JP2852998B2 - ラックピニオン式ステアリング装置 - Google Patents

ラックピニオン式ステアリング装置

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JP2852998B2
JP2852998B2 JP5111010A JP11101093A JP2852998B2 JP 2852998 B2 JP2852998 B2 JP 2852998B2 JP 5111010 A JP5111010 A JP 5111010A JP 11101093 A JP11101093 A JP 11101093A JP 2852998 B2 JP2852998 B2 JP 2852998B2
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好美 小竹
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハウジングから突出す
るラックを覆う伸縮カバーを備えたラックピニオン式ス
テアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】操舵により回転するピニオンと、このピ
ニオンに噛み合うラックと、このラックを覆うハウジン
グと、このラックハウジングから突出するラックにボー
ルジョイントを介し連結されるタイロッドと、一端部が
ハウジング側の外周に嵌合されると共に他端部がタイロ
ッド側の外周に嵌合される伸縮カバーとを備え、その伸
縮カバーの両端部間は筒状の蛇腹部とされたラックピニ
オン式ステアリング装置が従来より用いられている。
【0003】上記のようなラックピニオン式ステアリン
グ装置は、配置スペースが制限されることから、その伸
縮カバーは可及的小径にする必要がある。そのため、伸
縮カバーの蛇腹部が自重により落ち込んだ場合に、その
落ち込み部がラックハウジングとボールジョイントとの
間に挟み込まれるのを防止するため、その蛇腹部の軸心
をラック側とボールジョイント側とで偏心させることが
提案されている(実公平2‐3976号公報、実公平2
‐3977号公報、実公平2‐3978号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】伸縮カバーの蛇腹部が
自重により落ち込む場合、ラックハウジングとボールジ
ョイントとの間に挟み込まれるのは、その蛇腹部の上方
側である。しかし、ラックピニオン式ステアリング装置
を実際に車両に搭載した場合、伸縮カバーの蛇腹部の上
方側ではなく、ラックの長手方向に対するタイロッドの
長手方向の傾斜による傾斜の内側方向側がラックハウジ
ングとボールジョイントとの間に挟み込まれたり、蛇腹
カバーとボールジョイントとの接触音が発生する場合が
あった。
【0005】本発明は、上記技術的課題を解決すること
のできるラックピニオン式ステアリング装置を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本件第1発明は、操舵に
より回転するピニオンと、このピニオンに噛み合うラッ
クと、このラックを覆うハウジングと、このハウジング
から突出するラックにボールジョイントを介し連結され
るタイロッドと、一端部がハウジング側の外周に嵌合さ
れると共に他端部がタイロッド側の外周に嵌合される伸
縮カバーとを備え、その伸縮カバーの一端部の内周は円
周面とされ、その伸縮カバーの両端部間は筒状の蛇腹部
とされ、その蛇腹部は、ラックの長手方向に対するタイ
ロッドの長手方向の傾斜により、径方向一方側において
他方側よりも圧縮されるように湾曲するラックピニオン
式ステアリング装置において、その筒状蛇腹部の非湾曲
状態での軸心は、その伸縮カバーの一端部の内周の中心
に対し、径方向一方側寄りに偏心しているものである。
【0007】本件第2発明は、操舵により回転するピニ
オンと、このピニオンに噛み合うラックと、このラック
を覆うハウジングと、このハウジングから突出するラッ
クにボールジョイントを介し連結されるタイロッドと、
