JP2850687B2 - 新規なビタミンd2類縁体 - Google Patents

新規なビタミンd2類縁体

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JP2850687B2
JP2850687B2 JP5016193A JP1619393A JP2850687B2 JP 2850687 B2 JP2850687 B2 JP 2850687B2 JP 5016193 A JP5016193 A JP 5016193A JP 1619393 A JP1619393 A JP 1619393A JP 2850687 B2 JP2850687 B2 JP 2850687B2
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訓司 大石
義郎 小林
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体内カルシウムの調節
作用および腫瘍細胞の分化誘導作用などの優れた薬理作
用を有する新規な含フッ素ビタミンD2類縁体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ビタミンD3の生体内代謝産物であり、
活性型ビタミンD3として知られている1α,25−ジヒ
ドロキシビタミンD3が、腸からのカルシウム吸収促進
作用を有し、骨病変等の治療薬として有効であることが
知られている。また、最近、この活性型ビタミンD3
よびその類縁体に、癌化した細胞を正常細胞に戻す分化
誘導作用(田中弘文ら:生化学55巻,1323ページ,1
983年)が見出され、実際にこれらのうちの一部のも
のに癌の進行を阻止する作用(K.W.Colton,et.al.,
ancet,Jan. 28,188頁,1989年)が認められて
いる。しかし、活性型ビタミンD類はカルシウム代謝に
対して強力な作用を有することがよく知られており、高
カルシウム血症を起こすので、高用量で使用することは
できない。従って、このような化合物は、例えば、白血
病の治療のような、薬物を比較的高用量で連続投与する
ことが必要である治療において薬物として使用するには
完全に満足できるものではない。一方、腸内カルシウム
吸収を促進し、かつ、骨カルシウム流出作用を抑えた1
α−ヒドロキシ−24−エピビタミンD2誘導体(特表平
3−504508号)が合成され、これらは腸内カルシ
ウム移送の特定の刺激が所望される場合、例えば骨の質
量の損失により特徴づけられる骨粗鬆症のような病気の
治療薬として有用である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】優れた生体内カルシウ
ム調節作用および腫瘍細胞の分化誘導作用を有すると共
に、生体内のカルシウム代謝における優れた作用選択
性、すなわち高い腸内カルシウム吸収の促進作用を示す
一方骨からの望ましくないカルシウム流出などの副作用
の低いビタミンD化合物の開発が望まれる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高い薬理
作用を示す一方副作用の低い新規ビタミンD化合物を見
い出すべく研究を重ねた結果、下記一般式で示される含
フッ素ビタミンD2類縁体が所望の特性を有することを
知り、本発明を完成した。本発明で提供される新規ビタ
ミンD2類縁体は、一般式:
【化2】 (ただし、式中R1およびR2はそれぞれ水素原子または
水酸基の保護基である)で表される。ここで、水酸基の
保護基としては、メトキシメチル、エトキシエチル、メ
トキシエトキシメチル、テトラヒドロピラニル等のアセ
タール系の保護基、トリメチルシリル基、t−ブチルジ
メチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等のシ
リルエーテル系の保護基、およびアセチル等のアシル基
が挙げられる。
【0005】前記一般式[I]で表される化合物の具体例
としては、26,26,26,27,27,27−ヘキサフ
ルオロ−1α,25−ジヒドロキシ−24−エピ−ビタ
ミンD2(化合物A) 26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1
α,25−ジヒドロキシビタミンD2(化合物B) 化合物Aの1α,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)
エーテル(化合物C) 化合物Bの1α,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)
エーテル(化合物D) 化合物Aの1α,3−ビス(トリメチルシリル)エーテル 化合物Bの1α,3−ビス(トリメチルシリル)エーテル 化合物Aの1α,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリ
