JP2861761B2 - メカニカルヒューズ装置 - Google Patents

メカニカルヒューズ装置

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JP2861761B2 JP29743793A JP29743793A JP2861761B2 JP 2861761 B2 JP2861761 B2 JP 2861761B2 JP 29743793 A JP29743793 A JP 29743793A JP 29743793 A JP29743793 A JP 29743793A JP 2861761 B2 JP2861761 B2 JP 2861761B2
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尚 岩崎
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、実質的に丸棒状の部材
とこれに嵌合する部材との連結構造に係り、更に詳細に
はかかる二つの部材の連結状態を制御するメカニカルヒ
ューズ装置に係る。
【0002】
【従来の技術】メカニカルヒューズ装置の一つとして、
例えば特開昭61−220968号公報に記載されてい
る如く、自動車等の車輌の電動式パワーステアリング装
置に於て、ステアリングシャフトと共に一体的に回動す
る補助部材とモータにより駆動される出力歯車とがシェ
アピンを介して連結され、補助部材と出力歯車との間に
過大な負荷が作用することによりシェアピンに所定値以
上の荷重が作用するとシェアピンが折れることにより補
助部材と出力歯車との間の駆動連結状態を解除するよう
構成されたメカニカルヒューズ装置が従来より知られて
いる。
【0003】かかるメカニカルヒューズ装置によれば、
例えばモータにロック等の異常が生じモータが全く回転
できなくなった場合にも、車輌の運転者はステアリング
ホイールを操作してステアリングシャフトを回転駆動し
シェアピンに高い荷重を与えることによってシェアピン
を折損させ、これによりモータのロック等に起因して操
舵不能の状態になることを確実に回避することができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】シェアピンの如き連結
部材は従来より一般に耐衝撃性に優れた金属や樹脂にて
構成されている。しかし金属や樹脂はそれらに繰返し荷
重が加えられると疲労により強度が比較的大きく低下す
る。従って上述の如き従来のメカニカルヒューズ装置に
於ては、パワーステアリング装置が長期間に亘り使用さ
れる過程に於てシェアピンの強度が疲労により低下し、
その結果シェアピンに作用する実際の荷重が設計上の設
定破断荷重未満であってもシェアピンが折損し、そのた
め電動式パワーステアリング装置がその本来の作動状態
を維持すべき状況にあるにも拘らず補助部材と出力歯車
との間のトルク伝達が行われず、パワーステアリング装
置が不必要にマニュアルステアリング装置に切換ってし
まうという問題がある。
【0005】またシェアピンの疲労による強度低下に起
因してシェアピンに作用する実際の荷重が設定破断荷重
未満の状況に於てシェアピンが折損することを防止すべ
く、疲労による強度低下分を見込んでシェアピンの設定
破断荷重を低く設定しようとすると、パワーステアリン
グ装置を正常に作動させるためにシェアピンが耐えなけ
ればならない荷重よりもシェアピンの設定破断荷重が低
くなり、従ってこの場合にも例えば車輪の縁石当りの如
き状況に於て補助部材と出力歯車との間の伝達トルクが
高くなると、パワーステアリング装置がその本来の作動
状態を維持すべき状況にあるにも拘らずシェアピンが折
損し、パワーステアリング装置が不必要にマニュアルス
テアリング装置に切換ってしまう。
【0006】一方セラミックスは金属や樹脂に比して耐
衝撃性に劣るため、従来より二つの部材を連結するため
のキーの如き連結部材の構成材料としては不適当である