一端部がハウジング側の外周に嵌合されると共に他端部
がタイロッド側の外周に嵌合される伸縮カバーとを備
え、その伸縮カバーの両端部間は筒状の蛇腹部とされ、
その蛇腹部は、ラックの長手方向に対するタイロッドの
長手方向の傾斜により、径方向一方側において他方側よ
りも圧縮されるように湾曲するラックピニオン式ステア
リング装置において、その筒状蛇腹部の肉厚寸法が、径
方向一方側における方が他方側におけるよりも、軸方向
全長に亘り小さくされているものである。
【0008】
【作用】ラックの長手方向に対してタイロッドの長手方
向が傾斜する場合、伸縮カバーの蛇腹部は径方向一方側
において他方側よりも圧縮されるように湾曲する。ま
た、ラックピニオン式ステアリング装置を車両に搭載し
た場合、雰囲気温度の上昇やパワーステアリング装置に
おける場合の作動油温度の上昇等により、伸縮カバーの
内部と外部との温度差が大きくなり、伸縮カバーに内圧
が作用する。そのような内圧が作用すると、その湾曲し
た蛇腹部は径方向一方側において曲率が大きくなり、そ
の径方向一方側においてハウジングとボールジョイント
との間に挟み込まれたり、ボールジョイントと接触する
ことが判明した。
【0009】本件第1発明の構成によれば、その筒状蛇
腹部の非湾曲状態での軸心は、その伸縮カバーの一端部
の内周の中心に対し、径方向一方側寄りに偏心している
ので、その蛇腹部の非湾曲状態での径方向一方側とボー
ルジョイントとの径方向間距離は、その蛇腹部の径方向
他方側とボールジョイントとの径方向間距離よりも大き
くなる。これにより、その蛇腹部がラックの長手方向に
対するタイロッドの長手方向の傾斜により湾曲し、温度
変化により内圧が作用しても、径方向一方側においてハ
ウジングとボールジョイントとの間に挟み込まれたり、
ボールジョイントと接触するのを防止できる。
【0010】本件第2発明の構成によれば、その筒状蛇
腹部の肉厚寸法は、径方向一方側における方が他方側に
おけるよりも軸方向全長に亘り小さくされているので、
ラックの長手方向に対するタイロッドの長手方向の傾斜
により湾曲して、温度変化により内圧が作用しても、そ
の蛇腹部の曲率は径方向一方側における方が他方側にお
けるよりも小さくなる。これにより、その蛇腹部が径方
向一方側においてハウジングとボールジョイントとの間
に挟み込まれたり、ボールジョイントと接触するのを防
止できる。
【0011】
【実施例】以下、図1〜図4を参照して本件第1発明の
実施例を説明する。
【0012】図1に示すラックピニオン式油圧パワース
テアリング装置1は、操舵用のハンドル(図示省略)に
連結される入力軸2と、この入力軸2の回転により回転
するピニオン3と、このピニオン3に噛み合うラック4
と、このラック4を覆うハウジング5とを備えている。
【0013】そのラック4の各端はハウジング5の両端
の開口5aから突出し、このラック4の各端にボールジ
ョイント6を介してタイロッド17が取り付けられ、各
タイロッド17を介して操舵用車輪(図示省略)が取り
付けられる。これにより、入力軸2の回転によってピニ
オン3が回転すると、ラック4が車両幅方向に往復移動
して車両の操舵がなされる。
【0014】そのハウジング5の内周とラック4の外周
との間をシールする一対のシール部材12、13が設け
られ、このシール部材12、13の間において、ラック
4にピストン8が設けられている。これにより、両シー
ル部材12、13の間にピストン8によって仕切られる
一対の油室9、10が形成されている。各油室9、10
に操舵方向と操舵抵抗に応じた圧油を供給するため、前
記入力軸2の外周に公知のコントロールバルブ14が設
けられている。このバルブ14は圧油供給用のポンプ
(図示省略)に接続されると共に各油室9、10に配管
15、16を介し接続される。これにより、ピストン8
を介してラック4に油圧が作用して操舵補助力が生じ
る。
【0015】そのハウジング5の一端にはラック4支持
用のブッシュ30が取り付けられている。また、各ボー
ルジョイント6は座金25を介しラック4に取り付けら
れている。その座金25は、ラック4のハウジング5へ
