JP2843353B2 - 複写機用分離爪 - Google Patents

複写機用分離爪

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JP2843353B2 JP6814789A JP6814789A JP2843353B2 JP 2843353 B2 JP2843353 B2 JP 2843353B2 JP 6814789 A JP6814789 A JP 6814789A JP 6814789 A JP6814789 A JP 6814789A JP 2843353 B2 JP2843353 B2 JP 2843353B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、耐熱荷重性、耐熱疲労性および分離爪の
先端(刃先)の形状に優れたきわめて信頼性の高い複写
機用分離爪に関するものである。
〔従来の技術〕
従来の乾式複写機などの機器においては、文字または
図形等に対応して感光ドラムの表面に形成された静電荷
潜像をトナー像に変換した後、このトナー像を給紙カセ
ットから供給されて来る紙面に転写し、さらに転写され
たトナー像を紙面に定着させるために加熱された定着ロ
ーラによって表面を加熱加圧し、トナー像と紙繊維とを
融着させて両者が容易に離れないようにする機構が組み
込まれている。そして、定着ローラを通過した複写紙が
ローラに巻き付くことなく確実に排出されるために、分
離爪を用いてその先端をローラの外周面に密着させなが
ら複写紙の端をすくい上げる方法が採られる。したがっ
て、このような分離爪においては、ローラの外周面に対
して摩擦抵抗が小さく表面を損傷しないこと、充分な機
械的強度特に高温剛性を有し、その先端部形状に充分な
精度が得られること、さらにはトナーを粘着しないこと
などの特性が要求されてきた。
そして、特に近年においては、デジタル化により、単
なる複写機能だけでなく、今までにない高解像度画像処
理、編集機能、さらにファクシミリ機能または他のOA機
器の入出力装置などを備えた、いわゆるインテリジェン
ト複写機が開発され、このように多機能化、複合化、シ
ステム化された複写機においては、従来にもまして高速
化、高信頼化、長寿命化の要求が一層強くなって来た。
いま、分離爪についていえば、高速化により定着ローラ
による加熱温度をより高温に設定する場合が多く、その
ためさらに高い耐熱性が要求され、また、システムの一
部としていつも複写可能な状態にあって非常に長時間高
温にさらされるようになるため、優れた耐熱疲労性が要
求され、さらに多機能化による種々の状態に適切に追従
出来るように、また、システム化により人命にもかかわ
る装置との接続も考えられることから、より確実に分離
機能を発揮するために、紙詰まり等の万一の事故にも耐
えうる爪先端の耐熱荷重性およびくり返しの確実な分離
機能を保証できる優れた爪先端形状が要求されている。
このような分離爪に要求される諸特性のうち、トナー
に対する非粘着性の改善については数多くの提案がなさ
れており、たとえば、フッ素樹脂またはフッ素化ポリエ
ーテル重合体の被膜を分離爪上に形成させたり、フッ素
樹脂等の非粘着性改良剤を分離爪素材中に練り込むなど
の方法が取られている。しかし、高温剛性、耐熱疲労
性、耐熱荷重性、耐熱衝撃性、相手ロールの非攻撃性な
どについては、分離爪材に使用される耐熱性樹脂または
充填剤の種類によって大きく左右され、満足できる方策
はあまり採られていない。すなわち、従来用いられてい
る分離爪材料としては、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、芳香
族ポリエステル等が挙げられるが、これらのうち、たと
えば250℃以上の高温において分離爪材として機能する
ためには、通常の耐熱性ポリエーテルサルホン、ポリエ
ーテルイミド等の樹脂は、ガラス転移点が220℃前後で
かつ非晶性であることから、ガラス転移点以上の温度で
は軟化し、耐熱性が低過ぎて複写機の高速化に伴う耐熱
性向上の要求を満足させることはできない。またこの発
明の構成成分としても用いる耐熱性樹脂、具体的にはガ
ラス転移点が250℃以上であるポリエーテルサルホンお
よびポリエーテルイミドもあるが、潤滑性および耐摩耗
性に劣り、ローラ駆動部トルク上昇および分離不良を時
に起こす。たとえフッ素樹脂等の被膜が施してあって
も、ローラとの摺接面は長期使用の中で摩耗し、分離爪
