JP2861758B2 - メカニカルヒューズ装置 - Google Patents

メカニカルヒューズ装置

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JP2861758B2 JP28870893A JP28870893A JP2861758B2 JP 2861758 B2 JP2861758 B2 JP 2861758B2 JP 28870893 A JP28870893 A JP 28870893A JP 28870893 A JP28870893 A JP 28870893A JP 2861758 B2 JP2861758 B2 JP 2861758B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二つの部材の連結構造
に係り、更に詳細には二つの部材の連結状態を制御する
メカニカルヒューズ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】メカニカルヒューズ装置の一つとして、
例えば特開昭61−220968号公報に記載されてい
る如く、自動車等の車輌の電動式パワーステアリング装
置に於て、ステアリングシャフトと共に一体的に回動す
る補助部材とモータにより駆動される出力歯車とがシェ
アピンを介して連結され、補助部材と出力歯車との間に
過大な負荷が作用することによりシェアピンに所定値以
上の荷重が作用するとシェアピンが折れることにより補
助部材と出力歯車との間の駆動連結状態を解除するよう
構成されたメカニカルヒューズ装置が従来より知られて
いる。
【0003】かかるメカニカルヒューズ装置によれば、
例えばモータにロック等の異常が生じモータが全く回転
できなくなった場合にも、車輌の運転者はステアリング
ホイールを操作してステアリングシャフトを回転駆動し
シェアピンに高い荷重を与えることによってシェアピン
を折損させ、これによりモータのロック等に起因して操
舵不能の状態になることを確実に回避することができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】シェアピンの如き連結
部材は従来より一般に耐衝撃性に優れた金属や樹脂にて
構成されている。しかし金属や樹脂はそれらに繰返し荷
重が加えられると疲労により強度が比較的大きく低下す
る。従って上述の如き従来のメカニカルヒューズ装置に
於ては、パワーステアリング装置が長期間に亘り使用さ
れる過程に於てシェアピンの強度が疲労により低下し、
その結果シェアピンに作用する実際の荷重が設計上の設
定破断荷重未満であってもシェアピンが折損し、そのた
め電動式パワーステアリング装置がその本来の作動状態
を維持すべき状況にあるにも拘らず補助部材と出力歯車
との間に於てトルクの伝達が行われなくなり、パワース
テアリング装置が不必要にマニュアルステアリング装置
に切換ってしまうという問題がある。
【0005】またシェアピンの疲労による強度低下に起
因してシェアピンに作用する実際の荷重が設定破断荷重
未満の状況に於てシェアピンが折損することを防止すべ
く、疲労による強度低下分を見込んでシェアピンの設定
破断荷重を低く設定しようとすると、パワーステアリン
グ装置を正常に作動させるためにシェアピンが耐えなけ
ればならない荷重よりもシェアピンの設定破断荷重が低
くなり、従ってこの場合にも例えば車輪の縁石当りの如
き状況に於て補助部材と出力歯車との間の伝達トルクが
高くなると、パワーステアリング装置がその本来の作動
状態を維持すべき状況にあるにも拘らずシェアピンが折
損し、パワーステアリング装置が不必要にマニュアルス
テアリング装置に切換ってしまう。
【0006】一方セラミックスは金属や樹脂に比して耐
衝撃性に劣るため、従来より二つの部材を連結するため
のキーの如き連結部材の構成材料としては不適当である
と考えられているが、セラミックスは金属や樹脂に比し
て疲労による強度低下が極めて小さいという優れた特徴
を有している。
【0007】本発明は、従来のメカニカルヒューズ装置
に於ける上述の如き問題に鑑み、またセラミックスは疲
労による強度低下が極めて小さいという優れた特徴を有
していることに着目し、メカニカルヒューズ装置が長期