ル)エーテル 化合物Bの1α,3−ビス(t−ブチルジフェニルシリ
ル)エーテル を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。
【0006】本発明化合物[I]は種々の方法で製造しう
るが、その最良の方法の一例を以下に示す。 即ち、一般式[II]:
【化3】 で表されるケトン体と、 一般式[III]:
【化4】 (ただし、式中、R3およびR4は水酸基の保護基であ
り、Phはフェニルを意味する)で表されるホスフィン
オキシドから誘導されるアニオンとをカップリング反応
に供し、必要に応じて脱保護することによって得られ
る。ホスフィンオキシドのアニオンへの誘導は塩基の存
在で達せられ、用いられる塩基としてはn−ブチルリチ
ウム等のアルキルリチウムが好ましい。
【0007】化合物[II]と化合物[III]の上記カッ
プリング反応は、低温、例えば−100℃〜−50℃、
好ましくは−80℃〜−20℃で、不活性雰囲気下(例
えばアルゴン雰囲気下)にて、エーテル系溶媒(例えばジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)など)中
で10分〜24時間、好ましくは30分〜2時間行う。
得られる生成物[I]をシリカゲルクロマトグラフィーな
どの公知の方法によって精製することができる。化合物
[I]からの水酸基の脱保護は公知の方法で行うことがで
きる。
【0008】一般式[III]における水酸基の保護基R
3およびR4はt−ブチルジメチルシリル基等のシリル系
保護基が好ましい。上記カップリング反応に使用される
出発化合物[III]の製造法は、バギオリニら(E.G.
Baggiolini et al.), J.Am.Chem.Soc., 104
巻、2945頁、1982年および特開平2−2508
44号等に開示されている。一方、もう一つの出発物質
[II]は下記の反応工程で製造することができる。
【化5】 (ただし、式中R5、R6およびR7はそれぞれ水酸基の保
護基である)
【0009】上記反応工程に従って、出発物質[II]
を製造することができる。まず、ケトン化合物(1)をヘ
キサフルオロアセトンと反応させて化合物(2)を得、該
化合物(2)を還元して得られる化合物(3)の水酸基を通
常の方法を用いて水酸基の保護基で保護する。得られる
化合物(4)から水酸基の保護基R5を除去し、次いでア
ルコール化合物(5)を対応アリールスルホニル化合物
(6)に変換し、該化合物(6)を化合物(7)と反応させ
る。得られる化合物(8)をナトリウムアマルガムで処理
し、化合物(9)を得る。化合物(9)から水酸基の保護基
6を除去して化合物(10)を得、最後に化合物(10)
を酸化する。上記反応工程の詳細な反応条件は後記参考
例1〜11に記載する。
【0010】
【実施例】以下、実施例、参考例、試験例により本発明
を具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるも
のではない。また、実施例、参考例、試験例に挙げる各
化合物には番号が付けられるが、この番号は前記反応工
程において各化合物に付した化合物番号がそのまま対応
している。実施例1 化合物[II]と化合物[III]のヴィッティッヒ反応に
よる26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ
−1α,25−ジヒドロキシ−24−エピ−ビタミンD2
(化合物A)の1α,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)
エーテルの製造: R3およびR4がt−ブチルジメチルシリルである化合物
[III](26.3mg)の無水テトラヒドロフラン溶液
(0.5ml)にn−ブチルリチウム(18μl,2.39M,ヘ
キサン溶液)を−78℃で滴下し、反応混合液を10分
間撹拌する。この溶液に化合物[II](1.73mg)の無
水テトラヒドロフラン溶液(0.5ml)を一度に加え、3
0分間撹拌する。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水
溶液を加え、該溶液を室温に昇温し、エーテルで抽出す
る。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラムクロマト
グラフィー(SiO2、溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル
=40:1)で精製し、標記化合物(1.20mg、収率36
%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.06(6H,s),0.07(6
H,s),0.56(3H,s),0.87(9H,s),0.88(9
H,s),1.06(3H,d,J=6.7Hz),1.22−2.2
2(18H,m),2.42−2.43(1H,m),2.75−2.
