JP2839798B6 - プロスタン酸化合物の安定化 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物の安定性の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に医薬品の品質を管理する上で考慮すべき点としては、不必要な物質の混入はできるだけ防止すること、一定の品質の製品を製造供給することが挙げられる。従って、医薬品の品質においては、ある一定以上の純度を有すること、その純度がある一定期間以上保たれることが重要となる。このことは、プロスタン酸化合物のような微量で生理活性を示す化合物において、特に重要性が大きい。
【0003】
プロスタン酸は、天然に存在するプロスタグランジン(PG)類の一般的構造特性をなす骨格化合物であり、下記構造式で示される。
【化1】
Figure 0002839798
天然PG類は5員環の構造特性によって、PGA類、PGB類、PGC類、PGD類、PGE類、PGF類、PGG類、PGH類、PGI類およびPGJ類に分類され、さらに鎖部分が、不飽和および酸化の存在および不存在によって
下付1......13,14−不飽和−15−OH
下付2......5,6および13,14−ジ不飽和−15−OH
下付3......5,6−、13,14−および17,18−トリ不飽和−15−OH
として、分類される。
さらにPGF類は9位の水酸基の配置によってα(水酸基がアルファー配置である)およびβ(水酸基がベータ配置である)に分類される。
【0004】
これら天然型のプロスタグランジン類は種々の薬理活性を有するが、一方でこれらは一般的に不安定な化合物で、酸、アルカリ、熱に対して分解しやすい性質を有している。また、水分もこれらの化合物にとっては、安定性を妨げる因子であり、これらの化合物を保存するに当たっては、無水あるいはできるだけ含水率を低減した状態で保存する必要がある。
【0005】
【発明の構成】
この発明者はω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物が、天然型のプロスタグランジンなどとは異なり、含水状態に保存することで安定性が向上することを見出し、この発明を完成したのである。
すなわち、この発明はω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物を含水状態に保存することを特徴とする、プロスタン化合物の安定化方法を提供するものである。
この発明において、ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物は上記式(A)で示されるプロスタン酸の構造のω鎖部分が少なくとも1つのオキソ基で置換されている化合物を意味する。このような化合物は下記に示すと同様な修飾およびそれ以外の修飾を含み得る。
【0006】
この発明のプロスタン酸誘導体の命名に際しては式(A)に示したプロスタン酸の番号を用いる。
前記式(A)はC−20の基本骨格のものであるが、本発明では炭素数がこれによって限定されるものではない。即ち、基本骨格を構成する炭素の番号はカルボン酸を1とし5員環に向かって順に2〜7までをα鎖上の炭素に、8〜12までを5員環の炭素に、13〜20までをω鎖上に付しているが、炭素数がα鎖上で減少する場合、2位から順次番号を抹消し、α鎖上で増加する場合2位にカルボキシル基(1位)に代わる置換基がついたものとして命名する。同様に、炭素数がω鎖上で減少する場合、20位から炭素の番号を順次減じ、ω鎖上で増加する場合、21番目以後の炭素原子は置換基として命名する。また、立体配置に関しては、特に断りのない限り、上記基本骨格の有する立体配置に従うものとする。
また、例えばPGD、PGE、PGFは、9位および/または11位に水酸基を有する化合物をいうが、この発明では、9位および/または11位の水酸基に代えて他の基を有するものも包含する。これらの化合物を命名する場合、9−デヒドロキシ−9−置換体あるいは11−デヒドロキシ−11−置換体の形で命名する。
【0007】
前述のように、この発明ではプロスタン酸化合物の命名はプロスタン酸骨格に基づいて行う。また、上記化合物がプロスタグランジンと同一の部構造を有する場合には、簡単化のためPGの略名をも利用することがある。これをIUPAC命名法に基づいて命名すると、例えば13,14−ジヒドロ−15−ケト−16R,S−フルオロ−PGE2は(Z)−7−{(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−[(4R,S)−4−フルオロ−3−オキソオクチル]−5−オキソシクロペンチル}ヘプト−5−エン酸; 13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−11−デヒドロキシ−11R−メチル−PGE2メチルエステルはメチル(Z)−7−{(1R,2S,3R)−3−メチル−2−[3−オキソデシル]−5−オキソシクロペンチル}ヘプト−5−エノエート; 13,14−ジヒドロ−6,15−ジケト−19−メチル−PGE1エチルエステルはエチル7−{(1R,2R,3R)−3−ヒドロキシ−2−(7−メチル−3−オキソオクチル)−5−オキソシクロペンチル)−6−オキソヘプタノエートである。13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステルはイソプロピル(Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−{3−オキソデシル}シクロペンチル]ヘプト−5−エノエートであり; 13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−メチル−PGF2αメチルエステルは、メチル(Z)−7−[(1R,2R,3R,5S)−3,5−ジヒドロキシ−2−(3−オキソノニル)−シクロペンチル]ヘプト−5−エノエートである。