と考えられているが、セラミックスは金属や樹脂に比し
て疲労による強度低下が極めて小さいという優れた特徴
を有している。
【0007】しかし連結部材がセラミックスにて構成さ
れる場合であっても、連結部材に比較的高い荷重が繰り
返し作用する状況にてメカニカルヒューズ装置が長期間
に亘り使用されると連結部材の強度が低下し、そのため
連結部材が金属や樹脂にて構成される場合と同様、連結
部材が設定荷重未満にて破断することがある。
【0008】本発明は、従来のメカニカルヒューズ装置
に於ける上述の如き問題に鑑み、連結部材としてのキー
に比較的高い荷重が繰り返し作用する状況にてメカニカ
ルヒューズ装置が長期間に亘り使用されてもキーがその
疲労による強度低下に起因して設定荷重未満にて破断す
ることがなく、これにより長期間に亘り正常に作動する
ことができるよう改良されたメカニカルヒューズ装置を
提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の如き目的は、本発
明によれば、第一及び第二のキー溝を有する実質的に丸
棒状の第一の部材と、前記第一の部材に嵌合しそれぞれ
前記第一及び第二のキー溝に整合する第三及び第四のキ
ー溝を有する第二の部材と、前記第一及び第三のキー溝
に挿入され前記第一及び第二の部材をトルク伝達可能に
連結する平板状の第一のキーと、前記第二及び第四のキ
ー溝に挿入され前記第一及び第二の部材をトルク伝達可
能に連結する平板状の第二のキーとを有し、前記第一及
び第二のキーはセラミックスにて構成され、前記第一の
部材と前記第二の部材との間に伝達される荷重が所定値
以上になると破断して前記第一及び第二の部材の連結状
態を解除するよう構成されたメカニカルヒューズ装置に
於て、前記第一又は第三のキー溝の側面と前記第一のキ
ーの側面との間のクリアランスは前記第二又は第四のキ
ー溝の側面と前記第二のキーの側面との間のクリアラン
スよりも小さく設定されていることを特徴とするメカニ
カルヒューズ装置、又は第一のキー溝を有する実質的に
丸棒状の第一の部材と、前記第一の部材に嵌合し前記第
一のキー溝に整合する第二のキー溝を有する第二の部材
と、前記第一及び第二のキー溝に挿入され前記第一及び
第二の部材をトルク伝達可能に連結する平板状のキーと
を有し、前記キーはセラミックスにて構成され、前記第
一の部材と前記第二の部材との間に伝達される荷重が所
定値以上になると破断して前記第一及び第二の部材の連
結状態を解除するよう構成されたメカニカルヒューズ装
置に於て、前記キーは厚肉部と薄肉部とを有しているこ
とを特徴とするメカニカルヒューズ装置によって達成さ
れる。
【0010】
【作用】図14はセラミックス(窒化ケイ素)の遅れ破
壊強度及び疲労強度を金属(合金鋼、JIS規格SCM
415)の疲労強度と対比して示すグラフである。この
図14より、金属の疲労による強度低下は比較的大きい
のに対し、セラミックスの108 回経過後の疲労強度は
その初期強度の約80%であり、セラミックスの疲労に
よる強度低下は極めて小さいことが解る。
【0011】上述の前者(請求項1)の構成によれば、
第一及び第二の部材の連結状態を制御する第一及び第二
のキーは疲労による強度低下が極めて小さいセラミック
スにて構成されており、また第一又は第三のキー溝の側
面と第一のキーの側面との間のクリアランスは第二又は
第四のキー溝の側面と第二のキーの側面との間のクリア
ランスよりも小さく設定されており、繰返し荷重は実質
的に第一のキーにのみ作用し第二のキーには作用せず、
従って第二のキーの強度は実質的に全く低下しないの
で、第一のキーに比較的高い荷重が繰り返し作用する状
況にてメカニカルヒューズ装置が長期間に亘り使用され
ても、第二のキーはそれに作用する荷重が設定荷重未満
の状況に於ては破断せず、荷重が正確に設定荷重になっ
た段階に於て破断し、従ってメカニカルヒューズ装置を
長期間に亘り所期の設計通りに作動させることが可能に
なる。