間に亘り使用されても連結部材がその疲労による強度低
下に起因して不必要に破壊することがなく、これにより
長期間に亘り正常に作動することができるよう改良され
たメカニカルヒューズ装置を提供することを目的として
いる。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の如き目的は、本発
明によれば、請求項1の構成、即ち第一の部材と第二の
部材とが連結部材を介して連結され、前記二つの部材の
間に所定値以上の荷重が作用すると前記連結部材が破壊
することにより前記二つの部材の連結状態を解除するメ
カニカルヒューズ装置に於て、前記連結部材はセラミッ
クスにて構成されていることを特徴とするメカニカルヒ
ューズ装置によって達成される。
【0009】また本発明によれば、メカニカルヒューズ
装置は第一のキー溝を有するステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトに嵌合し電動モータにより駆
動される駆動歯車と噛合し前記第一のキー溝に整合する
第二のキー溝を有する従動歯車と、前記第一及び第二の
キー溝に挿入され前記ステアリングシャフト及び前記従
動歯車をトルク伝達可能に連結するキーとを有し、前記
キーはセラミックスにて構成され前記ステアリングシャ
フトと前記従動歯車との間の伝達トルクが所定値以上に
なると破断して前記ステアリングシャフトと前記従動歯
車との間の連結状態を解除するよう構成される(請求項
2の構成)。
【0010】また本発明によれば、請求項1の構成に於
て、前記連結部材は前記二つの部材の連結部の対向面に
沿って延在する切欠き溝を有し、前記切欠き溝は前記二
つの部材の前記対向面に対する前記切欠き溝の相対変位
が生じても前記二つの部材の前記対向面が前記切欠き溝
の幅の範囲内に収まるよう設定された溝幅を有するよう
構成される(請求項3の構成)。
【0011】
【作用】図18はセラミックス(窒化ケイ素)の遅れ破
壊強度及び疲労強度を金属(合金鋼、JIS規格SCM
415)の疲労強度と対比して示すグラフである。この
図18より、金属の疲労による強度低下は比較的大きい
のに対し、セラミックスの108 回経過後の疲労強度は
その初期強度の約80%であり、セラミックスの疲労に
よる強度低下は極めて小さいことが解る。
【0012】上述の請求項1の構成によれば、第一及び
第二の部材の連結状態を制御する連結部材は、疲労によ
る強度低下が極めて小さいセラミックスにて構成される
ので、メカニカルヒューズ装置が長期間に亘り使用され
ても、連結部材の疲労による強度低下に起因して連結部
材がそれに作用する荷重が設定荷重を大幅に下まわる状
況に於て破壊することがなく、メカニカルヒューズ装置
を長期間に亘り所期の設計通りに作動させることが可能
になる。
【0013】また上述の請求項2の構成によれば、キー
はセラミックスにて構成されるので、キーの疲労による
強度低下に起因してキーが設定荷重を大幅に下まわる状
況に於て破断しステアリングシャフト及び従動歯車の連
結状態が解除されることがなく、従ってパワーステアリ
ング装置が不必要にマニュアルステアリング装置に切換
えられることがなくなる。
【0014】また上述の請求項3の構成によれば、第一
及び第二の部材や連結部材の熱膨張の差等に起因して連
結部材が第一及び第二の部材に対し相対的に変位して
も、第一及び第二の部材による連結部材に対する着力点
が常に切欠き溝の側縁部となるので、連結部材が破壊す
る際の荷重が連結部材の相対変位に起因して設定荷重よ
り大幅にずれることが確実に防止される。
【0015】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施
例について詳細に説明する。
【0016】図1は本発明によるメカニカルヒューズ装
置が適用された電動式パワーステアリング装置を示す概
略構成図、図2は図1の歯車とシャフトとの間に適用さ
れたメカニカルヒューズ装置の第一の実施例を示す拡大
部分縦断面図、図3は図2に示された第一の実施例の平
断面図である。
【0017】図1に於て、10は上端にステアリングホ
イール12が固定されたステアリングシャフトを示して
いる。ステアリングシャフト10は途中に操舵トルクを
