JP2004526741A - キラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法 - Google Patents

キラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法 Download PDF

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Abstract

対称形1,2-ダイオキシンと、リンイリドまたはリンイリド前駆物質とが反応することからなるキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法において、前記XおよびYは同一の官能基であり、かつ炭素原子が1,2-ダイオキシン骨格に結合している官能基であり、反応がキラルリガンドを含むコバルト触媒の存在下において行われる。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は鏡像異性配置選択シクロプロパン化方法、詳しくは非対称型シクロプロピル基を分子に導入する、キラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
強固なシクロプロパン骨格を生体活性アナログに導入すると、構造的に束縛された分子が誘導されることから、天然および非天然生成物を含むシクロプロパンは大きな注目を集めている。このような分子構造の改変は、生物活性およびそれに付随する医学的効果に対し、しばしば重大な影響を与える。シクロプロパンはヒト、植物および微生物の1次および2次代謝における遷移分子種としても生成される。したがつて、有機合成においては、生理活性をもつシクロプロパンの重要性は非常に大きいため、立体構造を管理できるシクロプロパン化方法論の研究が継続されてきた。特に、2か所以上の位置に置換基を含む、多様な生物活性をもつシクロプロパン類の合成方法が重要視されている。シクロプロピルの半量(シクロプロピルの基本骨格構造の半分となる部分)を含む化学薬品は、特にシクロプロピルアミノ酸の調製、シクロプロピル医薬品の調製、シクロプロピル農薬の調製、詳細な生物学的評価を目的とする化学研究室および生化学研究室での新規シクロプロピル生成物の調製、ならびに生物活性プローブとして使用するための、放射性同位元素により標識されたシクロプロパンの調製に使用される。
【0003】
シクロプロパンは(a)遷移金属(Rh,Cu,ZnおよびPd)を用いた、ジアゾ先駆物質からオレフィンへの(分子量論的および触媒的に)直接的な炭素原子の転移、および(b)求核原子(通常2価の硫黄原子)のα,β-不飽和ケトンおよびエステルへの、ミハエリ ス添加(ミハエリス定数に基づく非触媒的な反応)と、それに続く分子内環化を含む多数の方法により合成される。
【0004】
このような方法は反応時に爆発の危険性をもつ物質を使用したり、吸湿性の極めて高い反応混合物を使用しなければならないという、実施上の欠点をもつている。
【0005】
1,2-ダイオキシンおよび安定化された2価のリンを使用する、シクロプロパンのもう1つの合成方法を反応式(1)に示す。
【0006】
(a)反応生成物を生じない、多様な1次シクロプロパン化反応(R1=メチル,エチル ,ブチル)。
【0007】
(b)反応生成物を生じる、多様な2次シクロプロパン化反応(R1=t-ブチル,1-アダ マンチル)。
【式1】
【0008】
Figure 2004526741
イリド(2価の基)は1,2-ダイオキシン(1)の環状構造を開裂させ、異体性cis γ- ヒドロキシエノン(3)を生成し、引き続きミハエリス添加によるイリドのエノンへの添加と、中間生成物である1-2λ-オキサフォスフォラン(4)を与えるヒドロキシ基を含む部分(結合した2分子のダイオキシン骨格のうち、ヒドロキシル基を含む方の分子側)への、イリドの求電子性リン酸極の結合を誘導する、穏やかな塩基の役割を果たすことが示唆されている。生成したエノラートの環化により、シクロプロパン(5)が高収率で生成される。この反応式(1)により得られるシクロプロパン生成物は、これまでラセミ体の混合物として調製されてきた。
【非特許文献1】
「理化学辞典」第238頁岩波書店2000年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は光学的に濃縮された(光学異性体が選択的に合成された)シクロプロパン化合物を調製する方法、つまりキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明はシクロプロパンの生成方法は、(a)構造式(2)に示す対称形1,2-ダイオキシンと、(b)リンイリドまたはリンイリド前駆物質とを、(c)キラルリガンドを含むコバルト触媒の存在下にて反応させることからなり、前記XおよびYが同一の基であり、かつXおよびYは炭素原子が1,2-ダイオキシン骨格に結合している官能基であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鏡像異性配置が強化されたシクロプロパンは、1,2-ダイオキシンに対する触媒の相対mol%が上限50%までの触媒により調製され、好ましくは触媒濃度が1〜15mol%で調製される。
【0012】
本発明により調製された光学的に強化されたシクロプロパンは、従来型の技術によりさらに濃縮することもできる。例えば、再結晶、または従来型の技術、例えば再結晶またはカラムクロマトグラフィーにより分離可能なジアステレオ異性体への転換により濃縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
したがつて、本発明の第1側面に従うことにより、キラリティーの強化された(光学異性体が選択的に合成された)シクロプロパンを生成する方法が提供される。
【式2】
【0014】
Figure 2004526741
前記生成方法は
