JP2854547B2 - 固体酸触媒によるベンジルアルコール、エーテルおよびエステル類のラセミ化法 - Google Patents
固体酸触媒によるベンジルアルコール、エーテルおよびエステル類のラセミ化法Info
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- JP2854547B2 JP2854547B2 JP7328849A JP32884995A JP2854547B2 JP 2854547 B2 JP2854547 B2 JP 2854547B2 JP 7328849 A JP7328849 A JP 7328849A JP 32884995 A JP32884995 A JP 32884995A JP 2854547 B2 JP2854547 B2 JP 2854547B2
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- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鏡像異性体の化合物
をラセミ化する方法に関する。更に詳しくは、ベンジル
化合物の鏡像異性体を固体酸触媒により連続的にラセミ
化する方法に関する。
をラセミ化する方法に関する。更に詳しくは、ベンジル
化合物の鏡像異性体を固体酸触媒により連続的にラセミ
化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】少なくともひとつのキラルセンター(ch
iral center)を有する薬剤において、ラセミ混合物の
鏡像異性体の薬学的効果がかなり異なることが知られ
る。したがって、薬理学的にも薬学的にもより受け入れ
可能な鏡像異性体を用いることが望ましいことは古くか
ら知られている。しかし、ラセミ混合物の提供が困難で
ありコストがかかること、および/または望ましい鏡像
異性体の不整合成が困難でコストがかかるという理由だ
けで、光学的に純粋な薬剤の使用は比較的新しい。立体
化学的な純度の重要性は、そのD鏡像異性体より100倍
も強力であることは例えばL−プロプラノロルが示して
いる。さらに、或る種の異性体は実際に単に不活性であ
るというよりは有害である可能性があるので、重要であ
る。例えば、サリドマイドのD鏡像異性体は、妊娠中の
つわりの制御のために処方された場合、安全で有効な鎮
静剤であった。しかしながら、L−サリドマイドは強力
な催奇形因子で、多数の新生児の不具をもたらした。
iral center)を有する薬剤において、ラセミ混合物の
鏡像異性体の薬学的効果がかなり異なることが知られ
る。したがって、薬理学的にも薬学的にもより受け入れ
可能な鏡像異性体を用いることが望ましいことは古くか
ら知られている。しかし、ラセミ混合物の提供が困難で
ありコストがかかること、および/または望ましい鏡像
異性体の不整合成が困難でコストがかかるという理由だ
けで、光学的に純粋な薬剤の使用は比較的新しい。立体
化学的な純度の重要性は、そのD鏡像異性体より100倍
も強力であることは例えばL−プロプラノロルが示して
いる。さらに、或る種の異性体は実際に単に不活性であ
るというよりは有害である可能性があるので、重要であ
る。例えば、サリドマイドのD鏡像異性体は、妊娠中の
つわりの制御のために処方された場合、安全で有効な鎮
静剤であった。しかしながら、L−サリドマイドは強力
な催奇形因子で、多数の新生児の不具をもたらした。
【0003】最近の化学の進歩、特に不整合成の分野で
の進歩に伴って、任意のキラル薬剤のより受け入れ易い
鏡像異性体を選択的に作成する可能性が増大すると同時
に、薬品産業に対してそうした鏡像異性体だけを利用で
きるようにする要求も増大している。本発明に関する示
唆的なひとつの例はフルオキセチン(そのラセミ化合物
ProzacTMとして市販されている)、トモキセチン、お
よびニソキセチンなどを具体例とするセロトニン−アッ
プテイク抑制剤で、これらはすべて(塩酸塩として)以
下化2のような構造を有している。
の進歩に伴って、任意のキラル薬剤のより受け入れ易い
鏡像異性体を選択的に作成する可能性が増大すると同時
に、薬品産業に対してそうした鏡像異性体だけを利用で
きるようにする要求も増大している。本発明に関する示
唆的なひとつの例はフルオキセチン(そのラセミ化合物
ProzacTMとして市販されている)、トモキセチン、お
よびニソキセチンなどを具体例とするセロトニン−アッ
プテイク抑制剤で、これらはすべて(塩酸塩として)以
下化2のような構造を有している。
【0004】
【化2】 式中:R3はそれぞれ4−CF3,2−CH3または2−
C2H5Oである。
C2H5Oである。
【0005】このように、Skrebnik,Ramachandranおよ
びBrown,J.Org.Chem,53,2916,1988はプロキラル
ケトン類の不整還元でキラル的に修正したホウ素化合物
を用いた。3−クロロプロピオフェノンから、97%の鏡
像異性体純度でS−3−クロロ−1−フェニル−1−プ
ロパノールが製造され、S−トモキセチンおよびS−フ
ルオキセチンの対応する鏡像異性体製造の出発物質とし
ても用いられた。その後、GaoおよびSharpless,J.Or
g.Chem,53,4081,1988でシンナミルアルコールか
ら、触媒による不整エポキシ化および対応するエポキシ
シナミルアルコールの広域選択的還元によってトモキサ
チンとフルオキセチンの両方の鏡像異性体の鏡像異性選
択的合成を開発した。E.J.CoreyおよびG.A.Reichar
d,Tetrahedron Letters,30,No.39,5207(1989)は77