80(2H,m),3.02(1H,s),4.18−4.38(1
H,m),4.36−4.38(1H,m),4.85(1H,d,J=
2.6Hz),5.18(1H,d,J=2.6Hz),5.28−
5.34(1H,m),5.57(1H,dd,J=15.3,9.0
Hz),6.01(1H,d,J=11.3Hz),6.22(1H,
d,J=11.3Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−74.79(3F,q,J=
9.3Hz),−72.01(3F,q,J=9.3Hz)。
【0011】実施例2 脱シリル保護基による化合物Aの製造:実施例1で得た
化合物Aの1α,3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)エ
ーテル(1.11mg)の無水テトラヒドロフラン(0.5ml)
溶液に、テトラ(n−ブチル)アンモニウムフルオリドの
テトラヒドロフラン溶液(1.0M、30μl)を室温で加
え、混合物を室温で12時間撹拌し、次いで再びテトラ
(n−ブチル)アンモニウムフルオリドのテトラヒドロフ
ラン溶液(30μl)を加え、7時間撹拌する。反応混合
液を塩化メチレンで希釈し、飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラ
ムクロマトグラフィー(SiO2、溶離液;n−ヘキサン:
酢酸エチル=1:2)で分離し、標記化合物A(0.9mg、
収率100%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.58(3H,s),0.88−
0.91(3H,m),1.19(3H,d,J=6.9Hz),1.2
0−1.80(10H,m),1.89(2H,t,J=5.6H
z),1.98−2.10(4H,m),2.26(1H,dd,J=1
3.5,6.8Hz),2.51(1H,dd,J=13.5,3.5
Hz),2.74(1H,m),2.86(1H,dd,J=12.5,
4.0Hz),2.68−2.90(1H,brds),3.00−3.
10(1H,brds),4.10−4.15(1H,m),4.35
(1H,t,J=5.5Hz),4.35(1H,t,J=5.5H
z),4.90(1H,s),5.29(1H,s),5.40−5.4
1(2H,m),6.08(1H,d,J=11.0Hz),6.32
(1H,d,J=11.0Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−72.60(3F,q,J=
9.0Hz),−71.15(3F,q,J=9.0Hz)。
【0012】参考例1 化合物(1)のヘキサフルオロアセトン処理による化合物
(2)の製造:化合物(1)(776mg)の無水塩化メチレン
溶液(5ml)にジブチルボリルトリフルオロメタンスルホ
ネート(1.32g)を−78℃にて1分間かけて滴下す
る。10分間撹拌後、トリエチルアミン(760μl)を
5分間で滴下し、反応混合液を−78℃で30分間、0
℃に昇温して1時間撹拌する。反応液を−78℃に再冷
却し、ヘキサフルオロアセトン(1.5ml)で処理し、次
いで−78℃で45分間、0℃に昇温して1時間撹拌す
る。反応混合液にリン酸緩衝液(5.0ml、pH7.0)、
メタノール(10ml)を加え0℃に冷却し、30%過酸化
水素水(5ml)とメタノール(25ml)の混合液で処理し、
1晩撹拌する。有機溶媒を減圧留去後、塩化メチレンで
抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラムクロマトグ
ラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:エーテル=1:
1)で精製し、所望の化合物(2)(1.18g、収率80
%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.88(3H,d,J=7.0H
z),0.94(3H,d,J=7.0Hz),1.44(3H,dq,J
=2.0,7.0Hz),2.25−2.45(2H,m),2.90
−3.00(1H,m),4.20−4.33(2H,m),4.34
−4.48(1H,m),4.74(1H,q,J=7.0Hz),6.