基材とローラが摺動することになる。したがって基材の
潤滑性、耐摩耗性の悪さは長寿命化、信頼性向上の点で
不満足である。また、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リエーテルケトン等の樹脂は、ガラス転移点はともに25
0℃未満ではあるが、結晶性樹脂であるため、ガラス繊
維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維等の耐熱性繊維
類、またはこれら繊維にマイカ、タルク等の無機粉末状
充填剤を添加することに基づく補強効果によって、耐熱
性は大幅に向上する反面、相手ロールを傷つける問題
と、これら補強剤の爪先端部への充填が悪いと耐熱変形
性が著しく低下するという信頼性の問題とがあった。ま
た、ポリイミド樹脂の中、三次元網目を形成するような
熱硬化性ポリイミド樹脂については、脆弱であるため、
上述のポリフェニレンサルファイド樹脂等と同様充填剤
にて補強する必要があり、同じような問題点を有する。
また、ポリアミドイミド樹脂においては、補強剤を添加
しなくても、分離爪材として250℃以上の耐熱性を有す
るが、吸水(または吸湿)時に耐熱性が低下するという
欠点を有し、比較的多量に吸水したときには、耐熱性が
非常に悪くなる。具体的には吸水時に成形品を急激に加
熱すると、成形品内部の水分が高圧水蒸気となることに
よって、成形品が一定以上、たとえば5×(1/2)×(1
/8)立方インチのシート試片のとき、(1/8)インチの
肉厚面が2.5μm以上の寸法変化を起こし、表面が脹れ
または発泡するなどの現象を起こす最低温度(これを熱
衝撃温度と呼ぶ)が著しく低下することはよく知られて
おり、絶乾時に280℃程度の耐熱性をもっていたもの
が、多量の吸水により210℃程度にまでも低下する問題
がある。また、ポリイミド樹脂の中には熱可塑性のポリ
イミドと称される非常に大きな分子量のポリマーからな
るポリイミド樹脂、たとえば米国デュポン社製のポリイ
ミド“ベスペル”などがあるが、これらは射出成形のよ
うな溶融成形ができないため、耐熱性という意味では優
れるが実用に適しない。
これら樹脂に対して、芳香族ポリエステル樹脂、特に
注目されている溶融成形可能で溶融時に異方性を示すサ
ーモトロピック液晶ポリマーは、液晶特有の配向性を示
し、これが自己強化性を発揮する結果、それ自身の耐熱
変形性が高く、無機系の耐熱性繊維状充填剤または粉末
状充填剤等の補強剤の充填量も少量で耐熱変形性向上に
寄与し、またチタン酸カリウム繊維のような補強効果は
小さいが相手材の損傷性の少ない繊維類だけで補強でき
るため、相手ロールの攻撃性は低く、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂のような酸素架橋性による脆(もろ)さ
の発現もほとんどなく耐熱老化性に優れる。さらにポリ
アミドイミド樹脂のような吸水による熱衝撃温度の低下
というような現象も起こさないことから、分離爪材とし
て、特開昭63−74084号公報に開示してあるようなもの
が使用されているが、信頼性向上、長寿命化の要求には
満足出来るものではない。すなわち、高温特に200℃以
上での弾性率の低下が大きく、補強剤によって低下の度
合いを小さくすることで耐熱変形性を保持している。一
方、複写機の定着ローラ表面温度は一般に150℃以上、
特に170℃〜250℃の範囲のものが多いことから、高温荷
重下での爪先端変形の問題が有り、紙詰まり等で通常時
より大きな力が爪先端部にかかった場合のクリープ変
形、すなわち耐熱荷重性の問題がある。また、液晶とい
う比較的大きな単位で自己補強されているため、高温時
に繰り返し応力を受けると、この単位がほぐれて急速に
弾性率等の物性が低下していく傾向、いわゆる耐熱疲労
性が良くないという問題もある。さらに、特有の配向性
による液晶ポリマーの自己強化性を発現する程度のバラ
ツキは大きく、これが小さい場合にはやはり分離爪材と
しての熱変形温度が著しく低下する問題があり、さら
に、爪先端部の曲率半径がポリアミドイミド樹脂と比較
すると小さくなり過ぎて10μm未満のシャープなエッジ
になるものもあり、金型加工時に良好な曲率半径(10〜
50μm)のものが得られても、充填剤等によって金型に
ついた傷跡等のためにシャープなエッジが出現しやすく
なったりすると、爪先端の高温剛性が小さくなって熱変