【0012】また上述の後者(請求項2)の構成によれ
ば、キーは疲労による強度低下が極めて小さいセラミッ
クスにて構成されており、また厚肉部と薄肉部とを有し
ており、繰返し荷重は実質的に厚肉部にのみ作用し薄肉
部には作用せず、従って薄肉部の強度は実質的に全く低
下しないので、キーの厚肉部に比較的高い荷重が繰返し
作用する状況にてメカニカルヒューズ装置が長期間に亘
り使用されても、薄肉部はそれに作用する荷重が設定荷
重未満の状況に於ては破断せず、荷重が正確に設定荷重
になった段階に於て破断し、従ってメカニカルヒューズ
装置を長期間に亘り所期の設計通りに作動させることが
可能になる。
【0013】
【実施例】以下に添付の図を参照しつつ、本発明を実施
例について詳細に説明する。
【0014】図1は本発明によるメカニカルヒューズ装
置が適用された電動式パワーステアリング装置を示す概
略構成図、図2は図1の歯車とシャフトとの間に適用さ
れたメカニカルヒューズ装置の第一の実施例を示す拡大
部分縦断面図、図3は図2に示された第一の実施例の平
断面図である。
【0015】図1に於て、10は上端にステアリングホ
イール12が固定されたステアリングシャフトを示して
いる。ステアリングシャフト10は途中に操舵トルクを
検出するトルクセンサ14を有し、下端にてラック・ア
ンド・ピニオン式ステアリング装置16のピニオンシャ
フトに連結されている。またステアリングシャフト12
にはトルクセンサ14と下端との間にて後述の如く従動
歯車18が固定されており、従動歯車18はモータ20
により駆動される駆動歯車22と噛合している。モータ
20の回転はトルクセンサ14及び図には示されていな
い他のセンサによる検出結果に基づき電子制御装置24
によって制御され、これにより少なくとも操舵トルクに
応じて補助操舵力を発生するようになっている。
【0016】図2及び図3に示されている如く、ステア
リングシャフト10にはその軸線26に沿って第一及び
第二のキー溝としての半月形の窪み28及び29が設け
られている。また従動歯車18はそのボス部18Aにて
ステアリングシャフト10に嵌合し、ボス部の内面には
それぞれ窪み28及び29に整合して軸線26に沿って
延在する第三及び第四のキー溝としてのキー溝30及び
31が設けられている。窪み28及びキー溝30内には
半月形の平板状のセラミックス製のキー32が挿入され
ており、窪み29及びキー溝31内には半月形の平板状
のセラミック製ののキー33が挿入されており、これに
より従動歯車18はキー32及び33によりステアリン
グシャフト10に連結固定されている。
【0017】図示の第一の実施例に於ては、図4及び図
5に示されている如く、キー32の両側面32A及び3
2Bにはそれぞれ互いに整合する切欠き溝34及び36
が設けられている。切欠き溝34及び36はキー32が
窪み28及びキー溝30内に適正に挿入されると、ステ
アリングシャフト10及び従動歯車18の連結部の対向
面、即ちステアリングシャフトの表面38と従動歯車の
ボス部18Aの内面40に整合して延在するよう平面状
の端面32Cに平行に一定の深さにて延在している。ま
た切欠き溝34及び36は幅が一定の部分と楔状をなす
部分とよりなり、各切欠き溝の中心平面34A及び36
Aはそれぞれキー32の対応する側面32A及び32B
に垂直に互いに整合して延在している。
【0018】同様に図6及び図7に示されている如く、
キー33の両側面33A及び33Bにはそれぞれ互いに
整合する切欠き溝35及び37が設けられている。切欠
き溝35及び37はキー33が窪み29及びキー溝31
内に適正に挿入されると、ステアリングシャフト10及
び従動歯車18の連結部の対向面、即ちステアリングシ
ャフトの表面38と従動歯車のボス部18Aの内面40
に整合して延在するよう平面状の端面33Cに平行に一
定の深さにて延在している。また切欠き溝35及び37
は幅が一定の部分と楔状をなす部分とよりなり、各切欠
き溝の中心平面35A及び37Aはそれぞれキー33の