【0008】
この発明で使用するω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物としては、プロスタン酸の15位または16位の炭素がカルボニル基を形成している構造特性を有するものが好ましい。しかし、この発明では、上記の位置に代って、または上記の位置に併せて、それ以外の位置(例えば17位、18位、19位等)にオキソ基を有する化合物も含まれる。
化合物の例としては上記プロスタン酸のα鎖末端のカルボキシル基がエステル化された化合物、生理学的に許容し得る塩、2−3位の炭素結合が二重結合あるいは5−6位の炭素結合が三重結合を有する化合物、3位、6位、16位、17位、19位および/または20位の炭素に置換基を有する化合物、9位および/または11位の水酸基の代わりに低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を有する化合物等がある。
3位、および/または19位の炭素原子に結合する置換基としては、例えば炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、特にメチル基、エチル基が挙げられる。16位および/または17位の炭素原子に結合する置換基としては、例えばメチル基、エチル基などの低級アルキル基、ヒドロキシ基または塩素、フッ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチルフェノキシ等のアリールオキシ基が挙げられる。20位の炭素原子に結合する置換基としては、C1-4アルキルのような飽和または不飽和の低級アルキル基、C1-4アルキルのような低級アルコキシ基、C1-4アルコキシ−C1-4アルキルのような低級アルコキシアルキルを含む。6位の炭素原子の置換基としては、カルボニル基を形成するオキソ基を含む。9位および/または11位の炭素原子にヒドロキシ基、低級アルキルまたは低級(ヒドロキシ)アルキル置換基を有する場合の立体配置はα,βまたはそれらの混合物であっても構わない。
さらに、上記化合物は、ω鎖が天然のPG類より短い化合物のω鎖末端にアルコキシ基、フェノキシ基、フェニル基等の置換基を有するものであってもよい。
【0009】
この発明に使用される特に好ましい化合物は式(I)
【化2】
Figure 0002839798
[式中、XおよびYは水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキルまたはオキソ(但し、XおよびYの基のうち少なくとも1つは、水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの2重結合を有していてもよい)、
AはCOOH、その塩類またはエステル、
Bは−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−、
−CH2−CH2−CH2−、−CH2−CH=CH−、
−CH2−C≡C−、−CH=CH−CH2−または
−C≡C−CH2−、
1は非置換またはハロ、オキソ、またはアリールで置換された、二価の飽和または不飽和、低〜中級脂肪族炭化水素残基、
2は非置換またはハロ、ヒドロキシ、オキソ、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、アリールまたはアリールオキシで置換された、飽和または不飽和、低〜中級脂肪族炭化水素残基]
を有する。
【0010】
上式中、R1およびR2における「不飽和]の語は、主鎖または側鎖の炭素原子間の結合として、少なくとも1つまたはそれ以上の2重結合および/または3重結合を孤立、分離または連続して含むことを意味する。通常の命名法に従って、連続する2つの位置間の不飽和は若い方の位置番号を表示することにより示し、連続しない2つの位置間の不飽和は両方の位置番号を表示して示す。好ましい不飽和は、2位の2重結合および5位の2重結合または3重結合である。
「低〜中級脂肪族炭化水素」または「中級脂肪族炭化水素」の語は、炭素数1〜14または5〜14の直鎖または分枝鎖[ただし、側鎖は炭素数1〜3のものが好ましい]を有する炭化水素を意味し、好ましくはR1の場合炭素数2〜8の炭化水素であり、R2の場合炭素数6〜9の炭化水素である。
「ハロゲン」の語は、ふっ素、塩素、臭素およびよう素を包含する。
「低級」の語は、特にことわりのない限り炭素原子数1〜6を有する基を包含するものである。
「低級アルキル」の語は、炭素原子数1〜6の直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素基を包含し、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチルおよびヘキシルを含む。
「低級アルコキシ」の語は、低級アルキルが上述と同意義である低級アルキル−O−フェニルを意味する。
