JP4593289B2 - 四級アンモニウムビフルオリド化合物およびそれを用いたニトロアルコールの製造方法 - Google Patents

四級アンモニウムビフルオリド化合物およびそれを用いたニトロアルコールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、四級アンモニウムビフルオリド化合物およびそれを用いたニトロアルコールの製造方法に関する。より詳細には、ニトロ化合物のシリル化物、すなわちシリルニトロネートとアルデヒド化合物との反応により生成するニトロアルコール、の立体配置を特異的に制御することのできる相間移動触媒として有用な四級アンモニウムビフルオリド化合物、およびそれを用いた立体配置が特異的に制御されたニトロアルコールの製造方法に関する。
有機珪素化合物が、フッ素イオンに誘発されて起こす求核反応は、その反応部位の選択性が良好であるため、有機合成において重要視されている。しかし、反応生成物の立体選択性に注目した合成例は少ない。例えば、キラル四級アンモニウムフルオリドから生ずるフッ素イオンを利用した反応事例においても、そのほとんどは、シンコナアルカロイド誘導体を触媒として使用するものである。
このようなシンコナアルカロイド誘導体を使用した反応例としては、N−ベンジルシンコニウムフルオリドを使用したグリシンエステルシッフ塩基のシリルエノールエーテルへのアルデヒドの付加反応(Shioiri,T.ら、Tetrahedron Letters,1993年,第34巻,第9号,p.1507−1510)、シンコニジン誘導体ビフルオリドを使用したグリシンエステルシッフ塩基のシリルエノールエーテルへのアルデヒドの付加反応(Corey,E.J.ら、Tetrahedron Letters,1999年,第40巻,第20号,p.3843−3846)、シンコニジン誘導体フルオリドを使用した1−エトキシ−1−(トリメチルシリルオキシ)−2−メチル−1,3−ブタジエンへのアルデヒドの付加反応(Campagne,J.−M.ら、Journal of Organic Chemistry,2001年,第66巻,第12号,p.4293−4298)、およびN−ベンジルシンコニウムフルオリドを使用したアルデヒドとトリフルオロメチルトリメチルシランとの反応によるアルデヒドまたはケトンのトリフルオロメチレーション(Kobayashi,Y.ら、Tetrahedron Letters,1994年,第35巻,第19号,p.3137−3138)が知られている。しかし、これら反応例は、ジアステレオ選択性かつエナンチオ選択性の両方に優れているとは言い難く、この点で必ずしも満足され得るものではない。
本発明の目的は、シリルニトロネートとアルデヒド化合物との反応において、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に立体配置が制御されたニトロアルコールの生成を可能にする四級アンモニウムビフルオリド触媒、およびそれを用いた当該ニトロアルコールの製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の式(I):
Figure 0004593289
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアリール基;(C〜Cアルコキシ)カルボニル基;カルバモイル基;N−(C〜Cアルキル)カルバモイル基;ならびにN,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル基(ここで、C〜Cアルキル基は、互いに同じでも異なっていてもよい)からなる群より選択される基である)で表される四級アンモニウムビフルオリド化合物を提供する。
好ましい実施態様では、上記式(I)で表される化合物のRおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基である。
さらに好ましい実施態様では、上記式(I)で表される化合物のRおよびRはともに、3,5−ビス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)フェニルである。
好ましい実施態様では、上記式(I)で表される化合物の立体配置は(S,S)または(R,R)である。
本発明はまた、以下の式(I’):
Figure 0004593289
(ここで、R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子;C〜Cの直鎖アルキル基;C〜Cの分岐鎖アルキル基;C〜Cの環状アルキル基;C〜Cの直鎖アルコキシ基;C〜Cの分岐鎖アルコキシ基;C〜Cの環状アルコキシ基;C〜Cの直鎖アルケニル基;C〜Cの分岐鎖アルケニル基;C〜Cの環状アルケニル基;C〜Cの直鎖アルキニル基;C〜Cの分岐鎖アルキニル基;C〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換されたヘテロアリール基;あるいはハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、ヘテロアリール基であり、そしてRおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアリール基;(C〜Cアルコキシ)カルボニル基;カルバモイル基;N−(C〜Cアルキル)カルバモイル基;ならびにN,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル基(ここで、C〜Cアルキル基は、互いに同じでも異なっていてもよい)からなる群より選択される基である)で表される、四級アンモニウムビフルオリド化合物を提供する。
好ましい実施態様では、上記式(I’)で表される化合物の立体配置は(S,S)または(R,R)である。
本発明はまた、上記式(I)で表される四級アンモニウムビフルオリドの製造方法を提供し、該方法は、以下の式(II):
Figure 0004593289
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアリール基;(C〜Cアルコキシ)カルボニル基;カルバモイル基;N−(C〜Cアルキル)カルバモイル基;ならびにN,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル基(ここで、C〜Cアルキル基は、互いに同じでも異なっていてもよい)からなる群より選択される基であり、そしてXは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である)で表される化合物をイオン交換樹脂と接触させて、中間体を得る工程;および該中間体をフッ化水素水溶液と反応させる工程;を包含する。
好ましい実施態様では、上記式(II)で表される化合物のRおよびRはそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基である。
さらに好ましい実施態様では、上記式(II)で表される化合物のRおよびRはともに、3,5−ビス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)フェニルである。
好ましい実施態様では、上記式(II)で表される化合物の立体配置は(S,S)または(R,R)である。