(a)反応式(2)に示したXおよびYが同一であり、かつ炭素原子がダイオキシン骨格に結合している基である対称形1,2-ダイオキシンと、
(b)2価のリン酸基または2価のリン酸基の前駆体を、
(c)キラルリガンド(配位子)を含むコバルト触媒の存在下において反応させることからなる。
【0015】
コバルト触媒は以下に示した構造のうち、いずれかの構造をもつことが望ましい。
【式3】
【0016】
Figure 2004526741
ここで、R1およびR2は水素原子,アルキル基,アリル基、R3は水素原子,アルキル基,t-アルキル基,アルキル基またはアリル基,アルコキシ基,アリルアルコキシ基、R3,R4,R5およびR6はそれぞれ水素原子,アルキル基,アリル基,ケトまたはエステルである。
【0017】
本発明のもう1つの側面に従い、以下の表1に示すコバルトサレン化合物およびコバルトβ-ケトイミン酸エステルを基礎とするキラルシクロプロパン化触媒が提供される。
【0018】
キラルコバルトサレンを基礎とした触媒
【式4】
【0019】
Figure 2004526741
8a:R1,R2=-(CH2)4-,R3=t-Bu,R4=H,R5=t-Bu(R,R異性体)
8b:R1,R2=-(CH2)4-,R3=R4=R5=H(R,R異性体)
8c:R1,R2=-(CH2)4-,R3=t-Bu,R4=R5=H(R,R異性体)
8d:R1,R2=Ph,R3=R4=R5=H(R,R異性体)
8e:R1,R2=Ph,R3=t-Bu,R4=R5=H(R,R異性体)
8f:R1,R2=-(CH2)4-,R3=S-PhEtCH-,R4=R5=H(R,R異性体)
8g:R1,R2=Ph,R3=S-PhEtCH-,R4=R5=H(R,R異性体)
8h:R1,R2=Ph,R3=S-PhEtCH-,R4=R5=H(S,S異性体)
β-ケトイミン酸エステルを基礎とした触媒
【式5】
【0020】
Figure 2004526741
表1
9a:R1=R2=H,R6=(-)-bornoxy
9b:R1=R2=Ph,R6=(-)-bornoxy(S,S異性体)
9c:R1=R2=Ph,R6=(-)-bornoxy(R,R異性体)
9d:R1=R2=-(CH2)4-,R6=(-)-bornoxy(R,R異性体)
9e:R1=R2=Ph,R6=(-)-menthoxy(S,S異性体)
9f:R1=R2=Ph,R6=(-)-menthoxy(R,R異性体)
9g:R1=R2=Ph,R6=(+)-menthoxy(S,S異性体)
9h:R1=R2=Ph,R6=(+)-menthoxy(R,R異性体)
9i:R1=R2=Ph,R6=ethoxy(S,S異性体)
9j:R1=R2=Ph,ethoxy(R,R異性体)
9k:R1=R2=-(CH2)4-,R6=ethoxy(R,R異性体)
9l:R1=R2=Ph,R6=menthyl(S,S異性体)
本発明による触媒8a〜8hは、適切なサレン(salen)リガンドを用いてコバルトア セト酢酸塩を反応させることにより調製することができる。サレンリガンドは、(1S,2S )または(1R,2R)-1,2-ジフェニルエチレンジアミンと、対応するサリチルアルデヒドと を、窒素雰囲気中にてエタノール中で反応させることにより調製することができる。
【0021】
触媒9a〜9lは(S,S)または(R,R)-1,2-ジフェニル-エチレンジアミンと、対応するβ-ジケトン誘導体とを反応させ、引き続き酢酸コバルトと反応させることにより調製する ことができる。対応するリガンドは(1S,2S)および(1R,2R)シクロフェニル-1,2-ジアミン から調製することができる。サレンおよびβ-ケトイミン酸エステルを基礎とする触媒は 、それぞれコバルト原子周辺に共通の構造をもつていることが分かる。すなわち、
-(OR'C=R'CR'C=NR'CHCHR'N=CR'CR'=COR')-
触媒はそれぞれ少くとも1のキラル原子団を含む。触媒内に複数のキラル原子団が存在することにより、R'で示される基が広範囲にわたることもある。各R'基はそれぞれ水素,アルキル,アリル,ケト,エステルおよびその他の官能基とすることができる。
【0022】
本発明の趣旨に従い、リンイリドまたは2価のリンイリド前駆物質は、安定化されたリンイリドまたは反応場所においてリンイリドを生成できる反応性の前駆体とすることができる。
【0023】
本発明のさらに別の側面に従い、上述のようにキラリティーが強化されたシクロプロパンを生成する方法において、リンイリドまたはリンイリド前駆物質が以下に示す化学式で示される方法が提供される。
【0024】
(a)R7R8R9P=CZCO2R10:ただし、R7,R8およびR9は同一または異なる官能基で、アルキル,置換されたアルキル,アリル,置換されたアリルであり、R10はC1-4(炭素数が1 から4の)アルキルまたは置換されたアルキルのような反応生成物を生じない官能基、または1-アダマンチルのような反応生成物を与える官能基であり、Zは水素またはメチルで ある。
【0025】
(b)R7R8R9P=CONR10R11:ただし、R7,R8,R9およびR10は上記(a)で示した官能基であり、R11はC1-12(炭素数1-12)のアルコキシ原子団である。
【0026】
(c)R7R8R9P=CNである。または
(d)(R7O)2P(O)CH2CO2R10:ただし、R7およびR10は上記(a)の基である。
【0027】
(a)型のリンイリドまたはリンイリド前駆物質は化合物(2)により例示され、(b)型は化合物(10)により例示され、(c)型は化合物(11)により例示され、(d)は化合物(12)により例示される。
【式6】
【0028】
Figure 2004526741
リン酸エステルイリドはベンジル2-(トリフェニル-λ-ホスファニリデン)酢酸エステル(以下、ベンジルエステルイリドと略す)のような、反応生成物を与えない安定化されたイリドであることが望ましく、またはその代りにt-ブチル2-(トリフェニル-λ-ホスファ ニリデン)酢酸エステル(以下、t-ブチルエステルイリドと略す)のような、反応生成物 を与えるイリドであることが望ましい。