〜82%の収率で、3−クロロプロピオフェノンからの鏡
像異性的に純粋なフルオキセチンの4−ステップ合成の
概要について述べているが、この中で最も重要なステッ
プは99%の収率および94%の鏡像異性選択性での、ケト
ンの3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノール(C
PP)の鏡像異性選択的触媒還元である。再結晶を行う
と、鏡像異性的に100%の純度の物質が82%の回収率で
得られた。これらの著者はCPPなどの化合物が合成に
おいて極めて有益であることを認めている。米国特許出
願5104899はフルオキセチンのS(+)異性体が、神経の
いらだちや不安感、不眠症、および心理的な悪影響など
ラセミ化合物の有するある種の副作用を持っていないの
で望ましい鏡像異性体であること、そして、S鏡像異性
体が作用の発現が速く、効き目も速く現れることを教示
している。
びBrown,J.Org.Chem,53,2916,1988はプロキラル
ケトン類の不整還元でキラル的に修正したホウ素化合物
を用いた。3−クロロプロピオフェノンから、97%の鏡
像異性体純度でS−3−クロロ−1−フェニル−1−プ
ロパノールが製造され、S−トモキセチンおよびS−フ
ルオキセチンの対応する鏡像異性体製造の出発物質とし
ても用いられた。その後、GaoおよびSharpless,J.Or
g.Chem,53,4081,1988でシンナミルアルコールか
ら、触媒による不整エポキシ化および対応するエポキシ
シナミルアルコールの広域選択的還元によってトモキサ
チンとフルオキセチンの両方の鏡像異性体の鏡像異性選
択的合成を開発した。E.J.CoreyおよびG.A.Reichar
d,Tetrahedron Letters,30,No.39,5207(1989)は77
〜82%の収率で、3−クロロプロピオフェノンからの鏡
像異性的に純粋なフルオキセチンの4−ステップ合成の
概要について述べているが、この中で最も重要なステッ
プは99%の収率および94%の鏡像異性選択性での、ケト
ンの3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノール(C
PP)の鏡像異性選択的触媒還元である。再結晶を行う
と、鏡像異性的に100%の純度の物質が82%の回収率で
得られた。これらの著者はCPPなどの化合物が合成に
おいて極めて有益であることを認めている。米国特許出
願5104899はフルオキセチンのS(+)異性体が、神経の
いらだちや不安感、不眠症、および心理的な悪影響など
ラセミ化合物の有するある種の副作用を持っていないの
で望ましい鏡像異性体であること、そして、S鏡像異性
体が作用の発現が速く、効き目も速く現れることを教示
している。
【0006】上に述べたことは鏡像異性選択性合成の事
例である。鏡像異性選択性合成は高度の鏡像異性体純度
を有するキラル剤に依存しており、これはしばしば非常
に高価である。その結果、一般的に採用されるもうひと
つの方式は、合成に粗原料を出発物質として用い、高度
の鏡像異性体純度を有する初期前駆体を効率的に分割し
て、その後で、中間工程から最終的な製品形成に至るま
で高度の鏡像異性純度を保持する従来の合成技術を用い
る方法に基づいている。こうした方式の具体例はSchnei
derおよびGoergens,Tetrahedron Asymmetry,No.4,52
5,1992で開示されている。これらはリン酸緩衝液によ
る厳密なpH制御を行いながらシュードモナス蛍光体から
得たリパーゼの存在下でラセミ性アセテートを酵素によ
って加水分解することによってCCPの酵素分解を行っ
た。約50%の転換が行われた後、加水分解を中止してR
−アルコールを得ると同時にS−アセテートは未変化の
ままとし、その後、塩基を用いてS−アルコールに加水
分解した。鏡像異性的に純度の高いアルコールから、鏡
像異性的に純度の高いトモキセチン、フルオキセチン、
およびニソキセチンを製造することができた。
例である。鏡像異性選択性合成は高度の鏡像異性体純度
を有するキラル剤に依存しており、これはしばしば非常
に高価である。その結果、一般的に採用されるもうひと
つの方式は、合成に粗原料を出発物質として用い、高度
の鏡像異性体純度を有する初期前駆体を効率的に分割し
て、その後で、中間工程から最終的な製品形成に至るま
で高度の鏡像異性純度を保持する従来の合成技術を用い
る方法に基づいている。こうした方式の具体例はSchnei
derおよびGoergens,Tetrahedron Asymmetry,No.4,52
5,1992で開示されている。これらはリン酸緩衝液によ
る厳密なpH制御を行いながらシュードモナス蛍光体から
得たリパーゼの存在下でラセミ性アセテートを酵素によ
って加水分解することによってCCPの酵素分解を行っ
た。約50%の転換が行われた後、加水分解を中止してR
−アルコールを得ると同時にS−アセテートは未変化の
ままとし、その後、塩基を用いてS−アルコールに加水
分解した。鏡像異性的に純度の高いアルコールから、鏡
像異性的に純度の高いトモキセチン、フルオキセチン、
およびニソキセチンを製造することができた。
【0007】SchneiderおよびGoergensの方法はラセミ
化合物の分解に基づく方法の特徴を典型的に示してい
る。かれらの報告の中で、著者は、例えば、光学的純度
が高いR−およびS−フルオキセチンの両方を製造する
ためにR−およびS−CPPの両方を用いているが、ひ
とつの鏡像異性体の方が他方より望ましい場合(米国特
許出願5104899、上記)、実際にはその後の合成でより
望ましい鏡像異性体が用いられるであろう。
化合物の分解に基づく方法の特徴を典型的に示してい