本発明はまた、上記式(I’)で表される四級アンモニウムビフルオリドの製造方法を提供し、該方法は、以下の式(II’):
Figure 0004593289
(ここで、R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子;C〜Cの直鎖アルキル基;C〜Cの分岐鎖アルキル基;C〜Cの環状アルキル基;C〜Cの直鎖アルコキシ基;C〜Cの分岐鎖アルコキシ基;C〜Cの環状アルコキシ基;C〜Cの直鎖アルケニル基;C〜Cの分岐鎖アルケニル基;C〜Cの環状アルケニル基;C〜Cの直鎖アルキニル基;C〜Cの分岐鎖アルキニル基;C〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換されたヘテロアリール基;あるいはハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、ヘテロアリール基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアリール基;(C〜Cアルコキシ)カルボニル基;カルバモイル基;N−(C〜Cアルキル)カルバモイル基;ならびにN,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル基(ここで、C〜Cアルキル基は、互いに同じでも異なっていてもよい)からなる群より選択される基であり、そしてXは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である)で表される化合物をイオン交換樹脂と接触させて、中間体を得る工程;および該中間体をフッ化水素水溶液と反応させる工程;を包含する。
本発明はまた、ジアステレオ選択性かつエナンチオ選択性に優れるニトロアルコール化合物の製造方法を提供し、該方法は、上記式(I)で表される四級アンモニウムビフルオリド化合物の存在下、式(III):
Figure 0004593289
(ここで、Rは、C〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの直鎖アルキル基、あるいはC〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの分岐鎖アルキル基であり;R、RおよびRはそれぞれ独立して、C〜Cの直鎖アルキル基またはC〜Cの分岐鎖アルキル基である)で表される化合物と、アルデヒドとを反応させる工程、を包含する。
本発明はまた、ジアステレオ選択性かつエナンチオ選択性に優れるニトロアルコール化合物の製造方法を提供し、該方法は、上記式(I’)で表される四級アンモニウムビフルオリド化合物の存在下、式(III):
Figure 0004593289
(ここで、Rは、C〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの直鎖アルキル基、あるいはC〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの分岐鎖アルキル基であり;R、RおよびRはそれぞれ独立して、C〜Cの直鎖アルキル基またはC〜Cの分岐鎖アルキル基である)で表される化合物と、アルデヒドとを反応させる工程、を包含する。
以下、本明細書中に用いられる用語を定義する。
用語「C〜Cの直鎖アルキル基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基を包含し、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられる。
用語「C〜Cの分岐鎖アルキル基」は、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルキル基を包含し、例えば、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。
用語「C〜Cの環状アルキル基」は、炭素数3〜6の任意の環状アルキル基を包含し、例えば、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
なお、単に「C〜Cアルキル基」という場合は、C〜Cの直鎖アルキル基またはC〜Cの分岐鎖アルキル基を意味する。
用語「C〜Cの直鎖アルケニル基」は、炭素数2〜6の任意の直鎖アルケニル基を包含し、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、およびヘキセニルが挙げられる。
用語「C〜Cの分岐鎖アルケニル基」は、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルケニル基を包含し、例えば、イソプロペニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニルなどが挙げられる。
用語「C〜Cの環状アルケニル基」は、炭素数3〜6の任意の環状アルケニル基を包含し、例えば、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルなどが挙げられる。
用語「C〜Cの直鎖アルキニル基」は、炭素数2〜6の任意の直鎖アルキニル基を包含し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、およびヘキシニルが挙げられる。
用語「C〜Cの分岐鎖アルキニル基」は、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルキニル基を包含し、例えば、1−メチル−2−プロピニルなどが挙げられる。
用語「C〜Cの環状アルキニル基」は、炭素数3〜6の任意の環状アルキニル基を包含し、例えば、シクロプロピルエチニル、シクロブチルエチニルなどが挙げられる。
用語「C〜Cの直鎖アルコキシ基」は、炭素数1〜6の任意の直鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含し、例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシなどが挙げられる。
用語「C〜Cの分岐鎖アルコキシ基」は、炭素数3〜6の任意の分岐鎖アルキル基を有するアルコキシ基を包含し、例えば、イソプロピルオキシ、tert−ブチルオキシなどが挙げられる。
