JP2861549B2 - 電磁石装置 - Google Patents

電磁石装置

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JP2861549B2
JP2861549B2 JP3308728A JP30872891A JP2861549B2 JP 2861549 B2 JP2861549 B2 JP 2861549B2 JP 3308728 A JP3308728 A JP 3308728A JP 30872891 A JP30872891 A JP 30872891A JP 2861549 B2 JP2861549 B2 JP 2861549B2
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哲靖 川本
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Matsushita Electric Works Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電磁リレー等に適用し
て好適な電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電磁リレー等に適用される一般的な電磁
石は、磁路を形成するとともに端部に接極面を有するヨ
ークと、ヨークに巻装された電磁コイルと、ヨークの接
極面に接離する接極面を有して電磁コイルの励磁を制御
することにより第1 (動作) 位置と第2 (復帰) 位置間
を移動して接離動作を行うアマチヤと、を基本構成部材
としている。従ってアマチヤが第1 (動作) 位置又は第
2 (復帰) 位置に至ったときにはヨークに衝突して衝突
音を発する。
【0003】このような電磁石装置を適用した電磁リレ
ー等が家庭用電気機器等に組み込まれた場合、その衝突
音は好ましくないので近年、この衝突をやわらげる提案
が種々なされている。最も多く見られるものは、アマチ
ヤとヨークの衝突面に弾性部材を介在させる構造である
が、衝突音低減効果はともかく、アマチヤのストローク
や保持力に影響を与える。
【0004】アマチヤのストロークや保持力に影響を与
えないものとして、図4に示すようなエアダンパーある
いはオイルダンパーを用いたものが存在する。図におい
て、1 はヨーク片2 と鉄心3 からなるヨーク、4 は鉄心
3 にコイル枠5 を介して巻装される電磁コイル、6 はア
マチヤ、7 はシリンダー8 とエア又はオイル9 とピスト
ン10からなるエア又はオイルダンパーである。具体的に
は、アマチヤ6 の自由端に連結板ばね11の一端部を固着
し、連結板ばね11の他端部にピストン10を連結してい
る。この例では、連結板ばね11は可動接点12を設けて可
動接点板を兼ねている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来のものに
あっては、エア又はオイルダンパーを構成する各部材が
高精度で製作された場合には、衝突音低減効果は良好な
ものとなる。しかしながら、エアダンパーとした場合、
所要の流動抵抗を得るには、シリンダー8 とピストン10
の隙間を極めて小さくする必要があり、そのための高度
な加工技術によってコスト高なものとなる。また、オイ
ルダンパーとした場合、オイル9 のシリンダー8 外への
流出を防止するためにピストン10の軸部10b をガイドす
る部分にはシール部材8cが必要となり、やはりコスト高
となる。
【0006】本発明は、かかる事由に鑑みてなしたもの
で、その目的とするところは、高度な加工技術や高価な
部材を用いることなくアマチヤの衝突音が低減できる電
磁石装置を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに本発明の電磁石装置は、磁路を形成するとともに端
部に接極面を有するヨークと、ヨークに巻装された電磁
コイルと、ヨークの接極面に接離する接極面を有して電
磁コイルの励磁を制御することにより動作位置と復帰位
置間を移動して接離動作を行うアマチヤを備えた電磁石
装置において、磁性を有するシリンダーと、シリンダー
内に収容された磁性流体と、ピストンとを有するダンパ
ーを設けてアマチヤとピストンとを連結した構成として
いる。
【0008】
【作用】この構成によれば、シリンダーとピストンの隙
間は相当大きくでき、しかも磁性流体はシリンダーから
吸引力を受けている状態にあるのでシール部材のような
部材がなくても飛散や流出といった現象は発生しない。
【0009】
【実施例】以下、本発明の第1実施例を図1乃至図3に
基づいて説明する。なお、従来例のものと基本的機能が
実質的に同様の部材には同一の符号を付している。
【0010】1 はヨークで、L字状のヨーク片2 と、ヨ
ーク片2に一端が固着された鉄心3とよりなる。ヨーク1
は、磁路を形成するとともに鉄心3 の他端部が接極面3a
となる。4 は電磁コイルで、鉄心3 に嵌めこまれたコイ
ル枠5 の周囲に巻装されている。
【0011】6 はアマチヤで、基端が回動可能にヨーク
片2 の端部に支持され、自由端側に鉄心3 の接極面3aに
対応する接極面6aを有する。このアマチヤ6 は、復帰ば
ね (図示せず) により鉄心3 の接極面3aから接極面6aが
離反する方向にばね付勢されており、電磁コイル4 の励
磁を制御することにより第1 (動作) 位置と第2 (復
帰) 位置間を移動して鉄心3 に対して接離動作を行う。
【0012】7 はダンパーで、シリンダー8 と磁性流体
9 とピストン10とよりなる。シリンダー8 は、円筒状を
