JP2854048B2 - 最適モータ制御方法 - Google Patents
最適モータ制御方法Info
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- JP2854048B2 JP2854048B2 JP1317008A JP31700889A JP2854048B2 JP 2854048 B2 JP2854048 B2 JP 2854048B2 JP 1317008 A JP1317008 A JP 1317008A JP 31700889 A JP31700889 A JP 31700889A JP 2854048 B2 JP2854048 B2 JP 2854048B2
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Description
本発明は、比例積分機能を有する速度制御器にドルー
ピング機能を設けた制御系でモータ速度を最適に制御す
る方法に関する。
ピング機能を設けた制御系でモータ速度を最適に制御す
る方法に関する。
一般に、モータの速度制御は、P(比例)制御又はPI
(比例・積分)で行われている。 P制御によりモータの速度を制御する際には、機能的
損失やその他の負荷トルク等が生じるときに、速度指令
値と速度実績値の間に偏差が生じる。この偏差を補償す
るためには、その偏差の分を速度指令に上乗せすればよ
いと考えられるが、当該偏差を定量的に把握するのは困
難な場合が多い。 そこで、P制御に積分を取入れたPI制御が採用される
ようになっている。しかるに、このPI制御においては、
速度指令値と速度実績値が等しくなるように強制的に制
御しようとする。 このPI制御で問題となるのは、本来ならば、速度実績
値を検出してモータ速度制御を行いたいのだが、速度実
績値をモータの回転数でしか把握できないため、回転数
制御を行っていることである。例えば、プロセスライン
等において、スクリップでつながっている複数のロール
の速度を制御するに際して、各ロール径の設定等が完全
に合っていればよいが、その設定等の誤差は避けること
が難しく、その誤差分が原因して速度指令値と速度実績
値との間に不一致が生じていると認識されることにな
る。この場合において、PI制御では、モータ速度を強制
的に速度指令通りにしようとトルク(即ち、電流)を制
御するため、モータが過負荷となる恐れや、モータトル
クがロールとストリップとのスリップ限界を越える恐れ
が生じる。 このような問題を防止するため、従来は、第7図に示
すように、自動速度制御器(ASR)10の出力、即ち電流
指令値I refの大きさに応じて速度指令値N refを低下さ
せるようなループ8を設け、過負荷が生じないような機
能を発輝させている。このような機能をドルーピングと
いい、次式(1)のように、電流指令値I refにドルー
ピング定数KDを乗じて求めた速度低下量ΔNを、加算点
12を介して速度指令値N refにフィードバックする。 ΔN=I ref×KD×N max ……(1) 但し、N maxはモータ最大回転数である。 なお、第7図のASR10において、符号KPはP制御のゲ
イン、KIは積分制御のゲインである。 前記のようにドルーピングさせてASR10から出力され
た電流指令値I refは、自動電流制御器(ACR)14に入力
される。この場合、入力で電流指令値I refには電流実
績値I fbが加算点16を介してフィードバックされる。AC
R14は、この電流指令値I refと電流実績値I fbとの偏差
をなくすように、電力変化部18からの出力電流を制御し
て、モータ20への電流が電流指令値I refになるように
制御している。なお、モータ20には、速度計22が設けら
れており、これにより検出された速度は、ゲインKnを乗
じて速度フィードバック量N fbとし、速度指令値N ref
にフィードバックされる。 なお、ドルーピングによる速度低下量は種々設定する
ことができるものであり、例えばドルーピング設定値KD
を1%に設定する場合は、モータの負荷率が100%とし
て、最大速度の1%の分を速度低下させる。又、第7図
では、電流指令値I refに基づきドルーピングを設定し
ていたが、電流実績値I fbを用いてドルーピングを設定
することもできる。
