JP2847267B2 - 蓄熱材組成物 - Google Patents

蓄熱材組成物

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JP2847267B2 JP3222035A JP22203591A JP2847267B2 JP 2847267 B2 JP2847267 B2 JP 2847267B2 JP 3222035 A JP3222035 A JP 3222035A JP 22203591 A JP22203591 A JP 22203591A JP 2847267 B2 JP2847267 B2 JP 2847267B2
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俊徳 藤田
千秋 百瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は蓄熱材組成物に関しさら
に詳しくは床暖房を対象とする蓄熱材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来蓄熱材特に安価な深夜電力を熱源と
する畜熱式床暖房の蓄熱材組成物としては(イ)顕熱を
利用するコンクリート蓄熱材、(ロ)潜熱を利用する硫
酸ナトリウム水和物(Na2SO4・10H2O)、塩化
カルシウム水和物(CaCl2・6H2O)のような無機
系蓄熱材、および(ハ)潜熱を利用するパラフィン系蓄
熱材が従来から知られており現在実用されつつある。
【0003】上記(イ)の蓄熱材は安価であるが、顕熱
を利用するものであるため畜熱量が少なく効率が悪いと
いう欠点がある。(ロ)は本発明者の実証試験によれば
畜熱温度が30〜32℃であるため、寒冷地では室温が
9〜10℃とあまり上昇せず、寒すぎるという欠点があ
ることが判明した。また(ハ)の蓄熱材として115F
パラフィン(畜熱温度約47℃)を用いた実証試験で
は、室温が25〜26℃にも上昇することがあって熱く
感じるという結果を得た。さらに本発明者の引き続く実
験によれば、人間にとって快適と感じる室温は19〜2
3℃程度であり、室温を19〜23℃にコントロールす
るには、建物の構造を考慮すると畜熱温度が33〜43
℃好ましくは35〜42℃の蓄熱材を用いる必要がある
ことも判明した。
【0004】このような状況を基にしてかかる潜熱型蓄
熱材としては、融点が33〜43℃好ましくは35〜4
2℃程度の各種パラフィンワックス、ロウ、脂肪酸、ア
ルコール類およびこれらの誘導体等が考えられる。しか
しながらパラフィンワックスおよびロウは約50℃の温
度を境として、それ以下の温度の物は分子量をそろえて
精製する必要があるが、これが非常に難しく、そのため
高価になる傾向が避けられない。
【0005】またポリエチレングリコール等の高級アル
コール類は化学的合成品であるため高価になって、実用
化が難しいという問題がある。このパラフィンワックス
を使ってさらに脂肪酸を混和し融点を調整するという手
段は、特公昭56−16089号、あるいは高級アルコ
ールを混和して同じく融点を調整する手段は、特公昭5
5−116786号に開示されているが、これらの組成
物でも床暖房に適した温度を提供するには融解温度が高
くなる欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来の安価な約50℃の融解温度を有する
パラフィンワックスを使用して、比較的床暖房に適した
融解温度を有する蓄熱材を新たに開発することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この課題はパラフィンワ
ックスに、炭素数10以上の脂肪酸または(および)高
級アルコールを配合し、さらに第3成分として約20〜
35℃の低温融解温度のアルキル置換脂肪酸エステルを
少量配合することによって解決される。
【0008】さらに詳しく述べれば約50℃の融解温度
を有するパラフィンワックスを使用しながら、約30〜
60℃という比較的高温の融解温度を有する脂肪酸また
は(および)高級アルコールを配合すると共に、さらに
上記脂肪酸エステルを少量配合することによって、組成
全体の新たな融解温度、凝固温度を一段と低下せしめる
ものである。
【0009】
【発明の構成並びに作用】本発明においては上記3成分
を配合した組成物を蓄熱材就中床暖房用蓄熱材として使
用することを基本としている。そして上記パラフィンワ
ックス、上記脂肪酸または(および)高級アルコール
に、新たに上記脂肪酸エステルを配合するものである。
この際この脂肪酸エステルを約50℃のパラフィンワッ
クスに単に10〜50重量%配合すると、50℃より少
し低い温度から該脂肪酸エステル自体の融解温度にかけ
て広い(ブロードな)融解ピークを示すことが大きな特
徴であり、この特徴をうまく利用したのが本発明であ
る。例えば融解温度20℃のものを約50℃のパラフィ
ンワックスに対して40重量%混和すると、40℃から
20℃にかけて大きなブロードな結晶化ピークがみられ
る。ところが上記脂肪酸エステルにかえて融解温度20
℃の脂肪酸を使用すると、パラフィンワックスとの融解
温度差が約20℃程度離れているため、共晶状態になら
ずにピークが2つに分離してしまい1つの組成物として
取り扱うことができない。
【0010】本発明において使用するパラフィンワック
スとしては、融解温度が常温〜90℃のものが使用でき
るが、人間に快適な温度に近い30〜55℃のもの、特
に40〜50℃のものが良い。具体例としては例えば1
15°Fパラフィン、1号ソフトパラフィン、125°
Fパラフィン等およびこれらの2種以上の混合物を例示
できる。
【0011】本発明において使用する脂肪酸は炭素数1
0以上好ましくは14〜20、特に好ましくは40〜5
0℃のパラフィンワックスに適合するものが良い。炭素
数10未満では熱的に不安定で揮発しやすかったり、臭
気がでたりする傾向がある。また逆に炭素数が22より
大きくなると、40乃至50℃のパラフィンワックスに
は適合しにくくなるのであまり望ましくない。この脂肪
酸の具体例としては例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等およびこれ