る。かれらの報告の中で、著者は、例えば、光学的純度
が高いR−およびS−フルオキセチンの両方を製造する
ためにR−およびS−CPPの両方を用いているが、ひ
とつの鏡像異性体の方が他方より望ましい場合(米国特
許出願5104899、上記)、実際にはその後の合成でより
望ましい鏡像異性体が用いられるであろう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
技術において、鏡像異性体を製造するために、出発物質
の半分もある必要としない一方の鏡像異性体を廃棄する
という、経済的の損失をなくし、これを回収して再利用
することが要望されている。本発明はこの要望を達成す
るために発明されたものである。
技術において、鏡像異性体を製造するために、出発物質
の半分もある必要としない一方の鏡像異性体を廃棄する
という、経済的の損失をなくし、これを回収して再利用
することが要望されている。本発明はこの要望を達成す
るために発明されたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、化1で示され
るベンジルアルコール、エーテル、エステル類の鏡像異
性体を強酸性イオン交換物質の固体酸をラセミ化条件で
通すことにより連続して上記鏡像異性体をラセミ化する
方法である。
るベンジルアルコール、エーテル、エステル類の鏡像異
性体を強酸性イオン交換物質の固体酸をラセミ化条件で
通すことにより連続して上記鏡像異性体をラセミ化する
方法である。
【0010】
【発明の実施の態様】本発明はベンジルアルコール、エ
ーテルおよびエステルを特に連続的なプロセスで、高い
効率と優れた収率でラセミ化することである。ひとつの
実施態様はベンジルアルコールの水溶液を約350℃まで
の温度で固体酸ラセミ化触媒と接触させるステップで構
成されている。ひとつの実施態様では、上記触媒は強酸
基を有するカチオン交換物質である。別の実施態様で
は、この触媒はカチオン交換樹脂で、ラセミ化が行われ
る温度は約150℃以下である。さらに別の実施態様は、
酢酸ベンジルを酢酸に溶かした溶液を固体酸触媒と接触
させるステップで構成されている。
ーテルおよびエステルを特に連続的なプロセスで、高い
効率と優れた収率でラセミ化することである。ひとつの
実施態様はベンジルアルコールの水溶液を約350℃まで
の温度で固体酸ラセミ化触媒と接触させるステップで構
成されている。ひとつの実施態様では、上記触媒は強酸
基を有するカチオン交換物質である。別の実施態様で
は、この触媒はカチオン交換樹脂で、ラセミ化が行われ
る温度は約150℃以下である。さらに別の実施態様は、
酢酸ベンジルを酢酸に溶かした溶液を固体酸触媒と接触
させるステップで構成されている。
【0011】ラセミ化ステップは高度に個別的でなけれ
ばならず、さらに、それを分解段階にリサイクスするた
めに、鏡像異性体の効率的な変換を行うものでなければ
ならない。キラルベンジルセンターで機能化されるタイ
プの化合物においては、ラセミ化はベンジル化合物を固
体酸触媒、特に、強酸基を含むイオン交換物質を350℃
程度の高い温度、しかし通常は150℃程度の温度で接触
させることによって行うことができる。本発明の対象と
なるタイプの化合物はアルコール、エーテルおよびエス
テル類で、本発明において特に関心がもたれる固体酸触
媒はイオン交換樹脂、スルホン酸基を含むシリカゲル、
そして、強酸基で機能化されるポリシルセスキオキサン
である。
ばならず、さらに、それを分解段階にリサイクスするた
めに、鏡像異性体の効率的な変換を行うものでなければ
ならない。キラルベンジルセンターで機能化されるタイ
プの化合物においては、ラセミ化はベンジル化合物を固
体酸触媒、特に、強酸基を含むイオン交換物質を350℃
程度の高い温度、しかし通常は150℃程度の温度で接触
させることによって行うことができる。本発明の対象と
なるタイプの化合物はアルコール、エーテルおよびエス
テル類で、本発明において特に関心がもたれる固体酸触
媒はイオン交換樹脂、スルホン酸基を含むシリカゲル、
そして、強酸基で機能化されるポリシルセスキオキサン
である。
【0012】本発明によってラセミ化される物質は化3
の構造を有している。
の構造を有している。
【化3】
【0013】最も重要な例は、YはHである。つまり、
本発明を実施する上で用いられる最も重要な物質はヒド
ロキシル炭素にキラルセンターを有しているベンジルア
ルコール類である。上に述べたことから、ベンジルカー
ボンにキラル性ももたらすためには、R1がR2と違って
いなければならないことは明らかであろう。R1がR2と
同じではないという必要条件で、R1とR2は水素とアル
キル、シクロアルキル、および1〜10の炭素原子を有す
る芳香基で構成されるグループから選択される。アルキ
ル基は鎖形、分岐、あるいは環式のいずれであってもよ
く、また、ラセミ化条件下で不活性置換基以外の他の置
換基を含んでいてもよい。アルキル基上に置換されてい
てもよい基の代表的なものはハロゲン、ヒドロキシル、
アルコキシル、芳香基、およびアミノ基などで、1級、
2級、および3級アミノ基が含まれる。R1およびR2の
両方、あるいはいずれか一方がアルキル基であるような
好ましい態様においては、それらは約1〜6の炭素原子
を有しており、他の不活性置換基を含む場合と含まない
場合とがある。適切な基の例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、およびデシルなどがある。他の
適切な基としては、クロロメチル、ブロモエチル、ヒド
ロキシプロピル、メトキシブチル、アミノプロピル、ク