(比例・積分)で行われている。 P制御によりモータの速度を制御する際には、機能的
損失やその他の負荷トルク等が生じるときに、速度指令
値と速度実績値の間に偏差が生じる。この偏差を補償す
るためには、その偏差の分を速度指令に上乗せすればよ
いと考えられるが、当該偏差を定量的に把握するのは困
難な場合が多い。 そこで、P制御に積分を取入れたPI制御が採用される
ようになっている。しかるに、このPI制御においては、
速度指令値と速度実績値が等しくなるように強制的に制
御しようとする。 このPI制御で問題となるのは、本来ならば、速度実績
値を検出してモータ速度制御を行いたいのだが、速度実
績値をモータの回転数でしか把握できないため、回転数
制御を行っていることである。例えば、プロセスライン
等において、スクリップでつながっている複数のロール
の速度を制御するに際して、各ロール径の設定等が完全
に合っていればよいが、その設定等の誤差は避けること
が難しく、その誤差分が原因して速度指令値と速度実績
値との間に不一致が生じていると認識されることにな
る。この場合において、PI制御では、モータ速度を強制
的に速度指令通りにしようとトルク(即ち、電流)を制
御するため、モータが過負荷となる恐れや、モータトル
クがロールとストリップとのスリップ限界を越える恐れ
が生じる。 このような問題を防止するため、従来は、第7図に示
すように、自動速度制御器(ASR)10の出力、即ち電流
指令値I refの大きさに応じて速度指令値N refを低下さ
せるようなループ8を設け、過負荷が生じないような機
能を発輝させている。このような機能をドルーピングと
いい、次式(1)のように、電流指令値I refにドルー
ピング定数KDを乗じて求めた速度低下量ΔNを、加算点
12を介して速度指令値N refにフィードバックする。 ΔN=I ref×KD×N max ……(1) 但し、N maxはモータ最大回転数である。 なお、第7図のASR10において、符号KPはP制御のゲ
イン、KIは積分制御のゲインである。 前記のようにドルーピングさせてASR10から出力され
た電流指令値I refは、自動電流制御器(ACR)14に入力
される。この場合、入力で電流指令値I refには電流実
績値I fbが加算点16を介してフィードバックされる。AC
R14は、この電流指令値I refと電流実績値I fbとの偏差
をなくすように、電力変化部18からの出力電流を制御し
て、モータ20への電流が電流指令値I refになるように
制御している。なお、モータ20には、速度計22が設けら
れており、これにより検出された速度は、ゲインKnを乗
じて速度フィードバック量N fbとし、速度指令値N ref
にフィードバックされる。 なお、ドルーピングによる速度低下量は種々設定する
ことができるものであり、例えばドルーピング設定値KD
を1%に設定する場合は、モータの負荷率が100%とし
て、最大速度の1%の分を速度低下させる。又、第7図
では、電流指令値I refに基づきドルーピングを設定し
ていたが、電流実績値I fbを用いてドルーピングを設定
することもできる。
しかしながら、前記ドルーピング機能は、前記のよう
に速度指令あるいはロール径等のデータの誤差によって
生じる過負荷を防止するためには役立つが、モータを加
速・減速するときには、加速・減速に必要な加速・減速
トルク(即ち、加速・減速電流)を発生しなければなら
ないにも拘らず、ドルーピングによって、そのトルク発
生のために電流指令が増えた分速度指令を低下させてし
まうため、次のような問題点が生じる。 即ち、このような速度指令の低下は、ロールが単独の
ものである場合や、あるいは全モータについてモータの
定格トルクと加速・減速トルクとの比が一定のものの場
合には問題が生じないが、プロセスライン等の一般的に
各モータ毎にモータ容量や加速・減速トルクが一致して
いないシステムの場合には、ロール間において速度の相
違が生じてストリップ張力の変動に繋がる恐れが生じ
る。 本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされた
もので、ドルーピングによる速度低下量を的確に補償す
ることができる最適モータ制御方法を提供することを課
題とする。
に速度指令あるいはロール径等のデータの誤差によって