なす磁性材料製のシリンダー本体8aと、シリンダー本体
8aの一方の端部に接合された永久磁石8bにより有底円筒
状に形成してある。磁性流体9 は、例えば商品名「フェ
リコロイド」 (製造所「東北金属工業株式会社」) で市
販されているものが好ましく、シリンダー8 内に収容さ
れる。ピストン10は、シリンダー本体8aの内径より小さ
い外径のピストン本体10a と、一端がピストン本体10a
に固着され他端はシリンダー8 から突出する軸部10b よ
りなる。このダンパー7 は、その軸心がヨーク1 の鉄心
3 と平行的でかつアマチヤ6 の自由端の延長方向に配設
される。
【0013】11は連結板ばねで、その他端部がダンパー
7 と重合するよう一端部がアマチヤ6 の自由端に固着さ
れる。そしてその他端部にピストン10の軸部10b の他端
が連結部材11b にて連結される。ピストン10の軸部10b
の長さは、アマチヤ6 が第2(復帰) 位置、すなわち両
接極面3a,6a が離反しているとき、ピストン本体10aが
シリンダー本体8aの軸方向中間付近に位置するように設
定する。なお、この実施例でも、連結板ばね11は可動接
点板を兼ねており、従って連結部材11b の反対側に可動
接点12を設けている。
【0014】かかる電磁石装置は、図1の状態で電磁コ
イル4 を励磁すると、アマチヤ6 が鉄心3 に吸引されて
ピストン10は下降する。そのとき、ピストン10は磁性流
体9内を移動するために、図2に示すように逆向きの粘
性抵抗力Fを受ける。その結果、アマチヤ6 の移動速度
が低下し、その接極面6aの鉄心3 の接極面3aへの衝突を
やわらげて衝突音を低減させることができる。また、磁
性流体9 は、磁性を有するシリンダー8 に吸引力を受け
ながら収容されているので、オイルダンパーに必要であ
ったシール部材が不要になることは勿論、これが飛散や
流出といった現象も発生しない。
【0015】アマチヤ6 の移動速度と衝突音の関係につ
いては、次のような測定結果を得ている。すなわち図3
に示すように、アマチヤ6 の移動速度 (衝突時) が1000
[mm/sec]のとき約50[dB]であり、これを40[dB]にした
い場合はアマチヤ6 の移動速度を500[mm/sec]程度にす
る必要がある。
【0016】このようなアマチヤ6 の移動速度を得るの
にエアダンパーを使用する場合、空気の粘性係数が小さ
いだけにシリンダーとピストンとの隙間は極めて小さく
せねならず、その加工や寸法維持は極めて困難である。
一方、本実施例の磁性流体9は、その粘性係数が大きい
のでシリンダー8 とピストン10との隙間は相当大きく、
その加工は容易なものとなる。
【0017】エアダンパーと本案のダンパーについて、
シリンダーとピストンとの隙間を比較すると次のように
なる。粘性抵抗力Fはピストンの速度をVとすると、 F=cV ── (1) このcは粘性減衰係数であり、ピストンの直径をD、シ
リンダー内周面とピストン外周面との隙間をh、粘性係
数をμ、ピストン長をlとすると、 c= (3/4) πμl (D/h)3 ── (2) 空気の粘性係数μs と磁性流体の粘性係数μm は、 μs = 0.000178 [g/cm sec] ── (3) μm =13.5 [g/cm sec] ── (4) これら (1) 乃至 (4) より、エアダンパーと本案のダ
ンパーが同じ粘性抵抗力Fを得るときのシリンダーとピ
ストンとの隙間の比(hm/hs) は、 (hm/hs)
≒40となる。
【0018】すなわち、本案のダンパーはエアダンパー
に比してシリンダーとピストンとの隙間は約40倍大き
くすることができるのである。
【0019】なお、本実施例の磁性流体に替え、5μm
程度の粒径を有する鉄やニッケルの粉末からなる微細磁
性粉を用いてもよく、本案でいう磁性流体にはこれも含
めるものとする。また、本実施例のようなクラッパー型
以外の電磁石装置に適用できることは勿論である。
【0020】
【発明の効果】本発明の電磁石装置は、シリンダーとピ
ストンの隙間は相当大きくでき、しかも磁性流体はシリ
ンダーから吸引力を受けている状態にあるのでシール部
材のような部材がなくても飛散や流出といった現象は発
生せず、よって高度な加工技術や高価な部材を用いるこ
となくアマチヤの衝突音が低減できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す縦断面図である。
【図2】その動作状態を示す縦断面図である。
【図3】アマチヤの移動速度と衝突音の測定結果を示す
特性図である。
【図4】従来例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ヨーク 2 ヨーク片 3 鉄心 3a 鉄心の接極面 4 電磁コイル 6 アマチヤ 6a アマチヤの接極面 7 ダンパー 8 シリンダー 9 磁性流体 10 ピストン 11 連結部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁路を形成するとともに端部に接極面を
    有するヨークと、ヨークに巻装された電磁コイルと、ヨ
    ークの接極面に接離する接極面を有して電磁コイルの励
    磁を制御することにより動作位置と復帰位置間を移動し
    て接離動作を行うアマチヤと、を備えた電磁石装置にお
    いて、 磁性を有するシリンダーと、シリンダー内に収容された
    磁性流体と、ピストンとを有するダンパーを設けてアマ
    チヤとピストンとを連結したことを特徴とする電磁石装
    置。
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