対応する側面33A及び33Bに垂直に互いに整合して
延在している。
【0019】図5及び図7に示されている如く、窪み2
8及び29の幅をそれぞれW28及びW29とし、キー溝3
0及び31の幅をそれぞれW30及びW31とし、キー32
及び33の厚さをそれぞれT32及びT33とし、切欠き溝
34及び36の深さをそれぞれD34及びD36とし、切欠
き溝35及び37の深さをそれぞれD35及びD37とする
と、これらの寸法は以下の関係を満すよう設定されてい
る。
【0020】W28=W29<W30=W31 T32≦W28 T33≦W29 T33<T32 D34=D36 D35=D37 D34>D35 従ってキー32の側面と窪み28及びキー溝30の側面
との間のクリアランスはキー33の側面と窪み29及び
キー溝31の側面との間のクリアランスよりも小さく、
そのためキー32が破断していない状態に於てステアリ
ングシャフト10と従動歯車18との間にトルクが伝達
される際に於けるキーの負荷は全てキー32により担持
される。
【0021】図8は図示の第一の実施例のメカニカルヒ
ューズ装置がキーの破断(図に於て×印にて示されてい
る)によってステアリングシャフト10及び従動歯車1
8の連結状態を解除するまでのキーに対する負荷Pと各
キーの切欠き溝の底に於ける応力拡大係数Ki との間の
関係を示している。この図8より解る如く、キー32の
切欠き溝34及び36の深さD34及びD36はキー32の
負荷Pが最大許容負荷Pmax を僅かに越えた段階に於て
応力拡大係数Ki が破壊靭性Kicと等しくなるよう設定
されている。一方キー33の切欠き溝35及び37の深
さD35及びD37は、キー33の負荷Pが設定破断負荷P
f に等しくなった段階に於て応力拡大係数Ki が破壊靭
性Kicに等しくなるよう設定されている。
【0022】尚「最大許容負荷Pmax 」とは、パワース
テアリング装置が正常に作動している状況に於てキー3
2及び33が耐えなければならない負荷の最大値を意味
し、「設定破断負荷Pf 」とはパワーステアリング装置
に異常が生じた場合に於てメカニカルヒューズ装置がス
テアリングシャフト10及び従動歯車18の連結状態を
解除すべくキー32が破断した後に破断するキー33が
破断すべき負荷を意味する。
【0023】図示の第一の実施例に於て、パワーステア
リング装置が正常に作動しており、ステアリングシャフ
ト10と従動歯車18との間に伝達されるトルクが所定
値未満であり、これによりステアリングシャフト及び従
動歯車によりキー32及び33に与えられる負荷Pが最
大許容負荷Pmax 以下であるときには、何れのキーも破
断せず、これにより従動歯車はステアリングシャフトと
一体的に連結された状態に維持される。
【0024】この場合ステアリングシャフト10と従動
歯車18との間のトルク伝達に起因する負荷は全てキー
32により担持され、キー33には負荷は作用しないの
で、キー33の強度が疲労により低下することはない。
またキー32の強度がそれに繰返し負荷が作用すること
に起因して僅かに低下しても、キー32が図8に於て×
印にて示された位置の負荷よりも僅かに低い負荷に於て
破断するようになるだけであり、キー33の強度には何
ら影響しない。
【0025】これに対しパワーステアリング装置にモー
タロックの如き異常が生じ、ステアリングシャフト10
と従動歯車18との間に於ける伝達トルクが所定値以上
になると、まずキー32の負荷Pが最大許容負荷Pmax
を僅かに越えた段階に於てキー32が切欠き溝34及び
36に対応する位置にて破断し、その結果負荷はキー3
3のみにより担持されるようになり、その負荷が正確に
設定破断負荷Pf になった段階に於てキー33が切欠き
溝35及び37に対応する位置にて破断し、これにより
ステアリングシャフト及び従動歯車の連結状態が解除さ
れ、二つの部材は軸線26の周りに自由に相対回転し得
るようになり、これによりパワーステアリング装置はマ