生じる過負荷を防止するためには役立つが、モータを加
速・減速するときには、加速・減速に必要な加速・減速
トルク(即ち、加速・減速電流)を発生しなければなら
ないにも拘らず、ドルーピングによって、そのトルク発
生のために電流指令が増えた分速度指令を低下させてし
まうため、次のような問題点が生じる。 即ち、このような速度指令の低下は、ロールが単独の
ものである場合や、あるいは全モータについてモータの
定格トルクと加速・減速トルクとの比が一定のものの場
合には問題が生じないが、プロセスライン等の一般的に
各モータ毎にモータ容量や加速・減速トルクが一致して
いないシステムの場合には、ロール間において速度の相
違が生じてストリップ張力の変動に繋がる恐れが生じ
る。 本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされた
もので、ドルーピングによる速度低下量を的確に補償す
ることができる最適モータ制御方法を提供することを課
題とする。
本発明は、比例積分制御機能を有する自動速度制御器
にドルーピング機能を設けた制御系でモータ速度を最適
に制御する方法において、加速・減速時のドルーピング
による速度低下量を算出し、算出された速度低下量を、
自動速度制御器の応答時間を時定数に持つ一次遅れに通
して速度低下補償量を求め、求められた速度低下補償量
を前記制御系への速度指令に加算し、前記ドルーピング
機能による速度低下量を該速度低下補償量により相殺す
ることにより、前記課題を達成したものである。
にドルーピング機能を設けた制御系でモータ速度を最適
に制御する方法において、加速・減速時のドルーピング
による速度低下量を算出し、算出された速度低下量を、
自動速度制御器の応答時間を時定数に持つ一次遅れに通
して速度低下補償量を求め、求められた速度低下補償量
を前記制御系への速度指令に加算し、前記ドルーピング
機能による速度低下量を該速度低下補償量により相殺す
ることにより、前記課題を達成したものである。
前出第7図に示したようなモータ速度制御系におい
て、速度指令値N refに対する電流指令(負荷率指令)
値I refの波形は、例えば第1図に示すように、ステッ
プ状の波形ではなく、自動速度制御器(ASR)の応答と
一致する一次遅れの波形となる。又、前出(1)式か
ら、速度低下量ΔNは、前記電流指令値I refに比例す
るため、例えば第1図に示すように、前記ASRの応答と
同様の一次遅れの波形となる。 発明者は、上記の点について種々検討した結果、ドル
ーピングによる速度低下量を補償するためには、速度低
下量ΔNにASRの応答に応じた速度低下補償量を求め、
該速度低下補償量を速度指令に加算すれば良いことを着
想し、本発明を創案したものである。 本発明によれば、ドルーピングによる速度低下量を的
確に補償することができる。例えばプロセスラインにお
いて条件が違う隣り合ったモータを同時に加速・減速す
る場合にも、張力変動の発生を極力小さくすることがで
き、ストリップの蛇行や絞り破断を生じさせることがな
い。
て、速度指令値N refに対する電流指令(負荷率指令)
値I refの波形は、例えば第1図に示すように、ステッ
プ状の波形ではなく、自動速度制御器(ASR)の応答と
一致する一次遅れの波形となる。又、前出(1)式か
ら、速度低下量ΔNは、前記電流指令値I refに比例す
るため、例えば第1図に示すように、前記ASRの応答と
同様の一次遅れの波形となる。 発明者は、上記の点について種々検討した結果、ドル
ーピングによる速度低下量を補償するためには、速度低
下量ΔNにASRの応答に応じた速度低下補償量を求め、
該速度低下補償量を速度指令に加算すれば良いことを着
想し、本発明を創案したものである。 本発明によれば、ドルーピングによる速度低下量を的
確に補償することができる。例えばプロセスラインにお
いて条件が違う隣り合ったモータを同時に加速・減速す
る場合にも、張力変動の発生を極力小さくすることがで
き、ストリップの蛇行や絞り破断を生じさせることがな
い。
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明す
る。 この実施例は、第2図に示すように、上位コントロー
ラ30の速度指令値N refに従って、モータ20を速度制御