56(1H,s)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−76.16(3F,q,J=1
1.6Hz),−73.29(3F,q,J=11.6Hz)。
【0013】参考例2 化合物(2)の還元による化合物(3)の製造: 化合物(2)(1.12g)の無水テトラヒドロフラン溶液
(10ml)に水素化ホウ素リチウム(350mg)を5回に分
けて加え、混合液を3.5時間撹拌する。過剰な水素化
ホウ素リチウムをリン酸緩衝液で分解した後、反応混合
液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、次いで塩化メ
チレンで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水
硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラ
ムクロマトグラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:エ
ーテル=1:1)で精製し、所望の化合物(3)(464m
g、収率64%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.12(3H,d,J=7.3H
z),2.27(1H,s),2.48−2.70(1H,m),3.8
7(1H,dd,J=11.0,4.1Hz),4.10(1H,dd,
J=11.0,11.0Hz),6.21(1H,s)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−76.59(3F,q,J=1
0.0Hz),−72.34(3F,q,J=10.0Hz)。
【0014】参考例3 化合物(3)の水酸基をt−ブチルジメチルシリルおよび
メトキシメチルでそれぞれ保護することによる、R5
t−ブチルジメチルシリルであり、R6がメトキシメチ
ルである化合物(4)の製造:化合物(3)(444mg)の無
水塩化メチレン溶液(5ml)にイミダゾール(441mg)、
t−ブチルジメチルシリルクロリド(370mg)を順に加
え、混合液を室温で1時間撹拌する。塩化メチレンで希
釈した後、反応混合液を飽和塩化アンモニウム水溶液、
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥す
る。溶媒留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(Si
2,溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製
し、シリル体(すなわち、R5がt−ブチルジメチルシ
リルであり、R6がメトキシメチルである化合物(4))
(564mg、収率85%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.12(6H,s),0.91(9
H,s),1.08(3H,d,J=7.1Hz),2.43−2.6
2(1H,m),3.75(1H,dd,J=10.4,4.4Hz),
3.97(1H,dd,J=10.4,10.7Hz),6.74(1
H,s)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−76.62(3F,q,J=1
0.0Hz),−72.24(3F,q,J=10.0Hz)。
【0015】上記で得たシリル体(414mg)の無水塩化
メチレン溶液(0.4ml)にクロロメチルメチルエーテル
(0.5ml)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2ml)
を加え、混合液を室温で30時間撹拌する。該混合液に
メタノール(0.5ml)を加え、過剰のクロロメチルメチ
ルエーテルを分解した後に、飽和塩化アンモニウム水溶
液を加え、エーテルで抽出する。有機層を飽和食塩水で
洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。残渣をカラ
ムクロマトグラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:酢
酸エチル=40:1)で精製し、所望の化合物(4)(34
6mg、収率74%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.06(6H,s),0.89(9
H,s),1.23(3H,d,J=7.0Hz),2.36−2.5
4(1H,m),3.40−3.51(1H,m),3.48(3H,
s),3.93(1H,dd,J=10.0,4.5Hz),4.93
(1H,d,J=11.0Hz),4.96(1H,d,J=11.0
Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−69.4(6F,s)。
【0016】参考例4 化合物(4)の脱シリル保護基によるR6がメトキシメチ
ルである化合物(5)の製造:前記参考例3で得た化合物
(4)(340g)の無水テトラヒドロフラン溶液(2.5ml)
にテトラ(n−ブチル)アンモニウムフルオリドのテトラ
ヒドロフラン溶液(1.5ml、1.0M)を加え、反応混合
液を室温で1時間撹拌する。反応混合液を塩化メチレン
で希釈した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラムクロマトグ
ラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=1
0:1)で精製し、所望の化合物(5)(260mg、収率1
00%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.27(3H,d,J=7.1H
