JP2846146B2 - 過冷却を利用した氷蓄熱装置 - Google Patents

過冷却を利用した氷蓄熱装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は過冷却を利用した氷蓄熱
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空調用の氷蓄熱装置としては、実開平1
−120022号で公開されたシステムが知られてい
る。このシステムによると、図2に示すように、過冷却
水を製造し、その過冷却状態を解除することによって製
氷するシステムにおいて、過冷却水を製造する過冷却器
2へ供給される水中に微細な氷が同伴すると、これが引
き金となって過冷却水から氷が析出し、その伝熱管の凍
結を起こすので、これを防止するために給水系統4の氷
蓄熱槽1の採水口17の近傍の槽内に氷補集フイルター
18を設置し、さらに乱流発生手段20により微細な氷
を融解する熱を与えることにより、過冷却器2への微細
な氷の同伴を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このシ
ステムでは過冷却器への給水系へ、氷補集フイルターを
設置し、乱流発生手段により熱を与える方法を用いてい
るが、いずれも圧力損失が大きくポンプ3の動力の増加
につながり、効率の悪化を招く。特に乱流発生手段20
は図3拡大図に示すように、1mmの孔を2mm間隔であけ
た多孔板21を3箇所に介装する必要があり、圧力損失
の増加及びポンプ動力の増加は大きなものがある。さら
に乱流発生手段内での圧力損失は給水に熱として加えら
れるため、システム全体の製氷時の熱効率の悪化につな
がる。
【0004】本発明はこのような事情に鑑みて提案され
たもので、フイルター,乱流発生手段等給水系のポンプ
動力の増加,給水への熱の付加を行うことなく、給水内
の微細な氷を融解する過冷却を利用した氷蓄熱装置を提
供することを目的とする。
【0005】そのために本発明は、過冷却を利用する氷
蓄熱システムにおいて、内部に水が張られ隔壁により2
槽に分割された蓄熱水槽と、上記両槽の水をそれぞれ給
水管路を経て混合型三方制御弁を介して合流し、過冷却
器にて過冷却水としたのちこれを一方の槽へ循環的に導
入する過冷却管系とを具え、上記一方の槽を氷水槽と
し、他方の槽を氷を融解する熱源水槽として使用するこ
とを特徴とする。
【0006】
【作用】このような構成によれば、蓄熱槽を隔壁を介し
て大槽と小槽との2槽に仕切り、一般的に、蓄熱(製
氷)開始前は両槽の水温は冷房負荷により加熱された後
であり、12℃前後まで上昇している。大槽は積極的に
過冷却器により冷却し、水が0℃以下となり製氷が始ま
った時点で冷却せずに放置していた小槽の0℃以上の高
い温度の水を過冷却器へ混合して供給し、両槽からの水
を混合した後の温度は0℃以上となるように混合の割合
を調整して過冷却器へ給水する。そうすると、小槽の比
較的高い温度の水を氷のできた大槽から採水してきた水
と混合することにより、後者の水に同伴してきた微細な
氷を融触した後過冷却器へ給水するので過冷却器内での
凍結は生じない。このような構成によれば、フイルタ
ー,乱流発生手段等の給水系の圧力損失を増加する機器
を設置しないので、ポンプの動力はこれら機器を設置し
た場合に比べ低減できると共に熱の付加がないため効率
良く蓄熱ができる。なお、槽の分割は隔壁を設けること
により行い、下部に連通管を設けておき、大槽と小槽の
間は水が自由に流れることができるようにする。これに
より、冷却せずに放置しておいた小槽の水も蓄熱経過と
共に温度を下げることができ、蓄熱終了後水だけを循環
させることにより0℃まで下げることができる。蓄熱槽
全体の蓄熱量は氷を蓄える大槽の氷の割合を増加させる
ことで槽を2槽に仕切らない場合と同一とすることがで
きる。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図面について説明する
と、図1はその縦断面図である。上図において、図2と
同一の符号はそれぞれ同図と同一の部材,機器を示し、
蓄熱槽1は隔壁30により大槽6と小槽7に分割されて
いる。両槽6,7の水は蓄熱前、冷房負荷により加熱さ
れ、12℃となっている。このようなシステムにおい
て、まず蓄熱初期には大槽6の水を採水口17,給水管
路8,混合型三方制御弁10,給水管路4を経てポンプ
3により過冷却器2へ供給し、過冷却水吐出管5を経て
再び大槽6へ戻す循環を行う。その際、連通管31に設
けた弁32は閉とし、大槽6と小槽7の間の水の流れは