形を起こし、分離不良になったり、ローラの外周面を傷
つけたりする危険性が生じていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上述べたように、従来の技術においては、耐熱変形
性、耐熱老化性、耐熱衝撃性、耐熱疲労性、耐熱荷重
性、相手ロールへの非攻撃性および先端の形状に優れた
高信頼化、長寿命化を実現した複写機用分離爪は得られ
なかったという問題点があり、これを解決することが課
題であった。
〔課題を解決するため手段〕
上記の課題を解決するために、この発明においては溶
融時に異方性を示すサーモトロピック液晶ポリマー100
重量部、平均繊維径6μm以下の耐熱性繊維20〜150重
量部およびガラス転移点が250℃以上の耐熱性非晶性ポ
リエーテル樹脂10〜90重量部を必須成分とするサーモト
ロピック液晶ポリマー組成物を成形して複写機用分離爪
とする手段を採用したものである。以下にその詳細を述
べる。
この発明で用いるサーモトロピック液晶ポリマーは、
溶融時の流れ方向とこれに直交する方向との間で物理的
性質に強い異方性を示すポリマーである。このような性
質を有するポリマーは現在芳香族ポリエステル系、特に
パラヒドロキシ安息香酸を含むポリエステル系の共重合
体が知られている。そしてその中でもつぎのI式、II式
およびIII式からなる反復単位を主要構造単位としてい
るものが耐熱性の面から好ましい。すなわち、 これらの構造を有するポリマーの具体例としては、米
国ダートコ社製:XYDARまたは住友化学社製:エコノール
などを挙げることができる。
つぎに、この発明における耐熱性繊維とは、サーモト
ロピック液晶ポリマーの成形温度(通常300〜400℃)に
耐えることができる繊維を意味し、具体的には、ガラス
繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、セラミック繊維、
ロックウール、スラグウール、チタン酸カリウムホイス
カー、シリコンカーバイドホイスカー、サファイアホイ
スカー、鋼線、銅線、ステンレス鋼線、炭化ケイ素繊
維、芳香族ポリアミド繊維などを例示することができ
る。そして、これら繊維の形体は、分離爪成形品の表面
粗さが小さく滑らかで、しかも分離爪先端の曲率半径の
好適範囲として0.1mm以下、好ましくは0.05mm以下の精
度が必要であることから、繊維径は6μm以下であるこ
とが肝要である。このような繊維を使用すれば成形品の
表面粗さは1〜3μmもしくはそれ以下となり、また分
離爪の曲率半径も0.05mm以下となる。しかし、分離爪先
端部の曲率半径は小さければそれでよいというものでは
なく、小さ過ぎてシャープなエッジ(バリ)になった
り、また、金型加工時に良好な曲率半径のものが得られ
ても、充填剤等によって金型についた傷跡等のために曲
率が非常に小さくなってシャープなエッジが出現しやす
くなったりすると、爪先端の高温剛性が小さくなって熱
変形を起こしたり、ローラの外周面を傷つけたりする危
険が生じる。
これに対して、液晶ポリマーと耐熱性繊維との混合物
に10〜90重量部の耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂を添加
した組成物は、すでに述べたような欠点を解消して、長
期にわたって適度の曲率半径(0.01〜0.05mm)をもった
分離爪成形品となり得ることを見出した。ここで、耐熱
性非晶性ポリエーテル樹脂としては、ポリエーテルスル
ホンおよびポリエーテルイミドなどのようなポリマーの
主鎖中にエーテル結合を持つ熱可塑性樹脂の中で、耐熱
性の高いものが使用される。なお、ここでいう耐熱性と
は、複写機のローラ表面温度(170〜250℃)で充分に耐
え得ることであり、具体的には、示差走査熱量計(以下
DSC略記)で測定した吸熱開始点(以下onsetと略記)に
おけるガラス転移点が250℃以上であることを意味す
る。そして、このような耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂
は、たとえば英国アイ・シー・アイ社製:ビクトレック
ス(Victrex)HTA7600Gまたは米国ゼネラル・エレクト
リック社製:ウルテム(ULTEM)IIとして市販されてい
る。
これらの耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂を添加するこ
とで、液晶ポリマーの高温(特に200℃以上)における
