JP2856024B2 - タービンロータの吊上装置 - Google Patents

タービンロータの吊上装置

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JP2856024B2
JP2856024B2 JP5125133A JP12513393A JP2856024B2 JP 2856024 B2 JP2856024 B2 JP 2856024B2 JP 5125133 A JP5125133 A JP 5125133A JP 12513393 A JP12513393 A JP 12513393A JP 2856024 B2 JP2856024 B2 JP 2856024B2
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lifting
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真二 井上
秀雄 高須
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタービンロータの吊上装
置に係り、特に原子力発電所又は火力発電所等に設置さ
れる大型発電用タービンロータを吊り上げるタービンロ
ータの吊上装置に関する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電所又は火力発電所等の建設工
事及び定検工事においては、大型の発電用タービンロー
タ(重量として50tから100t程度)を据付位置に
据え付けるための吊上作業や定検工事のために据付位置
から取り外すための吊上作業を行う。そして、これらの
吊上作業は、タービンロータが大重量で且つ精度の高い
部品で構成されていることから、細心の注意を払って行
う必要がある。特に、タービンロータの多数の動翼は、
タービンロータのケーシングに櫛歯状に設けられた多数
の静翼の僅かな間隙に組み込まれている。このことか
ら、動翼と静翼とが接触して破損しないように吊上げ作
業を行うことが重要であり、5mm程度吊り上がった吊
り上げ直後のタービンロータの水平調整を要し、重要な
作業である。この為、タービンロータの上側ケーシング
を取り外した後、一対の軸受に水平に置かれているター
ビンロータを、0°から1/3000スパン以内の勾配
に調整し、その勾配を保ちながら吊上げ作業を行うこと
が必要になる。
【0003】従来、タービンロータの吊上装置は図2
示すように、一対の軸受1、1上に水平に支持されたタ
ービンロータ2の軸3両側を、天秤4の両側から垂下し
ている一対のワイヤー5、5で支持する。そして、この
天秤の中央部6を、図示しない天井クレーンのフックに
取付け、天井クレーンにより天秤4を介してタービンロ
ータ2を吊り上げる。また、前記天秤4によるタービン
ロータ2の水平調整は、タービンロータ2の重心に対す
るワイヤー5、5の取付け位置を適宜変えることにより
行うことができる。即ち、タービンロータ2の両端側に
熟練者を配置し、各熟練者がタービンロータ2と軸受
1、1の双方に触れるように指を当てて、タービンロー
タ2を微小量だけ吊り上げ、タービンロータ2が左右ど
ちらかの軸受1から離れる瞬間を感知し、先に離れた側
のワイヤー5が後に離れた側のワイヤー5よりも軽荷重
が負荷されていることを判断する。また、両側の負荷荷
重の差は離れる瞬間の状況で判断する。次いで、タービ
ンロータ2軸受1に一旦下ろし、前記ワイヤー5、5
の取付け位置を前記負荷荷重の差を参考にして手動調整
する。このように、前述した手順を繰り返して、タービ
ンロータ2の水平調整を行った後、タービンロータ2を
高く吊り上げて所定の位置に移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
タービンロータの吊上装置では、天秤4によるタービン
ロータ2の水平調整を熟練者の感に頼っていたので、水
平調整を複数回行わなければならず、水平調整に長時間
かかるという欠点があった。また、前記熟練者が正確な
水平調整をしたと判断しても、水平調整に微妙なズレが
あると、吊上時にタービンロータ2が傾き、タービンロ
ータ2の動翼7と図示しない静翼が接触して動翼7又は
静翼が損傷するという欠点がある。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、短時間で正確な水平調整を行うことができるタ
ービンロータの吊上装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するために、軸受上に水平に支持された動翼を備えた
タービンロータの両端を、天秤装置の両端に取付けた一
対のワイヤーで支持し、クレーンにより天秤装置を介し
てタービンロータをケーシング側の静翼とのかみ合わせ
位置から吊り上げるタービンロータの吊上装置に於い
て、前記タービンロータを微小量吊り上げた際の前記タ
ービンロータ両端の吊上変位量をタービンロータを吊り