【0029】
代替的なイリドまたはイリド前駆物質には、N,N-メトキシメチル-2-(1,1,1-トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)酢酸エステル、2-(1,1,1-トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)アセトニトリル、またはメチル 2-(ジメトキシホスホリル)酢酸エステルが含まれる。リンイリドおよびリンイリド前駆物質と、1,2-ダイオキシンおよびキラルコバルト触媒との間の反応と、その結果生じるキラルシクロプロパンの例を以下に示す。
【0030】
本発明のシクロプロパンは、アセトニトリル,酢酸エチル/ヘキサン混液,酢酸エチル,テトラヒドロフラン,エーテル,トルエン,アセトン,四塩化炭素およびジクロロメタンのような溶媒、またはそれらの混合液中で調製することが望ましい。本発明の特に望ましい方法においては、本発明のシクロプロパンはテトラヒドロフラン中で調製される。当該技術分野の知識をもつ者には周知のことであるが、実際には多くの溶媒が、本発明の反応の実行に適合している。特定のケースに関しては、上記およびその他の溶媒を使用した予備実験および試験により、最適な溶媒を決定することができる。しかし、アルコールは本発明の反応には不適切な溶媒の1つであることに注意する必要がある。
【実施例】
【0031】
本発明を多くの例を用いて説明するが、これらの例は本発明を制限するものではない。本発明は光学的に強化されたシクロプロパンの合成過程を提供するものであり、したがつて本発明の方法を適用可能な各種の構造は、ここで説明を行なう構造に制限されるものではない点に注意しなければならない。
【0032】
本発明の方法により、多種多様なシクロプロパン構造が合成されると考えられる。
【0033】
1. 触媒の調製
β-ケトイミン酸エステル触媒の調製-キラルコバルト触媒9bの調製
(a) (-)-アセト酢酸ボルニルの調製
アセト酢酸エチル(4.5 g, 0.0346 mol)のn-ヘプタン溶液(70 mL)に(-)-ボルネオール(5.34 g, 0.0346 mol)および水酸化ナトリウム(50 mg)を加え、反応液をDeans Starkの条件下で2日間還流する。真空中にて溶媒を除去し、残留物をシリカを固定相とする クロマトグラフィー(移動相は、酢酸エチル:ヘキサン=1:9)により精製した。TLC展開時(酢酸エチル:ヘキサン=1:9)のRf値は0.32、収量は6.16 g(70%)であつた。
【0034】
(以下参考:1HNMRの分析結果は、δ0.85(s,3H),0.88(s,3H),0.91(s,3H),0.94-1.43(m,4H),1.64-2.00(m,3H),2.85(s,3H),3.47(s,2H),4.95(ddd,1H,J=15,5.1,3.3Hz)であつた。13CNMRの分析結果は、δ13.35,18.71,19.57,26.96,27.89,29.99,36.51,44.76,47.77,48.76,50.29,81.07,90.10,167.30であつた。質 量分析(MS)の結果は、 m/z 238(42%,M+),154(11%),137(100%),121(10%),95(23%)であつた。)
(b) 2-ホルミル-3-オキソブタン酸 (-)ボルニルの調製
アセト酢酸 (-)-ボルニル(2.0g、8.4 x 10-3 moles)にN,N-ジメチルホルムアミド ジメチル アセタール(2g、1.68 x 10-2moles)を加え、混合液を室温で2時間撹拌した後 、0℃まで冷却してからメタノール性水酸化ナトリウム(1N,14 mL、メタノール:水=1 :1)を加えた。反応液をさらに2時間撹拌してから0℃に冷却し、塩酸(1N)を添加してpH3-4に調整した。混合液をジメチルエーテルで抽出し、乾燥させてから(乾燥剤、Na2SO4)中で溶媒を除去した。Rf値は0.6(酢酸エチル:ヘキサン=1:9)であつた。アルデヒド は不安定なため、本化合物は直接次のリガンド生成反応に使用した。
【0035】
(以下参考:1HNMRの分析結果は、δ0.875 (s,3H),0.90 (s,3H),0.94 (s,3H),1.00- 1.48 (m,1H),1.12- 1.48 (m,4H),2.32-2.54(m,1H),2.57 (s,3H),4.96-5.05 (m,1H),9.25 (d,1H,J=9 Hz)であつた。)
未精製の2-ホルミル-3-オキソブタン酸 (-)-ボルニル(0.25g,9.49 x 10-4mol)を、エタノール(3 mL)中で(1S,2S)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(0.10 g,4.15 x 10-4mol)と混合して2日間反応させた後、真空中で溶媒を除去し、残留物をクロマトグラフィー(アセトン:ジクロロメタン=1:9)により精製した(収量290 mg,収率86%)。
【0036】
Rf値は0.64(アセトン:ジクロロメタン=1:9)であつた。
【0037】
(以下参考:1HNMRの分析結果は、δ0.79 (s,6H),0.86 (s,6H),0.90 (s,6H),0.96 - 1.32 (m,4H),1.60 - 1.82 (m,6H),2.28 - 2.49 (m,2H),2.51 (s,6H),4.67 (d ,2H,J=7.8 Hz),4.89 (dm,2H,J=8.2Hz),7.10 -7.15 (m,4H),7.27 - 7.33 (m,6H),7.79 (d,2H,J=12.8 Hz),ll.93 - 12.02 (m,2H)であつた。13CNMRの分析結果は、613.63,18.84,19.70,27.64,28.03,31.02,36.92,44.84,47.74,48.74,69.53,79.48,102.05,135.68,158.96,167.09,199.71.質量分析(MS)の分析結果は、m/z 710 (M+,4%),555 (22%),447 (19%),354 (14%),200 (31%),137 (33%),95 (100%) であつた。)