ニュアルステアリング装置に切換えられる。
【0026】尚図示の実施例に於ては、キー32、33
及びそれらに対応する窪み及びキー溝はステアリングシ
ャフト10の軸線26の周りに互いに180°隔置され
ているが、二組のキーが軸線26の周りになす角度は1
80°以外の角度であってもよく、また二組のキー等は
ステアリングシャフトの軸線方向に互いにオフセットさ
れていてもよく、更にはキー及びそれらに対応する窪み
及びキー溝は三組以上設けられていてもよい。
【0027】図9は歯車とシャフトとの間に適用された
メカニカルヒューズ装置の第二の実施例を示す拡大部分
縦断面図、図10は図9に示された第二の実施例の平断
面図、図11は図9に示された第二の実施例のキーを示
す正面図(A)及び平面図(B)である。尚図9及び図
10に於て、図2及び図3に対応する部分にはこれらの
図に於て付された符号同一の符号が付されている。
【0028】この第二の実施例に於ては、ステアリング
シャフト10にはその軸線26に沿って第一のキー溝と
しての一つの半月形の窪み48が設けられており、ステ
アリングシャフトに嵌合する従動歯車18のボス部18
Aの内面には窪み48に整合して軸線26に沿って延在
する第二のキー溝としての一つのキー溝50が設けられ
ている。窪み48及びキー溝50内には半月形の平板状
のセラミックス製のキー52が挿入されており、これに
より従動歯車はキー52によりステアリングシャフト1
0に連結固定されている。
【0029】図示の如く、キー52は厚肉部54と薄肉
部56とよりなり、これらの部分は4分の1円の形態を
なしている。厚肉部54及び薄肉部56は接合部57に
て例えば接着剤により互いに一体的に接合されており、
これにより接合部57に沿って容易に破断するようにな
っている。尚キー52は接合部57に対応する位置に比
較的深い切欠き溝を有する一つの部材として形成されて
もよい。
【0030】厚肉部54の両側面54A及び54Bには
それぞれ互いに整合する切欠き溝58及び60が設けら
れている。切欠き溝58及び60はキー52が窪み48
及びキー溝50内に適正に挿入されると、ステアリング
シャフト10の表面38と従動歯車18のボス部18A
の内面40に整合して延在するよう平面状の端面54C
に平行に一定の深さにて延在している。また切欠き溝5
8及び60は幅が一定の部分と楔状をなす部分とよりな
り、各切欠き溝の中心平面はそれぞれ厚肉部の対応する
側面54A及び54Bに垂直に互いに延在している。
【0031】同様に図11及び図13に示されている如
く、薄肉部56の両側面56A及び56Bにはそれぞれ
互いに整合する切欠き溝62及び64が設けられてい
る。切欠き溝62及び64はそれぞれ切欠き溝58及び
60に整合して平面状の端面56Cに平行に一定の深さ
にて延在している。また切欠き溝62及び64も幅が一
定の部分と楔状をなす部分とよりなり、各切欠き溝の中
心平面はそれぞれ厚肉部の対応する側面56A及び56
Bに垂直に互いに延在している。
【0032】図12及び図13に示されている如く、窪
み48の幅をW48とし、キー溝50の幅をW50とし、キ
ー52の厚肉部54及び薄肉部56の厚さをそれぞれT
54及びT56とし、切欠き溝58及び60の深さをそれぞ
れD58及びD60とし、切欠き溝62及び64の深さをそ
れぞれD62及びD64とすると、これらの寸法は以下の関
係を満すよう設定されている。
【0033】W48<W50 T54≦W48 T56≦W48 T54>T56 D58=D60 D62=D64 D58>D62 従ってキー52の厚肉部54の側面と窪み48及びキー
溝50の側面との間のクリアランスは薄肉部56の側面
と窪み48及びキー溝50の側面との間のクリアランス
よりも小さく、そのためキー52が破断していない状態
に於てステアリングシャフト10と従動歯車18との間
にトルクが伝達される際に於けるキーの負荷は全て厚肉
部により担持される。
【0034】図8に示されている如く、この実施例に於