「ヒドロキシ(低級)アルキル」の語は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された上記のようなアルキルを意味し、例えばヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチルおよび1−メチル−1−ヒドロキシエチルである。
「低級アルカノイルオキシ」の語は、式RCO−O−(ここで、RCO−は上記のような低級アルキルが酸化されて生じるアシル、例えばアセチル)で示される基を意味する。
「シクロ低級アルキル」の語は、上記のような低級アルキル基が閉環して生ずる基を意味する。
【0011】
「アリール」の語は、置換されていてもよい芳香性炭素環または複素環基(好ましくは単環性の基)を包含し、例えばフェニル、トリル、キシリルおよびチエニルを含む。置換基としては、ハロゲン、ハロゲン置換低級アルキル基(ここで、ハロゲン原子および低級アルキル基は前記の意味)が含まれる。
「アリールオキシ」の語は、式ArO−(ここで、Arは上記のようなアリール基)で示される基を意味する。
Aで示されるカルボキシル基の塩類としては、医薬上許容される塩が適当である。
適当な「医薬上許容される塩」としては、慣用される非毒性塩を含み、無機塩基との塩、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩等)、アンモニウム塩、有機塩基との塩、例えばアミン塩(例えばメチルアミン、ジメチルアミン塩、シクロヘキシルアミン塩、ベンジルアミン塩、ピペリジン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、トリス(ヒドロキシメチルアミノ)エタン塩、モノメチル-モノエタノールアミン塩、リジン塩、プロカイン塩、カフェイン塩等)、塩基性アミノ酸塩(例えばアルギニン塩、リジン塩等)テトラアルキルアンモニウム塩等があげられる。これらの塩類は、例えば対応する酸および塩基から常套の中和反応によってまたは塩交換によって製造し得る。
【0012】
エステルとしては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、1−シクロプロピルエチルエステル等の低級アルキルエステル、ビニルエステル、アリルエステル等の低級アルケニルエステル、エチニルエステル、プロピニルエステル等の低級アルキニルエステル、ヒドロキシエチルエステルのようなヒドロキシ(低級)アルキルエステル、メトキシメチルエステル、1−メトキシエチルエステル等の低級アルコキシ(低級)アルキルエステルのような脂肪族エステルおよび例えばフェニルエステル、トリルエステル、t−ブチルフェニルエステル、サリチルエステル、3,4−ジメトキシフェニルエステル、ベンズアミドフェニルエステル等の所望により置換されたアリールエステル、ベンジルエステル、トリチルエステル、ベンズヒドリルエステル等のアリール(低級)アルキルエステルがあげられる。これらのエステルは、例えば対応する酸およびアルコールから常套のエステル化反応によってまたはエステル交換によって製造し得る。
好ましいA基の例は、−COOH、−COOCH3、−COOCH2CH3、−COOCH(CH3)2である。
上記式(I)中、環、αおよび/またはω鎖の配置は、天然のプロスタグランジン類の配置と同様かまたは異なっていてもよい。しかしながら、この発明は、天然の配置を有する化合物および非天然の配置を有する化合物の混合物も包含する。
【0013】
この発明の典型的な化合物類の例は、15−ケト(オキソ)−PGA〜F類および20−低級アルキル誘導体、△2−誘導体、3R,S−メチル誘導体、6−ケト誘導体、5R,S−フルオロ誘導体、5,5−ジフルオロ誘導体、16R,S−メチル誘導体、16,16−ジメチル誘導体、16R,S−フルオロ誘導体、16,16−ジフルオロ誘導体、17S−メチル誘導体、17R,S−フルオロ誘導体、17,17−ジフルオロ誘導体、17−フェニル誘導体および19−メチル誘導体である。
また、15−デヒドロキシ−16−ケト(オキソ)−PGA〜F類及び20−低級アルキル誘導体、17R,S−メチル誘導体、17,17−ジメチル誘導体、17R,S−フルオロ誘導体および17,17−ジフルオロ誘導体である。
この発明の成分のプロスタン酸のうち、15−ケト−あるいは16−ケト−PGにおいて、11位のヒドロキシと15位あるいは16位のケト間のヘミアセタール形成により、ケト−ヘミアセタール平衡を生ずる場合がある。
このような互変異性体が存在する場合、両異性体の存在比率は他の部分の構造または置換基の種類により変動し、場合によっては一方の異性体が圧倒的に存在することもあるが、この発明においてはこれら両者を含むものとし、このような異性体の存在の有無にかかわりなくケト型の構造式または命名法によって化合物を表わすことがあるが、これは便宜上のものであってヘミアセタール型の化合物を排除しようとするものではない。
この発明においては、個々の互変異性体、その混合物または光学異性体、その混合物、ラセミ体、その他の立体異性体等の異性体も、同じ目的に使用することが可能である。
この発明の成分であるプロスタン酸化合物のあるものは、特開昭64−52753号、特開平1−104040号、特開平1−151552号、特開平2−108号、特開平2−96528号、特願平3−55930号、特願平3−125253号に記載の方法によって製造し得る。また一般に、これらの化合物は、上記と同様の方法または環部分に関する既知合成法を加味した方法によって製造し得る。
【0014】