ロロエチル、アミノエチル、メチルアミノエチル、エト
キシペンチル、フェニルなどが含まれる。上に述べた物
質はR1およびR2として用いることができるものの代表
的な例に過ぎず、ラセミ化される物質をすべて数え上げ
た訳ではない。
本発明を実施する上で用いられる最も重要な物質はヒド
ロキシル炭素にキラルセンターを有しているベンジルア
ルコール類である。上に述べたことから、ベンジルカー
ボンにキラル性ももたらすためには、R1がR2と違って
いなければならないことは明らかであろう。R1がR2と
同じではないという必要条件で、R1とR2は水素とアル
キル、シクロアルキル、および1〜10の炭素原子を有す
る芳香基で構成されるグループから選択される。アルキ
ル基は鎖形、分岐、あるいは環式のいずれであってもよ
く、また、ラセミ化条件下で不活性置換基以外の他の置
換基を含んでいてもよい。アルキル基上に置換されてい
てもよい基の代表的なものはハロゲン、ヒドロキシル、
アルコキシル、芳香基、およびアミノ基などで、1級、
2級、および3級アミノ基が含まれる。R1およびR2の
両方、あるいはいずれか一方がアルキル基であるような
好ましい態様においては、それらは約1〜6の炭素原子
を有しており、他の不活性置換基を含む場合と含まない
場合とがある。適切な基の例としては、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチ
ル、オクチル、ノニル、およびデシルなどがある。他の
適切な基としては、クロロメチル、ブロモエチル、ヒド
ロキシプロピル、メトキシブチル、アミノプロピル、ク
ロロエチル、アミノエチル、メチルアミノエチル、エト
キシペンチル、フェニルなどが含まれる。上に述べた物
質はR1およびR2として用いることができるものの代表
的な例に過ぎず、ラセミ化される物質をすべて数え上げ
た訳ではない。
【0014】Ar基はアリール基を示しており、その代
表はフェニル基、C6H5である。他の代表的なアリール
基としてはナフチル、アントリル、フェナンスリル、ピ
リジルなどである。アリール基は他の不活性置換基で置
換してもよく、特に置換フェニル基の場合はそうであ
る。アリール環上での適切な置換基は1〜6の炭素原子
を有するアルキル基、およびハロゲン、ヒドロキシ、ア
ルコキシなどラセミ化条件下で不活性な他のグループで
ある。本発明の発明を実施する際に用いることができる
キラルベンジル炭素原子を有するベンジルアルコールの
例としては1−フェニルエタノール、1−フェニル−1
−プロパノール、1−フェニル−1−ブタノール、2−
フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−2−ペンタ
ノール、3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノー
ル、3−クロロ−1−フェニル−1−ブタノール、4−
ブロモ−1−フェニル−1−ブタノール、4−ブロモ−
2−フェニル−2−ブタノール、3−メチルアミノ−1
−フェニル−1−プロパノール、1−トリイルエタノー
ル、1−(トリフルオロエチルフェニル)−1−プロパ
ノール、3−クロロ−1−(メトキシフェニル)−1−
プロパノール、1−(トリクロロメチルフェニル)−1
−プロパノール、1−ヒドロキシフェニル−2−メチル
−1−プロパノールなどである。
表はフェニル基、C6H5である。他の代表的なアリール
基としてはナフチル、アントリル、フェナンスリル、ピ
リジルなどである。アリール基は他の不活性置換基で置
換してもよく、特に置換フェニル基の場合はそうであ
る。アリール環上での適切な置換基は1〜6の炭素原子
を有するアルキル基、およびハロゲン、ヒドロキシ、ア
ルコキシなどラセミ化条件下で不活性な他のグループで
ある。本発明の発明を実施する際に用いることができる
キラルベンジル炭素原子を有するベンジルアルコールの
例としては1−フェニルエタノール、1−フェニル−1
−プロパノール、1−フェニル−1−ブタノール、2−
フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−2−ペンタ
ノール、3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノー
ル、3−クロロ−1−フェニル−1−ブタノール、4−
ブロモ−1−フェニル−1−ブタノール、4−ブロモ−
2−フェニル−2−ブタノール、3−メチルアミノ−1
−フェニル−1−プロパノール、1−トリイルエタノー
ル、1−(トリフルオロエチルフェニル)−1−プロパ
ノール、3−クロロ−1−(メトキシフェニル)−1−
プロパノール、1−(トリクロロメチルフェニル)−1
−プロパノール、1−ヒドロキシフェニル−2−メチル
−1−プロパノールなどである。
【0015】本発明の実施においては、類似のベンジル
エーテルおよびエステルを用いてもよい。つまり、Yは
アルキル基(ベンジルエーテルを得るため)、あるいは
カルボアルキル基(対応するベンジルエステルを得るた
め)であってもよく、つまりY=R3またはC(O)R
3で、この場合、R3は1〜6の炭素原子を有するアルキ
ル基である。特にアリール基がフェニルまたは置換フェ
ニル基の場合、芳香性エーテルを用いてもよい、つま
り、YがArである。エーテルあるいはエステルとして
用いることができる適切なアルキル基の例としては、R
1とR2の性質を示す上に述べたリストに表示したものを
示している。本発明でエステルとして用いることができ
るカルボアルキル基の具体的な例としてはCH3C(O)
−,ClCH2C(O)−,Cl2CHC(O)−,CF3C
H2C(O)−,C6H5C(O)−および、置換基をアルキ