検出するトルクセンサ14を有し、下端にてラック・ア
ンド・ピニオン式ステアリング装置16のピニオンシャ
フトに連結されている。またステアリングシャフト12
にはトルクセンサ14と下端との間にて後述の如く従動
歯車18が固定されており、従動歯車18はモータ20
により駆動される駆動歯車22と噛合している。モータ
20の回転はトルクセンサ14及び図には示されていな
い他のセンサによる検出結果に基づき電子制御装置24
によって制御され、これにより少なくとも操舵トルクに
応じて補助操舵力を発生するようになっている。
【0018】図2及び図3に示されている如く、ステア
リングシャフト10にはその軸線26に沿って第一のキ
ー溝としての半月形の窪み28が設けられている。また
従動歯車18はそのボス部18Aにてステアリングシャ
フト10に嵌合し、ボス部の内面には軸線26に沿って
延在する第二のキー溝としてのキー溝30が設けられて
いる。窪み28及びキー溝30内には連結部材としての
半月形のセラミックス製のキー32が挿入されており、
これにより従動歯車18はキー32によりステアリング
シャフト10に連結固定されている。
【0019】図示の実施例に於ては、図4及び図5に示
されている如く、キー32の両側面32A及び32Bに
はそれぞれ互いに整合する断面V形の切欠き溝34及び
36が設けられている。切欠き溝34及び36はキー3
2が窪み28及びキー溝30内に適正に挿入されると、
ステアリングシャフト10及び従動歯車18の連結部の
対向面、即ちステアリングシャフトの表面38と従動歯
車のボス部18Aの内面40に整合して延在するよう平
面状の端面32Cに平行に延在している。
【0020】また図4及び図6に示されている如く、切
欠き溝34及び36はステアリングシャフトの表面38
とボス部18Aの内面40との間の間隔よりも遥かに大
きい幅を有しており、これによりステアリングシャフト
10、従動歯車18、キー32の熱膨張の差等に起因し
てステアリングシャフト及び従動歯車に対し切欠き溝3
4及び36が図4及び図6で見て左右の方向に相対変位
しても、表面38及び内面40が必ず切欠き溝の幅の範
囲内に収まるようになっている。
【0021】図示の第一の実施例に於て、ステアリング
シャフト10と従動歯車18との間に伝達されるトルク
が所定値未満であり、これによりステアリングシャフト
及び従動歯車によりキー32に与えられる剪断荷重がキ
ーを構成するセラミックスの種類及び切欠き溝34、3
6の大きさや形状等により決定される設定破断荷重未満
であるときには、キーは破断せず、これにより従動歯車
はステアリングシャフトと一体の状態に維持される。
【0022】これに対しステアリングシャフト10と従
動歯車18との間に於ける伝達トルクが所定値以上にな
り、これらによりキー32に与えられる剪断荷重が設定
破断荷重以上になると、キーは切欠き溝34及び36に
対応する位置に於て破断し、これによりステアリングシ
ャフト及び従動歯車の連結状態が解除され、二つの部材
は軸線26の周りに自由に相対回転し得るようになる。
【0023】この場合図7に示されている如く、ステア
リングシャフトの表面38とボス部18Aの内面40と
の間の間隔に対するキー溝34及び36の幅の比が比較
的小さい場合には、各部材の熱膨張の差等に起因してス
テアリングシャフト及び従動歯車に対する切欠き溝の相
対変位が生じると、ステアリングシャフト及び従動歯車
によるキー32に対する着力点(図に於て三角にて示さ
れている)が切欠き溝の側縁以外の位置になり、従って
キーに設定破断荷重以上の剪断荷重が作用してもキーが
破断しない場合がある。
【0024】これに対し図示の実施例によれば、ステア
リングシャフト及び従動歯車に対する切欠き溝34及び
36の相対変位が生じても表面38及び内面40は切欠
き溝の幅の範囲内に収まるので、ステアリングシャフト
及び従動歯車によるキーに対する着力点は必ず切欠き溝
の側縁になり、これによりキーはそれに与えられる剪断
荷重が設定破断荷重以上になると必ず破断する。
【0025】図8はモータの回転軸と歯車軸との間に適
用されたメカニカルヒューズ装置の第二の実施例を示す
拡大部分断面図である。尚図8に於て、図1に示された
部分に対応する部分には図1に於て付された符号と同一