するためのモータ制御装置32である。 前記上位コントローラ30は、基本的には、モータ制御
装置32に速度指令を出力するものであり、それと共にド
ルーピングによる速度低下に対する補償量ΔN refを演
算するものである。この補償量ΔN refは加算点33を介
して速度指令値N refに加算される。 この場合、ASR10には、PI制御を採用することができ
る。又、電力変換部18にはサイリスタレオナード方式の
もの、トランジスタインバータ方式のもの等、モータの
特性に応じていずれの種類のものを用いることもでき
る。 なお、その他の構成は前出第7図の従来のモータ制御
装置と同様のため、同様の部分に同一の番号を付してそ
の説明は略す。 この実施例では、上位コントローラ30において、次式
(2)により前記速度低下に対する補償量ΔN refを算
出する。 ΔN ref={1/(1+tS・S)} ×(GD2/375)・(dN ref/dt) ×(1/τR)・(KD/100) ×N max ………(2) 但し、 GDS :負荷(ロール)、モータ、ブレーキ等に生じ
る慣性モーメントの合計(kg−m2)、 N ref:速度(回転数)指令(rpm)、 τR:モータ定格トルク(kg−m)、 N max:モータ最高(定格)回転数(rpm)、 KD :ドルーピング定数(%)、 tS :ASRの応答時間(sec)、 S :ラプラス演算子。 (2)式において(GD2/375)×(dN ref/dt)は、モ
ータ及び負荷の加速・減速トルクを演算するための一般
式である。又、1/τRは、モータ20の定格トルクτRで
前記加速・減速トルクを割ることにより、加速・減速時
に必要な負荷率(%)を算出するものである。又、(KD
/100)×N maxは、モータの最高(定格)回転数N maxに
対し、ドルーピング定数KD分の速度を低下させることを
意味している。 従って、(2)式では、当該モータ20及び負荷の慣性
モーメントGD2をある加減速率dN ref/dtで加速・減速さ
せたときの速度低下量ΔNを算出できる。この算出され
た速度低下量ΔNをASR30の応答時間tSを時定数に持つ
一時遅れ{1/(1+tS・S)}に通して、速度低下補償
量ΔN refを求めることができる。よって、この連続的
に変化する速度低下補償量ΔN refを速度指令値N refに
加算することにより、モータ20、負荷及びASR10の特性
に応じてドルーピングによる速度低下を相殺し補償でき
る。 なお、速度低下を補償したことにより、負荷率が増加
して、速度低下量が増加することが考えられるが、この
速度低下量は、補償した速度低下量に比べて無視できる
ほど小さいものである。従って、(2)式による補償量
ΔN refを加算することにより、ドルーピングによる速
度低下の補償を高い精度で行うことができる。 次に、ストリッププロセスラインにおいて本発明を採
用して速度低下を補償した例について説明する。 第3図にこのプロセスラインを示す。第3図におい
て、符号34はストリップ、36A、36Bは当該ストリップ34
を通板させるためのロール、20A、20Bはこれらロールを
駆動するモータである。 この場合において、ロール36Aは、直径1200mmのもの
であり、その駆動モータ20Aは、定格容量が5.5kwのもの
である。これらロール36A及びモータ20A間のギヤ比は1
4.77/1である。又、他のロール36Bはその直径が800mmの
もので、その駆動モータ20Bは定格容量が30kwである。
これらロール36B及びモータ20B間のギヤ比は9.0/1であ
る。なお、モータ軸換算の慣性モーメントGD2、加速ト
ルクτACC、定格トルクτRは、ロール36Aとロール36B
についての次の第1表の如くである。又、これらロール
36A、36B間の距離は2.5mで、その間にストリップ34が搬
送されている。 上記のような条件で、両モータ20A、20Bのドルーピン
グの設定を1%とした際のロール36A及び36B間における
ストリップ34の張力変動を求めた結果を第4図に示す。
なお、この場合においては、ASRの応答周波数ωCを、
両モータ36A、36B共に2.17rad/秒に合わせている。 第4図に示すように、このストリツプ34では最大94.5
kgの張力変動が発生した。 この張力変動は、次の理由から発生したものである。