(c) 触媒9bの調製
リガンドの混合物(144 mg,2.03 x 10-4mol)を脱気したエタノール(4 mL)中で酢 酸コバルト四水和物(50.6 mg,2.03 x 10-4)と混合し、還流しつつ4時間加熱した。次に 真空中において溶媒を除去し、反応生成物を乾燥させた。化合物は精製せず、そのまま使用した。
【0038】
9a〜9lの各触媒は、類似した方法論、およびボルノキシ,エトキシ,メトキシ,エトキシ、またはメチル化合物を出発原料とした適切な置換反応により調製することもできる。
【0039】
2. キラルβ-ケトイミネートを基礎とする触媒9a〜9lを用いたシクロプロパンの 調製
(a) 2-(2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル)酢酸ベンジルの調製
3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1aを、9a〜9l型のコバルト(II)触媒の存在下において、反応式(6)に示した通りにベンジル 2-(トリフェニル-λ5ホスファニリデン)酢酸エステル(ベンジルエステルイリドを参照のこと)と反応させ、シク ロプロパン化合物を生成させた。
【0040】
コバルト触媒9b(4.8 mg,6.3 x 10-6mol,5 mol%)をジクロロメタン(1 mL)に溶 解し、反応温度の温度平衡に達するまで放置した。3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン(20 mg,8.4 x 10-5mol)を加え、ダイオキシンの完全な再配置が完了する までの間反応させた。
【式7】
【0041】
Figure 2004526741
1a:XおよびY=フェニル基
1b:XおよびY=n-プロピル基
1c:XおよびY=1-ナフチル基
薄層クロマトグラフィー(TLC)。次にベンジルエステルイリド(40 mg,9.8 x 10-5mol)を加え、反応液を10時間放置した。溶媒を除去した後、残留物をカラムクロマト グラフィー(固定層はSiO2、移動層は酢酸:ヘキサン=3:17)により精製した。
【0042】
本発明の適用範囲は、反応式(7)に一覧されている特定の1,2-ダイオキシンに制限されるものではない点に注意しなければならない。より広範囲な置換化合物を使用し、各種置換基をもつ多種多様なシクロプロパン化合物を合成することもできる。しかし、1,2-ダイオキシンは対称形のダイオキシンでなければならないことに注意しなければならない。
【0043】
(b) 鏡像異性過剰率の測定
上記2(a)で合成したシクロプロパン(5 mg)を使用し、これを1:4重水素ベンゼン-四塩化炭素混液に溶解し、トリス[3-(ヘプタフルオロプロピルヒドロキシメチレン)-(+)-ショウノウ酸]ユウロピウム複合体を用いたキラルシフトNMR法により鏡像異性過剰率を測定した。表2に2(a)で調製したシクロプロパンの鏡像異性過剰率を示す。各ケースにおいて、有意な過剰率が示されており、反応生成物のキラリティーが強化されていることが分かる。
【0044】
表2
Figure 2004526741
3. 各種の1,2-ダイオキシンから調製したシクロプロパン標品の比較
本発明に従い、各種1,2-ダイオキシン類を出発原料とし、上述の方法により同定された触媒9b,9iおよび9lを用いてシクロプロパン化合物を調製し、上で説明した過剰率の測定値によりシクロプロパン生成物の鏡像異性体過剰率を比較した。3,6位に2個の置 換基をもつ3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシンとベンジルエステルイリドを、7.5〜10mol%の触媒の存在下、20〜22℃で反応させた。以下に示す対称形1,2-ダイオキシンを使用した
1a:3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン(X=Y=フェニル基)
1b:3,6-ジプロピル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン(X=Y=n-プロピル基)
1c:3,6-ジナフチル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン(X=Y=1-ナフチル基)
の各ケースにおいて、使用した触媒は表3に示したように各種1,2-ダイオキシン類に作用し、鏡像異性選択性(エナンチオ選択性)が強化された反応生成物を生成した。1,2-ダイオキシンの置換基がアリル基の場合とアルキル基の場合を比較した結果、その効果に著しい相違は見られなかつた。
【0045】

Figure 2004526741
4. キラルサレン(salen)を基礎とする触媒8a〜8eを使用したシクロプロパンの 調製
8a〜8eに示した型のコバルト(II)サレン(salen)を、ベンジルエステルイリド存 在下における、触媒濃度2〜5mol%,20〜22℃での、ジクロロメタンまたはテトラ ヒドロフラン(THF)中における3,6-ジメチル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1a間の反応に触媒として使用した。反応の結果生じたシクロプロパン化合物の鏡像異性過剰比率を、上で説明した方法により測定した。結果は表4に示したとおりであり、触媒8a〜8hは各種の対称形1,2-ダイオキシンに対して鏡像異性選択性(エナンチオ選択性)を誘導することが示唆された。触媒8hのケースにおいて、溶媒にTHFを使用すると、ジクロロメタンを使用した場合に比較して鏡像異性過剰率が増加するのも興味深いことである。