著しい弾性率低下を防ぎ、高温荷重下での爪先端変形、
特に紙詰まり時等の高荷重下での変形が解消され、また
高温下の耐熱疲労性も大きく改善されるが、このような
耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂の粒径は、液晶ポリマー
との溶融混合時に出来るだけ小さな単位で混ざるよう
に、その平均粒径が小さい程好ましく、具体的には50μ
m以下であることが好ましく、20μm以下が特に好まし
い。また、このポリエーテル樹脂の添加量は、液晶ポリ
マー100重量部に対して10〜90重量部である。なぜなら
ば、10重量部未満の少量では、長期にわたって適度の曲
率半径を維持し、高温における耐荷重性と耐疲労性に優
れた分離爪成形品を得ることはできず、また、90重量部
を越える多量では、液晶ポリマーに対する相溶性が悪化
して機械的強度の低下を起こすからである。
また、液晶ポリマー固有の配向性を助長して自己強化
性を大きくかつ安定して発揮させるように、この組成物
にポリエーテルオイルを少量、たとえば3重量%以下添
加してもよいし、むしろ添加することが好ましい。ここ
で、ポリエーテルオイルとは、エーテル(−O−)結合
またはチオエーテル(−S−)結合の少なくともいずれ
かによってベンゼン核を結んだ基本構造をもつ物質で、
たとえばベンゼン核とエーテル結合とで構成される構造
異性体を含むポリフェニルエーテルオイルで示される米
国モンサント社製:ポリフェニルエーテルオイルOS−12
4などを具体例として挙げることができる。さらに、こ
の発明の目的を損なわない範囲内で、接着性向上剤、チ
クソトロピー性付与剤を配合することは好ましく、ま
た、その他各種充填剤を配合してもよい。ここで、接着
性向上剤とは、トナーに対する非接着性を向上させるた
めに分離爪成形体表面に被覆させるコーティング剤と分
離爪成形体との間の密着強度を上げるために添加される
もので、たとえば、エポキシ基、カルボキシル基、水酸
基、フェノキシ基、メチロール基、アミノ基のうちの少
なくとも一つの基を有する熱硬化性樹脂が好適であっ
て、具体的にはフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を挙
げることができる。また、チクソトロピー性付与剤と
は、この発明の組成物が溶融する際に、低剪断速度にお
いて増粘効果をもたらすものをいい、具体的には微粉末
シリカ、微粉末タルク、珪藻土等が挙げられ、これらを
添加することによって分離爪の先端形状の真直度および
曲率半径のバラツキがさらに良好となる。また、これら
以外の充填剤としては、通常の樹脂組成物に添加される
酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、
着色剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤などのほかに、
耐摩耗性向上剤(たとえば、グラファイト、カーボラン
ダム、珪石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂など)、
耐トラッキング性向上剤(たとえば、シリカ、グラファ
イトなど)、その他充填剤(たとえば、ガラスビーズ、
ガラスバルーン、炭酸カルシウム、アルミナ、タルク、
珪藻土、クレー、カオリン、石膏、亜硫酸カリシウム、
マイカ、金属酸化物、無機質顔料など、300℃以上で安
定な物質)などを挙げることができる。
〔作用〕
分離爪の高温時における剛性および機械的強度を増強
させるために添加する耐熱性繊維粉末の平均繊維径を6
μm以下とすることによって、先端部の曲率半径および
表面平滑性への悪影響を防ぎ、さらに耐熱性非晶性ポリ
エーテル樹脂を添加することによって、従来の技術によ
る分離爪において、滑らかな曲線が得られなかったり、
時としてシャープなエッジ(バリ)になったり、たとえ
金型加工時に良好な曲率半径のものが得られても、長時
間使用の過程で樹脂からでる腐食性ガスまたは配合され
ている充填剤などによって金型についた傷跡などのため
に、分離爪の先端形状が悪くなったり、曲率半径も非常
に小さくなってシャープなエッジが出現しやすくなった
りして、長期にわたって適度の曲率半径の維持できる成
形品が得られなかったという欠点を払拭し、液晶ポリマ
ーの優れた耐熱衝撃性および成形性を阻害することな
く、液晶ポリマーの欠点であった高温(特に200℃以