ないようにする。次に、大槽6に氷ができた時点で、小
槽7からの水の給水を採水口17’,給水管路9,混合
型三方制御弁10,給水管路4を経て過冷却器2へ開始
する。その際小槽7の水温は初期は12℃である故、三
方制御弁10で大槽6からの水と混合し、温度調節器1
1で設定した温度(0℃以上の適当な温度)となるよう
その混合割合を調整する。一方、小槽7からの給水が開
始した時点で連通管31の弁32を開とし、大槽6の水
が小槽7へ流入するようにする。このようにして、小槽
7の温度の高い水を混合型三方制御弁10で大槽6から
の水と混合することにより、給水管路8では混入してい
る可能性の大きい微細な氷を融解して、給水管路4を経
て過冷却器2へ供給することができる。小槽7の水は時
間がたつと大槽6の水と混合して温度が低下するが、槽
の大きさを適当に選ぶことにより、蓄熱終了時まで微細
な氷を融解するのに必要な量の水を蓄えておくことがで
きる。なお、小槽7の連通管の位置と採水口17’の位
置を適当に選ぶことにより大槽6と小槽7の水の混合を
少なくすることができる。蓄熱終了後、小槽7の水温を
0℃にまで下げる場合は、給水管路9のみを用いて、小
槽7からのみ水を取り出し、給水管路4を通りポンプ3
により水を循環させることによって可能となる。なお、
槽全体に氷を蓄える場合に比べて、水に対する氷の割合
つまり氷充てん率を多くすることにより、槽6のみに氷
を蓄えることによる蓄熱量の減少を防ぐ。ここで過冷却
器2は例えばシエルアンドチューブ型の熱交換器で圧縮
機13,凝縮器14,膨張弁15からなる冷凍回路の蒸
発器として作用し、チューブ内にポンプ3により循環す
る給水を通し、シエル側で冷媒を蒸発させ0℃以下の過
冷却水を得る機能を有している。また、圧縮機13,凝
縮器14,膨張弁15,過冷却器2は冷媒回路により接
続され、蒸発圧力を一定に制御される。なお、このよう
な冷凍サイクルに代え、冷凍機により所定の温度に冷却
されたブラインを過冷却器2のシエル側へ供給し、給水
を過冷却する構成とすることもできる。
【0010】
【発明の効果】このような装置によれば、蓄熱槽を2槽
に仕切り、一方の槽だけ氷を蓄え、他方の槽は過冷却水
を製造するときに、氷を蓄えている槽からの給水中に同
伴している微細な氷を融解する熱源として使用すること
ができる。これにより、給水系にフイルター,乱流発生
手段等を設けポンプ動力を増し、給水を加熱する方式に
比べて効率良く蓄熱することが可能である。要するに本
発明によれば、過冷却を利用する氷蓄熱システムにおい
て、内部に水が張られ隔壁により2槽に分割された蓄熱
水槽と、上記両槽の水をそれぞれ給水管路を経て混合型
三方制御弁を介して合流し、過冷却器にて過冷却水とし
たのちこれを一方の槽へ循環的に導入する過冷却管系と
を具え、上記一方の槽を氷水槽とし、他方の槽を氷を融
解する熱源水槽として使用することにより、フイルタ
ー,乱流発生手段等給水系のポンプ動力の増加,給水へ
の熱の付加を行うことなく、給水内の微細な氷を融解す
る過冷却を利用した氷蓄熱装置を得るから、本発明は産
業上極めて有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す氷蓄熱システムの縦断
面図である。
【図2】公知の氷蓄熱システムを示す系統図である。
【図3】図2の技術の乱流発生手段を示す部分拡大図で
ある。
【符号の説明】
1 蓄熱槽 2 過冷却器 3 ポンプ 4 給水管路 5 過冷却水の吐出管 6 大槽 7 小槽 8,9 給水管路 10 混合型三方制御弁 11 温度調節器 13 圧縮機 14 凝縮器 15 膨張弁 17,17’ 採水口 30 隔壁 31 連通管

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 過冷却を利用する氷蓄熱システムにおい
    て、内部に水が張られ隔壁により2槽に分割された蓄熱
    水槽と、上記両槽の水をそれぞれ給水管路を経て混合型
    三方制御弁を介して合流し、過冷却器にて過冷却水とし
    たのちこれを一方の槽へ循環的に導入する過冷却管系と
    を具え、上記一方の槽を氷水槽とし、他方の槽を氷を融
    解する熱源水槽として使用することを特徴とする過冷却
    を利用した氷蓄熱装置。
JP14133091A 1991-05-17 1991-05-17 過冷却を利用した氷蓄熱装置 Expired - Fee Related JP2846146B2 (ja)

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