用語「C〜Cの環状アルコキシ基」は、炭素数3〜6の任意の環状アルキル基を有するアルコキシ基を包含し、例えば、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「アラルキル基」の例としては、ベンジル、フェネチル、およびナフチルメチルが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「アラルキルオキシ基」の例としては、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、およびナフチルメチルオキシが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「ヘテロアラルキル基」の例としては、ピリジルメチル、インドリルメチル、フリルメチル、チエニルメチル、およびピロリルメチルが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「アリール基」の例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。また、本明細書中に用いられる用語「ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基」の例としては、3,5−ジフェニルフェニル、3,5−ジ(3,5−ジt−ブチルフェニル)フェニル、および3,5−ビス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)フェニルが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「ヘテロアリール基」の例としては、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、フリル、インドリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、およびテトラゾリルが挙げられる。
本明細書中に用いられる用語「ハロゲン原子」の例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびフッ素原子が挙げられる。
まず、本発明の第一の実施態様である四級アンモニウムビフルオリド化合物(以下、本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物という)について説明する。
本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、以下の式(I):
Figure 0004593289
(ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルケニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの直鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの分岐鎖アルキニル基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアラルキル基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基;ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいヘテロアリール基;(C〜Cアルコキシ)カルボニル基;カルバモイル基;N−(C〜Cアルキル)カルバモイル基;ならびにN,N−ジ(C〜Cアルキル)カルバモイル基(ここで、C〜Cアルキル基は、互いに同じでも異なっていてもよい)からなる群より選択される基である)で表される化合物である。
上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に立体配置が制御されたニトロアルコールの生成を可能にする相間移動触媒として有用である。ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的なニトロアルコールの生成がより効率的に行われ得るという当該触媒としての有用性を考慮すれば、本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、上記式(I)で表される化合物のうち、RおよびRがそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基であることが好ましく、RおよびRが同一であることがより好ましい。さらにより好ましい当該四級アンモニウムビフルオリド化合物は、上記式(I)で表される化合物のRおよびRがともに、フッ素原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基であり、さらにより好ましくは、3,5−ビス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)フェニルである化合物である。
さらに、上記式(I)で表される化合物は(S,S)または(R,R)のいずれの立体配置を有していてもよい。
上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上記本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物の製造においては、まず、以下の式(II):
Figure 0004593289
(ここで、RおよびRは、上記式(I)において定義されたものと同様であり、そしてXは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である)で表される化合物をイオン交換樹脂と接触させて、第一の中間体を生成する。
上記式(II)で表される化合物のより具体的な例としては:
Figure 0004593289
(ここで、Arは、3,5−ジトリフルオロメチルフェニルである)
Figure 0004593289
(ここで、(β−Np)はβ−ナフチル基である)
Figure 0004593289
(ここで、phはフェニル基を表す)
Figure 0004593289
Figure 0004593289
が挙げられる。上記式(II)で表される化合物は、特にこれらに限定されない。上記式(II)で表される化合物はまた、(S,S)または(R,R)のいずれの立体配置を有していてもよい。
なお、上記式(II)で表される化合物は、例えば、特開2001−48866号公報に記載の方法に準じて、当業者によって容易に製造され得る。
本発明に用いられるイオン交換樹脂は、当業者によって任意のものが選択可能である。使用可能なイオン交換樹脂の具体的な例としては、アンバーリストA26(OH)(オルガノ社製)が挙げられる。
上記式(II)で表される化合物とイオン交換樹脂との接触は、例えば、上記式(II)で表される化合物を適切な溶媒に溶解し、この溶液を、当該イオン交換樹脂を充填したカラムに通すことにより行われる。このような接触を行う際に使用され得る溶媒はアルコール溶媒が好ましい。アルコール溶媒の具体的な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、およびノルマルプロピルアルコールが挙げられるが、特にこれらに限定されない。
この接触において使用される上記式(II)で表される化合物および溶媒の量は、特に限定されず、当業者によって適切に設定され得る。
このようにして、第一の中間体が生成される。
次いで、得られた第一の中間体を、好ましくは上記溶媒を除去することなく、フッ化水素水溶液を用いて反応させる。
本発明に用いられるフッ化水素水溶液の使用量は、特に限定されないが、生産性を高める点から、好ましくは、上記で使用した式(II)で表される化合物に対して等量以上のフッ化水素が反応するように選択される。これにより、第一の中間体がビフルオリド体に変換され、溶液中に本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物が沈殿する。