てもキー52の厚肉部54の切欠き溝58及び60の深
さD58及びD60はキー52の負荷Pが最大許容負荷Pma
x を僅かに越えた段階に於て応力拡大係数Ki が破壊靭
性Kicと等しくなるよう設定されている。一方薄肉部5
6の切欠き溝62及び64の深さD62及びD64は、キー
53の負荷Pが設定破断負荷Pf に等しくなった段階に
於て応力拡大係数Kiが破壊靭性Kicに等しくなるよう
設定されている。
【0035】尚「最大許容負荷Pmax 」とは、パワース
テアリング装置が正常に作動している状況に於てキー5
2の厚肉部54及び薄肉部56が耐えなければならない
負荷の最大値を意味し、「設定破断負荷Pf 」とはパワ
ーステアリング装置に異常が生じた場合に於てメカニカ
ルヒューズ装置がステアリングシャフト10及び従動歯
車18の連結状態を解除すべく厚肉部54が破断した後
に破断する薄肉部56が破断すべき負荷を意味する。
【0036】この第二の実施例に於て、パワーステアリ
ング装置が正常に作動しており、ステアリングシャフト
10と従動歯車18との間に伝達されるトルクが所定値
未満であり、これによりステアリングシャフト及び従動
歯車によりキー52に与えられる負荷Pが最大許容負荷
Pmax 以下であるときには、キーは厚肉部54及び薄肉
部56の何れに於ても破断せず、これにより従動歯車は
ステアリングシャフトと一体的に連結された状態に維持
される。
【0037】この場合ステアリングシャフト10と従動
歯車18との間のトルク伝達に起因する負荷は全て厚肉
部54により担持され、薄肉部56には負荷は作用しな
いので、薄肉部の強度が疲労により低下することはな
い。また厚肉部の強度がそれに繰返し負荷が作用するこ
とに起因して僅かに低下しても、厚肉部が図8に於て×
印にて示された位置の負荷よりも僅かに低い負荷に於て
破断するようになるだけであり、薄肉部の強度には何ら
影響しない。
【0038】これに対しパワーステアリング装置にモー
タロックの如き異常が生じ、ステアリングシャフト10
と従動歯車18との間に於ける伝達トルクが所定値以上
になると、まずキー52の負荷Pが最大許容負荷Pmax
を僅かに越えた段階に於て厚肉部54が接合部57及び
切欠き溝58、60に対応する位置にて破断し、その結
果負荷は薄肉部56のみにより担持されるようになり、
その負荷が正確に設定破断負荷Pf になった段階に於て
薄肉部が切欠き溝62及び64に対応する位置にて破断
し、これによりステアリングシャフト及び従動歯車の連
結状態が解除され、二つの部材は軸線26の周りに自由
に相対回転し得るようになり、これによりパワーステア
リング装置はマニュアルステアリング装置に切換えられ
る。
【0039】図15は例えば第一の実施例のキー32及
びこれに対応する窪み28及びキー溝30のみが設けら
れた比較例のメカニカルヒューズ装置に於てキーに作用
する負荷Pと切欠き溝の底に於ける応力拡大係数との間
の関係を示しており、特に実線はメカニカルヒューズ装
置の使用開始時に於ける特性を示し、破線はキーに比較
的高い負荷が繰返し作用した後の特性を示している。
【0040】図15より、キーに作用する負荷Pが設定
破断負荷Pf に等しくなった段階に於てキーが破断する
よう切欠き溝の深さが設定されていても、キーに比較的
高い負荷が繰返し作用する状況にてメカニカルヒューズ
装置が長期間に亘り使用されるとキーの強度が疲労によ
り低下し、その結果キーはそれに作用する負荷Pが最大
許容負荷Pmax 又はそれ以下になった段階に於て破断す
るようになってしまうことが解る。
【0041】これに対し上述の如く、第一の実施例に於
てはキー33には負荷が作用せず、第二の実施例に於て
は薄肉部56には負荷が作用せず、従ってこれらの強度
は低下しないので、キー33又は薄肉部56に作用する
負荷が正確に設定破断負荷Pf になった段階に於てのみ
メカニカルヒューズ装置によりステアリングシャフトと
従動歯車との間の連結状態を解除させることができる。