即ち、第1表に示すように、モータ軸換算の慣性モーメ
ントGD2は両モータともほぼ同じで、加速に必要な加速
トルクτACCもほぼ同じであるが、モータ容量が違うた
め定格トルクτRが異なる。その結果、ドルーピングの
設定が同じとされていても速度低下量が異なるために、
張力変動が発生したものである。 第1表では速度低下量は、モータ容量の小さいロール
36Aで2.4mpmと大きい。この速度低下量を補償するべ
く、この速度低下量に対する速度低下補償量ΔN refを
ロール36Aの速度指令値N refに加算した結果を、第5図
に示す。この場合には、ASRの応答周波数ωCが2.17rad
/秒であるため、次式(3)のように、速度低下量2.4mp
mに対して、時定数1/2.17秒の一時遅れを取って速度低
下補償量ΔN refを求め、この補償量ΔN refを速度指令
値N refに加算する。 ΔN ref={1/(1+1/2.17S)}×2.4 ……(3) このように速度補償を行った結果の張力波形は第6図
に示すようになった。第6図から理解されるように、速
度補償する前は、前記第4図のように張力変動が94.5kg
あったのに対して、補償した結果、その張力変動はほぼ
零になっており、精度良くドルーピングによる速度低下
を補償していることが理解される。
る。 この実施例は、第2図に示すように、上位コントロー
ラ30の速度指令値N refに従って、モータ20を速度制御
するためのモータ制御装置32である。 前記上位コントローラ30は、基本的には、モータ制御
装置32に速度指令を出力するものであり、それと共にド
ルーピングによる速度低下に対する補償量ΔN refを演
算するものである。この補償量ΔN refは加算点33を介
して速度指令値N refに加算される。 この場合、ASR10には、PI制御を採用することができ
る。又、電力変換部18にはサイリスタレオナード方式の
もの、トランジスタインバータ方式のもの等、モータの
特性に応じていずれの種類のものを用いることもでき
る。 なお、その他の構成は前出第7図の従来のモータ制御
装置と同様のため、同様の部分に同一の番号を付してそ
の説明は略す。 この実施例では、上位コントローラ30において、次式
(2)により前記速度低下に対する補償量ΔN refを算
出する。 ΔN ref={1/(1+tS・S)} ×(GD2/375)・(dN ref/dt) ×(1/τR)・(KD/100) ×N max ………(2) 但し、 GDS :負荷(ロール)、モータ、ブレーキ等に生じ
る慣性モーメントの合計(kg−m2)、 N ref:速度(回転数)指令(rpm)、 τR:モータ定格トルク(kg−m)、 N max:モータ最高(定格)回転数(rpm)、 KD :ドルーピング定数(%)、 tS :ASRの応答時間(sec)、 S :ラプラス演算子。 (2)式において(GD2/375)×(dN ref/dt)は、モ
ータ及び負荷の加速・減速トルクを演算するための一般
式である。又、1/τRは、モータ20の定格トルクτRで
前記加速・減速トルクを割ることにより、加速・減速時
に必要な負荷率(%)を算出するものである。又、(KD
/100)×N maxは、モータの最高(定格)回転数N maxに
対し、ドルーピング定数KD分の速度を低下させることを
意味している。 従って、(2)式では、当該モータ20及び負荷の慣性
モーメントGD2をある加減速率dN ref/dtで加速・減速さ
せたときの速度低下量ΔNを算出できる。この算出され
た速度低下量ΔNをASR30の応答時間tSを時定数に持つ
一時遅れ{1/(1+tS・S)}に通して、速度低下補償
量ΔN refを求めることができる。よって、この連続的
に変化する速度低下補償量ΔN refを速度指令値N refに
加算することにより、モータ20、負荷及びASR10の特性
に応じてドルーピングによる速度低下を相殺し補償でき
る。 なお、速度低下を補償したことにより、負荷率が増加
して、速度低下量が増加することが考えられるが、この
速度低下量は、補償した速度低下量に比べて無視できる
ほど小さいものである。従って、(2)式による補償量
ΔN refを加算することにより、ドルーピングによる速
度低下の補償を高い精度で行うことができる。 次に、ストリッププロセスラインにおいて本発明を採