の符号が付されている。
【0026】この実施例に於ては、出力歯車22の回転
軸44は連結部材としての短冊形のセラミックス製のト
ルクリミッタ46を介してモータ20の回転軸48に連
結されている。回転軸44及び48はそれぞれ軸受50
及び52により軸線54の周りに回転可能に支持されて
おり、それらの互いに対向する端面には軸線54に整合
する溝56及び58が設けられ、トルクリミッタ46の
端部はこれらの溝内に挿入されている。
【0027】この第二の実施例に於て、回転軸44と4
8との間に伝達されるトルクが所定値未満であり、これ
により回転軸44及び48によりトルクリミッタ46に
与えられる捩り荷重がキーを構成するセラミックスの種
類及びキーの断面形状、断面積により決定される設定破
断荷重未満であるときには、トルクリミッタは破断せ
ず、これにより二つの回転軸は一体的に連結された状態
に維持される。
【0028】これに対し回転軸44と48との間に於け
る伝達トルクが所定値以上になり、これらの回転軸によ
りトルクリミッタ46に与えられる捩り荷重が設定破断
荷重以上になると、トルクリミッタは破断し、これによ
り二つ回転軸の連結状態が解除され、二つの回転軸は軸
線54の周りに自由に相対回転し得るようになる。
【0029】図9は本発明によるメカニカルヒューズ装
置が適用されたマニュアルステアリング装置のコラムシ
ャフト支持構造を示す側面図、図10は図9の車体とコ
ラムブラケットとの間に適用されたメカニカルヒューズ
装置の第三の実施例を示す拡大部分斜視図、図11は図
10に示された第三の実施例の拡大断面図である。
【0030】図9に於て、62はコラムシャフトを示し
ており、コラムシャフト62はアッパコラムチューブ6
4と、アッパコラムチューブの下端部に圧入により連結
されたロアコラムチューブ66とよりなっている。上端
にステアリングホイール68が固定されたアッパステア
リングシャフト70及びロアステアリングシャフト72
は、それぞれアッパコラムチューブ64及びロアコラム
チューブ66内に回転可能に挿通されており、互いにセ
レーション結合により連結されている。
【0031】コラムシャフト62は、アッパコラムチュ
ーブ64の中央部にてコラムブラケット74を介して車
体76に固定されており、ロアコラムチューブ66の下
端部にてジャケットブラケット78を介して車体に固定
されている。コラムブラケット74は、図10に示され
ている如く、アッパコラムチューブ64を支持する本体
部74Aと、該本体部と一体をなすベース部74Bとよ
りなっており、ベース部74Bにはステアリングホイー
ル68の側に向けて開口する一対の切欠き80が設けら
れている。
【0032】各切欠き80には実質的に六角形のブロッ
ク状をなす支持部材82が嵌込まれている。図11に示
されている如く、支持部材82は中央に設けられたボル
ト挿通孔83と両側部外縁に設けられた溝84とを有し
ている。ボルト挿通孔83にはボルト86が挿通され、
該ボルトがナット88によって車体76に固定されるこ
とにより支持部材82は車体に固定されている。溝84
にはコラムブラケット74のベース部74Bの切欠き8
0の周縁部が挿入されており、支持部材82及びベース
部74Bにそれぞれ互いに整合するよう設けられた四つ
の孔90及び92には連結部材としての円柱状のセラミ
ックス製のシェアピン94が挿入され、これにより支持
部材及びコラムブラケットは互いに一体的に連結されて
いる。
【0033】この第三の実施例に於て、コラムシャフト
64及びブラケット74と車体76との間に作用する荷
重が所定値未満であり、これにより支持部材82を介し
てブラケット及び車体によりシェアピン94に与えられ
る剪断荷重がシェアピンを構成するセラミックスの種類
及びシェアピンの断面形状、断面積により決定される設
定破断荷重未満であるときには、シェアピンは破断せ
ず、これによりブラケット74は車体76に一体的に固
定された状態に維持される。
【0034】これに対しコラムシャフト64及びブラケ
ット74と車体76との間に作用する荷重が所定値以上
になり、これらによりシェアピン94に与えられる剪断
荷重が設定破断荷重以上になると、シェアピンはブラケ
ットのベース部74Bの上下面に対応する位置に於て破