【0042】以上に於ては本発明を特定の実施例につい
て詳細に説明したが、本発明は上述の実施例に限定され
るものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施例
が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0043】例えば第一の実施例に於けるキー32及び
33とそれらに対応する窪み及びキー溝の寸法や第二の
実施例に於けるキー52及びそれに対応する窪み及びキ
ー溝等の寸法は上述の特定の関係に設定されているが、
第一の実施例に於てはキー32の側面と窪み28及びキ
ー溝30の側面との間のクリアランスがキー33の側面
と窪み29及びキー溝31の側面との間のクリアランス
よりも小さく設定され、第二の実施例に於てはキー52
の厚肉部54の側面と窪み48及びキー溝50の側面と
の間のクリアランスが薄肉部56の側面と窪み48及び
キー溝50の側面との間のクリアランスよりも小さく設
定される限り、上述の寸法関係以外の関係に設定されて
もよい。また第二の実施例に於ける厚肉部54及び薄肉
部56は互いに一体的に接合されることなく相互に独立
のキーとして使用され、これによりこのメカニカルヒュ
ーズ装置が請求項2の構成のメカニカルヒューズ装置と
して使用されてもよい。
【0044】また図示の各実施例のキー32に設けられ
た切欠き溝34及び36の断面形状はV形又は矩形とV
形との組合せであるが、キーに設けられる切欠き溝は例
えば開先角度の大きい根元部と開先角度の小さい先端部
とよりなる二重V形を含む任意の断面形状のものであっ
てよい。
【0045】
【発明の効果】以上の説明より明らかである如く、本発
明の請求項1の構成によれば、第一及び第二の部材の連
結状態を制御する第一及び第二のキーは疲労による強度
低下が極めて小さいセラミックスにて構成されており、
また第一又は第三のキー溝の側面と第一のキーの側面と
の間のクリアランスは第二又は第四のキー溝の側面と第
二のキーの側面との間のクリアランスよりも小さく設定
されており、繰返し荷重は実質的に第一のキーにのみ作
用し第二のキーには作用せず、従って第二のキーの強度
は実質的に全く低下しないので、第一のキーに比較的高
い荷重が繰り返し作用する状況にてメカニカルヒューズ
装置が長期間に亘り使用されても、第二のキーはそれに
作用する荷重が設定荷重未満の状況に於ては破断せず、
荷重が正確に設定荷重になった段階に於て破断し、従っ
てメカニカルヒューズ装置を長期間に亘り所期の設計通
りに作動させることができる。
【0046】また上述の請求項2の構成によれば、キー
は疲労による強度低下が極めて小さいセラミックスにて
構成されており、また厚肉部と薄肉部とを有しており、
繰返し荷重は実質的に厚肉部にのみ作用し薄肉部には作
用せず、従って薄肉部の強度は実質的に全く低下しない
ので、キーの厚肉部に比較的高い荷重が繰返し作用する
状況にてメカニカルヒューズ装置が長期間に亘り使用さ
れても、薄肉部はそれに作用する荷重が設定荷重未満の
状況に於ては破断せず、荷重が正確に設定荷重になった
段階に於て破断し、従ってメカニカルヒューズ装置を長
期間に亘り所期の設計通りに作動させることができる。
【0047】また請求項2の構成によれば、請求項1の
構成の場合に比してキー及びキー溝の数を低減すること
ができ、これによりメカニカルヒューズ装置の構成を簡
略化することができると共に、メカニカルヒューズ装置
の組付けを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるメカニカルヒューズ装置が適用さ
れた電動式パワーステアリング装置を示す概略構成図で
ある。
【図2】図1の歯車とシャフトとの間に適用されたメカ
ニカルヒューズ装置の第一の実施例を示す拡大部分縦断
面図である。
【図3】図2に示された第一の実施例の平断面図であ
る。
【図4】図2に示された第一の実施例の第一のキーを示