用して速度低下を補償した例について説明する。 第3図にこのプロセスラインを示す。第3図におい
て、符号34はストリップ、36A、36Bは当該ストリップ34
を通板させるためのロール、20A、20Bはこれらロールを
駆動するモータである。 この場合において、ロール36Aは、直径1200mmのもの
であり、その駆動モータ20Aは、定格容量が5.5kwのもの
である。これらロール36A及びモータ20A間のギヤ比は1
4.77/1である。又、他のロール36Bはその直径が800mmの
もので、その駆動モータ20Bは定格容量が30kwである。
これらロール36B及びモータ20B間のギヤ比は9.0/1であ
る。なお、モータ軸換算の慣性モーメントGD2、加速ト
ルクτACC、定格トルクτRは、ロール36Aとロール36B
についての次の第1表の如くである。又、これらロール
36A、36B間の距離は2.5mで、その間にストリップ34が搬
送されている。 上記のような条件で、両モータ20A、20Bのドルーピン
グの設定を1%とした際のロール36A及び36B間における
ストリップ34の張力変動を求めた結果を第4図に示す。
なお、この場合においては、ASRの応答周波数ωCを、
両モータ36A、36B共に2.17rad/秒に合わせている。 第4図に示すように、このストリツプ34では最大94.5
kgの張力変動が発生した。 この張力変動は、次の理由から発生したものである。
即ち、第1表に示すように、モータ軸換算の慣性モーメ
ントGD2は両モータともほぼ同じで、加速に必要な加速
トルクτACCもほぼ同じであるが、モータ容量が違うた
め定格トルクτRが異なる。その結果、ドルーピングの
設定が同じとされていても速度低下量が異なるために、
張力変動が発生したものである。 第1表では速度低下量は、モータ容量の小さいロール
36Aで2.4mpmと大きい。この速度低下量を補償するべ
く、この速度低下量に対する速度低下補償量ΔN refを
ロール36Aの速度指令値N refに加算した結果を、第5図
に示す。この場合には、ASRの応答周波数ωCが2.17rad
/秒であるため、次式(3)のように、速度低下量2.4mp
mに対して、時定数1/2.17秒の一時遅れを取って速度低
下補償量ΔN refを求め、この補償量ΔN refを速度指令
値N refに加算する。 ΔN ref={1/(1+1/2.17S)}×2.4 ……(3) このように速度補償を行った結果の張力波形は第6図
に示すようになった。第6図から理解されるように、速
度補償する前は、前記第4図のように張力変動が94.5kg
あったのに対して、補償した結果、その張力変動はほぼ
零になっており、精度良くドルーピングによる速度低下
を補償していることが理解される。
以上説明した通り、本発明によれば、ドルーピングに
よる速度低下量を的確に補償することができる。従っ
て、例えばプロセスラインにおいて、条件の違う隣り合
ったモータを同時に加速・減速する場合でも、張力変動
の発生を極力小さく乃至はなくすことができ、これによ
り、当該ラインにおいてストップに蛇行、絞り、破断等
の不具合を発生させることがない等の優れた効果が得ら
れる。
よる速度低下量を的確に補償することができる。従っ
て、例えばプロセスラインにおいて、条件の違う隣り合
ったモータを同時に加速・減速する場合でも、張力変動
の発生を極力小さく乃至はなくすことができ、これによ
り、当該ラインにおいてストップに蛇行、絞り、破断等
の不具合を発生させることがない等の優れた効果が得ら
れる。
第1図は、本発明の原理を説明するためのドルーピング
をした際の速度及び電流指令と速度低下量の関係例を示
す線図、 第2図は、本発明の実施例に係るモータ制御装置の全体
的な構成を示すブロック図、 第3図は、本発明を実施した張力を制御しようとするプ
ロセスラインの例を示す要部斜視図、 第4図は、前記プロセスラインで本発明を実施していな
い場合の速度、張力の検出例を示す線図、 第5図は、前記ラインにおいて本発明を実施した際の速
度及び速度補償量の例を示す線図、 第6図は、同じく、速度及び張力の例を示す線図、 第7図は、従来のモータ速度制御装置の構成を示すブロ