断し、これによりブラケット及び車体の連結状態が解除
され、コラムシャフト64及びブラケットは車体に対し
自由に相対変位し得るようになる。
【0035】図12は本発明によるメカニカルヒューズ
装置が適用された電気自動車の下面を示す斜視図、図1
3は図12に示されたバッテリキャリアを示す斜視図、
図14は図13のバッテリキャリアと車体との間に適用
されたメカニカルヒューズ装置の第四の実施例を示す拡
大部分斜視図、図15は図14に示された第四の実施例
を車輌前後方向に見た断面図、図16は図14に示され
た第四の実施例を車輌横方向に見た拡大断面図である。
【0036】これらの図に於て、110は車体100の
下部に固定されたバッテリキャリア112に収納された
電源バッテリを示している。図13に示されている如
く、バッテリキャリア112の側面112Aには車輌横
方向に延在する水平部116を有する複数個のブラケッ
ト114が固定されている。各水平部116には車輌後
方へ切開かれた切欠き118が設けられている。
【0037】図14に示されている如く、水平部116
の切欠き118の周囲の部分は、実質的に直方体の形態
をなす支持部材120の車輌横方向の側面に形成された
溝122に係止されている。溝122は車輌の長手方向
に沿って形成されており、これによりブラケット114
は車輌の前方(図14に於て矢印Aの方向)へ支持部材
20より抜出し得るようになっている。また切欠き11
8の周囲の部分及び支持部材120の両端部にはそれぞ
れ互いに整合する貫通孔124及び126が設けられて
いる。これらの貫通孔124及び126には円柱形のセ
ラミックス製のシャアピン128が挿入され、シェアピ
ンにより支持部材120及びブラケット114は互いに
一体的に連結されている。
【0038】支持部材120の中央部にはボルト挿通孔
130が設けられている。図14及び図15に示されて
いる如く、ボルト挿通孔130には車体の下方よりボル
ト132が挿通され、ボルト132は車体の一部をなす
ロッカー134のインナプレート134Aに固定された
ウェルドナット136に締結固定されている。かくして
バッテリキャリア112は支持部材120及びブラケッ
ト114を介してロッカー134に固定されている。ま
たボルト132は塑性変形可能な薄板状のエネルギ吸収
ベルト138の端部に設けられた孔139にも挿通され
ており、これによりエネルギ吸収ベルト138の端部が
支持部材120等と共にロッカー134に固定されてい
る。
【0039】図13に示されている如く、バッテリキャ
リア112の側面112Aには実質的にU形をなすベル
トガイド140がエネルギ吸収ベルト138の固定位置
より車輌前方側に固定されている。図14に示されてい
る如く、ベルトガイド140は互いに平行な支持部14
0A及び140Bを有し、上側の支持部140Aは下側
の支持部140Bより車輌後方側に位置している。支持
部140A及び140Bの間にはエネルギ吸収ベルト1
38が支持部の外面に当接した状態にて挿通されてい
る。
【0040】また図13に示されている如く、バッテリ
キャリア112の側面112Aには複数個のピン142
が固定されている。ピン142はリンク144の下端に
設けられた長孔146に挿通されており、これによりリ
ンク144の下端はピン142により枢動可能に支持さ
れており、リンク144の上端は図には示されていない
がロッカー134に枢動可能に支持されている。
【0041】この第四の実施例に於て、バッテリキャリ
ア112及びブラケット114と車体100との間に作
用する荷重が所定値未満であり、これにより支持部材1
20を介してブラケット及びロッカー134によりシェ
アピン128に与えられる剪断荷重がシェアピンを構成
するセラミックスの種類及びシェアピンの断面形状、断
面積により決定される設定破断荷重未満であるときに
は、シェアピンは破断せず、これによりブラケット11
4はロッカー134に一体的に固定された状態に維持さ
れる。
【0042】これに対し電気自動車の衝突時の如く、ブ
ラケット114とロッカー134との間に作用する荷重
が所定値以上になり、これによりシェアピン128に与
えられる剪断荷重が設定破断荷重以上になると、シェア
ピンはブラケットの水平部16の上下面に対応する位置
