JP2851168B2 - すず・すず合金めっき材の製造方法 - Google Patents

すず・すず合金めっき材の製造方法

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JP2851168B2
JP2851168B2 JP783491A JP783491A JP2851168B2 JP 2851168 B2 JP2851168 B2 JP 2851168B2 JP 783491 A JP783491 A JP 783491A JP 783491 A JP783491 A JP 783491A JP 2851168 B2 JP2851168 B2 JP 2851168B2
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晃 松田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はすず・すず合金めっき材
の製造方法に関し、更に詳しくは、保管中に表面が変色
しないすず・すず合金めっき材を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】リン青銅や黄鋼などの銅合金を基材と
し、その表面にすずまたはすず合金をめっきして成るめ
っき材は、条材の場合は端子やコネクタとして、また線
材の場合は電子部品用のリードとして広く用いられてい
る。これらめっき材は、基材表面にすずまたはすず合金
を所定の厚みでめっきしたのち、全体を充分に水洗して
表面から使用めっき浴を洗浄除去し、乾燥してその状態
で保管される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表面を
水洗しただけのすず・すず合金めっき材は、保管中に、
その表面が黄褐色に変色してくる。このような変色が発
生しているめっき材は、その外観が悪くなるというだけ
ではなく、半田付け性が低下したりまたは接触抵抗が増
大したりして実使用の点で不都合な問題が生ずる。
【0004】したがって、保管時における上記変色を防
止するための対策が採られている。その1つとして、す
ず・すず合金のめっき後、得られためっき材をリン酸ソ
ーダの水溶液やATA−1(商品名、石原薬品社製)の
ような有機リン酸を溶解させた水溶液に浸漬して表面処
理を行なう方法がある。しかし、この方法を適用して
も、表面の変色は充分に防止し得ない。
【0005】本発明は、すず・すず合金めっき材におけ
る上記した保管時の表面変色を起こすことのないすず・
すず合金めっき材を製造する方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段・作用】本発明者は、保管
時における表面変色を引き起こす原因に関し鋭意検討を
重ねた結果、この表面変色は、すず・すず合金のめっき
後そのめっき材を水洗槽に移送したときに、表面に付着
しているめっき浴中のSn2+が水洗槽の洗浄水と反応し
てSn(OH)2 に変化してこのSn(OH)2 がめっ
き材の表面に付着し、この付着物が表面変色を加速する
との知見を得た。
【0007】したがって、このSn(OH)2 の生成を
防止すれば表面変色は起こらないとの着想の下で鋭意研
究を重ね、本発明方法を開発するに至った。すなわち、
本発明のすず・すず合金めっき材の製造方法は、基材の
表面にすずまたはすず合金のめっきを施したのち、得ら
れためっき材をカルボン酸の水溶液に浸漬することを特
徴とする。
【0008】本発明方法においては、まず常法によっ
て、基材の表面にすずまたはすず合金をめっきしてめっ
き材が製造される。ついで、このめっき材の表面が、カ
ルボン酸を溶解する水溶液で洗浄される。このカルボン
酸水溶液にめっき材を浸漬することにより、前記しため
っき材表面に付着しているSn(OH)2 が水溶性の化
合物に変化し、めっき材表面から溶解除去される。
【0009】溶解させるカルボン酸としては、カルボキ
シル基を有しかつ水溶性のものであれば何であってもよ
く、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、プロパン酸、ブタ
ン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸の1種
または2種以上をあげることができる。これらのカルボ
ン酸のうち、取扱い作業が行いやすいということから、
クエン酸、酒石酸が好適である。
【0010】水溶液におけるカルボン酸濃度は1〜10
重量%であることが好ましい。その濃度が1重量%未満
の場合は、Sn(OH)2 の溶解速度が遅くなってしま
い生産性を高めるという点で好ましくなく、また10重
量%より高濃度の場合は、コスト上昇を招くとともに、
めっき材表面に付着する使用カルボン酸水溶液の水洗除
去が行ないにくいからである。とくに好ましいカルボン
酸の濃度は2〜5重量%である。
【0011】このようにして、めっき材表面に付着して
いるSn(OH)2を溶解除去したのちに、再び水洗を
充分に行なって使用したカルボン酸水溶液をめっき材表
面から除去し、乾燥して目的とするすず・すず合金めっ
き材が製造される。
【0012】
【発明の実施例】実施例1 厚みが0.2mmの黄銅2種の条材に、アルカリ溶中でのア
ノード電解脱脂、水洗、10%硫酸による酸洗、水洗の
各処理を順次施したのち、その表面に下記のめっき条件
で厚み0.7μmの銅下地めっき層を形成した。
【0013】硫酸銅五水塩:130g/l、硫酸:10
0g/l、浴温:室温、電流密度:5A/dm2 ついで、表面を充分に水洗したのち、下記のめっき条件
で厚み1.2μmの光沢すずめっき層を形成した。 硫酸第1すず:30g/l、硫酸:150g/l、光沢
剤(ケトン系):25ml/l、浴温:15℃、電流密
度;3A/dm2 その後、得られたすずめっき条材をクエン酸濃度が1重
量%である水溶液(液温:40℃)に30秒間浸漬した
のち取出し、その表面を充分に水洗した。
【0014】実施例2 カルボン酸の水溶液が酒石酸を8重量%溶解するもので
あったことを除いては、実施例1と同様にしてすずめっ
き条材を製造した。 実施例3 カルボン酸の水溶液がクエン酸を3重量%溶解するもの
であったことを除いては、実施例1と同様にしてすずめ
っき条材を製造した。
【0015】比較例1 光沢すずめっき後、カルボン酸の水溶液による処理を行
なわなかったことを除いては、実施例1と同様にしてす
ずめっき条材を製造した。 比較例2 クエン酸の水溶液に代えてリン酸ソーダ3重量%を溶解
させた水溶液を使用したことを除いては、実施例1と同
様にしてすずめっき条材を製造した。
【0016】実施例4 条材がリン青銅(Cu−8%Sn−0.15%P)であっ
たこと、光沢すずめっきに代えて下記条件の9/1半田
めっきを行なったことを除いては、実施例3と同様にし
てすず合金めっき材を製造した。 S2+:18g/l、Pb2+:2g/l、遊離アルカノー
ルスルホン酸:100g/l、ホルマリン(37%):
10ml/l、光沢剤(商品名:UTB No2.石原薬
品社製):20ml/l、分散剤(商品名:UTB No
1.石原薬品社製):10g/l、浴温:16℃、電流
密度:2A/dm2 比較例3 クエン酸の水溶液に代えて、リン酸ソーダ3重量%を溶
解する水溶液を使用したことを除いては、実施例4と同
様にしてすず合金めっき材を製造した。
【0017】比較例4 クエン酸の濃度が0.1重量%である水溶液を用いたこと
を除いては、実施例4と同様にしてすず合金めっき材を
製造した。以上8種類のめっき材を、温度50℃、相対
密度95%の恒温恒湿槽の中に3ヶ月間放置し、表面変
色の程度を観察した。その結果を表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明方
法によれば、すずまたはすず合金をめっきしたのちの水
洗の過程で生成して表面変色を加速するSn(OH)2
がカルボン酸の水溶液によって溶解除去されるので、め
っき材の保管時における表面変色が有効に防止される。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面にすずまたはすず合金のめっ
    きを施したのち、得られためっき材をカルボン酸の水溶
    液に浸漬することを特徴とするすず・すず合金めっき材
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 カルボン酸がクエン酸または酒石酸であ
    り、かつその濃度が1〜10重量%である請求項1に記
    載のすず・すず合金めっき材の製造方法。
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