【0046】
触媒8f,8gおよび8hのケースにおいては、これらの触媒が複数のキラル中心を含むことが分かる。
【0047】

Figure 2004526741
5. 触媒濃度が鏡像異性過剰性に与える影響
(a) β-ケトイミン酸エステル触媒の影響
ジクロロメタン中、20℃での、3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシンとベンジルエステルイリドとの反応において、触媒9bの濃度変化が鏡像異性化乗率に与える影響を測定した。20mgの1,2-ダイオキシンを1mLの溶媒に溶解した。表5aは測定された鏡像異性比率および鏡像異性過剰率の詳細を示す。
【0048】
触媒が不在(触媒mol%=0)の時の反応生成物は鏡像異性過剰性を持たないラセミ体の 混合物であり、それにより触媒が反応に与える影響が示されていることに注意しなければならない。触媒が不在(触媒mol%=0)の時の反応生成物は、鏡像異性過剰性をもたない ラセミ体の混合物であり、触媒が反応に与える影響は、この場合の鏡像異性体比率(50/50)と鏡像異性体過剰率(0%)を基準とし示されていることに注意しなければならない。触媒は7.5mol%前後で最も有効である。
【0049】
表5
Figure 2004526741
(b) THFまたはジクロロメタン溶媒中におけるβ-ケトイミン酸エステル触媒の 効果
表5
Figure 2004526741
ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン(THF)中における、20℃での3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシンとベンジルエステルイリドとの反応を、触媒9b,9c,9d,9hおよび9gであると同定された触媒を用いて触媒させた。各溶媒20mLに対し、20mgの1,2-ダイオキシンを使用した。各ケースとも触媒濃度が7.5mol% となるよう管理した。結果を表5bに示す。
【0050】
(c) 触媒能力に与える溶媒の影響
特定の溶媒中における、ベンジルエステルイリド存在下、20℃での、コバルト(II)触媒9bと3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1aの反応について調べた。1mLの溶媒に対して20mgの1,2-ダイオキシンを使用した。
【0051】
5.0mol%の触媒を使用した。結果を表5cに示す。
【0052】
表5
Figure 2004526741
前述の条件下における本反応において、コバルト触媒9bの誘導する鏡像異性選択性(エナンチオ選択性)の程度は、溶媒の種類により変化することが分かる。鏡像異性体過剰率の最高値は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用したときに得られた。
【0053】
(d) 温度の影響
ベンジルエステルイリド存在下、特定温度、特定溶媒中における、コバルト(II)触媒と3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1aの反応。1mLの溶媒に対して20mgの1,2-ダイオキシンを使用した5.0mol%の触媒を使用した。結果を表5dに示す。
【0054】
表5dに示した結果から、特定の溶媒中における本反応の反応温度を変化させると、鏡像異性選択性(エナンチオ選択性)の程度に著しい影響を与えるとの結論を導くことができると考えられる。温度を低下させると鏡像異性体過剰率の増加が観察された。
【0055】
表5
Figure 2004526741
6. 光学的に濃縮された2-[2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]酢酸ベンジルの 調製
(a) ベンジルエステルイリド用いた調製
(i) 調製方法
3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン(0.5g)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(20 mL)と、触媒9b(120 mg)のテトラヒドロフラン溶液(5 mL)とを、そ れぞれ−15℃に30分間温度を平衡化させた後、2つの溶液を混合し、温度を−15℃に維持した。
【0056】
薄層クロマトグラフィー(TLC)によりγ-ヒドロキシエノンへの再配置を監視し、 再配置か完了したときベンジルエステルイリド(1.0 g)を加え、反応液を一晩撹拌した 。真空中で溶媒を除去し、残留物をクロマトグラフィー(固定相;シリカ)(展開溶媒;酢酸エチル:ヘキサン=3:17)。鏡像異性体過剰率は72%(鏡像異性体比率は86/14) であつた。単離された2-[2-ベンゾイル-3フェニルシクロプロピル]酢酸ベンジル生成物の収率は78%であつた。
【0057】
(ii) 再結晶
工程(i)で調製した、濃縮された2-[2-ベンゾイル-3フェニルシクロプロピル]酢酸ベン ジルの光学異性体は、引き続き従来型の光学異性体を単離するための手順を適用することにより、さらに濃縮することができる。室温でヘキサン:ジクロロメタン(10:1)から再結晶させたところ、鏡像異性体比率88/12の生成物を生成した。
【0058】
(b) tert-ブチルエステルイリドを用いた調製
tert-ブチルエステルイリド(反応生成物を与えるイリド)存在下、特定温度での特定 の溶媒中における、コバルト(II)触媒と3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1aの反応。
【0059】
上記反応のための実験手順
【式8】
【0060】
Figure 2004526741