ル、ハロゲン、アルコキシ、またはヒドロキシ基とする
置換ベンゾエートなどである。本発明の実施に用いるこ
とができるアリールエーテルの例(つまり、Y=Ar)
としては、C6H5、アルキル、ハロゲン、あるいはアル
コキシ基で置換された対応するフェニル基などで、クロ
ロフェニル、メチルフェニル(トリル)、トリフルオロ
メチルフェニル、エチルフェニル、トリフルオロエチル
フェニル、メトキシフェニル、2,2,2−トリフルオ
ロエトキシフェニルなどなどが挙げられる。
エーテルおよびエステルを用いてもよい。つまり、Yは
アルキル基(ベンジルエーテルを得るため)、あるいは
カルボアルキル基(対応するベンジルエステルを得るた
め)であってもよく、つまりY=R3またはC(O)R
3で、この場合、R3は1〜6の炭素原子を有するアルキ
ル基である。特にアリール基がフェニルまたは置換フェ
ニル基の場合、芳香性エーテルを用いてもよい、つま
り、YがArである。エーテルあるいはエステルとして
用いることができる適切なアルキル基の例としては、R
1とR2の性質を示す上に述べたリストに表示したものを
示している。本発明でエステルとして用いることができ
るカルボアルキル基の具体的な例としてはCH3C(O)
−,ClCH2C(O)−,Cl2CHC(O)−,CF3C
H2C(O)−,C6H5C(O)−および、置換基をアルキ
ル、ハロゲン、アルコキシ、またはヒドロキシ基とする
置換ベンゾエートなどである。本発明の実施に用いるこ
とができるアリールエーテルの例(つまり、Y=Ar)
としては、C6H5、アルキル、ハロゲン、あるいはアル
コキシ基で置換された対応するフェニル基などで、クロ
ロフェニル、メチルフェニル(トリル)、トリフルオロ
メチルフェニル、エチルフェニル、トリフルオロエチル
フェニル、メトキシフェニル、2,2,2−トリフルオ
ロエトキシフェニルなどなどが挙げられる。
【0016】ラセミ化プロセス自体はベンジル性基質の
溶液をラセミ化触媒としての固体酸と室温から最高350
℃までの温度下で接触させることによって行われる。よ
り具体的には、接触は150℃までの温度で、強酸性カチ
オン交換物質とできるだけ短い接触時間で行われる。よ
り高めの温度とより長い接触時間の場合、本発明による
アルコール原料のオレフィンへの脱水素化が進んでしま
うことが観察で分かっており、その結果、温度はできる
だけ低く、そして接触時間はできるだけ短くするべきで
ある。さて、スルホン酸基を含んでいる強イオン交換樹
脂がラセミ化触媒として特に有効であることが認められ
ている。これらのうちで代表的なものは、DowexTM50W
−X8,DowexTM50X8−100,AmberlystTM樹脂15,1
8,31,32,36,XN−1010,XE−365,IR−120P
LUS(H),DuoliteTMC−25D,PuroliteTM樹脂M
N400,CT−175,S940(Na+),S950(Na+)およびC
T165DRなどである。このタイプにはまた、NafionTM
などの樹脂上でのフッ素化アルキルスルホン酸基などを
含んでいる。本発明の実施で用いることができる固体酸
触媒の別のタイプとしては、Degussa Corpが販売してい
るDeloxanTMASP1/7などを代表とする、有機シラ
ン架橋剤経由でシリカゲル基質に共有結合で結合される
スルホン酸基を含むスルホン酸グループを有するシリカ
ゲルである。ラセミ化で有効な固体酸触媒の別のグルー
プは、S.N.08/149,391に述べられているような強酸
基を有するポリシルセスキオキサンである。
溶液をラセミ化触媒としての固体酸と室温から最高350
℃までの温度下で接触させることによって行われる。よ
り具体的には、接触は150℃までの温度で、強酸性カチ
オン交換物質とできるだけ短い接触時間で行われる。よ
り高めの温度とより長い接触時間の場合、本発明による
アルコール原料のオレフィンへの脱水素化が進んでしま
うことが観察で分かっており、その結果、温度はできる
だけ低く、そして接触時間はできるだけ短くするべきで
ある。さて、スルホン酸基を含んでいる強イオン交換樹
脂がラセミ化触媒として特に有効であることが認められ
ている。これらのうちで代表的なものは、DowexTM50W
−X8,DowexTM50X8−100,AmberlystTM樹脂15,1
8,31,32,36,XN−1010,XE−365,IR−120P
LUS(H),DuoliteTMC−25D,PuroliteTM樹脂M
N400,CT−175,S940(Na+),S950(Na+)およびC
T165DRなどである。このタイプにはまた、NafionTM
などの樹脂上でのフッ素化アルキルスルホン酸基などを
含んでいる。本発明の実施で用いることができる固体酸
触媒の別のタイプとしては、Degussa Corpが販売してい
るDeloxanTMASP1/7などを代表とする、有機シラ
ン架橋剤経由でシリカゲル基質に共有結合で結合される
スルホン酸基を含むスルホン酸グループを有するシリカ
ゲルである。ラセミ化で有効な固体酸触媒の別のグルー
プは、S.N.08/149,391に述べられているような強酸
基を有するポリシルセスキオキサンである。
【0017】ラセミ化に伴う主要な競合反応は化4に示
すような脱水反応である。
すような脱水反応である。
【化4】 C6H5CHOHCH3→C6H5CH=CH2
【0018】オレフィン形成はできるだけ低い温度で、
そして溶剤としてHOYを用いてラセミ化を行うことに
よって最低限に抑えることができる。つまり、アルコー
ルのラセミ化が行われる場合、ラセミ化はできるだけ水
分濃度を高くして行うことが望ましい。エーテルをラセ
