があり、基板結晶の結晶構造に不連続性
を与える可能性がある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記のような欠点を解決
するため、基板中に、光導波路を構成するための第1イ
オンと、偏光作用を導くための第2イオンを添加するこ
とにより、基板の結晶構造をほとんど乱さずに光導波路
形偏光子を構成する。
【0014】特に、基板を強誘電体結晶であるニオブ酸
リチウム、タンタル酸リチウム或いはニオブ酸リチウム
とタンタル酸リチウムとの固溶体により構成し、これら
の結晶において、添加したイオンがLiサイトのNbイ
オン(NbLi) 、LiサイトのLiイオン(LiLi) を
順次置換していく現象、およびイオン種の添加による基
板結晶の屈折率変化の一部が、結晶の弾性光学効果を通
し、添加されたイオンのサイズ効果による結晶歪みに起
因している現象を積極的に利用する。
【0015】本発明は、強誘電体結晶であるニオブ酸リ
チウム、タンタル酸チリウム或いはニオブ酸リチウムと
タンタル酸リチウムの固溶体からなる基板に、Nb(+
5)イオン或いはTa(+5)イオンのイオン半径より
も小さいイオン半径をもつ第1イオンが所望の線路形状
に1種類以上含む材料により形成された光導波路部分
と、該光導波路部分に少なくとも接触して、前記第1イ
オンのイオン半径よりも大きいイオン半径をもつ第2イ
オンが1種類以上含む材料により、形成された補助光導
波路部分とからなることを特徴とする。
【0016】ニオブ酸リチウム等の結晶基板の屈折率を
局所的に大きくし光導波路を形成する方法として、結晶
中に別イオンを添加、イオン置換する方法は既に知られ
た技術であり、種々のイオンについてその効果が検討さ
れてきた。その中で、例えば、Ti(+4)イオンは常
光、異常光いずれの屈折率も上昇させる効果があり、一
方、Ni(+2)イオン、Zn(+2)イオン等は常光
屈折率は上昇させるが、異常光屈折率を低下させる効果
が見出されているが、このような屈折率変化の理由は明
らかでない。
【0017】従来は、各々のイオンを単独で用いTi添
加導波路、Ni添加導波路等を構成することが常識であ
ったが、本発明では、選定されたイオンを基板中に複数
種類添加することにより、偏光子効果を引き出すことが
特徴である。更に、添加されるイオンの大きさに着目す
ると、結晶中に本来存在するNb(+5)イオン或いは
Ta(+5)イオンよりも大きいイオンを添加すること
で、異常光屈折率が減少する効果が得られる。なぜなら
ば、この結晶中では、陽イオンは、Z軸位置自由度しか
許されておらず、つまりZ軸方向に変位して分極が生ず
る。分極が小さくなると屈折率は小さくなる。従って、
元の結晶のLi位置を部分置換しているNb(+5)イ
オンよりも大きいイオンが添加されると、イオンサイズ
が大きいため、そのZ軸方向の変位量は小さくなり、分
極量も小さくなって、分極方向、つまりZ方向の屈折率
である異常光屈折率のみが小さくなることになる。
【0018】主に光導波効果を導きだす第1イオンとし
て、Nb(+5)イオン或いはTa(+5)イオンのイ
オン半径よりも小さいイオン半径をもつイオンを選ぶ。
Nb(+5)イオン、Ta(+5)イオンのイオン半径
は、いずれも0.64Å程度であり(Shannon, Acta Cr
yst.A32,751(1976)による)、第1イオン
としてTi(+4)イオン(イオン半径0.605Å)
があげられる。Li(+1)イオンのイオン半径は0.