z),1.50−1.80(2H,m),2.32−2.60(1H,
m),3.50(3H,s),3.48−3.59(1H,m),3.9
5−4.07(1H,m),4.93(1H,d,J=6.6Hz),
5.03(1H,d,J=6.6Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−69.44(6F,s)。
【0017】参考例5 化合物(5)のトシル化:参考例4で得た化合物(5)(2
60mg)のピリジン溶液(0.4ml)に塩化p−トルエンス
ルホン酸(286mg)と触媒量のN,N−ジメチルアミノ
ピリジンを加え、混合液を室温で12時間撹拌する。さ
らに塩化p−トルエンスルホン酸(72mg)を加えて1時
間撹拌する。混合液に水(1ml)を加え、30分間撹拌す
る。反応混合液を塩化メチレンで希釈した後、飽和塩化
アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラム
クロマトグラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:酢酸
エチル=10:1)で精製し、所望トシル化合物(325m
g、収率80%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.22(3H,d,J=6.5H
z),2.46(3H,s),2.55−2.78(1H,m),3.3
9(3H,s),3.83−3.93(1H,m),4.38(1H,d
d,J=10.0,2.8Hz),4.86(1H,d,J=6.4H
z),4.94(1H,d,J=6.4Hz),7.30−7.40
(2H,m),7.75−7.83(2H,m)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−69.51(3F,q,J=
9.8Hz),−69.24(3F,d,J=9.8Hz)。
【0018】参考例6 参考例(5)の化合物からのスルフィド化合物の製造:6
0%水素化ナトリウム(44mg)をn−ペンタンで数回洗
浄し、無水テトラヒドロフラン(1ml)に懸濁し、チオフ
ェノール(120μl)のN,N−ジメチルホルムアミド溶
液(1ml)を0℃にて滴下する。10分撹拌後、トシル化
合物(322mg)の無水テトラヒドロフラン(1ml)および
N,N−ジメチルホルムアミド(1ml)混合溶液を滴下
し、混合液を10時間撹拌する。反応混合液に飽和塩化
アンモニウム水溶液を加え、混合液をエーテルで抽出す
る。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥する。溶媒留去後、残渣をカラムクロマト
グラフィー(SiO2,溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=
50:1)で精製し、所望スルフィド化合物(229mg、
収率83%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.34(3H,d,J=6.6H
z),2.35−2.55(1H,m),2.67(1H,t,J=1
2.2Hz),3.42(3H,s),3.48(1H,d,J=12.
2Hz),4.79(2H,s),7.27−7.39(5H,m)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−69.00(3F,q,J=
9.8Hz),−68.27(3F,d,J=9.8Hz)。
【0019】参考例7 参考例6で得た化合物をm−クロロ過安息香酸で処理す
ることによるR6がメトキシメチルである化合物(6)の
製造:参考例6で得たスルフィド化合物(224mg)の無
水塩化メチレン溶液(3.5ml)を0℃に冷却し、m−ク
ロロ過安息香酸(500mg)を加える。6℃で6時間撹拌
後、反応混合液をエーテルで希釈し、飽和亜硫酸水素ナ
トリウム水溶液、5%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食
塩水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。
溶媒留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2,
溶離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、所
望の化合物(6)(53.7mg、収率22%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:1.44(3H,d,J=6.0H
z),2.96−3.20(2H,m),3.42(3H,s),3.6
2(1H,d,J=11.0Hz),4.89(1H,d,J=12.
0Hz),4.94(1H,d,J=12.0Hz),7.55−7.
74(3H,m),7.91−7.98(2H,m)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−68.92(6F,s)。
【0020】参考例8 化合物(6)と化合物(7)を反応させることによるR6
メトキシメチルであり、R7がt−ブチルジメチルシリ
ルである化合物(8)の製造:ジイソプロピルアミン(7
0μl)の無水テトラヒドロフラン溶液(1.5ml)にn−ブ
チルリチウム(180μl、2.5Mヘキサン溶液)を0℃
にて滴下し、その混合液を30分間撹拌する。反応混合
液を−78℃に冷却し、参考例7で得た化合物(6)(7
9.6mg)の無水テトラヒドロフラン溶液(2ml)を滴下
し、20分間撹拌する。混合液に別途調製した臭化マグ
ネシウム[マグネシウム(50.8mg)を無水エーテル(1.