本発明において「含水状態」の語は、ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物が乾燥品と明確に区別できるべく一定量以上の水分を含んでいる状態を意味する。従って、本発明においてはプロスタン酸化合物が一定量以上の含水率を有していることが必要である。通常、この含水状態とは少なくともプロスタン酸化合物の含水率が約0.5重量%以上であることを意味する。通常、含水率は約10重量%以下である。含水率は使用するプロスタン酸化合物によっても変動するが、一般的に含水率の下限は約0.5重量%であり、好ましくは約1.0重量%以上、より好ましくは約2.0重量%以上である。また、一般的に含水率の上限は約10重量%であり、好ましくは約7.0重量%以下、より好ましくは約5.0重量%以下である。別の例として、適当な含水率の範囲の例は存在するオキソ基に対する水のモル比として約0.1−3、好ましくは約0.2−2、さらに好ましくは約0.3−1.5、特に約1である。
プロスタン酸化合物に含水させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、計算量の水を加え振とうする方法や、加湿雰囲気に放置する方法なとがあげられる。
したがって、この発明はさらにω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物に0.5−10重量%の水分を含有させ、ほぼ平衡状態を保つ含湿雰囲気中に置くことを特徴とする、プロスタン酸化合物の保存法、この方法で保存しているプロスタン酸化合物および密閉空間中に、ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物を解放水面をもつ水と共存させて保存することを特徴とする、プロスタン酸化合物の保存法を提供する。
【0015】
13,14−ジヒドロ−15−ケト体の製造法としては、市販の(−)コーリーラクトンを出発原料とし、これをコリンズ酸化してアルデヒドを得、これにジメチル(2−オキソアルキル)ホスホネートアニオンを反応させて、α,β−不飽和ケトンを得、これを還元してケトンを得、該ケトンのカルボニル基をジオールと反応させてケタールとして保護し、次いで脱p−フェニルベンゾイル化によってアルコールを得、この新たに生じた水酸基をジヒドロピランで保護し、テトラヒドロピラニルエーテルとする。これによって、ω鎖が13,14−ジヒドロ−15−ケトアルキル基であるPG類の前駆体を得る。
上記テトラヒドロピラニルエーテルを原料として
【化3】
Figure 0002839798
である6−ケト−PG1類はテトラヒドロピラニルエーテルをジイソブチルアルミニウムヒドリドなどを用いて還元しラクトールを得、これに(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドから得たイリドを反応させ、次いでエステル化した後、5−6位の二重結合と9位の水酸基とをNBSまたはヨウ素を用いて環化して、ハロゲン化物を得、これをDBU等を用いて脱ハロゲン化して、6−ケト体を得、ジョーンズ酸化後、保護基を外すことによって得ることができる。
【0016】
さらに、
【化4】
Figure 0002839798
であるPG2類は、上記テトラヒドロピラニルエーテルを還元してラクトールを得、これに(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミドから得たイリドを反応させてカルボン酸を得、次いでエステル化した後、ジョーンズ酸化し、次いで保護基を外すことにより得ることができる。
上記テトラヒドロピラニルエーテルを原料として、
【化5】
Figure 0002839798
であるPG1類を得るには、
【化6】
Figure 0002839798
であるPG2類と同様にし、得られた化合物の5−6位の二重結合を接触還元し、次いで、保護基を外すことにより得ることができる。5、6および7位の炭化水素鎖
【化7】
Figure 0002839798
である5,6−デヒドロ−PG2類の合成は、下に示すようなモノアルキル銅錯体あるいはジアルキル銅錯体
【化8】
Figure 0002839798
を4R−t−ブチルジメチルシリルオキシ−2−シクロペンテン−1−オンに1,4−付加して生じる銅エノレートを6−カルボアルコキシ−1−ヨード−2−ヘキシンあるいはこれの誘導体で捕捉することにより合成し得る。
【0017】
11位の水酸基の代りにメチル基を有するPG類の製造法としては、11−トシレート体の9位の水酸基をジョーンズ酸化して得られるPGAタイプ化合物に、ジメチル銅錯体を作用させることにより、11−デヒドロキシ−11−メチル−PGEタイプが得られる。あるいはp−フェニルベンゾイル基を脱離後に得られるアルコールをトシレートとし、これをDBU処理して得られる不飽和ラクトンをラクトールとし、ウイティヒ反応を用いてα−鎖を導入後、得られるアルコール(9位)を酸化してPGAタイプとし、これへジメチル銅錯体を作用させることにより11−デヒドロキシ−11−メチル−PGEタイプが得られる。これを例えば水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより11−デヒドロキシ−11−メチル−PGFタイプが合成しうる。
