JP2852457B2 - 内燃機関用コンロッドボルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本発明に係るコンロッドボルトは主として内燃機関の
コネクティングロッド用に使用する。

＜従来技術＞ 自動車には数百種類に及ぶボルトが使用されている
が、中でも最も技術的精度、強度を要求されるものにエ
ンジンのコンロッド（コネクティングロッド）の本体と
キャップを締結するコンロッドボルトがあり、このコン
ロッドボルトの精度、強度、如何によってエンジンの性
能が左右される。

＜解決すべき問題点＞ コンロッドについて最も負荷が掛かるのは、エンジン
ブレーキや変速誤操作によってパワーオフ時にエンジン
が過回転となったときで、コンロッドは大きな慣性力に
耐え得るものであることが要求される。この要求に応え
得るようコンロッドについては、材質や構造について研
究がなされているが、採算上等の問題があり、究極的に
は精度、強度、耐久性のあるコンロッドボルトに頼らざ
るを得ないのが現状である。

このためコンロッドボルトは市販の標準ボルトと構造
を異にし、エンジンごとに、またエンジンの設計思想ご
とに製作されている。

このようなコンロッドボルトにはいくつかのシビアな
特性が要求されるが、その例として、高い軸力で締め付
けができること、締め付部にガタが生じないこと、軽量
であることが挙げられ、本発明はこのような要求を満足
できるコンロッドボルトを提供できるようにした。

＜本発明の手段＞ 本発明に係る内燃機関用コンロッドボルトは、上端に
頭部を、下部にナット螺合用のおねじ部を有する軸部
に、前記頭部に続いて頚部、まわり止め用の縦ローレッ
ト、位置合わせ用の縦ローレットを形成し、かつ前記頭
部の外周面を下細りのテーパー面に形成し、この頭部の
上面に、径方向へ多少の変形力が与えられるように下細
りのテーパー凹み部を形成した構造のものとしてある。

＜実施例＞ 以下本発明に係るボルトの一実施例を添付図面に示す
具体例によって説明する。

図において、符号１は本発明のコンロッドボルト、２
はその頭部、３は軸部を示す。

軸部３には頚部４に続いてまわり止め用の縦ローレッ
ト５を形成してあるとともに、まわり止めローレットに
続いて位置合わせ用の縦ローレット６を形成してあり、
また下部にはおねじ部７を形成してある。

頭部２は、外周面８を下部が小径をなす下細りのテー
パー面に形成してあり、また頭部には下部が小径となる
下細りテーパー状の凹み部９を形成してあって、こ凹み
部９により頭部には若干の弾性縮径力が与えられるよう
にしてある。

このようなコンロッドボルトは内燃機関におけるピス
トンのコンロッド（コネクティングロット）の本体とキ
ャップとの締結用に使用される。

すなわち、第3,4図のように、コンロッド10の本体と
キャップ12の各取付孔13,14へ本発明のコンロッドボル
ト１を上から挿入し、おねじ部７へ螺合したナット15に
て締めて、コンロッドの本体11へキャップ12を取り付け
る。

この際、コンロッドボルト１のまわり止めローレット
５の部分の外径はコンロッド本体11の取付孔13よりもわ
ずかに大ならしめ、コンロッドボルト１を取付孔13へ圧
入することにより、ナットで締めるときの共まわりを防
止するようにしてある。

また、下部のローレット部６の外径はコンロッドキャ
ップ12の取付孔14に対して嵌入交差を有するものとし
て、これによりキャップ12のコンロッド本体11に対する
取付位置が適正にセットされる。

＜作用・効果＞ 上記のようにしてコンロッドボルトに取り付けたコン
ロッドボルトは、頭部がテーパー凹み部９により径方向
への弾性もしくは塑性変形力を有すること、および頭部
外周面が下細りのテーパー面となっているので、コンロ
ッド取付孔13の入口皿孔部13aの形状がボルト頭部のテ
ーパー外周面と同一でなく、取付孔13の入口皿孔部13a
がボルト頭部のテーパー外周面より相対的に小なるばあ
いは、ナット15でコンロッドボルトを締め付けることに
より、コンロッドボルトの頭部は縮径して取付孔13の入
口皿孔13a内に引き込まれる。