上げる前の位置を基準として検知する一対の変位検知
段と、前記天秤装置の天秤棒に沿って移動可能に設けら
れたバランスウェイト部材と、前記一対の変位検知手段
からの検知情報に基づいてタービンロータ両端の吊上変
位量のアンバランスを計測すると共に、その吊上変位量
のアンバランスがゼロになるように前記バランスウェイ
ト部材の移動位置を演算する演算手段と、前記演算手段
で求められた移動位置に従ってバランスウェイト部材を
移動させる移動手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
【作用】本発明によれば、前記演算手段で求めた位置に
バランスウェイト部材を速やかに移動させることができ
る。その結果、タービンロータ両端の吊上変位量のアン
バランスがゼロになり、タービンロータの水平調整が完
了する。また、本発明ではタービンロータ両端の吊上変
位量をタービンロータを吊り上げる前の位置を基準とし
て検知し、その情報に基づいてタービンロータ両端の吊
上変位量のアンバランスをゼロにするので、動翼と静翼
との平行関係を確実に保持してタービンロータを吊り上
げることができる。このため、タービンの初期の据付状
態が厳密に水平でない場合においても、動翼と静翼が接
触することがない。
【0008】
【0009】これにより、本発明に係るタービンロータ
の吊上装置は、短時間で正確な水平調整ができ、かつ、
タービンの初期の据付状態が厳密に水平でない場合にお
いても、動翼と静翼が接触して破損することを確実に防
止できる。
【0010】
【実施例】以下添付図面に従って本発明に係るタービン
ロータの吊上装置の好ましい実施例について詳説する。
図1には第1の発明に係るタービンロータの吊上装置の
実施例が示され、一対の軸受10、10によってその両
端が支持されたタービンロータ12は、天秤14から垂
下した一対のワイヤロープ16、16で支持される。更
に、天秤14の中央に形成された吊下部18が、図示し
ない天井クレーンの吊上ワイヤー20先端部に固着され
たフック22に取付けられている。即ち、天井クレーン
によって吊上ワイヤー20を牽引することにより、天秤
14を介してタービンロータ12を吊り上げることがで
きる。また、前記一対のワイヤーロープ16、16の上
端はスライド板24、24に固着され、このスライド板
24は、天秤14の天秤棒26に沿ってスライド自在に
設けられ、スライド板24を適宜スライドさせることに
よりタービンロータ12に対する前記一対のワイヤーロ
ープ16、16の支持位置を変えることができる。
【0011】また、前記天秤棒26の両端下側に送りネ
ジ用軸受28、28が夫々設けられ、この一対の送りネ
ジ用軸受28、28に送りネジ棒30が軸支されてい
る。そして、この送りネジ棒30には、送りネジ棒30
のネジに噛合するようにバランスウエイト32が嵌装さ
れると共に、前記バランスウエイト32の上部は、天秤
棒26下側に沿って形成されたレール34にスライド可
能に嵌合している。更に、前記送りネジ棒30の片端は
一方の前記送りネジ用軸受28を貫通して正逆回転可能
なモータ36に連結している。これにより、モータ36
を正回転又は逆回転させて、送りネジ棒30を正回転又
は逆回転させることにより、バランスウエイト32をレ
ールに沿って図中左右方向にスライドさせることができ
る。
【0012】また、タービンロータ軸38の両端上方に
は、一対の変位センサー40、40が夫々配置され、こ
の変位センサー40、40はタービンロータ12の一対
の軸受10、10に着脱自在に取付けられている。そし
て、この夫々の変位センサー40、40は、変位センサ
ー40から前記軸38表面までの距離を逐次測定して、
その距離データをコントローラ42に出力する。このコ
ントローラ42は、変位センサー40からの距離データ
をもとに変位センサー40から軸38表面までの距離の
変位量を算出する一対のカウンタ44、44と、夫々の
カウンタ44、44から出力された変位量データをもと
に前記バランスウエイト32の移動位置を演算する演算
器46と、前記演算情報をもとにモータ36の作動条件
を決定するシーケンサ48と、この作動条件に基づいて
モータ36を作動させるドライバ50とから構成されて
いる。
【0013】次に、前記の如く構成された第1の発明の
タービンロータの吊上装置の作用について説明する。先
ず、タービンロータ12が吊上げられる前に、夫々の変
位センサー40、40により、変位センサー40からタ
ービンロータ軸38表面までの基準距離が測定され、夫
々のカウンタ44、44に入力される。そして、夫々の
カウンタ44、44は基準距離を変位量のゼロ基準とし
て記憶する。次に、天井クレーンでタービンロータ12
の吊上げを開始し、タービンロータ12が吊上げられた
直前に、即ち、一対の軸受10、10からタービンロー
タ12が微小量離れた瞬間に、変位センサー40、40
によりタービンロータ軸30と夫々の変位センサー4
0、40との距離X1 、X2 が測定される。次に、夫々