の没入方向への移動時に、図1の右方側ではそのブッシ
ュ30の端面30aに、左方側ではハウジング5の内周
の段差面5cに当接する。これにより、ラック4のハウ
ジング5への没入方向への移動が規制される。
【0016】図2〜図4にも示すように、ハウジング5
の各端部とタイロッド17との間は、弾性を有する合成
樹脂製の伸縮カバー21により覆われている。各伸縮カ
バー21の一端部は内周が円周面とされ、ハウジング5
の端部外周の円周面に嵌合され、その外周にバンド23
が締め付けられることでハウジング5に固定される。ま
た、各伸縮カバー21の他端部は内周が円周面とさ
れ、、タイロッド17の外周の円周面に嵌合され、その
外周にクリップ24が締め付けられることでタイロッド
17に固定されている。各伸縮カバー21は両端部間が
筒状の蛇腹部26とされ、ラック4の車両幅方向移動に
伴って伸縮可能とされている。
【0017】図3に示すように、各タイロッド17の長
手方向はラック4の長手方向に対し傾斜するものとさ
れ、この傾斜により、伸縮カバー21の筒状蛇腹部26
は径方向一方側26aにおいて他方側26bよりも圧縮
されるように湾曲する。そのタイロッド17の長手方向
のラック4の長手方向に対する傾斜角は、ボールジョイ
ント6のボール中心Pを通るタイロッド17の軸方向と
ラック4の軸線方向とがなす角θにより設定できる。な
お、その傾斜角θはラック4の移動により変化するが、
伸縮カバー21の筒状蛇腹部26の径方向他方側26b
が一方側26aよりも圧縮されるように湾曲することは
ない。
【0018】そして、筒状蛇腹部26の非湾曲状態での
軸心Qは、伸縮カバー21の一端部の内周の中心Rに対
し、径方向一方側26a寄りに図3、4に示すようにe
だけ偏心している。なお、本実施例では、伸縮カバー2
1の一端部の内周の中心Rと他端部の内周の中心とは一
致するが、伸縮カバー21の他端部の内周の中心は筒状
蛇腹部26の非湾曲状態での軸心Q上に位置するように
してもよい。
【0019】上記構成によれば、蛇腹部26の非湾曲状
態での径方向一方側26aとボールジョイント6との径
方向間距離は、その蛇腹部26の径方向他方側26bと
ボールジョイント6との径方向間距離よりも大きくな
る。これにより、その蛇腹部26がラック4の長手方向
に対するタイロッド17の長手方向の傾斜により湾曲
し、温度変化により内圧が作用しても、径方向一方側2
6aにおいてハウジング5とボールジョイント6との間
に挟み込まれたり、ボールジョイント6と接触するのを
防止できる。
【0020】以下、図5〜図7を参照して本件第2発明
の実施例を説明する。なお、上記実施例と同一部分は同
一符号で示し、説明は省略する。
【0021】図に示すように、ハウジング5の各端部と
タイロッド17との間は、弾性を有する合成樹脂製の伸
縮カバー51により覆われている。各伸縮カバー51の
一端部は内周が円周面とされ、ハウジング5の端部外周
の円周面に嵌合され、その外周にバンド23が締め付け
られることでハウジング5に固定される。また、各伸縮
カバー51の他端部は内周が円周面とされ、、タイロッ
ド17の外周の円周面に嵌合され、その外周にクリップ
24が締め付けられることでタイロッド17に固定され
ている。各伸縮カバー51は両端部間が筒状の蛇腹部5
6とされ、ラック4の車両幅方向移動に伴って伸縮可能
とされている。なお、伸縮カバー51の一端部の内周の
中心と他端部の内周の中心とは、蛇腹部56の非湾曲状
態での軸心上に位置する。
【0022】図6に示すように、各タイロッド17の長
手方向のラック4の長手方向に対する傾斜により、伸縮
カバー51の筒状蛇腹部56は径方向一方側56aにお
いて他方側56bよりも圧縮されるように湾曲する。な
お、伸縮カバー51の筒状蛇腹部56の径方向他方側5
6bが一方側56aよりも圧縮されるように湾曲するこ
とはない。
【0023】そして、図7に示すように、筒状蛇腹部5
6の肉厚寸法は、径方向一方側56aにおける寸法tの
方が他方側56bにおける寸法t′よりも、軸方向全長
に亘り小さくされている。他は上記実施例と同様とされ
ている。
