JP2843649B2

JP2843649B2 - 人工乳

Info

Publication number: JP2843649B2
Application number: JP2148686A
Authority: JP
Inventors: 宏幸鈴木; 康浩前田
Original assignee: Nisshin Seifun Group Inc
Current assignee: Nisshin Seifun Group Inc
Priority date: 1990-06-08
Filing date: 1990-06-08
Publication date: 1999-01-06
Anticipated expiration: 2014-01-06
Also published as: JPH0440860A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は、動物用の人工乳に関する。

［従来の技術］幼動物は消化機能が充分に発達しておらず、また低温
や高温等の悪環境や細菌類に対する抵抗力も低く、下痢
や消化不良等の疾病をおこし易いが、一方で栄養価が高
く、しかも幼動物の消化吸収能力や嗜好性に適合した試
料を給与すると、飼料摂取量が増え、消化吸収が良好に
なって成長が大きく促進される。

動物用の人工乳については、従来から色々研究および
開発が行われており種々の配合のものが提案および販売
されているが、通常、脱脂粉乳や乾燥ホエイ等の乳製品
からなる主原料に、小麦粉などの殿粉質材料、他の蛋白
質原料、糖類、油脂類、アミノ酸、ビタミン、ミネラル
等の栄養成分、香辛料、調味料等のうちの１種または複
数種を対象動物の種類や年令等に応じて配合した人工乳
が汎用されている。

特に、体重が約10kg以下の子豚（一般に約５週令まで
の子豚）は消化吸収能力が不充分であるために、この時
期の子豚に給与される人工乳は消化吸収性が良く且つ栄
養価が高くなるように調整されており、かかる点から人
工乳中に脱脂粉乳や乾燥ホエイ等の乳製品が多量（通常
約10重量％以上）に配合されている。しかしながら、そ
の人工乳は高価な乳製品を多量に含有するわりには子豚
の成長促進効果が未だ充分ではなかった。また、蛋白質
原料として上記した乳製品の他に大豆油粕やきな粉合を
配合した人工乳も知られているが、やはり消化性、子豚
の成長等の点で充分満足のゆくものではなかった。

更に、動物の成長段階に合わせて例えば前期用人工乳
および後期用人工乳というように使用原料および組成の
異なる複数種の人工乳を多段で給与することが一般に行
われているが、省力化等の点からは例えば前期および後
期を通して１種類の人工乳給与だけですむのが望まし
く、そのような人工乳が求められてきた。

［発明の内容］本発明者らは、幼動物による嗜好性がよく、消化吸収
性が良好で栄養価が高く、しかも経済的で幼動物の成長
の前期および後期を通して１種類ですむ人工乳を得るこ
とを目的として研究を続けてきた。その結果、人工乳に
膨化大豆を配合すると上記目的を構成できることを見出
して本発明を完成した。

したがって、本発明は膨化大豆を含有することを特徴
とする子豚用人工乳に関し、さらに具体的には膨化大豆
１〜20％、乳製品20〜40％、澱粉質原料30〜50％、糖類
５〜15％および油脂１〜５％からなる子豚用人工乳に関
する。

本発明の子豚用人工乳は哺乳期、離乳期中および離乳
期後に母乳と共にまたは母乳の代わりに給与するのに適
しており、約３〜60日令、特に約２〜９週令の子豚に対
して適している。

本発明の人工乳で使用する「膨化大豆」は、穀類や豆
類を膨化するのに通常採用されている方法により得るこ
とができ、例えば過熱水蒸気を使用して高温高圧の条件
下においた大豆を一挙に大気圧に戻すことによってそこ
に含まれる水分を瞬時に蒸発させ、発生した水蒸気の膨
張力により大豆をその内部組織から破壊し膨化すること
により得られる。その際に、加熱温度や時間、圧力等の
条件を変えることにより膨化度、蛋白質の変性度、殿粉
のα化度等を変えることができる。本発明では皮付の膨
化大豆および脱皮膨化大豆のいずれもが使用でき、また
市販の膨化大豆を入手して使用してもよい。市販の膨化
大豆は粒状のままで流通、販売されている場合が多い
が、本発明では膨化大豆を粒径約2mm以下の粉末状にし
て人工乳中に配合するのがよく、それによって動物によ
る嗜好性や消化吸収性が良好になる。

人工乳中の膨化大豆の配合量は、乾燥した人工乳の全
重量に基づいて、通常、約１〜20重量％にするのがよく
（以後本明細書をとおして重量％を単に％と表示す
る）、膨化大豆の配合量がこの範囲であると、飼料の単
位摂取量当たりの増体重効果が大きくなり、すなわち飼
料要求率を低くすることができ望ましい。

本発明の人工乳は膨化大豆以外に、動物用人工乳にお
いて通常使用されている原料を含有することができる。
そのような原料としては例えば脱脂粉乳、全脂粉乳、乾
燥ホエイ等の乳製品；小麦粉、煎り小麦粉、とうもろこ
し粉、乾燥パン粉、ビスケット屑などの殿粉質原料；砂
糖、ブドウ糖、乳糖等の糖類；油脂類；大豆油粕、他の
植物性油粕、魚粉等の蛋白質原料；アミノ酸、ビタミ
ン、ミネラル等の栄養成分；香辛料や調味料等を挙げる
ことができ、それらの原料のうちの１種または２種以上
を給与しようとする動物の種類や年令に合わせて配合す
ることができる。特に、脱脂粉乳や乾燥ホエイ等の高価
な乳製品の含有割合を減らし、その代わりに安価な膨化
大豆を使用するようにすると、高栄養価および良好な消
化吸収性を保持しながら低コストの人工乳を得ることが
できる。その場合に、上記原料は摂餌性および消化吸収
性等の点からいずれも粉末状にして使用するのが望まし
い。