の変位センサー40、40で測定された距離データ
1 、X2 は、カウンタ44、44に出力され、カウン
タ44、44では前記X1 、X2 と前記基準距離との比
較から変位量を算出し、演算器46に出力する。演算器
は、夫々のカウンタ44、44から出力された変位量を
比較して変位量の差の大きさ及び変位量の正負を判断し
て夫々の変位量が同じになるためのバランスウエイト3
2の移動位置を演算し、シーケンサ48に出力する。シ
ーケンサ48は、演算器46からの演算情報をもとにバ
ランスウエイト32を前記移動位置に移動させるための
モータ36の作動条件(回転方向、作動時間等)を決定
してドライバ50でモータ36を作動させる。このモー
タ36の作動に連動して送りネジ棒30が必要な回転方
向に必要な数だけ回転し、バランスウエイト32をレー
ル34に沿って前記移動位置にスライドさせる。これに
より、タービンロータ12両端の変位量差をなくすこと
ができるので、タービンロータ12の水平調整を行うこ
とができる。そして、タービンロータ12の水平調整が
終了したら、変位センサー40、40を軸受10、10
から取り外してタービンロータ12上方から取り除き、
タービンロータ12を吊上位置まで吊上げる。
【0014】従って、本発明のタービンロータの吊上装
置は、熟練者の感に頼って水平調整を複数回数行ってい
た従来のタービンロータの吊上装置に比べ、水平調整を
1回で済ますことができる。また、変位センサー40、
40でタービンロータ12両端の変位量を計測し、コン
トローラ42でバランスウエイト32の移動位置を決定
して、その移動位置に正確にバランスウエイト32が移
動するようにしたので、正確な水平調整を行うことがで
きる。また、本発明のタービンロータの吊上装置は、一
対の変位センサー40、40で、タービンロータ両端の
吊上変位量を計測するようにしたので、例えば、タービ
ンロータ軸38の径が左右で異なっている場合、或い
は、一対の変位センサー40、40からタービンロータ
軸38表面までの距離が多少異なっていても正確な水平
調整を行うことができる。
【0015】
【0016】
【0017】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明のタービ
ンロータの吊上装置によれば、タービンロータを短時間
で正確に水平調整して吊り上げることができる。また、
タービンの初期の据付状態が厳密に水平でない場合にお
いても、動翼と静翼が接触して破損することを確実に防
止してタービンロータを吊り上げることができる。
【0018】
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタービンロータの吊上装置の実施
例を説明する説明図
【図2】従来のタービンロータの吊上装置を説明する説
明図
【符号の説明】
12…タービンロータ 14…天秤 16…ワイヤー 26…天秤棒 32…バランスウェイト 40…変位センサー 42…コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−323192(JP,A) 特開 昭63−117896(JP,A) 特開 平2−249893(JP,A) 実開 昭48−57868(JP,U) 実開 平3−72583(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B66C 13/00 - 15/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受上に水平に支持された動翼を備えた
    タービンロータの両端を、天秤装置の両端に取付けた一
    対のワイヤーで支持し、クレーンにより天秤装置を介し
    てタービンロータをケーシング側の静翼とのかみ合わせ
    位置から吊り上げるタービンロータの吊上装置に於い
    て、 前記タービンロータを微小量吊り上げた際の前記タービ
    ンロータ両端の吊上変位量をタービンロータを吊り上げ
    る前の位置を基準として検知する一対の変位検知手段
    と、 前記天秤装置の天秤棒に沿って移動可能に設けられたバ
    ランスウェイト部材と、 前記一対の変位検知手段からの検知情報に基づいてター
    ビンロータ両端の吊上変位量のアンバランスを計測する
    と共に、その吊上変位量のアンバランスがゼロになるよ
    うに前記バランスウェイト部材の移動位置を演算する演
    算手段と、前記 演算手段で求められた移動位置に従ってバランスウ
    ェイト部材を移動させる移動手段と、を備えたことを特
    徴とするタービンロータの吊上装置。
JP5125133A 1993-04-28 1993-04-28 タービンロータの吊上装置 Expired - Lifetime JP2856024B2 (ja)

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