76Åであるため、第1イオンは、NbLiサイト、Li
Liサイトを、結晶に大きな歪みをもたらすことなく置換
する。さらにこのような第1イオンは、常光屈折率を上
昇させる他、Z軸方向の変位も大きくなるので、異常光
屈折率も上昇させる効果がある。。
【0019】偏光効果を導くための第2イオンには、前
記第1イオンよりも大きいイオン、さらに好ましくはN
b(+5)イオンあるいはTa(+5)イオンよりも大
きいイオンを選ぶ。このようなイオンとして、Ni(+
2)イオン(イオン半径0.69Å)、Cu(+2)イ
オン(イオン半径0.73Å)、Zn(+2)イオン
(0.74Å)等があり、前記の効果により、常光屈折
率のみ上昇し、異常光屈折率はほとんど変化しないか或
いは減少する。
【0020】以上の、第1イオン、第2イオンを添加す
るという本発明の効果により、第1イオン添加部分より
なる光導波路中を伝搬する光波の偏波成分のうち、常光
屈折率を感じる偏波成分のみが、第2イオン添加により
同じく常光屈折率が上昇した前記導波路外、つまり補助
光導波路に導かれ、逆に異常光屈折率を感じる偏波成分
は、導波路周囲の異常光屈折率が第2イオン添加により
無添加の場合よりも減少した効果により、導波路内にさ
らに強く閉じ込められて伝搬する。つまり、伝搬光から
特定の偏光成分を取り出すことができる。
【0021】上記偏光効果を得るには、第1イオンを添
加した部分と、第2イオンを添加した部分とが互いに重
なり合っていてもよい。
【0022】結晶中に、例えば、一部の希土類イオンの
ように、Li(+1)イオンよりも大き過ぎるイオンが
置換されると、結晶歪みが大きくなり過ぎ、また拡散法
等でイオン添加に要するプロセス時間が長くなるため、
第1イオン及び第2イオンが、遷移金属より選ばれるこ
とが好ましい。
【0023】このような光導波路型偏光子の応用とし
て、上記光導波路型偏光子を同一基板上に一部または全
部に組込まれた音響光学効果あるは電気光学効果を利用
した導波路型素子(以下「アクティブデバイス」と略
す。)があり、前記光導波路が上記第1イオンの添加に
より形成されていることにより、基板に第1イオンを添
加するという一回の操作で、偏光子部分(以下「パッシ
ブデバイス」と略す。)アクティブデバイス部分に共通
の光導波路を作り込み、導波路デバイスの集積化が容易
となる。この時、アクティブデバイス部分の性能に弊害
のない限りにおいて、第2イオンがアクティブデバイス
部分に重なっていてもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】本願の発明は、強誘電体結晶であ
るニオブ酸リチウムからなる基板に、Nb(+5)イオ
ンのイオン半径よりも小さいイオン半径をもつ第1イオ
ンが1種類以上含まれる材料により、所望の線路形状に
形成された光導波路部分と、該光導波路部分に少なくと
も接触して、前記第1イオンのイオン半径よりも大きい
イオン半径をもつ第2イオンが1種類以上含まれる材料
により、形成された補助光導波路部分と、を具えること
を特徴とする。
【0025】本願の発明は、強誘電体結晶であるタンタ
ル酸リチウムからなる基板に、Ta(+5)イオンのイ
オン半径よりも小さいイオン半径をもつ第1イオンが1
種類以上含まれる材料により、所望の線路形状に形成さ
れた光導波路部分と、該光導波路部分に少なくとも接触
して、前記第1イオンのイオン半径よりも大きいイオン
半径をもつ第2イオンが1種類以上含まれる材料によ
り、形成された補助光導波路部分とを具えることを特徴
とする。
【0026】本願の発明は、強誘電体結晶であるニオブ
酸リチウムとタンタル酸リチウムの固溶体からなる基板
に、Nb(+5)イオンのイオン半径よりも小さいイオ
ン半径をもつ第1イオンが1種類以上含まれる材料によ
り、所望の線路形状に形成された光導波路部分と、該光
導波路部分に少なくとも接触して、前記第1イオンのイ
オン半径よりも大きいイオン半径をもつ第2イオンが1
種類以上含まれる材料により、形成された補助光導波路
部分と、を具えることを特徴とする。
【0027】本願の発明は、第1イオンが1種類以上含
まれる材料により形成された光導波路部分と、第2イオ
ンが1種類以上含まれる材料により、形成された補助光