その後、当業者が通常用いる手法を用いて溶媒を除去することにより、本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリドを製造することができる。
次に、本発明の第二の実施態様である四級アンモニウムビフルオリド化合物(以下、本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物という)について説明する。
本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、以下の式(I’):
Figure 0004593289
(ここで、R1’およびR2’はそれぞれ独立して、水素原子;C〜Cの直鎖アルキル基;C〜Cの分岐鎖アルキル基;C〜Cの環状アルキル基;C〜Cの直鎖アルコキシ基;C〜Cの分岐鎖アルコキシ基;C〜Cの環状アルコキシ基;C〜Cの直鎖アルケニル基;C〜Cの分岐鎖アルケニル基;C〜Cの環状アルケニル基;C〜Cの直鎖アルキニル基;C〜Cの分岐鎖アルキニル基;C〜Cの環状アルキニル基;ハロゲン原子;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、アリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基;ハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いアリール基で置換されたヘテロアリール基;あるいはハロゲン原子、C〜Cの直鎖アルキル基、C〜Cの分岐鎖アルキル基、C〜Cの環状アルキル基、C〜Cの直鎖アルコキシ基、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基、またはC〜Cの環状アルコキシ基で置換されていても良いヘテロアリール基で置換された、ヘテロアリール基であり、そしてRおよびRは、上記式(I)において定義されたものと同様である)で表される化合物である。
式(I’)で表される本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物と同様に、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に立体配置が制御されたニトロアルコールの生成を可能にする相間移動触媒として有用である。上記式(I’)で表される化合物は(S,S)または(R,R)のいずれの立体配置を有していてもよい。
上記式(I’)で表される本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上記本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物の製造においては、まず、以下の式(II’):
Figure 0004593289
(ここで、R1’およびR2’は、上記式(I’)において定義されたものと同様であり、RおよびRは、上記式(I)において定義されたものと同様であり、そしてXは上記式(II)において定義されたものと同様である)で表される化合物をイオン交換樹脂と接触させて、第二の中間体を生成する。
上記式(II’)で表される化合物のより具体的な例としては:
Figure 0004593289
Figure 0004593289
が挙げられる。上記式(II’)で表される化合物は特にこれらに限定されない。上記式(II’)で表される化合物はまた、(S,S)または(R,R)のいずれの立体配置を有していてもよい。
なお、上記式(II’)で表される化合物は、例えば、特開2002−326992号公報に記載の方法に準じて、当業者によって容易に製造され得る。
本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物を製造するために用いられるイオン交換樹脂は、上記本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物を製造する際に使用されるものと同様である。さらに、上記式(II’)で表される化合物と当該イオン交換樹脂との接触もまた、上記本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物を製造する際と同様にして行われる。
このようにして、第二の中間体が生成される。
次いで、得られた第二の中間体を、好ましくは上記溶媒を除去することなく、フッ化水素水溶液を用いて反応させる。
本発明に用いられるフッ化水素水溶液の使用量は、特に限定されないが、生産性を高める点から、好ましくは、上記で使用した式(II’)で表される化合物に対して等量以上のフッ化水素が反応するように選択される。これにより、第二の中間体がビフルオリド体に変換され、溶液中に本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物が沈殿する。
その後、当業者が通常用いる手法を用いて溶媒を除去することにより、本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリドを製造することができる。
例えばこのようにして得られた、本発明の第一および第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物はいずれも、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に立体配置が制御されたニトロアルコールを生成するための触媒(相間移動触媒)として有用である。
次に、第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物を用いてニトロアルコールを生成するための、本発明の方法について、一例を挙げて説明する。
本発明のニトロアルコールの製造方法においては、まず、上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物の存在下にて、以下の式(III):
Figure 0004593289
(ここで、Rは、C〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの直鎖アルキル基、あるいはC〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの分岐鎖アルキル基であり;R、RおよびRはそれぞれ独立して、C〜Cの直鎖アルキル基またはC〜Cの分岐鎖アルキル基である)で表される化合物(シリルニトロネート)と、アルデヒドとを反応させる。
上記式(III)で表されるシリルニトロネートは、ニトロアルカンのシリル化物である。当該シリルニトロネートは、ニトロアルカンおよびシリル化剤を当業者が通常用いる方法で反応させることにより、容易に誘導して得ることができる。
本発明の方法に用いられる式(III)のシリルニトロネートを得るためには、使用可能なニトロアルカンは、例えば、1−ニトロエタン、1−ニトロプロパン、1−ニトロブタン、3−メチル−1−ニトロプロパン、2−メトキシ−1−ニトロエタン、3−ベンジルオキシ−1−ニトロプロパン、および2−フェニル−1−ニトロエタンが挙げられる。