20℃に平衡化した3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1a(50 mg)の ジクロロメタン溶液(2.9 mL)に、触媒9b(12 mg,7.5 mol%)のジクロロメタン溶液(0.1 mL)を加えた。1,2-ダイオキシンの再配置が完了した後、臭化リチウム(19 mg) を加えて5分間撹拌し、次にt-ブチルエステルイリドを加え、反応液を5日間強く撹拌した。
【0061】
反応液を濾過し、真空中にて溶媒を除去した。クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:17)による精製を行い、鏡像異性体過剰率69/31,38%が導入された、純粋なシクロプロパン(40.1 mg,収率 57%)を得た。
【0062】
(c) D2O中におけるシクロプロパンの調製
反応式(9)に従い本発明に準拠したシクロプロパンを本発明の触媒を用いて調製した。
【式9】
【0063】
Figure 2004526741
20℃に平衡化した3,6-ジフェニル-3,6-ジヒドロ-1,2-ダイオキシン1a(50mg)のジクロロメタン溶液(2.9 mL)に、触媒9b(12 mg,7.5 mol%)のジクロロメタン溶液(0.1 mL)を加えた。1,2-ダイオキシンの再配置が完了した後、重水[酸化ジュウテリウム](1 mL)を加えて1分間強く撹拌し、次にベンジルエステルイリドを加え、反応液を5日間強く撹拌した。ピペットを用いて重水[酸化ジュウテリウム]を取り除いた後、反応液を乾燥させた(乾燥剤はNa2SO4を使用)。真空中にて溶媒を除去した後、残留物をクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:17)により精製し、鏡像異性体過剰率75 /25,50%が導入された、純粋なシクロプロパンを得た。
【0064】
7. 各種のリン イリドおよび前駆物質から調製したシクロプロパン標品の比較
ホスホン酸エステル(12)、対称形1,2-ダイオキシン1aおよびコバルト触媒9bの組合せから誘導される、シクロプロパン5調製の典型的な手順。
【0065】
−78℃に冷却したホスホン酸エステル12(45 mg)のテトラヒドロフラン(THF )溶液(230 μl)に、メチルリチウム(1.4M,175 μl)を5分間以上かけて徐々に加え、反応液を−78℃で30分間撹拌した後、放置して周囲の温度−78℃になるまで放置する。これとは別に、テトラヒドロフラン(THF)(3 mL)中において1,2-ダイオキシン1a(60 mg)とコバルト触媒9b(12b)を混合し、再配置させる。次にこの反応 液を−78℃に冷却し、先に生成させたイリドを注射器を用いて滴下しつつ加え、混合液を−78℃で30分間撹拌してから周囲の温度になるまで放置する。15時間後に真空中で溶媒を除去してから残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:17)で精製し、収率79%でシクロプロパンを得た。上で説明したとおり、キラルシフト NMRにより鏡像異性体過剰率を測定した。
【0066】
上記10および11の型のイリドを使用したシクロプロパン調製に用いた条件は、ベンジルエステルイリドに関して説明した条件と同じである。
【0067】
表6
対称形1,2-ダイオキシン1aおよび11〜12の型(上に示した)のイリドを使用し、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン(THF)中、20〜22℃にて、7.5mol %の触媒9bにより合成した上記5,13および14の型のシクロプロパンの鏡像異性体過剰率
Figure 2004526741
注意:ホスホン酸エステル12のイリドは、最初に塩として生成される。詳細については上記を参照のこと。
以上の結果より、本発明の触媒および方法を用いることにより、さまざまな状況において有用となる、各種の放射線標識されたシクロプロパン化合物を合成することが可能となる。
【0068】
8. 光学的に濃縮されたシクロプロパンを使用した合成方法
反応式(10)は本発明の方法において合成された、鏡像異性体が濃縮されたシクロプロパンを、光学的に濃縮されたアミド生成物の合成に適用する方法の一例を示す。
【式10】
【0069】
Figure 2004526741
光学的に純粋な光学異性体1および2はカラムクロマトグラフィーにより分離される。
【0070】
(a) trans (±)2-[2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]酢酸の調製
上で調製したシクロプロパン5(鏡像異性体過剰率36/14)を加水分解し、酸(15) を調製する。生成した酸は、出発原料であるシクロプロパンと同様の鏡像異性体過剰率をもつこと、すなわち、光学的に濃縮された物質であることが分つた。
【0071】
(b) trans 塩化2-[2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]アセチルの調製
上述の鏡像異性体過剰率をもつtrans 2-[2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]酢 酸(15)(0.394 g)を水分を含まないジクロロエタンに溶解し、N,N-ジメチルホルム アミド(DMF)を1滴加えた溶液に、0℃、窒素雰囲気下において、塩化オキサリル(0.291 g)のジクロロメタン溶液(4 mL)を、5分以上かけて滴下しながら徐々に加える。
【0072】
反応液を0℃で2時間撹拌し、さらに2時間室温に放置する。揮発成分を除去し、得られた粗生成物(16)をそのまま使用した。
【0073】
(c) 光学的純粋物の調製
(4S) 3-{2-[(1S,2R,3R)-2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]アセチル}-4-ベンジル-1.3-オキサゾラン-2-one、および
