JP2841662B2 - インクジェット記録装置用のインクタンク - Google Patents

インクジェット記録装置用のインクタンク

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はインクジェット記録装置に用いられるインク
タンクに関し、より詳しくは、インクのニヤエンドを検
出する検出手段を備えたインクジェット記録装置用のイ
ンクタンクに関する。
〔従来の技術〕
ノズルからインク滴を吐出させて記録媒体上に記録情
報に応じた文字等の記録書込みを行うインクジェット記
録装置では、インクタンク内のインクが消費され尽くし
て供給が断たれると、記録書き込みが不能になるばかり
でなく、保存されるべきデータが失なわれたり、ノズル
に至る管路内に空気が入り込んでインクを新たに補給し
ても記録書き込みが可能になるまでに多大のインク消費
と時間がかかってしまうといった問題が生じる。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような問題に対処するにはタンク内にレベル検出
器を配設すればよいのであるが、特に印字ヘッドととも
にインクタンクをキャリッジ上に搭載するようにしたイ
ンクジェット記録装置においては、キャリッジのリター
ン時等の振動によってインクタンク内のインク内に発生
した気泡がノズルに通じる管路内に入り込むのを防ぐ必
要がある。このため、インクタンク内にウレタンフォー
ム等の多孔質のフォームを収容してこのフォームにイン
クを含浸させるといった手段が講じられており、インク
のエンドを直接検出することができないといった問題を
有していた。
また、この種のインクジェット記録装置に用いられる
インクは、装置の動作環境温度によって粘度が変化する
ため、インクエンドの検出が一層困難になるという問題
があった。
本発明の目的はこのようなインクタンク内の多孔質材
にインクを含浸させるようにしたインクジェット記録装
置においても、その動作環境温度に応じてインクのエン
ドをきわめて正確に検出することにある。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、本発明はかかる課題を達成するために、水
性インクを含浸する多孔質材を収容したインク槽と、該
インク槽の下端に印字ヘッドと連通するように形成され
たインク溜とからなるインクジェット記録装置用のイン
クタンクであって、 環境温度に応じて変更可能な設定値を超えた抵抗変化
量をもとにインクのニヤエンドを検出する一対の電極の
うちの一方の電極を、多孔質材の一部に接触させるべく
上記インク槽内に配設するとともに、他方の電極を、イ
ンクに直接接触させるべく上記インク溜の一部に配設す
るようにしたものである。
〔作 用〕
このように構成したことにより、多孔質材中のインク
の枯渇直前に生じる多孔質材中のインクとインク室内イ
ンクとの間の連通面積の減少現象をインクエンドを意味
する電気抵抗の変化として検出し、印字ヘッドへのイン
クの供給不能状態を動作環境温度が変わっても常に安定
して事前に察知することができる。
〔実 施 例〕
以下に図示した実施例について説明するが、それに先
立って第3図および第4図により多孔質材に含浸された
インクの枯渇前後の状態と電気抵抗の変化について説明
する。
上端をインクの取出し口となしたインク室Aの上部に
ポリウレタンフォームのような多孔質材Bを圧接させて
おく。すると、この多孔質材B中に含浸した水溶性イン
クiは消費された量に相当する分順次毛細管作用により
インク室A内に供給されて室内を満たす(第3図
(a))。この状態のもとでは、多孔質材B中とインク
室Aのそれぞれに配設した2つの電極S1、S2の間の抵抗
は小さくほぼ一定に維持されている(第4図の領域
a)。一方、多孔質材B中のインクが徐々に枯渇し、こ
れに伴ってインクiと置き換わって多孔質材B中に侵入
してきた気体gの一部が、大きな抵抗を受けつつ多孔質
材Bの底部に達してインク取出し口の一部に顔を出すよ
うになると、この部分で連通していた多孔質材B中のイ
ンクiとインク室A中のインクiとの間に部分的な途切
れが生じ(第3図(b))、インクの連通面積の減少に
相当する分両電極S1、S2間の抵抗が大きくなる(第4図
の領域b)。さらに、多孔質材B中のインクiの枯渇が
進むと、インクの連通面積はさらに減少し最後に多孔質
材B中のインクiとインク室A中のインクiは分断さ
れ、これに伴って両電極S1、S2間の抵抗は最大になる
(第4図の領域c)。したがって両電極S1、S2間の抵抗
を検出することにより、インクエンドを検出することが
可能である。
第1、2図は上述したインクのエンド検出原理に基づ
いて具体的に構成した本発明の一実施例を示したもので
あって、第1図はインクジェット記録装置の要部を示す
断面図、第2図はインクエンド検出回路を示す図であ
る。プラテン1に沿って往復動するキャリッジ2にはプ
ラテン1に近接して印字ヘッド3が一体的に設けられて
いる。また印字ヘッド3の後方には、内部にポリウレタ
ンフォーム等の多孔質材よりなるフォーム7を充填した
インクタンク8が設けられている。このインクタンク8
には、その蓋9に大気の取入れを可能にするための通気
孔10が設けられている。またその底面にはフォーム7と
の密着を図る台状の突部11が形成されていて、この中心
部から下方に向けて、フォーム7内の水溶性インクを収
容し保持するインク室12が形成されている。さらにこの
インク室12は、その下端から印字ヘッド3の方向に延び
る連通孔13を有している。この連通孔13の端部はゴム栓
14により封止されていて、このゴム栓14に、フィルタ室
4を介して印字ヘッド3と連通する中空針5を挿通する
ことによりインクタンク8内に収容した水溶性インクを
印字ヘッド3に供給するように構成されている。
第2図中符合Riはインクの抵抗、S1、S2は前述したイ
ンクのエンド検出用の電極である。一方の電極S1は、フ