また、本発明の方法に用いられる式(III)のシリルニトロネートを得るためには、使用可能なシリル化剤は、例えば、トリアルキルハロゲノシラン、より具体的には、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、およびt−ブチルジメチルクロロシランが挙げられる。特に、トリメチルクロロシランまたはトリエチルクロロシランを使用して得られるシリルニトロネートを本発明の製造方法に供すれば、得られるニトロアルコール化合物は立体選択性が高められた状態で生成する。
本発明の方法に用いられる式(III)のシリルニトロネートは、上述したようなニトロアルカンとシリル化剤とを用い、例えば以下の反応を経て得ることができる:すなわち、上記ニトロアルカンを、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどの溶媒に溶解させたニトロアルカン溶液に、別途、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素に溶解されたブチルリチウムとテトラヒドロフランなどに溶解させたアルキルジアミンとから調製されたリチウムジアルキルアミドを加え、さらに、例えば、−80℃付近の冷却状態で、シリル化剤(トリアルキルシリルハライド)を添加する。その後、反応生成物を分別蒸留に供することにより、本発明の方法に用いられる式(III)のシリルニトロネートを得ることができる。
本発明のニトロアルコールの製造方法に用いられるアルデヒドは、例えば、以下の式(IV):
Figure 0004593289
(ここで、Rは、C〜C10の直鎖アルキル基、C〜C10の分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基である)で表される化合物である。このような式(IV)で表されるアルデヒドの具体的な例としては、ベンズアルデヒド、2−ナフトアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、p−トルアルデヒド、p−フルオロベンズアルデヒド、p−メトキシベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオアルデヒド、およびペンタナールが挙げられる。特に、反応工程におけるジアステレオ選択性およびエナンチオ選択性の両方を向上させる点から、2−ナフトアルデヒドおよびp−トルアルデヒドが好ましい。
本発明のニトロアルコールの製造方法においては、上記アルデヒド1モルに対し、好ましくは1モル〜1.5モルの式(III)のシリルニトロネートが使用される。また、この反応系において、上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物は、好ましくは0.1モル%〜10モル%、より好ましくは0.5モル%〜5モル%の割合で使用される。反応は、上記式(III)のシリルニトロネート、アルデヒドおよび上記式(I)で表される本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物を、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどの適切な溶媒中に仕込み、好ましくは−100℃〜−70℃の低温で、2時間〜5時間かけて攪拌混合することにより達成される。反応終了後、反応混合物に、適切な無機酸を加え、次いで、これをエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジクロロエタン、酢酸エチルなどの抽出溶媒で抽出し、当業者が通常用いる手段を用いて、洗浄、カラムクロマトグラフィーなどの処理を行うことにより、目的の反応生成物(ニトロアルコール)を得ることができる。
このように、高いジアステレオ選択性およびエナンチオ選択性を発揮し得る四級アンモニウムビフルオリド化合物を触媒として用いることによって、特定の立体構造を有するニトロアルコールを高純度で製造することができる。なお、上記では本発明の第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物を用いた場合を記載したが、当該第一の四級アンモニウムビフルオリド化合物の代わりに、本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物を使用してもよい。本発明の第二の四級アンモニウムビフルオリド化合物を使用する場合の、式(III)のシリルニトロネートおよびアルデヒドの使用量、ならびに各種反応条件は上記と同様である。
本発明の製造方法によって得られるニトロアルコールは、例えば、以下の式(V):
Figure 0004593289
(ここで、Rは、C〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの直鎖アルキル基、あるいはC〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの分岐鎖アルキル基であり;そしてRは、C〜C10の直鎖アルキル基、C〜C10の分岐鎖アルキル基、あるいは置換基を有していてもよいアリール基またはアラルキル基である)で表される構造を有する。このニトロアルコールは、高い光学純度を有するため、医薬品、農薬等の中間物質として有効に用いられる。
以下、本発明の実施例を記載する。しかし、これによって本発明は特に限定されない。
<参考例1;ニトロエタンを用いたシリルニトロネートの合成>
アルゴン雰囲気中、0℃で、テトラヒドロフラン100mLにジイソプロピルアミン7.1mL(51mmol)を添加した溶液に、ブチルリチウムの1.5Mヘキサン溶液33mL(50mmol)を加えた。この溶液を30分間攪拌した後、ニトロエタン3.75g(50mmol)をテトラヒドロフラン30mLに溶解させかつ冷却浴で−78℃まで冷却した溶液に、すばやく添加した。同温度を15分間維持し、得られたゼリー状物にトリメチルシリルクロリド6.2mL(50mmol)を添加した。さらに同温度で15分攪拌した後、冷却浴を除き、2時間攪拌を継続した。反応混合物から溶媒を留去し、固溶状態の残渣をペンタン200mLに懸濁し、セライトパッドを使って濾取した。濾取した残渣をペンタン(20mL×2)で洗浄し、この残渣を分別蒸留して、ニトロエタンのシリルニトロネートを収率80%で得た。得られたシリルニトロネートについては、さらなる精製を施すことなく、後述するニトロアルコールの製造に使用した。
<参考例2;3−ベンジルオキシ−1−ニトロプロパンを用いたシリルニトロネートの合成>
参考例1におけるニトロエタンの代わりに、3−ベンジルオキシ−1−ニトロプロパンを用いたこと以外は、参考例1と同様にして、同化合物のシリルニトロネートを得た。
得られたシリルニトロネートのNMRスペクトルデータを表1に示す。
Figure 0004593289
また、得られたシリルニトロネートの沸点は、112℃/0.003mmHgであった。得られたシリルニトロネートについては、さらなる精製を施すことなく、後述するニトロアルコールの製造に使用した。
<参考例3;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(a)>
Figure 0004593289
300mLの反応容器に、化合物(1)(9.2g、30mmol)と化合物(2))18.2g、70mmol)、PPh(866mg、3.3mmol)、およびKPO・nHO(25g、90mmol)を秤りとり、DMF(100mL、0.3M)を加えた後、減圧下にて脱気し、反応容器内をアルゴン雰囲気にした。