【0024】上記構成によれば、筒状蛇腹部56の肉厚
寸法は、径方向一方側56aにおける方が他方側56b
におけるよりも軸方向全長に亘り小さくされているの
で、ラック4の長手方向に対するタイロッド17の長手
方向の傾斜により湾曲し、温度変化により内圧が作用し
ても、その蛇腹部56の曲率は径方向一方側56aにお
ける方が他方側56bにおけるよりも小さくなる。これ
は一方側の肉厚寸法が他方側より小さいために縮み易い
ためである。これにより、その蛇腹部56が径方向一方
側56aにおいてハウジング5とボールジョイント6と
の間に挟み込まれたり、ボールジョイント6と接触する
のを防止できる。
【0025】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではない。例えば、上記実施例ではハウジングの両端
からラックが突出するが、一端側からのみ突出するラッ
クを有するラックピニオン式ステアリング装置にも本発
明は適用できる。
【0026】
【発明の効果】本件各発明によれば、ラックの長手方向
に対しタイロッドの長手方向が傾斜するラックピニオン
式ステアリング装置を車両に搭載した場合に、伸縮カバ
ーの蛇腹部がラックハウジングとボールジョイントとの
間に挟み込まれたり、ボールジョイントと接触するのを
防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件第1発明の実施例のステアリング装置の断
面図
【図2】本件第1発明の実施例のステアリング装置の要
部の側断面図
【図3】本件第1発明の実施例を示す伸縮カバー装置の
平断面図
【図4】図2のIV‐IV線に沿う断面図
【図5】本件第2発明の実施例のステアリング装置の要
部の側断面図
【図6】本件第2発明の実施例を示す伸縮カバー装置の
平断面図
【図7】図5のVII‐VII線に沿う断面図
【符号の説明】
3 ピニオン 4 ラック 5 ハウジング 6 ボールジョイント 17 タイロッド 21、51 伸縮カバー 26、56 蛇腹部

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵により回転するピニオンと、このピ
    ニオンに噛み合うラックと、このラックを覆うハウジン
    グと、このハウジングから突出するラックにボールジョ
    イントを介し連結されるタイロッドと、一端部がハウジ
    ング側の外周に嵌合されると共に他端部がタイロッド側
    の外周に嵌合される伸縮カバーとを備え、その伸縮カバ
    ーの一端部の内周は円周面とされ、その伸縮カバーの両
    端部間は筒状の蛇腹部とされ、その蛇腹部は、ラックの
    長手方向に対するタイロッドの長手方向の傾斜により、
    径方向一方側において他方側よりも圧縮されるように湾
    曲するラックピニオン式ステアリング装置において、そ
    の筒状蛇腹部の非湾曲状態での軸心は、その伸縮カバー
    の一端部の内周の中心に対し、径方向一方側寄りに偏心
    していることを特徴とするラックピニオン式ステアリン
    グ装置。
  2. 【請求項2】 操舵により回転するピニオンと、このピ
    ニオンに噛み合うラックと、このラックを覆うハウジン
    グと、このハウジングから突出するラックにボールジョ
    イントを介し連結されるタイロッドと、一端部がハウジ
    ング側の外周に嵌合されると共に他端部がタイロッド側
    の外周に嵌合される伸縮カバーとを備え、その伸縮カバ
    ーの両端部間は筒状の蛇腹部とされ、その蛇腹部は、ラ
    ックの長手方向に対するタイロッドの長手方向の傾斜に
    より、径方向一方側において他方側よりも圧縮されるよ
    うに湾曲するラックピニオン式ステアリング装置におい
    て、その筒状蛇腹部の肉厚寸法が、径方向一方側におけ
    る方が他方側におけるよりも、軸方向全長に亘り小さく
    されていることを特徴とするラックピニオン式ステアリ
    ング装置。
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