ミ化する場合は、エーテルをその対応するアルコールH
OYの溶液内に入れておくのが望ましい。同様に、エス
テルをラセミ化する場合は、対応するカルボン酸溶液内
でラセミ化を行うのが望ましい。基質をそのまま使うよ
り溶液内でラセミ化を行うのが一般的なやり方である。
アルコールにとっては、水溶液がもっとも良く、好まし
い有機性共溶媒は水と混和し得るものである。それらの
具体例はテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルス
ルホキサイド、アセトニトリル、種々のグリム(glym
e)(ポリエチレングリコールのジエーテル)、ジメチ
ルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミドなどの双
極非プロトン物質である。エーテルをラセミ化する場合
(Y=アルキル、アリールなど)、溶液はそのエーテル
の機能と対応するアルコール内に、単独で、あるいは上
に示したような、通常は不活性な溶剤との混合物として
入れることが望ましい。最後に。エステルをラセミ化す
る場合(Yがカルボアルキルまたはカルボアリール)、
基質は溶剤としての適切なカルボン酸に溶解するのが好
ましい。ラセミ化はバッチ方式でも連続方式でも行うこ
とができるが、このプロセスは連続的に実行するのがは
るかに好ましい。したがって、本発明による基質をラセ
ミ化するのに有効な固体酸触媒はパック化床として用い
る場合がもっとも望ましい。本発明による基質の溶液
を、次に、降流あるいは昇流モードのいずれかで固体酸
触媒の固まりの中を流動させる。床温度は、パック化床
内の固体酸触媒の性質と、ラセミ化を受ける基質の性質
に応じて、大気温度、例えば約20℃から約350℃の範囲
で変化する。しかしながら、パック化床がイオン交換樹
脂で構成されている場合の素材の性質と、ラセミ化に合
致した程度の低い温度で操作したいという要望から、15
0℃を上回らない程度の温度が好ましい。接触時間は、
副次的な反応の発現をできるだけ抑えるためにできるだ
け短くするのが好ましい。
そして溶剤としてHOYを用いてラセミ化を行うことに
よって最低限に抑えることができる。つまり、アルコー
ルのラセミ化が行われる場合、ラセミ化はできるだけ水
分濃度を高くして行うことが望ましい。エーテルをラセ
ミ化する場合は、エーテルをその対応するアルコールH
OYの溶液内に入れておくのが望ましい。同様に、エス
テルをラセミ化する場合は、対応するカルボン酸溶液内
でラセミ化を行うのが望ましい。基質をそのまま使うよ
り溶液内でラセミ化を行うのが一般的なやり方である。
アルコールにとっては、水溶液がもっとも良く、好まし
い有機性共溶媒は水と混和し得るものである。それらの
具体例はテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルス
ルホキサイド、アセトニトリル、種々のグリム(glym
e)(ポリエチレングリコールのジエーテル)、ジメチ
ルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミドなどの双
極非プロトン物質である。エーテルをラセミ化する場合
(Y=アルキル、アリールなど)、溶液はそのエーテル
の機能と対応するアルコール内に、単独で、あるいは上
に示したような、通常は不活性な溶剤との混合物として
入れることが望ましい。最後に。エステルをラセミ化す
る場合(Yがカルボアルキルまたはカルボアリール)、
基質は溶剤としての適切なカルボン酸に溶解するのが好
ましい。ラセミ化はバッチ方式でも連続方式でも行うこ
とができるが、このプロセスは連続的に実行するのがは
るかに好ましい。したがって、本発明による基質をラセ
ミ化するのに有効な固体酸触媒はパック化床として用い
る場合がもっとも望ましい。本発明による基質の溶液
を、次に、降流あるいは昇流モードのいずれかで固体酸
触媒の固まりの中を流動させる。床温度は、パック化床
内の固体酸触媒の性質と、ラセミ化を受ける基質の性質
に応じて、大気温度、例えば約20℃から約350℃の範囲
で変化する。しかしながら、パック化床がイオン交換樹
脂で構成されている場合の素材の性質と、ラセミ化に合
致した程度の低い温度で操作したいという要望から、15
0℃を上回らない程度の温度が好ましい。接触時間は、
副次的な反応の発現をできるだけ抑えるためにできるだ
け短くするのが好ましい。
【0019】
【実施例】実例1 R−(+)−フェニルエタノールのラセミ化:還流冷却器
および温度計(温度制御装置および加熱用マントルに取
りつけたもの)を備え、テフロンでコーティングした撹
拌棒を有する50mLの、三首、丸底フラスコに、0.25g
(0.002046モル)のR−(+)−フェニルエタノール、2
5.0gの水、および0.50gのAmberlystTM15を加えた。
AmberlystTM15は、Rohm and Haas社が発売している強
酸性の巨大分子(macroreticular)イオン交換樹脂であ
る。反応スラリーを65℃の温度で活発に撹拌した。ラセ
ミ化の進行はパーキン−エルマーモデル241旋光計で追
跡観察した。アルコールの安定性は高性能液体クロマト
グラフィを用いて観察した。4.3時間程度の時間内で、
反応溶液の旋光度は+0.350°から0.003°に低下した
が、これは旋光計の不確定性の範囲内である。ラセミ化
の開始および終了時の反応溶液は透明で無色であった。
高性能液体クロマトグラフィおよび紫外線(254nm)検
出装置を用いて、少量のスチレンが検出された。しかし
ながら、スチレンの量は屈折率検出装置に現れる程には
十分でなかった。したがって、その割合は0.1%以下で