ック図である。 10……自動速度制御器(ASR)、 12、16……加算点、 14……自動電流制御器(ACR)、 18……電力変換部、 20、20A、20B……モータ、 22……回転速度検出器、 30……上位コントローラ、 32……モータ制御装置、 34……ストリップ、 36A、36B……ロール。
をした際の速度及び電流指令と速度低下量の関係例を示
す線図、 第2図は、本発明の実施例に係るモータ制御装置の全体
的な構成を示すブロック図、 第3図は、本発明を実施した張力を制御しようとするプ
ロセスラインの例を示す要部斜視図、 第4図は、前記プロセスラインで本発明を実施していな
い場合の速度、張力の検出例を示す線図、 第5図は、前記ラインにおいて本発明を実施した際の速
度及び速度補償量の例を示す線図、 第6図は、同じく、速度及び張力の例を示す線図、 第7図は、従来のモータ速度制御装置の構成を示すブロ
ック図である。 10……自動速度制御器(ASR)、 12、16……加算点、 14……自動電流制御器(ACR)、 18……電力変換部、 20、20A、20B……モータ、 22……回転速度検出器、 30……上位コントローラ、 32……モータ制御装置、 34……ストリップ、 36A、36B……ロール。
Claims (1)
- 【請求項1】比例積分制御機能を有する自動速度制御器
にドルーピング機能を設けた制御系でモータ速度を最適
に制御する方法において、 加速・減速時のドルーピングによる速度低下量を算出
し、 算出された速度低下量を、自動速度制御器の応答時間を
時定数に持つ一次遅れに通して速度低下補償量を求め、 求められた速度低下補償量を前記制御系への速度指令に
加算し、前記ドルーピング機能による速度低下量を該速
度低下補償量により相殺することを特徴とする最適モー
タ制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1317008A JP2854048B2 (ja) | 1989-12-06 | 1989-12-06 | 最適モータ制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP1317008A JP2854048B2 (ja) | 1989-12-06 | 1989-12-06 | 最適モータ制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH03178585A JPH03178585A (ja) | 1991-08-02 |
JP2854048B2 true JP2854048B2 (ja) | 1999-02-03 |
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ID=18083383
Family Applications (1)
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JP1317008A Expired - Fee Related JP2854048B2 (ja) | 1989-12-06 | 1989-12-06 | 最適モータ制御方法 |
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JP (1) | JP2854048B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021166168A1 (ja) * | 2020-02-20 | 2021-08-26 | 三菱電機株式会社 | 電動機の診断装置 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS5822591A (ja) * | 1981-08-04 | 1983-02-09 | Toshiba Corp | 電動機の速度制御装置 |
JPS6348397U (ja) * | 1986-09-10 | 1988-04-01 |
-
1989
- 1989-12-06 JP JP1317008A patent/JP2854048B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH03178585A (ja) | 1991-08-02 |
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