5ml)に浸し、1,2−ジブロモエタン(180μl)をゆ
っくり滴下し、室温で1時間撹拌したもの]を加える。
混合液を30分間撹拌した後、R7がt−ブチルジメチ
ルシリルである化合物(7)(200mg)の無水テトラヒド
ロフラン溶液(2ml)を滴下し、2時間撹拌しながら0℃
に昇温する。反応混合液を水−エーテル混合液にあけ、
エーテル層を分離する。エーテル層を0.5N塩酸水溶
液、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順に洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶媒留去後、
残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2,溶離液;n−
ヘキサン:酢酸エチル=9:1)で精製し、所望の化合物
(8)(20.3mg、収率14%)を得る。 主要生成物:19F−NMR(CDCl3)δ:−69.48
(3F,q,J=9.5Hz),−65.32(3F,q,J=9.5
Hz)。
【0021】参考例9 化合物(8)をナトリウムアマルガムで処理することによ
るR6がメトキシメチルであり、R7がt−ブチルジメチ
ルシリルである化合物(9)の製造:参考例8で得た化合
物(8)(19.7mg)の無水テトラヒドロフラン(1ml)と
メタノール(0.3ml)の混合溶液にリン酸水素二ナトリ
ウム(150mg)を懸濁させ、5%ナトリウムアマルガム
(総量750mg)を0℃にて3回に分けて加え、混合物を
3時間撹拌する。反応混合液をエーテルで希釈した後、
不溶物をセライトパッドで濾過する。濾液を減圧濃縮
後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2,溶離液;
n−ヘキサン:酢酸エチル=40:1)で精製し、所望の化
合物(9)(5.0mg、収率32%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.005(3H,s),0.01
(3H,s),0.81−0.86(3H,m),0.88(9H,s),
0.94(3H,d,J=6.8Hz),1.05−2.10(16
H,m),1.20−1.25(3H,m),2.86−3.09(3
H,m),3.48(3H,s),3.95−4.05(1H,m),4.
91(1H,d,J=6.4Hz),5.02(1H,d,J=6.4
Hz),5.35−5.46(2H,m)。
【0022】参考例10 化合物(9)の脱保護による化合物(10)の製造:参考例
9で得た化合物(9)(4.4mg)の1,4−ジオキサン溶液
(0.6ml)に0.5N塩酸水溶液(0.6ml)を加え、混合
液を60℃で12時間撹拌する。反応混合液を塩化メチ
レンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、飽和食塩
水の順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。溶
媒留去後、残渣をカラムクロマトグラフィー(SiO2,溶
離液;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、所
望の化合物(10)(1.22mg、収率39%)及び低極性
物質(1.83mg)を得る。低極性物質を同様の処理を繰
り返し、合計1.73mg(収率56%)の所望の化合物を
得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.96(3H,s),1.03(3
H,d,J=6.6Hz),1.27(3H,d,J=7.0Hz),
1.18−2.21(14H,m),2.70−2.89(1H,
m),3.04(1H,s),4.04−4.12(1H,m),5.2
4−5.37(1H,m),5.56(1H,dd,J=15.2,
8.8Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−74.75(3F,q,J=
9.7Hz),−72.01(3F,q,J=9.7Hz)。
【0023】参考例11 化合物(10)の酸化による化合物[II]の製造:参考例
10で得た化合物(10)(1.62mg)の無水塩化メチレ
ン溶液(0.5ml)を0℃に冷却し、ピリジニウムクロロ
クロメート(5.0mg)の無水塩化メチレン懸濁液(0.5m
l)を滴下する。反応混合液を室温に昇温し、2時間撹拌
する。反応混合液をセライトパッドで濾過し、濾液を減
圧濃縮する。残渣をフロリジル(n−ヘキサン:酢酸エチ
ル=2:1)で精製し、化合物[II](1.73mg、収率1
00%)を得る。1 H−NMR(CDCl3)δ:0.66(3H,s),1.09(3
H,d,J=6.7Hz),1.20−1.34(3H,m),1.2
0−2.30(12H,m),2.43(1H,dd,J=11.0,
8.0Hz),2.72−2.86(1H,m),2.95(1H,
s),5.25−5.44(1H,m),5.58(1H,dd,J=1
4.6,8.6Hz)。19 F−NMR(CDCl3)δ:−74.53(3F,q,J=
9.8Hz),−72.23(3F,q,J=9.8Hz)。
【0024】試験例 細胞分化誘導作用 試験方法 10%コウシ血清を添加したRPMI1640培地中の
ヒト骨髄白血病細胞(U937細胞、1×105細胞/m
l)の懸濁液(180μl)を組織培養用96穴プレートに
接種し、1×10-7M〜1×10-10Mの試験化合物(対