に於て破断し、これによりブラケット及びロッカーの連
結状態が解除され、バッテリキャリア112及びブラケ
ット114はロッカー134に対し車輌前方へ相対変位
し得るようになる。
【0043】従って電気自動車の衝突時にはバッテリキ
ャリア112が車体に対し相対的に前方側へ変位し、ベ
ルトガイド140はその支持部140A及び140Bが
エネルギ吸収ベルト138の両面と摺動した状態にてベ
ルトを順次屈曲させつつ車輌の前方へ移動し、これによ
りバッテリ110及びバッテリキャリア112の運動エ
ネルギが吸収され、車体及び車輌の乗員に与えられる衝
突時の衝撃が緩和される。またこの場合バッテリキャリ
ア112はリンク144を介してロッカー134により
懸垂支持された状態に維持されるので、地上に落下する
ことはない。またバッテリキャリア112に固定された
ピン142はリンク144の下端に設けられた長孔14
6に挿通されているので、車輌の衝突初期に於けるバッ
テリキャリア112の車輌前方への移動がリンクにより
阻害されることもない。
【0044】以上に於ては本発明を特定の実施例につい
て詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定され
るものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例
が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0045】例えば第一の実施例のキー32に設けられ
た切欠き溝34及び36の断面形状はV形であるが、連
結部材に設けられる切欠き溝は図17に示された二重V
形を含む任意の断面形状のものであってよい。また第三
及び第四の実施例に於けるシェアピン94、128は円
柱形をなしているが、シェアピンは任意の断面形状のも
のであってよく、また第一の実施例の場合と同様これら
のシェアピンにもそれらが連結する二つの部材の連結部
の対向面に整合して切欠き溝が設けられてもよく、その
場合にも切欠き溝の幅はシェアピン及び二つの部材の熱
膨張の差等に起因して二つの部材に対し切欠き溝がシェ
アピンの軸線方向に相対変位しても、二つの部材の連結
部の対向面が必ず切欠き溝の幅の範囲内に収まるよう設
定されることが好ましい。
【0046】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、第一及び第二の部材の連
結状態を制御する連結部材は、疲労による強度低下が極
めて小さいセラミックスにて構成されるので、メカニカ
ルヒューズ装置が長期間に亘り使用されても、連結部材
の疲労による強度低下に起因して連結部材がそれに作用
する荷重が設定荷重を大幅に下まわる状況に於て破壊す
ることがなく、従ってメカニカルヒューズ装置を長期間
に亘り所期の設計通りに作動させることができる。
【0047】また上述の請求項2の構成によれば、キー
はセラミックスにて構成されるので、キーの疲労による
強度低下に起因してキーが設定荷重を大幅に下まわる状
況に於て破断しステアリングシャフト及び従動歯車の連
結状態が解除されることがなく、従ってパワーステアリ
ング装置が不必要にマニュアルステアリング装置に切換
えられることを確実に防止することができ、またステア
リングシャフトと従動歯車との間の連結部の構造を大幅
に変更したり部品を追加したりする必要もない。
【0048】また上述の請求項3の構成によれば、第一
及び第二の部材や連結部材の熱膨張の差等に起因して連
結部材が第一及び第二の部材に対し相対的に変位して
も、第一及び第二の部材による連結部材に対する着力点
が常に切欠き溝の側縁部となる状態を確保することがで
き、これにより連結部材が破壊する際の荷重が連結部材
の相対変位に起因して設定荷重より大幅にずれることを
確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるメカニカルヒューズ装置が適用さ
れた電動式パワーステアリング装置を示す概略構成図で
ある。
【図2】図1の歯車とシャフトとの間に適用されたメカ
ニカルヒューズ装置の第一の実施例を示す拡大部分縦断
面図である。
【図3】図2に示された第一の実施例の平断面図であ
る。