導波路部分とが互いに重なり合っていることを特徴とす
る。本願の発明は、第1イオンおよび第2イオンが、遷
移金属より選定されることを特徴とする。本願の発明
は、第1イオンが、Tiであり、第2イオンが、Niで
あることを特徴とする。本願の発明は、第1イオンが、
Tiであり、第2イオンが、Cuであることを特徴とす
る。本願の発明は、第1イオンが、Crであり、第2イ
オンが、Niであることを特徴とする。本願の発明は、
該光導波路型偏光子が同一基板上に組込まれた、音響光
学効果あるいは電気光学効果を利用した導波路型素子で
あることを特徴とする。
【0028】本願の発明において、素子応用に供する単
結晶強誘電体基板としては、コングルエント組成のニオ
ブ酸リチウムが一般的であり、この基板を例に、本願の
発明を説明するが、同じ結晶構造をとるタンタル酸リチ
ウム及びニオブ酸リチウムとタンタル酸リチウムの固溶
体についても、同様な効果を得ることができる。
【0029】
【実施例】
実施例1 図3は、本発明の導波路型偏光子の実施例を示す。z−
面カットニオブ酸リチウム基板1に、Tiイオンを添加
した光導波路部分2と、この光導波路部分2の途中両脇
に、該光導波路部分2に接触して、Niイオンを添加し
た補助光導波路3を形成した。
【0030】本実施例においては、光導波路部分2は、
金属Tiを厚さ740Å、幅7μm、長さ60mmに真
空蒸着し、これを酸素気流中、980℃で、20時間熱
処理して、基板中にTiイオンを拡散させ製造した。
【0031】金属Tiの蒸着厚さ、幅、および熱拡散処
理条件は、波長1.5μmの光がシングルモードで伝搬
できる光導波路を製作する条件の一例である。
【0032】次に、Ti拡散光導波路部分2の途中の両
脇に、金属Niを厚さ500Å、幅50μm、長さ5m
mに真空蒸着し、これを酸素気流中、850℃で10時
間熱処理して、基板中にNiイオンを拡散させ、前記T
i拡散光導波路部分に接触するように補助光導波路部分
3を設けた。
【0033】上記Ti拡散光導波路部分2及びNi拡散
補助光導波路部分3を設けた効果を、次に説明する。図
5は、LN基板に、Ti、Ni及びTi+Niを拡散し
た光導波路部分とLN基板の異常光屈折率と拡散温度と
の関係図を示す。
【0034】図5は、別のz−面カットニオブ酸リチウ
ム基板に、金属Tiを厚さ740Å真空蒸着し、酸素気
流中、980℃で、20時間熱処理して、基板中にTi
イオンを拡散させた部分と、基板が露出した面および前
記Tiイオン拡散部分とも一部重なるように金属Niを
厚さ500Å真空蒸着し、酸素気流中、850〜100
0℃で、10時間熱処理して基板中にNiイオンを拡散
させた部分を設け、室温で測定したTiイオン拡散部分
(▲:拡散温度980℃)、980℃でのTiイオン拡
散後の何も拡散されていない基板部分(●)、種々の温
度で処理したNiイオン拡散部分(○)及びNiとTi
の両方のイオンが拡散された部分(他の実施例2の説明
で使う:□)の異常光屈折率の値である。
【0035】図6は、上記の場合のLN基板に、Ti、
Ni及びTi+Niを拡散した光導波路部分とLN基板
の常光屈折率と拡散温度との関係図を示す。
【0036】図3のTi拡散光導波路部分の屈折率は、
図5及び図6の「▲」に相当し、また図3のNi拡散補
助光導波路部分の屈折率は、Ti拡散部分と重ならない
ように、850℃で拡散させたNiイオン拡散部分、つ
まり「○:850℃」に相当する。
【0037】図5及び図6の測定結果より、Niイオン
を基板中に拡散し、添加することにより、基板の異常光
屈折率は低下し(図5●と○の比較)、常光屈折率は上
昇する(図6●と○の比較)ことがわかる。
【0038】図3に示される実施例において、Tiイオ
ン拡散光導波路部分とNiイオン拡散補助光導波路部分
との異常光屈折率差(図5▲と○:850℃の差)は、
無添加基板部分との差(図5▲と●の差)に比較して大
きくなっており、補助光導波路部分が付随した光導波路
部分で、異常光屈折率を感じる偏波成分(図3のz−面
カットニオブ酸リチウム基板の例ではTM偏波)の閉じ
込めが強くなっている。
【0039】逆に、Niイオン拡散補助導波路部分での
常光屈折率の増大により、常光屈折率を感じる偏波成分