(4S) 3-{2-[(1R,2S,3S)-2-ベンゾイル-3-フェニルシクロプロピル]アセチル}-4-ベンジル-1,3-オキサゾラン-2-one
トリフェニルメタン(5 mg、標識として使用)を含む(S)-4-ベンジル-2-オキサゾリジ ノン(17)(0.252 g)のTHF溶液(4 mL)に、−78℃、窒素雰囲気化にてn-ブチ ルリチウム(1.9Mヘキサン溶液)をオレンジ色が持続するまで(添加時の発色が撹拌しても消えなくなるまで)加えていく。反応液を−78℃で1時間撹拌し、その後カニューレを通して塩塩化物のTHF溶液(3 mL)を加える。反応液を−78で4時間撹拌した後、NH4Cl(飽和溶液、10 mL)に加え、直ちに水(10 mL)で希釈し、ジクロロメタン(2 x 30 mL)で抽出した。生成物が抽出された有機溶媒層を乾燥させ(乾燥剤はNa2SO4)、次いで真空中で溶媒を除去した。残留物をクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)によるジアステレオ異性体の分離を利用して精製した。
【0074】
2つの鏡像異性体は、次のように特徴づけられた:
第1鏡像異性体(上のスポット)は、Rf 0.20(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)の位置に展開された。
【0075】
(以下参考:1HNMR(600 MHz)の分析結果は、δ2.42-2.46(1H,m),2.67(dd,1H,J=13.2,9.6Hz),2.93(dd,1H,J=17.4,7.2Hz):2.99(dd,1H,J=17.4,7.8Hz),3.16(dd,1H,J=9.6,4.8Hz),3.23(dd,2H,J=9.6,4.8Hz),4.06(t,1H,J=8.4Hz),4.08(dd,1H,J=9.3Hz),4.51-4.55(1H,m)(7.15(d,2H,J=7.2Hz) 7.22-7.26 (2H,m),7.28-7.34(6H,m)(7.52(t,2H,J=7.8Hz)) 7.61(tt,1H,J=7.2,1.2Hz)8.08-8.10(2H,m)であつた。13CNMRの分析結果は、δ27.16,29.01,33.60,33.83,37.81,55.08,66.18,126.93,127.36,128.19,128.43,128.69,128.79,128.94,129.35,133.05,135.11,135.88,137.72,171.61であつた。
【0076】
赤外吸光分析(IR)(ジクロロメタン溶液)の分析結果は、1668,1703,1780 cm-1であつた。質量分析(MS)の結果は、m/z 440.2 (42%,[M+H]+,422.2 (8%),263.1 (100%),221.1 (37%)であつた。)
C28H25NO4の理論値は、C:76.51,H:5.74で、実測値はC:76.63,H:5.65であつた。 精密質量分析によるC28H25NO4の理論値は、439.17836であり、実測値は440.18753([M+H]+),[α]24=-39.24(c=2.06,CH2Cl2)であつた。
【0077】
第2鏡像異性体(下のスポット)は、Rf 0.13(酢酸エチル:ヘキサン=1:5)の位置に展開された。
【0078】
(以下参考:1HNMR(600 MHz)の分析結果は、8 2.46(tt(1H; J=7.8)6.6Hz)(2.59(dd,1H,J=L3.8,9Hz))2.93(dd,1H,J=18,6.6Hz),2.99(dd,1H,J=17.4,7.8Hz ),3.05(dd,1H,J=13.8,3.6Hz),3.21(d,2H,J=6Hz),4.09(dd,1H,J=9,3Hz ),4.13(t,1H,J=7.8Hz),4.60-4.64(m,1H)(7.02(dd,2H,J=7.8,l.SHz))7.24-7.28(4H,m),7.33(d,4H,J=4.2Hz),7.51(t,2H,J=7.8Hz),7.59(tt,1H,J=7.8,l.SHz),8.09-8.10(2H,m)であつた。13CNMR(600 MHz)の分析結果は、526.94,28.81,33.75,34.31,37.47,54.75,66.09,127.02,127.34,128.16,128.48,128.67,128.88,128.92,129.35,133.04,134.87,135.88,137.72,153.30,171.45,198.39であつた。
【0079】
赤外吸光分析(IR)(ジクロロメタン溶液)の結果は、1668,1703,1782 cm-1であ つた。質量分析(MS)の結果は、 m/z 440.1(45%,[M+H]+),422.1(10%),263.1 (100%),221.1(34%)であつた。
【0080】
C28H25NO4の理論値は、C:76.51,H:5.74で、実測値はC:76.49,H:5.68であつた.精密質量分析によれば、C28H25NO4の理論値は439.17836であり、実測値は440.18712([M+H]+)であつた。
【0081】
本発明は実例を示すことを目的として解説されてきた。しかし、これらの実例はいかなる形であれ、本発明の適用範囲を制限するものではない。当業者者などには周知のとおり、本発明の修正変更は、本発明の適用範囲であるとみなされる。

Claims (18)