らの2種以上の混合を例示できる。特に分子量が高目の
ミリスチン酸、パルミチン酸が良い。
【0012】本発明において使用する高級アルコールに
ついても上記脂肪酸と同じような理由によりその炭素数
の限定理由がある。具体例としてはカプリルアルコー
ル、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パル
ミチルアルコール、ステアリルアルコールおよびこれら
の2種以上の混合物を例示できる。
【0013】本発明において使用するアルキル置換脂肪
酸エステルは、炭素数(全体の)14〜20程度が好ま
しい。炭素数14未満では常温で液体になりやすく、ま
た20より大きくなると所望する融解温度を得るにはそ
れ自体の融解温度が高くなって好ましくない。尚、ここ
でアルキルとはメチル、エチル、ブチル等であり、イソ
ブチル等の異性体も含む。アルキルの分子量が小さかっ
たり、分子構造的に立体障害を作って融解温度が小さく
なったものが特に好ましい。また既に述べたように本発
明の組成物の融解温度は、混和するアルキル置換脂肪酸
エステル自体の融解温度に接近する性質があるので、2
0〜30℃ぐらいのものが好ましい。このエステルの具
体例としては例えばパルミチン酸メチル、ステアリン酸
メチル、ステアリン酸ブチル等およびこれらの2種以上
の混合物を例示できる。
【0014】これら各成分の配合割合は、パラフィンワ
ックスが30〜70重量%、好ましくは35〜60重量
%、脂肪酸または(および)高級アルコールは、10〜
70重量%好ましくは30〜50重量%であり、アルキ
ル置換脂肪酸エステルの配合割合は、5〜30重量%、
好ましくは10〜20重量%である。これらの配合割合
は共晶化物すなわち1つの融解温度とするのに必要であ
り、また畜熱、放熱の熱量を高め出来るだけ蓄熱材の性
能を良くするために必要である。アルキル置換脂肪酸エ
ステルはパラフィンワックスや脂肪酸にくらべると熱量
が小さい傾向があり、ある混和量以上では融解温度を下
げる効果が低下するため多量の混和は有効ではない。
【0015】本発明においては必要に応じ次のような各
成分を融解混合あるいは添加して、さらに別の機能を付
与することが出来る。すなわちエチレン系重合体、フェ
ノール、アミン系等の各種酸化防止剤、シリカ等の増粘
剤、シラン等のカップリング剤等である。
【0016】上記エチレン系重合体としては炭素数4、
6、8等の直鎖状の低密度、中密度、高密度エチレン重
合体が例示出来、さらに詳しくは、例えばエチレン・エ
チルアクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸共重合
体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸
ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリル酸・無水マ
レイン酸3元共重合体、エチレン・エチルアクリル酸・
無水マレイン酸グラフト共重合体、スチレン・エチレン
・ブチレン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン
共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体
等を例示出来る。また難燃剤としては水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム等の金属水和物、また赤リン、
スミセーフPM(住友化学社製)等の有機リン系化合物
等を例示出来る。
【0017】本発明において、蓄熱温度、すなわち、融
解温度はJIS K 7121により示差走査熱量測定
(DSC)により得た融解ピーク温度であり、蓄熱量
は、JIS K 7122により、DSC装置を用い、
転位熱測定によって求めるものである。
【0018】
【実施例】以下に本発明の実施例ならびに比較例を示し
て本発明の特徴とする所を明瞭とする。
【0019】
【実施例1〜11及び比較例1〜10】表1〜表3に示
す各成分を表1〜表3に示す配合割合で、十分に混和し
て本発明蓄熱材組成物をおよび比較例の組成物を製造し
た。尚、各表にはこれら各組成物の蓄熱温度および蓄熱
量をJIS K 7121およびJIS K 7122
に従って測定し、併記した。ここで、蓄熱温度が2点あ
ることは、融解温度ピークが2点あることを示し、ま
た、範囲で示したものは、ブロードなピークを意味す
る。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】 ただし、上記実施例および比較例において使用した成分
は各々以下のとおりである。
【0023】 ステアリン酸:デンカSA200(旭電化工業) パルミチン酸:ルナックP95(花王)、NAA160
(日本油脂) ミリスチン酸:ルナックMY98(花王)、NAA14
2(日本油脂) ラウリン酸 :ルナックL85(花王)、NAA312
(日本油脂) ステアリン酸メチル:エキセパールMS(花王) ステアリン酸ブチル:エキセパールBS(花王) 高級アルコール1 :NAA44(日本油脂、ヘキサデ
カノール) 高級アルコール2 :NAA48(日本油脂、ヘキサデ
カノールとオルタデカノールの50:50混合物)
【0024】実施例はいずれも、蓄熱温度が36℃〜4
2℃と適度であり、蓄熱量も充分である。比較例は、蓄
熱温度が高すぎ、あるいは低すぎ、あるいは蓄熱量が少
なすぎ、あるいは、融解ピークが2つ以上あってもしく
はブロードであって、適度な蓄熱ができない等の欠点が
ある。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パラフィンワックスに対し、炭素数10以
    上の脂肪酸または(及び)高級アルコールが10〜70
    重量%、これらパラフィンワックス、脂肪酸または(及
    び)高級アルコール全体に対して炭素数10以上のアル
    キル置換脂肪酸エステルが5〜50重量%からなること
    を特徴とする蓄熱材組成物。
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