あった。他の副産物は検出されなかった。R−(+)−フ
ェニルエタノール(Aldrich Chemical社)を触媒なしで
水に溶かした最初の溶液は23℃で+36.1°の比旋光度を
有していた。この数字を、光学的に純度の高いR−(+)
−フェニルエタノール水溶液に対して用いた。表1で時
間0は反応混合物が65℃に達した後に記録されたもの
で、それまでに、ラセミ化はすでに起こっていた。
および温度計(温度制御装置および加熱用マントルに取
りつけたもの)を備え、テフロンでコーティングした撹
拌棒を有する50mLの、三首、丸底フラスコに、0.25g
(0.002046モル)のR−(+)−フェニルエタノール、2
5.0gの水、および0.50gのAmberlystTM15を加えた。
AmberlystTM15は、Rohm and Haas社が発売している強
酸性の巨大分子(macroreticular)イオン交換樹脂であ
る。反応スラリーを65℃の温度で活発に撹拌した。ラセ
ミ化の進行はパーキン−エルマーモデル241旋光計で追
跡観察した。アルコールの安定性は高性能液体クロマト
グラフィを用いて観察した。4.3時間程度の時間内で、
反応溶液の旋光度は+0.350°から0.003°に低下した
が、これは旋光計の不確定性の範囲内である。ラセミ化
の開始および終了時の反応溶液は透明で無色であった。
高性能液体クロマトグラフィおよび紫外線(254nm)検
出装置を用いて、少量のスチレンが検出された。しかし
ながら、スチレンの量は屈折率検出装置に現れる程には
十分でなかった。したがって、その割合は0.1%以下で
あった。他の副産物は検出されなかった。R−(+)−フ
ェニルエタノール(Aldrich Chemical社)を触媒なしで
水に溶かした最初の溶液は23℃で+36.1°の比旋光度を
有していた。この数字を、光学的に純度の高いR−(+)
−フェニルエタノール水溶液に対して用いた。表1で時
間0は反応混合物が65℃に達した後に記録されたもの
で、それまでに、ラセミ化はすでに起こっていた。
【0020】
【表1】
【0021】実例2 S−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノー
ルの連続的ラセミ化:S−(−)−3−クロロ−1−フェ
ニル−1−プロパノルの連続的ラセミ化を床体積が5.0m
Lのベンチスケースの固定床マイクロリアクタで行っ
た。パルスレス液体クロマトグラフィーポンプを用い
て、供給原料を2.0LHVSの速度で与えた。反応床の
温度はプログラム可能温度制御装置を用いて制御した。
反応温度は25℃ずつの間隔で75〜225℃の範囲で変えら
れ、各温度でそれぞれ2時間ずつ反応が続けられた。原
料は2.52gのS−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1
−プロパノール(3−CPP)を180.0gの50/50の水と
n−プロパノールの混合物に溶解することによって製造
した。用いられた触媒はDeloxanTMASP(Degussa)
で、これは巨孔有機機能性ポリシロキサンで、乾燥ベー
スで0.7〜1.1meq/g、0.1〜0.4mm直径の粒子状で、密度
が2.0g/mL程度の基質である。ラセミ化の進行はRegis
Technologies社からのキラルカラム、(R,R)−Whel
k−O 1を備えた液体クロマトグラフィーを用いて追跡
された。各与えられた温度での各鏡像異性体の比率(25
4nmでのUV検出装置からのエリアカウントによる)を
表2に示す。
ルの連続的ラセミ化:S−(−)−3−クロロ−1−フェ
ニル−1−プロパノルの連続的ラセミ化を床体積が5.0m
Lのベンチスケースの固定床マイクロリアクタで行っ
た。パルスレス液体クロマトグラフィーポンプを用い
て、供給原料を2.0LHVSの速度で与えた。反応床の
温度はプログラム可能温度制御装置を用いて制御した。
反応温度は25℃ずつの間隔で75〜225℃の範囲で変えら
れ、各温度でそれぞれ2時間ずつ反応が続けられた。原
料は2.52gのS−(−)−3−クロロ−1−フェニル−1
−プロパノール(3−CPP)を180.0gの50/50の水と
n−プロパノールの混合物に溶解することによって製造
した。用いられた触媒はDeloxanTMASP(Degussa)
で、これは巨孔有機機能性ポリシロキサンで、乾燥ベー
スで0.7〜1.1meq/g、0.1〜0.4mm直径の粒子状で、密度
が2.0g/mL程度の基質である。ラセミ化の進行はRegis
Technologies社からのキラルカラム、(R,R)−Whel
k−O 1を備えた液体クロマトグラフィーを用いて追跡
された。各与えられた温度での各鏡像異性体の比率(25
4nmでのUV検出装置からのエリアカウントによる)を
表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】表の4番目の列は3−CPPの総量がn−
プロパノールによる3−CPPのアルキル化によって温
度の増大と共に下がっていくことを示している。温度が
低くなると、この溶剤は問題をそれほど示さないが、温
度が高い場合、競合が有意になってくる。3−CPPは
純粋な水には溶けないので、n−プロパノールを共溶剤
として用いた。n−プロパノールに対して同様の可溶性
を示すより不活性な溶剤であればアルキル化との競合と
いう問題を克服することができるであろう。
プロパノールによる3−CPPのアルキル化によって温
度の増大と共に下がっていくことを示している。温度が
低くなると、この溶剤は問題をそれほど示さないが、温
度が高い場合、競合が有意になってくる。3−CPPは
純粋な水には溶けないので、n−プロパノールを共溶剤