ォーム7と接触するようにインクタンク8の内壁面に設
けられ、他方の電極S2は水溶性インクと接触するように
ゴム栓14を貫通して連通孔13内に延びている。そして、
これらの電極S1、S2のうちいずれか一方の電極、例えば
電極S1には第2図に示すように基準電圧VCCが印加さ
れ、他方の電極S2は接地されている。基準電圧VCCが印
加されている側の電極S1には、抵抗変化量検出回路20が
接続されている。そしてインクの抵抗Riが変化し、これ
に応じて電圧V1があらかじめ設定された値V2(すなわち
設定値に応じた電圧値)を超えたときの出力信号(エン
ド信号)によってインクエンド検出が行われるように構
成されている。また、図中RTはサーミスタあであり、後
述するように、設定値変更手段としての役割を果たす。
つぎに上述した装置によるインクエンド検出動作につ
いて説明する。インクタンク8内のフォーム7にインク
が十分蓄えられていて、両電極S1、S2が水溶性インクを
介して接続された状態にあるときは、両電極S1、S2間の
抵抗Riは小さくかつ安定している。この状態はインクが
減少して電極S1が直接インクと接触しなくなってもフォ
ーム7が湿潤している間は継続する。
インクジェット記録装置の引続く記録書き込み動作に
よりフォーム7内のインクがさらに減少し、フォーム7
に侵入した気体がインク室12の上部開口端に達してフォ
ーム7とインク室12とを結ぶインクの連絡部の面積が減
少し始めると、これに伴って第4図の領域bに示すよう
に抵抗Riは急激に増加する。この抵抗変化に応じた電圧
値V1が設定値V2を超えるようになると、エンド信号によ
り警告ランプ等を点灯しパネル面上等にエンド状態であ
ることを表示する。また、キャリッジ2がホームポジシ
ョンに戻った時点で印字動作を直ちに停止させるような
シーケンスが記録装置に組まれている。
なお上述した検出回路は周知の回路を用いてアナログ
的にもデジタル的にも構成することができる。さらに、
インク室12側の電極S2は中空針5と兼ねさせることもで
きる。
フォーム7を収容したインクタンク8よりインクを消
費する場合、インクジェット記録装置のおかれる環境温
度に応じて、第4図に示した特性が変化する。環境温度
が低い場合には領域aが狭くなり、領域b、cは拡が
る。したがって単一の設定値では環境温度によってイン
クタンク8内のインクエンド検知時のインク残量が一定
しないということが実験により判明した。その原因は水
溶性インクの粘度−温度特性によるものである。インク
ジェット記録装置用のインクとしては、ドットの形成機
能からその物性値に適切な値があり、本実施例において
は常温環境下において、粘度が2cpのインクを用いてい
る。しかし、粘度は温度によって変化し、装置が正常に
動作すべき温度範囲5〜40℃において第5図のような特
性を示す。この図からも明らかなように常温に対して高
温側よりも低温側のほうが粘度変化が大きく、粘度は高
くなりインクの流動性能は悪くなる。つまり低温下にお
いてはインクの流動性能が悪いために、フォーム7内に
おいてインクの流動性能に対する空気の流動性能が相対
的に向上した結果として、第3図中の(b)の状態に至
る過程が早まり、さらに第3図中の(c)の状態に至る
過程も早まる。またインクエンド検出時のインクタンク
8内のインク残量を一定として第2図中のV1と環境温度
との関係を調べたところ第6図に示すような特性を示す
ことも実験により判明した。そして、さらにサーミスタ
の温度特性も第6図と同様の特性を示す。そこで本実施
例においては第2図に示すように、設定値変更手段とし
てサーミスタRTを用いることにより、装置の動作環境温
度に応じて設定値V2が変化する構成とし、装置の動作環
境温度が変わってもインクタンク8内のインクエンド検
出時のインク残量を常に一定になるようにした。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明によれば、インクタンク内の
多項質材とインクタンク下部に設けたインク室に電極を
配設するとともに、これらの電極間に生じる抵抗変化が
設定値を超えたことを検出して出力するインクのエンド
検出回路を設けたので、インクタンク内のエンド状態を
察知することが可能となり、さらに装置の動作環境温度
に応じて設定値を変える構成としたことによりインクタ
ンク内のインクエンド検知後のインク善良を常に一定に
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例をなすインクジェット記録装
置の要部を示す断面図。第2図は本実施例に用いたイン
クのエンド検出回路を示す図。第3図(a)、(b)、
(c)はインク切れ前後の状態を示す説明図。第4図は
インク消費量と電気抵抗との関係を示す図。第5図はイ
ンクの粘度と温度との関係を示す図。第6図はインク残
量を一定とした場合の電気抵抗と温度の関係を示す図。 1……プラテン 3……印字ヘッド 5……中空針 7……フォーム 8……インクタンク 12……インク室 S1、S2……電極 Ri……電極S1、S2間の抵抗 RT……サーミスタ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水性インクを含浸する多孔質材を収容した
    インク槽と、該インク槽の下端に印字ヘッドと連通する
    ように形成されたインク溜とからなるインクジェット記
    録装置用のインクタンクであって、 環境温度に応じて変更可能な設定値を超えた抵抗変化量
    をもとにインクのニヤエンドを検出する一対の電極のう
    ちの一方の電極を、多孔質材の一部に接触させるべく上
    記インク槽内に配設するとともに、他方の電極を、イン
    クに直接接触させるべく上記インク溜の一部に配設した
    ことを特徴とするインクジェット記録装置用のインクタ
    ンク。
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