す正面図である。
【図5】図4に示された第一のキーの要部を示す拡大部
分縦断面図である。
【図6】図2に示された第一の実施例の第二のキーを示
す正面図である。
【図7】図6に示された第二のキーの要部を示す拡大部
分縦断面図である。
【図8】第一の実施例の第一及び第二のキーの切欠き溝
の底に於ける応力拡大係数を示すグラフである。
【図9】歯車とシャフトとの間に適用されたメカニカル
ヒューズ装置の第二の実施例を示す拡大部分縦断面図で
ある。
【図10】図9に示された第二の実施例の平断面図であ
る。
【図11】図9に示された第二の実施例のキーを示す正
面図(A)及び平面図(B)である。
【図12】図11の線XII −XII に沿う拡大部分縦断面
図である。
【図13】図11の線XIII−XIIIに沿う拡大部分縦断面
図である。
【図14】セラミックスの疲労強度を金属の疲労強度と
比較して示すグラフである。
【図15】比較例のメカニカルヒューズ装置のキーの切
欠き溝の底に於ける応力拡大係数の変化を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10…ステアリングシャフト 16…ラック・アンド・ピニオン式ステアリング装置 18…従動歯車 22…駆動歯車 28、29…窪み 30、31…キー溝 32、33…キー 34、35、36、37…切欠き溝 48…窪み 50…キー溝 52…キー 54…厚肉部 56…薄肉部 58、60、62、64…切欠き溝
フロントページの続き (72)発明者 岩崎 尚 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 香川 和則 愛知県豊田市トヨタ町1番地トヨタ自動 車株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 5/04 F16B 3/00 F16C 3/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一及び第二のキー溝を有する実質的に丸
    棒状の第一の部材と、前記第一の部材に嵌合しそれぞれ
    前記第一及び第二のキー溝に整合する第三及び第四のキ
    ー溝を有する第二の部材と、前記第一及び第三のキー溝
    に挿入され前記第一及び第二の部材をトルク伝達可能に
    連結する平板状の第一のキーと、前記第二及び第四のキ
    ー溝に挿入され前記第一及び第二の部材をトルク伝達可
    能に連結する平板状の第二のキーとを有し、前記第一及
    び第二のキーはセラミックスにて構成され、前記第一の
    部材と前記第二の部材との間に伝達される荷重が所定値
    以上になると破断して前記第一及び第二の部材の連結状
    態を解除するよう構成されたメカニカルヒューズ装置に
    於て、前記第一又は第三のキー溝の側面と前記第一のキ
    ーの側面との間のクリアランスは前記第二又は第四のキ
    ー溝の側面と前記第二のキーの側面との間のクリアラン
    スよりも小さく設定されていることを特徴とするメカニ
    カルヒューズ装置。
  2. 【請求項2】第一のキー溝を有する実質的に丸棒状の第
    一の部材と、前記第一の部材に嵌合し前記第一のキー溝
    に整合する第二のキー溝を有する第二の部材と、前記第
    一及び第二のキー溝に挿入され前記第一及び第二の部材
    をトルク伝達可能に連結する平板状のキーとを有し、前
    記キーはセラミックスにて構成され、前記第一の部材と
    前記第二の部材との間に伝達される荷重が所定値以上に
    なると破断して前記第一及び第二の部材の連結状態を解
    除するよう構成されたメカニカルヒューズ装置に於て、
    前記キーは厚肉部と薄肉部とを有していることを特徴と
    するメカニカルヒューズ装置。
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