11位の水酸基の代わりにヒドロキシメチル基を有するPG類は、上記で得られたPGAタイプに対してベンゾフェノンを増感剤として用い、メタノールを光付加することにより11−デヒドロキシ−11−ヒドロキシメチル−PGEタイプが合成できる。これを例えば水素化ホウ素ナトリウムで還元することにより11−デヒドロキシ−11−ヒドロキシメチル−PGFタイプを合成しうる。
16−フルオロ−PG類は、α,β−不飽和ケトンを得る際にジメチル(3−フルオロ−2−オキソアルキル)ホスホネートアニオンを用いればよく、19−メチル−PG類はジメチル(6−メチル−2−オキソアルキル)ホスホネートアニオンを用いればよい。
本発明において合成法は、これに限定されるものではなく、保護方法、酸化還元法等は適宜適当な手段を採用すればよい。
【0018】
製造例
13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGA2イソプロピルエステル、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGE2イソプロピルエステルおよび13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステルの合成(合成チャートI参照):
(1) 1S−2−オキサ−3−オキソ−6R−(3−オキソ−1−トランス−デセニル)−7R−(4−フェニルベンゾイルオキシ)−シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン(3)の合成:
市販の(−)−コーリーラクトン(1)(7g)をジクロルメタン中コリンズ酸化し、アルデヒド(2)を得た。これをジメチル(2−オキソノニル)ホスホネート(4.97g)アニオンと反応させ、1S−2−オキサ−3−オキソ−6R−(3,3−エチレンジオキシ−1−トランス−デセニル)−7R−(4−フェニルベンゾイルオキシ)−シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン(3)を得た。
(2) 1S−2−オキサ−3−オキソ−6R−(3−オキソデシル)−7R−(4−フェニルベンゾイルオキシ)−シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン(4)の合成:
不飽和ケトン(3)(7.80g)を酢酸エチル(170ml)中、5%Pd/炭素および水素を用いて還元した。常法処理により得られた生成物(4)を次の反応に用いた。
【0019】
(3) 1S−2−オキサ−3−オキソ−6R−(3,3−エチレンジオキシ−デシル)−7R−(4−フェニルベンゾイルオキシ)−シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン(5)の合成:
飽和ケトン(4)を乾燥ベンゼン(150ml)中、エチレングリコールおよびp−トルエンスルホン酸(触媒量)を用いてケタール(5)とした。
(4) 1S−2−オキサ−3−オキソ−6R−(3,3−エチレンジオキシ−デシル)−7R−ヒドロキシ−シス−ビシクロ[3.3.0]オクタン(6)の合成:
ケタール(5)を無水メタノール(150ml)に溶解し、炭酸カリウム(2.73g)を加え、室温で終夜撹拌した。酢酸を加え中和した後、減圧濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチルで抽出し、希重曹水、食塩水で洗浄後、乾燥した。常法処理により得られた粗生成物をクロマトグラフィーし、アルコール(6)を得た。収量: 3.31g。
(5) ラクトール(7)の合成:
アルコール(6)(0.80g)を−78℃で乾燥トルエン(8ml)中、DIBAL−Hで還元し、ラクトール(7)を得た。
(6) 13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−PGF2α(8)の合成:
(4−カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(3.65g)から調整したイリドにラクトール(7)のDMSO溶液を加え、終夜撹拌し、カルボン酸(8)を得た。
(7) 13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(9)の合成:
カルボン酸(8)をアセトニトリル中、DBUおよびヨウ化イソプロピルを用いて、13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(9)を得た。収量: 0.71g。
【0020】
(8) 13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(10)の合成:
13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(9)(0.71g)を酢酸/THF/水(3/1/1)に40℃に3時間保った。減圧濃縮して得られた粗生成物をクロマトグラフィーし、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(10)を得た。収量: 0.554g。
(9) 13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGA2イソプロピルエステル(12)の合成:
13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(10)(0.125g)および塩化p−トルエンスルホニル(0.112g)のピリジン溶液(5ml)を0℃に2日間保った。常法処理によりトシレート(11)を得た。