  1. (a)構造式(2)に示す対称形1,2-ダイオキシンと、(b)リンイリドまたはリンイリド前駆物質とを、(c)キラルリガンドを含むコバルト触媒の存在下にて反応させることからなり、前記構造式のXおよびYが同一の基であり、かつXおよびYは炭素原子が1,2-ダイオキシン骨格に結合している官能基であることを特徴とする、キラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  2. 前記コバルト触媒中のキラルリガンドがコバルト原子の周囲に-(OR'C=R'CR'C=NR'CHCHR'N=CR'CR'=COR')-構造をもち、各R'の半量が水素,アルキル,アリル,ケト,エステルおよびその他の官能基を含む広範囲の一群の中から個別に選択される、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  3. 前記コバルト触媒が構造式(3)で表され、構造式(3)中のR1およびR2が水素,アルキル,アリールであり、R3が水素,アルキル,t-アルキル,アルキルまたはアリル,アルコキシル,アリルアルコキシルであり、R3,R4,R5およびR6がそれぞれ水素,アルキル,アリル,ケトまたはエステルである、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  4. 前記コバルト触媒中のR1およびR2はそれぞれ同一の官能基であり、水素,(CH2)4またはベンジル基の中から選択されている、請求項3に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  5. 前記コバルト触媒中のR3が水素,t-ブチルまたはベンジルエチル,ボルノキシ,メントキシ,エトキシまたはメトキシである、請求項3に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  6. 前記コバルト触媒中のR4およびR5が同一または異なる官能基であり、水素およびt-ブチルの中から選択されている、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  7. 前記コバルト触媒中のリンイリドまたはリンイリド前駆物質が、安定化されたリンイリドまたは反応部位においてリンイリドを生成できる反応性化合物である、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  8. 前記コバルト触媒中のリンイリドまたはリンイリド前駆物質が次の構造式(a)〜(d)のいずれかで示される化合物である、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
    (a)R7R8R9P=CZCO2R10:R7,R8およびR9は同一または異なる官能基で、アルキル,置換されたアルキル,アリル,置換されたアリルであり、R10はC1-14のアルキルまたは置換されたアルキルのような反応生成物を与えない官能基または1-アダマンチルのような反応生成物を与える官能基であり、Zは水素またはメチルを示す。
    (b)R7R8R9P=CONR10R11:ここでR7,R8,R9およびR10は上記(a)に示した官能基であり、R11はC1-12のアルコキシ原子団を示す。
    (c)R7R8R9P=CN:
    (d)(R7O)2P(O)CH2CO2R10:ここでR7およびR10は上記(a)に示した官能基である。
  9. 前記コバルト触媒中のリンイリドが反応生成物を与えない安定化されたイリドである、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  10. 前記コバルト触媒中の反応生成物を与えない安定化されたイリドが、ベンジル2-(トリ フェニル-λ-ホスファニリデン)酢酸塩である、請求項9に記載のキラリティーが高めら れたシクロプロパンの生成方法。
  11. 前記コバルト触媒中のリンイリドが反応生成物を与えるイリドである、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  12. 前記コバルト触媒中の反応生成物を与えるイリドが、t-ブチル2-(トリフェニル-λ-ホ スファニリデン)酢酸塩である、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロ パンの生成方法。
  13. 前記コバルト触媒中のリンイリドまたはリンイリド前駆物質が、N,N-メトキシメチル-2-(1,1,1-トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)アセトアミド,2-(1,1,1-トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)アセトニトリルまたは2-(ジメトキシホスホリル)酢酸メチルである 、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  14. 前記コバルト触媒中のXおよびYが水素,アルキル,またはアリル基の中から選択されている、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  15. 前記反応が、アセトニトリル,酢酸エチル/キサン混液,酢酸エチル,テトラヒドロフラン,エーテル,トルエン,アセトン,四塩化炭素,およびジクロロメタン,またはそれらの混合液の中から選択された溶媒中で行われる、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  16. 前記反応が、1,2-ダイオキシンとの相対濃度で上限50mol%までの触媒濃度、さらに 望ましくは1〜15mol%の触媒濃度で行われる、請求項1に記載のキラリティーが高め られたシクロプロパンの生成方法。
  17. 光学的に濃縮されたシクロプロパンを再結晶またはカラムクロマトグラフィーに供する、請求項16に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
  18. キラルシフトNMR(核磁気共鳴)法により測定され、かつ鏡像異性体比率により表示された生成物の強化されたキラリティーが、90/10程度のものである、請求項1に記載のキラリティーが高められたシクロプロパンの生成方法。
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