(図3のz−面カットニオブ酸リチウム基板の例ではT
E偏波)の閉じ込めは緩くなり、TE偏波成分は光導波
路部分から補助導波路部分に漏洩する。
【0040】このような効果により、図3の実施例に示
した導波路型偏光子で、TM偏光を優先的に伝搬させる
ことができた。
【0041】実施例2 図4は、本発明の他の実施例を示す。z−面カットニオ
ブ酸リチウム基板1に、Tiイオンを添加した光導波路
部分2と、この光導波路部分2の途中に、Niイオンを
添加した補助光導波路3を一部重ねて形成した。本実施
例において、光導波路部分2は、金属Tiを厚さ740
Å、幅7μm、長さ60mmに真空蒸着し、これを酸素
気流中、980℃で、20時間熱処理して、基板中にT
iイオンを拡散させ形成した。
【0042】次に、Ti拡散光導波路部分2途中の両脇
に、金属Niを厚さ500Å、幅107μm(光導波路
部分との重なりを含む)、長さ5mmに真空蒸着し、こ
れを酸素気流中、900℃で、10時間熱処理して、基
板中にNiイオンを拡散させ、Ti拡散光導波路部分2
に一部重なるように補助光導波路部分3を形成した。
【0043】上記Ti拡散光導波路部分2及びNi拡散
補助光導波路部分3の効果を、図5及び図6を用いて説
明する。
【0044】図4のNi補助光導波路3と重なっていな
いTi拡散光導波路部分の屈折率は「▲」に相当し、ま
た図4のNi拡散補助光導波路部分3の屈折率は、Ti
拡散部分と重ならないように850℃で拡散させたNi
イオン拡散部分、つまり「○:900℃」に相当する。
さらに、両導波路部分が重なった部分の屈折率は「□:
900℃」に相当する。
【0045】図5及び図6の測定結果より、Niイオン
が重なって添加されたTiイオン拡散光導波路部分で
は、Tiイオンのみが添加された光導波路部分に比べ、
異常光屈折率がわずかに低下し(図5▲と□の比較)、
常光屈折率はわずかに上昇する(図6▲と□の比較)こ
とがわかる。
【0046】このような重ね合わせによる光導波路部分
の屈折率変化があるが、図4の実施例の(Ti+Ni)
イオン拡散光導波路部分とNiイオン拡散補助光導波路
部分との異常光屈折率差(図5□:900℃と○:90
0℃の差)は、Tiイオン拡散光導波路部分と無添加基
板部分との差(図5▲と●の差)に比較して大きくなっ
ており、補助光導波路部分が付随した光導波路部分で、
異常光屈折率を感じる偏波成分(図4のz−面カットニ
オブ酸チリウム基板の例ではTM偏波)の閉じ込めが強
くなっている。
【0047】逆に、Niイオン拡散補助光導波路部分で
の常光屈折率の増大により、常光屈折率を感じる偏波成
分(図4のz−面カットニオブ酸リチウム基板の例では
TE偏波)の閉じ込めは緩くなり、TE偏波成分は光導
波路部分から補助光導波路部分に漏洩し易くなってい
る。
【0048】このような効果により、図4の実施例に示
した光導波路型偏光子においても、TM偏光を優先的に
伝搬させることができた。
【0049】実施例3 図4の変形例の、本発明の更に他の実施例を示す。x−
面カットニオブ酸リチウム基板に、Tiイオン拡散光導
波路部分と、これに重ね合わせたNiイオン拡散補助光
導波路部分の組み合わせで製造した。
【0050】光導波路部分は、基板のy−軸方向に厚さ
740Åの金属Tiを幅7μm、長さ30mmにわたっ
て蒸着し、酸素中、温度980℃で、20時間で拡散し
製造した。
【0051】さらに基板の一方の端から長さ10mmに
わたって光導波路部分及び基板部分表面に金属Niを5
00Å真空蒸着し、酸素中、900℃で、10時間し、
補助光導波路部分を製造した。
【0052】Tiイオン拡散光導波路部分の両端を研磨
し、Niイオンが添加されていない側から光を入射(入
射光強度は、800μW)して、他端で出力光の強度を
モニターした結果、TE偏光状態での出力光強度は、2
1μW、TM偏光状態での出力光強度は、7μWであ
り、TE偏光が優先して伝搬していることを確認した。
【0053】得られた出力光強度は弱いものであった
が、これは、本実施例のように光導波路部分と補助光導
波路部分が重なった形態の場合、実施例2において、図
5及び図6を用いて説明したように、第1イオン(T
i)添加光導波路中への第2イオン(Ni)の追添加に