上)における耐熱荷重性および耐熱疲労性を大きく高め
る作用を示すのである。
〔実施例〕
実施例および比較例に使用した原材料を一括して示す
とつぎのとおりであり、〔 〕内にそれぞれの略号を
示した。なお、これら原材料の配合割合はすべて重量部
で表わした。
液晶ポリマー〔LCP〕 米国ダートコ社製:芳香族ポリエステル樹脂XYDAR−S
RT300、 耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂〔HTA〕 英国アイ・シー・アイ社製:ビクトレックス(Vitre
x)HTA7600G、 ガラス転移点260℃(DSC法、onset)、 ポリエーテルスルホン樹脂〔PES〕 英国アイ・シー・アイ社製:ビクトレックス(Victre
x)PES4800P、 ガラス転移点220℃(DSC法、onset)、 ポリエーテルイミド樹脂〔PEI−I〕 米国ゼネラル・エレクトリック社製:ウルテム(UIte
m)1000、 ガラス転移点217℃(DSC法、onset)、 ポリアミドイミド樹脂〔PAI〕 米国アミコ社製:トーロン(Torlon)4000T、 ガラス転移点260℃(DSC法、onset)、 チタン酸カリウムホイスカー〔PTW〕 大塚化学社製:ティスモD102、繊維径0.1〜0.3μm、
繊維長20〜30μm、エポキシシラン処理品、 ガラス繊維〔GF−3〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランド、繊
維径3μm、繊維長3mm、アミノシランカップリング処
理品、 ガラス繊維〔GF−6〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランド、繊
維径6μm、繊維長3mm、アミノシランカップリング処
理品、 ガラス繊維〔GF−13〕 旭ファイバーグラス社製:チョップドストランド、繊
維径13μm、繊維長3mm、アミノシランカップリング処
理品、 炭素繊維〔GF−8〕 東邦レーヨン社製:ベスファイトHTA、繊維径7.2μ
m、繊維長6mm、 グラファイト〔GRP〕 日本黒鉛社製:ACP、 ポリエーテルオイル〔PEO〕 米国モンサント社製:ポリフェニレンエーテルオイル
OS−124、 以上の樹脂原料の内、液晶ポリマー〔LCP〕、耐
熱性非晶性ポリエーテル樹脂〔HTA〕およびポリエー
テルイミド樹脂〔PEI−I〕については冷凍粉砕機を用
いてペレットを平均粒径50μmに粉砕して使用した。
実施例1〜8: 第1表に示す配合割合で各原材料を予め乾式混合した
後、二軸溶融押出機(池貝鉄工社製:PCM−30)に供給
し、シリンダー温度380℃、スクリュー回転数50rpmの条
件下で混練押出しして造粒した。得られたペレットをシ
リンダー温度390℃、射出圧600kg/cm2、金型温度180℃
の条件のもとに射出成形し、幅12.7mm、長さ126mm、厚
さ3.2mmの板材および富士ゼロックス社製複写機2700型
に用いられている分離爪と同一形状の試験片を得た。こ
れらの試験片のうち、ローラの損傷性の実用的機能性調
査用に作製した分離爪試験片については、すべて端末に
イソシアネート基をもったフッ素化ポリエーテル重合体
(伊国モンテジソン社製:フォンブリンZ−DISOC200
0)を2.0重量%濃度に溶解したフレオン113溶液中に浸
漬した後、液から取り出して約200℃で2時間焼付け処
理を施した。
以上の試験片に対して曲げ強度、先端の曲率半径、表
面平滑性、耐熱疲労性および耐熱荷重性ならびに実用的
機能性を評価した。これらの評価方法はそれぞれつぎの
とおりである。
1)曲げ強度 ASTM−D790に基づく。
2)先端の曲率半径 日本光学社製の投影器V−16Dを使用し、n=100にお
ける測定値の最小および最大の範囲で示した。ただし5
μmより小さいものは、精度よく測定できないため1μ
mと記した。
3)表面平滑性 表面粗さ計(日本真空社製:Dektak II型)を使用し、
分離爪のローラ接触部の表面粗さを測定した。
4)爪形状による耐熱疲労性 爪先端熱変形試験機(第1図に概略図を示す)を用
い、ローラ表面温度250℃、爪先端荷重20g、接触角度
(θ)100゜、接触時間1分、1時間および12時間の各
条件で、試験(n=10)をした時の変形量t(第2図参
照)を測定し、平均値を求めて表わした。
5)爪形状による耐熱荷重性 耐熱疲労性と同様の試験機を用いて、ローラ表面温度
