JP2846275B2 - 切板の積層装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、切板の積層装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】通常、冷延鋼板や表面処理鋼板等の剪断
ラインにおいては、所定の長さに剪断された切板はいっ
たんプライムパイラなどの積層装置に積層され、所要の
枚数に到達した時点で積層装置から取り出されて、次工
程に搬送される。この積層装置の一般的な構造について
説明すると、図３，４に示すように、ベルトコンベア１
によって搬送された切板２は、センタリングロール３に
よって案内されて受台４上に落下するのであるが、その
両側端面が落下中にサイドガイド５ａ，５ｂによって矯
正された後、その先端はばね式のエンドストッパ６に衝
突してから、受台４の上に積層される。このとき、切板
２の先端はエンドストッパ６により、またその後端はゲ
ージストッパ７によってそれぞれ揃えられる。なお、図
中の８は受台４を昇降する昇降装置で、切板２が積み重
なるに従ってその落下位置が同じになるように高さ調整
がなされる。

【０００３】ところで、上記したエンドストッパ６とゲ
ージストッパ７は、図５に示すように、その本体10には
通常平板状の鋼材が用いられ、その背後にコイルばねと
か板ばね等の弾性材11を具備し、その前面にはゴムとか
スポンジ等の緩衝材12を張り付けることによって、切板
２の衝突によって受ける運動エネルギーを吸収するよう
に構成されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来例では、切板２がエンドストッパ６やゲージスト
ッパ７の面に対して垂直に衝突する場合は受台４上に整
然と積層させることができるが、ベルトコンベア１に微
妙な蛇行とか片寄り等が発生すると、テーパ状のセンタ
リングロール３を用いたとしても、切板２の先端が進行
方向に対して若干ずれて斜行するようになって、切板２
がエンドストッパ６やゲージストッパ７の面に対して垂
直に衝突することができず、その先端または後端あるい
は双方に板折れを発生することになる。

【０００５】この板折れの発生を防止する方策の一つと
して、例えば剪断ラインの速度を遅くすることが考えら
れるが、しかしそうすると剪断の能率が低下するという
問題が発生して望ましくないのである。本発明は、上記
のような従来技術の有する課題を解決した切板の積層装
置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、ベルトコンベ
アで搬送される切板をセンタリングロールおよび一対の
サイドガイドで案内して受台に積層する際に、該受台の
両側端に配設されたエンドストッパとゲージストッパと
で切板の前後端部を揃えるようにした切板の積層装置に
おいて、前記エンドストッパおよびゲージストッパを切
板の進行方向に対して垂直とされる複数本の弦状部材で
構成したことを特徴とする切板の積層装置である。

【０００７】なお、前記弦状部材にアラミド繊維を用い
るのが好ましい。

【０００８】

【作 用】本発明の積層装置によれば、複数本の弦状部
材を張ったエンドストッパとゲージストッパを用いるよ
うにしたので、切板の斜行に応じて曲げられる弦状部材
の反力の差によって矯正され、整然とした切板の積層を
行うことができる。

【０００９】

【実施例】以下に、本発明の実施例について図面を参照
して詳しく説明する。図１に示すように、本発明に用い
られるエンドストッパ６Ａ（またはゲージストッパ７
Ａ）は、上部支持フレーム21と下部支持フレーム22との
間に複数本（この図では７本）の弦状部材23が張られて
構成される。なお、上部支持フレーム21と下部支持フレ
ーム22とは２本のサイド支持フレーム24, 24で固定して
やればよく、その間隔は積層装置の大きさによって決め
ればよい。

【００１０】ここで、弦状部材23としては、例えばアラ
ミド繊維のような切断しにくく、かつ強度が高く、伸び
の少ない材質を選定するのがよい。なお、アラミド繊維
以外には、炭素繊維なども有効と考えられるが、この場
合は切断防止のためのコーティングを施すことが望まし
い。いま、ベルトコンベア１から送り出されてきた切板
２がわずかに斜行して、例えば図２(a) に示すように、
切板２のａ側が先行して弦状部材23に衝突したとする
と、ａ側の弦状部材23は大きく撓んで曲げられるが、ｂ
側の弦状部材23はあまり曲げられない。したがって、弦
状部材23による反力もａ側が図２(b) に示すように大き
いが、ｂ側は小さい。それによって、切板２のａ側とｂ
側へのはね返し力が異なるから、切板２はその反力の差
によって斜行が矯正されて、その後端が正常な状態でゲ
ージストッパ７Ａに衝突することになる。なお、最初の
エンドストッパ６Ａ側での矯正が不十分な場合は、つぎ
のゲージストッパ７Ａでの衝突で同様な作用によって完
全に矯正されることになる。

【００１１】このような作用を繰り返すことによって、
切板２は板折れ等を発生することなく、受台４上に整然
と積層されることになる。なお、ここで、弦状部材23の
張りの強さは、切板２の不揃い等の程度を見ながら予め
適当に調節する必要がある。また、弦状部材23の高さ方
向の調整機能も重要である。本発明の積層装置を用いて
切板を積層した。このとき、エンドストッパ６Ａおよび
ゲージストッパ７Ａには、弦状部材23として太さ２mmで
長さが 370mmのアラミド繊維を24本用いて、上下部支持
フレーム21，22の間に0.5kgf/mm²の張力で張ったものを
用いた。

【００１２】その結果、板折れ欠陥の混入が従来は10^-6
のオーダで発生したものが、まったくゼロになった。ま
た、板折れの発生防止のための剪断ラインの速度低下の
制約もなくなったことにより、従来200 枚／分のペース
から250 枚／分に高めることができ、およそ25％以上の
能率向上となった。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の積層装置
によれば、複数本の弦状部材を張ったエンドストッパと
ゲージストッパを用いるようにしたので、切板の積層時
の不揃いが無く、かつ板折れ等の発生も無く、これによ
って切板製品の歩留りの向上や剪断ラインの能率の向上
に寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の積層装置に用いられるエンドストッパ
（ゲージストッパ）の実施例を示す正面図である。

【図２】エンドストッパ（ゲージストッパ）の動作を説
明する(a) 斜視図、(b) 側面図である。

【図３】従来例を示す側面図である。

【図４】図３の平面図である。

【図５】従来のエンドストッパ（ゲージストッパ）の側
面図である。

【符号の説明】

１ ベルトコンベア ２ 切板 ３ センタリングロール ４ 受台 ５ａ，５ｂ サイドガイド ６Ａ エンドストッパ ７Ａ ゲージストッパ ８ 昇降装置 21 上部支持フレーム 22 下部支持フレーム 23 弦状部材 24 サイド支持フレーム

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B21D 43/22 B65G 47/46 B65H 31/36

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルトコンベアで搬送される切板をセ
   ンタリングロールおよび一対のサイドガイドで案内して
   受台に積層する際に、該受台の両側端に配設されたエン
   ドストッパとゲージストッパとで切板の前後端部を揃え
   るようにした切板の積層装置において、 前記エンドストッパおよびゲージストッパを切板の進行
   方向に対して垂直とされる複数本の弦状部材で構成した
   ことを特徴とする切板の積層装置。
2. 【請求項２】 前記弦状部材にアラミド繊維を用いる
   ことを特徴とする請求項１記載の切板の積層装置。