次いで、この反応容器に、Pd(OCOCH(336mg、1.5mmol)を添加し、再び容器内をアルゴン雰囲気とした後、混合液を100℃までまで昇温し、一昼夜、加熱下にて撹拌した。TLCで反応の終結を確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液中に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。これをエーテルで2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。エバポレーターで溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサンのみ)精製して、化合物(3)を70%の単離収率で得た。
得られた化合物(3)のNMRスペクトルデータを表2に示す。
Figure 0004593289
<参考例4;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(b)>
Figure 0004593289
200mLの反応容器に、参考例3で得られた化合物(3)(1.7g、30mmol)のCHCl(10mL)溶液を添加し、さらに酢酸(60mL、0.5M)を添加した後、NCS(8.0g、60mmol)およびNaI(8.9g、60mmol)を順次添加した。反応混合物を攪拌しながら100℃で9時間加熱した後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液を、反応溶液の色が薄い黄色になるまで加え、エーテルで2回抽出し、集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を用いて中和した。再びエーテルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、その後溶媒を除去し、ヘキサンから再結晶することにより、化合物(4)を77%の収率で得た。
得られた化合物(4)のNMRスペクトルデータを表3に示す。
Figure 0004593289
<参考例5;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(c)>
Figure 0004593289
よく乾燥した100mLの枝付き反応容器に、参考例4で得られた化合物(4)(14.6g,23mmol)のTHF(30mL)溶液を加え、−78℃に冷却した後、i−PrMgBr(0.83M THF溶液、33mL、27.6mmol)を加え、0℃まで昇温し、0.5時間攪拌した。
他方、別のよく乾燥した200mLの三つ口反応容器に、B(OH(4.0mL、35mmol)とTHF(45mL)とを加え、これを−78℃に冷却し、よく攪拌しているところに、同じく−78℃までに冷却した上記化合物(4)とi−PrMgBrとのTHF溶液をカニュラを用いて移し入れた。その後、徐々に反応溶液の温度を昇温させ、室温で一晩攪拌した後、1NのHClを加え、さらに6時間激しく攪拌した。反応溶液を酢酸エチルで2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2(容量比))で精製することにより、化合物(5)を82%の収率で得た(モノマーとトリマーとの比は、1:0.3であった)。
得られた化合物(5)のNMRスペクトルデータを表4に示す。
Figure 0004593289
<参考例6;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(d)>
Figure 0004593289
20mLの反応容器に、参考例5で得られた化合物(5)(541mg、1mmol)、化合物(6)(市販(住金エア・ウォーター・ケミカル社製)の(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールを用い、当業者が通常用いる手法により製造された)(263mg、0.45mmol)、PPh(13mg、0.05mmol)、およびKPO・nHO(387mg、1.3mmol)を秤りとり、ジオキサン(5mL、0.2M)を加えた後、減圧下にて脱気して反応容器内をアルゴン雰囲気にした。次いで、この反応容器に、Pd(OCOCH(5mg、0.02mmol)を加え、再び容器内をアルゴン雰囲気とした後、混合液の温度を80℃まで昇温し、一昼夜かけて加熱撹拌した。TLCで反応の終結を確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、反応溶液中に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。これをエーテルで2回抽出し、集めた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。エバポレーターで溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィー(溶出液:ヘキサンのみ)で精製することにより、化合物(7)を94%の単離収率で得た。
得られた化合物(7)のNMRスペクトルデータを表5に示す。
Figure 0004593289
<参考例7;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(e)>
Figure 0004593289
20mLの反応容器に、参考例6で得られた化合物(7)(654mg、0.51mmol)、NBS(236mg、1.3mmol)、AIBN(8mg、0.05mmol)、およびベンゼン(5mL)を加え、還流温度まで加熱してアルゴン雰囲気下で1時間反応させた。反応が完結していることを確認した後、反応溶液を飽和亜硫酸水溶液中に加え、0.5時間攪拌し、反応混合溶液をエーテルで2回抽出した。集めた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィー(溶出液:エーテル/ヘキサン=1/10(容量比))を用いて精製することにより、化合物(8)を単離収率91%で得た。
得られた化合物(8)のNMRスペクトルデータを表6に示す。
Figure 0004593289
<参考例8;四級アンモニウムビフルオリド化合物を合成するための準備(f)>
Figure 0004593289
20mLの反応容器に、化合物(9)(市販(住金エア・ウォーター・ケミカル社製)の(S)−1,1’−ビ−2−ナフトールを用い、当業者が通常用いる手法により製造された)(131mg、0.44mmol)、炭酸カリウム(92mg、0.66mmol)、およびアセトニトリル(5mL、0.1M)を加え、室温で0.5時間攪拌した。その後、この反応容器に、参考例7で得られた化合物(8)(672mg、0.47mmol)を加え、溶媒が還流する温度まで昇温し、攪拌しながら4時間加熱した。TLCで化合物(9)の消失を確認した後、蒸留水を加えCHClで2回抽出し、集めた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、カラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(10)を単離収率78%で得た。
