JP2846064B2 - 排ガスの脱硫方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は排ガスの脱硫方法及び装置に関し、特にボイ
ラ排ガス等の燃焼排ガス中に含まれる硫黄酸化物の除去
方法及び同装置に関する。

〔従来の技術〕

大気汚染防止を目的として、燃焼排ガス中の硫黄酸化
物を除去する方法として、従来、 （１） 石灰石や水酸化カルシウムの水スラリ溶液によ
りスクラビングによる湿式石灰石膏法、 （２） NaOH水溶液による洗浄法、 などの湿式法が広く採用されている。

また、乾式方法としては、煙道に水酸化カルシウムの
水スラリ溶液を吹き込んで、バグフィルタや電気集塵機
で捕集する方法が知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

上記の従来法の湿式法においては、硫黄酸化物の除去
能力にすぐれているものの廃水が伴うのが欠点であり、
水質汚染防止のためのCODや重金属などの有害成分の対
策が必要となる。そのため排ガス処理の全体システムが
複雑になり、処理コストの増大につながっている。

また乾式法においては、注入する水酸化カルシウムの
石膏への転化率が低く、カルシウムの利用率が低い欠点
を有している。

〔課題を解決するための手段〕

以上のような従来法の問題点を解決するため検討した
結果、本発明者等は高温の燃焼炉内にカルシウム原料を
吹込んで生成するヒューム状の酸化カルシウムを燃焼炉
で発生するガスに同伴させて、硫黄化合物を含む排ガス
中に添加することによって、廃水を出さずに、高効率
で、高いカルシウム利用率の得られる脱硫が可能になる
ことを見い出し本発明に至った。

すなわち、本発明は（１）石灰石、消石灰又は生石灰
を原料とする酸化カルシウムヒュームの発生装置によっ
て生成させたヒュームを直接燃焼排ガス中に添加し、排
ガス中の硫黄酸化物と反応させて固体状石膏粒子を生成
させ、後流に設置した集塵装置によって該石膏粒子を回
収除去することを特徴とする排ガスの脱硫方法及び
（２）硫黄酸化物発生源又は硫黄酸化物含有ガス通路
に、酸化カルシウムヒュームを供給しうるように石灰
石、消石灰又は生石灰を原料とする酸化カルシウムヒュ
ーム発生装置を連結して設け、さらに該連結部の後流部
に石膏を分離する集塵装置を設けてなることを特徴とす
る排ガスの脱硫装置である。

酸化カルシウムヒューム発生用の燃焼炉は、反応性の
高いヒュームを得るために2500℃以上の温度にするのが
好ましく、カルシウム原料としては石灰石、消石灰、生
石灰などが使用できる。

排ガス中の硫黄酸化物と反応して生成する石膏は後流
に設置されたバグフィルタや電気集塵機などの通常の集
塵装置によって分離回収される。

〔作 用〕

本発明の特徴は排ガス中の硫黄酸化物を除去するに当
って SO₂＋CaO＋1/2O₂→CaSO₄ の反応を排ガス中で生成させるために、石灰石、消石灰
又は生石灰を原料として生成させた粒径が0.1μｍ以下
の極めて反応性に富んだCaO粒子を排ガスに供給してい
るところにある。従来の機械的な粉砕方法では、0.1μ
ｍ以下の粒子を得るのは不可能であり、本発明のような
高温燃焼炉を適用することによってはじめて可能とな
る。

本発明をボイラ排ガスに適用した場合の実施態様の例
を第１図、第２図、第３図に示した。

第１図は発生したヒュームをボイラ内に供給した場
合、第２図はエコノマイザとエアヒータの中間に供給し
た場合、第３図はエアヒータと集塵装置の間に供給した
場合の図である。第１図〜第３図において、１はボイ
ラ、２は酸化カルシウムヒューム発生装置、３はエコノ
マイザ、４はエアヒータ、５は集塵装置、６は煙突であ
る。

本発明はいずれの場合にも適用可能である。熱回収の
効率向上の面からは第１図の態様が好ましいが、ボイラ
伝熱面の汚れの問題もあり一長一短である。

本発明に用いている酸化カルシウムヒューム発生装置
（第１図〜第３図の２）によって生成する酸化カルシウ
ムヒュームは前述したように反応性に富んだものであ
り、室温〜1000℃の温度範囲でSOx含有排ガスと２秒以
上の接触時間があれば CaO＋SO₂＋1/2O₂→CaSO₄ CaO＋SO₃→CaSO₄ の反応が完結する。そのため、酸化カルシウムヒューム
をボイラ１内に供給する第１図の態様、エコノマイザ３
とエアヒータ４の間に供給する第２図の態様及びエアヒ
ータ４と集塵装置５の間に供給する第３図の態様のいず
れにおいても排ガス中のSOxを除去する効果がある。

本発明の効果を示すために実施した基礎テスト結果を
以下に実施例として示す。

（実施例） ヒューム発生用高温燃焼炉に、プロパン流量30Nm³/H
r,酸素流量165Nm³/Hrに石灰石粉末1.3kg/Hrを同伴供給
し燃焼（燃焼炉の最高温度2900℃）させると同時に炉の
出口に冷却空気として80Nm³/Hrの空気を混合し酸化カル
シウムヒュームとした後、温度:250℃,SO₂:1000ppm,300
Nm³/Hrの排ガスに混合後、生成する粒子をバクフィルタ
で捕集した。

バグフィルタ後流でのSO₂濃度を測定するとともに、
捕集した粒子の石膏（CaSO₄）濃度と未反応酸化カルシ
ウム（CaO）の分析を行って下記の通りの結果を得た。

バグフィルタ後流SO₂:25ppm バグフィルタ捕集粒子中のCaSO₄:96wt％ バグフィルタ捕集粒子中のCaO : 4wt％ 〔発明の効果〕 本発明によれば、90％以上の脱硫率が得られ、かつ、
捕集した石膏は96wt％程度の高純度のものが得られた。

本発明は廃水の生成がなく、カルシウム原料の利用率
も高いすぐれた排ガス処理方法及び装置であることがわ
かる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図は本発明の実施例の態様を示す系統図で
ある。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】石灰石、消石灰又は生石灰を原料とする酸
   化カルシウムヒュームの発生装置によって生成させたヒ
   ュームを直接燃焼排ガス中に添加し、排ガス中の硫黄酸
   化物と反応させて固体状石膏粒子を生成させ、後流に設
   置した集塵装置によって該石膏粒子を回収除去すること
   を特徴とする排ガスの脱硫方法。
2. 【請求項２】硫黄酸化物発生源又は硫黄酸化物含有ガス
   通路に、酸化カルシウムヒュームを供給しうるように石
   灰石、消石灰又は生石灰を原料とする酸化カルシウムヒ
   ューム発生装置を連結して設け、さらに該連結部の後流
   部に石膏を分離する集塵装置を設けてなることを特徴と
   する排ガスの脱硫装置。