本発明の人工乳の成分組成は、給与対象である動物の
種類や大きさ等により当然異なるが、乾燥基準で、一般
に脱脂粉乳等の乳製品が約10〜70％、小麦粉等の殿粉質
原料が約０〜50％、膨化大豆が約１〜20％、糖類が約５
〜15％、油脂類が約１〜５％になるように配合し、併せ
てビタミンやミネラル等の他の栄養成分、香辛料、調味
料等を必要に応じて加えるとよい。

例えば、約２〜５週令の子豚用人工乳の場合は、乾燥
基準で、脱脂粉乳等の乳製品が約20〜40％、小麦粉等の
殿粉質原料が約30〜50％、膨化大豆が約１〜20％、糖類
が約５〜15％、油脂類が約１〜４％になるように配合
し、併せてビタミンやミネラル等の他の栄養成分、香辛
料、調味料等を必要に応じて加えるのが望ましい。

また、本発明の人工乳は上記成分の外に必要に応じて
乳化剤、防黴剤、抗酸化剤、抗生物質、抗菌剤、駆虫
剤、生歯製剤等の人工乳において通常使用されている成
分を含有することができる。

本発明の人工乳は乾燥粉末の形態にしておくのが取扱
性や保存性等の点で望ましい。

本発明の人工乳は、通常、粉末状のまま動物に給与さ
れる。しかしながら、幼動物の成長程度に合わせて水や
温湯に溶解または分散させて給与することもできる。本
発明の人工乳は単独で、または他の飼料や飲料水と混合
して、または他の飼料の上に載せて動物に給与すること
ができる。

また給与量は動物の種類や大きさにより当然異なる
が、例えば約２〜５週令の子豚に対しては乾燥基準で約
200〜600g/日・頭の割合で、約６〜13週令の子牛に対し
ては約1000〜3500g/日・頭の割合で給与するのがよい。

以下に本発明を実施例により具体的に説明するが本発
明はそれにより限定されない。

実施例１下記の表１に示した子豚用人工乳配合を用意し、それ
を室温で充分に撹拌混合して人工乳を調整した。

なお、表１における本発明の人工乳と比較例の人工乳
とで各原料の配合割合に多少の下があるが、これは両方
の人工乳の栄養価を等しくするために行ったものであ
り、このことは表１の下段における各栄養成分値が両人
工乳でほぼ等しくなっていることから明らかであろう。

一方、LWD種の子豚（21日令：平均体重6.7kg/頭）を
各区６頭ずつ２区用意した。

第１区の子豚には上記表１の本発明の人工乳をそのま
ま14日間に亘って給与し自由に摂取させた。

第２区の子豚には上記表１の比較例の人工乳を同様に
14日間に亘って給与し自由に摂取させた。

14日間給餌後の結果は、下記の表２のとおりであっ
た。

上記表２の結果から、本発明の人工乳と従来の人工乳
（比較例）とでは子豚による摂取量がほぼ同じであるに
も拘らず、本発明の人工乳の場合は体重増加が大きいこ
と、換言すると飼料要求率が低くてすむことがわかる。
更に表２の結果から、本発明の人工乳と従来（比較例）
の人工乳とは下痢や軟便等の疾病の発生に殆ど差がない
ことがわかる。

実施例２下記の表３に示した子豚用人工乳配合を用意し、それ
を室温で充分に撹拌混合して人工乳を調製した。

なお、表３における本発明の人工乳と比較例の人工乳
とで各原料の配合割合に多少の差があるが、これは両方
の人工乳の栄養価を等しくするために行ったものであ
る。このことは表３の下段における各栄養成分値が両人
工乳でほぼ等しくなっていることから明らかであろう。

一方、LWD種の子豚（21日令：平均体重7.0kg/頭）を
各区５頭ずつ２区用意した。

第１区の子豚には上記表３の本発明の人工乳をそのま
ま14日間に亘って給与し自由に摂取させた。

第２区の子豚には上記表３の比較例の人工乳を同様に
14日間に亘って給与し自由に摂取させた。

14日間給餌後の結果は、下記の表４のとおりであっ
た。

上記表４の結果から、本発明の人工乳の場合は従来の
人工乳（比較例）に比べて子豚による摂取量がむしろ少
ないにも拘らず、本発明の人工乳の方が従来の人工乳
（比較例）に比べて体重増加が大きいこと、すなわち飼
料要求率が低くてすむことがかる。更に表４の結果か
ら、本発明の人工乳と従来（比較例）の人工乳とは下痢
や軟便等の疾病の発生に差がないことがわかる。

［発明の効果］本発明の人工乳は消化吸収性がよく、低い飼料要求率
で動物の成長を大きく促進することができる。

本発明の人工乳は動物による嗜好性が良好であり、動
物の成長を大幅に促進することができる。

本発明の人工乳による場合は、動物の成長段階に合わ
せて人工乳の使用原料や組成を変えなくても、１種類の
人工乳で長期に亘って幼動物に給与でき省力化等の点か
らは極めて有効である。

本発明の人工乳で使用する膨化大豆は脱脂粉乳や乾燥
ホエイ等の乳製品に比べて低価格であり、高価な乳製品
の一部（通常約２〜10％）を膨化大豆で置換えることに
より、従来の人工乳に比べて低コストの人工乳を提供で
きる。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】膨化大豆１〜20％、乳製品20〜40％、澱粉
質原料30〜50％、糖類５〜15％および油脂１〜５％から
なる子豚用人工乳。