得られた化合物(10)のNMRスペクトルデータを表7に示す。
Figure 0004593289
<参考例9>
参考例4において、化合物(3)の代わりに3,5−ジトリフルオロメチルフェニルトリメチルシランを用いたこと以外は、参考例4と同様にして反応を行い、そしてこれにより得られた化合物を用いて、参考例5〜8までの一連の反応を行って、以下の化合物(11):
Figure 0004593289
で表される、C軸不斉四級アンモニウムブロミドを得た。
参考例8で得られた化合物(10)((S,S)体)1.0gをメチルアルコール20mLに溶解させ、アンバーリストA−26(OH)(オルガノ社製イオン交換樹脂)を充填したカラムに通した。得られた溶液に、1Nのフッ化水素酸水溶液を2当量相当加えた後、減圧下にて溶媒を除き、さらに、ジクロロメタン:ヘキサン(1:1(容量比))混合溶媒を加えて、共沸除去を行い、非晶質のC軸不斉四級アンモニウムビフルオリド化合物を定量的に得た。
本実施例で得られたC軸不斉四級アンモニウムビフルオリド化合物の分析結果を以下に示す。
[α] 27 62.3°(c 1.00,CHOH)
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.87(2H,br,Ar−H),8.59(4H,br,Ar−H),8.54(2H,s,Ar−H),8.26(2H,s,Ar−H),8.23(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),8.12(2H,br,Ar−H),8.10−7.90(4H,br,Ar−H),7.84(4H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.73(2H,dd,J=7.1,7.9Hz,Ar−H),7.63(2H,br,Ar−H),7.49(2H,ddd,J=0.4,7.1,7.9Hz,Ar−H),7.44(2H,ddd,J=0.4,7.1,7.9Hz,Ar−H),7.35(2H,d,J=8.7HZ,Ar−H),7.27(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.18(2H,ddd,J=1.2,6.7,8.7Hz,Ar−H),7.07(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),6.58(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),4.93(2H,d,J=27.2Hz,Ar−CH),4.47(2H,d,J=27.2Hz,Ar−CH),4.36(2H,d,J=27.2Hz,Ar−CH),3.69(2H,d,J=27.2Hz,Ar−CH
13C NMR(100MHZ,CDCl)δ142.24,141.79,141.27,139.83,138.27,136,92,134.30,134.15,133.48,132.91,132.52,132.17,131.74,131.40,130.59,128.86,128.82,128.62,128.01,127.81,127.58,127.22,127.00,126.74,125.38,125.03,122.84,122.16,62.34,57.62,32.02,23.11
19F NMR(376MHz,CDCl)δ−62.85,−151.16
IR(KBr)3437,3059,1620,1595,1526,1466,1391,1367,1331,1281,1178,1136,901,883,845,752,706,685cm−1
HRMS(ESI−TOF)C884824Nとしたときの実測値:1574.3465([M−F])、計算値:1574.3398([M−F])。
得られたC軸不斉四級アンモニウムビフルオリド化合物を、さらなる精製を行うことなく、後述のニトロアルコールの製造に使用した。
アルゴン気流下において、テトラヒドロフラン3mLに、実施例1で得られたC軸不斉四級アンモニウムビフルオリド9.6mg(0.006mmol)を加え、次いでベンズアルデヒド31.8mg(0.3mmol)を室温で加え、混合物を−98℃に冷却した。
この混合物に、参考例1で得られた、ニトロエタンから調製したトリメチルシリルニトロネート52.9mg(0.36mmol)をテトラヒドロフラン1mLに溶解させた溶液を5分間かけて加えた。混合物を1時間かけて−78℃まで温め、さらに同温度で4時間攪拌した。次いで、同温度のまま1Nの塩酸1.0mLを加えた後、0℃まで温め、20分間激しく攪拌し、その後、混合物をエチルエーテルで抽出した。合わせた有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、油状残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:エーテル/ヘキサン=1/4(容量比))にかけて精製し、2−ニトロ−1−フェニル−プロパン−1−オールを得た。得られた2−ニトロ−1−フェニル−プロパン−1−オールの収量は49.96mg(収率92%)(アンチ/シン=92:8)であり、アンチ体の光学純度は95%eeであった。
なお、上記で得られた生成物のジアステレオ比は、H−NMRの分析結果から算出し、光学純度についてはキラルカラム(DAICEL.Chiralpak AS)を使用し、溶媒としてヘキサン−イソプロピルアルコール(50:1(容量比))を使用して、測定した。
次いで、上記で得られたアンチ体を、メチルアルコールに溶解させ、これに触媒量のラネーニッケルを添加し、室温で水素添加を行った。その後、反応混合物に炭酸ジtert−ブチル3当量と触媒量のジメチルアミノピリジンとを添加して、2−(N−Boc−アミノ)−1−フェニル−1−プロパノールを合成した。
この2−(N−Boc−アミノ)−1−フェニル−1−プロパノールのHPLC保持時間を、試薬として入手可能な(1R,2S)−(−)−ノルエフェドリンから別途合成した(1R,2S)−2−(N−Boc−アミノ)−1−フェニル−1−プロパノールのHPLC保持時間と対比して、絶対配置を同定したところ、(1R,2S)であることを見出した。
上記で使用したHPLCの測定条件は以下の通りである:HPLC測定条件:DAICEL CHIRALPAK AS、ヘキサン:エタノール=10:1(容量比)、流量0.5mL/分、保持時間:10.00分(1R,2S)体、9.5分(1S,2R)体。
さらに、上記で得られた2−(N−Boc−アミノ)−1−フェニル−1−プロパノールのNMRスペクトルデータを表8に示す。
Figure 0004593289
実施例3〜9
上記式(III)で表されるシリルニトロネートのうち、R、R、R、およびRがそれぞれ表9に示されるような置換基で表される化合物、および式(IV)で表されるアルデヒドのRが表9に示されるような化合物をそれぞれ原料として用い、かつ表9に示される反応時間に設定したこと以外は、実施例2と同様にして反応を行い、上記式(V)で表されるニトロアルコールを得た。得られたニトロアルコールの収率および光学純度を表10に示す。
Figure 0004593289