【図4】図3の要部を示す拡大部分平断面図である。
【図5】第一の実施例のキーを示す正面図である。
【図6】第一の実施例のメカニカルヒューズ装置に於て
位置ずれが生じた場合に於けるキーに対する着力点を示
す説明図である。
【図7】比較例のメカニカルヒューズ装置に於て位置ず
れが生じた場合に於けるキーに対する着力点を示す説明
図である。
【図8】モータの回転軸と歯車軸との間に適用されたメ
カニカルヒューズ装置の第二の実施例を示す拡大部分断
面図である。
【図9】本発明によるメカニカルヒューズ装置が適用さ
れたマニュアルステアリング装置のコラムシャフト支持
構造を示す側面図である。
【図10】図9の車体とコラムブラケットとの間に適用
されたメカニカルヒューズ装置の第三の実施例を示す拡
大部分斜視図である。
【図11】図10に示された第三の実施例の拡大断面図
である。
【図12】本発明によるメカニカルヒューズ装置が適用
された電気自動車の下面を示す斜視図である。
【図13】図12に示されたバッテリキャリアを示す斜
視図である。
【図14】図13のバッテリキャリアと車体との間に適
用されたメカニカルヒューズ装置の第四の実施例を示す
拡大部分斜視図である。
【図15】図14に示された第四の実施例を車輌前後方
向に見た断面図である。
【図16】図14に示された第四の実施例を車輌横方向
に見た拡大断面図である。
【図17】第一の実施例のキーに設けられる切欠き溝の
他の一つの実施例を示す拡大部分断面図である。
【図18】セラミックスの疲労強度を金属の疲労強度と
比較して示すグラフである。
【符号の説明】
10…ステアリングシャフト 16…ラック・アンド・ピニオン式ステアリング装置 18…従動歯車 22…駆動歯車 32…キー 44、48…回転軸 46…トルクリミッタ 62…コラムシャフト 74…コラムブラケット 82…支持部材 94…シェアピン 112…バッテリキャリア 114…ブラケット 120…支持部材 128…シェアピン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長谷川 晃 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 香川 和則 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 5/04 F16H 35/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一の部材と第二の部材とが連結部材を介
    して連結され、前記二つの部材の間に所定値以上の荷重
    が作用すると前記連結部材が破壊することにより前記二
    つの部材の連結状態を解除するメカニカルヒューズ装置
    に於て、前記連結部材はセラミックスにて構成されてい
    ることを特徴とするメカニカルヒューズ装置。
  2. 【請求項2】第一のキー溝を有するステアリングシャフ
    トと、前記ステアリングシャフトに嵌合し電動モータに
    より駆動される駆動歯車と噛合し前記第一のキー溝に整
    合する第二のキー溝を有する従動歯車と、前記第一及び
    第二のキー溝に挿入され前記ステアリングシャフト及び
    前記従動歯車をトルク伝達可能に連結するキーとを有
    し、前記キーはセラミックスにて構成され前記ステアリ
    ングシャフトと前記従動歯車との間の伝達トルクが所定
    値以上になると破断して前記ステアリングシャフトと前
    記従動歯車との間の連結状態を解除するよう構成された
    メカニカルヒューズ装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載のメカニカルヒューズ装置
    に於て、前記連結部材は前記二つの部材の連結部の対向
    面に沿って延在する切欠き溝を有し、前記切欠き溝は前
    記二つの部材の前記対向面に対する前記切欠き溝の相対
    変位が生じても前記二つの部材の前記対向面が前記切欠
    き溝の幅の範囲内に収まるよう設定された溝幅を有して
    いることを特徴とするメカニカルヒューズ装置。
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