として用いた。n−プロパノールに対して同様の可溶性
を示すより不活性な溶剤であればアルキル化との競合と
いう問題を克服することができるであろう。
【0024】
【発明の効果】本発明はベンジルカーボンにキラルセン
ターを有するベンジルアルコール、エーテル、エステル
を強酸性カチオン交換物質である固体酸によって処理し
極めて効率良くラセミ化することができ、このラセミ化
は一般には、水系あるいはベンジル化合物と良好な溶解
性を有する水と混和する有機溶剤と混合した部分的水系
内で20〜150℃の範囲で効率良く行うことができる格別
の効果がある。従って、必要としない鏡像異性体をラセ
ミ混合物として再利用する工業上極めて有用な発明であ
る。
ターを有するベンジルアルコール、エーテル、エステル
を強酸性カチオン交換物質である固体酸によって処理し
極めて効率良くラセミ化することができ、このラセミ化
は一般には、水系あるいはベンジル化合物と良好な溶解
性を有する水と混和する有機溶剤と混合した部分的水系
内で20〜150℃の範囲で効率良く行うことができる格別
の効果がある。従って、必要としない鏡像異性体をラセ
ミ混合物として再利用する工業上極めて有用な発明であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B01J 31/08 B01J 31/08 X C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07B 55/00 B01J 31/08
Claims (6)
- 【請求項1】 化1の構造式を有する化合物の鏡像異性
体を、その鏡像異性体をラセミ化するのに有効なラセミ
化条件の下で、強酸性イオン交換物質である固体酸を通
して流動させることを特徴とする連続的ラセミ化法。 【化1】 式中:R1およびR2は互いに異なり、水素、アルキル、
シクロアルキルおよび1〜10の炭素原子を有する芳香
基、およびハロアルキル、アルコキシアルキル、および
1〜10の炭素原子を有するアミノアルキル基で構成され
るグループから選択され;Yは水素、1〜6の炭素原子
を有する低級アルキル、アリール、および1〜7の炭素
原子を有するカルボアルキル基で構成されるグループか
ら選択され、そして、R3は水素、1〜6の炭素原子を
有する低級アルキル、ハロ、ヒドロキシおよびアルコキ
シ基で構成されるグループから選択される。 - 【請求項2】 ラセミ化条件が20〜350℃の範囲の温度
を含むことを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項3】 強酸性イオン交換物質が、カチオン交換
樹脂、結合されたスルホン酸基を有するシリカゲル、お
よび、強酸基を有するポリシルセスキオキサンで構成さ
れるグループから選択されることを特徴とする請求項1
または2の方法。 - 【請求項4】 強酸性イオン交換物質がスルホン酸基を
含むカチオン交換樹脂であることを特徴とする請求項1
または2の方法。 - 【請求項5】 ラセミ化が20〜150℃の範囲の温度で行
われることを特徴とする請求項1から4の方法。 - 【請求項6】 ラセミ化ステップが鏡像異性体の可溶性
を改善するために水と混和する溶剤を含んだ水性システ
ム内で行われることを特徴とする請求項1から請求項5
までのいずれか1項の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7328849A JP2854547B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 固体酸触媒によるベンジルアルコール、エーテルおよびエステル類のラセミ化法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7328849A JP2854547B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 固体酸触媒によるベンジルアルコール、エーテルおよびエステル類のラセミ化法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09176053A JPH09176053A (ja) | 1997-07-08 |
JP2854547B2 true JP2854547B2 (ja) | 1999-02-03 |
Family
ID=18214781
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7328849A Expired - Lifetime JP2854547B2 (ja) | 1995-12-18 | 1995-12-18 | 固体酸触媒によるベンジルアルコール、エーテルおよびエステル類のラセミ化法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2854547B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100653507B1 (ko) * | 2001-03-19 | 2006-12-04 | 주식회사 코오롱 | 농약 중간체로 유용한 벤질알콜 유도체의 제조방법 |
-
1995
- 1995-12-18 JP JP7328849A patent/JP2854547B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09176053A (ja) | 1997-07-08 |
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