より、光導波路部分の屈折率が一部変化し、補助光導波
路部分が接触している実施例1(図3)の構成に比べ、
本発明の目的である異常光屈折率を感じる偏波の閉じ込
め効果が弱くなるとともに、同じく多重イオン添加部分
の屈折率変化により、光導波路を伝搬してきた光波がこ
の部分で散乱され易いためと考えられる。
【0054】したがって、本実施例では、重なり部分の
屈折率変化がほとんどないイオンの添加条件を選んでや
る必要がある。又は図3の形態とすることが、より好適
である。
【0055】実施例4 図3と同様な形態の導波路型偏光子を、ニオブ酸リチウ
ム(LN)基板上に、第1イオンにTi(4+)、第2
イオンにCu(2+)を用いて製造した。
【0056】光導波路部分を設けたz−面カットおよび
x−面カット基板の表面に、金属Cuを厚さ500Å真
空蒸着し、酸素気流中、850℃及び900℃で10時
間熱拡散させて製造した。Cuイオン拡散補助光導波路
部分の常光及び異常光屈折率を表1に示す。表1中に
は、対応する無添加基板について測定した屈折率も示し
た。
【0057】Cu(2+)イオンの添加による補助光導
波路部分においても、Ni(2+)添加の場合と同様
に、常光屈折率は上昇し、逆に異常光屈折率は減少して
おり、異常光屈折率を感じる偏波を優先的に伝搬させる
偏光子を得ることができた。
【0058】
【表1】
【0059】実施例5 図3と同様な形態の導波路型偏光子を、ニオブ酸リチウ
ム基板上に、第1イオンとして、Cr(3+)(イオン
半径 0.615Å)、第2イオンとして、Ni(2
+)を用いて製造した。
【0060】光導波路部分は、基板上に金属Crを厚さ
700Å、幅7μm真空蒸着し、これを酸素気流中、1
000℃で、10時間拡散処理して製造した。
【0061】このCrイオン拡散光導波路部分の屈折率
は、Tiイオン拡散光導波路部分同様、常光屈折率、異
常光屈折率ともに基板の屈折率よりも上昇しており、T
iイオン拡散についての実施例1と類似の結果が得られ
た。
【0062】しかし、第1イオンとして選択可能な、C
r(3+)、Fe(3+)等は、Ti(4+)に比べ、
入射した光波のエネルギー(短波長の場合)によってイ
オンの価数が変化し易く、出力光強度のドリフト現象い
わゆる結晶の「光損傷」が起こるため、長波長光(1.
3〜1.5μm)を伝搬させる素子への応用では問題は
ないが、これより短波長の光を伝搬させる場合は、安定
な素子特性が得難く、好適でない。
【0063】以上の実施例は、ニオブ酸リチウム基板に
ついて説明したが、タンタル酸リチウム基板および両者
の固溶体基板についても、同様に製造でき、ほぼ同様な
効果が得られる。
【0064】しかし、ニオブ酸リチウム基板或いはニオ
ブ酸リチウムをより多く含む固溶体基板の場合は、タン
タル酸リチウム基板に比べてキュリー温度が高いため、
熱拡散法を用いて、イオン添加を行う場合には、拡散温
度条件を広く選ぶことができ好適である。
【0065】タンタル酸リチウムでは、650℃以下で
拡散条件を選択する必要がある。又、イオンの添加手段
として、イオン注入等の強制的な方法を用いる場合は、
この限りでない。
【0066】また、以上の実施例における第1及び第2
イオンについて、第1イオンとなる金属Tiに代えて、
Ti酸化物を所望の線路形状に堆積してもよい。第2イ
オンとなる金属Niに代えて、Ni酸化物を基板全面に
所望量堆積してもよい。
【0067】更に、第2イオンとなる金属Cuに代え
て、Cu酸化物を基板全面に所望量堆積してもよい。
【0068】第1イオンとなる金属Crに代えて、Cr
酸化物を所望の線路形状に堆積してもよい。
【0069】添加処理の順序は逆、あるいは同時であっ
てもよいが、拡散処理に高い温度を要するイオンの添加
を先に行うことが望ましい。
【0070】
【発明の効果】以上のように、第1イオン及び第2イオ
ンを添加することにより、第1イオン添加部分よりなる
光導波路中を伝搬する光波の偏波成分のうち、常光屈折
率を感じる偏波成分のみが、第2イオン添加により常光
屈折率が上昇した前記導波路外に導かれ、逆に、異常光
屈折率を感じる偏波成分は、導波路周囲の異常光屈折率
が第2イオン添加により無添加の場合よりも減少した効
果により、導波路内にさらに強く閉じ込められて伝搬す