250℃、接触角度(θ)100゜、接触時間1分、爪先端荷
重20g、40gおよび100gの各条件で試験(n=10)をした
時の変形量t(第2図参照)を測定し平均値を求めて表
わした。
6)非攻撃性 乾式複写機(富士ゼロックス社製:2700型)を用い、
それに使用されている分離爪と同一形状の試験片を取り
付けて、B5判の分離紙を連続99枚、通算5万枚通紙した
後、定着ロール表面の傷の程度を、表面粗さ計を用い
て、分離爪摺接部の運転前後の形状確認を行ない、ロー
ラの摩耗深さが5μm未満のもの(◎印)、5〜15μm
(○印)および15μmを越えるもの(△印)の3段階に
評価した。
以上の諸試験で得られた結果を第2表にまとめた。
比較例1〜8: 第3表に示す割合で各原材料を配合した以外は実施例
1と全く同じ操作を行なって試験片を作製し、実施例1
〜8におけると同じ諸特性を調べた。得られた結果を第
4表にまとめた。
第2表および第4表からつぎのことがいえる。すなわ
ち、実施例1〜8は曲げ強度がよく、先端曲率半径の精
度および表面平滑性はいづれも良好な値を示している。
これに対して繊維径6μm以下の耐熱性繊維を使用して
いても、耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂が添加されてい
ない比較例1は、曲げ強度、表面平滑性は良好な値を示
しているが、耐熱疲労性および耐熱荷重性に劣るばかり
か、先端曲率半径が小さくなり過ぎていわゆるバリを生
じ好ましくなく、その結果相手ローラに対する損傷性も
悪い。また、たとえ非晶性ポリエーテル樹脂を添加して
も、そのガラス転移点が250℃未満である比較例2およ
び3は、短時間および低荷重で簡単に爪先端が変形して
しまうため分離爪の用をなさない。さらに、ガラス転移
点が、250℃以上であっても非晶性ポリエーテル以外の
熱可塑性樹脂であるポリアミドイミド樹脂を添加した比
較例4、およびこの発明に特定したポリエーテル樹脂を
添加しても、その添加量が多過ぎる比較例5は、母材樹
脂との相溶性の悪さから曲げ強度にも劣り、耐熱疲労
性、耐熱荷重性にも劣るばかりか、先端曲率半径の精度
が悪く、バリ発生のものから不充填に近いものまで生じ
る。また、耐熱性繊維の添加量が少な過ぎる比較例6
は、曲げ強度が低く、耐熱疲労性、耐熱荷重性も悪い。
また、耐熱性繊維の平均繊維径が6μmを越える比較例
7および比較例8は、先端曲率半径のバラツキが大き
く、表面の平滑性も悪い。その結果相手ローラに対する
損傷性も悪い。
〔効果〕
以上述べたように、サーモトロピック液晶ポリマー
と、平均繊維径6μm以下の耐熱性繊維およびガラス転
移点が250℃以上の耐熱性非晶性ポリエーテル樹脂を必
須成分とする組成物からなるこの発明の複写機用分離爪
は、液晶ポリマーが本来備えている自己補強性、耐熱老
化性、耐熱衝撃性に加えて、耐熱疲労性、耐熱荷重性に
優れ、しかも、相手ロールへの非攻撃性および先端の形
状の保持性にも優れるため、特に高温連続使用において
きわめて信頼性の高いものとなり、また高寿命化を要求
される用途にも最適である。したがって、単に複写機能
を有する装置ばかりでなく、デジタル化等によって今ま
でにない高解像度画像処理、編集機能、ファクシミリ機
能または他のOA機器の入出力装置を備えた、いわゆるイ
ンテリジェント複写機等の用途にも充分活用できるもの
である。したがって、この発明の意義はきわめて大きい
ものといえる。
【図面の簡単な説明】
第1図は爪先端熱変形試験機の概略図、第2図は爪先端
の変形量を示す図である。 1……分離爪、2……熱ローラ、 3……荷重、θ……接触角、 t……変形量。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G03G 13/20 G03G 15/14 101 G03G 15/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融時に異方性を示すサーモトロピック液
    晶ポリマー100重量部、平均繊維径6μm以下の耐熱性
    繊維20〜150重量部およびガラス転移点が250℃以上の耐
    熱性非晶性ポリエーテル樹脂10〜90重量部を必須成分と
    するサーモトロピック液晶ポリマー組成物の成形品であ
    ることを特徴とする複写機用分離爪。
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