照化合物が1α,25−ジヒドロキシビタミンD3、およ
び下記の本発明ビタミンD2類縁体)を添加し(20μl/
穴、n=3)、炭酸ガス培養器内(37℃、5%炭酸ガス
−95%空気)にて3日間培養する。培養後、ピペット
を用いて各穴から上清(100μl)を廃棄し、次いでN
BT(ニトロブルー・テトラゾリウム)溶液(100μl/
穴)を添加し、培養プレートを上記と同条件で培養す
る。40分間培養後、試験化合物中の黒色細粒を含有す
る分化細胞(NBT陽性細胞)の数を計数し、全細胞数に
対するNBT陽性細胞数の百分率を求める。各穴におい
て200以上の細胞を調査する。
【0025】試験化合物 1.1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(対照化合物) 2.26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−
1α,25−ジヒドロキシ−24−エピ−ビタミンD
2(本発明化合物A) 3.26,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−
1α,25−ジヒドロキシビタミンD2(本発明化合物B)
【0026】試験結果
【表1】 試験化合物 濃度(M) NBT陽性細胞(%) 1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 10-7 94±4 10-8 77±10 10-9 17±3 10-10 1±0 化合物A 10-7 93±4 10-8 74±8 10-9 13±2 10-10 1±0 化合物B 10-7 96±5 10-8 92±5 10-9 61±15 10-10 3±0
【0027】上記表1のデータから、NBT陽性細胞数
が50%を示す(細胞分化誘導作用)ための試験化合物の
濃度を計算する。その結果、対照化合物(1α,25−ジ
ヒドロキシビタミンD3)では3.4×10-9、本発明化
合物AおよびBではそれぞれ4.0×10-9および6.8
×10-10となる。これらの結果から明らかなように、
本発明化合物は公知の1α,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3と同程度かあるいはそれ以上の細胞分化誘導作用
を示す。特に、化合物Bの場合、公知の1α,25−ジ
ヒドロキシビタミンD3の1/5の濃度で50%細胞分
化誘導作用を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田口 武夫 東京都八王子市南大沢3−14−8−103 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 401/00 A61K 31/59 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[I]: 【化1】 (ただし、式中R1およびR2はそれぞれ水素原子または
    水酸基の保護基である)で表されるビタミンD2類縁体。
  2. 【請求項2】 水酸基の保護基がメトキシメチル、エト
    キシエチル、メトキシエトキシメチル、テトラヒドロピ
    ラニル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリ
    ル、t−ブチルジフェニルシリルおよびアセチルからな
    る群から選ばれる請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 26,26,26,27,27,27−ヘキ
    サフルオロ−1α,25−ジヒドロキシ−24−エピ−
    ビタミンD2;26,26,26,27,27,27−ヘキサ
    フルオロ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD2;2
    6,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,
    25−ジヒドロキシ−24−エピ−ビタミンD2の1α,
    3−ビス(t−ブチルジメチルシリル)エーテル;26,
    26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,2
    5−ジヒドロキシビタミンD2の1α,3−ビス(t−ブ
    チルジメチルシリル)エーテル;26,26,26,27,
    27,27−ヘキサフルオロ−1α,25−ジヒドロキシ
    −24−エピ−ビタミンD2の1α,3−ビス(トリメチ
    ルシリル)エーテル;26,26,26,27,27,27−
    ヘキサフルオロ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD2
    の1α,3−ビス(トリメチルシリル)エーテル;26,2
    6,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,25
    −ジヒドロキシ−24−エピ−ビタミンD2の1α,3−
    ビス(t−ブチルジフェニルシリル)エーテル;および2
    6,26,26,27,27,27−ヘキサフルオロ−1α,
    25−ジヒドロキシビタミンD2の1α,3−ビス(t−
    ブチルジフェニルシリル)エーテルから選ばれる請求項
    1記載の化合物。
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