る。つまり、伝搬光から特定の偏光成分を取り出すこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】異方性光学結晶を用いた光導波路型偏光子(従
来例)を示す。
【図2】金属クラッディングを利用した光導波路型偏光
子の(従来例)を示す。
【図3】本願の発明に係る光導波路型偏光子の一実施例
を示す
【図4】本願の発明に係る光導波路型偏光子の他の実施
例を示す。
【図5】光導波路部分の異常光屈折率と拡散温度との関
係図を示す。
【図6】光導波路部分の常光屈折率と拡散温度との関係
図を示す。
【符号の説明】
1 基板 2 光導波路部分 3 補助光導波路部分
フロントページの続き (72)発明者 市川 潤一郎 千葉県船橋市豊富町585番地 住友大阪 セメント株式会社 新規技術研究所 オ プトエレクトロニクス研究部内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02B 6/126 G02B 6/13

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体結晶であるニオブ酸リチウムか
    らなる基板に、 Nb(+5)イオンのイオン半径よりも小さいイオン半
    径をもつ第1イオンが1種類以上含まれる材料により、
    所望の線路形状に形成された光導波路部分と、 該光導波路部分に少なくとも接触して、前記第1イオン
    のイオン半径よりも大きいイオン半径をもつ第2イオン
    が1種類以上含まれる材料により、形成された補助光導
    波路部分と、を具えることを特徴とする光導波路型偏光
    子。
  2. 【請求項2】 強誘電体結晶であるタンタル酸リチウム
    からなる基板に、 Ta(+5)イオンのイオン半径よりも小さいイオン半
    径をもつ第1イオンが1種類以上含まれる材料により、
    所望の線路形状に形成された光導波路部分と、 該光導波路部分に少なくとも接触して、前記第1イオン
    のイオン半径よりも大きいイオン半径をもつ第2イオン
    が1種類以上含まれる材料により、形成された補助光導
    波路部分と、を具えることを特徴とする光導波路型偏光
    子。
  3. 【請求項3】 強誘電体結晶であるニオブ酸リチウムと
    タンタル酸リチウムの固溶体からなる基板に、 Nb(+5)イオンのイオン半径よりも小さいイオン半
    径をもつ第1イオンが1種類以上含まれる材料により、
    所望の線路形状に形成された光導波路部分と、 該光導波路部分に少なくとも接触して、前記第1イオン
    のイオン半径よりも大きいイオン半径をもつ第2イオン
    が1種類以上含まれる材料により、形成された補助光導
    波路部分と、を具えることを特徴とする光導波路型偏光
    子。
  4. 【請求項4】 第1イオンが1種類以上含まれる材料に
    より形成された光導波路部分と、第2イオンが1種類以
    上含まれる材料により形成された補助光導波路部分とが
    互いに重なり合っていることを特徴とする前記請求項1
    記載の光導波路型偏光子。
  5. 【請求項5】 第1イオンおよび第2イオンが、遷移金
    属より選定されることを特徴とする前記請求項1〜4記
    載のいずれか1項記載の光導波路型偏光子。
  6. 【請求項6】 第1イオンが、Tiであり、第2イオン
    が、Niであることを特徴とする前記請求項5記載の光
    導波路型偏光子。
  7. 【請求項7】 第1イオンが、Tiであり、第2イオン
    が、Cuであることを特徴とする前記請求項5記載の光
    導波路型偏光子。
  8. 【請求項8】 第1イオンが、Crであり、第2イオン
    が、Niであることを特徴とする前記請求項5記載の光
    導波路型偏光子。
  9. 【請求項9】 該光導波路型偏光子が同一基板上に組込
    まれた、音響光学効果あるいは電気光学効果を利用した
    導波路型素子であることを特徴とする前記請求項1記載
    の光導波路型偏光子。
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