したがって、コンロッドボルトの頭部テーパー外周面
は取付孔13の入口皿孔13aの内面に圧着され、コンロッ
ドボルトの頭部と取付孔の入口皿孔との間にガタが生じ
ることはなく、コンロッド本体11とキャップ12とを高い
軸力でタイトに締結できる。

しかも、取付孔入口皿孔13aとコンロッドボルトの頭
部外周テーパー面の精度に多少の誤差があってもよく、
製品歩止りの向上を期せる。

さらに、コンロッドボルトの頭部はテーパー状とする
ことにより小径化できるので、コンロッド本体およびキ
ャップの取付孔13,14をコンロッドの中心側へ若干寄せ
てあけることができ、したがってコンロッドの中心から
コンロッドボルトまでの距離を小ならしめ得て、コンロ
ッド作動によるコンロッドボルトに掛かる負荷を軽減せ
しめることができ、コンロッドボルトの曲げを極力防止
できる。

また、第６図に示す従来のコンロッドボルトでは、取
付孔13の入口13′が坐ぐりした凹状のもので、段部16が
でき、ために段部16と底とコンロッド内面間の部分の肉
厚ｔは必然的に薄くなることと、コンロッドの回転時に
段部16に応力が集中し易いことで、段部16の箇所からコ
ンロッドに亀裂が生じることがある。

しかし本発明のコンロッドボルトでは、頭部外周がテ
ーパー面であるので、取付孔13の入口孔13aは皿孔で、
段部なしのものとすることができ、入口孔部とコンロッ
ド内面間の部分の肉を厚くできて、コンロッドの強度を
高めることができる。

しかも取付孔の入口孔は第５図のように周壁13bを有
するものにでき、コンロッドの強度を一層向上せしめる
ことができる。

さらに、頭部に凹部を形成することにより全体を軽量
化でき、第２図のごとき寸法のものでは、第６図に示す
頭の従来のものよりも約15％〜17％軽くでき、これはこ
の種のコンロッドボルトについては画期的な軽量化であ
る。

しかも頭部には締め付け時の可縮径性が与えられでい
るが、この縮径性は頭部の上面に形成した凹み部と、ナ
ットの締め付け力によるものであり、またナットを使用
するので頭部にドライバー用の割溝を入れる必要はな
く、したがって割溝を入れたものと異なって頭部自体の
強度は殆ど損なわれることはなく、締結強度が実質上減
殺されることはない。

なお、軸部には位置合わせ用の縦ローレットとまわり
止め用と縦ローレットを形成してあるので、位置合わせ
用の縦ローレットにより、コンロッド本体に対してコン
ロッドキャップを適正に位置決めでき、この位置決めさ
れた状態でナットにより的確に締結することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るボルトの一例を示す平面図、 第２図は同上品の一部破断正面図、 第３図はコネクティングロッドの正面図、 第４図および第５図はボルトを取り付けた状態の各一部
拡大断面図、 第６図は従来のボルトとその取付状態を示す図である。 図中 １……ボルト、２……頭部 ３……軸部、４……頚部 ５……まわり止めローレット ６……位置合わせローレット ７……おねじ、８……頭部外周面 ９……凹み部、10……コンロッド 11……コンロッド本体 12……コンロッドキャプ 13,14……取付孔、13a……入口皿孔 13b……入口皿孔の周壁部 15……ナット

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−20057（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−220715（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−173814（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−196014（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−96421（ＪＰ，Ｕ) 実開 平２−47416（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭47−36217（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭29−11917（ＪＰ，Ｙ１) 実公 昭28−7712（ＪＰ，Ｙ１) 特公 昭49−22965（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F16B 35/00 F16B 35/06 F16C 7/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上端に頭部を、下部にナット螺合用のおね
   じ部を有する軸部に、前記頭部に続いて頚部、まわり止
   め用の縦ローレット、位置合わせ用の縦ローレットを形
   成し、かつ前記頭部の外周面を下細りのテーパー面に形
   成し、この頭部の上面に、径方向へ多少の変形力が与え
   られるように下細りのテーパー凹み部を形成してなる内
   燃機関用コンロッドボルト。