トシレート(11)をアセトン(8ml)中、−25℃でジョーンズ酸化した。常法処理後に得られた粗生成物をクロマトグラフィーし、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGA2イソプロピルエステル(2)を得た。収量: 0.060g。
(10) 13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGF2αイソプロピルエステル(13)の合成:
13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(9)(3.051g)をN,N−ジメチルホルムアミド(25ml)に溶解し、塩化t−ブチルジメチルシリル(1.088g)、イミダゾール(0.49g)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた粗生成物をクロマトグラフィーし、13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGF2αイソプロピルエステル(13)を得た。収量: 2.641g。
【0021】
(11) 13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGE2イソプロピルエステル(14)の合成:
13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGF2αイソプロピルエステル(13)(0.171g)を常法に従い、塩化メチレン中、室温でコリンズ酸化(20当量)した。50分後、反応液に硫酸水素ナトリウム(1.15g)を加え濾過した。濾液を濃縮し、得られた粗生成物をクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル10:1)した。13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGE2イソプロピルエステル(14)が得られた。収量: 0.153g(89%)。
(12) 13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGE2イソプロピルエステル(15)の合成:
13,14−ジヒドロ−15,15−エチレンジオキシ−20−エチル−11−t−ブチルジメチルシロキシ−PGE2イソプロピルエステル(14)(0.089g)をアセトニトリルに溶解し、0℃でフッ化水素酸の46%水溶液(1ml)を加え、室温で40分撹拌した。反応液を常法に従い処理して、得られた粗生成物をクロマトグラフィーし、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGE2イソプロピルエステルを得た。収量: 0.063g(97%)。
【化9】
Figure 0002839798
【化10】
Figure 0002839798
【化11】
Figure 0002839798
【化12】
Figure 0002839798
【0022】
試験例
含水率0.11重量%である13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(以下、乾燥化合物1という)に対して計算量(3.8%)の水を加え、室温で2時間振とうし、含水率3.72重量%である13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(以下、含水化合物1という)を得た。
上記乾燥化合物1と含水化合物1をそれぞれ20℃で6カ月保存(遮光、密栓)し、13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステル(以下、化合物1という)の含量値(重量%)を求めた。
結果を表1に示す。
【表1】
Figure 0002839798
以上の結果から、含水状態(含水率3.72%)で13,14−ジヒドロ−15−ケト−20−エチル−PGF2αイソプロピルエステルを保存した場合は品質にほとんど変化が認められないことがわかる。

Claims (6)

  1. ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物を含水状態に保存することを特徴とする、プロスタン酸化合物の安定化方法。
  2. オキソ基が15位または16位に置換したプロスタン酸化合物である請求項1記載の方法。
  3. プロスタン酸化合物が0.5重量%から10重量%の水分を含水している状態である請求項1記載の方法。
  4. ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物に0.5−10重量%の水分を含有させ、ほぼ平衡状態を保つ含湿雰囲気中に置くことを特徴とする、プロスタン酸化合物の保存法。
  5. ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物と、該化合物に対し0.5〜10重量%の水を含有するプロスタン酸の安定化組成物。
  6. 密閉空間中に、ω鎖上に少なくとも1つのオキソ基を有するプロスタン酸化合物を解放水面をもつ水と共存させて保存することを特徴とする、プロスタン酸化合物の保存法。
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