Figure 0004593289
表10に示されるように、本発明の四級アンモニウムビフルオリドを用いて得られた上記式(V)で表されるニトロアルコールは、いずれも高い収率で製造可能であることがわかる。また、実施例3〜9のいずれにおいても、高い光学純度を有していた。このことから、本発明のニトロアルコールの製造方法により、高いジアステレオ選択性およびエナンチオ選択性を発揮し得る四級アンモニウムビフルオリド化合物を触媒として用いることによって、特定の立体構造を有するニトロアルコールを高純度で製造することができることがわかる。
参考例8で得られた化合物(10)の代わりに、参考例9で得られた化合物(11)1.0gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行い、C軸不斉四級アンモニウムビフルオリドを定量的に得た。
本実施例で得られたC軸不斉四級アンモニウムビフルオリド化合物の分析結果を以下に示す。
[α] 27 78.0°(c 0.50,CHOH)
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.39(2H,s,Ar−H),8.30(2H,s,Ar−H),8.20(2H,d,J=7.9Hz,Ar−H),7.88(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.70(2H,ddd,J=1.2,6.7,7.9Hz,Ar−H),7.53(2H,ddd,J=1.2,6.7,8.3Hz,Ar−H),7.40(2H,ddd,J=1.2,6.7,8.3Hz,Ar−H),7.31(2H,d,J=8.7HZ,Ar−H),7.24(2H,ddd,J=1.2,6.7,8.3Hz,Ar−H),7.18(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H),7.11(2H,d,J=8.7Hz,Ar−H),8.40−7.10(6H,br,Ar−H),6.27(2H,d,J=8.3Hz,Ar−H)4.64(2H,d,J=13.9Hz,Ar−CH),4.49(2H,d,J=13.9Hz,Ar−CH),4.26(2H,d,J=13.1Hz,Ar−CH),3.69(2H,d,J=13.1Hz,Ar−CH
13C NMR(100MHZ,CDCl)δ142.15,139.82,136.79,136.54,134.23,134.14,134.09,134.07,131.89,131.45,131.25,129.07,128.95,128.83,128.51,128.43,127.96,127.62127.58,127.33,126.28,124.89,122.75,122.25,62.49,57.59,31.99,23.08
19F NMR(376MHz,CDCl)δ−62.80,−152.20
IR(KBr)3393,1524,1470,1377,1311,1281,1177,1138,1030,897,847,750,714,681cm−1
HRMS(ESI−TOF)C603612Nとしたときの実測値:998,2655([M−F])、計算値:998.2651([M−F])。
本発明によれば、極めて高いジアステレオ選択性およびエナンチオ選択性を発揮し得る四級アンモニウムビフルオリド化合物を触媒として用いることによって、特定の立体構造を有するニトロアルコールを高純度で製造することができる。本発明の四級アンモニウムビフルオリドおよびそれを用いたニトロアルコールの製造方法は、医薬品、農薬等の中間物質の製造において特に有用である。

Claims (9)

  1. 以下の式(I):
    Figure 0004593289
    ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;およびハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基からなる群より選択される基である、で表される四級アンモニウムビフルオリド化合物。
  2. 前記式(I)で表される化合物のRおよびRがそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基である、請求項1に記載の四級アンモニウムビフルオリド化合物。
  3. 前記式(I)で表される化合物のRおよびRがともに、3,5−ビス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)フェニルである、請求項2に記載の四級アンモニウムビフルオリド化合物。
  4. 立体配置が(S,S)または(R,R)である、請求項1から3のいずれかに記載の四級アンモニウムビフルオリド化合物。
  5. 請求項1に記載の四級アンモニウムビフルオリドの製造方法であって、
    以下の式(II):
    Figure 0004593289
    (ここで、RおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基、またはハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルコキシ基で置換されていてもよいアリール基;およびハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基からなる群より選択される基であり、そしてXは、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子である)で表される化合物をイオン交換樹脂と接触させた後、フッ化水素水溶液と反応させる工程;
    を包含する、方法。
  6. 前記式(II)で表される化合物のRおよびRがそれぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよいC〜Cアルキル基で置換されていてもよいアリール基で置換されたアリール基である、請求項に記載の方法。
  7. 前記式(II)で表される化合物のRおよびRがともに、3,5−ビス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)フェニルである、請求項に記載の方法。
  8. 立体配置が(S,S)または(R,R)である、請求項からのいずれかに記載の方法。
  9. ジアステレオ選択性かつエナンチオ選択性に優れるニトロアルコール化合物の製造方法であって、
    請求項1から4のいずれかに記載の四級アンモニウムビフルオリド化合物の存在下、式(III):
    Figure 0004593289
    (ここで、Rは、C〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの直鎖アルキル基、あるいはC〜Cの直鎖アルコキシ基か、C〜Cの分岐鎖アルコキシ基か、アラルキルオキシ基か、アリール基かで置換されていてもよい、C〜Cの分岐鎖アルキル基であり;R、RおよびRはそれぞれ独立して、C〜Cの直鎖アルキル基またはC〜Cの分岐鎖アルキル基である)で表される化合物と、アルデヒドとを反応させる工程、
    を包含する、方法。
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